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歌集・日記
二名日記
昭和3年5月6日
5月7日 於高知市足立家
5月8日 於高知市唐人町東足立邸
5月8日(追加) 於香長支部
5月9日 於香長支部
5月10日 於香長支部及高知足立氏邸
5月11日 於阿波徳島支部
5月12日 於徳島分所
5月13日 於沖ノ洲支部
5月14日 於栲機支部(棚野支部改称)
5月15日 於徳島中央支部
5月16日 於高松市新港町嶋中氏方
5月17日 於高松市嶋中家
5月18日 於高松市亀岡牛窪家
5月19日 於高松市紫雲閣
5月20日 於高松市紫雲閣
5月21日 於新居浜支部
5月22日 於新居浜分所
5月23日 於新居浜分所
5月24日 於今治市宮田茂光邸
5月25日 於道後鮒屋旅館
5月26日 於道後鮒屋
5月27日 於道後鮒屋
5月28日 於二名洲支部
5月29日 於二名洲支部
5月30日 於郡中支部
5月31日 於大洲支部
6月1日 於大洲佐賀家
6月2日 於大洲佐賀宅
6月3日 於第十五宇和嶋丸
6月4日 於神集殿
附録 冠沓俳句
*1
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五月廿一日 於新居浜支部
インフォメーション
題名:
5月21日 於新居浜支部
著者:
月の家(出口王仁三郎)
ページ:
171
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-08-19 19:29:46
OBC :
B117500c17
あしたより大空清く晴れ渡り
今日の旅行の
幸
(
さち
)
かがやけり。
紫雲閣庭園に立ち一同と
記念の小照写しけるかな。
午前九時紫雲閣をば後にして
丸亀
街
(
まち
)
を指して出で立つ。
自動車を五台並べて
郷東
(
ごうとう
)
橋
松並木まで信者見送る。
まめ人に別れ惜みつ三台の
自動車馳せて松並木過ぐ。
西方山
(
さいほうざん
)
郷東川
(
がうとうがは
)
の風光は
初夏の眺めにかなひて
美
(
うる
)
はし。
大空に一点雲なく風清く
心地また良き今日の旅かな。
本塚
(
ほんづか
)
橋渡れば続く松並木
蔭に巡礼唄ひつつ行く。
豊
(
ゆたか
)
なる昭和の御代の
鬼無町
(
きなしまち
)
[
※
当時は香川郡上笠居村字鬼無。現在は高松市鬼無町鬼無。桃太郎伝説がある。
]
に
車乗り入る大本の
王仁
(
おに
)
。
地蔵池広く水を
湛
(
たた
)
へつつ
浮べる鳥の羽白く照る。
牛馬車に次々出合ひ自動車の
運転ままにならぬ道かな。
綾歌
(
あやうた
)
郡
柘植
(
つげ
)
の神社を
右手
(
めて
)
に拝し
賀茂川
堤
(
づつみ
)
馳せ行く
凉
(
すず
)
しさ。
雲井橋渡りつ川の面見渡せば
水の流れは一滴も無し。
阪出
(
さかいで
)
の町に進めば馬車人車
往来しげく自動車悩めり。
讃岐不二
[
※
飯野山(標高422メートル)のこと。
]
左手
(
ゆんで
)
の空に端然と
姿正しく立ちて国
守
(
も
)
る。
稍
(
やや
)
長き町を通れば西はづれ
新町橋の架りて
賑
(
にぎ
)
はし。
土器
(
どき
)
川橋
御供所
(
ごくしよ
)
橋なぞ打渡り
丸亀市中に臨みけるかな。
瑞祥会支部の所在地丸亀市
北平
(
きたひら
)
山町に十時過ぎ着く。
人口は三万五千の丸亀市に
金光 天理 黒住教栄ゆ。
何となく心持良き好天気
初夏の凉風吾面を吹く。
三時間汽車待つあいだの
徒然
(
つれづれ
)
に
文机
(
ふづくゑ
)
により腰折れを詠む。
庭の面に
無花果
(
いちじく
)
万生青
(
おもと
)
茂りつつ
枝の枯れたる
橙樹
(
だいだいのき
)
立つ。
黒住の教会隣りに建てられて
かすかに
祝詞
(
のりと
)
の声の流れ来。
午後の二時十八分の汽車にのり
丸亀出でて
新居浜
(
にゐはま
)
に向ふ。
窓開けて東南の空ながむれば
姿正しく讃岐
不二
(
ふじ
)
立つ。
多度津駅
金刀比羅
(
ことひら
)
線の乗換地
乗降客のさわがしきかな。
空海の生誕地なる海岸寺
浜辺の松の林に建つ見ゆ。
真帆片帆行き交ふ瀬戸の島影に
津島神社の
祠
(
ほこら
)
見えけり。
日露間開戦の際軍艦を
出せし
詫間
(
たくま
)
の湾景
清
(
すが
)
しき。
上
(
かみ
)
高瀬駅に進めば頂上に
松の樹並び立つ高山
聳
(
そび
)
えつ。
眼を閉ざし鳴球 白嶺両宣使
正体もなく横に立ちたり。
本山
(
もとやま
)
駅
左手
(
ゆんで
)
の青山ながむれば
観音堂の
甍
(
いらか
)
輝く。
観音寺駅の
傍辺
(
かたへ
)
の山の
上
(
へ
)
に
琴弾
(
ことひき
)
八幡
(
はちまん
)
神社立つ見ゆ。
このあたり海岸に松並びたち
公園開けて風光
妙
(
たへ
)
なり。
古
(
いにしへ
)
の風俗残れる人々の
安けく住める伊吹島見ゆ。
豊浜駅松原遠み海遠み
大空おちて波に線曳く。
箕浦
(
みのうら
)
駅窓より見れば海の面
間近く見えて島々浮く見ゆ。
汽車は今讃岐はなれて風光よき
いよいよ伊予の国原走る。
漁
(
すなど
)
りの網引く男の潮風に
焼けたる肌の色黒き見ゆ。
川之江や三島の駅の海中に
桝形
(
ますがた
)
網の曳き廻しありき。
伊予土居の駅にまめ人立ち
乍
(
なが
)
ら
吾のる汽車を迎へてありけり。
蒸し暑き長きトンネル潜る
間
(
ま
)
の
いとも苦しき思ひせしかな。
海岸を
馳
(
は
)
せ行く汽車の窓開けて
見れば大島横たはり浮く。
多喜浜の駅を過ぐれば間もあらず
伊予新居浜の駅につきたり。
午後の五時一行無事に新居浜町
支部の白石やかたに入りけり。
島中氏牛窪兄弟夕暮に
高松さして帰りてぞ行く。
人類愛講演の為栗原氏
西條さして急ぎ出で行く。
夕近み庭の大樹に
百雀
(
ももすずめ
)
声調
揃
(
そろ
)
へて宣伝歌唄ふ。
茜
(
あかね
)
刺す今日の夕べの静けさよ
若葉にそよぐ風の音も無し。
明日十時貴地につくとの急電を
送り来にけり宇知麿八重野子。
今日よりは新居浜の支部改めて
分所と称ふる事となりたり。
栗原氏講演首尾よく成功し
夜十二時を過ぎて帰りぬ。
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