霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一四章 園遊会(ゑんいうくわい)〔七六〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻 篇:第4篇 神花霊実 よみ(新仮名遣い):しんかれいじつ
章:第14章 園遊会 よみ(新仮名遣い):えんゆうかい 通し章番号:760
口述日:1922(大正11)年07月11日(旧閏05月17日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年5月25日
概要: 舞台:地恩城 あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
晩夏の頃、地恩城では友彦夫婦のために園遊会が開かれた。梅子姫は中央の蓮華岩に立って面白い歌を歌って興を添えた。また蜈蚣姫はこれまでの事を歌に歌いながら、面白い手つきをして踊って見せた。その他の人々も歌いかつ踊った。
園遊会が終わって幹部たちは居室に戻っていった。草の上ではマールが酔ってくだを巻いている。蜈蚣姫は昔はバラモン教で羽振りを利かせていたが、娘が三五教の女王になったら、俄かに心機一転したのが気に入らない、という。
貫州はそれをたしなめている。するとネルソン山の峰の上に、異様の女神が七八人現れ、瞬くうちに荘厳な神殿が聳え立つ蜃気楼を武公が発見した。
武公の注進により、幹部たちも高殿からこの明瞭な蜃気楼を眺めた。そこには諏訪の湖にて、多数の女神に手を引かれた清公ら四人の宣伝使が、何事か神勅を受けているのが見えた。
黄竜姫はこれを見て、この有様を言霊歌に歌った。そして、自らも諏訪の湖に赴いて珍の宝を戴き、自転倒島に奉る神業に着手しようと呼びかけた。黄竜姫たちは早速旅装を調えて出発した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ニユージランド(ニュージーランド) データ凡例: データ最終更新日:2021-09-13 18:33:09 文字数:5940 OBC :rm2514
愛善世界社版:202頁 八幡書店版:第5輯 105頁 修補版: 校定版:211頁 普及版:90頁 初版: ページ備考:
001 オーストラリヤの一(ひと)つ島(じま)は、002現在(げんざい)は殆(ほとん)ど夏(なつ)計(ばか)りなれども、003此(この)時代(じだい)は僅(わづ)かに春夏(はるなつ)秋冬(あきふゆ)の区別(くべつ)がついて居(ゐ)た。004日中(につちう)は年中(ねんぢう)殆(ほとん)ど同(おな)じ暑熱(しよねつ)であつたが、005朝夕(てうせき)夜間(やかん)の気候(きこう)には自然(しぜん)に四季(しき)の区別(くべつ)を現(あら)はして居(ゐ)た。
006 我国(わがくに)で言(い)へば殆(ほとん)ど晩夏(ばんか)の頃(ころ)、007城外(じやうぐわい)の天(てん)を封(ふう)じて立(た)てる老樹(らうじゆ)の遠近(をちこち)に生茂(おひしげ)る馬場(ばんば)に於(おい)て友彦(ともひこ)夫婦(ふうふ)の為(ため)に大(だい)園遊会(ゑんいうくわい)が開(ひら)かれた。008四面(しめん)山(やま)に包(つつ)まれたる地恩郷(ちおんきやう)は、009平地(へいち)としては全島(ぜんたう)に於(お)ける第一(だいいち)の高地(かうち)であつた。010谷川(たにがは)は南北(なんぽく)を流(なが)れ、011崎嶇(きく)たる岩石(がんせき)、012谷々(たにだに)に壁(かべ)の如(ごと)く突(つ)つ立(た)ち、013奇勝(きしよう)絶景(ぜつけい)並(なら)ぶものなき景勝(けいしよう)の地(ち)である。
014 一(ひと)つ嶋(じま)に於(お)ける景勝(けいしよう)の地(ち)は、015第一(だいいち)に諏訪(すは)の湖(みづうみ)、016第二(だいに)にヒルの郷(さと)のクシの滝壺(たきつぼ)の近辺(きんぺん)に指(ゆび)を屈(くつ)するのである。017されどヒルの渓谷(けいこく)は区域(くゐき)最(もつと)も狭(せま)くして、018平地(へいち)は殆(ほとん)ど無(な)く、019地恩郷(ちおんきやう)に対(たい)して、020其(その)大小(だいせう)広狭(くわうけふ)の点(てん)に於(おい)て比(くら)べものにならない。021土地(とち)高(たか)く風(かぜ)清(きよ)く、022且(か)つ面積(めんせき)広(ひろ)く、023大樹(たいじゆ)鬱蒼(うつさう)たる点(てん)は、024全島(ぜんたう)第一(だいいち)と称(しよう)せられて居(ゐ)る。
025 門外(もんぐわい)の広場(ひろば)の森林(しんりん)には所々(ところどころ)に赤(あか)、026白(しろ)、027黒(くろ)、028青(あを)、029紅(べに)等(とう)の面白(おもしろ)き形(かたち)をしたる岩石(がんせき)、030地中(ちちう)より頭(かしら)をもたげ、031一見(いつけん)して大(だい)なる花(はな)の地上(ちじやう)より咲(さ)き出(い)でたる如(ごと)く思(おも)はる。032岩石(がんせき)の大部分(だいぶぶん)は、033蓮華(れんげ)の花(はな)の咲(さ)き出(い)でたる如(ごと)き自然形(しぜんけい)をなし、034国人(くにびと)は単(たん)に之(これ)を蓮華岩(れんげいは)と云(い)ひ、035或(あるひ)は蓮華(れんげ)の馬場(ばんば)とも名(な)づけて居(ゐ)る。
036 黄竜姫(わうりようひめ)以下(いか)数百(すうひやく)人(にん)の人々(ひとびと)は、037右往(うわう)左往(さわう)に、038思(おも)ひ思(おも)ひの遊戯(あそび)をなし、039歌(うた)ふ、040踊(をど)る、041舞(ま)ふ、042岩笛(いはぶえ)を吹(ふ)く、043石(いし)を拍(う)つ、044一絃琴(いちげんきん)、045二絃琴(にげんきん)、046三絃琴(さんげんきん)の音(おと)嚠喨(りうりやう)として響(ひび)き、047横笛(よこぶえ)、048縦笛(たてぶえ)、049磬盤(けいばん)などの音(おと)は最(もつと)も賑(にぎは)しく、050思(おも)はず身(み)を天国(てんごく)にのぼせ、051妙音(めうおん)菩薩(ぼさつ)の来(きた)りて楽(がく)を奏(そう)する如(ごと)き感(かん)に打(う)たれ居(ゐ)る。052梅子姫(うめこひめ)は中央(ちうあう)の最(もつと)も高(たか)き紫色(むらさきいろ)の蓮華岩(れんげいは)に登(のぼ)り、053面白(おもしろ)き歌(うた)を歌(うた)つて興(きよう)を添(そ)へた。
054梅子姫『芙蓉山(はちすのやま)と聞(きこ)えたる
055天教山(てんけうざん)に現(あ)れませる
056木(こ)の花姫(はなひめ)の御(おん)身魂(みたま)
057一度(いちど)に開(ひら)く梅子姫(うめこひめ)
058皇(すめ)大神(おほかみ)の統御(うしは)げる
059皇御国(すめらみくに)のスの種(たね)を
060四方(よも)に間配(まくば)り大八洲(おほやしま)
061数(かず)ある中(なか)に自転倒(おのころ)の
062島根(しまね)の国(くに)の真秀良場(まほらば)や
063青垣山(あをがきやま)を繞(めぐ)らせる
064下津(したつ)磐根(いはね)の蓮華台(れんげだい)
065芙蓉山(はちすのやま)の御(おん)移写(うつし)
066神(かみ)の教(をしへ)に国人(くにびと)の
067心(こころ)も開(ひら)く蓮葉(はちすば)の
068匂(にほ)ひ出(い)でたる地恩郷(ちおんきやう)
069蓮華(れんげ)の花(はな)の此処(ここ)彼処(かしこ)
070咲(さ)き乱(みだ)れたる其(その)台(うてな)
071神(かみ)の教(をしへ)を麻柱(あなな)ひし
072貴(うづ)の御子(みこ)たる八乙女(やをとめ)の
073開(ひら)き初(そ)めたる梅子姫(うめこひめ)
074三千(さんぜん)世界(せかい)の神人(かみびと)を
075招(まね)き集(つど)ふる此(この)斎場(ゆには)
076教(をしへ)の稜威(いづ)も高天(たかあま)の
077原(はら)に坐(ま)します日(ひ)の御神(みかみ)
078月(つき)の御神(みかみ)の御恵(みめぐみ)の
079御水火(みいき)を受(う)けて黄竜姫(わうりようひめ)
080大海原(おほうなばら)の波(なみ)を分(わ)け
081雲(くも)を起(おこ)して久方(ひさかた)の
082天津(あまつ)御国(みくに)に昇(のぼ)る如(ごと)
083御稜威(みいづ)畏(かしこ)き神司(かむづかさ)
084母(はは)と現(あ)れます蜈蚣姫(むかでひめ)
085豊葦原(とよあしはら)の中津国(なかつくに)
086メソポタミヤの顕恩郷(けんおんきやう)
087エデンの河(かは)と諸共(もろとも)に
088清(きよ)き誉(ほまれ)を流(なが)したる
089バラモン教(けう)の神司(かむづかさ)
090鬼熊別(おにくまわけ)の片柱(かたはしら)
091天地(あめつち)四方(よも)の神人(かみびと)を
092誠(まこと)の道(みち)に救(すく)はむと
093大国別(おほくにわけ)の御言(みこと)もて
094埃及国(エジプトこく)や波斯(フサ)の国(くに)
095印度(ツキ)の国(くに)まで教線(けうせん)を
096布(し)かせ給(たま)ひし雄々(をを)しさよ
097父(ちち)大神(おほかみ)の神言(みこと)もて
098天(あめ)の太玉(ふとだま)神司(かむづかさ)
099エデンの河(かは)を打(う)ち渡(わた)り
100顕恩城(けんおんじやう)に出(い)でまして
101天津誠(あまつまこと)の御教(みをしへ)を
102𪫧怜(うまら)に委曲(つばら)に宣(の)りつれど
103天運(てんうん)未(いま)だ循環(めぐ)り来(こ)ず
104鬼雲彦(おにくもひこ)の荒神(あらがみ)は
105神(かみ)の心(こころ)を慮(はか)り兼(か)ね
106雲(くも)を霞(かすみ)と自転倒(おのころ)の
107島(しま)に渡(わた)らせ給(たま)ひつつ
108率(ひき)ゆる人(ひと)も大江山(おほえやま)
109稜威(いづ)の砦(とりで)を構(かま)へ立(た)て
110教(をしへ)の花(はな)の開(ひら)く様(さま)
111みくにケ嶽(だけ)や鬼(おに)ケ城(じやう)
112北(きた)と南(みなみ)にバラモンの
113教(をしへ)の射場(いば)を造(つく)りつつ
114同(おな)じ天地(てんち)の珍(うづ)の子(こ)と
115生(うま)れ出(い)でたる三五(あななひ)の
116神(かみ)の司(つかさ)に追(お)はれまし
117再(ふたた)び波斯(フサ)の本国(ほんごく)へ
118帰(かへ)り給(たま)ひし痛(いた)ましさ
119あゝさり乍(なが)ら さり乍(なが)ら
120此(この)世(よ)を造(つく)りし大神(おほかみ)の
121恵(めぐみ)の露(つゆ)は天地(あめつち)の
122百(もも)の神人(かみびと)草木(くさき)まで
123漏(も)れ落(お)ちもなく霑(うるほ)ひて
124誠(まこと)の道(みち)に敵(てき)もなく
125味方(みかた)の差別(けぢめ)もなき世(よ)をば
126小(ちひ)さき意地(いぢ)に搦(から)まれて
127右(みぎ)や左(ひだり)や北南(きたみなみ)
128種々(いろいろ)雑多(ざつた)と名(な)を変(か)へて
129荒(すさ)び居(ゐ)るこそ悲(かな)しけれ
130転迷(てんめい)開悟(かいご)の蓮花(はちすばな)
131愈(いよいよ)開(ひら)く常磐木(ときはぎ)の
132松(まつ)の神代(かみよ)のめぐり来(き)て
133敵(てき)と味方(みかた)の区別(くべつ)なく
134心(こころ)合(あは)せし一(ひと)つ島(じま)
135地恩(ちおん)の郷(さと)に三五(あななひ)の
136教(をしへ)を開(ひら)く嬉(うれ)しさは
137高天原(たかあまはら)に手(て)を曳(ひ)いて
138歓(ゑら)ぎ遊(あそ)べる如(ごと)くなり
139あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
140御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
141一度(ひとたび)叛(そむ)きし友彦(ともひこ)が
142心(こころ)の空(そら)に月(つき)は照(て)り
143輝(かがや)き渡(わた)る今日(けふ)の宵(よひ)
144国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)や
145神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
146此(この)有様(ありさま)を詳細(つばらか)に
147眺(なが)め玉(たま)へば如何(いか)ばかり
148歓(ゑら)ぎ給(たま)ふか白雲(しらくも)の
149包(つつ)む谷間(たにま)ぞ床(ゆか)しけれ
150科戸(しなど)の彦(ひこ)や科戸姫(しなどひめ)
151御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
152地恩(ちおん)の郷(さと)や吾々(われわれ)が
153心(こころ)を包(つつ)む雲霧(くもきり)を
154一日(ひとひ)も早(はや)く吹(ふ)き払(はら)ひ
155天国(てんごく)浄土(じやうど)の真相(しんさう)を
156宇宙(うちう)主宰(しゆさい)の大神(おほかみ)の
157御前(みまへ)に現(あら)はし奉(まつ)るべし
158神(かみ)は吾(われ)等(ら)と倶(とも)にます
159親子(おやこ)兄弟(けいてい)睦(むつ)び合(あ)ひ
160此(この)楽園(らくゑん)に神国(かみぐに)の
161春(はる)を楽(たの)しむ一同(いちどう)の
162花(はな)も開(ひら)きし蓮華台(れんげだい)
163堅磐(かきは)常磐(ときは)の岩(いは)の上(へ)に
164千代(ちよ)も八千代(やちよ)も万代(よろづよ)も
165栄(さか)えませよと願(ね)ぎまつる
166あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
167御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
168と歌(うた)ひ終(をは)つて、169紫(むらさき)の蓮華岩(れんげいは)を下(くだ)り来(きた)り、170芝生(しばふ)の上(うへ)に息(いき)を休(やす)め居(ゐ)る。
171 蜈蚣姫(むかでひめ)は稍(やや)くの字(じ)に曲(まが)つた体(からだ)を揺(ゆす)ぶり乍(なが)ら、172両手(りやうて)を拡(ひろ)げて手付(てつ)き面白(おもしろ)く、173廁(かはや)の水浸(みづづ)き然(ぜん)として歌(うた)ひ踊(をど)り始(はじ)めたり。
174蜈蚣姫『豊葦原(とよあしはら)の瑞穂国(みづほくに)
175根分(ねわ)けの国(くに)と伝(つた)はりし
176メソポタミヤにバラモンの
177足(あし)場(ば)を作(つく)り天(あめ)が下(した)
178世界(せかい)十字(じふじ)に踏(ふ)みならす
179蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の身(み)の果(はて)は
180メソポタミヤを後(あと)にして
181波斯(ペルシヤ)を越(こ)えて印度(ツキ)の国(くに)
182大空(おほぞら)駆(か)ける磐船(いはふね)に
183身(み)を任(まか)せつつ自転倒(おのころ)の
184島(しま)に渡(わた)りて彼方(あち)此方(こち)と
185教(をしへ)を開(ひら)き黄金(わうごん)の
186玉(たま)の所在(ありか)を探(さぐ)らむと
187思(おも)ひし事(こと)も水(みづ)の泡(あわ)
188阿波(あは)の鳴門(なると)や淡路島(あはぢしま)
189生命(いのち)の瀬戸(せと)の海(うみ)越(こ)えて
190小豆(せうど)ケ島(しま)や南洋(なんやう)の
191竜宮島(りうぐうじま)のアンボイナ
192男滝(をだき)女滝(めだき)に身(み)を浴(よく)し
193浪路(なみぢ)も遠(とほ)き太平(たいへい)の
194洋(うみ)を渡(わた)りて進(すす)み来(く)る
195船脚(ふなあし)早(はや)く沓(くつ)の島(しま)
196ニユージランドの玉森(たまもり)に
197一度(ひとたび)息(いき)を休(やす)めつつ
198波(なみ)を辷(すべ)りて此(この)島(しま)に
199着(つ)くや間(ま)もなく地恩郷(ちおんきやう)
200神(かみ)の立(た)てたる三五(あななひ)の
201教柱(をしへはしら)の黄竜姫(わうりようひめ)
202来(きた)りて見(み)れば吾(わが)娘(むすめ)
203小糸(こいと)の姫(ひめ)の面影(おもかげ)は
204老(おい)の眼(まなこ)もうるみなく
205擬(まが)ふ方(かた)なき愛娘(まなむすめ)
206教(をしへ)の光(ひかり)久方(ひさかた)の
207天津(あまつ)御空(みそら)の雲(くも)分(わ)けて
208天降(あも)りましたる朝日子(あさひこ)の
209日(ひ)の出神(でのかみ)の御(おん)守(まも)り
210金勝要(きんかつかねの)大神(おほかみ)が
211御(ご)分霊(ぶんれい)なる真澄姫(ますみひめ)
212天(あめ)と地(つち)との神々(かみがみ)の
213其(その)懐(ふところ)に抱(いだ)かれて
214安々(やすやす)送(おく)る老(おい)の身(み)の
215心(こころ)に懸(かか)る雲(くも)もなし
216さはさり乍(なが)ら白雲(しらくも)の
217彼方(あなた)に遠(とほ)き波斯(フサ)の国(くに)
218夫(つま)の命(みこと)は黄竜姫(わうりようひめ)が
219少女(ひめ)の命(みこと)の今日(けふ)の様(さま)
220未(いま)だ知(し)らずにましまさむ
221翼(つばさ)なき身(み)は如何(いか)にせむ
222空(そら)漕(こ)ぎ渡(わた)る鳥船(とりぶね)も
223皇(すめ)大神(おほかみ)の警告(いましめ)に
224今(いま)は用(もち)ゆる術(すべ)もなく
225空(そら)行(ゆ)く雲(くも)の吾(わが)為(ため)に
226篤(あつ)き心(こころ)のあるならば
227一日(ひとひ)も早(はや)く夫(つま)の辺(へ)に
228吾(われ)等(ら)親子(おやこ)の喜(よろこ)びを
229一日(ひとひ)も早(はや)く伝(つた)へかし
230遠(とほ)く四方(しはう)を見渡(みわた)せば
231霧(きり)に隠(かく)れし地恩郷(ちおんきやう)
232何(なん)の目的(あてど)も梨礫(なしつぶて)
233鳩(はと)の使(つかひ)の片音信(かただより)
234執着心(しふちやくしん)の曲鬼(まがおに)を
235伊吹(いぶき)祓(はら)ひに打祓(うちはら)ひ
236速川(はやかは)の瀬(せ)に清(きよ)めむと
237心(こころ)に覚悟(かくご)は定(き)め乍(なが)ら
238忘(わす)れ難(がた)きは恩愛(おんあい)の
239止(とど)むる由(よし)なき吾(わが)涙(なみだ)
240梅子(うめこ)の姫(ひめ)よ友彦(ともひこ)よ
241テールス姫(ひめ)よ宇豆姫(うづひめ)よ
242スマートボール鶴公(つるこう)よ
243其(その)他(た)並居(なみゐ)る教子(をしへご)よ
244神(かみ)の真道(まみち)に入(い)り乍(なが)ら
245心(こころ)もつれし吾(わが)姿(すがた)
246眺(なが)めて笑(わら)うて下(くだ)さるな
247道(みち)は道(みち)なり親(おや)と子(こ)の
248情(なさけ)は世界(せかい)の始(はじ)めより
249今(いま)に変(かは)らぬ玉椿(たまつばき)
250千代(ちよ)も八千代(やちよ)も永久(とこしへ)に
251動(うご)かぬものと神直日(かむなほひ)
252見直(みなほ)しまして何時迄(いつまで)も
253吾(われ)等(ら)親子(おやこ)を親子(おやこ)とし
254堅磐(かきは)常磐(ときは)に道(みち)の為(ため)
255尽(つく)させ給(たま)へ惟神(かむながら)
256神(かみ)の御前(みまへ)に久方(ひさかた)の
257天津(あまつ)祝詞(のりと)の声(こゑ)清(きよ)く
258仕(つか)へ奉(まつ)らむ蜈蚣姫(むかでひめ)
259あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
260神(かみ)に誓(ちか)ひし教子(をしへご)よ
261教(をしへ)を守(まも)るピユリタンよ』
262と歯(は)の抜(ぬ)けた口(くち)から、263不整調(ふせいてう)な言霊(ことたま)にて歌(うた)ひ終(をは)り、264蓮華岩(れんげいは)の上(うへ)に腰(こし)を打下(うちおろ)し、265ホツと息(いき)を吐(つ)いた。266続(つづ)いてスマートボール、267宇豆姫(うづひめ)、268鶴公(つるこう)其(その)他(た)の歌(うた)は数多(あまた)あれども、269山鳥(やまどり)の尾(を)の余(あま)り長々(ながなが)しければ省略(しやうりやく)す。
270 黄竜姫(わうりようひめ)以下(いか)幹部(かんぶ)は、271園遊会(ゑんいうくわい)を切(き)りあげて表門(おもてもん)を潜(くぐ)り、272各(おのおの)居室(きよしつ)に姿(すがた)を隠(かく)した。273貫州(くわんしう)、274武公(たけこう)、275マール、276ミユーズ其(その)他(た)の連中(れんぢう)は、277後(あと)に残(のこ)りて酒(さけ)に酔(よ)ひ、278クダを巻(ま)き、279解放(かいはう)的(てき)気分(きぶん)になつて、280彼方(あちら)に五(ご)人(にん)此方(こちら)に三(さん)人(にん)と、281木蔭(こかげ)に足(あし)を投(な)げ出(だ)し、282芝草(しばくさ)をむしり乍(なが)ら雑談(ざつだん)に耽(ふけ)つて居(ゐ)る。283マールは口(くち)を縺(もつ)れさせ乍(なが)ら、
284マール『モシモシ、285貫州(くわんしう)のボールさま……蜈蚣姫(むかでひめ)さまも昔(むかし)はバラモン教(けう)の立派(りつぱ)な大将株(たいしやうかぶ)で終局(しまひのはて)にや海洋(かいやう)万里(ばんり)の自転倒(おのころ)島(じま)まで玉(たま)を探(さが)しに往(い)つたり、286宣伝(せんでん)をされたり、287三五教(あななひけう)を目(め)の敵(かたき)の様(やう)に敵対(てきた)うて御座(ござ)つた癖(くせ)に、288自分(じぶん)の娘(むすめ)が三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)、289地恩城(ちおんじやう)の女王(ぢよわう)さまになつたと思(おも)つて、290俄(にはか)に心機(しんき)一転(いつてん)し、291三五教(あななひけう)を此(この)上(うへ)なき結構(けつこう)な教(をしへ)の様(やう)に思(おも)つて御座(ござ)るのは、292チツと可笑(をか)しなものですな。293梅子姫(うめこひめ)さまに、294最前(さいぜん)の様(やう)に耳(みみ)の痛(いた)い歌(うた)を歌(うた)はれて、295何(なん)とも思(おも)筈(はず)、296自分(じぶん)も立(た)つて踊(をど)り狂(くる)ひ、297妙(めう)な歌(うた)を歌(うた)はしやつたが、298一体(いつたい)全体(ぜんたい)何(なん)の態(ざま)だ。299俺(わし)やモウ胸糞(むねくそ)が悪(わる)くて、300三五教(あななひけう)にお仕(つか)へするのも厭(いや)になつて来(き)た。301……貫州(くわんしう)さま、302今日(けふ)限(かぎ)りお暇(ひま)を頂戴(ちやうだい)して、303又(また)元(もと)の土人(どじん)の仲間(なかま)へ還元(くわんげん)しますから、304どうぞ悪(あし)からず御(ご)承認(しようにん)を願(ねが)ひます』
305と巻舌(まきじた)になり、306フーフと酒(さけ)臭(くさ)い息(いき)を貫州(くわんしう)に吹(ふ)き掛(か)け乍(なが)ら、307覗(のぞ)き込(こ)む様(やう)にして詰寄(つめよ)つた。
308貫州(くわんしう)『神(かみ)様(さま)の道(みち)の信者(しんじや)にはイロイロと径路(けいろ)があるものだ。309悪(わる)いと思(おも)へば直(すぐ)に改良(かいりやう)するのが所謂(いはゆる)惟神(かむながら)の道(みち)だよ。310貴様(きさま)の様(やう)な一本(いつぽん)調子(てうし)で、311神(かみ)様(さま)の信仰(しんかう)が出来(でき)るものか。312要(えう)するに神(かみ)の道(みち)は理智(りち)に依(よ)つてかたづけようと思(おも)つても駄目(だめ)だ。313信入(しんにふ)も悟入(ごにふ)も、314左旋(させん)も右傾(うけい)も、315消極(せうきよく)も積極(せつきよく)も一寸(ちよつと)見(み)た所(ところ)では大変(たいへん)にかけ離(はな)れて居(を)る様(やう)だが、316実際(じつさい)は皆(みな)一体(いつたい)だ。317何方(どちら)から入信(はい)つた所(ところ)で、318落着(おちつ)く所(ところ)は天地(てんち)創造(さうざう)の元(もと)の神(かみ)様(さま)を信仰(しんかう)するのだ。319所謂(いはゆる)江南(かうなん)の橘(たちばな)は江北(かうほく)の枳殻(からたち)だ。320バラモン教(けう)であらうが、321三五教(あななひけう)であらうが、322誠(まこと)の道(みち)に二(ふた)つはない。323畢竟(つまり)人間(にんげん)の考(かんが)へに依(よ)つて種々(いろいろ)の雅号(ががう)を附(つ)けたり、324勝手(かつて)な障壁(しやうへき)を拵(こしら)へて威張(ゐば)る丈(だけ)のものだよ。325蜈蚣姫(むかでひめ)さまの……吾々(われわれ)は……態度(たいど)に就(つ)いては大賛成(だいさんせい)だよ。326貴様(きさま)もそこまで理屈(りくつ)を言(い)ふ様(やう)にならば、327最早(もはや)信仰(しんかう)の門口(かどぐち)に這入(はい)つたのだ。328宅(うち)の女房(にようばう)の名(な)がお竹(たけ)でも、329お松(まつ)でも別(べつ)に変(かは)りはないぢやないか。330お竹(たけ)の名(な)がお松(まつ)にならうと、331お松(まつ)の名(な)がお梅(うめ)にならうと、332人間(にんげん)其(その)者(もの)はチツとも変(かは)りがないと同様(どうやう)に、333神(かみ)様(さま)は一株(ひとかぶ)だから、334よく考(かんが)へて見(み)て、335其(その)上(うへ)に去就(きよしう)を決(けつ)した方(はう)がよからうぞ。336バラモン教(けう)と云(い)ふも三五教(あななひけう)と云(い)ふも、337但(ただし)はジヤンナイ教(けう)と云(い)ふも、338ウラル教(けう)も、339教(をしへ)を伝(つた)ふる人間(にんげん)の解釈(かいしやく)に依(よ)りて、340深浅(しんせん)広狭(くわうけふ)の区別(くべつ)が付(つ)くまでだ。341兎(と)も角(かく)深(ふか)く広(ひろ)く、342入(い)り易(やす)く、343愉快(ゆくわい)な教(をしへ)を信仰(しんかう)して、344其(その)日(ひ)其(その)日(ひ)を安心(あんしん)立命(りつめい)して行(ゆ)くのが、345神(かみ)の教(をしへ)を信(しん)ずる信者(しんじや)の本領(ほんりやう)だ。346モチツト話(はな)してやりたいが、347さうヅブロクになつて居(ゐ)ては、348折角(せつかく)の高論(かうろん)卓説(たくせつ)も貴様(きさま)の耳(みみ)には這入(はい)るまい。349先(ま)づ酔(ゑひ)が醒(さ)めてから、350悠(ゆつく)りと説明(せつめい)するから、351明日(あす)の事(こと)にしよう』
352マール『何(なん)だか知(し)らぬが、353チツとばかし、354気(き)に喰(く)はなくなつて来(き)たのだ。355そんなら明日(あす)改(あらた)めて聞(き)かして貰(もら)はうかい』
356と行歩(かうほ)蹣跚(まんさん)として、357目(め)も霞(かすみ)、358右(みぎ)の腕(うで)で両眼(りやうがん)を横(よこ)にツルリと撫(な)で、359鼻(はな)をツンとかみ乍(なが)らあつちやにヨツたり、360こつちやへヨツたり、361八人脚(はちにんあし)になつて門内(もんない)へよろめき入(い)る可笑(をか)しさ。362一同(いちどう)は手(て)を拍(う)つて『ワツハヽヽヽ』と笑(わら)ひ転(ころ)げる。
363 紺碧(こんぺき)の空(そら)は俄(にはか)にドンヨリとして来(き)た。364ネルソン山(ざん)の峰(みね)を圧(あつ)して、365天空(てんくう)高(たか)く現(あら)はれ来(きた)る異様(いやう)の女神(めがみ)七八(しちはち)人(にん)、366瞬(またた)く間(うち)に朱欄(しゆらん)碧瓦(へきぐわ)の神殿(しんでん)現(あら)はれ、367数多(あまた)の人々(ひとびと)の影(かげ)、368手(て)に取(と)る如(ごと)く天空(てんくう)に筍(たけのこ)の生(は)えた如(ごと)く、369ポツリポツリと現(あら)はれ来(きた)る。
370 武公(たけこう)は初(はじ)めて此(この)蜃気楼(しんきろう)を眺(なが)め、371『アツ』と驚(おどろ)き、372黄竜姫(わうりようひめ)に注進(ちゆうしん)せむと、373転(こ)けつ輾(まろ)びつあつちやへヨツたり、374こつちやへヨツたり、375八(はち)人(にん)連(づ)れの歩(あゆ)みをし乍(なが)ら、376奥深(おくふか)く姿(すがた)を隠(かく)し一同(いちどう)は天(てん)を仰(あふ)いで、377蜃気楼(しんきろう)の立派(りつぱ)なるに打驚(うちおどろ)き、378園遊会(ゑんいうくわい)の余興(よきよう)だと、379興(きよう)がつて居(ゐ)る。
380 武公(たけこう)の注進(ちゆうしん)に依(よ)りて、381黄竜姫(わうりようひめ)、382梅子姫(うめこひめ)其(その)他(た)の最高(さいかう)幹部(かんぶ)は高殿(たかどの)に上(のぼ)り、383ネルソン山(ざん)の頂上(ちやうじやう)より此方(こなた)に向(むか)つてパノラマの如(ごと)く、384チクチクと位置(ゐち)を転(てん)じ来(きた)る、385諏訪(すは)の湖(うみ)の蜃気楼(しんきろう)を熟視(じゆくし)すれば、386数多(あまた)の女神(めがみ)に手(て)を曳(ひ)かれ、387左守(さもりの)神(かみ)たりし清公(きよこう)其(その)外(ほか)四人(よにん)連(づ)れ、388何事(なにごと)か神勅(しんちよく)を受(う)け居(を)る姿(すがた)を眺(なが)めて、389一同(いちどう)は手(て)を拍(う)つて驚喜(きやうき)し、390直(ただち)に天(てん)に向(むか)つて天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)した。391蜃気楼(しんきろう)は益々(ますます)明瞭(めいれう)に、392且(か)つ左右(さいう)に長(なが)く展開(てんかい)し、393湖面(こめん)に浮(う)かぶ白帆(しらほ)まで判然(はつきり)と映(うつ)つて居(ゐ)る。394黄竜姫(わうりようひめ)は蜃気楼(しんきろう)を見(み)て言霊(ことたま)の歌(うた)を歌(うた)ひ始(はじ)めた。
395黄竜姫『アふげば高(たか)し久方(ひさかた)の
396イ域(ゐき)の空(そら)に現(あら)はれし
397ウヅの宮居(みやゐ)の蜃気楼(しんきろう)
398エにある様(やう)な姫神(ひめがみ)の
399オホ空(ぞら)高(たか)く現(あら)はれて
400カミの御前(みまへ)を伏(ふ)し拝(をが)み
401キヨき正(ただ)しき太祝詞(ふとのりと)
402クモ井(ゐ)に高(たか)く詔(の)りあげし
403ケ色(しき)は殊(こと)に美(うる)はしく
404コバルト色(いろ)の山(やま)の上(へ)を
405サシ登(のぼ)りたる清公(きよこう)の
406シロき顔容(かんばせ)珍(うづ)の衣(きぬ)
407スワの湖(みづうみ)影(かげ)清(きよ)く
408セマり来(きた)れる地恩城(ちおんじやう)
409ソラ高々(たかだか)と現(あら)はれぬ
410タカ天原(あまはら)の神(かみ)の国(くに)
411チ五百万(いほよろづ)の神人(しんじん)の
412ツキ添(そ)ひまつる崇高(けだか)さよ
413テニ手(て)に玉(たま)を携(たづさ)へて
414トコ世(よ)の空(そら)を打眺(うちなが)め
415ナガき影(かげ)をば和田(わだ)の原(はら)
416ニシや東(ひがし)や北南(きたみなみ)
417ヌりたる如(ごと)き空(そら)の色(いろ)
418ネ底(そこ)の国(くに)まで照(て)り渡(わた)る
419ノゾミも遂(と)げて神人(しんじん)が
420ハナの顔容(かんばせ)月(つき)の眉(まゆ)
421ヒダリ右(みぎ)りの侍女(まかたち)は
422フジの額(ひたひ)に雪(ゆき)の肌(はだ)
423ヘグリの山(やま)のそれの如(ごと)
424ホホベも春(はる)の花(はな)の色(いろ)
425マナコ涼(すず)しく眉(まゆ)濃(こゆ)く
426ミダレ髪(かみ)さへ顔(かほ)に垂(た)れ
427ムツび合(あ)うたる神(かみ)と人(ひと)
428メグり大足(おほたる)神(かみ)の世(よ)の
429モモの花(はな)咲(さ)く弥生空(やよひぞら)
430ヤ千代(ちよ)の君(きみ)を寿(こと)ほぎて
431イヅミも清(きよ)き湖(うみ)の底(そこ)
432ユフに言(い)はれぬ麗(うるは)しさ
433エに見(み)る如(ごと)き光景(くわうけい)は
434ヨにも稀(まれ)なる眺(なが)めなり
435ワが言霊(ことたま)の清(きよ)ければ
436ヰづくの空(そら)も澄(す)み渡(わた)り
437ウきつ沈(しづ)みつ行(ゆく)雲(くも)の
438ヱらぎ栄(さか)えて永久(とこしへ)に
439ヲサまる御代(みよ)を守(まも)れかし
440あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
441御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
442左守(さもりの)神(かみ)と仕(つか)へたる
443心(こころ)の空(そら)も清公(きよこう)が
444地恩(ちおん)の城(しろ)を後(あと)にして
445身(み)を下(くだ)したるタカ港(みなと)
446屋根無(たなな)し船(ぶね)に揺(ゆ)られつつ
447ヒルの港(みなと)に漕(こ)ぎつけて
448谷間(たにま)に荒(すさ)ぶ曲津霊(まがつひ)を
449言向(ことむ)け和(やは)しセーランの
450山(やま)の麓(ふもと)を踏越(ふみこ)えて
451露(つゆ)の枕(まくら)も数(かず)重(かさ)ね
452一望(いちばう)千(せん)里(り)の玉野原(たまのはら)
453厳(きび)しき暑熱(しよねつ)を浴(あ)び乍(なが)ら
454進(すす)み進(すす)んで諏訪(すは)の海(うみ)
455湖辺(こへん)に漸(やうや)く辿(たど)りつき
456天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
457身禊(みそぎ)払(はら)ひてスクスクと
458水児(みづご)のみづの魂(たま)となり
459湖中(こちう)に浮(うか)び漂(ただよ)へる
460男島(をしま)女島(めしま)に助(たす)けられ
461転迷(てんめい)開悟(かいご)の教(のり)の花(はな)
462開(ひら)いて散(ち)りて実(み)を結(むす)び
463天女(てんによ)の如(ごと)く浄化(じやうくわ)して
464黄金(こがね)の船(ふね)に迎(むか)へられ
465朱欄(しゆらん)碧瓦(へきぐわ)の高殿(たかどの)に
466導(みちび)かれたる有様(ありさま)は
467今(いま)目(ま)のあたり見(み)えにけり
468あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
469神(かみ)の恵(めぐみ)に隔(へだ)てなし
470心(こころ)の空(そら)に塞(ふさ)がれる
471雲(くも)を払(はら)へば天津(あまつ)日(ひ)の
472光(ひかり)は清(きよ)く照(て)り渡(わた)る
473三五(さんご)の月(つき)を包(つつ)みたる
474八重(やへ)棚雲(たなぐも)も忽(たちま)ちに
475科戸(しなど)の風(かぜ)に払(はら)はれて
476円満(ゑんまん)清朗(せいらう)望(もち)の月(つき)
477尽(つ)きせぬ神(かみ)の御恵(みめぐみ)は
478天垂(あまた)る地垂(ちた)る海(うみ)に垂(た)る
479人(ひと)の身魂(みたま)にたり充(み)ちて
480一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)つ六(む)つ
481七(なな)八(や)九(ここの)つ十(たり)の空(そら)
482百千万(ももちよろづ)の神(かみ)達(たち)の
483守(まも)りも深(ふか)き竜宮嶋(りうぐうじま)
484妾(わらは)もいかで此(この)儘(まま)に
485地恩(ちおん)の郷(さと)に悠々(いういう)と
486空(むな)しく月日(つきひ)を過(すご)さむや
487いざこれよりは村肝(むらきも)の
488心(こころ)を清(きよ)め魂(たま)磨(みが)き
489清(きよ)きが上(うへ)にも清(きよ)くして
490神(かみ)の集(あつ)まる竜宮(りうぐう)の
491諏訪(すは)の湖(うみ)へと立向(たちむか)ひ
492天(てん)火(くわ)水(すゐ)地(ち)と結(むす)びたる
493珍(うづ)の宝(たから)を拝戴(はいたい)し
494自転倒(おのころ)島(じま)に宮柱(みやばしら)
495太(ふと)しき建(た)てて永久(とこしへ)に
496鎮(しづ)まり居(ゐ)ます大神(おほかみ)の
497御前(みまへ)に捧(ささ)げまつりなば
498三五教(あななひけう)の礎(いしずゑ)は
499云(い)ふも更(さら)なり天(あめ)が下(した)
500四方(よも)の国々(くにぐに)永久(とことは)に
501黄金(わうごん)世界(せかい)を造(つく)りなし
502貴(たふと)き神(かみ)の功績(いさをし)を
503堅磐(かきは)常磐(ときは)に現(あら)はさむ
504三五教(あななひけう)の人(ひと)達(たち)よ
505天(てん)に輝(かがや)く蜃気楼(しんきろう)
506神(かみ)の姿(すがた)を目(ま)のあたり
507眺(なが)めし上(うへ)は如何(いか)にして
508安(やす)きを貪(むさぼ)る時(とき)ならむ
509一日(ひとひ)も早(はや)く片時(かたとき)も
510妾(わらは)と共(とも)にネルソンの
511高嶺(たかね)を越(こ)えて西(にし)の空(そら)
512虎(とら)狼(おほかみ)や鬼(おに)大蛇(をろち)
513醜(しこ)の曲津(まがつ)の猛(たけ)ぶ野(の)を
514神(かみ)の光(ひかり)を身(み)に浴(あ)びて
515安々(やすやす)進(すす)み行(ゆ)かむとす
516早々(はやはや)用意(ようい)召(め)されよ』……と
517促(うなが)す姫(ひめ)の一言(ひとこと)に
518蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)を始(はじ)めとし
519神(かみ)の花(はな)咲(さ)く梅子姫(うめこひめ)
520宇豆姫(うづひめ)友彦(ともひこ)伴(ともな)ひて
521テールス姫(ひめ)も諸共(もろとも)に
522旅装(りよさう)を整(ととの)へしづしづと
523地恩(ちおん)の城(しろ)を後(あと)にして
524身装(みなり)も軽(かる)き蓑笠(みのかさ)の
525露(つゆ)押(お)し分(わ)けて進(すす)み行(ゆ)く
526あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
527御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ。
528(大正一一・七・一一 旧閏五・一七 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→