霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第一一章 言(ことば)の波(なみ)〔七七六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第26巻 海洋万里 丑の巻 篇:第3篇 神都の秋 よみ(新仮名遣い):しんとのあき
章:第11章 言の波 よみ(新仮名遣い):ことばのなみ 通し章番号:776
口述日:1922(大正11)年07月19日(旧閏05月25日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年6月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
秋彦は聖地が近づき、元気旺盛になって副守護神の発動気分で歌い始めた。紫姫の従者の鹿として比沼真奈井に詣でる途中、バラモン教に囚われていたが、悦子姫一向に救われ、三五教徒として高城山の松姫を言向け和した過去を歌に歌った。
そして高姫一行が玉への執着から、自分と国依別の偽神懸りを信じて竹生島に行ってしまったことを宣り直すようにと祈って終わった。
歓呼に包まれて船は岸辺に安着した。言依別命を先頭に、迎えに来た信徒たちに代わる代わる神輿をかつがせて、しずしずと錦の宮に帰って行った。
腰の曲がった夏彦は、千鳥のように大道を左右に手を振り首振り、麻邇の玉が錦の宮に静まることになった経緯を、祝いの歌に歌いこんだ。
続いて常彦が夏彦の後を受けて祝歌を歌い、佐田彦がそれに続いた。佐田彦の歌には、高姫が隠された玉を求める様が歌いこまれていたが、その玉の隠し場所や経綸の詳細は伏せられていた。
佐田彦は高姫らの身の上を案じて、一刻も早く聖地に帰って来て精神を和めるようにと祈りを歌に歌った。
波留彦は続いて歌った。バラモン教の滝公として悪事をしていた自分も、常彦の情けによって改心し、玉能姫と初稚姫に従って三つの玉の神業に携わったことを歌った。そして、悪に溺れた滝公も神の光に照らされて波留彦となり、神業に携わったように、高姫・黒姫も聖地に戻って執着心の雲を晴らすようにと祈願を歌った。日ごろの述懐を歌い終わった波留彦は錦の宮の方に向かって拍手し、暗祈黙祷した。
五個の神宝を乗せた神輿は無事に錦の宮に到着し、言依別命を先頭に八尋殿に設けられた聖壇に安置された。信徒らは立錐の余地も無いほどに集まり、神威のあらたかなることに感謝の涙を流した。
九月九日の聖地の空には、金翼を並べて空中を飛ぶ八咫烏の雄姿が見られた。妙音菩薩の微妙な音楽は、三重の高殿に空高く響き渡った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-10-09 19:03:14 文字数:6428 OBC :rm2611
愛善世界社版:141頁 八幡書店版:第5輯 193頁 修補版: 校定版:156頁 普及版:51頁 初版: ページ備考:
001 秋彦(あきひこ)は漸(やうや)く聖地(せいち)に船(ふね)の近付(ちかづ)きしに元気(げんき)益々(ますます)旺盛(わうせい)となり、002副(ふく)守護神(しゆごじん)の発動(はつどう)気分(きぶん)を発揮(はつき)し歌(うた)ひ始(はじ)めた。
003秋彦『四尾(よつを)の山(やま)が見(み)えて来(き)た
004和知(わち)の流(なが)れは永久(とこしへ)に
005清(きよ)き教(をしへ)を白瀬川(しらせがは)
006生田(いくた)の里(さと)も早(はや)越(こ)えて
007何(なん)の便(たよ)りも音無瀬(おとなせ)の
008流(なが)れも清(きよ)き由良(ゆら)の川(かは)
009由良(ゆら)の港(みなと)に名(な)も高(たか)き
010秋山彦(あきやまひこ)や紅葉姫(もみぢひめ)
011鹿(しか)と呼(よ)ばれし秋彦(あきひこ)が
012言依別(ことよりわけ)に従(したが)ひて
013麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)を迎(むか)へむと
014流(なが)れを下(くだ)り来(き)て見(み)れば
015思(おも)ひ掛(がけ)なき瑞御霊(みづみたま)
016八洲(やす)の河原(かはら)に誓約(うけひ)して
017清明(せいめい)無垢(むく)の御心(みこころ)を
018現(あら)はし給(たま)ひし救世主(きうせいしゆ)
019神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
020聖顔(せいがん)殊(こと)に麗(うるは)しく
021慈愛(じあい)の涙(なみだ)満面(まんめん)に
022湛(たた)へいませる崇高(けだか)さよ
023四尾(よつを)の山(やま)に奥(おく)深(ふか)く
024此(この)世(よ)を忍(しの)び給(たま)ひつつ
025神世(かみよ)をここに待(ま)ち給(たま)ふ
026国武彦(くにたけひこ)の御(おん)身魂(みたま)
027煙(けむり)の如(ごと)く現(あら)はれて
028紅葉(もみぢ)かがやく秋山(あきやま)の
029館(やかた)に隠(かく)れ給(たま)ひつつ
030遠(とほ)き昔(むかし)の初(はじめ)より
031黄金(こがね)の島(しま)の秘密(ひみつ)郷(きやう)
032諏訪(すは)の湖水(こすゐ)の底(そこ)深(ふか)く
033かくれて神世(かみよ)を待(ま)ち給(たま)ふ
034玉依姫(たまよりひめ)の厳御魂(いづみたま)
035麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)は恙(つつが)なく
036八咫烏(やあたがらす)に送(おく)られて
037天津(あまつ)御空(みそら)を潔(いさぎよ)く
038秀妻(ほづま)の国(くに)の中心地(ちうしんち)
039外(そと)の囲(かこ)ひと聞(きこ)えたる
040由良(ゆら)の港(みなと)に鳩(はと)のごと
041降(くだ)り給(たま)ひて神(かみ)の世(よ)の
042礎(いしずゑ)固(かた)くつき給(たま)ふ
043あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
044御霊(みたま)の幸(さち)を蒙(かうむ)りて
045流(なが)れも清(きよ)き和知川(わちがは)に
046汚(けが)れし身魂(みたま)を洗(あら)ひつつ
047前代(ぜんだい)未聞(みもん)の神業(かむわざ)に
048参加(さんか)なしたる尊(たふと)さよ
049思(おも)ひまはせば其(その)昔(むかし)
050兄(あに)の駒彦(こまひこ)諸共(もろとも)に
051紫姫(むらさきひめ)に従(したが)ひて
052花(はな)の都(みやこ)を後(あと)になし
053豊国姫(とよくにひめ)の常久(とことは)に
054鎮(しづ)まりいます比沼(ひぬ)真奈井(まなゐ)
055瑞(みづ)の宝座(はうざ)に詣(まう)でむと
056主従(しゆじう)三人(みたり)山(やま)を越(こ)え
057草(くさ)を分(わ)けつつ進(すす)み行(ゆ)く
058普甲峠(ふかふたうげ)の手前(てまへ)まで
059主従(しゆじう)三人(みたり)進(すす)む折(をり)
060バラモン教(けう)に仕(つか)へたる
061三嶽(みたけ)の山(やま)の守護神(しゆごうじん)
062名(な)も恐(おそ)ろしき鬼鷹(おにたか)や
063情(なさけ)容赦(ようしや)も荒鷹(あらたか)の
064曲津(まがつ)の神(かみ)に誘(いざな)はれ
065紫姫(むらさきひめ)と諸共(もろとも)に
066醜(しこ)の岩窟(いはや)に捕(とら)へられ
067進退(しんたい)ここに谷(きは)まりて
068前途(ぜんと)を煩(わづら)ふ折柄(をりから)に
069三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
070悦子(よしこ)の姫(ひめ)を始(はじ)めとし
071音彦(おとひこ)、加米彦(かめひこ)両人(りやうにん)が
072岩窟(いはや)の中(なか)に駆入(かけい)りて
073神(かみ)の化身(けしん)の丹州(たんしう)と
074息(いき)を合(あは)せて救(すく)ひ出(だ)し
075茲(ここ)に三人(みたり)は三五(あななひ)の
076心(こころ)の岩戸(いはと)をさらさらと
077開(ひら)き給(たま)ひし尊(たふと)さよ
078三五教(あななひけう)の人々(ひとびと)と
079三嶽(みたけ)の山(やま)の峰伝(みねづた)ひ
080蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の籠(こも)りたる
081鬼(おに)ケ城(じやう)へと立向(たちむか)ひ
082言霊戦(ことたません)を開始(かいし)して
083バラモン教(けう)の司(つかさ)等(ら)を
084雲(くも)の彼方(あなた)に追(お)ひ散(ち)らし
085それより聖地(せいち)に駆向(かけむか)ひ
086神(かみ)の大道(おほぢ)を伝(つた)へむと
087高城山(たかしろやま)の松姫(まつひめ)が
088館(やかた)をさして進(すす)み行(ゆ)く
089堪(こら)へ忍(しの)びの花(はな)咲(さ)きて
090神(かみ)の御(おん)目(め)に叶(かな)ひしか
091名(な)も秋彦(あきひこ)と賜(たま)はりて
092いよいよ尊(たふと)き宣伝使(せんでんし)
093西(にし)や東(ひがし)や北南(きたみなみ)
094神(かみ)の御教(みのり)を伝(つた)へつつ
095稚姫君(わかひめぎみの)大神(おほかみ)を
096祀(まつ)りし生田(いくた)の神館(かむやかた)
097国依別(くによりわけ)や駒彦(こまひこ)と
098三(み)つの御霊(みたま)の御教(みをしへ)を
099道(みち)を求(もと)むる人々(ひとびと)に
100明(あか)し伝(つた)ふる折(をり)もあれ
101玉(たま)を索(もと)めて南洋(なんやう)の
102竜宮島(りうぐうじま)まで彷徨(さまよ)ひし
103高姫(たかひめ)さまの一行(いつかう)が
104訪問(はうもん)されて国(くに)さまや
105駒彦(こまひこ)、秋彦(あきひこ)三(さん)人(にん)は
106又(また)も五月蠅(うるさ)い玉(たま)詮議(せんぎ)
107さつと裁(さば)いて近江路(あふみぢ)の
108竹生(ちくぶ)の島(しま)に宝玉(はうぎよく)は
109社殿(しやでん)の下(した)に奥(おく)深(ふか)く
110隠(かく)されありと出放題(ではうだい)
111其(その)虚言(そらごと)を真(ま)に受(う)けて
112高姫(たかひめ)さまを始(はじ)めとし
113高山彦(たかやまひこ)や黒姫(くろひめ)は
114時(とき)を移(うつ)さず進(すす)み行(ゆ)く
115あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
116国依別(くによりわけ)や秋彦(あきひこ)が
117心(こころ)にもなき詐(いつは)りを
118宣(の)り伝(つた)へたる曲業(まがわざ)を
119直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞直(ききなほ)し
120是非(ぜひ)なきことと宣(の)り直(なほ)し
121赦(ゆる)させ給(たま)へ三五(あななひ)の
122道(みち)を守(まも)らす大御神(おほみかみ)
123埴安彦(はにやすひこ)や埴安姫(はにやすひめ)の
124貴(うづ)の命(みこと)の御(おん)前(まへ)に
125慎(つつし)み敬(うやま)ひ詫(わ)びまつる
126あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
127御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ』
128と歌(うた)ひ終(をは)つた。
129 歓呼(くわんこ)声裡(せいり)に玉(たま)の御船(みふね)は漸(やうや)くにして、130吉美(きみ)の浜辺(はまべ)の南岸(なんがん)に安着(あんちやく)した。
131 言依別(ことよりわけの)命(みこと)を先頭(せんとう)に、132五十子(いそこ)姫(ひめ)、133梅子姫(うめこひめ)、134初稚姫(はつわかひめ)、135玉能姫(たまのひめ)、136玉治別(たまはるわけ)や黄竜姫(わうりようひめ)、137蜈蚣姫(むかでひめ)と順序(じゆんじよ)を正(ただ)し、138錦(にしき)の宮(みや)の八尋殿(やひろどの)より迎(むか)へ来(きた)れる数多(あまた)の信徒(しんと)に神輿(みこし)を舁(かつ)がせ、139列(れつ)を正(ただ)してしづしづと、140微妙(びめう)の音楽(おんがく)に前後(ぜんご)を守(まも)られつつ、141粛々(しゆくしゆく)として錦(にしき)の宮(みや)に帰(かへ)り行(ゆ)く。
142 腰(こし)の曲(まが)つた夏彦(なつひこ)は、143嬉(うれ)しさの余(あま)り足(あし)も地(ち)に着(つ)かず、144千鳥(ちどり)の如(ごと)く右左(みぎひだり)、145大道(だいだう)狭(せま)しと手(て)を振(ふ)り首(くび)を揺(ゆす)りつつ祝(いは)ひの歌(うた)を高(たか)らかに口(くち)ずさみながら帰(かへ)り行(ゆ)く。
146夏彦『あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
147御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
148天地(てんち)を清(きよ)むる三五(あななひ)の
149神(かみ)の教(をしへ)の御光(みひかり)は
150四方(よも)に輝(かがや)く時(とき)来(きた)り
151三(み)つの宝珠(ほつしゆ)を始(はじ)めとし
152今(いま)また五(いつ)つの麻邇(まに)の玉(たま)
153経(たて)と緯(よこ)との御(お)仕組(しぐみ)の
154錦(にしき)の機(はた)を織(お)りませる
155真(まこと)の神(かみ)を斎(まつ)りたる
156錦(にしき)の宮(みや)に更(あらた)めて
157鎮(しづ)まりますこそ尊(たふと)けれ
158心(こころ)も赤(あか)き秋山彦(あきやまひこ)の
159神(かみ)の命(みこと)の真心(まごころ)は
160照(て)り輝(かがや)きて紅葉姫(もみぢひめ)
161大和心(やまとごころ)の厳御霊(いづみたま)
162皇(すめ)大神(おほかみ)は詳細(まつぶさ)に
163夫婦(ふうふ)が心(こころ)をみそなはし
164空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の神業(かむわざ)を
165依(よ)さし給(たま)ひて永久(とこしへ)に
166誉(ほまれ)を四方(よも)に伝(つた)へむと
167神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大御神(おほみかみ)
168国武彦(くにたけひこ)の厳御霊(いづみたま)
169再(ふたた)び館(やかた)に現(あら)はれて
170三五(さんご)の月(つき)の大御教(おほみのり)を
171堅磐(かきは)常磐(ときは)に固(かた)めまし
172神(かみ)の大道(おほぢ)に五十子(いそこ)姫(ひめ)
173教(をしへ)の花(はな)は香(かん)ばしく
174一度(いちど)に開(ひら)く梅子姫(うめこひめ)
175花(はな)の莟(つぼみ)の初稚(はつわか)の
176姫(ひめ)の命(みこと)や玉能姫(たまのひめ)
177玉(たま)の光(ひかり)はいやちこに
178玉治別(たまはるわけ)と現(あ)れまして
179神(かみ)の御稜威(みいづ)もテールス姫(ひめ)の
180神(かみ)の司(つかさ)や黄竜姫(わうりようひめ)
181蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)や友彦(ともひこ)の
182鼻(はな)の先(さき)まで紅(くれなゐ)の
183赤(あか)き心(こころ)の宮仕(みやづか)へ
184暗夜(やみよ)を明石(あかし)の久助(きうすけ)が
185海洋(かいやう)万里(ばんり)の波(なみ)を越(こ)え
186妻(つま)のお民(たみ)と諸共(もろとも)に
187空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の神業(かむわざ)に
188仕(つか)へまつりし健気(けなげ)さよ
189花(はな)さく春(はる)も早(はや)過(す)ぎて
190あつき心(こころ)の夏彦(なつひこ)が
191今日(けふ)の生日(いくひ)の足日(たるひ)をば
192喜(よろこ)び祝(いは)ひ奉(たてまつ)り
193千代(ちよ)も八千代(やちよ)も三五(あななひ)の
194神(かみ)の教(をしへ)の礎(いしずゑ)は
195いや固(かた)らかに揺(ゆる)ぎなく
196茂(しげ)り栄(さか)ゆる八桑枝(やくはえ)の
197日(ひ)に夜(よ)に開(ひら)きのぶるごと
198進(すす)ませ給(たま)へ惟神(かむながら)
199神(かみ)の御前(みまへ)に慎(つつし)みて
200今日(けふ)の喜(よろこ)び祝(ほ)ぎまつる
201あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
202御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ』
203と歌(うた)ひ了(をは)つた。
204 常彦(つねひこ)は又(また)夏彦(なつひこ)の歌(うた)に促(うなが)されて怪(あや)しき口調(くてう)を以(もつ)てうなり出(だ)した。
205常彦『ウラナイ教(けう)の黒姫(くろひめ)に
206愛想(あいそ)をつかして三五(あななひ)の
207誠(まこと)の道(みち)に救(すく)はれし
208沈香(ちんかう)も焚(た)かぬ屁(へ)も放(ひ)らぬ
209教(をしへ)も知(し)らぬ常彦(つねひこ)が
210錦(にしき)の宮(みや)の側(そば)近(ちか)く
211朝(あさ)な夕(ゆふ)なに仕(つか)へつつ
212唯々(ゐゐ)諾々(だくだく)と日(ひ)を送(おく)り
213三五教(あななひけう)の隆盛(りうせい)を
214指折(ゆびを)り数(かぞ)へ松(まつ)の世(よ)の
215来(きた)るを遅(おそ)しと伺(うかが)へば
216三(み)つの御霊(みたま)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
217綾(あや)の聖地(せいち)に納(をさ)まりて
218教(をしへ)の光(ひかり)日(ひ)に月(つき)に
219四方(よも)に輝(かがや)く目出度(めでた)さよ
220慶(よろこ)びを積(つ)み暉(かがや)きを
221重(かさ)ねて広(ひろ)き八尋殿(やひろどの)
222九(ここの)つ花(はな)の咲(さ)き匂(にほ)ふ
223十(たり)の美世(うましよ)廻(めぐ)り来(き)て
224思(おも)ひもよらぬ竜宮(りうぐう)の
225五(い)つの御霊(みたま)の麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)
226初稚姫(はつわかひめ)や玉治別(たまはるわけ)の
227神(かみ)の使(つかひ)等(ら)一行(いつかう)の
228清(きよ)き身魂(みたま)の働(はたら)きに
229諏訪(すは)の湖(みづうみ)空(そら)高(たか)く
230神(かみ)の使(つかひ)に送(おく)られて
231雲(くも)を圧(あつ)して悠々(いういう)と
232輝(かがや)き渡(わた)り帰(かへ)ります
233今日(けふ)の生日(いくひ)の足日(たるひ)こそ
234五六七(みろく)神政(しんせい)成就(じやうじゆ)して
235天国(てんごく)浄土(じやうど)も目(ま)のあたり
236出現(しゆつげん)したる思(おも)ひなり
237あゝ諸人(もろびと)よ諸人(もろびと)よ
238天津(あまつ)神(かみ)等(たち)国津(くにつ)神(かみ)
239百(もも)の司(つかさ)の神(かみ)等(たち)の
240御前(みまへ)に赤(あか)き心(こころ)もて
241慎(つつし)み感謝(かんしや)し奉(たてまつ)れ
242先(さき)に現(あ)れます三(み)つ御玉(みたま)
243神(かみ)の仕組(しぐみ)を畏(かしこ)みて
244隠(かく)させ給(たま)ふ言依別(ことよりわけ)の
245瑞(みづ)の命(みこと)の御(おん)指図(さしづ)
246仕(つか)へまつりし玉能姫(たまのひめ)
247初稚姫(はつわかひめ)の御(おん)前(まへ)を
248寿(ことほ)ぎ奉(まつ)る信徒(まめひと)の
249沢(さは)ある中(なか)に高姫(たかひめ)や
250高山彦(たかやまひこ)や黒姫(くろひめ)が
251妬(ねた)みの焔(ほのほ)消(き)えやらず
252心(こころ)焦(いら)ちて西東(にしひがし)
253南(みなみ)の洋(うみ)の果(は)てまでも
254あてども知(し)らぬ玉探(たまさが)し
255出(い)でます後(あと)に竜宮(りうぐう)の
256実(げ)にも尊(たふと)き麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)
257現(あら)はれ給(たま)ひて言依別(ことよりわけ)の
258神(かみ)の司(つかさ)の御(おん)許(もと)に
259納(をさ)まり給(たま)ふと聞(き)くならば
260高姫(たかひめ)如何(いか)に村肝(むらきも)の
261心(こころ)なやます事(こと)ならむ
262今(いま)から思(おも)ひやられける
263あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
264御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
265三五教(あななひけう)の上下(うへした)は
266神(かみ)に心(こころ)を任(まか)せつつ
267睦(むつ)び親(した)しみ末永(すえなが)く
268歓(ゑら)ぎて伊都(いづ)の大前(おほまへ)に
269心(こころ)平(たひら)に安(やす)らかに
270心(こころ)の空(そら)の雲霧(くもきり)を
271尊(たふと)き御水火(みいき)に吹(ふ)き払(はら)ひ
272堅磐(かきは)常磐(ときは)の礎(いしずゑ)を
273築(きづ)かせ給(たま)へ惟神(かむながら)
274神(かみ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎ奉(まつ)る』
275 佐田彦(さだひこ)は又(また)もや歌(うた)ひ出(だ)した。
276佐田彦『○○山(やま)の頂上(ちやうじやう)に
277○○○に従(したが)ひて
278空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の神業(かむわざ)に
279仕(つか)へ奉(まつ)りし佐田彦(さだひこ)は
280初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
281危(あやふ)き生命(いのち)を救(すく)はむと
282音(おと)高々(たかだか)とおちかかる
283○○滝(たき)の麓(ふもと)にて
284バラモン教(けう)の神司(かむつかさ)
285蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)と格闘(かくとう)し
286初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
287二人(ふたり)の神使(しんし)を救(すく)ひつつ
288波留彦(はるひこ)諸共(もろとも)○○の
289又(また)もや○に立帰(たちかへ)り
290○○○の御(おん)前(まへ)に
291三(み)つの御玉(みたま)を○○し
292ここにいよいよ谷丸(たにまる)を
293道(みち)の先頭(せんとう)の佐田彦(さだひこ)と
294宣(の)り直(なほ)されて滝公(たきこう)は
295夏(なつ)の初(はじめ)と言(い)ひながら
296名(な)も波留彦(はるひこ)と与(あた)へられ
297初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
298一行(いつかう)四(よ)人(にん)は慎(つつし)みて
299此(こ)の世(よ)彼(あ)の世(よ)の○の海(うみ)
300波(なみ)に浮(うか)べる○○の
301島(しま)に小舟(こぶね)を漕(こ)ぎつけて
302○○○を○○し
303神(かみ)の厳(きび)しき戒(いまし)めに
304折角(せつかく)来(く)るは来(き)たものの
305○○○の隠(かく)し場所(ばしよ)
306知(し)らずに再(ふたた)び漕(こ)ぎ帰(かへ)る
307さはさりながら○○の
308○○したる○○は
309確(たし)かにここと明(あき)らめて
310知(し)つては居(を)れど皇神(すめかみ)の
311いとも厳(きび)しき戒(いまし)めに
312三十万(さんじふまん)年(ねん)未来(みらい)まで
313○○○にして置(お)かう
314高姫(たかひめ)さまや黒姫(くろひめ)が
315心(こころ)を焦(いら)ちて遠近(をちこち)と
316三(み)つの宝珠(ほつしゆ)の在処(ありか)をば
317夜叉(やしや)の如(ごと)くに駆巡(かけめぐ)り
318当所(あてど)も知(し)らぬ玉探(たまさが)し
319お気(き)の毒(どく)ぢやと知(し)つた故(ゆゑ)
320いろいろ様々(さまざま)理(り)を分(わ)けて
321申上(まをしあ)ぐれど高姫(たかひめ)は
322日(ひ)の出神(でのかみ)を楯(たて)にとり
323続(つづ)いて黒姫(くろひめ)竜宮(りうぐう)の
324乙姫(おとひめ)さまを標榜(へうぼう)し
325三(みつ)つの宝珠(ほつしゆ)はどうしても
326系統(ひつぽう)の身魂(みたま)が預(あづか)らにや
327完全(くわんぜん)無欠(むけつ)の松(まつ)の世(よ)の
328五六七(みろく)神政(しんせい)は成就(じやうじゆ)せぬ
329佐田彦(さだひこ)言(い)はぬと申(まを)すなら
330言(い)はでも宜(よろ)しい高姫(たかひめ)が
331日(ひ)の出神(でのかみ)の神力(しんりき)で
332探(さが)して見(み)せうと雄猛(おたけ)びし
333万里(ばんり)の波濤(はたう)を乗越(のりこ)えて
334どこどこまでも探(さが)し行(ゆ)く
335心(こころ)の中(うち)の可憐(いぢ)らしさ
336玉(たま)の在処(ありか)は○○と
337知(し)らして安心(あんしん)させたいは
338山々(やまやま)なれど○○の
339教(をしへ)はどうも反(そむ)かれぬ
340あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
341又(また)もや神(かみ)の御(お)仕組(しぐみ)で
342高姫(たかひめ)さまの居(を)らぬ間(ま)に
343竜宮島(りうぐうじま)の麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)
344綾(あや)の高天(たかま)に納(をさ)まりて
345梅子(うめこ)の姫(ひめ)を初(はじめ)とし
346初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
347再(ふたた)び尊(たふと)き神業(かむわざ)に
348仕(つか)へませしと聞(き)くならば
349日(ひ)の出神(でのかみ)も竜宮(りうぐう)の
350乙姫(おとひめ)さまも肝(きも)ぬかれ
351アフンとするに違(ちが)ひない
352夜食(やしよく)にはづれた梟鳥(ふくろどり)
353むつかし顔(かほ)を目(ま)のあたり
354今(いま)見(み)るやうに思(おも)はれて
355お気(き)の毒(どく)なる次第(しだい)なり
356今(いま)に高姫(たかひめ)帰(かへ)りなば
357初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
358向(むか)ふにまはして一戦(ひといくさ)
359おつ始(ぱじ)まるに違(ちがひ)ない
360平和(へいわ)克復(こくふく)一時(いつとき)も
361聖地(せいち)の空(そら)に来(き)て欲(ほ)しい
362三(み)つの宝珠(ほつしゆ)や五(い)つ宝珠(ほつしゆ)
363ほしうて探(さが)す高姫(たかひめ)の
364心(こころ)はいつか玉(たま)脱(ぬ)けの
365ラムネの様(やう)な気(き)ぬけ顔(がほ)
366味(あぢ)もしやしやりも無(な)きのみか
367誰(たれ)が呑(の)んでも水臭(みづくさ)い
368うすい憂目(うきめ)にあはしたと
369教主(けうしゆ)の襟髪(えりがみ)引掴(ひつつか)み
370金切(かなき)り声(ごゑ)を搾(しぼ)り出(だ)し
371一悶錯(ひともんさく)をなさるだろ
372佐田彦(さだひこ)それが気(き)にかかり
373一夜(ひとよさ)さへも安々(やすやす)と
374眠(ねむ)りに就(つ)いた事(こと)はない
375三(み)つの御霊(みたま)に比(くら)ぶれば
376天地(てんち)霄壤(せうじやう)に違(ちが)ひある
377竜宮島(りうぐうじま)の麻邇(まに)の玉(たま)
378一(ひと)つ位(くらゐ)は高姫(たかひめ)に
379手柄(てがら)を分(わ)けてやつたなら
380無事(ぶじ)に解決(かいけつ)つくだらう
381言依別(ことよりわけの)神(かみ)さまも
382お年(とし)が若(わか)いで気(き)が利(き)かぬ
383私(わし)が言依別(ことよりわけ)ならば
384今度(こんど)は高姫(たかひめ)、黒姫(くろひめ)に
385一(ひと)つ手柄(てがら)を指(さ)してやる
386さうすりや高姫(たかひめ)、黒姫(くろひめ)も
387手(て)の舞(ま)ひ足(あし)の踏(ふ)む所(ところ)
388知(し)らずに顔(かほ)の紐(ひも)をとき
389お多福面(たふくづら)になるだらう
390どうしてあれ程(ほど)因縁(いんねん)が
391悪(わる)い方(はう)へとまはるのか
392これを思(おも)へば高姫(たかひめ)の
393執着心(しふちやくしん)の雲(くも)晴(は)れず
394自(みづか)ら暗路(やみぢ)に迷(まよ)ひこみ
395大切(だいじ)の大切(だいじ)の神業(かむわざ)に
396外(はづ)れて行(ゆ)くに違(ちがひ)ない
397心(こころ)一(ひと)つの持様(もちやう)で
398善(ぜん)の御用(ごよう)を命(めい)ぜられ
399悪(あく)の御用(ごよう)も引受(ひきう)ける
400善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)の二道(ふたみち)に
401迷(まよ)ひ切(き)つたる三人(みたり)連(づ)れ
402三(み)つの御玉(みたま)は是非(ぜひ)なくも
403因縁(いんねん)づくぢやと諦(あきら)めて
404思(おも)ひ切(き)つたにしたとこで
405麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)のかくされし
406竜宮(りうぐう)の島(しま)に遥々(はるばる)と
407渡(わた)りて長(なが)らく住(す)みながら
408玉(たま)の在処(ありか)を探(さぐ)らずに
409帰(かへ)り来(きた)れる其(その)後(あと)で
410五(いつ)つの玉(たま)の現(あら)はれし
411皮肉(ひにく)な神(かみ)の経綸(けいりん)に
412定(さだ)めて舌(した)を巻(ま)くだらう
413思(おも)へば思(おも)へば可憐(いぢ)らしい
414どうして是(これ)が事(こと)もなく
415高姫(たかひめ)さまが聞(き)いたなら
416心(こころ)の底(そこ)から勇(いさ)むだろ
417今(いま)から思(おも)ひやられます
418あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
419神(かみ)が表(おもて)に現(あ)れまして
420言依別(ことよりわけ)や高姫(たかひめ)の
421二(ふた)つ柱(はしら)が睨(にら)み合(あ)ひ
422どうぞ和(なご)めて下(くだ)さんせ
423三五教(あななひけう)の佐田彦(さだひこ)が
424真心(まごころ)こめて願(ね)ぎまつる
425厳(いづ)の御霊(みたま)の大御神(おほみかみ)
426瑞(みづ)の御霊(みたま)の大御神(おほみかみ)
427あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
428御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ』
429 滝公(たきこう)の波留彦(はるひこ)は佐田彦(さだひこ)の歌(うた)に引出(ひきだ)され、430始(はじ)めて言霊(ことたま)の口(くち)を切(き)つた。
431波留彦『魔窟(まくつ)ケ原(はら)に現(あらは)れし
432ウラナイ教(けう)の黒姫(くろひめ)が
433幕下(ばくか)となつて日(ひ)に夜(よる)に
434口汚(くちぎたな)くも使(つか)はれし
435体主(たいしゆ)霊従(れいじう)の滝公(たきこう)も
436普甲峠(ふかふたうげ)の梅公(うめこう)が
437故智(こち)に倣(なら)つて船岡(ふなをか)の
438山(やま)の麓(ふもと)の森林(しんりん)に
439お節(せつ)の後(あと)を追(お)ひまくり
440一寸(ちよつと)芝居(しばゐ)を打(う)つてみた
441悪(わる)い時(とき)には悪(わる)いもの
442紫姫(むらさきひめ)の一行(いつかう)が
443暗(やみ)の中(なか)より現(あら)はれて
444折角(せつかく)仕組(しぐ)んだ此(この)芝居(しばゐ)
445蛇尾(じやみ)にされたる其(その)揚句(あげく)
446板公(いたこう)さまと諸共(もろとも)に
447暗(やみ)の谷間(たにま)へ蹴落(けおと)され
448腰(こし)をしたたか打(う)ちなやめ
449やうやう其処(そこ)を這(は)ひあがり
450帰(かへ)つて見(み)れば黒姫(くろひめ)の
451大(いか)い目玉(めだま)に睨(にら)まれて
452居(ゐ)た堪(たま)らねば板公(いたこう)と
453二人(ふたり)は尻(しり)に帆(ほ)をかけて
454漸(やうや)う其(その)場(ば)を抜(ぬ)け出(いだ)し
455どこへ行(い)つてもふられ蛸(だこ)
456骨(ほね)なし男(をとこ)と蔑(さげ)すまれ
457吸(す)ひつく術(すべ)もなくばかり
458お尻(しり)を喰(くら)へ観音(くわんのん)の
459山(やま)の峠(たうげ)に佇(たたず)みて
460此(この)世(よ)を果敢(はか)なむ折柄(をりから)に
461三五教(あななひけう)の常彦(つねひこ)が
462情(なさけ)のこもつた握飯(にぎりめし)
463押戴(おしいただ)いて蘇生(よみがへ)り
464いよいよ心(こころ)をため直(なほ)し
465神(かみ)の恵(めぐみ)に救(すく)はれて
466錦(にしき)の宮(みや)の門掃除(かどさうぢ)
467塵(ちり)や芥(あくた)を掃(は)きちぎり
468心(こころ)の奥(おく)の奥庭(おくには)を
469清(きよ)めて時(とき)を待(ま)ち居(を)れば
470尊(たふと)き神(かみ)の御恵(みめぐみ)は
471電(いなづま)の如(ごと)身(み)に下(くだ)り
472言依別(ことよりわけ)の神司(かむづかさ)
473近(ちか)く吾(われ)をば招(まね)きつつ
474再度山(ふたたびやま)の……こら違(ちが)うた
475再(ふたた)びとなき神業(かむわざ)を
476依(よ)さし給(たま)ひし嬉(うれ)しさよ
477杢助(もくすけ)さまの愛娘(まなむすめ)
478初稚姫(はつわかひめ)を始(はじ)めとし
479暗(やみ)に紛(まぎ)れて縛(しば)りたる
480お節(せつ)の方(かた)の玉能姫(たまのひめ)
481因縁者(いんねんもの)の寄合(よりあ)ひで
482○○山(やま)の○○に
483五(ご)人(にん)の男女(なんによ)は巡(めぐ)り会(あ)ひ
484黄金(こがね)の玉(たま)は○○の
485峰(みね)に○○かくしまし
486金剛(こんがう)不壊(ふゑ)の如意(によい)宝珠(ほつしゆ)
487紫色(むらさきいろ)の御(おん)宝(たから)
488初稚姫(はつわかひめ)や玉能姫(たまのひめ)
489滝公(たきこう)さまは波留彦(はるひこ)と
490名(な)を賜(たま)はりて谷丸(たにまる)の
491佐田彦(さだひこ)さまと諸共(もろとも)に
492帯(おび)を二(ふた)つに引裂(ひきさ)いて
493俄(にはか)に狂(くる)ふ玉能姫(たまのひめ)
494髪(かみ)ふり乱(みだ)しどんどんと
495二(ふた)つの玉(たま)を肩(かた)にかけ
496○○山(やま)の山頂(さんちやう)を
497一目散(いちもくさん)に駆出(かけいだ)し
498谷(たに)を飛(と)び越(こ)え山伝(やまづた)ひ
499波打際(なみうちぎは)に立並(たちなら)ぶ
500堅磐(かきは)常磐(ときは)の松林(まつばやし)
501蜈蚣(むかで)の姫(ひめ)の手下(てした)等(ら)が
502目(め)を眩(くら)ませて訳(わけ)もなく
503四(よ)人(にん)は無事(ぶじ)に通(とほ)りぬけ
504胸(むね)の動悸(どうき)も高砂(たかさご)の
505オツト違(ちが)うた高(たか)まりて
506息(いき)もせきせき又(また)走(はし)る
507○○浜(はま)に辿(たど)り着(つ)き
508一艘(いつそう)の船(ふね)に二百(にひやく)両(りやう)
509初稚姫(はつわかひめ)の御(おん)手(て)より
510渡(わた)せば船頭(せんどう)は仰天(ぎやうてん)し
511忽(たちま)ち家(いへ)に駆入(かけい)りて
512中(なか)より戸口(とぐち)を押(おさ)へつつ
513違約(ゐやく)させじと力(りき)み居(ゐ)る
514頃(ころ)しも波(なみ)は高(たか)まりて
515船(ふね)を出(だ)すべき由(よし)もなく
516○月(げつ)五日(いつか)の月(つき)低(ひく)う
517波(なみ)は愈(いよいよ)高(たか)くなり
518大海原(おほうなばら)に永久(とこしへ)に
519浮(うか)びて立(た)てる○の島(しま)
520神(かみ)の恵(めぐみ)に易々(やすやす)と
521渡(わた)り終(をう)せて初稚姫(はつわかひめ)や
522玉能(たまの)の姫(ひめ)の二人(ふたり)連(づ)れ
523二(ふた)つの玉(たま)を守(まも)りつつ
524○○山(やま)の絶頂(ぜつちやう)に
525堅磐(かきは)常磐(ときは)に隠(かく)し置(お)き
526千代(ちよ)の印(しるし)と○○を
527植(う)ゑて帰(かへ)りし勇(いさ)ましさ
528吾(われ)等(ら)は○まで送(おく)れども
529○○○は分(わか)らない
530○○○の海上(かいじやう)を
531夜(よ)を日(ひ)に継(つ)いで漕(こ)ぎ帰(かへ)る
532時間(じかん)の程(ほど)は分(わか)らねど
533どうやら四十(しじふ)(始終(しじう))一(いち)日(にち)か
534再度山(ふたたびやま)の…又(また)違(ちが)うた
535又(また)と再(ふたた)び手(て)に入(い)らぬ
536此(この)御宝(みたから)を恙(つつが)なく
537隠(かく)しまつりし神業(かむわざ)は
538空前(くうぜん)絶後(ぜつご)の大手柄(おほてがら)
539あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
540御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
541悪(あく)に溺(おぼ)れし滝公(たきこう)も
542神(かみ)の光(ひかり)に照(て)らされて
543転迷(てんめい)開悟(かいご)の花(はな)咲(さ)かせ
544名(な)も波留彦(はるひこ)と宣(の)り直(なほ)し
545今(いま)は聖地(せいち)に名(な)も高(たか)き
546神(かみ)の使(つかひ)の宣伝使(せんでんし)
547深(ふか)き恵(めぐみ)を尊(たふと)みて
548遥(はるか)に感謝(かんしや)し奉(たてまつ)る
549朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
550月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
551仮令(たとへ)大地(だいち)は沈(しづ)むとも
552三五教(あななひけう)の御(おん)宝(たから)
553三(み)つの御玉(みたま)の宝(たから)をば
554探(さが)さにやおかぬと高姫(たかひめ)が
555心(こころ)の駒(こま)に鞭(むちう)ちて
556岩(いは)の根(ね)木(き)の根(ね)踏(ふ)みさくみ
557疲(つか)れ果(は)てたる膝栗毛(ひざくりげ)
558やがて高姫(たかひめ)一行(いつかう)は
559一先(ひとま)づ聖地(せいち)に帰(かへ)るだろ
560アヽ其(その)時(とき)は其(その)時(とき)は
561又(また)も五(いつ)つの麻邇(まに)宝珠(ほつしゆ)
562心(こころ)に好(す)かぬ玉能姫(たまのひめ)
563初稚姫(はつわかひめ)や玉治別(たまはるわけ)の
564神(かみ)の司(つかさ)が竜宮(りうぐう)の
565玉依姫(たまよりひめ)の御手(みて)づから
566麻邇(まに)の宝珠(ほつしゆ)を受取(うけと)りて
567帰(かへ)りし後(あと)と聞(き)くならば
568さぞや御(お)心(こころ)揉(も)めるだろ
569国依別(くによりわけ)や秋彦(あきひこ)の
570早速(さそく)の頓智(とんち)再度(ふたたび)の
571山(やま)に坐(ま)します大天狗(だいてんぐ)
572小天狗(こてんぐ)までが現(あら)はれて
573近江(あふみ)の国(くに)の竹生島(ちくぶじま)
574玉無(たまな)し場所(ばしよ)を知(し)らしたる
575其(その)天罰(てんばつ)は目(ま)のあたり
576高姫(たかひめ)さまが帰(かへ)りなば
577上(うへ)を下(した)へと喧(やかま)しく
578又々(またまた)もめる事(こと)だらう
579今(いま)から思(おも)ひやられます
580あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
581御霊(みたま)幸(さち)はへましまして
582今度(こんど)計(ばか)りは高姫(たかひめ)や
583黒姫(くろひめ)さまの一行(いつかう)に
584何(なん)とか一(ひと)つ花(はな)持(も)たせ
585執着心(しふちやくしん)の雲霧(くもきり)を
586払(はら)ひ清(きよ)めて村肝(むらきも)の
587心(こころ)の空(そら)に日月(じつげつ)の
588澄(す)み渡(わた)るごと爽(さはや)かに
589一切(いつさい)万事(ばんじ)相済(あひす)みて
590和気(わき)靄々(あいあい)と共々(ともども)に
591手(て)を携(たづさ)へて三五(あななひ)の
592神(かみ)の教(をしへ)の御光(みひかり)を
593四方(よも)の国々(くにぐに)島々(しまじま)に
594完全(うまら)に委曲(つばら)に布(し)き教(をし)へ
595五六七(みろく)の神世(みよ)の礎(いしずゑ)を
596立(た)てさせ給(たま)へ惟神(かむながら)
597尊(たふと)き神(かみ)の御(おん)前(まへ)に
598慎(つつし)み敬(うやま)ひ願(ね)ぎ奉(まつ)る』
599と歌(うた)ひ了(をは)り、600日頃(ひごろ)の述懐(じゆつくわい)を宣(の)べ終(をは)りて拍手(はくしゆ)し、601錦(にしき)の宮(みや)の方(はう)に向(むか)つて暗祈(あんき)黙祷(もくたう)するのであつた。
602 五個(ごこ)の神宝(しんぱう)を乗(の)せたる神輿(みこし)は無事(ぶじ)に聖地(せいち)に到着(たうちやく)し、603言依別(ことよりわけの)命(みこと)を先頭(せんとう)に八尋殿(やひろどの)に設(まう)けられたる聖壇(せいだん)に安置(あんち)され、604聖地(せいち)の神司(かむづかさ)を始(はじ)め信徒(しんと)等(ら)は立錐(りつすゐ)の余地(よち)もなく集(あつ)まり来(きた)りて、605神威(しんゐ)のいやちこなるに感謝(かんしや)の涙(なみだ)をふるひつつ、606五六七(みろく)神政(しんせい)の曙光(しよくわう)を認(みと)めたる如(ごと)き歓喜(くわんき)の声(こゑ)に充(み)たされた。
607 九(く)月(ぐわつ)九日(ここのか)の聖地(せいち)の空(そら)は、608金翼(きんよく)を一文字(いちもんじ)に伸(の)べて、609空中(くうちう)に翺翔(かうしよう)する八咫烏(やあたがらす)の雄姿(ゆうし)悠々(いういう)として右(みぎ)に左(ひだり)に飛(と)び交(か)ひ、610妙音(めうおん)菩薩(ぼさつ)の微妙(びめう)の音楽(おんがく)は、611三重(みへ)の高殿(たかどの)の空(そら)高(たか)く響(ひび)き渡(わた)つた。612あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ。
613(大正一一・七・一九 旧閏五・二五 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→