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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第25巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 相縁奇縁
第1章 水禽の音
第2章 与太理縮
第3章 鶍の恋
第4章 望の縁
第2篇 自由活動
第5章 酒の滝壺
第6章 三腰岩
第7章 大蛇解脱
第8章 奇の巌窟
第3篇 竜の宮居
第9章 信仰の実
第10章 開悟の花
第11章 風声鶴唳
第12章 不意の客
第4篇 神花霊実
第13章 握手の涙
第14章 園遊会
第15章 改心の実
第16章 真如の玉
第5篇 千里彷徨
第17章 森の囁
第18章 玉の所在
第19章 竹生島
余白歌
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海洋万里(第25~36巻)
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第25巻(子の巻)
> 第1篇 相縁奇縁 > 第1章 水禽の音
<<< 総説
(B)
(N)
与太理縮 >>>
第一章
水禽
(
すゐきん
)
の
音
(
おと
)
〔七四七〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
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主な登場人物
[?]
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備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm2501
文字数:
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
時間
(
じかん
)
空間
(
くうかん
)
超越
(
てうゑつ
)
し
002
現幽神
(
げんいうしん
)
の
三界
(
さんかい
)
を
003
過去
(
くわこ
)
と
未来
(
みらい
)
と
現在
(
げんざい
)
に
004
通観
(
つうくわん
)
したる
物語
(
ものがたり
)
005
伊都
(
いづ
)
の
教祖
(
けうそ
)
が
艮
(
うしとら
)
の
006
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
蒙
(
かかぶ
)
りて
007
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひし
瑞祥
(
ずゐしやう
)
の
008
明治
(
めいぢ
)
は
二十五
(
はたちいつ
)
の
年
(
とし
)
009
それに
因
(
ちな
)
みし
巻
(
まき
)
の
数
(
かず
)
010
須弥仙
(
しゆみせん
)
山
(
ざん
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
け
011
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
守
(
まも
)
ります
012
神
(
かみ
)
に
習
(
なら
)
ひて
掛巻
(
かけま
)
くも
013
畏
(
かしこ
)
き
神
(
かみ
)
の
現
(
あ
)
れませる
014
高天原
(
たかあまはら
)
の
大宇宙
(
だいうちう
)
015
その
外側
(
そとがは
)
に
身
(
み
)
を
置
(
お
)
きて
016
ここに
六合
(
りくがふ
)
隈
(
くま
)
もなく
017
見渡
(
みわた
)
し
給
(
たま
)
ひし
瑞御霊
(
みづみたま
)
018
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
御心
(
みこころ
)
を
019
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
り
給
(
たま
)
ふ
大八洲
(
おほやしま
)
彦
(
ひこ
)
020
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
月照
(
つきてる
)
の
021
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
あら
)
はれて
022
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
め
023
五十路
(
いそぢ
)
の
阪
(
さか
)
を
二
(
ふた
)
つまで
024
越
(
こ
)
えた
赤子
(
あかご
)
の
口
(
くち
)
を
借
(
か
)
り
025
大海原
(
おほうなばら
)
に
漂
(
ただよ
)
へる
026
名
(
な
)
さへ
芽出度
(
めでた
)
き
竜宮
(
りうぐう
)
の
027
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
なるオセアニヤ
028
黄金
(
こがね
)
の
砂
(
すな
)
を
敷
(
し
)
き
詰
(
つ
)
めし
029
地恩
(
ちおん
)
の
郷
(
さと
)
に
三五
(
あななひ
)
の
030
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
きたる
031
五十子
(
いそこ
)
の
姫
(
ひめ
)
や
梅子姫
(
うめこひめ
)
032
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
珍
(
うづ
)
の
子
(
こ
)
と
033
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
小糸姫
(
こいとひめ
)
034
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
天地
(
あめつち
)
の
035
元津
(
もとつ
)
御神
(
みかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
を
036
覚
(
さと
)
りて
道
(
みち
)
に
尽
(
つく
)
したる
037
古
(
ふる
)
き
神代
(
かみよ
)
の
語
(
かた
)
り
草
(
ぐさ
)
038
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
大本
(
おほもと
)
の
039
竜宮館
(
りうぐうやかた
)
を
立出
(
たちい
)
でて
040
流
(
なが
)
れも
清
(
きよ
)
き
小雲川
(
こくもがは
)
041
並木
(
なみき
)
の
老松
(
らうしよう
)
ふくの
神
(
かみ
)
042
風
(
かぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれ
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てる
043
法螺貝
(
ほらがひ
)
喇叭
(
ラツパ
)
にあらねども
044
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
誠
(
まこと
)
か
嘘
(
うそ
)
か
045
嘘
(
うそ
)
ぢやあるまい
誠
(
まこと
)
ぢやなかろ
046
さても
解
(
わか
)
らぬ
物語
(
ものがたり
)
047
心
(
こころ
)
真澄
(
ますみ
)
の
松村
(
まつむら
)
が
048
口
(
くち
)
と
鉛筆
(
えんぴつ
)
尖
(
とが
)
らして
049
吾
(
わ
)
が
口述
(
こうじゆつ
)
を
書
(
か
)
きとめる
050
松雲閣
(
しよううんかく
)
の
中
(
なか
)
の
間
(
ま
)
に
051
無尽意
(
むじんい
)
菩薩
(
ぼさつ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
052
五六七
(
みろく
)
太夫
(
たいふ
)
や
加藤
(
かとう
)
女史
(
ぢよし
)
053
やがては
急
(
いそ
)
ぎ
北村
(
きたむら
)
の
054
隆
々
(
りうりう
)
光
(
ひか
)
る
神界
(
しんかい
)
の
055
御稜威
(
みいづ
)
を
畏
(
かしこ
)
み
村肝
(
むらきも
)
の
056
心
(
こころ
)
清
(
きよ
)
めて
書
(
か
)
きとむる
057
所謂
(
いはゆる
)
三界
(
さんかい
)
物語
(
ものがたり
)
058
辷
(
すべ
)
り
出
(
い
)
でたる
蓄音器
(
ちくおんき
)
059
取手
(
とりて
)
を
握
(
にぎ
)
りクルクルと
060
螺旋
(
ぜんまひ
)
仕掛
(
じかけ
)
のレコードが
061
茲
(
ここ
)
に
廻転
(
くわいてん
)
始
(
はじ
)
めける
062
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
063
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ。
064
○
065
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
役員
(
やくゐん
)
控室
(
ひかへしつ
)
には、
066
スマートボール(敏郎司)、
067
チヤンキー(英吉)、
068
モンキー(米吉)
其
(
その
)
他
(
た
)
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
、
069
赤裸
(
まつぱだか
)
の
儘
(
まま
)
、
070
芭蕉
(
ばせう
)
の
実
(
み
)
を
喰
(
く
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
071
スマートボール『
皆
(
みな
)
の
御
(
ご
)
連中
(
れんちう
)
、
072
人間
(
にんげん
)
も
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
なものだなア。
073
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
も
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
に
朝夕
(
あさゆふ
)
真心
(
まごころ
)
を
尽
(
つく
)
し、
074
随分
(
ずゐぶん
)
忠勤
(
ちうきん
)
を
擢
(
ぬきん
)
でて、
075
危険
(
きけん
)
区域
(
くゐき
)
に
往来
(
わうらい
)
出没
(
しゆつぼつ
)
し、
076
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
な
)
めて
来
(
き
)
た
者
(
もの
)
だが、
077
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
竜宮島
(
りうぐうじま
)
までお
供
(
とも
)
をして
来
(
き
)
乍
(
なが
)
ら、
078
吾々
(
われわれ
)
は
平役人
(
ひらやくにん
)
の
一部
(
いちぶ
)
に
加
(
くは
)
へられ、
079
清公
(
きよこう
)
さまの
頤使
(
いし
)
に
甘
(
あま
)
んじて
居
(
を
)
らねばならぬのだから、
080
暗君
(
あんくん
)
に
仕
(
つか
)
へるのは
実
(
じつ
)
に
不利益
(
ふりえき
)
此
(
この
)
上
(
うへ
)
なしだ。
081
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまも
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
に
会
(
あ
)
うた
嬉
(
うれ
)
しさに、
082
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
殊勲
(
しゆくん
)
を
念頭
(
ねんとう
)
から
遺失
(
ゐしつ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
083
今迄
(
いままで
)
は
寝
(
ね
)
ても
起
(
お
)
きても「スマート、
084
スマート」とお
声
(
こゑ
)
がかかつたが、
085
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
何処
(
どこ
)
の
スマ
ートに
居
(
を
)
るかとも
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さらぬ。
086
本当
(
ほんたう
)
に
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
なものだよ。
087
俺
(
おれ
)
ア……モウ
同伴者
(
つれ
)
が
有
(
あ
)
つたら
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
へでも
帰
(
かへ
)
りたくなつて
来
(
き
)
たワイ』
088
チヤンキー『お
前
(
まへ
)
が
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さまに
夫
(
それ
)
丈
(
だけ
)
尽
(
つく
)
したにも
関
(
かか
)
はらず、
089
抜擢
(
ばつてき
)
されないのは、
090
みんな
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
だ。
091
前生
(
ぜんせい
)
からの
罪
(
つみ
)
の
借金済
(
しやくきんな
)
しを
指
(
さ
)
して
下
(
くだ
)
さるのだから、
092
それで
大変
(
たいへん
)
な
御
(
お
)
恵
(
めぐみ
)
に
預
(
あづか
)
つて
居
(
を
)
るのだよ。
093
俺
(
おれ
)
だとて
肝腎
(
かんじん
)
の
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
を、
094
シロの
島
(
しま
)
から
生命
(
いのち
)
からがら
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
て、
095
中途
(
ちうと
)
で
難船
(
なんせん
)
をした
殊勲者
(
しゆくんしや
)
だから、
096
何
(
なん
)
とか
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
が
懸
(
かか
)
りさうなものだけれど、
097
ヤツパリ
平役人
(
ひらやくにん
)
の
仲間
(
なかま
)
だ。
098
モンキーだとて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
り、
099
そこが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
依怙
(
えこ
)
贔屓
(
ひいき
)
のない
処
(
ところ
)
だ……なア、
100
モンキー、
101
貴様
(
きさま
)
もさうだらう』
102
モンキー『
吾々
(
われわれ
)
小身者
(
せうしんもの
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
103
チヤンキー モンキー
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
で、
104
歯節
(
はぶし
)
は
立
(
た
)
たぬよ。
105
マアどうなりと
生命
(
いのち
)
さへ
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
へば、
106
結構
(
けつこう
)
だなア』
107
スマートボール『それだと
云
(
い
)
つて、
108
清公
(
きよこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
109
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
後釜
(
あとがま
)
に
坐
(
すわ
)
り、
110
宰相面
(
さいしやうづら
)
をして
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
に
何事
(
なにごと
)
も
指揮
(
しき
)
命令
(
めいれい
)
する
特権
(
とくけん
)
を
与
(
あた
)
へられたのは、
111
チツと
合点
(
がつてん
)
がゆかぬぢやないか。
112
何程
(
なにほど
)
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
かは
知
(
し
)
らぬが、
113
吾々
(
われわれ
)
の
見
(
み
)
る
所
(
ところ
)
では、
114
何一
(
なにひと
)
つ
是
(
こ
)
れと
云
(
い
)
ふ
手柄
(
てがら
)
をした
様
(
やう
)
にもなし、
115
半泥
(
はんどろ
)
的
(
てき
)
の
友彦
(
ともひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
供
(
とも
)
をして
来
(
き
)
た
平信者
(
ひらしんじや
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
116
出世
(
しゆつせ
)
すると
云
(
い
)
つてもあんまりぢやないか。
117
レコード
破
(
やぶ
)
りと
言
(
い
)
はうか、
118
破天荒
(
はてんくわう
)
と
言
(
い
)
はうか、
119
譬方
(
たとへがた
)
の
無
(
な
)
い
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
のやり
口
(
くち
)
、
120
人
(
ひと
)
も
有
(
あ
)
らうに、
121
清公
(
きよこう
)
の
様
(
やう
)
な
若輩
(
わかざう
)
に、
122
あれ
丈
(
だけ
)
の
重任
(
ぢうにん
)
を
御
(
お
)
負
(
お
)
はし
遊
(
あそ
)
ばしたのは、
123
如何
(
どう
)
考
(
かんが
)
へても
合点
(
がつてん
)
の
虫
(
むし
)
が
承認
(
しようにん
)
して
呉
(
く
)
れないよ。
124
それ
程
(
ほど
)
賢
(
かしこ
)
い
人間
(
にんげん
)
でもなし、
125
どつちかと
云
(
い
)
へば、
126
チツと
許
(
ばか
)
り
落
(
おと
)
して
来
(
き
)
た
様
(
やう
)
な
代物
(
しろもの
)
ぢやないか』
127
チヤンキー『さうだからお
筆先
(
ふでさき
)
に……
阿呆
(
あほう
)
になりて
居
(
を
)
りて
下
(
くだ
)
されよ。
128
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
は
悧巧
(
りかう
)
を
出
(
だ
)
すと
失敗
(
しくじ
)
るぞよ。
129
他人
(
ひと
)
が
出世
(
しゆつせ
)
を
致
(
いた
)
したと
云
(
い
)
うて
嫉
(
ねた
)
むでないぞよ。
130
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
丈
(
だけ
)
の
御用
(
ごよう
)
がさせてあるのだから……とお
示
(
しめ
)
しになつてるぢやないか』
131
スマートボール『それに……まだまだ
業
(
ごふ
)
の
沸
(
わ
)
く
事
(
こと
)
がある……と
云
(
い
)
ふのは
噂
(
うはさ
)
にチラツと
聞
(
き
)
けば、
132
天下
(
てんか
)
無双
(
むさう
)
のネース
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまを
女房
(
にようばう
)
に
貰
(
もら
)
ひ、
133
ブランジー(国主)、
134
クロンバー(国妃)の
夫婦
(
ふうふ
)
が
後釜
(
あとがま
)
になると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だが、
135
それが
実際
(
じつさい
)
とすれば、
136
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
ア
馬鹿
(
ばか
)
らしくて、
137
ジツとして
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なくなつて
了
(
しま
)
ふ。
138
其
(
その
)
時
(
とき
)
にや
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
如何
(
どう
)
考
(
かんが
)
へるか』
139
チヤンキー『アハヽヽヽ、
140
又
(
また
)
人
(
ひと
)
の
疝気
(
せんき
)
を
頭痛
(
づつう
)
に
病
(
や
)
んで
居
(
ゐ
)
よるな。
141
実際
(
じつさい
)
の
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
へば、
142
貴様
(
きさま
)
宇豆姫
(
うづひめ
)
に
大変
(
たいへん
)
な
執着心
(
しふちやくしん
)
を
懸
(
か
)
けて
居
(
を
)
るのだらう。
143
チツと
妬
(
や
)
けとると
見
(
み
)
えて、
144
酢
(
す
)
につけ
味噌
(
みそ
)
につけ
因縁
(
いんねん
)
を
附
(
つ
)
けるのだなア。
145
……
何時
(
いつ
)
やらの
月
(
つき
)
の
輝
(
かがや
)
く
夜
(
よる
)
の
事
(
こと
)
、
146
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまが
庭園
(
ていゑん
)
を
天女
(
てんによ
)
の
様
(
やう
)
なお
姿
(
すがた
)
で、
147
スラリスラリと
木蔭
(
こかげ
)
を
逍遥
(
さまよ
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばした
時
(
とき
)
、
148
貴様
(
きさま
)
は
差足
(
さしあし
)
、
149
抜足
(
ぬきあし
)
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
から
近寄
(
ちかよ
)
つて、
150
電話姫
(
でんわひめ
)
の
様
(
やう
)
に……モシモシと
吐
(
ぬか
)
した
処
(
ところ
)
、
151
宇豆姫
(
うづひめ
)
様
(
さま
)
にエツパツパを
喰
(
く
)
はされ……サーチライス、
152
ユーリンスユーリンスと
謝罪
(
あやま
)
つて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
したと
云
(
い
)
ふ
専
(
もつぱ
)
らの
評判
(
ひやうばん
)
だよ。
153
其
(
その
)
時
(
とき
)
のエツパツパの
肱鉄
(
ひぢてつ
)
を
根
(
ね
)
に
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだらう』
154
スマートボールは
顔
(
かほ
)
赭
(
あか
)
らめ、
155
俯
(
うつ
)
むいて
黙
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
156
モンキー『アハヽヽヽ、
157
ヤツパリ……さうすると、
158
火
(
ひ
)
の
無
(
な
)
い
所
(
ところ
)
に
煙
(
けぶり
)
は
立
(
た
)
たぬ。
159
何時
(
いつ
)
も……
女
(
をんな
)
なんか
汚
(
けが
)
らはしい……と
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
な
面付
(
つらつき
)
をして、
160
スマ
ーして
御座
(
ござ
)
るスマートボールさんも、
161
ヤツパり
気
(
き
)
があるのかなア。
162
恋
(
こひ
)
に
上下
(
じやうげ
)
の
隔
(
へだ
)
てないとはよく
言
(
い
)
つたものだ』
163
スマートボール『
馬鹿
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふな。
164
それや
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
ぢやない。
165
鶴公
(
つるこう
)
の
事
(
こと
)
だ。
166
……
鶴公
(
つるこう
)
がなア、
167
性懲
(
しやうこ
)
りもなく
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまのお
臀
(
いど
)
を
嗅
(
か
)
ぎ
廻
(
まは
)
り、
168
幾回
(
いくくわい
)
となくエツパツパ エツパツパを
喰
(
くら
)
ひ、
169
悲観
(
ひくわん
)
の
極
(
きよく
)
、
170
失恋病
(
しつれんびやう
)
に
罹
(
かか
)
り、
171
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
で
人
(
ひと
)
知
(
し
)
れず
首
(
くび
)
を
ツル
公
(
こう
)
とやりかけた
処
(
ところ
)
、
172
此
(
この
)
様子
(
やうす
)
を
物蔭
(
ものかげ
)
より
見
(
み
)
すまして
居
(
ゐ
)
たスマートボール……ヘン
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
矢庭
(
やには
)
に
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
駆出
(
かけい
)
で、
173
プリンプリンの
最中
(
さいちう
)
をギユツと
下
(
した
)
から
抱
(
だ
)
きあげ、
174
……
如何
(
いか
)
に
鶴
(
つる
)
さまだとて、
175
首
(
くび
)
をツルと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
有
(
あ
)
るかい、
176
マア
待
(
ま
)
て、
177
死
(
し
)
は
一旦
(
いつたん
)
にして
易
(
やす
)
く、
178
生
(
せい
)
は
難
(
かた
)
しだ。
179
キツと
俺
(
おれ
)
がお
前
(
まへ
)
の
願望
(
ぐわんばう
)
を
叶
(
かな
)
へ
指
(
さ
)
してやるから……と
云
(
い
)
つて
慰
(
なぐさ
)
め、
180
漸
(
やうや
)
くボールス(
自殺
(
じさつ
)
)を
中止
(
ちゆうし
)
させたのだ。
181
其
(
その
)
責任
(
せきにん
)
上
(
じやう
)
俺
(
おれ
)
は
如何
(
どう
)
しても
清公
(
きよこう
)
の
縁談
(
えんだん
)
に
水
(
みづ
)
を
注
(
さ
)
し、
182
鶴公
(
つるこう
)
の
女房
(
にようばう
)
に
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまをせなくては、
183
一旦
(
いつたん
)
男
(
をとこ
)
の
口
(
くち
)
から
吐
(
は
)
いた
唾
(
つば
)
を
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
む
訳
(
わけ
)
にはゆかぬ。
184
それ
故
(
ゆゑ
)
昼夜
(
ちうや
)
肺肝
(
はいかん
)
を
砕
(
くだ
)
き、
185
何
(
なん
)
とかして
鶴公
(
つるこう
)
の
恋
(
こひ
)
を
叶
(
かな
)
へさせてやりたいと、
186
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまの
間近
(
まぢか
)
く
寄
(
よ
)
つて、
187
機会
(
きくわい
)
ある
毎
(
ごと
)
に
掻
(
か
)
き
口説
(
くど
)
いて
居
(
ゐ
)
るのだ。
188
それを
心
(
こころ
)
なき
没分暁漢
(
わからずや
)
の
連中
(
れんちう
)
が、
189
俺
(
おれ
)
が
姫
(
ひめ
)
さんにスヰートハートして
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
に
誤解
(
ごかい
)
して、
190
下
(
くだ
)
らぬ
根無
(
ねな
)
し
草
(
ぐさ
)
の
噂
(
うはさ
)
の
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
かして
居
(
ゐ
)
るのだ。
191
諺
(
ことわざ
)
にも……
人
(
ひと
)
の
口
(
くち
)
に
戸
(
と
)
は
閉
(
た
)
てられない……と
云
(
い
)
つて、
192
一々
(
いちいち
)
俺
(
おれ
)
がそんな
弁解
(
べんかい
)
に
廻
(
まは
)
る
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
193
千万
(
せんまん
)
無量
(
むりやう
)
の
俺
(
おれ
)
の
心中
(
しんちう
)
を、
194
チツとは
察
(
さつ
)
して
くれ
の
鐘
(
かね
)
だ。
195
烏
(
からす
)
はカアカアと
啼
(
な
)
いて
塒
(
ねぐら
)
を
定
(
さだ
)
め、
196
夫婦
(
ふうふ
)
睦
(
むつ
)
まじく
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
るに、
197
鶴公
(
つるこう
)
の
やもを
鳥
(
どり
)
、
198
宇豆姫
(
うづひめ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
つて
心
(
こころ
)
を
ウヅ
ウヅさせ
乍
(
なが
)
ら……アーア
夏
(
なつ
)
の
夜
(
よ
)
も
蚤
(
のみ
)
はせせり、
199
蚊
(
か
)
が
喰
(
く
)
つて
寝
(
ね
)
られないワイ……と
歎息
(
たんそく
)
して
居
(
ゐ
)
るのを
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すと、
200
俺
(
おれ
)
だとてそれが
袖手
(
しうしゆ
)
傍観
(
ばうくわん
)
出来
(
でき
)
るものか。
201
早
(
はや
)
く
鶴公
(
つるこう
)
さまの
恋
(
こひ
)
をかなへさせて、
202
夫婦
(
ふうふ
)
睦
(
むつま
)
じく
卵子
(
たまご
)
を
生
(
う
)
み、
203
川
(
かは
)
と
云
(
い
)
ふ
字
(
じ
)
に
寝
(
ね
)
さしたいのだがそれや
将来
(
さき
)
の
事
(
こと
)
として、
204
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
リ
の
字
(
じ
)
にさしてやりたい
俺
(
おれ
)
の
一念
(
いちねん
)
。
205
……アーア
待
(
ま
)
つ
間
(
ま
)
の
長
(
なが
)
き
鶴公
(
つるこう
)
の
首
(
くび
)
、
206
千歳
(
ちとせ
)
の
松
(
まつ
)
の
末永
(
すえなが
)
く、
207
梢
(
こずゑ
)
に
巣籠
(
すごも
)
る
尉
(
じやう
)
と
姥
(
うば
)
との、
208
高砂
(
たかさご
)
の
謡曲
(
うたひ
)
が
早
(
はや
)
く
聞
(
き
)
きたいので
尽力
(
じんりよく
)
して
居
(
ゐ
)
るのだよ』
209
と
心配
(
しんぱい
)
さうに
俯
(
うつ
)
むく
其
(
その
)
様子
(
やうす
)
、
210
冗談
(
ぜうだん
)
とも
思
(
おも
)
はれなかつた。
211
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
貫州
(
くわんしう
)
、
212
武公
(
たけこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
現
(
あらは
)
れ
来
(
きた
)
り、
213
貫州
(
くわんしう
)
『ヤア
御
(
ご
)
連中
(
れんちう
)
、
214
何
(
なに
)
か
面白
(
おもしろ
)
いお
話
(
はなし
)
でも
有
(
あ
)
りますかなア』
215
チヤンキー『
今
(
いま
)
チヤンキー モンキーと、
216
スマートボールのローマンスを
遺憾
(
ゐかん
)
なく
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
き
指
(
ゆび
)
を
銜
(
くは
)
へて
居
(
ゐ
)
た
処
(
ところ
)
なのだ。
217
……
貫州
(
くわんしう
)
さま、
218
お
前
(
まへ
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
清公
(
きよこう
)
の
横柄振
(
わうへいぶり
)
を
何
(
なん
)
と
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
るか』
219
貫州
(
くわんしう
)
、
220
稍
(
やや
)
仰向
(
あふむ
)
き
気味
(
ぎみ
)
になり『フ、
221
フーン』と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
222
力
(
ちから
)
無
(
な
)
げに
笑
(
わら
)
ふ。
223
武公
(
たけこう
)
『イヤもう
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
の
清公
(
きよこう
)
の
態度
(
たいど
)
と
云
(
い
)
つたら、
224
さつぱり、
225
ブランジー
気分
(
きぶん
)
になり、
226
クロンバーを
得
(
え
)
むとして、
227
種々
(
いろいろ
)
と
暗中
(
あんちう
)
飛躍
(
ひやく
)
を
試
(
こころ
)
みて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
228
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
到底
(
たうてい
)
物
(
もの
)
にはなるまいよ。
229
アハヽヽヽ』
230
貫州
(
くわんしう
)
『そんな
問題
(
もんだい
)
は
如何
(
どう
)
でもよい。
231
国家
(
こくか
)
興亡
(
こうばう
)
に
関
(
くわん
)
する
大問題
(
だいもんだい
)
が
今
(
いま
)
別
(
べつ
)
に
突発
(
とつぱつ
)
して
居
(
ゐ
)
るのだが、
232
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
るか』
233
スマートボール『
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
らいでかい。
234
鶴公
(
つるこう
)
を
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
夫
(
をつと
)
に
推薦
(
すいせん
)
すると
云
(
い
)
ふ
大問題
(
だいもんだい
)
だらう。
235
……
併
(
しか
)
し
其奴
(
そいつ
)
は
駄目
(
だめ
)
だから、
236
せめて
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまの
婿
(
むこ
)
にしてやりたいと
思
(
おも
)
つて、
237
昼夜
(
ちうや
)
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
いて
居
(
を
)
るのだ。
238
併
(
しか
)
し
清公
(
きよこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
239
どうやら
予約済
(
よやくずみ
)
の
札
(
ふだ
)
を
掛
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
だから、
240
此奴
(
こいつ
)
もならず、
241
実
(
じつ
)
に
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
意
(
い
)
の
如
(
ごと
)
くならないものだ。
242
何
(
なに
)
か
良
(
よ
)
い
智慧
(
ちゑ
)
を
貸
(
か
)
して
呉
(
く
)
れないかネー』
243
貫州
(
くわんしう
)
『そんな
事
(
こと
)
が
国家
(
こくか
)
興亡
(
こうばう
)
の
問題
(
もんだい
)
かい。
244
あゝ
貴様
(
きさま
)
も
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
る
通
(
とほ
)
り、
245
鼻赤
(
はなあか
)
の
友彦
(
ともひこ
)
の
奴
(
やつ
)
、
246
ネルソン
山
(
ざん
)
を
西
(
にし
)
へ
渉
(
わた
)
り、
247
ジヤンナイ(治安内)
教
(
けう
)
のテールス(照子)
姫
(
ひめ
)
の
夫
(
をつと
)
となり、
248
大変
(
たいへん
)
な
勢
(
いきほひ
)
でオーストラリヤの
西部
(
せいぶ
)
一帯
(
いつたい
)
を
勢力
(
せいりよく
)
範囲
(
はんゐ
)
となし、
249
今
(
いま
)
に
軍備
(
ぐんび
)
を
整
(
ととの
)
へて
此
(
この
)
地恩城
(
ちおんじやう
)
へ
鬼
(
おに
)
の
様
(
やう
)
な
荒武者
(
あらむしや
)
を
引率
(
いんそつ
)
し、
250
やつて
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふ
噂
(
うはさ
)
があるのだ。
251
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
も
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
る
通
(
とほ
)
り、
252
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
は
元
(
もと
)
は
友彦
(
ともひこ
)
の
女房
(
にようばう
)
だつたが、
253
地恩郷
(
ちおんきやう
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
に
打
(
ぶ
)
ち
のめ
され、
254
城外
(
じやうぐわい
)
に
担
(
かつ
)
ぎ
出
(
だ
)
された
其
(
その
)
無念
(
むねん
)
を
晴
(
は
)
らすべく、
255
一挙
(
いつきよ
)
に
当城
(
たうじやう
)
へ
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せ、
256
否応
(
いやおう
)
言
(
い
)
はさず、
257
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
に
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
がせ
改
(
あらた
)
めて
友彦
(
ともひこ
)
の
第二
(
だいに
)
夫人
(
ふじん
)
になるか
如何
(
どう
)
だと、
258
大変
(
たいへん
)
な
威喝
(
ゐかつ
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
で
蹂躙
(
じうりん
)
すると
云
(
い
)
ふ
計画
(
けいくわく
)
オサオサ
怠
(
をこた
)
りなしとのこと。
259
吾々
(
われわれ
)
は
斯
(
か
)
うしてジツとして
居
(
ゐ
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬ。
260
婦人
(
ふじん
)
問題
(
もんだい
)
などの
気楽
(
きらく
)
な
話
(
はなし
)
に
没頭
(
ぼつとう
)
して
居
(
を
)
る
時
(
とき
)
ぢやない。
261
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
内輪
(
うちわ
)
を
固
(
かた
)
めなくては、
262
外敵
(
ぐわいてき
)
に
当
(
あた
)
る
事
(
こと
)
は
不可能
(
ふかのう
)
だ。
263
地恩城
(
ちおんじやう
)
には
清公派
(
きよこうは
)
と
鶴公派
(
つるこうは
)
が
互
(
たがひ
)
に
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
り、
264
内争
(
ないさう
)
絶間
(
たえま
)
なく、
265
如何
(
どう
)
して
此
(
この
)
城
(
しろ
)
が
持
(
も
)
てるものか。
266
兄弟
(
けいてい
)
垣
(
かき
)
に
鬩
(
せめ
)
ぐとも、
267
外
(
そと
)
其
(
その
)
侮
(
あなど
)
りを
防
(
ふせ
)
ぐと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるから。
268
サア
皆
(
みんな
)
一致
(
いつち
)
和合
(
わがふ
)
して、
269
今迄
(
いままで
)
の
態度
(
たいど
)
をスツカリ
改
(
あらた
)
めて
貰
(
もら
)
ひたいものだよ』
270
スマートボール『それが
又
(
また
)
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
だよ。
271
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
よ、
272
夜中
(
よるぢう
)
夫婦
(
ふうふ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
許
(
ばか
)
りして
居
(
ゐ
)
る
家
(
うち
)
には
泥棒
(
どろばう
)
も
這入
(
はい
)
らない。
273
互
(
たがひ
)
に
軋轢
(
あつれき
)
して
力比
(
ちからくら
)
べをし、
274
今
(
いま
)
の
今迄
(
いままで
)
演習
(
えんしふ
)
をして
置
(
お
)
くのだ。
275
力士
(
すまうとり
)
だつてさうぢやないか。
276
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
稽古
(
けいこ
)
と
云
(
い
)
つて
挑
(
いど
)
み
闘
(
たたか
)
ひ、
277
其
(
その
)
間
(
うち
)
に
天晴
(
あつぱ
)
れと
力
(
ちから
)
が
付
(
つ
)
いて
晴
(
は
)
れの
場所
(
ばしよ
)
で
格闘
(
かくとう
)
すると
云
(
い
)
ふ
段取
(
だんど
)
りになるのだ。
278
友彦
(
ともひこ
)
が
門前
(
もんぜん
)
まで
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
るを
待
(
ま
)
ちて、
279
協力
(
けふりよく
)
一致
(
いつち
)
すれば
良
(
い
)
いのだよ。
280
サアサア モツトモツト
内乱
(
ないらん
)
を
奨励
(
しやうれい
)
せなくちや
本当
(
ほんたう
)
の
勇士
(
ゆうし
)
は
造
(
つく
)
れないワ。
281
アハヽヽヽ』
282
と
笑
(
わら
)
ひに
紛
(
まぎ
)
らす。
283
此処
(
ここ
)
へ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
稍
(
やや
)
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
284
ヒヨコヒヨコやつて
来
(
き
)
て、
285
蜈蚣姫
『お
前
(
まへ
)
はスマートボールに
貫州
(
くわんしう
)
、
286
武公
(
たけこう
)
、
287
チヤンキー、
288
モンキーの
頭株
(
あたまかぶ
)
ぢやないか。
289
今
(
いま
)
……
金
(
きん
)
、
290
銀
(
ぎん
)
、
291
鉄
(
てつ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
注進
(
ちゆうしん
)
に
依
(
よ
)
れば、
292
鼻曲
(
はなまが
)
りの
意地
(
いぢ
)
クネの
悪
(
わる
)
い
友彦
(
ともひこ
)
が、
293
ジヤンナイ
教
(
けう
)
の
荒
(
あら
)
くれ
男
(
をとこ
)
を
率
(
ひき
)
ゐ、
294
当城
(
たうじやう
)
へ
攻
(
せ
)
めて
来
(
く
)
るとの
急報
(
きふはう
)
……サア
早
(
はや
)
く
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
をせなくてはなりますまい』
295
スマートボール『
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
、
296
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
本城
(
ほんじやう
)
に
防戦
(
ばうせん
)
とは
心得
(
こころえ
)
ませぬ。
297
武器
(
ぶき
)
と
云
(
い
)
つては
寸鉄
(
すんてつ
)
もなく、
298
如何
(
どう
)
したら
良
(
い
)
いのですか』
299
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『サア
其
(
その
)
防戦
(
ばうせん
)
は
善戦
(
ぜんせん
)
善闘
(
ぜんとう
)
だ。
300
本城
(
ほんじやう
)
へ
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
らぬ
間
(
うち
)
に、
301
ネルソン
山
(
ざん
)
の
山麓
(
さんろく
)
に、
302
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
ただ
)
して
友彦
(
ともひこ
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
を
待受
(
まちう
)
け、
303
所在
(
あらゆる
)
款待
(
くわんたい
)
をするのだ。
304
さうして
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
忍耐振
(
にんたいぶり
)
と
親切振
(
しんせつぶり
)
を
発揮
(
はつき
)
する。
305
これが
第一
(
だいいち
)
の
味方
(
みかた
)
の
神法
(
しんぱふ
)
鬼策
(
きさく
)
、
306
六韜
(
りくたう
)
三略
(
さんりやく
)
の
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
だ。
307
さうだと
云
(
い
)
つて、
308
決
(
けつ
)
して
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
を
弄
(
ろう
)
するのではない。
309
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
実弾
(
じつだん
)
をこめて、
310
誠
(
まこと
)
を
以
(
もつ
)
て
戦
(
たたか
)
ふのだよ。
311
分
(
わか
)
つたか』
312
スマートボール『ハイ、
313
根
(
ね
)
つから……よく
分
(
わか
)
りました』
314
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『
何
(
なん
)
だか
歯切
(
はぎ
)
れのせぬ
返答
(
へんたふ
)
ぢやないか』
315
スマートボール『
返答
(
へんたふ
)
だか、
316
弁当
(
べんたう
)
だか、
317
テントウ
様
(
さま
)
だか、
318
テンと
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
りませぬワイ。
319
先方
(
むかう
)
は
吾々
(
われわれ
)
を
殺
(
ころ
)
しに
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふ、
320
此方
(
こちら
)
は
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
の
弁当
(
べんたう
)
を
拵
(
こしら
)
へて
歓迎
(
くわんげい
)
せよと
仰有
(
おつしや
)
る。
321
ベントウ
とか
天道
(
てんだう
)
とかは、
322
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
さぬとか…
殺
(
ころ
)
すとか
云
(
い
)
ふぢやありませぬか』
323
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『オホヽヽヽ、
324
何
(
なん
)
でも
良
(
い
)
い。
325
お
前
(
まへ
)
ではチツと
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
り
兼
(
か
)
ねるに
依
(
よ
)
つて、
326
貫州
(
くわんしう
)
、
327
武公
(
たけこう
)
、
328
チヤンキー、
329
モンキー
等
(
ら
)
の
大将株
(
たいしやうかぶ
)
と
相談
(
さうだん
)
して、
330
最善
(
さいぜん
)
の
方法
(
はうはふ
)
を
講
(
かう
)
じて
下
(
くだ
)
さい。
331
妾
(
わし
)
は
是
(
こ
)
れから
神殿
(
しんでん
)
へ
参
(
まゐ
)
つて
御
(
ご
)
祈念
(
きねん
)
を
致
(
いた
)
すから、
332
周章
(
あわ
)
てず
騒
(
さわ
)
がず、
333
静
(
しづか
)
に
急
(
いそ
)
いで
準備
(
じゆんび
)
をするがよからうぞや』
334
スマートボール『
徐
(
しづ
)
かに
急
(
いそ
)
げとは
尚々
(
なほなほ
)
以
(
もつ
)
て
不得
(
ふとく
)
要領
(
えうりやう
)
だ。
335
寝
(
ね
)
て
走
(
はし
)
れ、
336
目噛
(
めか
)
んで
死
(
し
)
ね、
337
睾丸
(
きんたま
)
銜
(
くは
)
へて
背伸
(
せの
)
びせいと
云
(
い
)
つた
様
(
やう
)
な
御
(
ご
)
註文
(
ちゆうもん
)
ですなア』
338
チヤンキー『
御
(
ご
)
チウモンも
表門
(
おもてもん
)
もあつたものかい。
339
……モシモシ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
、
340
チヤンとチヤンキーが
胸
(
むね
)
に
御座
(
ござ
)
いますれば、
341
どうぞ
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なくお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
342
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『そんなら
是
(
こ
)
れでお
別
(
わか
)
れする。
343
よきに
取計
(
とりはか
)
らひなされ』
344
と
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め、
345
蝦
(
えび
)
の
様
(
やう
)
になつた
腰
(
こし
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
346
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
『エーエ、
347
人
(
ひと
)
を
使
(
つか
)
へば
苦
(
く
)
を
使
(
つか
)
ふ』
348
と
呟
(
つぶや
)
きつつ
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
349
スマートボール『
訳
(
わけ
)
も
知
(
し
)
らずにチヤンキー モンキーと
雀
(
すずめ
)
の
親方
(
おやかた
)
見
(
み
)
たいに、
350
チヤアチヤア
吐
(
ぬか
)
すな。
351
鶏
(
にはとり
)
は
跣足
(
はだし
)
だ。
352
モンキー、
353
馬
(
うま
)
は
大
(
おほ
)
きくてもフリマラだよ。
354
アハヽヽヽ』
355
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
威風
(
ゐふう
)
堂々
(
だうだう
)
として
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はら
)
ひ、
356
二三
(
にさん
)
の
従者
(
じゆうしや
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
357
現
(
あらは
)
れて
来
(
き
)
た
清公
(
きよこう
)
、
358
清公
『ヨー、
359
スマートボール
其
(
その
)
他
(
た
)
の
役員
(
やくゐん
)
さま、
360
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
しました。
361
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
から
一応
(
いちおう
)
お
聞
(
き
)
きでせうが、
362
あなた
方
(
がた
)
は
其
(
その
)
準備
(
じゆんび
)
を
早
(
はや
)
くして
貰
(
もら
)
はねばなりませぬ』
363
スマートボール『ハイ
先
(
ま
)
づ
内
(
うち
)
を
固
(
かた
)
めて
外
(
そと
)
に
向
(
むか
)
ふのが
順当
(
じゆんたう
)
でせう。
364
外部
(
ぐわいぶ
)
の
敵
(
てき
)
は、
365
駆逐
(
くちく
)
する
事
(
こと
)
は
何
(
なん
)
でもありませぬが、
366
先
(
ま
)
づ
内部
(
ないぶ
)
の
敵
(
てき
)
から
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
せ、
367
其
(
その
)
上
(
うへ
)
の
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませうかい』
368
清公
(
きよこう
)
『コレだけよく
治
(
をさ
)
まつた
地恩城
(
ちおんじやう
)
に
内紊
(
ないふん
)
のあらう
道理
(
だうり
)
がない。
369
それや
又
(
また
)
如何
(
どう
)
した
訳
(
わけ
)
でそんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふのですか』
370
スマートボール『
只今
(
ただいま
)
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
俄宰相
(
にはかさいしやう
)
清公
(
きよこう
)
のブランジーに
対
(
たい
)
し、
371
挙国
(
きよこく
)
一致
(
いつち
)
的
(
てき
)
強敵
(
きやうてき
)
が
現
(
あら
)
はれ
居
(
ゐ
)
ますぞ』
372
清公
(
きよこう
)
『
其
(
その
)
敵
(
てき
)
と
云
(
い
)
ふのは
誰
(
たれ
)
ですか』
373
スマートボール『
其
(
その
)
敵
(
てき
)
は
本能寺
(
ほんのうじ
)
にあり。
374
汝
(
なんぢ
)
の
敵
(
てき
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
心
(
こころ
)
に
潜
(
ひそ
)
む。
375
先
(
ま
)
づ
清公
(
きよこう
)
さまのブランジー
気分
(
きぶん
)
を
撤廃
(
てつぱい
)
し、
376
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
開放
(
かいはう
)
なさらなくては、
377
内部
(
ないぶ
)
の
敵
(
てき
)
も
外部
(
ぐわいぶ
)
の
魔軍
(
まぐん
)
も、
378
如何
(
いかん
)
ともする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ますまい。
379
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
から
条件
(
でうけん
)
を
提出
(
ていしゆつ
)
致
(
いた
)
しますから、
380
御
(
ご
)
採用
(
さいよう
)
になるかならぬか
知
(
し
)
りませぬが、
381
其
(
その
)
上
(
うへ
)
で
吾々
(
われわれ
)
は
決心
(
けつしん
)
を
定
(
き
)
めませう。
382
……
貫州
(
くわんしう
)
、
383
武公
(
たけこう
)
さま、
384
サア
是
(
これ
)
から
君
(
きみ
)
が
特命
(
とくめい
)
全権
(
ぜんけん
)
公使
(
こうし
)
だ。
385
早
(
はや
)
く
談判
(
だんぱん
)
の
口火
(
くちび
)
をお
切
(
き
)
りなさい』
386
貫州
(
くわんしう
)
『
清公
(
きよこう
)
のブランジーさまに
質問
(
しつもん
)
があります。
387
お
前
(
まへ
)
さまは
謙遜
(
けんそん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
ますか。
388
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
は
如何
(
どう
)
御
(
ご
)
解釈
(
かいしやく
)
になつて
居
(
を
)
りますか。
389
言心行
(
げんしんかう
)
一致
(
いつち
)
の
実
(
じつ
)
をお
示
(
しめ
)
し
下
(
くだ
)
さらなくては、
390
吾々
(
われわれ
)
は
去就
(
きよしう
)
を
決
(
けつ
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませぬ。
391
斯
(
か
)
う
言
(
い
)
へば
表
(
おもて
)
だつて
議案
(
ぎあん
)
を
提出
(
ていしゆつ
)
せなくても、
392
一
(
いち
)
を
聞
(
き
)
いたら
十
(
じふ
)
を
覚
(
さと
)
る
鋭敏
(
えいびん
)
な
頭脳
(
づなう
)
の
持主
(
もちぬし
)
と、
393
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
信任
(
しんにん
)
遊
(
あそ
)
ばした
貴方
(
あなた
)
だから、
394
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
お
分
(
わか
)
りでせう』
395
清公
(
きよこう
)
『さう
突然
(
とつぜん
)
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
はれても
返答
(
へんたふ
)
の
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
396
吾々
(
われわれ
)
の
施政
(
しせい
)
方針
(
はうしん
)
にあなた
方
(
がた
)
の
御意
(
ぎよい
)
に
召
(
め
)
さぬ
欠点
(
けつてん
)
が
有
(
あ
)
ると
云
(
い
)
ふのですか』
397
チヤンキー『
有
(
あ
)
る
有
(
あ
)
る、
398
大
(
おほ
)
有
(
あ
)
りだ。
399
大
(
おほ
)
あり
大根
(
だいこん
)
で
胴体
(
どうたい
)
ばつかり
大
(
おほ
)
きくても
味
(
あぢ
)
もシヤシヤリも…ないじやくりだ。
400
それだから
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
清公
(
きよこう
)
さまには、
401
キヨ
う
交際
(
つきあひ
)
は
出
(
で
)
けぬと
此処
(
ここ
)
に
居
(
ゐ
)
る
御
(
ご
)
連中
(
れんちう
)
が
不平
(
こぼ
)
して
居
(
ゐ
)
ましたぞや。
402
チツと
重
(
おも
)
しをかけて、
403
糠味噌
(
ぬかみそ
)
の
中
(
なか
)
へ
突込
(
つつこ
)
んでやらねば、
404
良
(
い
)
い
味
(
あぢ
)
は
出
(
で
)
なからうと
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
405
重
(
おも
)
りが
重
(
おも
)
い
程
(
ほど
)
圧迫
(
あつぱく
)
が
強
(
つよ
)
くて
漬物
(
つけもの
)
の
味
(
あぢ
)
がよくなると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
406
吾々
(
われわれ
)
が
尾張
(
をはり
)
大根
(
だいこん
)
の
重
(
おも
)
り
石
(
いし
)
にならうと
相談
(
さうだん
)
をして
居
(
を
)
つた
最中
(
さいちう
)
だ。
407
……ナア、
408
モンキー、
409
間違
(
まちがひ
)
あるまい』
410
モンキー『
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが、
411
エライ
人気
(
にんき
)
だ。
412
あつちにも、
413
こつちにも、
414
チヤンキー モンキーと
清公
(
きよこう
)
さまの
不信任
(
ふしんにん
)
問題
(
もんだい
)
が
喧伝
(
けんでん
)
されて
居
(
ゐ
)
る。
415
先
(
ま
)
づ
是
(
これ
)
から
先
(
さき
)
へ
解決
(
かいけつ
)
を
付
(
つ
)
けて
貰
(
もら
)
ひませうかい。
416
解決
(
かいけつ
)
と
云
(
い
)
つても、
417
股
(
また
)
にキネ
糞
(
くそ
)
を
挟
(
はさ
)
んで
立派
(
りつぱ
)
な
礼服
(
れいふく
)
を
着
(
ちやく
)
し、
418
座敷
(
ざしき
)
の
正中
(
まんなか
)
に
坐
(
すわ
)
り
込
(
こ
)
み、
419
立
(
た
)
ちもならず
動
(
うご
)
きもならぬ
様
(
やう
)
な、
420
蛇
(
くちなは
)
の
生殺
(
なまごろ
)
しの
様
(
やう
)
な
解決
(
かいけつ
)
では、
421
此
(
この
)
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
422
駄目
(
だめ
)
ですよ。
423
流
(
なが
)
れ
川
(
がは
)
に
尻
(
けつ
)
を
洗
(
あら
)
つた
様
(
やう
)
に、
424
綺麗
(
きれい
)
サツパリと、
425
川
(
かは
)
の
流
(
なが
)
れの
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまを
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて、
426
鶴公
(
つるこう
)
さまの
女房
(
にようばう
)
となし、
427
お
前
(
まへ
)
さまは
鶴
(
つる
)
さまに
代
(
かは
)
つて、
428
裏
(
うら
)
の
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
でブランジーとぶら
下
(
さが
)
らうと、
429
それや
御
(
ご
)
自由
(
じいう
)
だ。
430
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
鶴公
(
つるこう
)
さまが
宇豆姫
(
うづひめ
)
にエツパツパを
喰
(
く
)
はされ、
431
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
でブランコをやりかけた
位
(
くらゐ
)
だから、
432
友人
(
いうじん
)
を
思
(
おも
)
ふ
真心
(
まごころ
)
があるならば、
433
自分
(
じぶん
)
の
愛
(
あい
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
として、
434
信任
(
しんにん
)
深
(
ふか
)
き
鶴
(
つる
)
さまにラバーを
譲
(
ゆづ
)
つてやりなさい。
435
是
(
これ
)
が
先決
(
せんけつ
)
問題
(
もんだい
)
だ。
436
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると、
437
鶴
(
つる
)
さまの
恋
(
こひ
)
は
九寸
(
くすん
)
五分
(
ごぶ
)
式
(
しき
)
だから、
438
センケツ
、
439
リンリ
問題
(
もんだい
)
が
突発
(
とつぱつ
)
するかも
知
(
し
)
れない。
440
……アーアあちら
立
(
た
)
てれば
此方
(
こちら
)
が
立
(
た
)
たず、
441
両方
(
りやうはう
)
立
(
た
)
てれば
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまが
立
(
た
)
たず、
442
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
に
行
(
ゆ
)
かぬものだ。
443
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
清公
(
きよこう
)
さま、
444
大
(
だい
)
勇猛心
(
ゆうまうしん
)
を
発揮
(
はつき
)
し、
445
一皮
(
ひとかは
)
剥
(
む
)
いたら、
446
誰
(
たれ
)
しも
髑髏
(
しやれこうべ
)
の
みつとも
ない
肉体
(
にくたい
)
計
(
ばか
)
りだから、
447
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまの
事
(
こと
)
をスツカリ
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つて、
448
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
にそれ
丈
(
だけ
)
の
決断力
(
けつだんりよく
)
を、
449
今
(
いま
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
で
発揮
(
はつき
)
して
貰
(
もら
)
ひませう』
450
清公
(
きよこう
)
、
451
俯
(
うつ
)
むいて『ムニヤムニヤムニヤ』
452
スマートボールは、
453
スマートボール
『
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
、
454
唯
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
の
御
(
ご
)
返答
(
へんたふ
)
もなきは、
455
不承諾
(
ふしようだく
)
と
見
(
み
)
えます。
456
それならば
其
(
そ
)
れで
宜
(
よろ
)
しい。
457
吾々
(
われわれ
)
も
共同
(
きようどう
)
一致
(
いつち
)
的
(
てき
)
に
不承諾
(
ふしようだく
)
だ。
458
……コレ
清公
(
きよこう
)
さま、
459
大勢
(
おほぜい
)
と
一人
(
ひとり
)
には
換
(
か
)
へられませぬから、
460
どうぞ
早
(
はや
)
く
城
(
しろ
)
を
明
(
あ
)
け
渡
(
わた
)
し、
461
陣引
(
ぢんび
)
きをなされませ。
462
其
(
その
)
後
(
あと
)
は
鶴公
(
つるこう
)
さまがブランジーとなつて、
463
地恩城
(
ちおんじやう
)
を
総轄
(
そうかつ
)
し、
464
宇豆姫
(
うづひめ
)
をクロンバーの
位置
(
ゐち
)
に
据
(
す
)
ゑ、
465
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
すれば、
466
万代
(
ばんだい
)
不易
(
ふえき
)
の
基礎
(
きそ
)
が
建
(
た
)
つ。
467
サア
御
(
ご
)
返答
(
へんたふ
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう』
468
清公
(
きよこう
)
『
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまは
承諾
(
しようだく
)
せられますかなア』
469
と
確信
(
かくしん
)
あるものの
如
(
ごと
)
く
冷笑
(
れいせう
)
を
向
(
む
)
ける。
470
スマートボール『
皆
(
みな
)
さま、
471
暫
(
しばら
)
く
此処
(
ここ
)
に
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さい。
472
これより
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまの
居間
(
ゐま
)
に
参
(
まゐ
)
り、
473
直接
(
ちよくせつ
)
談判
(
だんぱん
)
をやつて
来
(
き
)
ますから』
474
チヤンキー『そんなにグヅグヅして
居
(
を
)
つたら、
475
友彦
(
ともひこ
)
が
軍勢
(
ぐんぜい
)
を
引連
(
ひきつ
)
れやつて
来
(
き
)
ますぞ。
476
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
の
仰
(
あふ
)
せの
如
(
ごと
)
く
此方
(
こちら
)
より
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
先鞭
(
せんべん
)
を
付
(
つ
)
け、
477
友彦
(
ともひこ
)
の
進軍
(
しんぐん
)
をネルソン
山麓
(
さんろく
)
に
待受
(
まちう
)
け、
478
互
(
たがひ
)
に
諒解
(
りやうかい
)
を
得
(
え
)
なくてはなりますまい。
479
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまより、
480
清公
(
きよこう
)
さまの
返答
(
へんたふ
)
さへ
聞
(
き
)
けば
解決
(
かいけつ
)
の
付
(
つ
)
く
話
(
はなし
)
だ。
481
左様
(
さやう
)
な
廻
(
まは
)
りくどい
事
(
こと
)
をして
居
(
ゐ
)
る
場合
(
ばあひ
)
ではありますまい。
482
……サア
清公
(
きよこう
)
さま、
483
あなたも
立派
(
りつぱ
)
な
堂々
(
だうだう
)
たる
七
(
しち
)
尺
(
しやく
)
の
男子
(
だんし
)
だ。
484
直
(
すぐ
)
に
御
(
ご
)
返事
(
へんじ
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう。
485
色男
(
いろをとこ
)
気分
(
きぶん
)
になつて、
486
独断的
(
ひとりぎめ
)
に、
487
私
(
わし
)
はブランジーだから、
488
きつとクロンバーになるのは
宇豆姫
(
うづひめ
)
に
定
(
きは
)
まつたりと、
489
自惚心
(
うぬぼれごころ
)
を
起
(
おこ
)
して
威張
(
ゐば
)
つて
居
(
を
)
つても、
490
先方
(
せんぱう
)
の
精神
(
せいしん
)
はまだ
明瞭
(
はつきり
)
と
分
(
わか
)
つては
居
(
を
)
りますまい。
491
万一
(
まんいち
)
最後
(
さいご
)
の
一段
(
いちだん
)
になつて、
492
宇豆姫
(
うづひめ
)
さまにエツパツパを
喰
(
く
)
はされ、
493
アフンとして
男
(
をとこ
)
を
下
(
さ
)
げるよりも、
494
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
に
綺麗
(
きれい
)
サツパリと
断念
(
だんねん
)
なさつた
方
(
はう
)
が、
495
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
だか
知
(
し
)
れますまい。
496
是
(
こ
)
れチヤンキーが
心
(
こころ
)
よりの
貴方
(
あなた
)
に
対
(
たい
)
する
真実
(
しんじつ
)
なる
忠告
(
ちうこく
)
ですから、
497
空
(
そら
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
と
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
してはなりませぬぞ。
498
男
(
をとこ
)
は
断
(
だん
)
の
一字
(
いちじ
)
が
最
(
もつと
)
も
必要
(
ひつえう
)
だ。
499
サーチライス、
500
ユーリンス ユーリンスと
頭
(
あたま
)
を
抱
(
かか
)
へて
恥
(
はぢ
)
を
掻
(
か
)
き、
501
蚤
(
のみ
)
の
様
(
やう
)
に
頭
(
あたま
)
ばかり
突込
(
つつこ
)
んで
尻
(
しり
)
を
盛立
(
もりた
)
て、
502
恥
(
はぢ
)
を
掻
(
か
)
くよりも、
503
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
に
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つたが、
504
貴方
(
あなた
)
に
取
(
と
)
つて
最
(
もつと
)
も
賢明
(
けんめい
)
な
行方
(
やりかた
)
だ。
505
さうすれば
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
に
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
右守
(
うもりの
)
神
(
かみ
)
となりて、
506
尊敬
(
そんけい
)
の
的
(
まと
)
となり、
507
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
することが
出来
(
でき
)
ませう。
508
何程
(
なにほど
)
井モリ
の
神
(
かみ
)
ぢやと
云
(
い
)
つても、
509
黒焼
(
くろやき
)
になる
所
(
ところ
)
まで
妬
(
や
)
いちや
可
(
い
)
けませぬよ』
510
と
揶揄
(
からか
)
ひ
半分
(
はんぶん
)
に
忠告
(
ちうこく
)
する。
511
ここへ
何気
(
なにげ
)
なうやつて
来
(
き
)
た
右守
(
うもりの
)
神
(
かみ
)
鶴公
(
つるこう
)
、
512
鶴公
『ヤア
皆
(
みな
)
さま、
513
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
起
(
お
)
こつた
様
(
やう
)
ですなア。
514
……モシ
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
の
清公
(
きよこう
)
殿
(
どの
)
、
515
如何
(
どう
)
なさいますか。
516
御
(
ご
)
所存
(
しよぞん
)
を
承
(
うけたま
)
はりたい』
517
スマートボール
初
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
拍手
(
はくしゆ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
518
一同
(
いちどう
)
『
鶴公
(
つるこう
)
さま、
519
万歳
(
ばんざい
)
、
520
ウロー ウロー』
521
と
叫
(
さけ
)
ぶ。
522
鶴公
(
つるこう
)
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
523
友彦
(
ともひこ
)
の
寄
(
よ
)
せ
手
(
て
)
に
向
(
むか
)
ひ、
524
最善
(
さいぜん
)
の
方法
(
はうはふ
)
を
講
(
かう
)
ぜねばなりますまいが、
525
清公
(
きよこう
)
殿
(
どの
)
、
526
如何
(
いかが
)
の
御
(
ご
)
所存
(
しよぞん
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
527
清公
(
きよこう
)
『
先
(
ま
)
づ
右守
(
うもりの
)
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう』
528
鶴公
(
つるこう
)
『
吾々
(
われわれ
)
は
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
の
次
(
つぎ
)
の
位置
(
ゐち
)
に
位
(
くらゐ
)
する
者
(
もの
)
、
529
何事
(
なにごと
)
も
貴方
(
あなた
)
の
指揮
(
しき
)
命令
(
めいれい
)
に
従
(
したが
)
ふのが
本意
(
ほんい
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
530
どうぞ
御
(
ご
)
腹蔵
(
ふくざう
)
なく
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
531
貫州
(
くわんしう
)
『
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
は
最前
(
さいぜん
)
より
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
種々
(
いろいろ
)
と
申上
(
まをしあ
)
げましたが、
532
何
(
なん
)
の
返答
(
へんたふ
)
もなされませぬ。
533
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
、
534
自
(
みづか
)
ら
総統権
(
そうとうけん
)
を
棄却
(
ききやく
)
された
事
(
こと
)
と
察
(
さつ
)
しまする。
535
さうでなければ
精神
(
せいしん
)
錯乱
(
さくらん
)
か、
536
或
(
あるひ
)
は
本城
(
ほんじやう
)
の
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
を
対岸
(
たいがん
)
の
火災視
(
くわさいし
)
し、
537
利己
(
りこ
)
主義
(
しゆぎ
)
を
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
す
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
と
断定
(
だんてい
)
するより
道
(
みち
)
はありませぬ。
538
宇豆姫
(
うづひめ
)
様
(
さま
)
さへ
手
(
て
)
に
入
(
い
)
らば、
539
地恩城
(
ちおんじやう
)
も
三五教
(
あななひけう
)
も、
540
清公
(
きよこう
)
さまの
眼中
(
がんちう
)
には
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
赤裸々
(
せきらら
)
に
表白
(
へうはく
)
されて
居
(
を
)
ります。
541
吾々
(
われわれ
)
は
如何
(
どう
)
しても
斯様
(
かやう
)
な
御
(
ご
)
人格
(
じんかく
)
の
方
(
かた
)
の
風下
(
かざしも
)
に
立
(
た
)
つて
活動
(
くわつどう
)
する
事
(
こと
)
は
到底
(
たうてい
)
出来
(
でき
)
ませぬ。
542
さうだと
云
(
い
)
つて
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
は
大切
(
たいせつ
)
なり、
543
其
(
その
)
教
(
をしへ
)
の
全権
(
ぜんけん
)
をお
握
(
にぎ
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
を
御
(
お
)
見棄
(
みす
)
て
申
(
まを
)
す
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませぬ。
544
徹頭
(
てつとう
)
徹尾
(
てつび
)
辞職
(
じしよく
)
などは
出来
(
でき
)
ませぬから、
545
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
吾々
(
われわれ
)
の
代表
(
だいへう
)
的
(
てき
)
犠牲
(
ぎせい
)
となつて、
546
左守神様
(
さもりのかみさま
)
から
処決
(
しよけつ
)
して
頂
(
いただ
)
きませう』
547
清公
(
きよこう
)
は
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
548
清公
『これより
奥殿
(
おくでん
)
に
入
(
い
)
りて、
549
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
伺
(
うかが
)
ひ、
550
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
処決
(
しよけつ
)
する
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませう。
551
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
552
出陣
(
しゆつぢん
)
の
用意
(
ようい
)
急
(
いそ
)
がせられよ』
553
と
言
(
い
)
ひ
棄
(
す
)
て、
554
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
逃
(
に
)
ぐるが
如
(
ごと
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
555
チヤンキー『
猫
(
ねこ
)
に
追
(
お
)
はれた
鼠
(
ねずみ
)
の
如
(
ごと
)
く、
556
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
も
到頭
(
たうとう
)
尾
(
を
)
を
捲
(
ま
)
いて
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
へスゴスゴと
隠
(
かく
)
れて
了
(
しま
)
つた。
557
何時
(
いつ
)
まで
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
たつて、
558
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
気遣
(
きづか
)
ひはあるまい。
559
吾々
(
われわれ
)
は
鶴公
(
つるこう
)
様
(
さま
)
に
身
(
み
)
も
魂
(
たま
)
も
捧
(
ささ
)
げて、
560
如何
(
いか
)
なる
指揮
(
しき
)
命令
(
めいれい
)
にも
服従
(
ふくじう
)
する
考
(
かんが
)
へであります。
561
皆
(
みな
)
さまの
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
は
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
562
と
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
を
看守
(
みまも
)
つた。
563
スマートボールを
初
(
はじ
)
め
並居
(
なみゐ
)
る
面々
(
めんめん
)
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
564
一同
(
いちどう
)
『
大賛成
(
だいさんせい
)
大賛成
(
だいさんせい
)
』
565
と
叫
(
さけ
)
ぶ。
566
鶴公
(
つるこう
)
『
皆
(
みな
)
さまはそこまで
不束
(
ふつつか
)
な
私
(
わたくし
)
に
対
(
たい
)
し、
567
同情
(
どうじやう
)
を
寄
(
よ
)
せて
下
(
くだ
)
され、
568
実
(
じつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
に
堪
(
た
)
へませぬ。
569
が、
570
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
清公
(
きよこう
)
さまは
私
(
わたくし
)
の
上役
(
うはやく
)
、
571
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
を
差
(
さ
)
し
措
(
お
)
いて
如何
(
どう
)
する
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ませぬ。
572
左様
(
さやう
)
な
僣越
(
せんえつ
)
の
行動
(
かうどう
)
は
神
(
かみ
)
の
赦
(
ゆる
)
し
玉
(
たま
)
はざる
処
(
ところ
)
、
573
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
清公
(
きよこう
)
様
(
さま
)
のお
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
の
解決
(
かいけつ
)
が
付
(
つ
)
いた
上
(
うへ
)
、
574
皆
(
みな
)
さまの
思召
(
おぼしめし
)
に
応
(
おう
)
じ、
575
御用
(
ごよう
)
を
承
(
うけたま
)
はりませう』
576
スマートボール『モシモシ
右守
(
うもりの
)
神
(
かみ
)
さま、
577
貴方
(
あなた
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つ
御
(
お
)
方
(
かた
)
、
578
下
(
した
)
の
者
(
もの
)
に
対
(
たい
)
し
御用
(
ごよう
)
を
承
(
うけたま
)
はらうとは、
579
チツと
矛盾
(
むじゆん
)
ぢやありませぬか』
580
鶴公
(
つるこう
)
『イエイエ、
581
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つ
者
(
もの
)
は
決
(
けつ
)
して
下
(
した
)
を
使
(
つか
)
ふ
役
(
やく
)
ではありませぬ。
582
あなた
方
(
がた
)
が
吾々
(
われわれ
)
をお
使
(
つか
)
ひなさらねばならぬのです。
583
吾々
(
われわれ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
聞
(
き
)
いて
活動
(
くわつどう
)
をする
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
では、
584
木偶
(
でくのばう
)
も
同然
(
どうぜん
)
だ。
585
何時
(
いつ
)
までかかつても
神業
(
しんげふ
)
は
発達
(
はつたつ
)
致
(
いた
)
しませぬ。
586
先繰
(
せんぐ
)
り
吾々
(
われわれ
)
の
仕事
(
しごと
)
を
拵
(
こしら
)
へて、
587
斯
(
こ
)
うして
呉
(
く
)
れ、
588
ああして
呉
(
く
)
れと
御
(
ご
)
註文
(
ちゆうもん
)
下
(
くだ
)
さらねばならぬのです。
589
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
人
(
ひと
)
は
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
てば
下
(
した
)
の
者
(
もの
)
を
弟子
(
でし
)
か
奴隷
(
どれい
)
の
様
(
やう
)
に
使
(
つか
)
ふべきものだと
誤解
(
ごかい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
590
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つ
者
(
もの
)
は
要
(
えう
)
するに
下
(
した
)
から
使
(
つか
)
はれるのだ。
591
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
の
国祖
(
こくそ
)
大神
(
おほかみ
)
でさへも、
592
吾々
(
われわれ
)
の
願事
(
ねぎごと
)
を
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さるではありませぬか。
593
所謂
(
いはゆる
)
吾々
(
われわれ
)
は………
斯
(
か
)
く
申
(
まを
)
せば
少
(
すこ
)
しく
語弊
(
ごへい
)
が
有
(
あ
)
りますけれども……
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
要
(
えう
)
するに
御
(
お
)
使
(
つか
)
ひ
申
(
まを
)
して
居
(
ゐ
)
る
様
(
やう
)
なものだ。
594
何卒
(
どうぞ
)
御
(
お
)
見捨
(
みす
)
てなく
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
595
と
道理
(
だうり
)
を
分
(
わ
)
けて
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
す。
596
スマートボールは
黙然
(
もくねん
)
として、
597
時々
(
ときどき
)
頭
(
かうべ
)
を
上下
(
じやうげ
)
に
振
(
ふ
)
り『ウンウン』と
頷
(
うなづ
)
いて
居
(
ゐ
)
たが、
598
忽
(
たちま
)
ち
鶴公
(
つるこう
)
の
前
(
まへ
)
に
両手
(
りやうて
)
をつき、
599
スマートボール
『イヤ
何事
(
なにごと
)
も
諒解
(
りやうかい
)
致
(
いた
)
しました。
600
然
(
しか
)
らば
是
(
こ
)
れから
貴方
(
あなた
)
を
充分
(
じうぶん
)
に
酷使
(
こくし
)
致
(
いた
)
しますから、
601
其
(
その
)
お
積
(
つも
)
りで
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
しませう』
602
鶴公
(
つるこう
)
『
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
下
(
くだ
)
さいまして、
603
末永
(
すえなが
)
くお
使
(
つか
)
ひの
程
(
ほど
)
をお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
604
一同
(
いちどう
)
感歎
(
かんたん
)
の
声
(
こゑ
)
を
洩
(
も
)
らして
居
(
ゐ
)
る。
605
此処
(
ここ
)
へ
金
(
きん
)
、
606
銀
(
ぎん
)
、
607
鉄
(
てつ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
608
金州
(
きんしう
)
『ヤア
貴方
(
あなた
)
は
鶴公
(
つるこう
)
様
(
さま
)
、
609
只今
(
ただいま
)
戸外
(
こぐわい
)
にて
承
(
うけたま
)
はればハツキリ
訳
(
わけ
)
は
分
(
わか
)
りませぬが、
610
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
今日
(
こんにち
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
611
清公
(
きよこう
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
しストライキをなさると
云
(
い
)
ふ
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
らしい。
612
宜
(
よろ
)
しい、
613
これから
奥殿
(
おくでん
)
に
参
(
まゐ
)
り、
614
此
(
この
)
由
(
よし
)
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
御前
(
ごぜん
)
に
奏上
(
そうじやう
)
致
(
いた
)
しますから、
615
其
(
その
)
お
積
(
つも
)
りで
御
(
ご
)
決心
(
けつしん
)
をなさるがよからう』
616
と
捨台詞
(
すてぜりふ
)
を
残
(
のこ
)
し、
617
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
足早
(
あしばや
)
に
奥
(
おく
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
618
(
大正一一・七・七
旧閏五・一三
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
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