霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 帰(かへ)り路(みち)〔七八二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第26巻 海洋万里 丑の巻 篇:第4篇 波瀾重畳 よみ(新仮名遣い):はらんちょうじょう
章:第17章 帰り路 よみ(新仮名遣い):かえりみち 通し章番号:782
口述日:1922(大正11)年07月20日(旧閏05月26日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
高姫一行は、すごすごと聖地に帰る途中、亀山の月照殿を守る梅照彦に説教し、自分たちの道案内をさせようと、梅照彦の館の門を叩いた。
門番は、主人は留守だとすげなく答える。高姫は、自分たちのような偉い神人が来訪したのに留守とは道理をわきまえない主人だ、と梅照彦を罵る。門番は、梅照彦はそんな人ではない、宝珠が聖地に納まるお祝いのために、言依別教主から呼ばれて聖地に行っているのだ、と答える。
また門番は梅照彦の言葉として、これにて神宝の行方にけりがつき、ありもしない玉を竹生島まで取りに行った高姫、黒姫、高山彦がアフンとする、お前様方は誰だか知らないが、道中もし高姫に会ったら、分かりもしない玉探しをあきらめて聖地に帰るように、と言付けて奥に行ってしまった。
高姫は門番の言付けを聞いて、心ににわかに荒波が立ち騒いだが、さあらぬ態にて微笑を浮かべ、黒姫に向かって、梅子姫らに麻邇の宝珠を授けた竜宮の玉依姫の御魂は自分だと、今こそうまく言うべきだ、と焚きつけた。
そして自分も頓知で今までの失敗を取り繕い、日の出神のお働きにすりかえて、他人の手柄を横取りして勝てば善なりを地で行く、筆先に日の出神の生き宮が何事も指図せいと出ているからには、そうならなければならない道理だ、と逆理屈を捏ねて勇み出した。
聖地に近い小雲川のほとりにやってきた三人は、松影に釣りをしている男を目に留めた。高姫は早速声を掛けて、三五教の信徒なら殺生はやめるようにと男の笠を取った。男は国依別であった。
高姫は、お前には言いたいことがたくさんある、と国依別を聖地に促す。国依別は微笑して、三人がそろそろ帰るころだと天眼通に悟って、ご馳走の用意をしようと釣りをしていたのだ、と答える。
そして、お前様から見ればこの国依別は悪の身魂と見えるだろうが、心の奥底に誠の血潮が流れている、それを買ってくれ、と答えた。国依別は、頑迷不霊の高姫の改心を神に祈るのだった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-07-08 10:44:50 文字数:5191 OBC :rm2617
愛善世界社版:247頁 八幡書店版:第5輯 226頁 修補版: 校定版:272頁 普及版:89頁 初版: ページ備考:
001執着心(しふちやくしん)に煽(あふ)られて
002玉(たま)の在処(ありか)を執拗(しつえう)に
003発見(はつけん)せむと再度(ふたたび)の
004山(やま)の天狗(てんぐ)の囈言(うはごと)に
005心(こころ)を焦(いら)ちて高姫(たかひめ)が
006黒姫(くろひめ)、高山彦(たかやまひこ)を伴(つ)れ
007思(おも)ひ思(おも)ひに竹生島(ちくぶじま)
008古(ふる)き社(やしろ)の床下(ゆかした)に
009三角石(さんかくいし)を取(と)り除(の)けて
010掘(ほ)つても掘(ほ)つても玉(たま)無(な)しの
011無駄働(むだばたら)きに眼(まなこ)まで
012三角形(さんかくけい)に尖(とが)らせて
013肩(かた)を四角(しかく)に揺(ゆす)りつつ
014暗(やみ)の帳(とばり)を押分(おしわ)けて
015いよいよ茲(ここ)に断念(だんねん)し
016屋根無(たなな)し小舟(をぶね)に身(み)を任(まか)せ
017琵琶(びは)の湖水(こすゐ)を横切(よこぎ)りて
018大津(おほつ)の浜(はま)に安着(あんちやく)し
019高山彦(たかやまひこ)や黒姫(くろひめ)の
020魂(たま)ぬけ男女(なんによ)と諸共(もろとも)に
021アール、エースを引連(ひきつ)れて
022力(ちから)の抜(ぬ)けた旅(たび)の空(そら)
023路傍(ろばう)に立(た)てる柿(かき)の木(き)に
024渋(しぶ)い顔(かほ)して村鴉(むらがらす)
025高姫(たかひめ)一行(いつかう)を頭上(づじやう)より
026瞰下(かんか)しながら声(こゑ)限(かぎ)り
027アホーアホーと鳴(な)き立(た)てる
028高姫(たかひめ)小癪(こしやく)にさへながら
029空(そら)ふり向(む)いて独(ひと)り言(ごと)
030あゝ馬鹿(ばか)らしい馬鹿(ばか)らしい
031烏(からす)の奴(やつ)まで笑(わら)ひやがる
032これもヤツパリ黒姫(くろひめ)が
033気(き)が利(き)き過(す)ぎて間(ま)がぬけた
034神策(しんさく)実行(じつかう)の報酬(ほうしう)ぢや
035偉(えら)い家来(けらい)は欲(ほ)しいもの
036ほしは星(ほし)ぢやが夜這星(よばひぼし)
037何処(いづく)の空(そら)か暗雲(やみくも)に
038脱線(だつせん)するか分(わか)らない
039高山(たかやま)低山(ひきやま)数(かず)越(こ)えて
040足許(あしもと)危(あやふ)き老(おい)の坂(さか)
041何(なん)の力(ちから)も梨(なし)の木(き)の
042愛想(あいさう)つかした胸(むね)の暗(やみ)
043王子(わうじ)暗(くら)がり宮(みや)の下(した)
044明(あ)かして通(とほ)る恥(はづか)しさ
045向(むか)ふに見(み)えるは亀山(かめやま)か
046雲(くも)に聳(そび)えた森林(しんりん)の
047中(なか)にキラキラ十曜(とえう)の紋(もん)
048あれこそ確(たしか)に月宮殿(げつきうでん)
049あこには梅照彦(うめてるひこの)司(かみ)
050鹿爪(しかつめ)らしい顔(かほ)をして
051扣(ひか)へて居(を)るに違(ちが)ひない
052一寸(ちよつと)立寄(たちよ)り高姫(たかひめ)が
053日(ひ)の出神(でのかみ)と現(あら)はれて
054三千(さんぜん)世界(せかい)の御(お)仕組(しぐみ)の
055変性(へんじやう)男子(なんし)の御(ご)教旨(りかい)を
056聞(き)かして改心(かいしん)さしてやろ
057道(みち)に迷(まよ)うた亡者(まうじや)をば
058見(み)すてて素通(すどほ)り出来(でき)はせぬ
059これも神業(みわざ)の一端(いつたん)だ
060黒姫(くろひめ)さまはどう思(おも)ふ
061高山彦(たかやまひこ)の福禄寿(げほう)さま
062御(ご)意見(いけん)あらば今(いま)此処(ここ)で
063遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)は要(い)りませぬ
064包(つつ)まず隠(かく)さずサツパリと
065意見(いけん)をお吐(は)きなされませ
066言(い)へば黒姫(くろひめ)肯(うなづ)いて
067実(げ)に尤(もつと)もぢや尤(もつと)もぢや
068高姫(たかひめ)さまのお言葉(ことば)に
069迎合(げいがふ)盲従(まうじう)致(いた)します
070高山彦(たかやまひこ)のハズバンド
071貴方(あなた)も一緒(いつしよ)に参(まゐ)りませう
072三(さん)人(にん)世(よ)の元(もと)結構(けつこう)ぢや
073アール、エースは供(とも)の役(やく)
074これは身魂(みたま)の数(かず)でない
075三(さん)人(にん)寄(よ)れば昔(むかし)から
076文殊(もんじゆ)の智慧(ちゑ)が出(で)ると聞(き)く
077弁天(べんてん)さまの床下(ゆかした)で
078馬鹿(ばか)にされたる腹(はら)いせに
079文殊(もんじゆ)菩薩(ぼさつ)となりすまし
080普賢(ふげん)勢至(せいし)の三(さん)人(にん)が
081只(ただ)一厘(いちりん)の御(ご)経綸(けいりん)
082真向(まつかう)上段(じやうだん)に振(ふ)りかざし
083言依別(ことよりわけ)に盲従(もうじう)する
084梅照彦(うめてるひこ)を言向(ことむ)けて
085聖地(せいち)へ帰(かへ)る案内(あんない)の
086猿田彦(さだひこ)神(かみ)としてやらう
087あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
088御霊(みたま)幸(さち)はへましませと
089徳利(とつくり)膝頭(こぶら)に大地(だいち)をば
090ドンドンドンと威喝(ゐかつ)させ
091大道(だいだう)狭(せま)しと横柄面(わうへいづら)
092月宮殿(げつきうでん)の片(かた)ほとり
093梅照彦(うめてるひこ)の神館(かむやかた)
094目指(めざ)して進(すす)む可笑(をか)しさよ。
095○
096梅照彦(うめてるひこ)の神館(かむやかた)
097門(かど)に佇(たたず)み高姫(たかひめ)は
098もしもし此処(ここ)を開(あ)けとくれ
099日(ひ)の出神(でのかみ)の御(ご)入来(じゆらい)
100竜宮海(りうぐうかい)の乙姫(おとひめ)が
101憑(うつ)りなされた肉(にく)の宮(みや)
102梅照彦(うめてるひこ)は在宅(ざいたく)か
103こんな結構(けつこう)な神人(しんじん)が
104来訪(らいはう)あるのを知(し)らずして
105奥(おく)に居(ゐ)るとは情(なさけ)ない
106天眼通(てんがんつう)も此(この)頃(ごろ)は
107曇(くも)つて来(き)たと見(み)えるわい
108執着心(しふちやくしん)に搦(から)まれて
109吾(わが)身(み)よかれの信心者(しんじんしや)
110言依別(ことよりわけ)にハイハイと
111迎合(げいがう)盲従(まうじう)した罰(ばち)で
112折角(せつかく)覚(おぼ)えた天眼通(てんがんつう)
113ゼロになつたか情(なさけ)ない
114一(いち)時(じ)も早(はや)く村肝(むらきも)の
115胸(むね)の岩戸(いはと)を押(お)し開(あ)けて
116日(ひ)の出神(でのかみ)を迎(むか)へ入(い)れ
117空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の神界(しんかい)の
118誠(まこと)の花(はな)咲(さ)くお仕組(しぐみ)を
119聞(き)かして貰(もら)はうとせないのか
120ホンに身魂(みたま)の因縁(いんねん)は
121争(あらそ)はれないものぢやなア
122梅照姫(うめてるひめ)も亦(また)さうぢや
123よくよく揃(そろ)うた盲(めくら)共(ども)
124爺(おやぢ)も爺(おやぢ)嬶(かか)も嬶(かか)
125早(はや)う開(あ)けぬか開(あ)けぬかと
126皺嗄(しわが)れ声(ごゑ)を張(は)りあげて
127力(ちから)限(かぎ)りに訪(おとな)へば
128仏頂面(ぶつちやうづら)した門番(もんばん)は
129不承(ふしよう)不性(ぶしよう)に現(あら)はれて
130主人(しゆじん)の不在(るす)の此(この)家(いへ)に
131門戸(もんこ)を叩(たた)くは何人(なんぴと)か
132トツトと帰(かへ)つて下(くだ)さんせ
133聞(き)くより高姫(たかひめ)声(こゑ)をかけ
134お前(まへ)は此(この)家(や)の門番(もんばん)か
135梅照彦(うめてるひこ)は何処(どこ)へ行(い)た
136日(ひ)に日(ひ)に神界(しんかい)切迫(せつぱく)し
137千騎(せんき)一騎(いつき)の此(この)場合(ばあひ)
138世界(せかい)の難儀(なんぎ)を他所(よそ)に見(み)て
139夫婦(ふうふ)二人(ふたり)が気楽(きらく)相(さう)に
140紅葉見(もみぢみ)遊山(ゆさん)に往(い)たのだろ
141親(おや)の心(こころ)は子(こ)知(し)らずだ
142神(かみ)の心(こころ)は人(ひと)知(し)らず
143それも俗人(ぞくじん)ならばよい
144宣伝使(せんでんし)たる身(み)を以(もつ)て
145館(やかた)を空(から)にとび歩(ある)く
146これもヤツパリ言依別(ことよりわけ)の
147醜(しこ)の命(みこと)のドハイカラ
148深(ふか)き感化(かんくわ)の映像(えいざう)か
149不在(るす)なら不在(るす)で仕方(しかた)ない
150早(はや)く此(この)門(もん)開(あ)けてくれ
151一度(いちど)館(やかた)を検(あらた)めて
152善(ぜん)か悪(あく)かを調(しら)べあげ
153神(かみ)に報告(はうこく)せにやならぬ
154グヅグヅしてると日(ひ)が暮(く)れる
155日(ひ)の暮神(くれがみ)ではない程(ほど)に
156早(はや)く開(あ)けたが宜(よ)からうぞ
157開(あ)けよ開(あ)けよと急(せ)り立(た)てる
158中(なか)より門番(もんばん)尖(とが)り声(ごゑ)
159どこの奴(やつ)かは知(し)らねども
160無理(むり)に此(この)門(もん)開(あ)けよとは
161礼儀(れいぎ)を知(し)らぬ馬鹿(ばか)女(をんな)
162梅照彦(うめてるひこ)の御(ご)夫婦(ふうふ)は
163お前(まへ)の言(い)ふよな人(ひと)でない
164言依別(ことよりわけの)神(かみ)さまが
165竜宮(りうぐう)の島(しま)の麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)
166立派(りつぱ)な立派(りつぱ)な五色(いついろ)の
167お宝物(たからもの)が納(をさ)まつて
168其(その)お迎(むか)へやお祝(いはひ)を
169兼(か)ねて一同(いちどう)参(まゐ)れよと
170実(げ)にも目出度(めでた)い御(お)知(し)らせに
171千騎(せんき)一騎(いつき)の神業(かむわざ)に
172仕(つか)へ奉(まつ)るは此(この)時(とき)と
173勇(いさ)み進(すす)んで行(ゆ)かれたぞ
174それに就(つ)いても高姫(たかひめ)や
175黒姫(くろひめ)さまや高山彦(たかやまひこ)の
176長(なが)い福禄寿(げほう)の神司(かむつかさ)
177三(みつ)つの玉(たま)に魂(たま)抜(ぬ)かれ
178阿呆(あはう)が足(た)らいで近江路(あふみぢ)の
179琵琶(びは)の湖水(こすゐ)の竹生島(ちくぶしま)
180影(かげ)も形(かたち)もない玉(たま)を
181掴(つか)みに往(い)つた其(その)後(あと)で
182肝腎要(かんじんかなめ)の神業(かむわざ)が
183綾(あや)の聖地(せいち)で行(おこな)はれ
184万事(ばんじ)是(これ)にて鳧(けり)がつき
185アフンとするのは高姫(たかひめ)や
186黒姫(くろひめ)さまぢやと云(い)ふ事(こと)だ
187お前(まへ)は誰(たれ)かは知(し)らねども
188長(なが)い道中(だうちう)する間(うち)に
189高姫(たかひめ)さまに出会(であ)うたら
190分(わか)りもせない玉探(たまさが)し
191心(こころ)の底(そこ)から思(おも)ひ切(き)り
192早(はや)く聖地(せいち)へ帰(かへ)れよと
193梅照彦(うめてるひこ)の門番(もんばん)が
194言(こと)づけしたと言(い)うてくれ
195あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
196私(わたし)は叶(かな)はぬ秋(あき)の空(そら)
197飯(めし)が焦(こ)げつく気(き)が紅葉(もみぢ)
198どれどれ早(はや)う奥(おく)へ行(ゆ)き
199梅照彦(うめてるひこ)の不在事(るすごと)に
200ゆつくり御(ご)馳走(ちそう)食(た)べませう
201あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
202叶(かな)はぬなれば立帰(たちかへ)れ
203これで御免(ごめん)と門番(もんばん)は
204いそいそ奥(おく)へ隠(かく)れゆく。
205○
206梅照彦(うめてるひこ)の門番(もんばん)が
207話(はなし)を聞(き)いて高姫(たかひめ)は
208電光(でんくわう)石火(せきくわ)雷(いかづち)の
209轟(とどろ)く如(ごと)く胸(むね)躍(をど)り
210心(こころ)に荒浪(あらなみ)立(た)ち騒(さわ)ぐ
211猪(しし)喰(く)た犬(いぬ)の高姫(たかひめ)は
212さあらぬ態(てい)に胸(むね)押(おさ)へ
213言葉(ことば)もいとど淑(しと)やかに
214打(う)つて変(かは)つた猫撫(ねこな)での
215いやらし微笑(びせう)を浮(うか)べつつ
216ホンに浮世(うきよ)は儘(まま)ならぬ
217ヤツパリ竜宮(りうぐう)の御(おん)宝(たから)
218時節(じせつ)参(まゐ)りて綾錦(あやにしき)
219高天原(たかあまはら)に納(をさ)まつて
220神政(しんせい)成就(じやうじゆ)待(ま)ち給(たま)ふ
221それに就(つ)いては竜宮(りうぐう)の
222乙姫(おとひめ)さまの肉(にく)の宮(みや)
223ここでしつかりなされませ
224天(てん)火(くわ)水(すゐ)地(ち)と結(むす)びたる
225麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)は竜宮(りうぐう)の
226乙姫(おとひめ)さまの御(おん)宝(たから)
227初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
228国依別(くによりわけ)が喜(よろこ)んで
229上(うへ)を下(した)へと立(た)ちさわぎ
230勇(いさ)むはヤツパリ黒姫(くろひめ)の
231身魂(みたま)の御(お)蔭(かげ)である程(ほど)に
232日(ひ)の出神(でのかみ)は神(かみ)として
233これからお前(まへ)が片肌(かたはだ)を
234脱(ぬ)いで掛(かか)らにやなりませぬ
235肝腎要(かんじんかなめ)の性念場(しやうねんば)
236三五教(あななひけう)の黒姫(くろひめ)の
237肉(にく)の宮(みや)にと納(をさ)まつて
238修業(しうげふ)なされた玉依姫(たまよりひめ)の
239貴(うづ)の命(みこと)はわしぢやぞえ
240永(なが)らく竜宮(りうぐう)の一(ひと)つ島(じま)に
241住(す)みて居(ゐ)たのは外(ほか)でない
242今日(けふ)の慶事(けいじ)を前知(ぜんち)して
243わしの身魂(みたま)が活動(くわつどう)し
244五(いつ)つの玉(たま)を授(さづ)けたと
245甘(うま)く言(い)ふのは今(いま)ぢやぞえ
246肝腎要(かんじんかなめ)の性念場(しやうねんば)
247空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の神業(かむわざ)だ
248必(かなら)ず抜(ぬ)かつちやなりませぬ
249高山(たかやま)さまも其(その)心算(つもり)
250四角(しかく)い肩(かた)をなめらかに
251丸(まる)い目玉(めだま)を細(ほそ)うして
252険(けん)を隠(かく)した地蔵顔(ぢざうがほ)
253そこは体(てい)よくやるがよい
254此(この)高姫(たかひめ)も一(いち)か八(ばち)
255此(この)手(て)で行(ゆ)かねばあれの手(て)で
256早速(さそく)の頓智(とんち)やつて行(ゆ)く
257これが全(まつた)く朝日子(あさひこ)の
258日(ひ)の出神(でのかみ)の御(お)働(はたら)き
259只(ただ)何事(なにごと)も神直日(かむなほひ)
260心(こころ)も広(ひろ)く大直日(おほなほひ)
261直日(なほひ)に見直(みなほ)し宣(の)り直(なほ)し
262身(み)の過(あやま)ちは打消(うちけ)して
263正々(せいせい)堂々(だうだう)神(かみ)の為(ため)
264世人(よびと)の為(ため)に少々(せうせう)の
265瑕瑾(かきん)はうまく葬(はうむ)つて
266空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の神業(かむわざ)を
267完成(くわんせい)したる暁(あかつき)は
268それこそ誠(まこと)の神柱(かむばしら)
269四方(よも)に薫(かを)れる梅(うめ)の花(はな)
270かう宣(の)り直(なほ)し見直(みなほ)せば
271今迄(いままで)嘗(な)めた失敗(しつぱい)も
272琵琶(びは)の湖水(こすゐ)の泡(あわ)と消(き)え
273伊吹(いぶき)の山(やま)の白雲(しらくも)と
274なつて煙散(えんさん)霧消(むせう)する
275心(こころ)一(ひと)つの持(も)ちやうで
276いつも気楽(きらく)に暮(くら)される
277笑(わら)うて暮(くら)すも一生(いつしやう)ぢや
278悔(くや)んで暮(くら)すも亦(また)一生(いつしやう)
279人(ひと)の手柄(てがら)を横取(よこどり)し
280ずるい奴(やつ)ぢやと言(い)はれうが
281構(かま)うて居(を)れない今(いま)の首尾(しゆび)
282勝(か)てば善(ぜん)なり負(ま)ければ悪(あく)ぢや
283勝(か)つて甲(かぶと)の緒(を)をしめりや
284あとは天下(てんか)は泰平(たいへい)ぢや
285あゝ本当(ほんたう)に本当(ほんたう)に面白(おもしろ)い
286結構(けつこう)な智慧(ちゑ)が湧(わ)いて来(き)た
287これも全(まつた)く竜宮(りうぐう)の
288乙姫(おとひめ)さまの御(お)手伝(てつだひ)ひ
289日(ひ)の出神(でのかみ)の御(お)働(はたら)き
290天晴(あつぱ)れ表(おもて)に現(あら)はれた
291ヤツパリ辛抱(しんばう)はせにやならぬ
292誠(まこと)の力(ちから)のある神(かみ)は
293トコトン迄(まで)も気(き)を引(ひ)くと
294変性(へんじやう)男子(なんし)の筆先(ふでさき)に
295立派(りつぱ)に立派(りつぱ)に書(か)いてある
296筆先(ふでさき)活(い)かして使(つか)ふのも
297心(こころ)一(ひと)つの使(つか)ひ方(かた)
298筆先(ふでさき)殺(ころ)して使(つか)ふのは
299あつたら宝(たから)の山(やま)に入(い)り
300裸跣(はだかはだし)で怪我(けが)をして
301吠面(ほえづら)かわいてメソメソと
302帰(かへ)つて来(きた)る馬鹿(ばか)の所作(しよさ)
303ヤツパリ表(おもて)の筆先(ふでさき)を
304真解(しんかい)するのはわしぢやぞえ
305変性(へんじやう)女子(によし)のハイカラが
306どうしてお筆(ふで)が解(と)けますか
307日(ひ)の出(で)の守護(しゆご)と云(い)ふ事(こと)は
308日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)が
309天晴(あつぱ)れ高天(たかま)に現(あら)はれて
310何(なに)から何(なに)まで落(お)ちもなく
311筆先(ふでさき)通(どほ)りに気(き)を配(くば)り
312指揮(さしづ)をせいと云(い)ふ事(こと)ぢや
313ここの道理(だうり)をよく腹(はら)へ
314締(し)め込(こ)みおいて下(くだ)されや
315聖地(せいち)へ帰(かへ)つてこんな事(こと)
316ゆつくり話(はな)す暇(ひま)はない
317道々(みちみち)誠(まこと)の御(お)仕組(しぐみ)を
318お前(まへ)の腹(はら)に詰(つ)めておく
319あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
320日(ひ)の出(で)の曙光(しよくわう)が見(み)えて来(き)た
321いよいよ今日(けふ)から高姫(たかひめ)は
322千人力(せんにんりき)の経(たて)の役(やく)
323瑞(みづ)の御霊(みたま)を頭(あたま)から
324ウンと一口(ひとくち)噛(か)みつけて
325経(たて)のお筆(ふで)をふりかざし
326言向(ことむ)け和(やは)して神界(しんかい)の
327誠(まこと)の御用(ごよう)をせにやならぬ
328是(これ)を思(おも)へば何(なん)となく
329重(おも)たい足(あし)も軽(かる)うなり
330沈(しづ)んだ心(こころ)も欣々(いそいそ)と
331俄(にはか)に浮(う)いて来(き)た様(やう)だ
332あゝ潔(いさぎよ)し潔(いさぎよ)し
333千軍(せんぐん)万馬(ばんば)の功(こう)を経(へ)し
334高姫司(たかひめつかさ)のある限(かぎ)り
335三五教(あななひけう)は千代(ちよ)八千代(やちよ)
336磐石(ばんじやく)の如(ごと)動(うご)かない
337誠(まこと)のお方(かた)が現(あら)はれて
338誠(まこと)の事(こと)を説(と)いたなら
339体主(たいしゆ)霊従(れいじう)の身魂(みたま)等(ら)が
340アフンと致(いた)して後(あと)へより
341指(ゆび)を啣(くは)へて見(み)てをると
342経(たて)のお筆(ふで)に出(だ)してある
343尊(たふと)きお筆(ふで)が実現(じつげん)し
344瑞(みづ)の御霊(みたま)が屁古垂(へこた)れて
345日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)が
346天晴(あつぱ)れ表(おもて)に現(あら)はれる
347之(これ)を思(おも)へば頼(たの)もしい
348あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
349御霊(みたま)幸(さち)はへましませと
350高姫(たかひめ)一行(いつかう)勇(いさ)み立(た)ち
351足音(あしおと)高(たか)く大地(だいち)をば
352威喝(ゐかつ)させつつ帰(かへ)り行(ゆ)く
353万代(よろづよ)祝(いは)ふ亀山(かめやま)の
354貴(うづ)の館(やかた)を後(あと)にして
355船井(ふなゐ)へ渡(わた)る千代川(ちよかは)の
356流(なが)れも清(きよ)き川関(かはせき)や
357音(おと)に名高(なだか)き鳴石(なきいし)の
358旧趾(きうし)を左手(ゆんで)に眺(なが)めつつ
359猫(ねこ)を被(かぶ)つて虎天(とらてん)の
360堰所(せきしよ)を越(こ)えて松並木(まつなみき)
361高城山(たかしろやま)に立寄(たちよ)りて
362ウラナイ教(けう)の松姫(まつひめ)が
363幅(はば)を利(き)かした表門(おもてもん)
364馬(うま)と鹿(しか)との両人(りやうにん)が
365身魂(みたま)の性来(しやうらい)現(あら)はれて
366四(よ)つ這(ばひ)姿(すがた)で這(は)ひ込(こ)んだ
367此処(ここ)が名高(なだか)い古戦場(こせんじやう)
368平助(へいすけ)、お楢(なら)の両人(りやうにん)が
369腹(はら)から生(うま)れたお節(せつ)奴(め)が
370玉能(たまの)の姫(ひめ)と偉相(えらさう)に
371松姫(まつひめ)さまの後(あと)をとり
372坐(すわ)つて居(ゐ)たのは憎(にく)らしい
373あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
374思(おも)へば胸(むね)が悪(わる)くなる
375サアサア早(はや)く帰(かへ)りませう
376八十八(はちじふはち)字(じ)の郷(さと)を過(す)ぎ
377道(みち)の広瀬(ひろせ)の川伝(かはづた)ひ
378翼(つばさ)なければ鳥羽(とば)の宿(しゆく)
379小山(こやま)松原(まつばら)縫(ぬ)ひながら
380花(はな)の園部(そのべ)の大橋(おほはし)を
381スタスタ渡(わた)り桐(きり)の庄(しやう)
382観音峠(くわんのんたうげ)の急坂(きふはん)を
383爪先上(つまさきあが)りの高姫(たかひめ)が
384一行(いつかう)五(ご)人(にん)汗(あせ)垂(た)らし
385錦(にしき)染(そ)めなす四方(よも)の山(やま)
386眺(なが)めもあかぬ此(この)景色(けしき)
387日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)の
388清(きよ)き心(こころ)は目(ま)のあたり
389山(やま)は錦(にしき)の衣(きぬ)を着(き)て
390錦(にしき)の宮(みや)に帰(かへ)り行(ゆ)く
391吾(われ)等(ら)一行(いつかう)歓迎(くわんげい)する
392御空(みそら)は清(きよ)く澄(す)み渡(わた)り
393大地(だいち)は錦(にしき)の山屏風(やまびやうぶ)
394これぞ晴天(せいてん)白日(はくじつ)の
395高姫(たかひめ)さまの真心(まごころ)が
396現(あら)はれました兆候(しるし)ぞや
397黒姫(くろひめ)続(つづ)けと先(さき)に立(た)ち
398須知山(しゆちやま)峠(たうげ)をスタスタと
399下(くだ)りて来(きた)る綾(あや)の口(くち)
400小雲(こくも)の川(かは)の松影(まつかげ)に
401釣(つり)する男(をとこ)に目(め)をつけて
402これこれお前(まへ)は何処(どこ)の人(ひと)
403三五教(あななひけう)に仕(つか)へたる
404神(かみ)の司(つかさ)ぢやあるまいか
405千騎(せんき)一騎(いつき)の此(この)場合(ばあひ)
406日(ひ)の出神(でのかみ)の御(お)帰(かへ)りを
407余所(よそ)に眺(なが)めて気楽(きらく)相(さう)に
408魚釣(うをつ)り三昧(ざんまい)何(なん)の事(こと)
409そんな殺生(せつしやう)はやめなさい
410諸行(しよぎやう)無常(むじやう)是生(ぜしやう)滅法(めつぽふ)
411生滅(しやうめつ)滅已(めつい)の理(ことわり)を
412知(し)らずに魚(さかな)の命(いのち)取(と)り
413楽(たの)しみ暮(く)らす悪神(あくがみ)の
414憑(うつ)つた悪(わる)い守護神(しゆごじん)
415其(その)肉体(にくたい)は何人(なんぴと)ぞ
416あゝ忌(いま)はしやと側(そば)に寄(よ)り
417釣(つり)する男(をとこ)の笠(かさ)を取(と)り
418顔(かほ)を眺(なが)めて仰天(ぎやうてん)し
419国依別(くによりわけ)か国州(くにしう)か
420宗彦(むねひこ)、お勝(かつ)の其(その)昔(むかし)
421巡礼姿(じゆんれいすがた)となり終(をふ)せ
422宇都山(うづやま)郷(がう)の川(かは)の辺(べ)で
423太公望(たいこうばう)気取(きどり)の松鷹彦(まつたかひこ)に
424意見(いけん)した事(こと)忘(わす)れたか
425曲(まが)つた針(はり)に餌(ゑ)をつけて
426世界(せかい)の亡者(まうじや)を釣(つ)らうとは
427余(あんま)り虫(むし)がよすぎるぞ
428改心(かいしん)なされ国(くに)さまよ
429再度山(ふたたびやま)の山麓(さんろく)で
430身魂(みたま)の曇(くも)り切(き)つたる野天狗(のてんぐ)に
431憑(つ)かれた時(とき)の面付(つらつき)は
432まだ消(き)えやらぬ ありありと
433どこかの端(はし)に残(のこ)つてる
434吾(われ)等(ら)三(さん)人(にん)うまうまと
435欺(だま)して近江(あふみ)へ追(お)ひ下(くだ)し
436エライ憂目(うきめ)に遇(あ)はしたな
437此(この)高姫(たかひめ)をうまうまと
438竹生(ちくぶ)の島(しま)へ追(お)ひやれば
439万劫(まんがふ)末代(まつだい)帰(かへ)らぬと
440思(おも)うて居(ゐ)たのが運(うん)の尽(つ)き
441高姫(たかひめ)ぢやとて足(あし)がある
442石(いし)の地蔵(ぢざう)なら知(し)らぬこと
443時節(じせつ)がくれば帰(かへ)り来(く)る
444サアサア早(はや)う帰(かへ)りやんせ
445お前(まへ)に向(むか)つていろいろと
446言(い)はねばならぬ事(こと)がある
447サアサア帰(い)のうと促(うなが)せば
448国依別(くによりわけ)は微笑(びせう)して
449頭(かしら)を軽(かる)く下(さ)げながら
450お前(まへ)は高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)か
451高山彦(たかやまひこ)か よう無事(ぶじ)で
452早(はや)く帰(かへ)つて下(くだ)さつた
453あなたが御(お)帰(かへ)り遊(あそ)ばすと
454国依別(くによりわけ)の天眼通(てんがんつう)
455早(はや)くも悟(さと)つて御(ご)馳走(ちそう)の
456用意(ようい)をしようと勇(いさ)み立(た)ち
457小雲(こくも)の川(かは)に竿(さを)たれて
458勢(いきほひ)鋭(するど)き真鯉(まごひ)をば
459せめて四五尾(しごひき)釣(つ)りあげて
460刺身(つくり)にしたり煮〆(にしめ)あげ
461お前(まへ)等(ら)一行(いつかう)三(さん)人(にん)を
462招待(せうたい)せむとの魚釣(さかなつ)り
463悪(わる)くは思(おも)うて下(くだ)さるな
464国依別(くによりわけ)はお前(まへ)から
465悪(あく)の身魂(みたま)と見(み)えるだろ
466心(こころ)の奥(おく)の其(その)奥(おく)に
467誠(まこと)の血潮(ちしほ)が流(なが)れてる
468そこをば買(か)つて貰(もら)はねば
469国(くに)さま立(た)つ瀬(せ)がないわいな
470あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
471御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
472頑迷(ぐわんめい)不霊(ふれい)の高姫(たかひめ)が
473スツパリ転迷(てんめい)開悟(かいご)して
474誠(まこと)を悟(さと)り今日(けふ)よりは
475憎(にく)まれ口(ぐち)を叩(たた)かずに
476神前(しんぜん)奉仕(ほうし)をさせてたべ
477東(あづま)の空(そら)を眺(なが)むれば
478瑞雲(ずゐうん)棚引(たなび)き澄(す)みわたる
479今日(けふ)は菊月(きくづき)十五夜(じふごや)の
480瑞月(ずゐげつ)空(そら)に皎々(かうかう)と
481下界(げかい)を照(て)らす瑞光(ずゐくわう)は
482綾(あや)の聖地(せいち)の瑞祥(ずゐしやう)を
483寿(ことほ)ぎ給(たま)ふ如(ごと)くなり
484厳(いづ)の御霊(みたま)や瑞御霊(みづみたま)
485三五(さんご)の月(つき)の神教(みをしへ)は
486豊葦原(とよあしはら)の瑞穂国(みづほくに)
487島(しま)の八十島(やそしま)八十(やそ)の国(くに)
488大海原(おほうなばら)の果(は)てまでも
489輝(かがや)き渡(わた)れ惟神(かむながら)
490御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ。
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