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五月廿四日 於今治市宮田茂光氏邸

インフォメーション
題名:5月24日 於今治市宮田茂光邸 著者:月の家(出口王仁三郎)
ページ:205
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-08-19 19:33:36 OBC :B117500c20
朝晴れの庭に(すずめ)のちうちうと
唄ひて御代島青葉輝く。
一冊の画帖や色紙十枚に
今日も落書為して慰む。
栗原氏土居より肉体諸共(もろとも)
講演終りて帰り来たれり。
今治(いまはり)の片山宣使わが一行
迎への為に上り来ませリ。
君恋ふる心の空は五月(さつき)
燃ゆる(ほたる)の雨にも消えなく。(蛍)
今治の公会堂の講演は
聴衆八百盛会と聞く。
午後の二時白石邸を立ち出でて
今治停車場さして急ぎぬ。
 前後三日間の新居浜の滞在、白石家に非常に厄介を掛けしが今日(やうや)く今治に向ふ事となり、午後二時と云ふに三台の自動車に分乗、楠の大樹を以て名高き県社一宮(いつく)神社の前を疾駆(しつく)しつつ、定刻二十分前に着駅、今治(いまはり)行の汽車を待つ事となりぬ。新居浜駅には見送りの人々数十人既に已に先着してあり。
 いよいよ発車するや白石夫妻を始めとし、白石亀雄氏、同夫人、令嬢、小笠原夫妻、片山誉吉(よきち)、青野さかえ、一色明、服部恕一、真鍋実の諸氏同車、今治の宿まで見送りたり。直ちに支部に入り神前に拝礼終り、米屋町一丁目宮田氏方に入る。正に午後五時、夕陽暖かに風和ぎて()とも静なり。
別子銅山鉱石運輸の鉄路線
海岸さして布設(ふせつ)せる見ゆ。
中萩(なかはぎ)の駅の北方松の岡
茂りて桑園広く連なる。
渦井(うづゐ)川左右の堤に常磐木(ときはぎ)
茂れる風光捨てがたきかな。
柑橘(かんきつ)の段々畠のまん中に
大樹一本茂り立つ見ゆ。
石槌の高峯(たかね)は雲に頂を
包まれ(なが)ら雄姿崇高し。
両宣使講演会を開きたる
西條駅の客多きかな。
両側の老松の森かこみつつ
中を流るる賀茂川清けし。
右手(めて)の森いと新らしき楼門(ろうもん)
石槌山の出張所なりけり。
産土(うぶすな)の森青々と老木の
茂る小松の駅につきたり。
中山川鉄橋渡る上下(かみしも)
土堤(どて)の並木の松ぞ(うる)はし。
山遠み海遠みつつ吾汽車は
壬生(みぶ)川駅に流れ入れたり。
大明神(だいみやうじん)川の左右の岸の辺に
(みどり)も清く松並木立つ。
麦の(はたけ)黄ばみて海の面見え()めつ
三芳(みよし)の駅に吾汽車は着きぬ。
松生ふる小さき丘の右左
水色清き蛇の池日に映ゆ。
白妙青松茂れる海辺に(おごそ)かに
綱敷(つなしき)天満宮の社の見ゆ。
漆器にて名を知られたる桜井の
駅のあたりの風光()きかな。
富田より遠く南方見渡せば
釈迦を(まつ)りし桂山茂る。
蒼社(さうしや)川水浅みつつ両岸の
並木林の景色(たへ)なり。
今治の駅に降れば宇知麿と
岩田氏宣信(とも)に待ち居り。
自動車を連ねて午後四時二十分
今治支部に安く入りけり。
信徒(まめひと)と支部の礼拝(あひ)すませ
宮田氏方につきて休らふ。
波止(はし)愛媛県越智郡波止浜町(現・今治市波止浜)の講演終り宇知麿と
栗原両氏夜半に帰る。
新しき木の香の匂ふ置風呂に
入りて身体(からだ)の疲れを払ふ。
宮田氏が館の低空かすめつつ
飛行機郵便音高く行く。
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