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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第25巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 相縁奇縁
第1章 水禽の音
第2章 与太理縮
第3章 鶍の恋
第4章 望の縁
第2篇 自由活動
第5章 酒の滝壺
第6章 三腰岩
第7章 大蛇解脱
第8章 奇の巌窟
第3篇 竜の宮居
第9章 信仰の実
第10章 開悟の花
第11章 風声鶴唳
第12章 不意の客
第4篇 神花霊実
第13章 握手の涙
第14章 園遊会
第15章 改心の実
第16章 真如の玉
第5篇 千里彷徨
第17章 森の囁
第18章 玉の所在
第19章 竹生島
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霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
>
第25巻(子の巻)
> 第2篇 自由活動 > 第8章 奇の巌窟
<<< 大蛇解脱
(B)
(N)
信仰の実 >>>
第八章
奇
(
くしび
)
の
巌窟
(
がんくつ
)
〔七五四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
篇:
第2篇 自由活動
よみ(新仮名遣い):
じゆうかつどう
章:
第8章 奇の巌窟
よみ(新仮名遣い):
くしびのがんくつ
通し章番号:
754
口述日:
1922(大正11)年07月08日(旧閏05月14日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
清公はチャンキーと共にクシの滝壺の傍らに庵を結んで禊に励んでいた。地恩郷参拝から帰ってきた郷人たちは、清公に感謝して国魂の宮を修繕して礼拝を怠らなかった。ヒルの郷の黒雲邪気は晴れて、元の楽園となった。
清公は大蛇、悪魔までも神の道に救おうと、宣伝の旅に出た。チャンキーとモンキーに加えて郷人のアイルとテーナを共に加え、セーラン山を登っていった。炎天の山道を進んで行き、玉野ケ原というやや平坦な場所に着いた。そこは黄金の砂が大地一面に敷き詰められた気分の良い地点であった。
はるか前方から猛獣の群れがやってくる気配があった。清公は天津祝詞を唱えようとしたが、舌がこわばって言霊を使用することができなくなってしまった。五人は懸命に心のうちに暗祈黙祷すると、一柱の白狐が現れて五人を森の方の一つの細長い岩窟に招いた。
五人は神恩に感謝した。やがて猛獣の足音が聞こえてきた。岩窟の口から、長い白い毛をもった巨大な狒々が覗き込んだ。清公はようやく言霊が出るようになったので、天津祝詞を奏上した。
しかし狒々はかまわず岩窟の奥に入ってくる。岩窟の奥まで追い詰められ、狒々は清公の手を取って招き、岩窟から引き出してしまった。しかし岩窟を出てみると、そこに居たのは猛獣ではなく、狒々や猩々の群れであった。
五人が天津祝詞を一生懸命に奏上すると、数百の狒々と猩々は面白おかしく踊り始めた。巨大な狒々は、口から猛烈な炎や冷気を五人に吹きかけた。五人はもはや息も切れようというときに、狒々の姿は巨大な白玉となり、狒々たちも無数の玉となって舞い上がり、姿を消してしまった。
後に岩窟の周りには芳香が漂い、微妙の音楽が聞こえてきた。これより五人は心魂がとみに清まり、奥地へと進んでスワの湖のほとりの竜神の宮の祠に到達し、祝詞を奏上した。その夜は祠の前で世を明かした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm2508
愛善世界社版:
127頁
八幡書店版:
第5輯 77頁
修補版:
校定版:
132頁
普及版:
58頁
初版:
ページ備考:
001
清公
(
きよこう
)
はチヤンキーと
共
(
とも
)
にクシの
滝壺
(
たきつぼ
)
の
傍
(
かたはら
)
に
俄造
(
にはかづく
)
りの
庵
(
いほり
)
を
結
(
むす
)
び、
002
日夜
(
にちや
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
003
側
(
そば
)
の
谷川
(
たにがは
)
に
身
(
み
)
を
浄
(
きよ
)
め、
004
一月
(
ひとつき
)
ばかり
此処
(
ここ
)
に
滞在
(
たいざい
)
する
事
(
こと
)
となつた。
005
モンキーに
導
(
みちび
)
かれて
地恩城
(
ちおんじやう
)
に
参上
(
まゐのぼ
)
りたる
飯依別
(
いひよりわけ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
一同
(
いちどう
)
は、
006
無事
(
ぶじ
)
参拝
(
さんぱい
)
を
終
(
を
)
へて
再
(
ふたた
)
びヒルの
郷
(
さと
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
007
クシの
滝壺
(
たきつぼ
)
に
参上
(
まゐのぼ
)
りて
清公
(
きよこう
)
に
厚
(
あつ
)
く
感謝
(
かんしや
)
し、
008
それより
国魂
(
くにたま
)
の
宮
(
みや
)
の
修繕
(
しうぜん
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
009
恭敬
(
きようけい
)
礼拝
(
れいはい
)
怠
(
おこた
)
らず、
010
遂
(
つひ
)
にヒルの
郷
(
さと
)
は
黒雲
(
こくうん
)
妖邪
(
えうじや
)
の
気
(
き
)
、
011
全
(
まつた
)
く
霽
(
は
)
れて
再
(
ふたた
)
び
元
(
もと
)
の
楽園
(
らくゑん
)
となり、
012
飯依別
(
いひよりわけ
)
は
祖先
(
そせん
)
の
業
(
げふ
)
を
大切
(
たいせつ
)
に、
013
心身
(
しんしん
)
を
清
(
きよ
)
めて
昼夜
(
ちうや
)
懈怠
(
かいたい
)
なく
真澄
(
ますみ
)
の
宮
(
みや
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
事
(
こと
)
となつた。
014
モンキーは
郷人
(
さとびと
)
と
共
(
とも
)
に、
015
再
(
ふたた
)
び
此地
(
ここ
)
に
現
(
あらは
)
れ
来
(
きた
)
り、
016
地恩城
(
ちおんじやう
)
に
於
(
お
)
けるスマートボールの
伝言
(
でんごん
)
を
清公
(
きよこう
)
、
017
チヤンキーに
伝
(
つた
)
へた。
018
二人
(
ふたり
)
はスマートボールの
親切
(
しんせつ
)
に
感謝
(
かんしや
)
し、
019
郷人
(
さとびと
)
の
乞
(
こ
)
ひを
容
(
い
)
れてアイル(愛蔵)、
020
テーナ(貞七)の
二人
(
ふたり
)
を
供人
(
ともびと
)
となし、
021
セーラン
山
(
ざん
)
を
攀登
(
よぢのぼ
)
り、
022
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
始
(
はじ
)
め
大蛇
(
をろち
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
悪魔
(
あくま
)
を
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
に
言霊
(
ことたま
)
もて
救
(
すく
)
はむと、
023
炎天
(
えんてん
)
の
山道
(
やまみち
)
を
危険
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して、
024
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
025
芭蕉
(
ばせう
)
の
実
(
み
)
を
時々
(
ときどき
)
採
(
と
)
つて
飢
(
うゑ
)
を
凌
(
しの
)
ぎ
乍
(
なが
)
ら、
026
連日
(
れんじつ
)
連夜
(
れんや
)
、
027
苔
(
こけ
)
の
褥
(
しとね
)
に
岩枕
(
いはまくら
)
、
028
星
(
ほし
)
の
蒲団
(
ふとん
)
を
被
(
かぶ
)
りて
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かしつつ、
029
終
(
つひ
)
に
稍
(
やや
)
平坦
(
へいたん
)
なる
玉野
(
たまの
)
ケ
原
(
はら
)
と
云
(
い
)
ふ、
030
黄金
(
こがね
)
の
砂
(
すな
)
の
大地
(
だいち
)
一面
(
いちめん
)
に
敷
(
し
)
き
詰
(
つ
)
められたる
如
(
ごと
)
き、
031
気分
(
きぶん
)
良
(
よ
)
き
地点
(
ちてん
)
に
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
た。
032
足
(
あし
)
も
焼
(
や
)
きつく
様
(
やう
)
な
砂金
(
しやきん
)
の
原
(
はら
)
を
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
木蔭
(
こかげ
)
を
求
(
もと
)
め
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ふ
)
きつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
033
遥
(
はるか
)
の
前方
(
ぜんぱう
)
より
幾百
(
いくひやく
)
とも
限
(
かぎ
)
りなき
猛獣
(
まうじう
)
の
群
(
むれ
)
、
034
百雷
(
ひやくらい
)
の
轟
(
とどろ
)
く
如
(
ごと
)
き
咆哮
(
うなり
)
を
立
(
た
)
て、
035
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
突進
(
とつしん
)
し
来
(
きた
)
る。
036
清公
(
きよこう
)
は
此
(
この
)
一隊
(
いつたい
)
に
向
(
むか
)
つて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
さむと
両手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み、
037
……
高天
(
たかあま
)
……と
言
(
い
)
はむとすれど
一二言
(
いちにごん
)
発
(
はつ
)
せしのみ、
038
舌
(
した
)
硬
(
こは
)
ばり
言霊
(
ことたま
)
を
使用
(
しよう
)
する
事
(
こと
)
の
不可能
(
ふかのう
)
なるを
感
(
かん
)
じ、
039
稍
(
やや
)
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
につつまれてゐる。
040
怪
(
あや
)
しき
猛獣
(
まうじう
)
の
影
(
かげ
)
は、
041
おひおひと
近付
(
ちかづ
)
き
来
(
きた
)
り、
042
その
足音
(
あしおと
)
さへも
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
る
様
(
やう
)
になつた。
043
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
生
(
い
)
きたる
心地
(
ここち
)
もなく、
044
心
(
こころ
)
の
裡
(
うち
)
にて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
する
折
(
をり
)
しも、
045
忽然
(
こつぜん
)
として
一柱
(
ひとはしら
)
の
白狐
(
びやくこ
)
、
046
五
(
ご
)
人
(
にん
)
が
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
047
前脚
(
まへあし
)
を
上
(
あ
)
げて
招
(
まね
)
き
乍
(
なが
)
ら
森林
(
しんりん
)
の
方
(
はう
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
048
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
其
(
その
)
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
049
漸
(
やうや
)
くにして
一
(
ひと
)
つの
細長
(
ほそなが
)
き
岩窟
(
いはや
)
に
導
(
みちび
)
かれ、
050
天
(
てん
)
の
与
(
あた
)
へと
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み、
051
窟内
(
くつない
)
に
残
(
のこ
)
らず
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
052
坑口
(
かうこう
)
に
向
(
むか
)
つて
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
053
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
する
折
(
をり
)
しも、
054
以前
(
いぜん
)
の
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
は
刻々
(
こくこく
)
と
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
り、
055
猛獣
(
まうじう
)
の
足音
(
あしおと
)
幾百
(
いくひやく
)
ともなく
聞
(
きこ
)
えて、
056
長
(
なが
)
き
白毛
(
はくまう
)
を
頭部
(
とうぶ
)
と
顔部
(
がんぶ
)
に
生
(
しやう
)
じたる
巨大
(
きよだい
)
なる
狒々
(
ひひ
)
、
057
真赤
(
まつか
)
な
顔
(
かほ
)
にて
穴
(
あな
)
の
口
(
くち
)
を
覗
(
のぞ
)
き
唸
(
うな
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
058
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
の
凄
(
すさま
)
じさ、
059
身
(
み
)
も
竦
(
すく
)
む
計
(
ばか
)
りである。
060
されど
白狐
(
びやくこ
)
出現
(
しゆつげん
)
に
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
たる
清公
(
きよこう
)
始
(
はじ
)
め
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は、
061
茲
(
ここ
)
に
初
(
はじ
)
めて
言霊
(
ことたま
)
の
使用
(
しよう
)
を
神界
(
しんかい
)
より
赦
(
ゆる
)
されたりと
見
(
み
)
え、
062
喉元
(
のどもと
)
より
綱
(
つな
)
を
以
(
もつ
)
て
声
(
こゑ
)
の
玉
(
たま
)
を
引出
(
ひきだ
)
す
如
(
ごと
)
き
心地
(
ここち
)
して、
063
スラスラと
涼
(
すず
)
しく
潔
(
いさぎよ
)
く
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
宣
(
の
)
り
始
(
はじ
)
めた。
064
坑口
(
かうこう
)
を
覗
(
のぞ
)
き
居
(
ゐ
)
たりし
大怪物
(
だいくわいぶつ
)
は、
065
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き
消
(
き
)
え
去
(
さ
)
るかと
思
(
おも
)
ひきや、
066
それと
反対
(
はんたい
)
に
坑内
(
かうない
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
る
嫌
(
いや
)
らしさ。
067
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
乍
(
なが
)
ら、
068
此
(
この
)
岩穴
(
いはあな
)
の
終点
(
しうてん
)
迄
(
まで
)
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
069
異様
(
いやう
)
の
怪物
(
くわいぶつ
)
は
益々
(
ますます
)
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
る。
070
一方口
(
いつぱうぐち
)
の
逃
(
に
)
げ
道
(
みち
)
なき
此
(
この
)
穴
(
あな
)
に
徳利攻
(
とつくりぜ
)
めに
遭
(
あ
)
うた
一行
(
いつかう
)
は、
071
決心
(
けつしん
)
の
臍
(
ほぞ
)
を
固
(
かた
)
めて
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
汗
(
あせ
)
タラタラと
流
(
なが
)
し
乍
(
なが
)
ら
奏上
(
そうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
072
怪物
(
くわいぶつ
)
は
清公
(
きよこう
)
の
前
(
まへ
)
に
近寄
(
ちかよ
)
り
来
(
きた
)
り、
073
毛
(
け
)
だらけの
手
(
て
)
を
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
し
清公
(
きよこう
)
に
握手
(
あくしゆ
)
を
求
(
もと
)
めた。
074
清公
(
きよこう
)
は
恐々
(
こわごわ
)
ながら
其
(
その
)
手
(
て
)
を
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
す。
075
怪物
(
くわいぶつ
)
は
感謝
(
かんしや
)
の
表情
(
へうじやう
)
を
示
(
しめ
)
し『ウーウー』と
唸
(
うな
)
り
乍
(
なが
)
ら、
076
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
坑口
(
かうこう
)
さして
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く。
077
清公
(
きよこう
)
は
半
(
なか
)
ば
危
(
あやぶ
)
み
乍
(
なが
)
ら、
078
怪物
(
くわいぶつ
)
の
強
(
つよ
)
き
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
られたる
腕
(
うで
)
を
振
(
ふ
)
り
放
(
はな
)
すだけの
力
(
ちから
)
も
無
(
な
)
く
片手
(
かたて
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
を
手招
(
てまね
)
きし
乍
(
なが
)
ら、
079
前
(
まへ
)
を
向
(
む
)
き
後
(
うしろ
)
を
顧
(
かへり
)
みなどして、
080
到頭
(
たうとう
)
坑外
(
かうぐわい
)
に
引出
(
ひきだ
)
されて
仕舞
(
しま
)
つた。
081
坑外
(
かうぐわい
)
に
出
(
い
)
でて
見
(
み
)
れば、
082
猛獣
(
まうじう
)
に
非
(
あら
)
ずして、
083
狒々
(
ひひ
)
、
084
猩々
(
しやうじやう
)
の
一隊
(
いつたい
)
、
085
此
(
この
)
岩坑
(
いはあな
)
の
前
(
まへ
)
に
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
呼吸
(
いき
)
を
揃
(
そろ
)
へて『ウワア ウワア』と
唸
(
うな
)
る
声
(
こゑ
)
、
086
天地
(
てんち
)
も
揺
(
ゆる
)
ぐばかりなり。
087
勝
(
すぐ
)
れて
身体
(
しんたい
)
長大
(
ちやうだい
)
なる
全身
(
ぜんしん
)
白毛
(
はくまう
)
の
猩々
(
しやうじやう
)
は、
088
奈良
(
なら
)
の
大仏
(
だいぶつ
)
の
坐
(
すわ
)
つた
如
(
ごと
)
く
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
に
置
(
お
)
き、
089
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
にて
中空
(
ちうくう
)
を
指
(
ゆび
)
さし、
090
ニコニコと
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へ
五
(
ご
)
人
(
にん
)
を
睥睨
(
へいげい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
091
清公
(
きよこう
)
以下
(
いか
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
奏上
(
そうじやう
)
するや、
092
祝詞
(
のりと
)
につれて
数百
(
すうひやく
)
の
狒々
(
ひひ
)
猩々
(
しやうじやう
)
は
手拍子
(
てべうし
)
、
093
足拍子
(
あしべうし
)
を
揃
(
そろ
)
へ、
094
面白
(
おもしろ
)
げに
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ふ。
095
此
(
この
)
中
(
なか
)
の
頭目
(
かしら
)
と
見
(
み
)
えし
大狒々
(
だいひひ
)
はツト
座
(
ざ
)
を
起
(
た
)
ち、
096
清公
(
きよこう
)
の
一行
(
いつかう
)
に
向
(
むか
)
つて、
097
口
(
くち
)
より
霧
(
きり
)
を
白烟
(
はくえん
)
の
如
(
ごと
)
く
濛々
(
もうもう
)
と
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し
全身
(
ぜんしん
)
を
包
(
つつ
)
む。
098
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
白烟
(
はくえん
)
に
包
(
つつ
)
まれ
稍
(
やや
)
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られ、
099
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
唱
(
とな
)
へ
出
(
だ
)
す。
100
大狒々
(
だいひひ
)
の
口
(
くち
)
よりは
亦
(
また
)
もや
猛烈
(
まうれつ
)
なる
焔
(
ほのほ
)
を
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
101
五
(
ご
)
人
(
にん
)
を
一度
(
いちど
)
に
焼
(
や
)
き
尽
(
つく
)
さむとする
其
(
その
)
熱
(
あつ
)
さ
苦
(
くる
)
しさ。
102
一同
(
いちどう
)
は
撓
(
たゆ
)
まず
屈
(
くつ
)
せず
生命
(
いのち
)
限
(
かぎ
)
り
連続
(
れんぞく
)
して
奏上
(
そうじやう
)
する。
103
続
(
つづ
)
いて
大狒々
(
だいひひ
)
の
口
(
くち
)
より
冷
(
つめ
)
たき
滝水
(
たきみづ
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
し、
104
一同
(
いちどう
)
の
身体
(
からだ
)
を
川溺
(
かははま
)
りの
如
(
ごと
)
く
湿
(
うる
)
ほし、
105
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
寒
(
さむ
)
さに
顫
(
ふる
)
へる
迄
(
まで
)
に
水
(
みづ
)
に
浸
(
ひた
)
され
乍
(
なが
)
ら
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
106
最早
(
もはや
)
息
(
いき
)
も
絶
(
き
)
れむと
思
(
おも
)
ふ
途端
(
とたん
)
に
天地
(
てんち
)
も
割
(
わ
)
るる
許
(
ばか
)
りの
音響
(
おんきやう
)
聞
(
きこ
)
え、
107
さしも
熱帯
(
ねつたい
)
の
大樹
(
たいじゆ
)
も
根底
(
ねそこ
)
より
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばさむ
許
(
ばか
)
りの
烈風
(
れつぷう
)
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
ると
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
108
大狒々
(
だいひひ
)
の
姿
(
すがた
)
は
巨大
(
きよだい
)
なる
白玉
(
はくぎよく
)
となり、
109
其
(
その
)
他
(
た
)
数百
(
すうひやく
)
の
狒々
(
ひひ
)
は、
110
各
(
おのおの
)
大小
(
だいせう
)
無数
(
むすう
)
の
玉
(
たま
)
と
変
(
へん
)
じ、
111
風
(
かぜ
)
の
随々
(
まにまに
)
中空
(
ちうくう
)
に
舞
(
ま
)
ひ
上
(
あが
)
り
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける。
112
忽
(
たちま
)
ちにして
怪
(
あや
)
しき
音響
(
おんきやう
)
はピタリと
止
(
と
)
まり
風
(
かぜ
)
は
俄
(
にはか
)
に
静
(
しづ
)
まりて
岩坑
(
いはあな
)
の
辺
(
あたり
)
には
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれぬ
芳香
(
はうかう
)
薫
(
くん
)
じ、
113
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
えて
尾
(
を
)
の
上
(
へ
)
を
渡
(
わた
)
る
松風
(
まつかぜ
)
の
音
(
おと
)
、
114
殊更
(
ことさら
)
に
涼
(
すず
)
しき
感
(
かん
)
を
一同
(
いちどう
)
の
胸
(
むね
)
に
与
(
あた
)
へたり。
115
是
(
これ
)
より
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
心魂
(
しんこん
)
頓
(
とみ
)
に
清
(
きよ
)
まり、
116
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
き、
117
終
(
つひ
)
にスワの
湖
(
みづうみ
)
の
辺
(
ほとり
)
なる
竜神
(
りうじん
)
の
宮
(
みや
)
の
祠
(
ほこら
)
に
無事
(
ぶじ
)
到着
(
たうちやく
)
し、
118
例
(
れい
)
の
如
(
ごと
)
く
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
119
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
め、
120
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
此
(
この
)
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
明
(
あ
)
かす
事
(
こと
)
とはなりぬ。
121
(
大正一一・七・八
旧閏五・一四
北村隆光
録)
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(B)
(N)
信仰の実 >>>
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【第8章 奇の巌窟|第25巻|海洋万里|霊界物語|/rm2508】
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