朝晴れの空に鳥の声清く
若葉の森に啼き渡りつつ。
雨頻り降るかと起き出で庭見れば
木下にむせぶせせらぎの音。
オートバイ競走会の開かれて
雷声頻りに聞え来にけり。
一五四払ひて名産伊予絣
四十一反買ひ購めけり。
大輪の百合の花束石丸氏
吾土産にと贈られにけり。
正宗寺子規俳聖の遺髪塔に
岩田宗匠詣でてぞ行く。
老木の高く茂れる公園地
河野通有の城跡とぞ聞く。
初夏の風庭のおもてに吹きつけて
若葉の梢中空に舞ふ。
肩は凝り歯の根は緩み頭重く
心ふさがる道後の宿かな。
草枕旅は良きもの辛きもの
見知らぬ山海朝夕辿りて。
一株の躑躅より外に花の無き
宿屋の庭の寂しさの湧く。
朝夕に花に包まれ語らひし
天恩郷の偲ばるるかな。
温室に百花千花匂ひつつ
吾を待つらむ天恩の郷。
烏公や兎公如何にと徒然に
花明山神苑しのぶ夜半かな。
今日も亦鮒屋の主人に頼まれて
画帖に略画描きけるかな。
行く先も最早少なく成り行きて
帰心やうやく萌し初めたり。
一週間後には聖地へ帰る身と
思へば帰心矢の如くなる。
清子の君満月伴なひ道後町へ
土産買はんと辷り玉へり。
珍らしく御空の雲の切れ目より
青肌見えて日光かがやく。
満蒙の眼鼻附くまでどうかして
田中内閣持たせ度きかな。
百年の国の大計知らずして
内閣斗りねらふ曲の代。
政権の争奪斗りに気を取られ
御国の前途知らぬ曲神。
微細なる感情問題放棄して
国家に盡せ四百代議士。
日の本の国の前途を偲びつつ
夜さへ安く寝られぬ此の頃。
自己愛の外に望みの無き人の
上にふさがる暗世うれたき。
神ならぬ人の身なれば神国の
政治の難きは無理もなきかな。
神様の造りし国のまつりごと
輔くる人の御苦労なるかな。
足御代の人草の子と生れてし
恵み思ひて御国に盡さむ。
久方の天津空より降りたる
身魂は御国の宝なりけり。
からたまも霊魂も空より降りたる
人の出でずば暗は晴れまじ。
闇の世の扉開きて世を照らす
五六七の神の降臨待たれつ。
神界は最早五六七の世なれども
夢まだ醒めぬ葦原の国。
○徒然のままに鮒屋の旅館の三階にて数へうたをものして遊ぶ。
一日だも早く君許帰らんと
思へば心のはやる今日かな。
二世契る君の仏眼に浮きて
夜な夜な沈む旅の吾かな。
三界に汝をし措きて吾魂を
潤す神はまさじとぞおもふ。
四国路の旅にし出でて淋しきは
朝夕君に逢はねばなりけり。
五大洲飛行機持ちて探すとも
君にます美女あらじとぞ思ふ。
七年の閉門受けし吾魂の
生けるは君の坐せしが為なり。
八千代まで恋しき君と相生の
松の世長く暮したきかな。
十字架を負ひても恋しき君の辺に
吾恋ふ魂の離れざるらむ。
百年の知己にも優る思ひかな
初めて君と握手の刹那は。
千早振神の御代より汝と吾は
神の定めし縁なるらむ。
万斛の涙湛へて旅立ちぬ
後ろ髪の毛君に曳かれて。
億兆の身魂を導く身乍らも
迷ふは恋の闇路なるらむ。
いく度か綻び初めし恋衣
今日君の手に縫はれけるかな。
いつの日か心のたけを明かさんと
慕ひし君と語らふ今日はも。
満蒙の大野ケ原を行く如く
あてども判ぬ恋の路かな。
別け入れば弥まし道の奥とほく
帰る術なき恋の坂かな。
吾妹子をしのびて寝ぬる夏の夜の
枕に悲し蚊々の鳴く声。
細りゆく吾からたまも君故と
思へば嬉し初恋の身は。
初恋の人の老いたる姿見て
猶も怪しく震ふ魂かな。
その昔恋せし人に巡りあひて
言問ふ今日の傀かしさかな。
若かりし時の恋人たづね来て
うつむき乍ら物語りけり。
口から出花(一)
暇あれば
恋の歌のみ詠む聖師
体験なくては
あれだけの
沢山な歌は出来ないと
○○さんと○○が
微笑を浮かべて
わたしの顔を
覗いて又もや微笑する。
人を恋する心を転じ
主一無適の真心で
天地の神を恋せよと
いつも私の謎ですよ
脱線誤解は困ります。
恋の花咲く花明山の
百花千花は神の花
人は恋をば拡大し
天地の本の神様を
力限りに信仰して
万古末代しをれない
誠の花を咲かせかし。
私は恋の本体よ
恋を唄ふて神の子に
愛と善との徳を植ゑ
信と真との光をば
腕もたわわに授けんと
千々に心を砕きつつ
悩める凡ての人々を
口から出花(二)
夏は紫陽花七変化
時じく変る花の色
世界は凡て紫陽花の
花にいやまし移り行く
人は闇路の泥濘に
落ちて汚れて苦しみつ
弥勒々々と待つてゐる
いつまで弥勒を待つたとて
誠の道を知らざれば
明るい天地にや出られない
厳と瑞との結び合ひ
世を救はんと伊都能売の
神の出でまし白雲の
余所にもとむる哀れさよ
堅磐に常磐に動きなき
厳に松の神の代は
既に来たりて神々は
日夜にさとし玉へども
盲目聾の世の中は
一寸先は闇の世と
云ひつつ少しも光明を
求むる事に努めない
千代に八千代に動かない
光明世界の松の世に
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