一、この世の中の形ある宝のみに心を注ぎ、神を次にするものは、大なる災ひである。吾が目的の半ばも成り遂げぬときにおいて、その身の犯せる罪の為に、その身先づ亡ぶるものである。
二、いろいろの苦しき験しに遭ふものは、喜びと思はねばならぬ。その苦しき験しに打勝つ度に、神より大なる稜威を授けたまひて、その身にその心に、光と力とを与へたまふからである。
三、神より、富または位、または生命、または栄誉を与へられて歓ぶものは、永久に歓べ。年月と倶に移り変りて、神の恵みを忘るるな、神の恵みを忘れて、吾れの力のみを頼み傲ぶるものは、亡びの門を自ら開くものである。
四、神ばかりに手頼りて、吾が為すべきの職業を尽さぬもの、また亡びの門を自ら開くものである。
五、心に貧ぼるの欲なきものは、妖魅邪神に誘はるること無きものぞ。神は正しき誠の為の欲あるものを助けたまふ。
六、世にはわれより悪の種を蒔き、災ひを招きながら、神のしわざとして神を恨むものがある。かかる人は、すでにその身も霊魂も、枉津の仲間に陥りしものである。
七、道によりて活きたるものは、その身はたとへ死するとも幸ひである。道によりて死したるものは、その身はたとへ生存するとも、大なる災ひである。
八、神の道に一度死したるものは、再びその道に生るること難し。神の道に死したるものとは、慢神の罪を犯したものにして、信者たるの資格を失ひしものなり。
九、神の教は力めて速く聴くべし。聴きたる事は、よく噛み分けて、人に語ることを後にせよ。
一〇、真理の為、正義の為には怒るべし。何事によらず、徒らに怒るなかれ、徒らに怒る時は神より得たる真の力を失ふ。
一一、道を聞き、道を味ひて、その道の為に行はざるものは、神を欺くものなり。また我が身を欺むくものなり。
一二、日に夜に犯せる罪重なりて、終にその身を殺し、根の国底の国を生む。
一三、神の取次たることを鼻に掛け、その口を慎しまざるものは、神を軽んじ道を汚し遂にその身を亡ぼすものなり。
一四、汝ら人の身を己が身と思ひ、我が身を人の身と思へ。
一五、皇帝に忠を尽し、身を捨てて国を護るものは、神の御国に到りて、最とも大なる誉れとなるべし。
一六、芭蕉の葉は最も広くして大なり、されど一枚も破れぬは無し。松の葉樅の葉は、細く小さし。されど、雨風暴風雨などに会ひて破れず、砕けず。神を信仰するものは松の葉の如くなれ、樅の葉、カヤの葉の如くなれ。