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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第25巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 相縁奇縁
第1章 水禽の音
第2章 与太理縮
第3章 鶍の恋
第4章 望の縁
第2篇 自由活動
第5章 酒の滝壺
第6章 三腰岩
第7章 大蛇解脱
第8章 奇の巌窟
第3篇 竜の宮居
第9章 信仰の実
第10章 開悟の花
第11章 風声鶴唳
第12章 不意の客
第4篇 神花霊実
第13章 握手の涙
第14章 園遊会
第15章 改心の実
第16章 真如の玉
第5篇 千里彷徨
第17章 森の囁
第18章 玉の所在
第19章 竹生島
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海洋万里(第25~36巻)
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第25巻(子の巻)
> 第4篇 神花霊実 > 第15章 改心の実
<<< 園遊会
(B)
(N)
真如の玉 >>>
第一五章
改心
(
かいしん
)
の
実
(
じつ
)
〔七六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第25巻 海洋万里 子の巻
篇:
第4篇 神花霊実
よみ(新仮名遣い):
しんかれいじつ
章:
第15章 改心の実
よみ(新仮名遣い):
かいしんのじつ
通し章番号:
761
口述日:
1922(大正11)年07月11日(旧閏05月17日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月25日
概要:
舞台:
ジャンナ郷、諏訪の湖
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
黄竜姫、蜈蚣姫、梅子姫は、友彦とテールス姫を従えてジャンナの里にやってきた。一行は友彦の館で歓待を受けた後、里人に洗礼や宣伝歌を授け、玉野ケ原にやってきた。
諏訪の湖のほとりの祠に参拝すると、五人は湖で身を清めて五日五夜禊を修した。夜明けに大鳥が飛び立つ西北を見ると、向こうから鳥の背に乗って、四五人の神人がやってくるのが見えた。
それは金色の霊鳥・八咫烏に乗った、玉治別、初稚姫、玉能姫、久助、お民の五人であった。一行はこの姿を見て驚きまた喜んだ。
一行は湖を渡ろうと思案に暮れている。黄竜姫は翻然として悟り、名誉心を捨てて身魂の向上のために徹底的に修行する心持を露にした。すると梅子姫は、その言葉をずっと待っていたのだと厳然として、しかし微笑を浮かべながら明かした。
続いて友彦も、ジャンナの里で救世主然としていた心の罪を懺悔し、梅子姫に大神様への罪の赦しのお取り成しを願い出た。梅子姫は嬉し涙で友彦を赦した。
続いて蜈蚣姫も娘への愛着心や、傲慢からこれまで梅子姫を見下していたことを懺悔し、梅子姫は赦した。続いてテールス姫も懺悔をなし、梅子姫はもっとも罪が軽いと受け入れた。
梅子姫は湖面に向かって暗祈黙祷した。すると西北の空から、幾百もの大鳥がこちらに戻ってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-09-14 17:01:43
OBC :
rm2515
愛善世界社版:
221頁
八幡書店版:
第5輯 111頁
修補版:
校定版:
232頁
普及版:
97頁
初版:
ページ備考:
001
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
002
梅子姫
(
うめこひめ
)
、
003
友彦
(
ともひこ
)
、
004
テールス
姫
(
ひめ
)
、
005
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
共
(
とも
)
に、
006
地恩城
(
ちおんじやう
)
を
後
(
あと
)
に
数百
(
すうひやく
)
里
(
り
)
、
007
山路
(
やまみち
)
を
越
(
こ
)
えて
玉野原
(
たまのはら
)
の
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
みづうみ
)
の
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
に
進
(
すす
)
むこととなつた。
008
後
(
あと
)
には
左守
(
さもり
)
、
009
スマートボール
夫婦
(
ふうふ
)
を
初
(
はじ
)
め
右守
(
うもり
)
鶴公
(
つるこう
)
、
010
貫州
(
くわんしう
)
、
011
武公
(
たけこう
)
、
012
マール、
013
ミユーズの
幹部
(
かんぶ
)
連
(
れん
)
をして
留守
(
るす
)
師団長
(
しだんちやう
)
とし、
014
草
(
くさ
)
の
蓑
(
みの
)
、
015
竹
(
たけ
)
の
小笠
(
をがさ
)
の
軽
(
かる
)
き
扮装
(
いでたち
)
、
016
タロの
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
をつきながら、
017
岩石
(
がんせき
)
起伏
(
きふく
)
せる
羊腸
(
やうちやう
)
の
小径
(
こみち
)
を
上
(
のぼ
)
りつ
下
(
くだ
)
りつ、
018
谷
(
たに
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え
谷間
(
たにま
)
を
伝
(
つた
)
ひ
漸
(
やうや
)
くにして、
019
ジヤンナの
友彦
(
ともひこ
)
が
割拠
(
かつきよ
)
せし
郷
(
さと
)
に
着
(
つ
)
いた。
020
鬼
(
おに
)
の
様
(
やう
)
な
荒男
(
あらをとこ
)
、
021
赤銅
(
しやくどう
)
の
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
に
青
(
あを
)
い
黥
(
いれづみ
)
を、
022
顔
(
かほ
)
一面
(
いちめん
)
に
彩
(
えど
)
りし
者
(
もの
)
を
先頭
(
せんとう
)
に、
023
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
六ケ敷
(
むつかし
)
い
顔
(
かほ
)
して
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
を『ウワーウワー』と
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
を
挙
(
あ
)
げ
乍
(
なが
)
ら
歓迎
(
くわんげい
)
した。
024
昼
(
ひる
)
尚
(
なほ
)
暗
(
くら
)
き
森林
(
しんりん
)
に
包
(
つつ
)
まれたる
此
(
この
)
郷
(
さと
)
は、
025
一見
(
いつけん
)
鬼
(
おに
)
の
様
(
やう
)
な
人種
(
じんしゆ
)
計
(
ばか
)
りであるが、
026
至
(
いた
)
つて
質朴
(
しつぼく
)
で
且
(
か
)
つ
正直
(
しやうぢき
)
で
信仰心
(
しんかうしん
)
に
富
(
と
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
027
曲
(
まが
)
つた
鼻
(
はな
)
の
赤
(
あか
)
い
友彦
(
ともひこ
)
を、
028
天来
(
てんらい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
仰
(
あふ
)
いで、
029
尊敬
(
そんけい
)
した
程
(
ほど
)
の
郷人
(
さとびと
)
は、
030
天女
(
てんによ
)
の
如
(
ごと
)
き
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
031
梅子姫
(
うめこひめ
)
の
玉
(
たま
)
を
欺
(
あざむ
)
く
清
(
きよ
)
き
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めて、
032
天
(
あま
)
の
河原
(
かはら
)
よりネルソン
山
(
ざん
)
に
鳥船
(
とりぶね
)
に
乗
(
じやう
)
じ
天降
(
あまくだ
)
り
給
(
たま
)
ひしを、
033
ジヤンナの
郷
(
さと
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
友彦
(
ともひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
奉迎
(
ほうげい
)
して
帰
(
かへ
)
りしものと
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じ、
034
一斉
(
いつせい
)
に
砂糖屋
(
さたうや
)
の
十能
(
おつかき
)
見
(
み
)
た
様
(
やう
)
な、
035
大
(
おほ
)
きな
黒
(
くろ
)
い
手
(
て
)
を
拡
(
ひろ
)
げ、
036
土人
(
どじん
)
『ウツポツポ ウツポツポ、
037
オーレンス、
038
サーチライス、
039
ターレンス、
040
チーター チーター』
041
と
叫
(
さけ
)
び
乍
(
なが
)
ら
歓迎
(
くわんげい
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
した。
042
此
(
この
)
意味
(
いみ
)
は、
043
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か、
044
天
(
てん
)
の
御使
(
みつかひ
)
か、
045
但
(
ただし
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
救
(
すく
)
ふ
光明
(
くわうみやう
)
の
神
(
かみ
)
か、
046
実
(
じつ
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
大
(
だい
)
救世主
(
きうせいしゆ
)
が、
047
此
(
この
)
郷
(
さと
)
に
御
(
お
)
降
(
くだ
)
り
遊
(
あそ
)
ばした。
048
吾々
(
われわれ
)
は
最早
(
もはや
)
絶対
(
ぜつたい
)
に
悩
(
なや
)
みに
遇
(
あ
)
ふこともなく、
049
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
に
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
楽
(
たのし
)
みを
味
(
あぢ
)
はうことが
出来
(
でき
)
るであらう。
050
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
は
豊
(
ゆたか
)
に
実
(
みの
)
り、
051
鼓腹
(
こふく
)
撃攘
(
げきじやう
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
浴
(
よく
)
することは
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
るよりも
明瞭
(
めいれう
)
だ。
052
有難
(
ありがた
)
い、
053
勿体
(
もつたい
)
ない、
054
貴
(
たつと
)
い、
055
嬉
(
うれ
)
しい。
056
吾々
(
われわれ
)
郷人
(
さとびと
)
は
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
心
(
こころ
)
の
極
(
きは
)
みを、
057
此
(
この
)
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
に
捧
(
ささ
)
げませう』と
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
である。
058
……ジヤンナの
郷
(
さと
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
仰
(
あふ
)
がれたる
友彦
(
ともひこ
)
は、
059
郷人
(
さとびと
)
に
向
(
むか
)
ひ、
060
友彦
『ターリスト、
061
テールターイン、
062
ハールエース、
063
オーレンス、
064
サーチライス、
065
カーテル、
066
ライド』
067
と
叫
(
さけ
)
ぶ。
068
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
一同
(
いちどう
)
は
大地
(
だいち
)
に
平伏
(
へいふく
)
し
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
歓喜
(
くわんき
)
した。
069
友彦
(
ともひこ
)
は
又
(
また
)
もや、
070
友彦
『ハール ハール』
071
と
手
(
て
)
を
挙
(
あ
)
げて
叫
(
さけ
)
ぶや、
072
大勢
(
おほぜい
)
の
土人
(
どじん
)
は
一行
(
いつかう
)
を
手車
(
てぐるま
)
に
乗
(
の
)
せ、
073
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
を
祭
(
まつ
)
りし
稍
(
やや
)
広
(
ひろ
)
き
館
(
やかた
)
の
中
(
なか
)
に、
074
御輿
(
みこし
)
を
舁
(
かつ
)
ぐ
様
(
やう
)
な
塩梅
(
あんばい
)
式
(
しき
)
で
何事
(
なにごと
)
か
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
り
乍
(
なが
)
ら
奥深
(
おくふか
)
く
送
(
おく
)
り
行
(
ゆ
)
く。
075
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
一行
(
いつかう
)
は
友彦
(
ともひこ
)
の
館
(
やかた
)
の
奥深
(
おくふか
)
く
招
(
まね
)
かれ、
076
色々
(
いろいろ
)
珍
(
めづ
)
らしき
果物
(
くだもの
)
を
饗応
(
きやうおう
)
され、
077
且
(
か
)
つバナヽの
味
(
あぢ
)
に
舌鼓
(
したつづみ
)
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
078
一二
(
いちに
)
日
(
にち
)
此処
(
ここ
)
に
逗留
(
とうりう
)
し、
079
郷人
(
さとびと
)
に
対
(
たい
)
して
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
080
梅子姫
(
うめこひめ
)
よりバプテスマを
施
(
ほどこ
)
し、
081
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
教
(
をし
)
へた
上
(
うへ
)
、
082
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
郷人
(
さとびと
)
に
送
(
おく
)
られ、
083
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
玉野
(
たまの
)
ケ
原
(
はら
)
の
広場
(
ひろば
)
に
無事
(
ぶじ
)
安着
(
あんちやく
)
することとなつた。
084
途々
(
みちみち
)
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
喰
(
くら
)
ひ、
085
谷水
(
たにみづ
)
を
飲
(
の
)
み、
086
芭蕉
(
ばせう
)
の
葉
(
は
)
を
褥
(
しとね
)
となし
乍
(
なが
)
ら、
087
猛獣
(
まうじう
)
、
088
大蛇
(
をろち
)
の
群
(
むれ
)
に
言霊
(
ことたま
)
を
授
(
さづ
)
け
帰順
(
きじゆん
)
悦服
(
えつぷく
)
させつつ
愈
(
いよいよ
)
此処
(
ここ
)
に
金銀
(
きんぎん
)
の
砂
(
すな
)
輝
(
かがや
)
く
広野
(
ひろの
)
ケ
原
(
はら
)
に
辿
(
たど
)
りつく。
089
一行
(
いつかう
)
は
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
の
畔
(
ほとり
)
に
建
(
た
)
てたる
小
(
ちひ
)
さき
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し、
090
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
091
傍
(
かたはら
)
の
椰子
(
やし
)
の
樹
(
き
)
の
森
(
もり
)
に
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あ
)
かすこととなりぬ。
092
エスタン
山
(
ざん
)
の
後方
(
こうはう
)
を
覗
(
のぞ
)
いて
現
(
あら
)
はれたる
大太陽
(
だいたいやう
)
は、
093
諏訪
(
すは
)
の
湖水
(
こすゐ
)
の
魚鱗
(
ぎよりん
)
の
波
(
なみ
)
に
映
(
えい
)
じ、
094
金銀
(
きんぎん
)
の
蓆
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
き
詰
(
つ
)
めたる
如
(
ごと
)
く、
095
其
(
その
)
麗
(
うるは
)
しさ
譬
(
たと
)
ふるにものなく、
096
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
湖水
(
こすゐ
)
に
身体
(
からだ
)
を
清
(
きよ
)
め、
097
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななよ
)
此処
(
ここ
)
に
禊
(
みそぎ
)
を
修
(
しう
)
し
神恩
(
しんおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
せり。
098
早
(
は
)
や
夕陽
(
せきやう
)
も
傾
(
かたむ
)
いて
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれぬ
麗
(
うるは
)
しき
鳥
(
とり
)
の
声
(
こゑ
)
、
099
塒
(
ねぐら
)
を
求
(
もと
)
めて
各
(
おのおの
)
密林
(
みつりん
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
100
純白
(
じゆんぱく
)
の
翼
(
つばさ
)
の
大鳥
(
おほどり
)
は
暗
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
うて
低
(
ひく
)
く
黄昏時
(
たそがれどき
)
より
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
101
湖面
(
こめん
)
を
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
翺翔
(
こうしやう
)
する。
102
其
(
その
)
数
(
すう
)
幾千万
(
いくせんまん
)
羽
(
ば
)
とも
数
(
かぞ
)
へ
難
(
がた
)
く、
103
月
(
つき
)
無
(
な
)
き
夜半
(
よは
)
も
明
(
あか
)
るき
許
(
ばか
)
りの
光景
(
くわうけい
)
なり。
104
是
(
これ
)
は
信天翁
(
あはうどり
)
の
祖先
(
そせん
)
でアンボリーと
言
(
い
)
ふ
大鳥
(
おほとり
)
なりける。
105
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
椰子
(
やし
)
の
樹下
(
じゆか
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
め、
106
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
くるを
待
(
ま
)
つ。
107
夜明
(
よあ
)
けに
間近
(
まぢか
)
くなりたる
時
(
とき
)
しも、
108
頭上
(
づじやう
)
にバタバタと
鳥
(
とり
)
の
羽
(
は
)
ばたき
激
(
はげ
)
しく
聞
(
きこ
)
え
来
(
き
)
たる。
109
見
(
み
)
れば
両翼
(
りやうよく
)
の
長
(
なが
)
さ
三丈
(
さんぢやう
)
許
(
ばか
)
りのアンボリー、
110
椰子
(
やし
)
の
樹上
(
じゆじやう
)
にとまつて、
111
一同
(
いちどう
)
の
頭
(
あたま
)
を
被
(
おほ
)
ふて
居
(
ゐ
)
る、
112
それが
夜明
(
よあ
)
けに
間近
(
まぢか
)
くなつたので
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
つた
音
(
おと
)
である。
113
一同
(
いちどう
)
は
鳥
(
とり
)
の
飛
(
と
)
び
行
(
ゆ
)
く
方面
(
はうめん
)
を
目
(
め
)
も
放
(
はな
)
たず
打看守
(
うちみまも
)
れば、
114
ほんのりと
薄紅
(
うすあか
)
くうす
白
(
しろ
)
く
大空
(
おほぞら
)
を
染
(
そ
)
めながら、
115
際限
(
さいげん
)
もなき
大原野
(
だいげんや
)
を
西北
(
せいほく
)
の
空
(
そら
)
を
指
(
さ
)
して、
116
一羽
(
いちは
)
も
残
(
のこ
)
らず
飛去
(
とびさ
)
れり。
117
○
118
ジヤンナの
郷
(
さと
)
に
三五
(
あななひ
)
の
119
神
(
かみ
)
を
祀
(
まつ
)
りし
友彦
(
ともひこ
)
が
120
館
(
やかた
)
に
一行
(
いつかう
)
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かし
121
一日
(
ひとひ
)
二夜
(
ふたよ
)
を
逗留
(
とうりう
)
し
122
タイヤ、ブースを
初
(
はじ
)
めとし
123
数多
(
あまた
)
の
土人
(
どじん
)
に
皇神
(
すめかみ
)
の
124
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
し
125
鎮魂
(
みたましづめ
)
やバプテスマ
126
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
施
(
ほどこ
)
して
127
昼
(
ひる
)
なほ
暗
(
くら
)
き
森林
(
しんりん
)
の
128
小径
(
こみち
)
を
伝
(
つた
)
ひ
郷人
(
さとびと
)
に
129
賑々
(
にぎにぎ
)
しくも
送
(
おく
)
られて
130
漸
(
やうや
)
くセムの
谷間
(
たにあひ
)
に
131
辿
(
たど
)
り
来
(
きた
)
れる
折柄
(
をりから
)
に
132
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
皇神
(
すめかみ
)
の
133
珍
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
霊
(
たま
)
借
(
か
)
りて
134
送
(
おく
)
り
来
(
きた
)
りし
郷人
(
さとびと
)
に
135
厚
(
あつ
)
く
言葉
(
ことば
)
をかけながら
136
東
(
ひがし
)
と
西
(
にし
)
に
別
(
わか
)
れつつ
137
露
(
つゆ
)
の
枕
(
まくら
)
も
数多
(
かずおほ
)
く
138
重
(
かさ
)
ねて
此処
(
ここ
)
に
玉野原
(
たまのはら
)
139
金銀
(
きんぎん
)
輝
(
かがや
)
く
途
(
みち
)
の
上
(
うへ
)
140
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
んで
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
こ
)
の
141
辺
(
ほとり
)
にやうやう
安着
(
あんちやく
)
し
142
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
して
143
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
が
安穏
(
あんのん
)
に
144
訪
(
たづ
)
ね
来
(
きた
)
りし
神恩
(
しんおん
)
を
145
感謝
(
かんしや
)
し
終
(
をは
)
り
清鮮
(
せいせん
)
の
146
湖水
(
こすゐ
)
に
身
(
み
)
をば
浸
(
ひた
)
しつつ
147
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななよ
)
の
魂
(
たま
)
洗
(
あら
)
ひ
148
椰子樹
(
やしじゆ
)
の
蔭
(
かげ
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
め
149
夜明
(
よあ
)
けを
待
(
ま
)
てる
折柄
(
をりから
)
に
150
樹上
(
じゆじやう
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
羽
(
は
)
ばたきの
151
音
(
おと
)
に
驚
(
おどろ
)
き
眺
(
なが
)
むれば
152
雪
(
ゆき
)
を
欺
(
あざむ
)
く
白翼
(
はくよく
)
の
153
パツと
開
(
ひら
)
いた
大鳥
(
おほとり
)
の
154
空
(
そら
)
を
封
(
ふう
)
じて
数多
(
かずおほ
)
く
155
西北
(
せいほく
)
指
(
さ
)
して
飛
(
と
)
んで
行
(
ゆ
)
く
156
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
空中
(
くうちう
)
を
157
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
つむる
折
(
をり
)
もあれ
158
黄金
(
こがね
)
の
翼
(
つばさ
)
に
乗
(
の
)
せられて
159
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
飛
(
と
)
び
来
(
きた
)
る
160
四五
(
しご
)
の
神人
(
しんじん
)
悠々
(
いういう
)
と
161
湖水
(
こすゐ
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
降
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る
162
其
(
その
)
光景
(
くわうけい
)
の
崇高
(
けだか
)
さに
163
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
思
(
おも
)
はず
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
164
祝詞
(
のりと
)
を
唱
(
とな
)
へつ
眺
(
なが
)
め
居
(
ゐ
)
る
165
黄金
(
こがね
)
の
鳥
(
とり
)
に
乗
(
の
)
せられし
166
男女
(
なんによ
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
神人
(
しんじん
)
は
167
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
をばスレスレに
168
北
(
きた
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
169
これぞ
玉治別
(
たまはるわけ
)
宣使
(
せんし
)
170
初稚姫
(
はつわかひめ
)
や
玉能姫
(
たまのひめ
)
171
久助
(
きうすけ
)
お
民
(
たみ
)
の
五人
(
ごにん
)
連
(
づれ
)
172
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
173
貴
(
うづ
)
の
教
(
をしへ
)
を
隈
(
くま
)
もなく
174
伝
(
つた
)
へ
導
(
みちび
)
く
神
(
かみ
)
の
業
(
わざ
)
175
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
宣
(
の
)
り
了
(
をは
)
せ
176
玉依姫
(
たまよりひめ
)
の
御使
(
みつかひ
)
の
177
黄金色
(
わうごんしよく
)
の
霊鳥
(
れいてう
)
に
178
救
(
すく
)
はれ
御空
(
みそら
)
を
翔
(
かけ
)
りつつ
179
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
れる
生神
(
いきがみ
)
の
180
通力
(
つうりき
)
得
(
え
)
たる
姿
(
すがた
)
なり
181
嗚呼
(
ああ
)
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
182
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
尊
(
たふと
)
さよ。
183
翼
(
つばさ
)
を
一文字
(
いちもんじ
)
に
拡
(
ひろ
)
げた
金色
(
こんじき
)
の
霊鳥
(
れいてう
)
は、
184
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
八咫烏
(
やあたがらす
)
である。
185
玉治別
(
たまはるわけ
)
一行
(
いつかう
)
を
乗
(
の
)
せた
五羽
(
ごは
)
の
八咫烏
(
やあたからす
)
は、
186
日光
(
につくわう
)
に
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
きて
中空
(
ちうくう
)
にキラリキラリと
光
(
ひかり
)
を
投
(
な
)
げながら、
187
地上
(
ちじやう
)
までも
金光
(
きんくわう
)
を
反射
(
はんしや
)
させ、
188
諏訪
(
すは
)
の
湖辺
(
うみべ
)
に
飛
(
と
)
び
来
(
きた
)
り、
189
紺碧
(
こんぺき
)
の
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
を
辷
(
すべ
)
つて
際限
(
さいげん
)
もなき
湖水
(
こすゐ
)
を、
190
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
191
梅子姫
(
うめこひめ
)
、
192
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
つばかり
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
驚
(
おどろ
)
き
且
(
か
)
つ
喜
(
よろこ
)
べり。
193
一行
(
いつかう
)
の
胸
(
むね
)
の
裡
(
うち
)
は
譬
(
たと
)
へがたなき
崇高
(
すうかう
)
にして
且
(
かつ
)
壮快
(
さうくわい
)
の
思
(
おも
)
ひが
漂
(
ただよ
)
うたからである。
194
友彦
(
ともひこ
)
『
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
、
195
梅子姫
(
うめこひめ
)
様
(
さま
)
、
196
地恩城
(
ちおんじやう
)
に
於
(
おい
)
て
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
の
時
(
とき
)
、
197
天空
(
てんくう
)
高
(
たか
)
く
現
(
あら
)
はれた
蜃気楼
(
しんきろう
)
の
光景
(
くわうけい
)
、
198
紺碧
(
こんぺき
)
の
湖水
(
こすゐ
)
現
(
あら
)
はれ、
199
四方
(
しはう
)
を
包
(
つつ
)
む
青山
(
あをやま
)
の
崇高
(
すうかう
)
なる
姿
(
すがた
)
は、
200
今
(
いま
)
此
(
この
)
湖面
(
こめん
)
を
見
(
み
)
ると
寸分
(
すんぶん
)
の
差
(
さ
)
も
無
(
な
)
い
様
(
やう
)
ですな、
201
大方
(
おほかた
)
清公
(
きよこう
)
、
202
チヤンキー、
203
モンキー
等
(
ら
)
の、
204
女神
(
めがみ
)
に
導
(
みちび
)
かれ
結構
(
けつこう
)
な
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
あふ
)
せつけられて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
も、
205
此
(
この
)
聖地
(
せいち
)
で
御座
(
ござ
)
いませうかなア』
206
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
『
妾
(
わたし
)
もそれに
間違
(
まちが
)
ひないやうな
感
(
かん
)
じが
致
(
いた
)
します。
207
昔
(
むかし
)
から
人跡
(
じんせき
)
絶
(
た
)
えしオセアニアの
秘密郷
(
ひみつきやう
)
、
208
斯様
(
かやう
)
な
立派
(
りつぱ
)
な
湖
(
みづうみ
)
があらうとは、
209
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
りませなんだ。
210
何
(
なん
)
とかして
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
力
(
ちから
)
を
借
(
か
)
り、
211
此
(
この
)
湖水
(
こすゐ
)
を
渡
(
わた
)
つて
見
(
み
)
たいものですなア』
212
梅子姫
(
うめこひめ
)
『
蜃気楼
(
しんきろう
)
で
拝見
(
はいけん
)
した
時
(
とき
)
には
純白
(
じゆんぱく
)
な
白帆
(
しらほ
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
航行
(
かうかう
)
して
居
(
ゐ
)
ましたが、
213
船
(
ふね
)
は
一隻
(
いつせき
)
も
見
(
み
)
えないぢやありませぬか。
214
大方
(
おほかた
)
アンボリーの
飛交
(
とびか
)
ふ
影
(
かげ
)
が
船
(
ふね
)
のやうに
見
(
み
)
えたのでせうかな』
215
友彦
(
ともひこ
)
『サアさうかも
知
(
し
)
れませぬ。
216
……
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
、
217
船
(
ふね
)
が
無
(
な
)
ければ
渡
(
わた
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬ。
218
玉治別
(
たまはるわけ
)
や
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
の
様
(
やう
)
に、
219
黄金
(
わうごん
)
の
鳥
(
とり
)
が
迎
(
むか
)
ひに
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さらば
実
(
じつ
)
に
結構
(
けつこう
)
だが、
220
船
(
ふね
)
も
無
(
な
)
ければ
鳥船
(
とりぶね
)
もなく
未
(
ま
)
だ
吾々
(
われわれ
)
は
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
に
叶
(
かな
)
ふ
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
身魂
(
みたま
)
が
磨
(
みが
)
けて
居
(
ゐ
)
ないのでせう』
221
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
一点
(
いつてん
)
の
曇
(
くも
)
りなき
水晶魂
(
すゐしやうだま
)
でなければ、
222
肝腎
(
かんじん
)
の
神業
(
しんげふ
)
にはお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませぬ。
223
折角
(
せつかく
)
此
(
この
)
浜辺
(
はまべ
)
まで
参
(
まゐ
)
つたものの、
224
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
三方
(
さんぱう
)
は
壁
(
かべ
)
を
立
(
た
)
てた
様
(
やう
)
な
岩山
(
いはやま
)
、
225
何程
(
なにほど
)
足
(
あし
)
の
達者
(
たつしや
)
な
者
(
もの
)
でも
鳥類
(
てうるゐ
)
でない
以上
(
いじやう
)
は
越
(
こ
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
226
然
(
しか
)
しながら
此処
(
ここ
)
まで
無事
(
ぶじ
)
に
着
(
つ
)
いたのも
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
恵
(
めぐ
)
み、
227
此処
(
ここ
)
でもう
一層
(
いつそう
)
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
の
心
(
こころ
)
の
修業
(
しうげふ
)
を
励
(
はげ
)
みませう。
228
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
だとか、
229
ジヤンナの
郷
(
さと
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
などと
言
(
い
)
はれて
得意
(
とくい
)
になつて
居
(
ゐ
)
るのが、
230
これが
第一
(
だいいち
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
に
叶
(
かな
)
はないのでせう。
231
同
(
おな
)
じ
天地
(
てんち
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
生
(
うま
)
れた
人
(
ひと
)
の
子
(
こ
)
、
232
善悪
(
ぜんあく
)
美醜
(
びしう
)
の
区別
(
くべつ
)
はあつても
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
愛
(
あい
)
には
些
(
ち
)
つとも
依怙
(
えこ
)
贔屓
(
ひいき
)
はありますまい。
233
こりやもう
一
(
ひと
)
つ
身魂
(
みたま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
さなくては
駄目
(
だめ
)
でせうよ。
234
勿体
(
もつたい
)
なくも
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
娘御
(
むすめご
)
、
235
梅子姫
(
うめこひめ
)
様
(
さま
)
を
蔭
(
かげ
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
とし、
236
賤
(
いや
)
しき
妾
(
わらは
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
と
呼
(
よ
)
ばれ、
237
神司
(
かむつかさ
)
と
言
(
い
)
はれて、
238
勿体
(
もつたい
)
なくも
直々
(
ぢきぢき
)
の
御
(
お
)
血筋
(
ちすぢ
)
の
上位
(
じやうゐ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
たのは、
239
恰度
(
ちやうど
)
頭
(
あたま
)
が
下
(
した
)
になり、
240
足
(
あし
)
が
上
(
うへ
)
になつて
居
(
ゐ
)
るやうな、
241
矛盾
(
むじゆん
)
撞着
(
どうちやく
)
の
遣
(
や
)
り
方
(
かた
)
であつた。
242
……アヽ
梅子姫
(
うめこひめ
)
様
(
さま
)
今
(
いま
)
までの
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
を
何卒
(
なにとぞ
)
お
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
243
決
(
けつ
)
して
貴女
(
あなた
)
を
押込
(
おしこ
)
め
私
(
わたくし
)
が
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つて
覇張
(
はば
)
らうなどと
云
(
い
)
ふやうな、
244
賤
(
さも
)
しい
心
(
こころ
)
はチツトも
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
ませなんだ。
245
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
名誉心
(
めいよしん
)
に
駆
(
か
)
られ、
246
本末
(
ほんまつ
)
自他
(
じた
)
公私
(
こうし
)
の
別
(
べつ
)
を、
247
不知
(
しらず
)
不識
(
しらず
)
の
間
(
あひだ
)
に
犯
(
をか
)
して
居
(
を
)
りました。
248
貴女
(
あなた
)
と
吾々
(
われわれ
)
は
天地
(
てんち
)
霄壌
(
せうじやう
)
の
懸隔
(
けんかく
)
がございます。
249
尊卑
(
そんぴ
)
の
別
(
べつ
)
も
弁
(
わきま
)
へず
甚
(
はなは
)
だもつて
不都合
(
ふつがふ
)
の
至
(
いた
)
り、
250
今
(
いま
)
改
(
あらた
)
めてお
詫
(
わび
)
を
仕
(
つかまつ
)
ります。
251
さうして
地恩城
(
ちおんじやう
)
の
女王
(
ぢよわう
)
たる
地位
(
ちゐ
)
を
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
し、
252
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
の
平
(
ひら
)
の
信者
(
しんじや
)
となつて
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
し、
253
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
を
女王
(
ぢよわう
)
とも
教主
(
けうしゆ
)
とも
仰
(
あふ
)
いで、
254
忠実
(
ちうじつ
)
にお
仕
(
つか
)
へ
致
(
いた
)
しますから、
255
不知
(
しらず
)
不識
(
しらず
)
の
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
御
(
お
)
気障
(
きざわり
)
、
256
何卒
(
なにとぞ
)
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
下
(
くだ
)
さいますように、
257
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
が
真心
(
まごころ
)
よりお
詫
(
わび
)
仕
(
つかまつ
)
ります』
258
と
涙
(
なみだ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
く
両眼
(
りやうがん
)
より
滴
(
したた
)
らし、
259
悔悟
(
くわいご
)
の
念
(
ねん
)
に
堪
(
た
)
へざるものの
如
(
ごと
)
く
涕泣
(
ていきふ
)
嗚咽
(
をえつ
)
終
(
つひ
)
に
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
した。
260
梅子姫
(
うめこひめ
)
は
儼然
(
げんぜん
)
として、
261
梅子姫
『
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
どの、
262
貴方
(
あなた
)
は
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
頂
(
いただ
)
きました。
263
妾
(
わたし
)
は
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
生
(
う
)
みの
子
(
こ
)
と
生
(
うま
)
れ、
264
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
として
今日迄
(
こんにちまで
)
、
265
貴方
(
あなた
)
のお
傍
(
そば
)
に
身
(
み
)
を
下
(
くだ
)
し、
266
神業
(
しんげふ
)
を
輔佐
(
ほさ
)
して
参
(
まゐ
)
りました。
267
貴方
(
あなた
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
を
今日
(
けふ
)
只今
(
ただいま
)
迄
(
まで
)
、
268
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
たのでございます』
269
と
微笑
(
びせう
)
を
浮
(
う
)
かべて
曰
(
の
)
りつれば、
270
友彦
(
ともひこ
)
は
又
(
また
)
もや
両眼
(
りやうがん
)
に
涙
(
なみだ
)
を
浮
(
う
)
かべ
乍
(
なが
)
ら、
271
友彦
『
私
(
わたくし
)
は
生
(
うま
)
れついての
狡猾者
(
かうくわつもの
)
、
272
到
(
いた
)
る
所
(
ところ
)
に
悪事
(
あくじ
)
を
働
(
はたら
)
き、
273
まぐ
れ
当
(
あた
)
りに
鼻
(
はな
)
の
赤
(
あか
)
きを
取得
(
とりえ
)
にてジヤンナの
郷
(
さと
)
に
持
(
も
)
て
囃
(
はや
)
され、
274
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
呼
(
よ
)
ばれ
乍
(
なが
)
ら
好
(
よ
)
い
気
(
き
)
になり、
275
心
(
こころ
)
にも
無
(
な
)
き
尊敬
(
そんけい
)
を
受
(
う
)
け、
276
天来
(
てんらい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
と
化
(
ば
)
け
済
(
す
)
まして
居
(
ゐ
)
た
心
(
こころ
)
の
汚
(
きたな
)
さ、
277
イヤもう
塵埃
(
ぢんあい
)
に
等
(
ひと
)
しき
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
身魂
(
みたま
)
、
278
どうして
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
御用
(
ごよう
)
にお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませう。
279
……
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
梅子姫
(
うめこひめ
)
様
(
さま
)
、
280
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
より
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
重々
(
ぢゆうぢゆう
)
の
罪
(
つみ
)
お
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
お
取成
(
とりな
)
し
願
(
ねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります。
281
又
(
また
)
私
(
わたくし
)
は
決
(
けつ
)
して
今後
(
こんご
)
は、
282
人様
(
ひとさま
)
以上
(
いじやう
)
に
結構
(
けつこう
)
な
御用
(
ごよう
)
をさして
頂
(
いただ
)
かうとは
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
ひは
致
(
いた
)
しませぬ。
283
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
にても
構
(
かま
)
ひませぬから、
284
どうぞ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
綱
(
つな
)
の
切
(
き
)
れぬ
様
(
やう
)
に、
285
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
にお
詫
(
わび
)
のお
取次
(
とりつぎ
)
偏
(
ひとへ
)
に
希
(
こひねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります』
286
梅子姫
(
うめこひめ
)
『
貴方
(
あなた
)
の
心
(
こころ
)
の
園
(
その
)
の
蓮花
(
はちすばな
)
、
287
転迷
(
てんめい
)
開悟
(
かいご
)
の
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
て
開
(
ひら
)
き
初
(
そ
)
めました。
288
アヽいい
所
(
ところ
)
で
改心
(
かいしん
)
して
下
(
くだ
)
さいました。
289
これで
梅子姫
(
うめこひめ
)
も
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
より
命
(
めい
)
ぜられたる
御用
(
ごよう
)
の
一端
(
いつたん
)
が
出来
(
でき
)
たと
申
(
まを
)
すもの、
290
私
(
わたくし
)
の
方
(
はう
)
より
貴方
(
あなた
)
に
対
(
たい
)
して
感謝
(
かんしや
)
致
(
いた
)
します』
291
と
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
両眼
(
りやうがん
)
に
浮
(
う
)
かべ、
292
述
(
の
)
べたつれば
友彦
(
ともひこ
)
は
嬉
(
うれ
)
しさ
身
(
み
)
に
余
(
あま
)
り、
293
大地
(
だいち
)
にひれ
伏
(
ふ
)
し
顔
(
かほ
)
も
得上
(
えあ
)
げず、
294
歓喜
(
くわんき
)
と
悔悟
(
くわいご
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
び
返
(
かへ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
295
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
梅子姫
(
うめこひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
手
(
て
)
をつかへて、
296
蜈蚣姫
『
梅子姫
(
うめこひめ
)
様
(
さま
)
、
297
今迄
(
いままで
)
の
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
お
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
298
私
(
わたくし
)
は
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
の
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
した、
299
鬼婆
(
おにばば
)
の
様
(
やう
)
な
悪人
(
あくにん
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
300
地恩城
(
ちおんじやう
)
に
参
(
まゐ
)
りまして
娘
(
むすめ
)
の
出世
(
しゆつせ
)
を
見
(
み
)
るにつけ、
301
不知
(
しらず
)
不識
(
しらず
)
に
高慢心
(
かうまんしん
)
が
起
(
おこ
)
り、
302
且
(
か
)
つ
愛着
(
あいちやく
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られ、
303
肝腎
(
かんじん
)
の
大神
(
おほかみ
)
を
第二
(
だいに
)
に
致
(
いた
)
し、
304
且
(
か
)
つ
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
305
平素
(
へいそ
)
軽侮
(
けいぶ
)
の
目
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
向
(
むか
)
つて
居
(
を
)
りました
心盲
(
しんまう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
306
地恩城
(
ちおんじやう
)
に
於
(
おい
)
て
友彦
(
ともひこ
)
が
為
(
た
)
め
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
を
開
(
ひら
)
いた
折
(
をり
)
、
307
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
紫
(
むらさき
)
の
蓮華岩
(
れんげいは
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
たせ
給
(
たま
)
ひ、
308
私
(
わたくし
)
の
素性
(
すじやう
)
を
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
さつた
時
(
とき
)
の
私
(
わたくし
)
は、
309
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
にて
非常
(
ひじやう
)
な
不満
(
ふまん
)
を
抱
(
いだ
)
きました。
310
今
(
いま
)
思
(
おも
)
へばあの
時
(
とき
)
のお
言葉
(
ことば
)
の
中
(
うち
)
には、
311
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
救
(
すく
)
ひの
御心
(
みこころ
)
……なぜ
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
私
(
わたくし
)
は
気
(
き
)
が
附
(
つ
)
かなかつたでございませう。
312
森羅
(
しんら
)
万象
(
ばんしやう
)
に
対
(
たい
)
し
一切
(
いつさい
)
色盲
(
しきまう
)
の
私
(
わたくし
)
、
313
不調法
(
ぶてうはふ
)
ばかり
致
(
いた
)
しまして
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
し、
314
又
(
また
)
貴
(
たふと
)
き
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
してお
詫
(
わび
)
申上
(
まをしあ
)
げる
言葉
(
ことば
)
もございませぬ。
315
どうぞ
母子
(
おやこ
)
の
者
(
もの
)
も
憫
(
あはれ
)
み
下
(
くだ
)
さいまして、
316
今迄
(
いままで
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
敵対
(
てきたい
)
申
(
まを
)
した
深
(
ふか
)
い
罪
(
つみ
)
を、
317
お
詫
(
わび
)
下
(
くだ
)
さいますようにお
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
318
とワツとばかりに
声
(
こゑ
)
をあげ
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
するにぞ、
319
梅子姫
(
うめこひめ
)
は
莞爾
(
くわんじ
)
として、
320
梅子姫
『アヽ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
、
321
貴女
(
あなた
)
は
今日
(
こんにち
)
只今
(
ただいま
)
初
(
はじ
)
めて
誠
(
まこと
)
の
神柱
(
かむばしら
)
になられました、
322
結構
(
けつこう
)
でございます。
323
どうぞ
此
(
この
)
後
(
ご
)
とても
妾
(
わたし
)
と
共
(
とも
)
に
三五
(
あななひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
に
誠心
(
せいしん
)
誠意
(
せいい
)
御
(
ご
)
尽力
(
じんりよく
)
あらむことを
希望
(
きばう
)
致
(
いた
)
します。
324
如何
(
いか
)
なる
罪穢
(
つみけが
)
れ
過
(
あやまち
)
も
梅子姫
(
うめこひめ
)
が
代
(
かは
)
りて
千座
(
ちくら
)
の
置
(
お
)
き
戸
(
ど
)
を
負
(
お
)
ひますれば
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
325
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は『
有難
(
ありがた
)
うございます』と
言
(
い
)
うたきり、
326
大地
(
だいち
)
にかぶりつき
有難涙
(
ありがたなみだ
)
に
咽
(
むせ
)
び
入
(
い
)
る。
327
テールス
姫
(
ひめ
)
は
又
(
また
)
もや
梅子姫
(
うめこひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
両手
(
りやうて
)
をつき、
328
テールス姫
『
何分
(
なにぶん
)
罪
(
つみ
)
多
(
おほ
)
き
私
(
わたくし
)
、
329
不知
(
しらず
)
不識
(
しらず
)
の
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
お
気障
(
きざわり
)
が
何程
(
いくら
)
ございませうとも、
330
何卒
(
どうぞ
)
お
赦
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さる
様
(
やう
)
、
331
神界
(
しんかい
)
へお
願
(
ねが
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませ』
332
と
合掌
(
がつしやう
)
して
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る。
333
梅子姫
『
貴女
(
あなた
)
は
此
(
この
)
中
(
なか
)
でも
最
(
もつと
)
も
罪
(
つみ
)
軽
(
かる
)
き、
334
身魂
(
みたま
)
の
清
(
きよ
)
らかな
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
です。
335
今日
(
こんにち
)
神界
(
しんかい
)
に
対
(
たい
)
し
差
(
さ
)
したる
不調法
(
ぶてうはふ
)
もございませぬ。
336
今後
(
こんご
)
も
今迄
(
いままで
)
通
(
どほ
)
り
過
(
あやま
)
ち
無
(
な
)
き
様
(
やう
)
、
337
神
(
かみ
)
の
御用
(
ごよう
)
に
御
(
ご
)
奉仕
(
ほうし
)
あらむことを
希望
(
きばう
)
致
(
いた
)
します』
338
と
答
(
こた
)
ふれば、
339
テールス
姫
(
ひめ
)
も
梅子姫
(
うめこひめ
)
が
慈愛
(
じあい
)
の
言葉
(
ことば
)
に、
340
有難涙
(
ありがたなみだ
)
をしぼるのみであつた。
341
梅子姫
(
うめこひめ
)
は
湖面
(
こめん
)
に
向
(
むか
)
ひ
合掌
(
がつしやう
)
しながら
何事
(
なにごと
)
か
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
する
事
(
こと
)
暫
(
しば
)
し、
342
忽
(
たちま
)
ち
何処
(
いづこ
)
ともなく
微妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え、
343
西北
(
せいほく
)
の
空
(
そら
)
を
封
(
ふう
)
じて、
344
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
一瀉
(
いつしや
)
千里
(
せんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
にて
飛
(
と
)
び
来
(
きた
)
る
以前
(
いぜん
)
のアンボリー、
345
幾百
(
いくひやく
)
ともなく、
346
翼
(
つばさ
)
を
並
(
なら
)
べ、
347
湖上
(
こじやう
)
目蒐
(
めが
)
けて
飛
(
と
)
び
帰
(
かへ
)
る
其
(
その
)
麗
(
うるは
)
しさ、
348
絵
(
ゑ
)
にも
写
(
うつ
)
せぬ
眺
(
なが
)
めなり。
349
(
大正一一・七・一一
旧閏五・一七
谷村真友
録)
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