霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 梅(うめ)の初花(はつはな)〔一二八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第2篇 立春薫香 よみ(新仮名遣い):りっしゅんくんこう
章:第6章 梅の初花 よみ(新仮名遣い):うめのはつはな 通し章番号:1280
口述日:1923(大正12)年01月16日(旧11月30日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
初稚姫は神素盞嗚大神の命を奉じ、大黒主の身魂を救い天下の害を除くために、ハルナの都に向かってただ一人、征途の旅に出ようとしていた。
初稚姫は照国別、玉国別、治国別、黄金姫、清照姫たちと同時に出征の徒に上るはずであったが、神素盞嗚大神の命によって百有余日、自宅において修業を命じられていた。
修業が終わって、初稚姫はいよいよ父に別れを告げ、斎苑館の八島主神に挨拶をすべく訪問した。八島主は、初稚姫の精神を試すために、征途の旅に出る前に夫たるべき人を決めておくべきだと告げた。
八島主は、初稚姫の疑問に答えて、天国の理想の夫婦とは神が結び給うた婚姻であり、互いに善と真、意志と知性が和合一致していると説明した。
初稚姫は、自分は決して独身主義ではないが、ハルナの都の御用が済んでから八島主の世話に預かってそれ相当の夫を持つつもりだと答えた。
八島主は初稚姫の答えに満足し、互いに別れの歌を詠み交わした。初稚姫は旅支度に身を整えて斎苑館を出立し、進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-12 16:03:13 文字数:4828 OBC :rm4906
愛善世界社版:85頁 八幡書店版:第9輯 62頁 修補版: 校定版:87頁 普及版:39頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]:出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 第四篇 神霊世界 > 第十三章 天国の婚姻
001 初稚姫(はつわかひめ)はハルナの都(みやこ)に蟠(わだかま)る大黒主(おほくろぬし)の身魂(みたま)を救(すく)ひ、002天下(てんか)の害(がい)を除(のぞ)かむため神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の命(めい)を奉(ほう)じ、003供(とも)をもつれず只(ただ)一人(ひとり)征途(せいと)に上(のぼ)らむとし、004百日(ひやくにち)有余(いうよ)を杢助(もくすけ)の宅(たく)に奥(おく)深(ふか)く潜(ひそ)みて神(かみ)の教(をしへ)をよく調(しら)べ聖言(せいげん)を耽読(たんどく)し愈(いよいよ)父(ちち)に別(わか)れを告(つ)げ征途(せいと)に上(のぼ)るべくイソの館(やかた)の八島主(やしまぬし)に暇(いとま)乞(ご)ひのため面会(めんくわい)を乞(こ)ふた。005此(この)初稚姫(はつわかひめ)は照国別(てるくにわけ)、006玉国別(たまくにわけ)、007治国別(はるくにわけ)及(およ)び黄金姫(わうごんひめ)、008清照姫(きよてるひめ)等(など)と同時(どうじ)に出征(しゆつせい)の途(と)に上(のぼ)る筈(はず)であつたが、009神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の命令(めいれい)黙(もだ)し難(がた)く、010ここに一百有余(いつぴやくいうよ)日(にち)自宅(じたく)に於(おい)て修業(しうげふ)を命(めい)ぜらるる事(こと)となつたのである。
011 初稚姫(はつわかひめ)は、012イソの館(やかた)の奥(おく)の神殿(しんでん)に進(すす)み、013神(かむ)素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)の大前(おほまへ)に伺候(しこう)し、014八島主(やしまぬしの)神(かみ)に挨拶(あいさつ)すべく訪問(はうもん)した。015八島主(やしまぬし)は喜(よろこ)んで出(い)で迎(むか)へ初稚姫(はつわかひめ)を居間(ゐま)に招(せう)じて悪魔(あくま)征討(せいたう)に対(たい)し初稚姫(はつわかひめ)が採(と)らむとする其(その)大略(たいりやく)を聞(き)きとり莞爾(くわんじ)として打喜(うちよろこ)び且(か)つ云(い)ふやう、
016八島(やしま)『初稚姫(はつわかひめ)様(さま)、017貴女(あなた)は愈(いよいよ)数千(すうせん)里(り)を隔(へだ)てたるハルナの都(みやこ)にお出(いで)遊(あそ)ばすに就(つ)いては、018最早(もはや)年頃(としごろ)、019独身者(どくしんもの)では何(なに)かの都合(つがふ)が悪(わる)いでせう。020どうか今(いま)の間(うち)に夫(をつと)たるべき人(ひと)をきめておかなくては、021途中(とちう)に困(こま)る事(こと)が出来(でき)るでせう』
022初稚(はつわか)『妾(わらは)は年(とし)が若(わか)う厶(ござ)りますれば夫(をつと)なぞは持(も)つ気(き)はありませぬ、023又(また)理想(りさう)の夫(をつと)が見当(みあた)りませぬから』
024八島(やしま)『人間(にんげん)が地上(ちじやう)の世界(せかい)にある間(うち)は如何(どう)しても独身(どくしん)生活(せいくわつ)は出来(でき)ませぬ。025又(また)理想(りさう)の夫(をつと)を得(え)様(やう)等(など)と何程(なにほど)思(おも)つても、026さううまく貴女(あなた)の気(き)に入(い)りさうな事(こと)はありませぬ。027夫(をつと)たり妻(つま)たるものは各(かく)其(その)欠点(けつてん)を辛抱(しんばう)し合(あ)ふてここに初(はじ)めて円満(ゑんまん)な家庭(かてい)を作(つく)り、028大神(おほかみ)の神業(しんげふ)に参加(さんか)し得(う)るのです。029理想(りさう)の夫(をつと)を求(もと)めむとし又(また)理想(りさう)の妻(つま)を得(え)むとする欲望(よくばう)は到底(たうてい)現界(げんかい)では望(のぞ)み得(え)られませぬ。030何事(なにごと)も神(かみ)様(さま)の命(めい)に従(したが)つて夫婦(ふうふ)睦(むつま)じく暮(くら)すより道(みち)はありませぬ。031理想(りさう)の夫(をつと)又(また)は妻(つま)等(など)は到底(たうてい)天国(てんごく)でなければ自然界(しぜんかい)に左右(さいう)せらるる肉体人(にくたいじん)は到底(たうてい)駄目(だめ)です。032然(しか)し乍(なが)ら、033三五教(あななひけう)の御教(みをしへ)がスツパリと天下(てんか)に行(ゆ)き渡(わた)り人間(にんげん)の心(こころ)が理想(りさう)的(てき)に改良(かいりやう)さるる様(やう)になつた暁(あかつき)は地上(ちじやう)にも亦(また)天国(てんごく)の型(かた)が其(その)儘(まま)に映(うつ)り人間(にんげん)は理想(りさう)の婚姻(こんいん)をする事(こと)が出来(でき)るでせう』
034初稚(はつわか)『然(しから)ば妾(わらは)は地上(ちじやう)にミロクの世(よ)が来(く)る迄(まで)待(ま)つ事(こと)に致(いた)しませう。035高天原(たかあまはら)の天人(てんにん)と天人(てんにん)との間(あひだ)に於(お)ける神聖(しんせい)なる婚姻(こんいん)の状態(じやうたい)は如何(いかが)なもので厶(ござ)りませうか』
036八島(やしま)『ここ五(ご)年(ねん)や十(じふ)年(ねん)に到底(たうてい)理想(りさう)の世界(せかい)の出現(しゆつげん)は難(むつ)かしいでせう。037八岐(やまた)大蛇(をろち)の亡(ほろ)ぶ迄(まで)は到底(たうてい)地上(ちじやう)に天国(てんごく)は完全(くわんぜん)に来(き)ませぬ。038高天原(たかあまはら)の婚姻(こんいん)に就(つい)て一言(ひとこと)お話(はな)しすれば、039天人(てんにん)と天女(てんによ)との婚姻(こんいん)あるは猶(なほ)地上(ちじやう)の世界(せかい)に男女(だんぢよ)両性(りやうせい)の婚姻(こんいん)が行(おこな)はれてゐるやうなものであります。040そして高天原(たかあまはら)に於(お)けると地上(ちじやう)の世界(せかい)に於(お)けるとはその婚姻(こんいん)に相違(さうゐ)の点(てん)もあり一致(いつち)の点(てん)もあります。041そもそも、
042一、043高天原(たかあまはら)の婚姻(こんいん)なるものは智性(ちせい)と意志(いし)との二(ふた)つのものを和合(わがふ)して一心(いつしん)となすの謂(いひ)であり、044智性(ちせい)と意志(いし)の二(ふた)つのものが合一(がふいつ)して、045動作(どうさ)するものを一心(いつしん)といひます。046夫(をつと)は智性(ちせい)妻(つま)は意志(いし)と呼(よ)ばるる部分(ぶぶん)を代表(だいへう)するものであります。
047一、048此(この)和合(わがふ)は元(もと)より内分(ないぶん)的(てき)に起(おこ)るものであつて、049之(これ)が霊身(れいしん)に属(ぞく)する時(とき)、050之(これ)を知覚(ちかく)し感覚(かんかく)して愛(あい)なるものを生(しやう)ずる。051この愛(あい)を婚姻(こんいん)の愛(あい)といふのであります。052智性(ちせい)と意志(いし)両者(りやうしや)の和合(わがふ)して一心(いつしん)となる所(ところ)に婚姻(こんいん)の愛(あい)なるものが発生(はつせい)するのである。053故(ゆゑ)に天人(てんにん)は男女(だんぢよ)一体(いつたい)にして一双(いつつい)の夫婦(ふうふ)は二個(にこ)の天人(てんにん)でなく一個(いつこ)の天人(てんにん)となすのであります』
054初稚(はつわか)『夫婦(ふうふ)の間(あひだ)に以上(いじやう)御(お)話(はなし)の如(ごと)き親和(しんわ)のあるのは男子(だんし)女子(ぢよし)創造(さうざう)の真因(しんいん)より来(き)たるものでせうか』
055八島(やしま)『男子(だんし)の生(うま)るるや自(おのずか)ら智的(ちてき)であるから凡(すべ)ての思索(しさく)は智性(ちせい)よりするものです。056之(これ)に反(はん)して女子(ぢよし)の生(うま)るるや自(おのづか)ら情的(じやうてき)であるから、057其(その)思索(しさく)も又(また)意志(いし)より来(きた)るものであります。058男女(だんぢよ)の性行(せいかう)より見(み)るも形体(けいたい)より見(み)るも明(あきら)かな事実(じじつ)です。059性情(せいじやう)から見(み)る時(とき)は男子(だんし)の行動(かうどう)は凡(すべ)て理性(りせい)的(てき)で女子(ぢよし)は情動(じやうどう)的(てき)であります。060その形態(けいたい)の上(うへ)から見(み)ても男子(だんし)の面(かほ)は女子(ぢよし)の如(ごと)く優美(いうび)で柔軟(じうなん)でない。061男子(だんし)は身体(しんたい)剛健(がうけん)なれども女子(ぢよし)は柔嫩(じうどん)なものであります。062故(ゆゑ)に男女間(だんぢよかん)に於(お)ける智性(ちせい)と意志(いし)や情動(じやうだう)と想念(さうねん)との間(あひだ)にも亦(また)これに似(に)たる区別(くべつ)があります。063真(しん)と善(ぜん)、064信(しん)と愛(あい)との間(あひだ)にも区別(くべつ)がある。065如何(いかん)とならば信(しん)と真(しん)とは智性(ちせい)に属(ぞく)し、066善(ぜん)と愛(あい)とは意志(いし)に属(ぞく)するからであります』
067初稚(はつわか)『天国(てんごく)に於(おい)て青年(せいねん)、068成人(せいじん)、069処女(しよぢよ)、070婦人(ふじん)の区別(くべつ)がありますか』
071八島(やしま)『霊的(れいてき)意義(いぎ)より言(い)ふ時(とき)は、072真(しん)を全得(ぜんとく)すべき智(ち)を表(あら)はして青年(せいねん)成人(せいじん)となし、073善(ぜん)に対(たい)する情動(じやうだう)を表(あら)はして処女(しよぢよ)、074婦人(ふじん)といふのである。075又(また)この善(ぜん)と真(しん)とに対(たい)する情動(じやうどう)より見(み)て聖場(せいぢやう)、076又(また)は教場(けうぢやう)を婦人(ふじん)と呼(よ)んだり、077処女(しよぢよ)と呼(よ)び、078変性(へんじやう)女子(によし)の身魂(みたま)と呼(よ)ぶこともあるのです』
079初稚(はつわか)『男子(だんし)は智性(ちせい)のみ活動(くわつどう)し、080女子(ぢよし)は意志(いし)のみ活動(くわつどう)するものとの御(お)説(せつ)は、081妾(わらは)には少(すこ)しも合点(がてん)が行(ゆ)きませぬ。082女子(ぢよし)だつて智性(ちせい)をも有(も)つてゐる様(やう)に思(おも)はれますが……』
083八島(やしま)『男女(だんぢよ)の区別(くべつ)なく智性(ちせい)も意志(いし)も保有(ほいう)してゐるのです。084唯々(ただただ)男子(だんし)は智性(ちせい)を主(しゆ)とし女子(ぢよし)は意志(いし)を主(しゆ)とするのみです。085人(ひと)の性格(せいかく)を定(さだ)むるは、086其(その)主(しゆ)とする所(ところ)如何(いかん)に由(よ)らなければ成(な)らない。087併(しか)し高天原(たかあまはら)に於(お)ける婚姻(こんいん)には偏重(へんちよう)する所(ところ)がない。088即(すなは)ち妻(つま)の意志(いし)は夫(をつと)の意志(いし)であり、089夫(をつと)の智性(ちせい)は妻(つま)の智性(ちせい)である。090男女(だんぢよ)互(たがひ)に他(た)の思(おも)ふ所(ところ)を思(おも)ひ、091志(こころざ)す所(ところ)を志(こころざ)すが故(ゆゑ)に、092両者(りやうしや)の想念(さうねん)と意志(いし)とは互(たがひ)に感応(かんおう)し相(あひ)和合(わがふ)して一体(いつたい)となるのです。093この和合(わがふ)は実際(じつさい)上(じやう)の和合(わがふ)だから夫(をつと)の智性(ちせい)は妻(つま)の意志(いし)に入(い)り、094妻(つま)の意志(いし)は夫(をつと)の智性(ちせい)に入(い)るものです。095そしてこの和合(わがふ)は殊(こと)に相互間(さうごかん)に於(おい)てその面(おもて)を見(み)る時(とき)に於(おい)て生(しやう)ずるものである。096高天原(たかあまはら)には、097想念(さうねん)と情動(じやうどう)の交通(かうつう)あるが上(うへ)に殊(こと)に夫婦(ふうふ)の間(あひだ)には相愛(さうあい)深(ふか)き故(ゆゑ)、098この交通(かうつう)は更(さら)に濃厚(のうこう)密接(みつせつ)の度(ど)が強(つよ)いからであります。099是(これ)を見(み)ても高天原(たかあまはら)の天人(てんにん)等(たち)の婚姻(こんいん)状態(じやうたい)は如何(いか)にして成立(せいりつ)するか。100この愛(あい)を喚起(くわんき)する所(ところ)の男女(だんぢよ)両心(りやうしん)の和合(わがふ)とは如何(いか)なるものかが明(あきら)かになつたでありませう。101天国(てんごく)のこの愛(あい)なるものは相互(さうご)に自己(じこ)の有(いう)する一切(いつさい)を挙(あ)げて他(た)に与(あた)へむと願(ねが)ふ心(こころ)なることは明(あきら)かであります』
102初稚(はつわか)『男子(だんし)の智性(ちせい)と女子(ぢよし)の意志(いし)との和合(わがふ)して一心(いつしん)一体(いつたい)となり、103天国(てんごく)の婚姻(こんいん)が神聖(しんせい)に行(おこな)はれる状態(じやうたい)は明瞭(めいれう)に覚(さと)る事(こと)を得(え)ました。104併(しか)し智性(ちせい)は何物(なにもの)を摂受(せつじゆ)し、105意志(いし)は何(なに)ものを天国(てんごく)に於(おい)て摂受(せつじゆ)し得(う)るものなるか今(いま)一度(いちど)御(ご)明示(めいじ)を願(ねが)ひます』
106八島(やしま)『神聖(しんせい)なる婚姻(こんいん)をなせる男女(だんぢよ)の間(あひだ)に此(かく)の如(ごと)き和合(わがふ)一致(いつち)のある限(かぎ)り彼(かれ)等(ら)天人(てんにん)男女(だんぢよ)は婚姻(こんいん)の愛(あい)に居(を)り又(また)之(これ)と同時(どうじ)に智慧(ちゑ)と証覚(しようかく)と幸福(かうふく)と歓喜(くわんき)とに居(を)るものであります。107一切(いつさい)の智慧(ちゑ)と証覚(しようかく)と幸福(かうふく)と歓喜(くわんき)の来(きた)るべき源泉(げんせん)なる神善(しんぜん)の神真(しんしん)とは主(しゆ)として婚姻(こんいん)の愛(あい)の中(なか)に流入(りうにふ)するものなるが故(ゆゑ)であります。108故(ゆゑ)に婚姻(こんいん)の愛(あい)なるものは神格(しんかく)が流入(りうにふ)する所(ところ)の平面(へいめん)そのものである。109蓋(けだ)し同時(どうじ)に真(しん)と善(ぜん)との婚姻(こんいん)だからであります。110真(しん)と善(ぜん)との和合(わがふ)は智性(ちせい)と意志(いし)との和合(わがふ)の如(ごと)くであつて、111智(ち)は神真(しんしん)を摂受(せつじゆ)し、112これに由(よ)つて其(その)智性(ちせい)を成就(じやうじゆ)し、113意(い)は神善(しんぜん)を摂受(せつじゆ)し之(これ)に由(よ)つて其(その)意性(いせい)を成就(じやうじゆ)するのであります』
114初稚(はつわか)『智性(ちせい)と意志(いし)との和合(わがふ)と、115真(しん)と善(ぜん)との和合(わがふ)に如何(いか)なる区別(くべつ)がありますか』
116八島(やしま)『畢竟(ひつきやう)同一(どういつ)であります。117真(しん)と善(ぜん)との和合(わがふ)は天人(てんにん)を成就(じやうじゆ)し、118又(また)智慧(ちゑ)と証覚(しようかく)と幸福(かうふく)と歓喜(くわんき)とを成就(じやうじゆ)するものです。119如何(いかん)となれば天人(てんにん)の天人(てんにん)たるは如何(いか)なる程度(ていど)まで彼(かれ)の善(ぜん)は真(しん)と和合(わがふ)し、120彼(かれ)の真(しん)は善(ぜん)と和合(わがふ)したかに在(あ)るのです。121要(えう)するに彼(かれ)の愛(あい)は信(しん)と和合(わがふ)し彼(かれ)の信(しん)は愛(あい)と和合(わがふ)した程度(ていど)の如何(いかん)に由(よ)つて婚姻(こんいん)の行(おこな)はるるものであります』
122初稚(はつわか)『善(ぜん)と真(しん)との和合(わがふ)の原因(げんいん)は何(いづ)れより来(き)たるものですか』
123八島(やしま)『太元神(おほもとがみ)が高天原(たかあまはら)及(およ)び地(ち)の世界(せかい)にある万物(ばんぶつ)に対(たい)して有(いう)し給(たま)へる神愛(しんあい)より発(はつ)するのです。124この神愛(しんあい)より神善(しんぜん)を出(いだ)し、125そして此(この)神善(しんぜん)は天人(てんにん)と神的(しんてき)諸真(しよしん)に居(を)る人々(ひとびと)とが享(う)くるものである。126善(ぜん)を享(う)くる唯一(ゆゐいつ)無二(むに)の器(うつは)は、127真(しん)より外(ほか)に無(な)いのだから、128真(しん)に居(を)らないものは何事(なにごと)も太元神(おほもとがみ)及(およ)び高天原(たかあまはら)より享(う)くることは出来(でき)ないのです。129故(ゆゑ)に人間(にんげん)にある所(ところ)の諸々(もろもろ)の真(しん)にして善(ぜん)と和合(わがふ)した限(かぎ)り、130太元神(おほもとがみ)及(およ)び天界(てんかい)と和合(わがふ)するのです。131婚姻(こんいん)の愛(あい)の原頭(げんとう)なるものは茲(ここ)にあります。132故(ゆゑ)にこの愛(あい)なるものは神格(しんかく)の流(なが)るる平面(へいめん)そのものです。133又(また)高天原(たかあまはら)に於(おい)て善(ぜん)と真(しん)との和合(わがふ)せし状態(じやうたい)を、134天的(てんてき)婚姻(こんいん)と云(い)ふのであります』
135初稚(はつわか)『高天原(たかあまはら)の夫婦(ふうふ)は二個(にこ)一体(いつたい)即(すなは)ち一天人(いちてんにん)の形式(けいしき)の様(やう)に承(うけたま)はりましたが、136尚(なほ)今(いま)一度(いちど)詳細(しやうさい)な説明(せつめい)を願(ねが)ひます』
137八島(やしま)『天人(てんにん)または地上(ちじやう)の人間(にんげん)の中(うち)に和合(わがふ)した善(ぜん)と真(しん)とは一(いつ)にして二(に)にあらず。138何故(なにゆゑ)なれば善(ぜん)は真(しん)よりし真(しん)は善(ぜん)よりするからである。139この和合(わがふ)は人(ひと)その志(こころざ)す所(ところ)を思(おも)ひ、140その思(おも)ふ所(ところ)を志(こころざ)す時(とき)に成(な)り立(た)つ所(ところ)の和合(わがふ)の如(ごと)くにして、141この時(とき)彼(かれ)の想念(さうねん)と意志(いし)とは一(いつ)となつて即(すなは)ち一心(いつしん)を成(な)すに至(いた)る。142何(な)んとなれば想念(さうねん)は意志(いし)の欲(ほつ)する所(ところ)に従(したが)つて象(かたち)づくり之(これ)を形式(けいしき)の上(うへ)に現(あら)はし、143而(しか)して意志(いし)は之(これ)に歓喜(くわんき)の情(じやう)を附与(ふよ)するからであります。144高天原(たかあまはら)に於(おい)て男女(だんぢよ)両者(りやうしや)の婚姻(こんいん)せるを一個(いつこ)の天人(てんにん)と呼(よ)びなし、145両個(りやうこ)の天人(てんにん)とせないのは之(これ)が為(ため)であります』
146初稚(はつわか)『元始(はじめ)に人(ひと)を造(つく)り給(たま)ひしものは之(これ)を男女(だんぢよ)に造(つく)れり。147此(これ)故(ゆゑ)に人(ひと)父母(ふぼ)を離(はな)れて其(その)妻(つま)に合(あ)ふ。148二人(ふたり)のもの一体(いつたい)となるなり。149されば二(ふた)つにはあらず一体(いつたい)なり。150神(かみ)の合(あは)せ給(たま)へるものは人(ひと)之(これ)を離(はな)すべからず。151此(この)言(げん)は人(ひと)皆(みな)受(う)け納(い)るること能(あた)はず、152唯(ただ)賦(さづ)けられたるもののみ之(これ)を為(な)し得(う)べし……と聖言(せいげん)[※この「聖言」とは新約聖書の言葉のようである。マタイによる福音書第19章第4節から第11節を要約したものか? 次は口語訳聖書からの引用。「『創造者は初めから人を男と女とに造られ、そして言われた、それゆえに、人は父母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである』彼らはもはや、ふたりではなく一体である。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」(第4~6節)、「その言葉を受けいれることができるのはすべての人ではなく、ただそれを授けられている人々だけである」(第11章)]に記(しる)されたるは天人(てんにん)の居(を)る天界(てんかい)の婚姻(こんいん)ですか』
153八島(やしま)『天界(てんかい)に於(お)ける天人(てんにん)の婚姻(こんいん)であつて是(こ)れ善(ぜん)と真(しん)との婚姻(こんいん)、154神(かみ)の結(むす)び給(たま)ふた婚姻(こんいん)は人(ひと)が離(はな)すことは出来(でき)ない。155要(えう)するに善(ぜん)を真(しん)から離(はな)すことは出来(でき)ぬといふ意義(いぎ)であります。156是(これ)に由(よ)つて真(しん)の婚姻(こんいん)は何(いづ)れの処(ところ)から創(はじ)まるかを見(み)ることが出来(でき)るのです。157即(すなは)ち先(ま)づ婚姻(こんいん)を結(むす)ぶものの心裡(しんり)が成(な)り立(た)ち之(これ)から伝(つた)はつて肉体(にくたい)に下(くだ)り、158此処(ここ)に知覚(ちかく)ありて之(これ)を感(かん)じて愛(あい)となるのです。159凡(すべ)て肉体(にくたい)の感(かん)ずる所(ところ)、160知覚(ちかく)する所(ところ)は、161皆(みな)其(その)源泉(げんせん)を人(ひと)の霊的(れいてき)原力(げんりよく)に汲(く)むものなるが故(ゆゑ)であります』
162初稚(はつわか)『いろいろと御(ご)理解(りかい)を仰(あふ)ぎまして有難(ありがた)う厶(ござ)います。163然(しか)し乍(なが)ら、164それを承(うけたま)はらば尚々(なほなほ)私(わたし)は地上(ちじやう)に於(おい)て婚姻(こんいん)をする事(こと)が気(き)が向(む)かない様(やう)です。165併(しか)し乍(なが)ら父(ちち)にも申(まを)して置(お)きましたものですが、166ハルナの都(みやこ)の御用(ごよう)が済(す)んでから貴方(あなた)様(さま)方(がた)の御(お)世話(せわ)に預(あづか)つて、167それ相当(さうたう)の夫(をつと)と婚姻(こんいん)する事(こと)を誓(ちか)つておきます。168決(けつ)して妾(わらは)は独身(どくしん)主義(しゆぎ)でやり通(とほ)さうとは申(まを)しませぬ。169何(なん)と云(い)つても年(とし)も若(わか)く前途(ぜんと)も長(なが)いのですから、170独立(どくりつ)独歩(どくぽ)の活動(くわつどう)が致(いた)し度(た)う厶(ござ)ります』
171八島(やしま)『さう仰有(おつしや)れば強(た)つて申(まを)しませぬ。172実(じつ)の所(ところ)白状(はくじやう)致(いた)しますが素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)より貴女(あなた)の御(ご)精神(せいしん)を試(ため)して見(み)よとの仰(あふ)せで厶(ござ)りました故(ゆゑ)、173斯様(かやう)の事(こと)を申上(まをしあ)げました。174其(その)御(ご)決心(けつしん)ならばキツとハルナの都(みやこ)の邪神(じやしん)を言向和(ことむけやは)す事(こと)が出来(でき)るでせう。175夫(をつと)がお在(あ)りになるとすれば実際(じつさい)の活動(くわつどう)は出来(でき)ませぬからな。176八人(やたり)乙女(をとめ)の方々(かたがた)でも夫(をつと)を持(も)たれた方(かた)は家庭(かてい)の主婦(しゆふ)として自由(じいう)自在(じざい)の活動(くわつどう)が出来(でき)ない様(やう)なものです。177まだ独身(どくしん)でゐらつしやる英子姫(ひでこひめ)様(さま)悦子姫(よしこひめ)様(さま)等(など)はあの通(とほ)りの大活動(だいくわつどう)を試(こころ)みられて居(を)られますからな。178それもやはり独身(ひとりみ)のお蔭(かげ)ですよ。179時(とき)に初稚姫(はつわかひめ)さま、180杢助(もくすけ)さまは貴女(あなた)の出立(しゆつたつ)を何故(なぜ)お送(おく)りにならないのですか』
181初稚(はつわか)『父(ちち)は左様(さやう)な女々(めめ)しいものでは御座(ござ)りませぬ。182妾(わらは)が「父上(ちちうへ)さま、183之(これ)より御用(ごよう)のため遥々(はるばる)ハルナの都(みやこ)へ参(まゐ)りますから何卒(なにとぞ)御(ご)壮健(さうけん)で」と申(まを)しましたら父(ちち)は直(ただ)ちに声(こゑ)を荒(あら)らげ「決(けつ)して杢助(もくすけ)の事(こと)は気(き)にかけちやならない。184お前(まへ)はお前(まへ)の御用(ごよう)があるのだ」と云(い)つたきり門口(もんぐち)へ見送(みおく)りもして呉(く)れませなんだのです。185実(じつ)に親(おや)の愛(あい)と云(い)ふものは深(ふか)いもので厶(ござ)ります。186妾(わらは)も父(ちち)の雄々(をを)しき心根(こころね)に対(たい)しても飽迄(あくまで)大神(おほかみ)様(さま)のため、187世人(よびと)のために、188活動(くわつどう)を致(いた)さねばなりませぬ』
189八島(やしま)『成程(なるほど)、190此(この)親(おや)にして此(この)子(こ)あり、191イヤもう感(かん)じ入(い)りました。192素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)様(さま)が貴女(あなた)親子(おやこ)の御(ご)精神(せいしん)をお聞(き)きになりましたら嘸(さぞ)御(ご)満足(まんぞく)に思召(おぼしめ)すで御座(ござ)りませう。193何卒(なにとぞ)仕合(しあは)せよく征途(せいと)にお上(のぼ)り下(くだ)さいませ』
194初稚姫(はつわかひめ)『惟神(かむながら)神(かみ)の恵(めぐ)みに助(たす)けられ
195ハルナの都(みやこ)に進(すす)む嬉(うれ)しさ。
196八島主(やしまぬし)神(かみ)の命(みこと)よ吾(わが)父(ちち)を
197守(まも)らせ玉(たま)へ朝(あさ)な夕(ゆふ)なに』
198八島主(やしまぬし)『親(おや)思(おも)ひ子(こ)思(おも)ふ心(こころ)ぞ世(よ)にも尊(たふと)けれ
199神(かみ)に任(まか)せし心(こころ)ぞ尚(なほ)も尊(たふと)き。
200初稚姫(はつわかひめ)イソの館(やかた)を出(い)でませば
201神(かみ)は汝(なれ)をば守(まも)りますらむ』
202初稚姫(はつわかひめ)『八十(やそ)曲津(まがつ)如何(いか)に伊猛(いたけ)り狂(くる)ふとも
203誠(まこと)の剣(つるぎ)に斬(き)り屠(ほふ)らなむ。
204大神(おほかみ)の依(よ)さし玉(たま)ひし言霊(ことたま)を
205力(ちから)と頼(たの)み行(ゆ)くぞ嬉(うれ)しき』
206八島主(やしまぬし)『いざさらば之(これ)にてお別(わか)れ申(まを)すべし
207初稚(はつわか)……………八島主(やしまぬし)君(きみ)安(やす)くましませ』
208と歌(うた)ひ終(をは)り此処(ここ)に両神人(りやうしんじん)は袂(たもと)を分(わか)つ事(こと)となりぬ。209初稚姫(はつわかひめ)は春(はる)とは云(い)へどまだ寒(さむ)き風(かぜ)に衣(ころも)の袖(そで)を煽(あふ)られ乍(なが)ら、210ウブスナ山(やま)の咲(さ)き初(そ)めし梅(うめ)の花(はな)の薫(かを)りに名残(なごり)を惜(お)しみつつ、211此(この)聖場(せいぢやう)を只(ただ)一人(ひとり)草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)に身(み)を固(かた)め扮装(みなり)も軽(かる)き蓑笠(みのかさ)、212金剛杖(こんがうづゑ)を突(つ)き乍(なが)ら踏(ふ)みもならはぬ長途(ちやうと)の旅(たび)に上(のぼ)るべく勇(いさ)み進(すす)み行(ゆ)く。
213(大正一二・一・一六 旧一一・一一・三〇 北村隆光録)
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