霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 真心(まごころ)の花(はな)(三)〔七六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第26巻 海洋万里 丑の巻 篇:第1篇 伊都宝珠 よみ(新仮名遣い):いずほっしゅ
章:第4章 真心の花(三) よみ(新仮名遣い):まごころのはな 通し章番号:769
口述日:1922(大正11)年07月17日(旧閏05月23日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
続いて玉能姫は立ち上がり、玉の無事安着したことを祝って、これまでの経緯を歌った。そして、蜈蚣姫がバラモン教の副棟梁の妻でありながら、心を清めて改め、三五教に使えてこの度の神業に功績をあらわしたことを称えた。
蜈蚣姫は立ち上がり、バラモン教ではさまざまに三五教の妨害をなした経緯を歌った。そして娘の小糸姫を探して高姫と共に竜宮島にたどり着き、女王となっていた娘と再会し、その後さまざまな試練を経て心を清められて神業に参加した経緯を歌った。
久助の歌:久助は、妻のお民と共にバラモン教の教えを奉じていたが、竜宮島に渡って三五教に改心し、試練にあって麻邇の宝玉の神業に参加した経緯を、諏訪の湖の玉依姫命の神殿の荘厳な様子を描写しつつ歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:ニユージランド(ニュージーランド) データ凡例: データ最終更新日:2021-09-25 18:27:32 文字数:4468 OBC :rm2604
愛善世界社版:60頁 八幡書店版:第5輯 167頁 修補版: 校定版:66頁 普及版:21頁 初版: ページ備考:
001 玉能姫(たまのひめ)は立上(たちあが)りて玉(たま)の無事(ぶじ)到着(たうちやく)を祝(しゆく)する為(た)めに歌(うた)ひ舞(ま)ひ始(はじ)めた。
002玉能姫『埴安彦(はにやすひこ)や埴安姫(はにやすひめ)
003神(かみ)の命(みこと)の開(ひら)かれし
004三五教(あななひけう)の神(かみ)の教(のり)
005四方(よも)に伝(つた)ふる宣伝使(せんでんし)
006玉能(たまの)の姫(ひめ)の名(な)を負(お)ひて
007綾(あや)の聖地(せいち)に仕(つか)へつつ
008言依別(ことよりわけ)の神言(みこと)もて
009三(み)つの宝(たから)の神業(かむわざ)に
010仕(つか)へ奉(まつ)りて朝夕(あさゆふ)に
011心(こころ)を配(くば)る吾(わが)身魂(みたま)
012豊国姫(とよくにひめ)の常久(とことは)に
013鎮(しづ)まりいます比沼(ひぬ)真奈井(まなゐ)
014神(かみ)の霊地(れいち)に程(ほど)近(ちか)き
015丹波村(あかなみむら)の平助(へいすけ)が
016娘(むすめ)のお節(せつ)の身(み)の果(は)ては
017三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)
018青葉(あをば)繁(しげ)れる若彦(わかひこ)の
019妻(つま)の命(みこと)と選(えら)まれて
020袂(たもと)を別(わか)つ北南(きたみなみ)
021生田(いくた)の森(もり)の神館(かむやかた)
022謹(つつし)み守(まも)る折柄(をりから)に
023高姫(たかひめ)さまの玉探(たまさが)し
024瀬戸(せと)の荒浪(あらなみ)打(う)ち渡(わた)り
025家島(えじま)の山(やま)の奥(おく)深(ふか)く
026迷(まよ)ひ入(い)ります心根(こころね)を
027思(おも)ひ参(まゐ)らせ樟船(くすぶね)を
028新(あら)たに造(つく)りて磯端(いそばた)に
029繋(つな)ぎて帰(かへ)る其(その)後(あと)に
030懸(かか)らせ給(たま)ふ木(こ)の花姫(はなひめ)の
031神(かみ)の御言(みこと)を畏(かしこ)みて
032又(また)もや船(ふね)に身(み)を任(まか)せ
033初稚姫(はつわかひめ)や玉治別(たまはるわけ)の
034神(かみ)の司(つかさ)と諸共(もろとも)に
035心(こころ)の闇(やみ)を明石潟(あかしがた)
036波(なみ)も高砂浦(たかさごうら)近(ちか)く
037飾磨(しかま)の海(うみ)を乗(の)り越(こ)えて
038小豆(せうど)ケ島(しま)や大島(おほしま)や
039馬関(ばくわん)の瀬戸(せと)を後(あと)にして
040大島(おほしま)越(こ)えてアンボイナ
041南洋一(なんやういち)の竜宮(りうぐう)に
042高姫(たかひめ)さまや蜈蚣姫(むかでひめ)
043その他(た)の人々(ひとびと)救(すく)ひつつ
044波(なみ)を隔(へだ)てて帰(かへ)り来(く)る
045又(また)もや吾(わが)身(み)に神懸(かむがか)り
046御言(みこと)の儘(まま)に樟船(くすぶね)を
047大海原(おほうなばら)に浮(うか)べつつ
048大海中(おほわだなか)に漂(ただよ)へる
049魔島(ましま)に近(ちか)く漕(こ)ぎ寄(よ)せて
050高姫(たかひめ)一行(いつかう)救(すく)ひ上(あ)げ
051夜(よ)を日(ひ)に次(つ)いで限(かぎ)りなき
052島(しま)を縫(ぬ)ひつつ沓島(くつじま)の
053ニユージランドの玉(たま)の森(もり)
054此処(ここ)に一先(ひとま)づ息(いき)休(やす)め
055数多(あまた)の土人(どじん)に送(おく)られて
056波(なみ)に漂(ただよ)ふ海中(わだなか)の
057竜宮島(りうぐうじま)のタカ港(みなと)
058目出度(めでた)く船(ふね)を乗(の)り棄(す)てて
059初稚姫(はつわかひめ)や玉治別(たまはるわけ)の
060神(かみ)の命(みこと)と諸共(もろとも)に
061蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)を送(おく)りつつ
062地恩(ちおん)の郷(さと)の傍(かたはら)に
063袂(たもと)を別(わか)ち峰(みね)伝(つた)ひ
064ネルソン山(ざん)を後(あと)にして
065ジヤンナの郷(さと)に友彦(ともひこ)が
066館(やかた)を訪(たづ)ね西北(せいほく)を
067目当(めあて)に行方(ゆくへ)も白雲(しらくも)の
068玉野(たまの)ケ原(はら)に着(つ)きにける
069酷暑(こくしよ)の空(そら)に焼(や)きつかれ
070椰子樹(やしじゆ)の蔭(かげ)に一夜(ひとよさ)を
071憩(いこ)ふ折(をり)しも羽撃(はばた)きの
072激(はげ)しき音(おと)に目(め)を覚(さ)まし
073諏訪(すは)の湖辺(こへん)に佇(たたず)みて
074尊(たふと)き神(かみ)の神勅(しんちよく)を
075畏(かしこ)み仕(つか)へ奉(まつ)りつつ
076百(もも)の試練(ためし)に遭(あ)ひながら
077神(かみ)の助(たす)けの八咫烏(やあたがらす)
078背(せ)に跨(またが)りて悠々(いういう)と
079再(ふたた)び帰(かへ)る諏訪(すは)の湖(うみ)
080眼下(がんか)に眺(なが)めて玉依姫(たまよりひめ)の
081神(かみ)の命(みこと)の隠(かく)れます
082竜(たつ)の宮居(みやゐ)に参上(まゐのぼ)り
083常世(とこよ)の春(はる)を楽(たの)しみつ
084心(こころ)を洗(あら)ふ折柄(をりから)に
085梅子(うめこ)の姫(ひめ)を始(はじ)めとし
086黄竜姫(わうりようひめ)や蜈蚣姫(むかでひめ)
087テールス姫(ひめ)や友彦(ともひこ)の
088五(い)つの御魂(みたま)の悠々(いういう)と
089訪(たづ)ね来(きた)りし嬉(うれ)しさに
090胸(むね)轟(とどろ)かし出(い)で迎(むか)へ
091玉依姫(たまよりひめ)の神言(みこと)もて
092奥殿(おくでん)近(ちか)く導(みちび)きつ
093三日月(みかづき)形(がた)に座(ざ)を占(し)めて
094暫(しばら)く時(とき)を待(ま)つ程(ほど)に
095玉依姫(たまよりひめ)の現(あ)れまして
096賤(いや)しき妾(わらは)の前(まへ)に立(た)ち
097心(こころ)も赤(あか)き麻邇(まに)の玉(たま)
098ものをも言(い)はずわが御手(みて)に
099授(さづ)け給(たま)ひし尊(たふと)さを
100私(わたくし)せじと心(こころ)付(づ)き
101年波(としなみ)高(たか)き蜈蚣姫(むかでひめ)
102神(かみ)の司(つかさ)の玉(たま)の手(て)に
103渡(わた)して帰(かへ)る三(み)つの門(もん)
104浜辺(はまべ)に出(い)でし時(とき)も時(とき)
105空(そら)照(て)り渡(わた)る金翼(きんよく)の
106八咫烏(やあたがらす)に乗(の)せられて
107世(よ)も久方(ひさかた)の天(あま)の原(はら)
108雲霧(くもきり)分(わ)けて自転倒(おのころ)の
109神(かみ)の鎮(しづ)まる竜(たつ)の島(しま)
110綾(あや)の聖地(せいち)の外囲(そとがこ)ひ
111由良(ゆら)の港(みなと)に名(な)も高(たか)き
112人子(ひとご)の司(つかさ)秋山彦(あきやまひこ)の
113貴(うづ)の命(みこと)の庭先(にはさき)に
114悠々(いういう)降(くだ)り来(きた)りけり
115あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
116神(かみ)の御稜威(みいづ)の弥(いや)高(たか)く
117恵(めぐみ)の露(つゆ)の霑(うるほ)ひて
118瑞(みづ)の御魂(みたま)の御(ご)神業(しんげふ)
119仕(つか)へ給(たま)ひし玉能姫(たまのひめ)
120吾(わが)身(み)に余(あま)る光栄(くわうえい)を
121担(にな)ひて又(また)も竜宮(りうぐう)の
122麻邇(まに)の玉(たま)まで拝戴(はいたい)し
123五六七(みろく)神政(しんせい)の一端(いつたん)に
124仕(つか)へ奉(まつ)りし嬉(うれ)しさよ
125バラモン教(けう)に身(み)を委(ゆだ)ね
126大江(おほえ)の山(やま)に現(あ)れませし
127鬼雲彦(おにくもひこ)の副棟梁(ふくとうりやう)
128鬼熊別(おにくまわけ)の妻神(つまがみ)と
129現(あら)はれまして鬼(おに)ケ城(じやう)
130厳(いづ)の砦(とりで)を構(かま)へつつ
131神(かみ)の教(をしへ)を遠近(をちこち)に
132伝(つた)へ給(たま)ひし女丈夫(ぢよぢやうふ)も
133三五教(あななひけう)の皇神(すめかみ)の
134教(をしへ)の水(みづ)に清(きよ)められ
135今(いま)は尊(たふと)き宣伝使(せんでんし)
136蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の御(おん)光(ひかり)
137普(あまね)く四方(よも)に輝(かがや)きぬ
138心(こころ)も赤(あか)き赤玉(あかだま)の
139光(ひかり)ますます照(て)りはえて
140神(かみ)の御稜威(みいづ)は四方(よも)の国(くに)
141伊照(いて)り透(とう)らひ隈(くま)もなく
142蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の功績(いさをし)は
143自転倒(おのころ)島(じま)は言(い)ふも更(さら)
144国(くに)の悉(ことごと)雷(いかづち)の
145轟(とどろ)く如(ごと)く鳴(な)り渡(わた)り
146神(かみ)の御楯(みたて)と常久(とことは)に
147仕(つか)へ奉(まつ)らせ給(たま)ふらむ
148あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
149御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
150千代(ちよ)も八千代(やちよ)も変(かは)りなく
151誠(まこと)の道(みち)に仕(つか)へませ
152拙(つたな)き身魂(みたま)の玉能姫(たまのひめ)
153心(こころ)を籠(こ)めて皇神(すめかみ)の
154貴(うづ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎ奉(まつ)る
155あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
156御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ』
157と歌(うた)ひ終(をは)つて座(ざ)に着(つ)いた。
158 蜈蚣姫(むかでひめ)はくの字(じ)に曲(まが)つた腰(こし)を揺(ゆす)りながら、159銀扇(ぎんせん)を開(ひら)き満面(まんめん)に喜(よろこ)びの色(いろ)を湛(たた)へ、160中央(ちうあう)の席(せき)に現(あら)はれて自(みづか)ら歌(うた)ひ自(みづか)ら舞(ま)うた。
161蜈蚣姫『メソポタミヤの楽園地(らくゑんち)
162顕恩郷(めぐみのさと)を立(た)ち出(い)でて
163鬼雲彦(おにくもひこ)と諸共(もろとも)に
164自転倒(おのころ)島(じま)の中心地(ちうしんち)
165大江(おほえ)の山(やま)にバラモンの
166教(をしへ)の庭(には)を開(ひら)きつつ
167三嶽(みたけ)の山(やま)や鬼(おに)ケ城(じやう)
168山(やま)の尾(を)の上(へ)や川(かは)の瀬(せ)の
169数多(あまた)の神(かみ)を寄(よ)せ集(つど)へ
170神(かみ)の教(をしへ)を開(ひら)きつつ
171大国彦(おほくにひこの)大神(おほかみ)に
172百(もも)の犠牲(いけにへ)奉(たてまつ)り
173大神慮(おほみこころ)を慰(なぐさ)めつ
174教(をしへ)の花(はな)を遠近(をちこち)に
175世(よ)に芳(かん)ばしく伝(つた)へむと
176心(こころ)を焦(いら)つ折柄(をりから)に
177瑞(みづ)の御魂(みたま)と現(あ)れませる
178神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)に
179仕(つか)へ奉(まつ)れる神司(かむつかさ)
180心(こころ)も清(きよ)き大丈夫(ますらを)に
181大江(おほえ)の城(しろ)や鬼(おに)ケ城(じやう)
182追(お)ひ払(はら)はれて鬼雲(おにくも)の
183彦(ひこ)の命(みこと)と鬼熊別(おにくまわけ)は
184伊吹(いぶき)の山(やま)を乗(の)り越(こ)えて
185再(ふたた)び波斯(フサ)の野(の)を横(よ)ぎり
186埃及(エヂプト)指(さ)して帰(かへ)りまし
187後(あと)に残(のこ)りし蜈蚣姫(むかでひめ)
188此(この)頽勢(たいせい)を何処迄(どこまで)も
189翻(ひるがへ)さむと近江路(あふみぢ)や
190丹波(たんば)若狭(わかさ)の境(さかひ)なる
191三国(みくに)ケ嶽(だけ)に立(た)て籠(こも)り
192体主(たいしゆ)霊従(れいじう)と知(し)りながら
193時(とき)の勢(いきほひ)已(や)むを得(え)ず
194醜(しこ)の御業(みわざ)を継続(けいぞく)し
195国依別(くによりわけ)や玉治別(たまはるわけ)の
196神(かみ)の司(つかさ)に退(やら)はれて
197再(ふたた)び開(ひら)く魔谷(まや)ケ岳(だけ)
198小豆(せうど)ケ島(しま)に名(な)も高(たか)き
199国城山(くにしろやま)に身(み)を転(てん)じ
200教(をしへ)を開(ひら)き黄金(わうごん)の
201玉(たま)の在処(ありか)を探(たづ)ねつつ
202月日(つきひ)を送(おく)る山(やま)の上(うへ)
203思(おも)ひがけなき三五(あななひ)の
204神(かみ)の司(つかさ)の高姫(たかひめ)や
205友彦(ともひこ)其(その)他(た)に廻(めぐ)り会(あ)ひ
206小糸(こいと)の姫(ひめ)の行末(ゆくすゑ)を
207探(たづ)ねがてらの玉探(たまさが)し
208名(な)は太平(たいへい)の洋(うみ)なれど
209荒浪(あらなみ)猛(たけ)る和田(わだ)の原(はら)
210生死(せいし)の境(さかひ)に浮沈(ふちん)して
211数多(あまた)の島(しま)を横(よ)ぎりつつ
212高姫(たかひめ)一行(いつかう)と諸共(もろとも)に
213一(ひと)つ島(じま)なる地恩城(ちおんじやう)
214黄竜姫(わうりようひめ)に面会(めんくわい)し
215始(はじ)めて覚(さと)る吾(わが)娘(むすめ)
216ヤツと一息(ひといき)つく間(うち)に
217現(あら)はれ来(きた)る蜃気楼(しんきろう)
218梅子(うめこ)の姫(ひめ)を始(はじ)めとし
219黄竜姫(わうりようひめ)や友彦(ともひこ)や
220テールス姫(ひめ)と諸共(もろとも)に
221遠(とほ)き山野(やまの)を打渉(うちわた)り
222神(かみ)の経綸(しぐみ)の秘密(ひみつ)郷(きやう)
223波(なみ)も輝(かがや)く諏訪(すは)の湖(うみ)
224梅子(うめこ)の姫(ひめ)の神勅(しんちよく)に
225初(はじ)めて開(ひら)く胸(むね)の中(うち)
226君(きみ)と臣(おみ)とに麻柱(あななひ)の
227誠(まこと)を悟(さと)り勇(いさ)ましく
228天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
229歓(ゑら)ぎ喜(よろこ)ぶ一行(いつかう)は
230黄金(こがね)の船(ふね)に迎(むか)へられ
231竜(たつ)の宮居(みやゐ)に参上(まゐのぼ)り
232四辺(あたり)眩(まばゆ)き神社(かむやしろ)
233光(ひか)り輝(かがや)き出(い)で給(たま)ふ
234玉依姫(たまよりひめ)の御(おん)前(まへ)に
235進(すす)みし時(とき)の嬉(うれ)しさよ
236玉依姫(たまよりひめ)の御(おん)手(て)より
237麻邇(まに)の赤玉(あかだま)受取(うけと)りし
238玉能(たまの)の姫(ひめ)の真心(まごころ)は
239玉(たま)と光(ひかり)を争(あらそ)ひつ
240顔色(かほいろ)黒(くろ)く腹(はら)黒(くろ)き
241厭(いや)しき蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の前(まへ)
242玉(たま)の御(おん)手(て)をさし伸(の)べて
243麻邇珠(まにしゆ)の玉(たま)を吾(わ)が御手(みて)に
244渡(わた)し給(たま)ひし健気(けなげ)さよ
245思(おも)へば思(おも)へば恥(はづか)しき
246執着心(しふちやくしん)の曲鬼(まがおに)に
247取(と)りひしがれし老(おい)の身(み)の
248開悟(かいご)の花(はな)は咲(さ)き出(い)でぬ
249梅子(うめこ)の姫(ひめ)に従(したが)ひて
250一同(いちどう)館(やかた)を立(た)ち出(い)づる
251荘厳(さうごん)無比(むひ)の三(み)つの門(もん)
252潜(くぐ)るや間(ま)もなく金翼(きんよく)の
253八咫烏(やあたがらす)に助(たす)けられ
254一潟(いつしや)千里(せんり)の勢(いきほひ)に
255心(こころ)の色(いろ)も秋山彦(あきやまひこ)の
256神(かみ)の命(みこと)の庭先(にはさき)に
257紅葉(もみぢ)彩(いろど)る今日(けふ)の空(そら)
258悠々(いういう)降(くだ)り着(つ)きにけり
259あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
260御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
261今迄(いままで)犯(をか)せし親(おや)と子(こ)が
262深(ふか)き罪咎(つみとが)宣(の)り直(なほ)し
263見直(みなほ)しまして三五(あななひ)の
264神(かみ)の司(つかさ)の片端(かたはし)に
265列(つら)ね給(たま)へよ瑞御魂(みづみたま)
266神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大御神(おほみかみ)
267国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)の
268御分霊(わけのみたま)の御(おん)前(まへ)に
269霊魂(みたま)を洗(あら)ひ身(み)を清(きよ)め
270心(こころ)の色(いろ)も赤玉(あかだま)の
271曇(くも)り晴(は)らして願(ね)ぎ奉(まつ)る
272朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
273月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
274仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
275教(をしへ)の君(きみ)の御(おん)前(まへ)に
276汚(きたな)き心(こころ)二心(ふたごころ)
277孫子(まごこ)の末(すゑ)に至(いた)るまで
278夢(ゆめ)にも持(も)たじと皇神(すめかみ)の
279御前(みまへ)に誓(ちか)ひ奉(たてまつ)る
280あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
281御霊(みたま)幸(さち)はへ給(たま)へかし』
282と歌(うた)ひ終(をは)つた。
283 久助(きうすけ)は数多(あまた)の人々(ひとびと)を憚(はばか)りながら、284声(こゑ)密(ひそ)かに歌(うた)ひ始(はじ)めた。
285久助『バラモン教(けう)の神司(かむづかさ)
286蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の御教(みをしへ)を
287此上(こよ)なく尊(たふと)み敬(うやま)ひて
288妻(つま)のお民(たみ)と諸共(もろとも)に
289大国彦(おほくにひこの)大神(おほかみ)に
290仕(つか)へ奉(まつ)りて村肝(むらきも)の
291心(こころ)の雲(くも)を明石潟(あかしがた)
292浪(なみ)を渡(わた)りて瀬戸(せと)の海(うみ)
293堅磐(かきは)常磐(ときは)に浮(うか)びたる
294小豆(せうど)ケ島(しま)に名(な)も高(たか)き
295国城山(くにしろやま)の岩窟(がんくつ)に
296心(こころ)を清(きよ)め身(み)を潔(きよ)め
297教(をしへ)の道(みち)を歩(あゆ)む折(をり)
298三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
299高姫(たかひめ)さまや貫州(くわんしう)の
300教司(をしへつかさ)の出(い)でまして
301神(かみ)の大道(おほぢ)を宣(の)り給(たま)ふ
302時(とき)しもあれや其(その)昔(むかし)
303吾(われ)等(ら)夫婦(ふうふ)を虐(しひた)げし
304バラモン教(けう)の友彦(ともひこ)が
305此(この)場(ば)に現(あら)はれ来(きた)るより
306ハツと見合(みあ)はす顔(かほ)と顔(かほ)
307心(こころ)の曇(くもり)晴(は)れやらぬ
308吾(われ)等(ら)夫婦(ふうふ)は友彦(ともひこ)に
309掴(つか)み掛(かか)つて恨(うら)み言(ごと)
310口(くち)を極(きは)めて罵(ののし)りし
311己(おの)が心(こころ)の恥(はづか)しさ
312蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)や高姫(たかひめ)の
313後(あと)に従(したが)ひ瀬戸(せと)の海(うみ)
314国城山(くにしろやま)を後(あと)に見(み)て
315馬関(ばくわん)の海峡(かいけふ)打渡(うちわた)り
316神(かみ)の恵(めぐ)みの大島(おほしま)や
317南洋一(なんやういち)の竜宮島(りうぐうじま)
318波(なみ)のまにまに漂(ただよ)ひて
319ニユージランドの沓島(くつじま)に
320月日(つきひ)を重(かさ)ねて辿(たど)り着(つ)き
321又(また)もや竜宮(りうぐう)の一(ひと)つ島(じま)
322タカの港(みなと)に船(ふね)繋(つな)ぎ
323焦付(こげつ)く様(やう)な炎天(えんてん)を
324蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)に従(したが)ひて
325全島一(ぜんたういち)の高原地(かうげんち)
326青垣山(あをがきやま)を廻(めぐ)らせる
327風(かぜ)さへ清(きよ)き地恩城(ちおんじやう)
328広(ひろ)き馬場(ばんば)に立向(たちむか)ひ
329群集(ぐんしふ)に紛(まぎ)れて城(しろ)の側(わき)
330峰(みね)をつたひてネルソンの
331山(やま)の絶頂(ぜつちやう)に登(のぼ)りつめ
332四方(よも)を見晴(みは)らす折柄(をりから)に
333空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の旋風(つむじかぜ)
334吹(ふ)き散(ち)らされて谷(たに)の底(そこ)
335名(な)も恐(おそ)ろしき曲津(まがつ)神(かみ)
336大蛇(をろち)にまかれて玉(たま)の緒(を)の
337息(いき)も絶(た)えむとする時(とき)に
338神(かみ)の恵(めぐみ)の著(いちじる)く
339三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
340玉治別(たまはるわけ)の神司(かむつかさ)
341其(その)場(ば)に現(あら)はれましまして
342吾(われ)等(ら)夫婦(ふうふ)を救(すく)ひまし
343初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
344愈(いよいよ)揃(そろ)ふ五(い)つ御霊(みたま)
345人跡(じんせき)絶(た)えし谷道(たにみち)を
346辿(たど)り辿(たど)りて日(ひ)を重(かさ)ね
347虎(とら)狼(おほかみ)や鬼(おに)大蛇(をろち)
348醜(しこ)の曲津(まがつ)の猛(たけ)び声(ごゑ)
349胸(むね)を躍(をど)らせ肝(きも)冷(ひや)し
350神(かみ)の恵(めぐみ)を力(ちから)とし
351誠(まこと)の道(みち)を杖(つゑ)として
352一望(いちばう)千(せん)里(り)の玉野原(たまのはら)
353金銀(きんぎん)輝(かがや)く砂道(すなみち)を
354汗(あせ)をダラダラ滝津瀬(たきつせ)の
355落(お)つるが如(ごと)く搾(しぼ)りつつ
356神(かみ)の経綸(しぐみ)の秘密(ひみつ)郷(きやう)
357諏訪(すは)の湖辺(こへん)に着(つ)きにける
358初稚姫(はつわかひめ)を始(はじ)めとし
359一行(いつかう)五(ご)人(にん)は玉依姫(たまよりひめ)の
360神(かみ)の命(みこと)の神勅(しんちよく)を
361畏(かしこ)み麻柱(あなな)ひ奉(まつ)りつつ
362教司(をしへつかさ)に従(したが)ひて
363竜宮島(りうぐうじま)を廻(めぐ)り終(を)へ
364神(かみ)の救(すく)ひの八咫烏(やあたがらす)
365黄金(こがね)の翼(つばさ)に助(たす)けられ
366金波(きんぱ)銀波(ぎんぱ)の漂(ただよ)へる
367諏訪(すは)の湖水(こすゐ)に翔(か)け戻(もど)り
368黄金(こがね)の門(もん)をかい潜(くぐ)り
369玉依姫(たまよりひめ)の潜(ひそ)みます
370竜(たつ)の宮居(みやゐ)の奥(おく)深(ふか)く
371仕(つか)へ奉(まつ)りて時(とき)を待(ま)つ
372時(とき)しもあれや瑞御霊(みづみたま)
373神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
374貴(うづ)の御(おん)子(こ)と生(あ)れませる
375梅子(うめこ)の姫(ひめ)を初(はじ)めとし
376黄竜姫(わうりようひめ)や蜈蚣姫(むかでひめ)
377テールス姫(ひめ)や友彦(ともひこ)の
378神(かみ)の使(つかひ)の宣伝使(せんでんし)
379面(おもて)に笑(ゑみ)を浮(うか)べつつ
380徐々(しづしづ)進(すす)み来(きた)ります
381其(その)御姿(みすがた)を拝(はい)してゆ
382心(こころ)の駒(こま)は勇(いさ)み立(た)ち
383嬉(うれ)し涙(なみだ)はあふれける
384奥殿(おくでん)深(ふか)く進(すす)み入(い)り
385奥(おく)の一間(ひとま)に座(ざ)を占(し)めて
386月(つき)の形(かたち)の簾(みす)の内(うち)
387十曜(とえう)の紋(もん)の十人(とたり)連(づれ)
388三日月(みかづき)形(がた)に並(なら)び居(ゐ)る
389高座(かうざ)の扉(とびら)を押開(おしあ)けて
390四辺(あたり)眩(まばゆ)き玉依(たまより)の
391姫(ひめ)の命(みこと)の御(おん)姿(すがた)
392玉(たま)の肌(はだへ)も細(こま)やかに
393雪(ゆき)より白(しろ)き白玉(しらたま)を
394明石(あかし)の郷(さと)の久助(きうすけ)が
395両手(りやうて)に授(さづ)け給(たま)ひつつ
396笑(ゑ)ませ給(たま)へる崇高(けだか)さよ
397押戴(おしいただ)いて久助(きうすけ)は
398神(かみ)の教(をしへ)の友彦(ともひこ)の
399玉(たま)の御(おん)手(て)に差(さ)し渡(わた)し
400ヤツと胸(むね)をば撫(な)で下(おろ)し
401感謝(かんしや)の涙(なみだ)に咽(むせ)ぶ折(をり)
402玉依姫(たまよりひめの)大神(おほかみ)は
403吾(われ)等(ら)一同(いちどう)に目礼(もくれい)し
404ものをも言(い)はず元(もと)の座(ざ)に
405玉(たま)の戸(と)閉(と)ぢて入(い)り給(たま)ふ
406あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
407夢(ゆめ)ではないかと勇(いさ)み立(た)ち
408心(こころ)も輝(かがや)く折柄(をりから)に
409梅子(うめこ)の姫(ひめ)は悠々(いういう)と
410御首(みくび)に宝珠(ほつしゆ)をかけながら
411早(はや)くも此(この)場(ば)を立(た)ち給(たま)ふ
412一同(いちどう)御後(みあと)に従(したが)ひて
413光(ひか)り眩(まばゆ)き三(み)つの門(もん)
414潜(くぐ)り出(い)づれば諏訪(すは)の湖(うみ)
415朝日(あさひ)に照(て)りて金銀(きんぎん)の
416波(なみ)も殊更(ことさら)爽(さはや)かに
417天国(てんごく)浄土(じやうど)の有様(ありさま)も
418かくやあらむと思(おも)ふ折(をり)
419御空(みそら)を照(て)らして降(くだ)り来(く)る
420八咫烏(やあたがらす)の一行(いつかう)に
421梅子(うめこ)の姫(ひめ)を初(はじ)めとし
422吾(われ)等(ら)十人(とたり)の生身魂(いくみたま)
423列(れつ)を正(ただ)して中空(ちうくう)を
424夢(ゆめ)の如(ごと)くに翔(か)け廻(めぐ)り
425名(な)さへ目出度(めでた)き磯輪垣(しわがき)の
426秀妻国(ほづまのくに)の中心地(ちうしんち)
427由良(ゆら)の港(みなと)に名(な)も高(たか)き
428秋山彦(あきやまひこ)の庭先(にはさき)に
429黄金(こがね)の鳩(はと)の降(くだ)る如(ごと)
430天降(あも)り来(きた)りし嬉(うれ)しさよ
431あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
432御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
433三五教(あななひけう)の御教(みをしへ)を
434四方(よも)の国々(くにぐに)隈(くま)もなく
435教(をし)へ導(みちび)き皇神(すめかみ)の
436尊(たふと)き経綸(しぐみ)の万分一(まんぶいち)
437尽(つく)させ給(たま)へ天津(あまつ)神(かみ)
438国津(くにつ)神(かみ)等(たち)八百万(やほよろづ)
439別(わ)けて尊(たふと)き三五(あななひ)の
440神(かみ)の教(をしへ)の司神(つかさがみ)
441国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)や
442豊国姫(とよくにひめ)の御(おん)前(まへ)に
443明石(あかし)の郷(さと)の久助(きうすけ)が
444心(こころ)も清(きよ)く願(ね)ぎ奉(まつ)る
445あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
446御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ』
447と歌(うた)ひ終(をは)つて元(もと)の席(せき)に着(つ)いた。
448(大正一一・七・一七 旧閏五・二三 谷村真友録)
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