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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第26巻(丑の巻)
序歌
凡例
総説歌
第1篇 伊都宝珠
第1章 麻邇の玉
第2章 真心の花(一)
第3章 真心の花(二)
第4章 真心の花(三)
第5章 真心の花(四)
第2篇 蓮華台上
第6章 大神宣
第7章 鈴の音
第8章 虎の嘯
第9章 生言霊
第3篇 神都の秋
第10章 船歌
第11章 言の波
第12章 秋の色
第4篇 波瀾重畳
第13章 三つ巴
第14章 大変歌
第15章 諭詩の歌
第16章 三五玉
第17章 帰り路
跋
余白歌
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霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
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第26巻(丑の巻)
> 第4篇 波瀾重畳 > 第13章 三つ巴
<<< 秋の色
(B)
(N)
大変歌 >>>
第一三章
三
(
み
)
つ
巴
(
どもゑ
)
〔七七八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第26巻 海洋万里 丑の巻
篇:
第4篇 波瀾重畳
よみ(新仮名遣い):
はらんちょうじょう
章:
第13章 三つ巴
よみ(新仮名遣い):
みつどもえ
通し章番号:
778
口述日:
1922(大正11)年07月19日(旧閏05月25日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年6月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫、黒姫、高山彦らは、偽神懸りに乗せられて、神素盞嗚大神の誓約から生まれた三女神を祀った竹生島に、社殿の下から玉を掘り出そうと、それぞれ一人ずつやってきた。
天の安河にて神素盞嗚大神が誓約をなし給いしとき、瑞の御魂の表徴として三女神が現れた。この竹生島に三女神の御魂が留め置かれた後、女神たちを慰めるために竜神がときどきやってきて琵琶を弾じた。そのため、島のある湖は琵琶湖と呼ばれるようになったのである。
言霊学者は、琵琶湖を天の真奈井とも唱えている。現代の竹生島は湖の北側にあるが、この物語の時代にはほぼ中央にあり、また松の島・竹の島・梅の島の三つがあって、それぞれに三女神が祀られていた。
高姫は、舟をこいでまず、竹の島にやってきた。闇夜の中、黒姫と高山彦も竹の島にこぎつけて上陸した。三人はそれと知らず、同じ社の床下に集まってくることになった。
竹生島の司・英子姫と亀彦は、社で夕拝をしていると、高姫が舟から上陸して社にやってきて、天津祝詞を唱えるのを聞いた。英子姫は見るに忍びず独り館に帰って行った。
亀彦は闇の中、声を潜めて社の中に隠れた。高姫は、亀彦が社の中に居るとも知らず、三つの宝珠を授けたまえと祈願すると、床下に潜り込んで行った。続いて黒姫と高山彦が同じようにやってきて、床下に潜った。
三人はときどき頭をぶつけて火花を出しながら、床下を探っていた。高姫は二人も同じ目的でやってきていることに気付き、もし自分以外が玉を掘り出したら、変性男子の系統を楯に取って玉を取ってやろうと考えながら、執着心を露にしつつ、すでに四五尺も穴を掘っていた。
一方黒姫も、誰か二人やってきて社の床下を掘っているのは、てっきり言依別命の差配だと思い込んでいた。そして言依別や杢助をアフンとさせてやろうと必死で玉を探して一生懸命に掘っていた。
高山彦は次第に、他の二人の人影が高姫と黒姫ではないかと疑い始めたが、天狗が嘘をつくはずがないと思い直す。そして、自分は別に玉探しも興味がないのだが、妻の黒姫が騒ぐので、執着の心の雲を晴らしてやろうとしていたのだ、と独り思いながら掘っている。
高山彦は、高姫・黒姫に懸っている神が神力が足りないやくざ神であると気付きながらも、二人の心の雲の執着が払われるように、と心の中に祈願している。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm2613
愛善世界社版:
179頁
八幡書店版:
第5輯 205頁
修補版:
校定版:
197頁
普及版:
64頁
初版:
ページ備考:
001
炎熱
(
えんねつ
)
火房
(
くわばう
)
に
坐
(
ざ
)
す
如
(
ごと
)
く
002
恰
(
あだか
)
も
釜中
(
ふちう
)
に
居
(
を
)
る
如
(
ごと
)
し
003
酷暑
(
こくしよ
)
の
空
(
そら
)
に
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
004
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへて
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
つる
005
廻
(
まは
)
すハンドル
力
(
ちから
)
なく
006
半
(
なかば
)
破
(
やぶ
)
れしレコードも
007
針
(
はり
)
の
疲
(
つか
)
れにキシキシと
008
鳴
(
な
)
り
出
(
い
)
で
兼
(
か
)
ねしかすり
声
(
ごゑ
)
009
妙音
(
めうおん
)
菩薩
(
ぼさつ
)
の
山上
(
やまがみ
)
氏
(
し
)
010
傍
(
そば
)
に
現
(
あら
)
はれましませど
011
泣
(
な
)
き
嗄
(
から
)
したる
時鳥
(
ほととぎす
)
012
八千八
(
はつせんや
)
声
(
こゑ
)
も
尽
(
つ
)
き
果
(
は
)
てて
013
唇
(
くちびる
)
加藤
(
かとう
)
明
(
あ
)
きかぬる
014
珍
(
うづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
松村
(
まつむら
)
氏
(
し
)
015
真澄
(
ますみ
)
の
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
めつつ
016
此処迄
(
ここまで
)
述
(
の
)
べて
北村
(
きたむら
)
の
017
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
の
隆光
(
たかひか
)
る
018
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
神教
(
みをしへ
)
を
019
守
(
まも
)
る
神人
(
しんじん
)
言依別
(
ことよりわけ
)
の
020
瑞
(
みづ
)
の
命
(
みこと
)
を
始
(
はじ
)
めとし
021
玉照彦
(
たまてるひこ
)
や
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
022
瑞
(
みづ
)
の
命
(
みこと
)
の
聖顔
(
かんばせ
)
は
023
外山
(
とやま
)
の
霞
(
かすみ
)
掻
(
か
)
き
分
(
わ
)
けて
024
豊二
(
ゆたかに
)
昇
(
のぼ
)
る
朝日子
(
あさひこ
)
の
025
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
如
(
ごと
)
くなり
026
五六七
(
みろく
)
太夫
(
だいふ
)
の
谷村
(
たにむら
)
氏
(
し
)
027
真
(
まこと
)
の
友
(
とも
)
と
水火
(
いき
)
合
(
あは
)
せ
028
汗
(
あせ
)
に
眼鏡
(
めがね
)
を
曇
(
くも
)
らせつ
029
万年筆
(
まんねんひつ
)
と
口
(
くち
)
の
先
(
さき
)
030
素的
(
すてき
)
滅法
(
めつぱふ
)
に
尖
(
とが
)
らせて
031
松雲閣
(
しよううんかく
)
の
中
(
なか
)
の
間
(
ま
)
で
032
鼻高姫
(
はなたかひめ
)
や
黒姫
(
くろひめ
)
が
033
御玉探
(
みたまさが
)
しの
大騒
(
おほさわ
)
ぎ
034
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
が
035
帯
(
お
)
ばせ
給
(
たま
)
ひし
御佩刀
(
みはかせ
)
の
036
三段
(
みきだ
)
に
折
(
を
)
りし
誓約
(
うけひ
)
より
037
現
(
あら
)
はれませる
三女神
(
さんぢよしん
)
038
市杵嶋
(
いちきしま
)
姫
(
ひめ
)
、
多紀理
(
たぎり
)
姫
(
ひめ
)
039
多岐都
(
たきつ
)
の
姫
(
ひめ
)
を
祀
(
まつ
)
りたる
040
御稜威
(
みいづ
)
輝
(
かがや
)
く
竹生島
(
ちくぶじま
)
041
社殿
(
しやでん
)
の
下
(
した
)
に
瑞宝
(
ずゐはう
)
の
042
匿
(
かく
)
されありと
国依別
(
くによりわけ
)
の
043
俄天狗
(
にはかてんぐ
)
にそそられて
044
此処
(
ここ
)
に
三人
(
みたり
)
の
玉抜
(
たまぬ
)
けや
045
ヤツサモツサの
経緯
(
いきさつ
)
を
046
筆
(
ふで
)
に
写
(
うつ
)
して
止
(
とど
)
め
置
(
お
)
く
047
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
048
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ。
049
○
050
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
051
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
を
052
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
楯
(
たて
)
と
頼
(
たの
)
みたる
053
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
054
嘘
(
うそ
)
か
真
(
まこと
)
か
知
(
し
)
らねども
055
天狗
(
てんぐ
)
の
鼻
(
はな
)
の
高姫
(
たかひめ
)
が
056
尊
(
たふと
)
き
御魂
(
みたま
)
を
持
(
も
)
ちながら
057
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
神業
(
かむわざ
)
に
058
取
(
と
)
り
除
(
のぞ
)
かれし
妬
(
ねた
)
ましさ
059
言依別
(
ことよりわけ
)
が
匿
(
かく
)
したる
060
玉
(
たま
)
の
在処
(
ありか
)
を
何処迄
(
どこまで
)
も
061
仮令
(
たとへ
)
火
(
ひ
)
になり
蛇
(
へび
)
になり
062
骨
(
ほね
)
になるとも
執拗
(
しつえう
)
に
063
探
(
さぐ
)
り
当
(
あ
)
てねば
置
(
お
)
かないと
064
執着心
(
しふちやくしん
)
の
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
065
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて
066
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
067
明石
(
あかし
)
の
海
(
うみ
)
や
淡路島
(
あはぢしま
)
068
家島
(
えじま
)
を
越
(
こ
)
えて
小豆島
(
せうどしま
)
069
波濤
(
はたう
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
南洋
(
なんやう
)
の
070
蘇鉄
(
そてつ
)
の
茂
(
しげ
)
る
大島
(
おほしま
)
や
071
バナヽの
薫
(
かほ
)
り
香
(
かう
)
ばしき
072
南洋一
(
なんやういち
)
のアンボイナ
073
谷水
(
たにみづ
)
清
(
きよ
)
く
苔
(
こけ
)
青
(
あを
)
く
074
竜宮島
(
りうぐうじま
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
075
これの
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にして
076
流
(
なが
)
れ
流
(
なが
)
れて
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
077
黄金
(
こがね
)
の
島
(
しま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し
078
地恩
(
ちおん
)
の
城
(
しろ
)
に
現
(
あら
)
はれて
079
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
に
玉
(
たま
)
抜
(
ぬ
)
かれ
080
流石
(
さすが
)
剛気
(
がうき
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も
081
胸
(
むね
)
轟
(
とどろ
)
かし
黒姫
(
くろひめ
)
や
082
高山彦
(
たかやまひこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひて
083
潮
(
しほ
)
の
八百路
(
やほぢ
)
の
八潮路
(
やしほぢ
)
の
084
潮
(
しほ
)
の
八百会
(
やほあひ
)
漕
(
こ
)
ぎ
帰
(
かへ
)
り
085
淡路
(
あはぢ
)
の
島
(
しま
)
の
東助
(
とうすけ
)
が
086
鉄門
(
かなど
)
を
守
(
まも
)
る
虻蜂
(
あぶはち
)
に
087
鼻
(
はな
)
を
折
(
を
)
られて
再度
(
ふたたび
)
の
088
山
(
やま
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
漕
(
こ
)
ぎ
帰
(
かへ
)
り
089
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
090
玉能
(
たまの
)
の
姫
(
ひめ
)
の
神館
(
かむやかた
)
091
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
訪
(
たづ
)
ぬれば
092
国依別
(
くによりわけ
)
や
秋
(
あき
)
、
駒
(
こま
)
の
093
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らぬ
三人
(
みたり
)
連
(
づ
)
れ
094
やつさもつさと
争論
(
あげつら
)
ひ
095
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
は
竹生島
(
ちくぶじま
)
096
憑依
(
ひようい
)
もしない
天狗
(
てんぐ
)
の
口
(
くち
)
に
097
鼻高姫
(
はなたかひめ
)
は
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
098
今度
(
こんど
)
は
願望
(
ぐわんまう
)
成就
(
じやうじゆ
)
と
099
館
(
やかた
)
の
裏口
(
うらぐち
)
走
(
はし
)
りぬけ
100
闇
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
細道
(
ほそみち
)
を
101
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
可憐
(
いぢ
)
らしき
102
上野
(
うへの
)
、
篠原
(
しのはら
)
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
103
秋
(
あき
)
の
御空
(
みそら
)
も
住吉
(
すみよし
)
の
104
郷
(
さと
)
に
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
105
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
むれば
106
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
107
光
(
ひかり
)
争
(
あらそ
)
ふ
朝日子
(
あさひこ
)
の
108
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
109
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
み
110
中野
(
なかの
)
の
郷
(
さと
)
もいつしかに
111
葭
(
よし
)
と
芦屋
(
あしや
)
の
忙
(
いそが
)
しく
112
運
(
はこ
)
ぶ
歩
(
あゆ
)
みも
立花
(
たちばな
)
や
113
小田郷
(
をだがう
)
、
柴島
(
くにじま
)
、
淀
(
よど
)
の
川
(
かは
)
114
漸
(
やうや
)
く
道
(
みち
)
も
枚方
(
ひらかた
)
や
115
いつしか
廻
(
まは
)
り
大塚
(
おほつか
)
の
116
此
(
この
)
坂道
(
さかみち
)
も
高槻
(
たかつき
)
や
117
山崎
(
やまざき
)
越
(
こ
)
えて
美豆
(
みづ
)
の
郷
(
さと
)
118
河
(
かは
)
の
流
(
なが
)
れも
淀
(
よど
)
の
町
(
まち
)
119
銀波
(
ぎんぱ
)
漂
(
ただよ
)
ふ
巨椋池
(
おぐらいけ
)
120
宇治
(
うぢ
)
の
流
(
なが
)
れに
下
(
お
)
り
立
(
た
)
ちて
121
飲
(
の
)
み
干
(
ほ
)
す
水
(
みづ
)
は
醍醐味
(
だいごみ
)
や
122
小山
(
をやま
)
、
大谷
(
おほたに
)
早
(
はや
)
越
(
こ
)
えて
123
逢坂山
(
あふさかやま
)
の
真葛
(
さねかづら
)
124
人
(
ひと
)
に
知
(
し
)
らされ
来
(
く
)
る
由
(
よし
)
も
125
嬉
(
うれ
)
しき
玉
(
たま
)
を
三井
(
みゐ
)
の
寺
(
てら
)
126
ミロクの
神世
(
みよ
)
に
大津辺
(
おほつべ
)
の
127
幾多
(
いくた
)
の
船
(
ふね
)
の
其
(
その
)
中
(
なか
)
に
128
殊更
(
ことさら
)
堅固
(
けんご
)
な
船
(
ふね
)
を
選
(
よ
)
り
129
高姫
(
たかひめ
)
艪
(
ろ
)
をば
操
(
あやつ
)
りて
130
心
(
こころ
)
は
後
(
あと
)
に
沖
(
おき
)
の
島
(
しま
)
131
波
(
なみ
)
を
辷
(
すべ
)
つて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
132
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
ゆるは
竹生島
(
ちくぶじま
)
133
月
(
つき
)
西山
(
せいざん
)
に
傾
(
かたむ
)
きて
134
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
水
(
みづ
)
の
面
(
おも
)
135
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
む
大空
(
おほぞら
)
に
136
閃
(
ひらめ
)
き
渡
(
わた
)
る
星
(
ほし
)
の
影
(
かげ
)
137
船
(
ふね
)
漕
(
こ
)
ぎ
浪
(
なみ
)
を
砕
(
くだ
)
きつつ
138
浅黄
(
あさぎ
)
に
星
(
ほし
)
の
紋
(
もん
)
つけた
139
黒
(
くろ
)
い
婆
(
ば
)
さまがやつて
来
(
く
)
る
140
又
(
また
)
もや
続
(
つづ
)
いて
来
(
く
)
る
船
(
ふね
)
は
141
頭
(
あたま
)
の
光
(
ひか
)
る
福禄寿
(
げほう
)
さま
142
弁天
(
べんてん
)
さまの
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
143
女布袋
(
をんなほてい
)
や
大黒
(
だいこく
)
が
144
黄金
(
こがね
)
の
槌
(
つち
)
はなけれども
145
土
(
つち
)
の
中
(
なか
)
より
瑞宝
(
ずゐはう
)
を
146
探
(
さぐ
)
り
当
(
あ
)
てむと
執着
(
しふちやく
)
の
147
心
(
こころ
)
の
暗
(
やみ
)
に
塞
(
とざ
)
されて
148
星影
(
ほしかげ
)
映
(
うつ
)
る
湖
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
149
互
(
たがひ
)
に
息
(
いき
)
を
凝
(
こ
)
らしつつ
150
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
るこそ
訝
(
いぶ
)
かしき。
151
近江
(
あふみ
)
の
国
(
くに
)
の
琵琶
(
びは
)
の
湖水
(
こすゐ
)
は、
152
其
(
その
)
形
(
かたち
)
楽器
(
がくき
)
の
琵琶
(
びは
)
に
似
(
に
)
たるをもつて、
153
此
(
この
)
名
(
な
)
ありと
巷間
(
こうかん
)
伝
(
つた
)
へらる。
154
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
湖中
(
こちう
)
に
浮
(
うか
)
べる
竹生島
(
ちくぶしま
)
に、
155
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
佩
(
は
)
かせ
給
(
たま
)
ひし
十握
(
とつか
)
の
剣
(
つるぎ
)
を、
156
天
(
あま
)
の
安河
(
やすかは
)
に
於
(
おい
)
て
誓約
(
うけひ
)
し
給
(
たま
)
ひし
時
(
とき
)
、
157
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
表徴
(
へうちよう
)
として、
158
温順
(
をんじゆん
)
貞淑
(
ていしゆく
)
の
誉
(
ほまれ
)
高
(
たか
)
き
三女神
(
さんぢよしん
)
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひ、
159
此処
(
ここ
)
に
其
(
その
)
御霊
(
みたま
)
を
止
(
とど
)
めさせられ、
160
時々
(
ときどき
)
竜神
(
りうじん
)
来
(
きた
)
りて、
161
姫神
(
ひめがみ
)
の
御心
(
みこころ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
奉
(
たてまつ
)
るため、
162
琵琶
(
びは
)
を
弾
(
だん
)
じたるより
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
と
称
(
とな
)
ふるに
至
(
いた
)
つたのである。
163
又
(
また
)
一名
(
いちめい
)
天
(
あめ
)
の
真奈井
(
まなゐ
)
とも
言霊
(
げんれい
)
学者
(
がくしや
)
は
称
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
164
今
(
いま
)
の
竹生島
(
ちくぶじま
)
は
湖水
(
こすゐ
)
の
極北
(
きよくほく
)
にあれども、
165
此
(
この
)
時代
(
じだい
)
は
湖水
(
こすゐ
)
の
殆
(
ほとん
)
ど
中央
(
ちうあう
)
に
松
(
まつ
)
の
島
(
しま
)
、
166
竹
(
たけ
)
の
島
(
しま
)
、
167
梅
(
うめ
)
の
島
(
しま
)
の
三島嶼
(
さんたうしよ
)
相
(
あひ
)
浮
(
うか
)
び
三
(
み
)
つ
巴
(
どもゑ
)
となつて
其
(
その
)
雄姿
(
ゆうし
)
を
紺碧
(
こんぺき
)
の
波上
(
はじやう
)
に
浮
(
うか
)
べて
居
(
ゐ
)
たのである。
168
松
(
まつ
)
の
島
(
しま
)
には
多紀理
(
たぎり
)
姫
(
ひめの
)
神
(
かみ
)
鎮座
(
ちんざ
)
在
(
まし
)
まし、
169
竹
(
たけ
)
の
島
(
しま
)
には
市杵島
(
いちきしま
)
姫
(
ひめの
)
神
(
かみ
)
鎮
(
しづ
)
まり
給
(
たま
)
ひ、
170
梅
(
うめ
)
の
島
(
しま
)
には
多岐都
(
たきつ
)
姫
(
ひめの
)
神
(
かみ
)
鎮
(
しづ
)
まらせ
給
(
たま
)
ひ、
171
各島
(
かくたう
)
各
(
おのおの
)
百間
(
ひやくけん
)
許
(
ばか
)
りの
位置
(
ゐち
)
を
保
(
たも
)
つて
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく
配列
(
はいれつ
)
されてあつた。
172
高姫
(
たかひめ
)
は
先
(
ま
)
ず
竹
(
たけ
)
の
島
(
しま
)
の
市杵島
(
いちきしま
)
姫
(
ひめ
)
を
祀
(
まつ
)
りたる
社
(
やしろ
)
を
指
(
さ
)
して
漕
(
こ
)
ぎつけた。
173
黒姫
(
くろひめ
)
、
174
高山彦
(
たかやまひこ
)
も
期
(
き
)
せずして
闇夜
(
やみよ
)
の
悲
(
かな
)
しさ、
175
同
(
おな
)
じ
竹
(
たけ
)
の
島
(
しま
)
に
船
(
ふね
)
を
寄
(
よ
)
せ、
176
同
(
おな
)
じ
社
(
やしろ
)
の
床下
(
ゆかした
)
に
玉探
(
たまさが
)
しの
為
(
た
)
め
頭
(
あたま
)
を
集
(
あつ
)
めた。
177
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
貴
(
うづ
)
の
子
(
こ
)
と
178
生
(
うま
)
れ
給
(
たま
)
ひし
英子姫
(
ひでこひめ
)
179
万世
(
よろづよ
)
祝
(
いは
)
ふ
亀彦
(
かめひこ
)
は
180
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
181
厳
(
いづ
)
の
神業
(
かむわざ
)
詳細
(
まつぶさ
)
に
182
遂
(
と
)
げさせ
給
(
たま
)
へと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
183
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
184
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
潔
(
いさぎよ
)
く
185
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
みい
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
つ
六
(
む
)
つ
186
七
(
なな
)
八
(
や
)
つ
九
(
ここの
)
つ
十
(
とう
)
たらり
187
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
と
村肝
(
むらきも
)
の
188
心
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
めて
祈
(
いの
)
る
折
(
をり
)
189
磯
(
いそ
)
の
彼方
(
かなた
)
に
船
(
ふね
)
繋
(
つな
)
ぎ
190
しとしと
来
(
きた
)
る
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
191
気
(
き
)
にも
止
(
と
)
めずに
一向
(
ひたすら
)
に
192
祈
(
いの
)
る
最中
(
もなか
)
に
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
193
忽
(
たちま
)
ち
現
(
あら
)
はれ
額
(
ぬかづ
)
きて
194
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏
(
の
)
り
上
(
あ
)
ぐる
195
暗
(
やみ
)
に
確
(
しか
)
とは
分
(
わか
)
らねど
196
皺嗄
(
しわが
)
れ
声
(
ごゑ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
か
197
執着心
(
しふちやくしん
)
に
搦
(
から
)
まれて
198
当所
(
あてど
)
も
知
(
し
)
らぬ
玉探
(
たまさが
)
し
199
見
(
み
)
るも
無残
(
むざん
)
と
英子姫
(
ひでこひめ
)
200
そつと
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
201
己
(
おの
)
が
館
(
やかた
)
に
静々
(
しづしづ
)
と
202
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
を
力
(
ちから
)
とし
203
闇路
(
やみぢ
)
を
分
(
わ
)
けて
島影
(
しまかげ
)
の
204
清
(
きよ
)
き
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
りけり
205
後
(
あと
)
に
亀彦
(
かめひこ
)
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
206
声
(
こゑ
)
を
密
(
ひそ
)
めて
御扉
(
みとびら
)
を
207
そつと
開
(
ひら
)
いて
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
り
208
様子
(
やうす
)
如何
(
いか
)
にと
窺
(
うかが
)
へば
209
神
(
かみ
)
ならぬ
身
(
み
)
の
高姫
(
たかひめ
)
は
210
社
(
やしろ
)
の
中
(
なか
)
に
人
(
ひと
)
ありと
211
知
(
し
)
らぬが
仏
(
ほとけ
)
一心
(
いつしん
)
に
212
無事
(
ぶじ
)
の
安着
(
あんちやく
)
感謝
(
かんしや
)
しつ
213
拍手
(
はくしゆ
)
の
音
(
おと
)
も
湿
(
しめ
)
やかに
214
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
215
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
や
紫
(
むらさき
)
の
216
珍
(
うづ
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
高姫
(
たかひめ
)
の
217
両手
(
もろて
)
に
授
(
さづ
)
け
給
(
たま
)
へよと
218
声
(
こゑ
)
を
震
(
ふる
)
はせ
祈
(
いの
)
り
居
(
ゐ
)
る
219
暫
(
しばら
)
くありて
高姫
(
たかひめ
)
は
220
珍
(
うづ
)
の
社
(
やしろ
)
の
床下
(
ゆかした
)
に
221
鼠
(
ねずみ
)
の
如
(
ごと
)
く
這
(
は
)
ひ
寄
(
よ
)
つて
222
黒白
(
あやめ
)
も
分
(
わ
)
かぬ
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
223
小声
(
こごゑ
)
に
神名
(
しんめい
)
唱
(
とな
)
へつつ
224
探
(
さぐ
)
り
居
(
ゐ
)
るこそ
可笑
(
をか
)
しけれ
225
又
(
また
)
もや
近
(
ちか
)
づく
足音
(
あしおと
)
は
226
社
(
やしろ
)
の
前
(
まへ
)
に
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
227
心
(
こころ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
語
(
かた
)
りつつ
228
暗祈
(
あんき
)
黙祷
(
もくたう
)
稍
(
やや
)
暫
(
しば
)
し
229
心
(
こころ
)
いそいそ
御社
(
みやしろ
)
の
230
四辺
(
あたり
)
を
密
(
ひそ
)
かに
窺
(
うかが
)
ひつ
231
土竜
(
もぐら
)
の
如
(
ごと
)
く
床下
(
ゆかした
)
に
232
又
(
また
)
もや
姿
(
すがた
)
を
匿
(
かく
)
しける
233
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
は
無
(
な
)
けれども
234
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
235
長
(
なが
)
い
頭
(
あたま
)
の
唯
(
ただ
)
一
(
ひと
)
つ
236
闇
(
やみ
)
を
掻
(
か
)
き
別
(
わ
)
け
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
237
入日
(
いりひ
)
の
影
(
かげ
)
か
竿竹
(
さをだけ
)
か
238
見越
(
みこし
)
入道
(
にふだう
)
の
大男
(
おほをとこ
)
239
又
(
また
)
もや
社前
(
しやぜん
)
に
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
240
感謝
(
かんしや
)
の
声
(
こゑ
)
も
口
(
くち
)
の
中
(
なか
)
241
何
(
なに
)
か
細々
(
こまごま
)
願
(
ね
)
ぎ
終
(
を
)
へて
242
忽
(
たちま
)
ち
社殿
(
しやでん
)
の
床
(
ゆか
)
の
下
(
した
)
243
長
(
なが
)
き
頭
(
あたま
)
を
匿
(
かく
)
しける
244
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
245
迷
(
まよ
)
ふ
身魂
(
みたま
)
の
三
(
み
)
つ
巴
(
どもゑ
)
246
誠
(
まこと
)
の
仕組
(
しぐみ
)
も
白浪
(
しらなみ
)
の
247
沖
(
おき
)
に
浮
(
うか
)
べる
神島
(
かみしま
)
に
248
胸
(
むね
)
に
荒波
(
あらなみ
)
打
(
う
)
たせつつ
249
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
に
爪
(
つま
)
立
(
た
)
てて
250
無暗
(
むやみ
)
矢鱈
(
やたら
)
に
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
し
251
汗
(
あせ
)
をたらたら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
252
時々
(
ときどき
)
頭
(
あたま
)
を
衝突
(
しようとつ
)
し
253
ピカリピカリと
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
して
254
四辺
(
あたり
)
の
闇
(
やみ
)
を
照
(
て
)
らせども
255
心
(
こころ
)
の
闇
(
やみ
)
は
晴
(
は
)
れやらず
256
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
不知火
(
しらぬひ
)
の
257
心
(
こころ
)
砕
(
くだ
)
くる
思
(
おも
)
ひなり
258
高姫
(
たかひめ
)
心
(
こころ
)
に
思
(
おも
)
ふやう
259
国依別
(
くによりわけ
)
の
云
(
い
)
うたには
260
言依別
(
ことよりわけ
)
のハイカラが
261
二人
(
ふたり
)
の
使
(
つかひ
)
を
遣
(
つか
)
はして
262
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
神宝
(
しんぱう
)
を
263
掘
(
ほ
)
り
出
(
いだ
)
させてうまうまと
264
再
(
ふたた
)
びどこかに
埋
(
うづ
)
め
置
(
お
)
き
265
初稚姫
(
はつわかひめ
)
や
玉能姫
(
たまのひめ
)
266
可愛
(
かあい
)
や
二人
(
ふたり
)
に
鼻
(
はな
)
明
(
あ
)
かせ
267
折角
(
せつかく
)
立
(
た
)
てた
功績
(
いさをし
)
を
268
オジヤンにしようとの
悪戯
(
いたづら
)
か
269
憎
(
にく
)
さも
悪
(
にく
)
い
言依別
(
ことよりわけ
)
の
270
醜
(
しこ
)
の
命
(
みこと
)
のドハイカラ
271
初稚姫
(
はつわかひめ
)
や
玉能姫
(
たまのひめ
)
272
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へばお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
273
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
功績
(
いさを
)
を
鼻
(
はな
)
にかけ
274
高天原
(
たかあまはら
)
に
参上
(
まゐのぼ
)
り
275
総務
(
そうむ
)
々々
(
そうむ
)
と
敬
(
うやま
)
はれ
276
威張
(
ゐば
)
つて
御座
(
ござ
)
つた
杢助
(
もくすけ
)
も
277
今度
(
こんど
)
はアフンと
口
(
くち
)
あけて
278
吠面
(
ほえづら
)
かわくも
目
(
ま
)
のあたり
279
嗚呼
(
ああ
)
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
280
さはさりながら
何者
(
なにもの
)
か
281
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
二人
(
ふたり
)
もやつて
来
(
き
)
て
282
玉
(
たま
)
を
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
し
帰
(
かへ
)
らうと
283
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
探
(
さが
)
し
居
(
ゐ
)
る
284
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
かは
知
(
し
)
らねども
285
愈
(
いよいよ
)
玉
(
たま
)
の
出
(
で
)
た
時
(
とき
)
は
286
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぽう
)
や
287
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
を
楯
(
たて
)
に
取
(
と
)
り
288
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
恙
(
つつが
)
なく
289
大
(
おほ
)
きな
顔
(
かほ
)
で
受
(
う
)
け
取
(
と
)
らう
290
それにつけても
黒姫
(
くろひめ
)
や
291
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
292
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
や
紫
(
むらさき
)
の
293
宝
(
たから
)
はもはや
分
(
わか
)
りしか
294
心
(
こころ
)
もとなき
吾
(
わが
)
思
(
おも
)
ひ
295
仮令
(
たとへ
)
小爪
(
こづめ
)
は
抜
(
ぬ
)
けるとも
296
金輪
(
こんりん
)
奈落
(
ならく
)
土
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
297
土竜
(
もぐら
)
蚯蚓
(
みみづ
)
にあらねども
298
土
(
つち
)
掻
(
か
)
き
分
(
わ
)
けて
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
し
299
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
取
(
と
)
らねば
措
(
お
)
くものか
300
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
301
叶
(
かな
)
はぬ
時
(
とき
)
の
神頼
(
かみだの
)
み
302
南洋
(
なんやう
)
諸島
(
しよたう
)
へ
遥々
(
はるばる
)
と
303
危険
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して
玉探
(
たまさが
)
し
304
往
(
い
)
た
事
(
こと
)
思
(
おも
)
へば
一丈
(
いちぢやう
)
や
305
二丈
(
にぢやう
)
三丈
(
さんぢやう
)
掘
(
ほ
)
つたとて
306
何
(
なん
)
の
手間暇
(
てまひま
)
要
(
い
)
るものか
307
国依別
(
くによりわけ
)
の
云
(
い
)
うたには
308
三角石
(
さんかくいし
)
を
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けて
309
下
(
した
)
三尺
(
さんじやく
)
の
深
(
ふか
)
さぞと
310
天狗
(
てんぐ
)
に
急
(
せ
)
かれて
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
311
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
した
面白
(
おもしろ
)
さ
312
天狗
(
てんぐ
)
の
申
(
まを
)
した
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
313
三角形
(
さんかくけい
)
の
石
(
いし
)
はある
314
早
(
はや
)
三尺
(
さんじやく
)
も
掘
(
ほ
)
り
終
(
を
)
へて
315
もはや
四五
(
しご
)
尺
(
しやく
)
掘
(
ほ
)
りぬいた
316
されども
玉
(
たま
)
は
現
(
あら
)
はれぬ
317
是
(
これ
)
はてつきり
三丈
(
さんぢやう
)
の
318
深
(
ふか
)
さのきつと
間違
(
まちが
)
ひだ
319
三丈
(
さんぢやう
)
四丈
(
しぢやう
)
はまだ
愚
(
おろか
)
320
仮令
(
たとへ
)
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
迄
(
まで
)
も
321
掘
(
ほ
)
つて
掘
(
ほ
)
つて
掘
(
ほ
)
り
抜
(
ぬ
)
いて
322
探
(
さが
)
し
当
(
あ
)
てねば
措
(
お
)
くものか
323
苦労
(
くらう
)
と
苦労
(
くらう
)
の
塊
(
かたまり
)
で
324
尊
(
たふと
)
い
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
くと
云
(
い
)
ふ
325
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
くからは
326
仮令
(
たとへ
)
百
(
ひやく
)
年
(
ねん
)
かかるとも
327
掘
(
ほ
)
らねば
措
(
お
)
かぬ
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
328
女
(
をんな
)
の
誠
(
まこと
)
の
一心
(
いつしん
)
は
329
岩
(
いは
)
をも
射貫
(
いぬ
)
くためしあり
330
きつと
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
し
見
(
み
)
せてやろ
331
目出度
(
めでた
)
く
玉
(
たま
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
らば
332
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
333
言依別
(
ことよりわけ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
334
杢助
(
もくすけ
)
お
初
(
はつ
)
やお
節
(
せつ
)
等
(
ら
)
の
335
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
迄
(
まで
)
変
(
か
)
へさせて
336
改心
(
かいしん
)
さして
救
(
すく
)
はねば
337
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
338
どうして
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
つものか
339
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
340
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ。
341
と
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
に
迷
(
まよ
)
ひの
雲
(
くも
)
を
起
(
おこ
)
しながら、
342
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
して
火鼠
(
ひねずみ
)
か
土竜
(
もぐらもち
)
のやうに
砂
(
すな
)
混
(
まじ
)
りの
土
(
つち
)
を
掻
(
か
)
き
上
(
あ
)
げて
居
(
ゐ
)
る。
343
○
344
黒姫
(
くろひめ
)
心
(
こころ
)
に
思
(
おも
)
ふやう
345
再度山
(
ふたたびやま
)
の
大天狗
(
だいてんぐ
)
346
国依別
(
くによりわけ
)
の
口
(
くち
)
借
(
か
)
つて
347
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
の
匿
(
かく
)
し
場所
(
ばしよ
)
348
近江
(
あふみ
)
の
国
(
くに
)
の
竹生島
(
ちくぶじま
)
349
弁天社
(
べんてんやしろ
)
の
床下
(
ゆかした
)
と
350
確
(
たしか
)
に
確
(
たしか
)
に
云
(
い
)
ひよつた
351
国依別
(
くによりわけ
)
が
云
(
い
)
ふのなら
352
些
(
すこ
)
しは
疑
(
うたが
)
ふ
余地
(
よち
)
もある
353
天狗
(
てんぐ
)
は
心
(
こころ
)
潔白
(
けつぱく
)
で
354
些
(
ちつ
)
とも
嘘
(
うそ
)
は
云
(
い
)
はぬもの
355
間違
(
まちが
)
ふ
気遣
(
きづか
)
ひあるものか
356
天狗
(
てんぐ
)
の
仰
(
あふ
)
せの
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
357
言依別
(
ことよりわけ
)
のハイカラが
358
あらぬ
智慧
(
ちゑ
)
をば
絞
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
し
359
此処
(
ここ
)
に
匿
(
かく
)
して
置
(
お
)
きながら
360
高姫
(
たかひめ
)
さまや
黒姫
(
くろひめ
)
の
361
昼夜
(
ちうや
)
不断
(
ふだん
)
の
活動
(
くわつどう
)
に
362
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
して
狼狽
(
らうばい
)
し
363
見付
(
みつ
)
けられない
其
(
その
)
中
(
うち
)
に
364
外
(
ほか
)
へこつそり
匿
(
かく
)
さうと
365
猿智慧
(
さるぢゑ
)
絞
(
しぼ
)
つて
態人
(
わざびと
)
を
366
一足先
(
ひとあしさき
)
に
此
(
この
)
島
(
しま
)
へ
367
掘
(
ほ
)
らしに
来
(
こ
)
したに
違
(
ちが
)
ひない
368
あの
熱心
(
ねつしん
)
な
探
(
さが
)
しやう
369
如何
(
いか
)
に
剛気
(
がうき
)
な
黒姫
(
くろひめ
)
も
370
呆
(
あき
)
れて
物
(
もの
)
が
云
(
い
)
はれない
371
宝
(
たから
)
探
(
さが
)
しの
神業
(
かむわざ
)
は
372
唯
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
も
言霊
(
ことたま
)
を
373
使
(
つか
)
つちやならない
神
(
かみ
)
の
告
(
つげ
)
374
迂濶
(
うつかり
)
言葉
(
ことば
)
を
出
(
だ
)
すならば
375
折角
(
せつかく
)
見
(
み
)
つけた
宝玉
(
ほうぎよく
)
も
376
煙
(
けむり
)
となつて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せむ
377
嚔
(
くしやみ
)
一
(
ひと
)
つ
息
(
いき
)
一
(
ひと
)
つ
378
ほんに
碌々
(
ろくろく
)
出来
(
でき
)
はせぬ
379
苦
(
くる
)
しい
時
(
とき
)
の
神頼
(
かみだの
)
み
380
祝詞
(
のりと
)
を
唱
(
とな
)
へて
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
381
お
願
(
ねが
)
ひする
事
(
こと
)
は
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る
382
云
(
い
)
ふに
云
(
い
)
はれぬ
玉探
(
たまさが
)
し
383
こんな
苦
(
くる
)
しい
事
(
こと
)
あらうか
384
言依別
(
ことよりわけ
)
の
使
(
つかひ
)
等
(
ら
)
が
385
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
を
発見
(
はつけん
)
し
386
持
(
も
)
ち
帰
(
かへ
)
らうとした
所
(
とこ
)
で
387
竜宮
(
りうぐう
)
に
在
(
ま
)
す
乙姫
(
おとひめ
)
の
388
鎮
(
しづ
)
まりいます
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
389
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
390
黒姫
(
くろひめ
)
中々
(
なかなか
)
承知
(
しようち
)
せぬ
391
仮令
(
たとへ
)
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
までも
392
掘
(
ほ
)
つて
掘
(
ほ
)
つて
掘
(
ほ
)
つて
掘
(
ほ
)
り
抜
(
ぬ
)
いて
393
光
(
ひかり
)
眩
(
まばゆ
)
き
金玉
(
きんぎよく
)
を
394
再
(
ふたた
)
び
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
納
(
をさ
)
めつつ
395
綾
(
あや
)
の
聖地
(
せいち
)
に
持
(
も
)
ち
帰
(
かへ
)
り
396
言依別
(
ことよりわけ
)
や
杢助
(
もくすけ
)
を
397
アフンとさせてやりませう
398
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
399
叶
(
かな
)
はぬ
時
(
とき
)
の
神頼
(
かみだの
)
み
400
頼
(
たよ
)
りもならぬ
口無
(
くちな
)
しの
401
息
(
いき
)
をつまへる
鴛鴦
(
をしどり
)
の
402
番
(
つがひ
)
離
(
はな
)
れぬハズバンド
403
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
404
紫色
(
むらさきいろ
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
は
405
何処
(
いづこ
)
の
島
(
しま
)
か
知
(
し
)
らねども
406
もはや
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れ
給
(
たま
)
ひしか
407
高姫
(
たかひめ
)
さまは
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
408
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
409
首尾
(
しゆび
)
よく
御
(
おん
)
手
(
て
)
に
返
(
かへ
)
りしか
410
あちらこちらと
気
(
き
)
が
揉
(
も
)
める
411
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
412
叶
(
かな
)
はぬ
迄
(
まで
)
も
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
し
413
初心
(
しよしん
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
せにやおかぬ
414
苦労
(
くらう
)
と
苦労
(
くらう
)
の
塊
(
かたまり
)
の
415
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
くのはこんな
時
(
とき
)
416
又
(
また
)
と
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ぬ
此
(
この
)
時節
(
じせつ
)
417
琵琶
(
びは
)
の
湖水
(
こすゐ
)
は
深
(
ふか
)
くとも
418
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
厚
(
あつ
)
くとも
419
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
420
高山彦
(
たかやまひこ
)
や
黒姫
(
くろひめ
)
が
421
言依別
(
ことよりわけ
)
に
着
(
き
)
せられた
422
恥
(
はぢ
)
の
衣
(
ころも
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
てて
423
神国魂
(
みくにだましひ
)
をどこ
迄
(
まで
)
も
424
見
(
み
)
せねばならぬ
此
(
この
)
立場
(
たちば
)
425
何処
(
どこ
)
の
奴
(
やつ
)
かは
知
(
し
)
らねども
426
高山
(
たかやま
)
さまに
好
(
よ
)
く
似
(
に
)
たる
427
茶瓶頭
(
ちやびんあたま
)
がやつて
来
(
き
)
て
428
又
(
また
)
もや がさがさ
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
す
429
欲
(
よく
)
と
欲
(
よく
)
とのかちあひで
430
玉
(
たま
)
の
詮議
(
せんぎ
)
に
頭
(
あたま
)
うち
431
火花
(
ひばな
)
を
散
(
ち
)
らす
苦
(
くる
)
しさよ
432
仮令
(
たとへ
)
天地
(
てんち
)
が
覆
(
かへ
)
るとも
433
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
は
何処迄
(
どこまで
)
も
434
探
(
さが
)
し
当
(
あ
)
てねば
措
(
お
)
くものか
435
岩
(
いは
)
をも
射貫
(
いぬ
)
く
一心
(
いつしん
)
は
436
女
(
をんな
)
たる
身
(
み
)
の
天性
(
もちまへ
)
だ
437
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
438
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ。
439
とひそかに
思
(
おも
)
ひ、
440
ひそかに
念
(
ねん
)
じながら、
441
汗
(
あせ
)
をたらたら
搾
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
し、
442
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
砂
(
すな
)
を
掻
(
か
)
き
上
(
あ
)
げて
居
(
ゐ
)
る。
443
○
444
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
訝
(
いぶ
)
かりつ
445
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
思
(
おも
)
ふやう
446
再度山
(
ふたたびやま
)
の
大天狗
(
だいてんぐ
)
447
国依別
(
くによりわけ
)
の
口
(
くち
)
借
(
か
)
つて
448
竹生
(
ちくぶ
)
の
島
(
しま
)
の
神社
(
かむやしろ
)
449
其
(
その
)
床下
(
ゆかした
)
に
三角
(
さんかく
)
の
450
石
(
いし
)
を
蓋
(
かぶ
)
せて
紫
(
むらさき
)
の
451
宝玉
(
ほうぎよく
)
深
(
ふか
)
く
荒金
(
あらがね
)
の
452
土中
(
どちう
)
に
埋没
(
まいぼつ
)
せしと
聞
(
き
)
く
453
三角石
(
さんかくいし
)
は
此処
(
ここ
)
にある
454
さはさりながら
訝
(
いぶ
)
かしや
455
言依別
(
ことよりわけ
)
の
使
(
つかひ
)
とも
456
思
(
おも
)
へぬ
節
(
ふし
)
が
一
(
ひと
)
つある
457
闇
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
下
(
おろ
)
されて
458
さだかにそれとは
分
(
わか
)
らねど
459
体
(
からだ
)
の
恰好
(
かくかう
)
動
(
うご
)
きやう
460
頭
(
かしら
)
をぶりぶり
振
(
ふ
)
る
所
(
ところ
)
461
高姫
(
たかひめ
)
さまや
黒姫
(
くろひめ
)
に
462
どこやら
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
る
気配
(
けはい
)
ぢやぞ
463
天狗
(
てんぐ
)
は
至
(
いた
)
つて
正直
(
しやうぢき
)
と
464
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
も
云
(
い
)
うて
居
(
ゐ
)
る
465
滅多
(
めつた
)
に
嘘
(
うそ
)
は
申
(
まを
)
すまい
466
高姫
(
たかひめ
)
さまや
黒姫
(
くろひめ
)
に
467
よく
似
(
に
)
た
者
(
もの
)
は
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
468
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
はあるだらう
469
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うても
鴛鴦
(
をしどり
)
の
470
名乗
(
なのり
)
もならぬ
玉探
(
たまさが
)
し
471
実際
(
じつさい
)
俺
(
おれ
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
の
472
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
が
神界
(
しんかい
)
の
473
仕組
(
しぐみ
)
によりて
匿
(
かく
)
されし
474
宝
(
たから
)
の
在処
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
そとは
475
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
はない
476
さはさりながら
高姫
(
たかひめ
)
や
477
黒姫
(
くろひめ
)
までが
焦
(
い
)
ら
立
(
だ
)
つて
478
玉
(
たま
)
よ
玉
(
たま
)
よとやかましく
479
騒
(
さわ
)
ぎ
廻
(
まは
)
るが
煩
(
うるさ
)
さに
480
己
(
おれ
)
も
何
(
なん
)
とか
工夫
(
くふう
)
して
481
玉
(
たま
)
の
在処
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
し
482
二人
(
ふたり
)
の
婆
(
ばば
)
に
執着
(
しふちやく
)
の
483
雲
(
くも
)
を
晴
(
は
)
らさしやらうかと
484
牛
(
うし
)
に
牽
(
ひ
)
かれて
善光寺
(
ぜんくわうじ
)
485
心
(
こころ
)
ならずも
竜宮
(
りうぐう
)
の
486
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
迄
(
まで
)
駆廻
(
かけまは
)
り
487
地恩
(
ちおん
)
の
城
(
しろ
)
にブランヂー
488
クロンバー
迄
(
まで
)
も
勤
(
つと
)
めつつ
489
数多
(
あまた
)
の
国人
(
くにびと
)
使役
(
しえき
)
して
490
玉
(
たま
)
の
在処
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
したが
491
これ
程
(
ほど
)
広
(
ひろ
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
492
土中
(
どちう
)
に
深
(
ふか
)
く
隠
(
かく
)
されし
493
玉
(
たま
)
の
分
(
わか
)
らう
筈
(
はず
)
がない
494
高山彦
(
たかやまひこ
)
も
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
495
此処
(
ここ
)
で
失敗
(
しつぱい
)
したならば
496
これきり
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りませう
497
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
や
竜宮
(
りうぐう
)
の
498
乙姫
(
おとひめ
)
さまかは
知
(
し
)
らねども
499
俺
(
おれ
)
にはチツと
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちぬ
500
真
(
まこと
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
なれば
501
玉
(
たま
)
の
在処
(
ありか
)
は
何処
(
どこ
)
其処
(
そこ
)
と
502
ハツキリ
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れるだらう
503
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
さまならば
504
猶更
(
なほさら
)
玉
(
たま
)
の
匿
(
かく
)
し
場所
(
ばしよ
)
505
知
(
し
)
らない
道理
(
だうり
)
がどこにあろ
506
同
(
おな
)
じ
名
(
な
)
のつく
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
507
沢山
(
たくさん
)
あると
見
(
み
)
えるわい
508
高姫
(
たかひめ
)
さまや
黒姫
(
くろひめ
)
に
509
憑
(
うつ
)
つて
御座
(
ござ
)
る
神
(
かみ
)
さまは
510
神力
(
しんりき
)
足
(
た
)
らぬ
厄雑神
(
やくざがみ
)
511
それでなければどうしても
512
俺
(
おれ
)
の
心
(
こころ
)
にはまらない
513
六十路
(
むそぢ
)
の
坂
(
さか
)
を
見
(
み
)
ながらも
514
五十
(
ごじふ
)
女
(
をんな
)
に
操
(
あやつ
)
られ
515
玉
(
たま
)
を
探
(
さが
)
しに
何処迄
(
どこまで
)
も
516
往
(
ゆ
)
かねばならぬか
情
(
なさけ
)
ない
517
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
518
叶
(
かな
)
ひませぬから
高姫
(
たかひめ
)
や
519
黒姫
(
くろひめ
)
二人
(
ふたり
)
の
執着
(
しふちやく
)
を
520
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
521
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
に
立
(
た
)
てかへて
522
何卒
(
どうぞ
)
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
しやんせ
523
竹生
(
ちくぶ
)
の
島
(
しま
)
の
御
(
おん
)
神
(
かみ
)
に
524
心
(
こころ
)
を
籠
(
こ
)
めて
願
(
ね
)
ぎまつる
525
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
526
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ。
527
と
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
に
呟
(
つぶや
)
きながら、
528
高姫
(
たかひめ
)
、
529
黒姫
(
くろひめ
)
の
改心
(
かいしん
)
を
専一
(
せんいつ
)
と
祈願
(
きぐわん
)
し、
530
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
念頭
(
ねんとう
)
に
置
(
お
)
かぬものの
如
(
ごと
)
くであつた。
531
(
大正一一・七・一九
旧閏五・二五
加藤明子
録)
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