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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第25巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 相縁奇縁
第1章 水禽の音
第2章 与太理縮
第3章 鶍の恋
第4章 望の縁
第2篇 自由活動
第5章 酒の滝壺
第6章 三腰岩
第7章 大蛇解脱
第8章 奇の巌窟
第3篇 竜の宮居
第9章 信仰の実
第10章 開悟の花
第11章 風声鶴唳
第12章 不意の客
第4篇 神花霊実
第13章 握手の涙
第14章 園遊会
第15章 改心の実
第16章 真如の玉
第5篇 千里彷徨
第17章 森の囁
第18章 玉の所在
第19章 竹生島
余白歌
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霊界物語
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海洋万里(第25~36巻)
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第25巻(子の巻)
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<<< 風声鶴唳
(B)
(N)
握手の涙 >>>
第一二章
不意
(
ふい
)
の
客
(
きやく
)
〔七五八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
篇:
第3篇 竜の宮居
よみ(新仮名遣い):
たつのみやい
章:
第12章 不意の客
よみ(新仮名遣い):
ふいのきゃく
通し章番号:
758
口述日:
1922(大正11)年07月10日(旧閏05月16日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月25日
概要:
舞台:
地恩城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
地恩城の広場でマール、貫州、武公が雑談にふけっていると、友彦が女房のテールス姫を連れてたった二人で城にやってきた。友彦は旧知の貫州と武公に挨拶するが、貫州と武公は友彦に邪険にして城内に入れまいとする。
友彦は自分が改心したことを訴え、門内に入ったところ、門番たちは友彦とテールス姫を突き倒して打ち据えた。しかし友彦とテールス姫は、感謝祈願の祝詞を唱えるのみだった。
いつの間にか貫州たちも、友彦夫婦と共に感謝祈願の祝詞を奏上していた。そこへ通りかかった鶴公は、城内に戻って黄竜姫に見たことをつぶさに報告した。鶴公は友彦を疑っていたが、黄竜姫は自ら友彦夫婦のところに赴いた。
友彦はテールス姫が熱心な三五教の信者となり、今は自分の神務を補佐していると黄竜姫に紹介した。黄竜姫は二人を城の奥殿に招きいれた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-09-05 18:57:30
OBC :
rm2512
愛善世界社版:
172頁
八幡書店版:
第5輯 94頁
修補版:
校定版:
178頁
普及版:
78頁
初版:
ページ備考:
001
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
に
責
(
せ
)
められて
002
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
が
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
003
年
(
とし
)
も
二八
(
にはち
)
の
花盛
(
はなざか
)
り
004
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
を
素気
(
すげ
)
無
(
な
)
くも
005
錫蘭島
(
セイロンとう
)
の
山奥
(
やまおく
)
に
006
義理
(
ぎり
)
も
情
(
なさけ
)
も
荒男
(
あらをとこ
)
007
淋
(
さび
)
しき
閨
(
ねや
)
の
友彦
(
ともひこ
)
を
008
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
はせて
籠抜
(
かごぬけ
)
の
009
憂目
(
うきめ
)
に
会
(
あ
)
はせた
古疵
(
ふるきず
)
は
010
女王
(
ぢよわう
)
となりし
今日
(
けふ
)
までも
011
心
(
こころ
)
の
奥
(
おく
)
に
蟠
(
わだ
)
かまり
012
悩
(
なや
)
み
苦
(
くるし
)
み
居
(
ゐ
)
たりしが
013
空
(
そら
)
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
る
中秋
(
ちうしう
)
の
014
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
015
棄
(
す
)
てた
男
(
をとこ
)
の
心根
(
こころね
)
を
016
思
(
おも
)
ひ
浮
(
うか
)
べて
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
も
017
耐
(
たま
)
らぬ
許
(
ばか
)
り
苦
(
くる
)
しみの
018
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれ
怖
(
おそ
)
ろしく
019
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
る
内
(
うち
)
に
020
天空
(
てんくう
)
俄
(
にはか
)
にかき
曇
(
くも
)
り
021
数多
(
あまた
)
の
鬼
(
おに
)
を
引率
(
ひきつ
)
れて
022
鋼鉄
(
まがね
)
の
矛
(
ほこ
)
の
雨
(
あめ
)
降
(
ふ
)
らす
023
友彦
(
ともひこ
)
幕下
(
ばくか
)
の
鬼
(
おに
)
共
(
ども
)
が
024
影
(
かげ
)
に
戦
(
をのの
)
き
千仭
(
せんじん
)
の
025
谷間
(
たにま
)
に
忽
(
たちま
)
ち
顛落
(
てんらく
)
し
026
続
(
つづ
)
いて
母
(
はは
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
027
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
を
救
(
すく
)
はむと
028
階段
(
かいだん
)
降
(
くだ
)
り
踏
(
ふ
)
みはづし
029
同
(
おな
)
じく
谷間
(
たにま
)
に
顛落
(
てんらく
)
し
030
罪
(
つみ
)
を
償
(
つぐな
)
ふ
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
031
ヤレ
恐
(
おそ
)
ろしや
恐
(
おそ
)
ろしや
032
昔
(
むかし
)
の
罪
(
つみ
)
の
廻
(
めぐ
)
り
来
(
き
)
て
033
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
落
(
お
)
ちたるか
034
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
よ
友彦
(
ともひこ
)
よ
035
妾
(
わたし
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
せよと
036
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
しも
秋風
(
あきかぜ
)
に
037
吹
(
ふ
)
かれて
落
(
お
)
ち
来
(
く
)
る
一葉
(
いちえう
)
の
038
紅花
(
こうくわ
)
の
吾
(
わが
)
眼
(
め
)
にヒラヒラと
039
入
(
い
)
るよと
見
(
み
)
れば
夢
(
ゆめ
)
醒
(
さ
)
めて
040
仰
(
あふ
)
げば
元
(
もと
)
の
高殿
(
たかどの
)
に
041
梅子
(
うめこ
)
の
姫
(
ひめ
)
や
諸人
(
もろびと
)
と
042
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
び
居
(
ゐ
)
たる
043
此
(
この
)
正夢
(
まさゆめ
)
に
小糸姫
(
こいとひめ
)
044
愈
(
いよいよ
)
此処
(
ここ
)
に
三五
(
あななひ
)
の
045
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
046
月光神
(
げつくわうがみ
)
に
心
(
こころ
)
より
047
月見
(
つきみ
)
の
無礼
(
ぶれい
)
を
謝
(
しや
)
し
乍
(
なが
)
ら
048
奥殿
(
おくでん
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
049
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
太祝詞
(
ふとのりと
)
050
宣
(
の
)
れる
折
(
をり
)
しも
貫州
(
くわんしう
)
が
051
息
(
いき
)
せき
切
(
き
)
つて
駆来
(
かけきた
)
り
052
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
なる
出来事
(
できごと
)
を
053
誠
(
まこと
)
しやかに
宣
(
の
)
りつれば
054
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
怪
(
あや
)
しみて
055
スマートボールを
門外
(
もんぐわい
)
に
056
遣
(
つか
)
はし
偵察
(
ていさつ
)
せしむるに
057
敵
(
てき
)
の
攻
(
せ
)
め
来
(
き
)
し
影
(
かげ
)
もなく
058
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は
皎々
(
かうかう
)
と
059
四辺
(
あたり
)
隈
(
くま
)
なく
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
060
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
061
貫州
(
くわんしう
)
武公
(
たけこう
)
が
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
062
まだ
晴
(
は
)
れやらぬ
黒雲
(
くろくも
)
に
063
疑心
(
ぎしん
)
暗鬼
(
あんき
)
を
生
(
う
)
み
出
(
いだ
)
し
064
吾
(
われ
)
と
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
悩
(
なや
)
みたる
065
転迷
(
てんめい
)
開悟
(
かいご
)
の
物語
(
ものがたり
)
066
横
(
よこ
)
に
臥
(
ふ
)
しつつ
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
067
天井
(
てんじやう
)
の
棧
(
さん
)
を
数
(
かぞ
)
へつつ
068
形
(
かたち
)
も
円
(
まる
)
き
餡
(
あん
)
パンを
069
頬張
(
ほほば
)
り
頬張
(
ほほば
)
り
述
(
の
)
べて
行
(
ゆ
)
く
070
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
が
物語
(
ものがたり
)
071
進
(
すす
)
むにつれて
不思議
(
ふしぎ
)
なれ
072
嗚呼
(
ああ
)
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
073
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
坐
(
ま
)
しませよ。
074
○
075
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
城内
(
じやうない
)
の
広場
(
ひろば
)
の
木蔭
(
こかげ
)
に、
076
貫州
(
くわんしう
)
、
077
武公
(
たけこう
)
の
大将株
(
たいしやうかぶ
)
を
始
(
はじ
)
め、
078
門番
(
もんばん
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
、
079
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへ、
080
或
(
あるひ
)
は
坐
(
すわ
)
りなどして
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
081
門番
(
もんばん
)
のマール(万蔵)は
貫州
(
くわんしう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
082
マール
『モシモシ、
083
ボールさま(
組長
(
くみちやう
)
の
意
(
い
)
)
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
は
友彦
(
ともひこ
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
がやつて
来
(
き
)
たさうですが、
084
如何
(
どう
)
なりましたかなア』
085
貫州
(
くわんしう
)
『お
前
(
まへ
)
の
貫州
(
くわんしう
)
する
所
(
ところ
)
でない。
086
マール
で
蜃気楼
(
しんきろう
)
の
様
(
やう
)
な
話
(
はなし
)
であつたよ』
087
マール『
貴方
(
あなた
)
の
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
への
御
(
ご
)
報告
(
はうこく
)
は、
088
マールで
夢
(
ゆめ
)
の
様
(
やう
)
だつたと
言
(
い
)
ふことですが、
089
夢
(
ゆめ
)
にしても
大袈裟
(
おほげさ
)
なことですな』
090
貫州
(
くわんしう
)
『
俺
(
おれ
)
ばつかりぢやない。
091
武公
(
たけこう
)
でさへも
同
(
おな
)
じ
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのだから、
092
貫武
(
くわんぶ
)
一途
(
いつと
)
だよ。
093
どうしても
嘘
(
うそ
)
とは
思
(
おも
)
へないものだから
報告
(
はうこく
)
に
及
(
およ
)
んだのだ。
094
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は、
095
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
忠臣
(
ちうしん
)
だから、
096
貴様
(
きさま
)
の
見
(
み
)
る
夢
(
ゆめ
)
とは、
097
稍
(
やや
)
選
(
せん
)
を
異
(
こと
)
にして
居
(
ゐ
)
るのだ』
098
マール『
選
(
せん
)
を
異
(
こと
)
にして
居
(
ゐ
)
られるから、
099
戦
争
(
せんさう
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
御覧
(
ごらん
)
になり、
100
戦々
(
せんせん
)
恟々
(
きようきよう
)
として
戦況
(
せんきやう
)
を
御
(
ご
)
報告
(
はうこく
)
なさつたのですなア。
101
……
武公
(
たけこう
)
さま、
102
貴方
(
あなた
)
も
本当
(
ほんたう
)
に
其
(
そ
)
んな
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たのですか』
103
武公
(
たけこう
)
『
俺
(
おれ
)
は
別
(
べつ
)
に
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たと
云
(
い
)
ふ
訳
(
わけ
)
ではないが、
104
常々
(
つねづね
)
そんな
事
(
こと
)
が
在
(
あ
)
りはせぬかと、
105
案
(
あん
)
じて
居
(
を
)
つた
矢先
(
やさ
)
き、
106
貫州
(
くわんしう
)
が
周章
(
あわただ
)
しく
話
(
はな
)
したものだから、
107
俺
(
おれ
)
も
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
知
(
し
)
らぬが、
108
ツイ
捲
(
ま
)
き
込
(
こ
)
まれて
報告
(
はうこく
)
に
往
(
い
)
つたまでだ。
109
併
(
しか
)
し
軽信
(
けいしん
)
報告
(
はうこく
)
(
敬神
(
けいしん
)
報国
(
はうこく
)
)の
至誠
(
しせい
)
の
発露
(
はつろ
)
だから、
110
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
も
別
(
べつ
)
にお
咎
(
とが
)
め
遊
(
あそ
)
ばさず、
111
マア
無事
(
ぶじ
)
で
事済
(
ことずみ
)
となつたやうなものだ』
112
マール『そんなら
是
(
これ
)
から
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
両人
(
りやうにん
)
に
対
(
たい
)
し、
113
蜃気楼
(
しんきろう
)
ボールと
云
(
い
)
ふ
尊名
(
そんめい
)
を
奉
(
たてまつ
)
ることにしませうかい。
114
……のうミユーズ(
妙州
(
めうしう
)
)』
115
ミユーズ『オウそれが
宜
(
よ
)
からう。
116
蜃気楼
(
しんきろう
)
と
云
(
い
)
ふやつは、
117
少
(
すこ
)
しく
どんより
としたやうなハツキリせぬ
空
(
そら
)
に、
118
空中
(
くうちう
)
楼閣
(
ろうかく
)
が
出来
(
でき
)
たり、
119
松林
(
まつばやし
)
が
出来
(
でき
)
たり、
120
人馬
(
じんば
)
の
往来
(
わうらい
)
する
有様
(
ありさま
)
が
映
(
うつ
)
つて
来
(
く
)
るものだ。
121
何時
(
いつ
)
も
春夏
(
はるなつ
)
の
頃
(
ころ
)
になると、
122
ネルソン
山
(
ざん
)
の
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
に
蜃気楼
(
しんきろう
)
が
現
(
あら
)
はれ、
123
色々
(
いろいろ
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
女神
(
めがみ
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えたり、
124
中
(
なか
)
には
鬼
(
おに
)
や
大蛇
(
をろち
)
の
姿
(
すがた
)
が
現
(
あら
)
はるる
事
(
こと
)
がある。
125
大方
(
おほかた
)
貫州
(
くわんしう
)
さまは
夢
(
ゆめ
)
ではなくて、
126
其
(
その
)
蜃気楼
(
しんきろう
)
を
眺
(
なが
)
め、
127
ビツクリして
本真物
(
ほんまもの
)
ぢやと
思
(
おも
)
つて
報告
(
はうこく
)
しられたのだらう』
128
貫州
(
くわんしう
)
『
俺
(
おれ
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
から
此処
(
ここ
)
へやつて
来
(
き
)
たものだから、
129
空中
(
くうちう
)
にそんな
物
(
もの
)
が
現
(
あら
)
はれると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
130
話
(
はなし
)
は
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
るがまだ
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
はない。
131
一遍
(
いつぺん
)
見
(
み
)
たいものだなア』
132
マール『
此
(
この
)
竜宮島
(
りうぐうじま
)
には
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
と
云
(
い
)
つて、
133
立派
(
りつぱ
)
な
金銀
(
きんぎん
)
の
砂
(
すな
)
を
以
(
もつ
)
て
湖底
(
こてい
)
を
固
(
かた
)
めた
様
(
やう
)
な
綺麗
(
きれい
)
な
広
(
ひろ
)
い
水溜
(
みづたま
)
りがあり、
134
其処
(
そこ
)
に
竜神
(
りうじん
)
や
沢山
(
たくさん
)
の
女神
(
めがみ
)
が
現
(
あらは
)
れて、
135
色々
(
いろいろ
)
の
事
(
こと
)
を
遊
(
あそ
)
ばして
御座
(
ござ
)
る
姿
(
すがた
)
が、
136
時
(
とき
)
あつて
天上
(
てんじやう
)
に
映
(
えい
)
じ
我々
(
われわれ
)
国人
(
くにびと
)
を
驚
(
おどろ
)
かし
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
が
度々
(
たびたび
)
ありますよ。
137
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
近年
(
きんねん
)
は
如何
(
どう
)
したものか、
138
今迄
(
いままで
)
の
様
(
やう
)
にさう
度々
(
たびたび
)
現
(
あら
)
はれなくなつた。
139
大方
(
おほかた
)
ネルソン
山
(
ざん
)
を
向
(
むか
)
ふに
越
(
こ
)
えた
秘密郷
(
ひみつきやう
)
へ、
140
鼻曲
(
はなまが
)
りの
友彦
(
ともひこ
)
が
往
(
い
)
つたものだから、
141
竜神
(
りうじん
)
が
怒
(
いか
)
つて
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
深
(
ふか
)
くお
隠
(
かく
)
れ
遊
(
あそ
)
ばし、
142
色々
(
いろいろ
)
の
神業
(
しんげふ
)
を
御
(
ご
)
中止
(
ちゆうし
)
になつて、
143
蜃気楼
(
しんきろう
)
が
現
(
あら
)
はれないのかも
知
(
し
)
れない。
144
本当
(
ほんたう
)
に
竜神
(
りうじん
)
も
友彦
(
ともひこ
)
の
為
(
た
)
めに、
145
蜃気
楼
(
しんきろう
)
一転
(
いつてん
)
遊
(
あそ
)
ばしたのかも
知
(
し
)
れないよ。
146
アハヽヽヽ』
147
貫州
(
くわんしう
)
『オイ
向
(
むか
)
ふを
見
(
み
)
よ。
148
噂
(
うはさ
)
をすれば
影
(
かげ
)
とやら、
149
鼻先
(
はなさき
)
の
赤
(
あか
)
い
出歯
(
でば
)
の
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
の
友彦
(
ともひこ
)
に
似
(
に
)
た
奴
(
やつ
)
が
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
を
連
(
つ
)
れてやつて
来
(
く
)
るぢやないか』
150
武公
(
たけこう
)
『ヤア、
151
ホンによく
似
(
に
)
た
奴
(
やつ
)
だ。
152
然
(
しか
)
し
彼奴
(
あいつ
)
はジヤンナの
郷
(
さと
)
で
非常
(
ひじやう
)
な
勢
(
いきほひ
)
で
郷人
(
さとびと
)
にもてはやされ、
153
殆
(
ほとん
)
どネルソン
山
(
ざん
)
以西
(
いせい
)
は
友彦
(
ともひこ
)
の
勢力
(
せいりよく
)
範囲
(
はんゐ
)
になり、
154
言
(
い
)
はば
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
に
匹敵
(
ひつてき
)
する
様
(
やう
)
な
地位
(
ちゐ
)
に
迄
(
まで
)
進
(
すす
)
んだと
言
(
い
)
ふ
噂
(
うはさ
)
だから、
155
仮令
(
たとへ
)
此処
(
ここ
)
へ
来
(
く
)
るにしても、
156
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
や
二十
(
にじふ
)
人
(
にん
)
の
供
(
とも
)
を
連
(
つ
)
れて
来
(
く
)
るべき
筈
(
はず
)
だ。
157
鼻
(
はな
)
の
曲
(
まが
)
つた
奴
(
やつ
)
は
広
(
ひろ
)
い
世間
(
せけん
)
には、
158
二人
(
ふたり
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
無
(
な
)
いとも
限
(
かぎ
)
らぬ。
159
よもや
友彦
(
ともひこ
)
ではあるまいなア』
160
貫州
(
くわんしう
)
『ソレでもよく
見
(
み
)
よ。
161
友彦
(
ともひこ
)
に
間違
(
まちが
)
ひない
様
(
やう
)
だ。
162
彼奴
(
あいつ
)
は
今迄
(
いままで
)
の
地金
(
ぢがね
)
を
出
(
だ
)
して、
163
ジヤンナの
郷人
(
さとびと
)
に
愛想
(
あいさう
)
をつかされ、
164
居
(
ゐ
)
たたまらなくなり、
165
テールス
姫
(
ひめ
)
と
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
駆落
(
かけおち
)
と
出掛
(
でか
)
け、
166
地恩城
(
ちおんじやう
)
へ
救援軍
(
きうゑんぐん
)
を
願
(
ねが
)
ひに
来
(
き
)
たのか、
167
但
(
ただし
)
は
居候
(
ゐさふらふ
)
に
舞
(
ま
)
ひ
込
(
こ
)
んで
来居
(
きを
)
つたのに
間違
(
まちが
)
ひあるまいぞ』
168
武公
(
たけこう
)
『
果
(
はた
)
して
友彦
(
ともひこ
)
だつたらどうする
考
(
かんが
)
へだ』
169
貫州
(
くわんしう
)
『
無論
(
むろん
)
の
事
(
こと
)
、
170
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
懲
(
こら
)
しめの
為
(
た
)
め
打
(
ぶ
)
ち
のめす
のだ。
171
何程
(
なにほど
)
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
と
言
(
い
)
つても、
172
あんな
奴
(
やつ
)
を
門内
(
もんない
)
に
入
(
い
)
れて
耐
(
たま
)
るものかい。
173
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
174
どんな
事
(
こと
)
をし
居
(
を
)
るか
分
(
わか
)
つたものでない。
175
又
(
また
)
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
も、
176
あんな
男
(
をとこ
)
が
仮令
(
たとへ
)
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
でも
夫
(
をつと
)
であつたと、
177
人
(
ひと
)
に
思
(
おも
)
はれては
恥
(
はづ
)
かしいと
御
(
お
)
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
まれるに
定
(
きま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
178
それに
又
(
また
)
嬶
(
かか
)
アを
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るから、
179
そんな
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
らうものなら
又
(
また
)
もや
悋気
(
りんき
)
の
角
(
つの
)
を
生
(
は
)
やして、
180
どんな
騒動
(
さうだう
)
をおつぱじめるか
分
(
わか
)
らないから、
181
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
此
(
この
)
門内
(
もんない
)
に
一歩
(
いつぽ
)
たりとも
入
(
い
)
れてはならぬ。
182
先年
(
せんねん
)
の
様
(
やう
)
に
放
(
ほう
)
り
出
(
だ
)
して
仕舞
(
しま
)
ふに
限
(
かぎ
)
る』
183
と
話合
(
はなしあ
)
ふ
所
(
ところ
)
へ
夢
(
ゆめ
)
でもなく
現
(
うつつ
)
でも
蜃気楼
(
しんきろう
)
でもなく、
184
本当
(
ほんたう
)
の
友彦
(
ともひこ
)
はテールス
姫
(
ひめ
)
とただ
二人
(
ふたり
)
スタスタと
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
近
(
ちか
)
づき
来
(
きた
)
り、
185
友彦
(
ともひこ
)
『ヤア
貫州
(
くわんしう
)
さま、
186
武公
(
たけこう
)
さま、
187
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで、
188
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
宜
(
よろ
)
しう』
189
貫州
(
くわんしう
)
『ヤア
矢張
(
やつぱ
)
り
貴様
(
きさま
)
は
友彦
(
ともひこ
)
だな。
190
日頃
(
ひごろ
)
の
地金
(
ぢがね
)
を
出
(
だ
)
して、
191
又候
(
またぞろ
)
土人
(
どじん
)
の
奴
(
やつ
)
に
愛想
(
あいさう
)
をつかされ、
192
ノソノソと
遣
(
や
)
つて
来
(
き
)
たのだらうが、
193
此
(
この
)
城門
(
じやうもん
)
は
我々
(
われわれ
)
の
勢力
(
せいりよく
)
圏内
(
けんない
)
に
置
(
お
)
かれてある
関所
(
せきしよ
)
だから、
194
通
(
とほ
)
す
事
(
こと
)
は
罷
(
まか
)
りならぬ。
195
折角
(
せつかく
)
だがトツトと
帰
(
かへ
)
つて
呉
(
く
)
れ』
196
友彦
(
ともひこ
)
『
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
いませうが、
197
今日
(
こんにち
)
の
友彦
(
ともひこ
)
は
今
(
いま
)
までの
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
友彦
(
ともひこ
)
と
違
(
ちが
)
ひますから、
198
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なく
通過
(
つうくわ
)
させて
頂
(
いただ
)
きたい』
199
マール『モシモシ、
200
ボールさま、
201
此
(
こ
)
んな
奴
(
やつ
)
は
絶対
(
ぜつたい
)
に
通
(
とほ
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬなア』
202
貫州
(
くわんしう
)
『オウさうだ。
203
金輪際
(
こんりんざい
)
通
(
とほ
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
204
諦
(
あきら
)
めて
帰
(
かへ
)
つたがよからうぞ』
205
友彦
(
ともひこ
)
『
其
(
その
)
御
(
お
)
疑
(
うたが
)
ひは
御尤
(
ごもつと
)
も
乍
(
なが
)
ら、
206
我々
(
われわれ
)
はジヤンナイ
教
(
けう
)
を
立替
(
たてか
)
へ、
207
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
教
(
をしへ
)
を
立
(
た
)
て、
208
今日
(
こんにち
)
の
所
(
ところ
)
大変
(
たいへん
)
な
勢力
(
せいりよく
)
になりましたので、
209
同
(
おな
)
じ
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
於
(
お
)
ける
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
道
(
みち
)
、
210
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
に
一切
(
いつさい
)
報告
(
はうこく
)
し、
211
その
部下
(
ぶか
)
に
使
(
つか
)
つて
貰
(
もら
)
ひ、
212
全島
(
ぜんたう
)
を
統一
(
とういつ
)
して
頂
(
いただ
)
かうと
態
(
わざ
)
とに
供
(
とも
)
をも
連
(
つ
)
れず、
213
女房
(
にようばう
)
のテールス
姫
(
ひめ
)
と
只
(
ただ
)
二人
(
ふたり
)
遥々
(
はるばる
)
参
(
まゐ
)
りました。
214
どうぞ
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
叶
(
かな
)
はねば、
215
強
(
た
)
つてとは
申
(
まを
)
しませぬ。
216
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
になりとも
会
(
あ
)
はして
頂
(
いただ
)
きたう
御座
(
ござ
)
います』
217
マール『ヤイヤイ
友彦
(
ともひこ
)
、
218
供
(
とも
)
を
連
(
つ
)
れずにやつて
来
(
き
)
たと
今
(
いま
)
言
(
い
)
つたが、
219
友
(
とも
)
に
供
(
とも
)
が
要
(
い
)
るかい。
220
テールス
姫
(
ひめ
)
だとか
言
(
い
)
つて、
221
妙
(
めう
)
なアトラスのやうな
面
(
つら
)
した
女房
(
にようばう
)
が、
222
それ
程
(
ほど
)
有難
(
ありがた
)
いのか。
223
鼻
(
はな
)
の
赤
(
あか
)
い
奴
(
やつ
)
や、
224
顔
(
かほ
)
の
斑
(
まだら
)
に
赤
(
あか
)
い
奴
(
やつ
)
が
勿体
(
もつたい
)
なくも
地恩城
(
ちおんじやう
)
にやつて
来
(
き
)
て、
225
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
を
願
(
ねが
)
ひたいとは、
226
そりや
何
(
なに
)
を
戯
(
ふざ
)
けた
事
(
こと
)
を
吐
(
ほざ
)
くのだ。
227
チツト
貴様
(
きさま
)
、
228
面
(
つら
)
と
相談
(
さうだん
)
して
見
(
み
)
ろ』
229
テールス
姫
(
ひめ
)
『
友彦
(
ともひこ
)
さま、
230
サーチライス
地恩城
(
ちおんじやう
)
、
231
エツプツプ、
232
エツパエツパ、
233
パーチクパーチク、
234
イツパーパー』
235
と
土人語
(
どじんご
)
で
囀
(
さへづ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
236
此
(
この
)
意味
(
いみ
)
は……
友彦
(
ともひこ
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
を、
237
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
門番
(
もんばん
)
が、
238
訳
(
わけ
)
も
分
(
わか
)
らずに
我々
(
われわれ
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
して
入門
(
にふもん
)
を
拒絶
(
きよぜつ
)
して
居
(
ゐ
)
るが、
239
決
(
けつ
)
して
躊躇
(
ちうちよ
)
に
及
(
およ
)
ばぬ、
240
ドシドシ
這入
(
はい
)
りませう……との
意味
(
いみ
)
であつた。
241
友彦
(
ともひこ
)
は、
242
友彦
『
貫州
(
くわんしう
)
、
243
武公
(
たけこう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
方々
(
かたがた
)
、
244
話
(
はなし
)
は
後
(
あと
)
で
分
(
わか
)
りませう。
245
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
左守
(
さもり
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
の
上
(
うへ
)
………』
246
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らテールス
姫
(
ひめ
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き、
247
表門
(
おもてもん
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かむとする。
248
貫州
(
くわんしう
)
、
249
武公
(
たけこう
)
は、
250
貫州
(
くわんしう
)
『コリヤ
大変
(
たいへん
)
だ、
251
貴様
(
きさま
)
を
入
(
い
)
れてなるものか……』
252
と、
253
マール、
254
ミユーズ
其
(
その
)
他
(
た
)
の
人々
(
ひとびと
)
に
目配
(
めくば
)
せした。
255
マールを
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
友彦
(
ともひこ
)
の
後
(
あと
)
より
追
(
お
)
ひ
縋
(
すが
)
り、
256
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
二人
(
ふたり
)
を
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
突
(
つ
)
き
倒
(
たふ
)
し、
257
踏
(
ふ
)
む、
258
蹴
(
け
)
る、
259
殴
(
たた
)
く、
260
殆
(
ほとん
)
ど
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
はせた。
261
友彦
(
ともひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
少
(
すこ
)
しも
抵抗
(
ていかう
)
せず、
262
一同
(
いちどう
)
が
打擲
(
ちやうちやく
)
する
儘
(
まま
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
263
一同
(
いちどう
)
は
余
(
あま
)
り
友彦
(
ともひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
従順
(
じうじゆん
)
なるに、
264
少
(
すこ
)
しく
小気味
(
こぎみ
)
悪
(
わる
)
くなり、
265
友彦
(
ともひこ
)
の
言葉
(
ことば
)
につれ、
266
貫州
(
くわんしう
)
、
267
武公
(
たけこう
)
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は、
268
大地
(
だいち
)
に
蹲踞
(
しやが
)
み
乍
(
なが
)
ら
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
唱
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
269
右守
(
うもり
)
の
鶴公
(
つるこう
)
は
門内
(
もんない
)
の
木蔭
(
こかげ
)
を
逍遥
(
せうえう
)
し
居
(
を
)
る
折
(
をり
)
しも、
270
門外
(
もんぐわい
)
に
当
(
あた
)
つて
大勢
(
おほぜい
)
の
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えたのを
訝
(
いぶ
)
かり
乍
(
なが
)
ら、
271
声
(
こゑ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
表門
(
おもてもん
)
を
潜
(
くぐ
)
り、
272
門前
(
もんぜん
)
の
密樹
(
みつじゆ
)
茂
(
しげ
)
れる
広
(
ひろ
)
き
林
(
はやし
)
に
立出
(
たちい
)
で、
273
一同
(
いちどう
)
の
姿
(
すがた
)
を
認
(
みと
)
めて
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りて、
274
友彦
(
ともひこ
)
が
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
に
交
(
まじ
)
りて
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
するを
見
(
み
)
て
大
(
おほ
)
いに
驚
(
おどろ
)
き、
275
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
、
276
踵
(
きびす
)
を
返
(
かへ
)
し
奥殿
(
おくでん
)
深
(
ふか
)
く
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すす
)
み
此
(
この
)
由
(
よし
)
を
委曲
(
つぶさ
)
に
報告
(
はうこく
)
した。
277
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
驚
(
おどろ
)
くかと
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
、
278
ニツコリとして、
279
黄竜姫
『
右守殿
(
うもりどの
)
、
280
友彦
(
ともひこ
)
が
御
(
お
)
入来
(
いで
)
になつたとやら、
281
お
供
(
とも
)
の
方
(
かた
)
はいづれ
沢山
(
たくさん
)
お
在
(
あ
)
りでせうな』
282
鶴公
(
つるこう
)
『ハイ、
283
別
(
べつ
)
に
供
(
とも
)
らしき
者
(
もの
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
284
見慣
(
みな
)
れぬ
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
が
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
285
大方
(
おほかた
)
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
きテールス
姫
(
ひめ
)
でせう』
286
黄竜姫
『ハテ
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
もあるものだ。
287
あれ
丈
(
だ
)
け
勢力
(
せいりよく
)
を
得
(
え
)
たる
旭日
(
きよくじつ
)
昇天
(
しようてん
)
の
友彦
(
ともひこ
)
さまが、
288
供
(
とも
)
をも
連
(
つ
)
れず
夫婦
(
ふうふ
)
連
(
づれ
)
お
越
(
こ
)
しになつたとは、
289
一体
(
いつたい
)
どうした
訳
(
わけ
)
だらう』
290
鶴公
(
つるこう
)
『
私
(
わたし
)
の
察
(
さつ
)
する
所
(
ところ
)
、
291
友彦
(
ともひこ
)
さまは
又
(
また
)
例
(
れい
)
の
地金
(
ぢがね
)
を
現
(
あら
)
はし、
292
土人
(
どじん
)
に
愛想
(
あいさう
)
をつかされ
夫婦
(
ふうふ
)
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて、
293
此処
(
ここ
)
へ
命
(
いのち
)
からがら
逃
(
に
)
げ
来
(
こ
)
られたものと
思
(
おも
)
はれます。
294
如何
(
いかが
)
致
(
いた
)
したら
宜
(
よろ
)
しう
御座
(
ござ
)
いますか。
295
御
(
お
)
指図
(
さしづ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
296
黄竜姫
『
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
で
御
(
お
)
入来
(
いで
)
になつたのではありますまい。
297
妾
(
わたし
)
は
少
(
すこ
)
し
心
(
こころ
)
に
当
(
あた
)
る
事
(
こと
)
がある。
298
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
オーストラリヤに
於
(
お
)
ける
三五教
(
あななひけう
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
、
299
敬意
(
けいい
)
を
払
(
はら
)
ふ
為
(
た
)
めに、
300
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
妾
(
わたし
)
門外
(
もんぐわい
)
にお
迎
(
むか
)
ひに
参
(
まゐ
)
りませう』
301
鶴公
(
つるこう
)
『
右守
(
うもり
)
として
申上
(
まをしあ
)
げます。
302
苟
(
いやしく
)
も
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
たる
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て、
303
軽々
(
かるがる
)
しくお
出
(
い
)
で
遊
(
あそ
)
ばすは、
304
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
にも
関
(
かかは
)
りませう。
305
どうぞ
此
(
この
)
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
りは
御
(
ご
)
中止
(
ちうし
)
を
願
(
ねが
)
ひたう
存
(
ぞん
)
じます。
306
私
(
わたし
)
がお
迎
(
むか
)
へ
申
(
まを
)
して
参
(
まゐ
)
りますから、
307
奥殿
(
おくでん
)
にお
待
(
ま
)
ち
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
308
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り、
309
黄竜姫
『イエイエ、
310
同
(
おな
)
じ
天地
(
てんち
)
の
分霊
(
わけみたま
)
、
311
人間
(
にんげん
)
に
上下
(
じやうげ
)
の
区別
(
くべつ
)
はない。
312
又
(
また
)
今
(
いま
)
、
313
友彦
(
ともひこ
)
様
(
さま
)
はジヤンナの
郷
(
さと
)
の
国人
(
くにびと
)
を
主宰
(
しゆさい
)
する
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
お
)
方
(
かた
)
とお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
314
妾
(
わたし
)
は
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
とまで
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るのも、
315
浅
(
あさ
)
からぬ
因縁
(
いんねん
)
でせう。
316
仮令
(
たとへ
)
一
(
いつ
)
ケ
年
(
ねん
)
でも
夫婦
(
ふうふ
)
となつた
間柄
(
あひだがら
)
、
317
お
迎
(
むか
)
ひ
申上
(
まをしあ
)
げねばなりますまい』
318
と
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
319
梅子姫
(
うめこひめ
)
の
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
在
(
あ
)
らざるを
幸
(
さいは
)
ひ、
320
自
(
みづか
)
らスタスタと
門前
(
もんぜん
)
に
現
(
あら
)
はれ、
321
友彦
(
ともひこ
)
が
端坐
(
たんざ
)
する
傍
(
かたはら
)
に
寄
(
よ
)
り
添
(
そ
)
ひ、
322
黄竜姫
『
妾
(
わたし
)
は
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
323
昔
(
むかし
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
324
友彦
(
ともひこ
)
様
(
さま
)
並
(
なら
)
びにテールス
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
325
サアどうぞ
妾
(
わたし
)
と
共
(
とも
)
に
奥殿
(
おくでん
)
にお
進
(
すす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ』
326
友彦
(
ともひこ
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
にフト
見上
(
みあ
)
ぐれば、
327
昔
(
むかし
)
の
面影
(
おもかげ
)
アリアリと
顔
(
かほ
)
の
何処
(
どこ
)
やらに
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
小糸姫
(
こいとひめ
)
なので、
328
……
友彦
(
ともひこ
)
はハツと
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ
恭
(
うやうや
)
しく
両手
(
りやうて
)
をつき、
329
友彦
(
ともひこ
)
『これはこれは
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
、
330
勿体
(
もつたい
)
ない
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
お
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
さいまして、
331
……これなるは
私
(
わたし
)
が
女房
(
にようばう
)
テールス
姫
(
ひめ
)
と
申
(
まを
)
すもの、
332
今
(
いま
)
は
熱心
(
ねつしん
)
な
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
として、
333
友彦
(
ともひこ
)
が
神務
(
しんむ
)
を
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
り
補助
(
ほじよ
)
致
(
いた
)
すもので
御座
(
ござ
)
います。
334
申上
(
まをしあ
)
げたき
事
(
こと
)
は
山々
(
やまやま
)
御座
(
ござ
)
いますが、
335
然
(
しか
)
らば
奥殿
(
おくでん
)
にて
悠々
(
ゆるゆる
)
と
申上
(
まをしあ
)
げませう』
336
テールス
姫
(
ひめ
)
『
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
、
337
始
(
はじ
)
めてお
目
(
め
)
にかかります。
338
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しくお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
339
と
友彦
(
ともひこ
)
に
連
(
つ
)
れられ、
340
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
つ
)
いて
門内
(
もんない
)
深
(
ふか
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
341
右守
(
うもり
)
の
鶴公
(
つるこう
)
は
不承
(
ふしよう
)
不性
(
ぶしよう
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
行
(
ゆ
)
く。
342
貫州
(
くわんしう
)
、
343
武公
(
たけこう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
は、
344
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
幻
(
まぼろし
)
かと、
345
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せ
呆
(
あき
)
れて
再
(
ふたた
)
び
言葉
(
ことば
)
もなく、
346
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
をアフンとして
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
347
(
大正一一・七・一〇
旧閏五・一六
谷村真友
録)
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