霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一〇章 添書(てんしよ)〔一二八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第3篇 暁山の妖雲 よみ(新仮名遣い):ぎょうざんのよううん
章:第10章 添書 よみ(新仮名遣い):てんしょ 通し章番号:1284
口述日:1923(大正12)年01月18日(旧12月2日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
治国別は道々、新参のランチ、片彦、ガリヤ、ケース、お寅、お民たちに三五教の教理を説き諭しながら進んで行った。そしてお寅に向かい、一度斎苑館に参拝し、正式な宣伝使となるよう修業をしてはどうかと勧めた。お寅も同意し、治国別は紹介状を書いて持たせた。
お寅は得意の色を満面にうかべ、治国別一行に別れを告げて斎苑館をさして一人進んで行った。途中、小北山に立ち寄った。
お寅は受付の文助に挨拶し、奥へ進んでお菊や魔我彦と面会した。お寅は、斎苑館への修業の旅について話し、魔我彦にも参拝を勧めた。松姫もやってきて、魔我彦がお寅に同道して参拝することに賛成した。
お寅はしばし休息の上、魔我彦を伴って各神社を遙拝し、信者たちに挨拶を終えたのち、河鹿峠の山口さして神文を唱えながら進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-19 16:08:01 OBC :rm4910
愛善世界社版:136頁 八幡書店版:第9輯 82頁 修補版: 校定版:141頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 治国別(はるくにわけ)浮木(うきき)(もり)のランチ将軍(しやうぐん)002片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(その)()帰順(きじゆん)せしめ道々(みちみち)三五(あななひ)教理(けうり)()(さと)(なが)らクルスの(もり)(まで)(すす)んで()つた。003さうしてお(とら)(むか)ひ、
004治国(はるくに)『お(とら)さま、005(まへ)さまはウラナイ(けう)熱心(ねつしん)肝煎(きもいり)であつたが、006かうして三五教(あななひけう)帰順(きじゆん)立派(りつぱ)信者(しんじや)となられたのは(じつ)吾々(われわれ)大慶(たいけい)です。007(しか)(なが)ら、008(これ)から一度(いちど)イソの(やかた)()参拝(さんぱい)になり、009大神(おほかみ)(さま)()(ゆる)しを()けて立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)となつてお(つく)しになつては如何(いかが)です。010(ひら)信者(しんじや)となつて()くよりも余程(よほど)便宜(べんぎ)かも()れませぬよ』
011(とら)『はい、012有難(ありがた)(ござ)ります。013(わたし)(やう)(ばば)でも宣伝使(せんでんし)にして(いただ)けませうかな』
014治国(はるくに)(ばば)だつて、015(なん)だつて貴方(あなた)身魂(みたま)(その)(もの)(けつ)して老若(らうにやく)区別(くべつ)はありませぬ。016老人(らうじん)如何(どう)しても無垢(むく)(もの)ですから(かへつ)吾々(われわれ)よりも立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)になれませう。017(わたし)手紙(てがみ)()きますから(これ)(もつ)河鹿(かじか)(たうげ)(わた)りイソの(やかた)参拝(さんぱい)八島主(やしまぬし)さまに()面会(めんくわい)(うへ)018(ひやく)(にち)ばかりも修行(しうぎやう)して(その)(うへ)立派(りつぱ)なる宣伝使(せんでんし)となり神界(しんかい)のためにお(つく)しなされ。019それが(なに)よりの後生(ごしやう)()めですよ』
020(とら)(わたくし)(やう)(あく)たれ(ばば)でも改心(かいしん)さへすれば貴方(あなた)(つめ)(あか)(ぐらゐ)(はたら)きが出来(でき)ませうかな。021それなら(これ)から(あふ)せに(したが)一度(いちど)参拝(さんぱい)をして(まゐ)りませう』
022治国(はるくに)『そんなら(いま)手紙(てがみ)()いてあげませう。023(これ)(もつ)ておいでなさいませ』
024()(なが)ら、025(こし)矢立(やたて)をとり(いだ)(いち)(まい)(かみ)にスラスラと何事(なにごと)()(しる)した。026(その)文面(ぶんめん)によると、
027(文面)治国別(はるくにわけ)より八島主(やしまぬしの)(みこと)(さま)()紹介(せうかい)申上(まをしあ)げます。028(わたし)(いま)途中(とちう)(おい)種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)(かみ)(さま)のお(ため)しを(いただ)広大(くわうだい)無辺(むへん)()神徳(しんとく)(かうむ)り、029神恩(しんおん)(ふか)きを感謝(かんしや)(なが)(やうや)くクルスの(もり)(まで)安着(あんちやく)(いた)しました。030さうしてバラモン(ぐん)先鋒隊(せんぽうたい)031ランチ、032片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(いま)(まつた)大神(おほかみ)(さま)()神徳(しんとく)によつて三五教(あななひけう)帰順(きじゆん)(いた)しました(ゆゑ)033何卒(どうぞ)大神(おほかみ)(さま)()奏上(そうじやう)(ほど)(ねがひ)()(たてまつ)ります。034(いづ)(これ)()人々(ひとびと)はも(すこ)予備(よび)教育(けういく)(ほどこ)した(うへ)035手紙(てがみ)(もつ)()(やかた)参籠(さんろう)(いた)させ修行(しうぎやう)結果(けつくわ)宣伝使(せんでんし)にお取立(とりた)(くだ)さる(やう)()(ねが)(いた)(かんが)へなれば万事(ばんじ)よろしく(ねが)ひます。036()(この)手紙(てがみ)持参者(ぢさんしや)小北山(こぎたやま)のウラナイ(けう)牛耳(ぎうじ)()つて()た、037もとは浮木(うきき)(むら)女侠客(をんなけふかく)(とら)()婦人(ふじん)(ござ)ります。038治国別(はるくにわけ)出征(しゆつせい)途中(とちう)(ほこら)(もり)(おい)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)秘書役(ひしよやく)たりし愚弟(ぐてい)松彦(まつひこ)(めぐ)()ひ、039(かれ)松彦(まつひこ)(ただち)三五(あななひ)(みち)帰順(きじゆん)(いた)小北山(こぎたやま)のウラナイ(けう)本山(ほんざん)(まゐ)蠑螈別(いもりわけ)040魔我彦(まがひこ)(および)(とら)(やうや)くにして()神徳(しんとく)のもとに帰順(きじゆん)せしめたる(もの)(ござ)ります。041()いては(この)手紙(てがみ)持参人(ぢさんにん)(すなは)ちお(とら)さまを(よろ)しく(ねが)ひます。042(やや)迷信(めいしん)(ふか)脱線(だつせん)気味(きみ)(ござ)りますれど十分(じふぶん)()教育(けういく)(くだ)さるれば相当(さうたう)宣伝使(せんでんし)にならうかと(ぞん)じます。043左様(さやう)ならば』
044()(しる)しお(とら)(わた)した。045(とら)得意(とくい)(いろ)満面(まんめん)(うか)(かた)(いか)らし治国別(はるくにわけ)(およ)一行(いつかう)(わか)れを()げイソの(やかた)をさして(ただ)一人(ひとり)(すす)()く。
046 途中(とちう)小北山(こぎたやま)(かたはら)(とほ)()(かく)一度(いちど)立寄(たちよ)つて最愛(さいあい)のお(きく)(めぐ)()(かつ)松姫(まつひめ)047魔我彦(まがひこ)(その)()面会(めんくわい)自分(じぶん)(さと)()教義(けうぎ)()()かし、048小北山(こぎたやま)聖場(せいぢやう)をして益々(ますます)(さか)えしめむと、049参拝(さんぱい)途中(とちう)意気(いき)揚々(やうやう)として立帰(たちかへ)つた。050小北山(こぎたやま)聖場(せいぢやう)依然(いぜん)として信者(しんじや)相当(さうたう)(あつ)まつてゐる。051(しか)(なが)らお(とら)見覚(みおぼ)えのある(かほ)(あま)沢山(たくさん)見当(みあた)らなかつた。052何故(なぜ)ならば小北山(こぎたやま)のヘグレ神社(じんしや)053(その)()神々(かみがみ)(まこと)(かみ)(しん)じてゐたが、054サツパリ()もなき邪神(じやしん)たりし(こと)曝露(ばくろ)され、055親族(しんぞく)朋友(ほういう)知己(ちき)(など)より嘲笑(てうせう)さるるのが馬鹿(ばか)らしさに、056(まへ)信者(しんじや)はあまり()()かなかつたからである。057さうして改革(かいかく)以来(いらい)(なん)とはなしに(まへ)信者(しんじや)不平(ふへい)()たされたからである。058(いま)(まで)(たふと)(かみ)生宮(いきみや)(また)霊魂(みたま)因縁(いんねん)(しん)得意(とくい)になつて信仰(しんかう)してゐたのが、059(なん)でもない邪神(じやしん)であつた(こと)をスツパぬかれ大難(だいなん)小難(せうなん)(すく)はれ(なが)(なん)とはなしに(こころ)面白(おもしろ)くなくなつた(もの)もあるからである。
060 お(とら)はスツと受付(うけつけ)立寄(たちよ)()れば文助(ぶんすけ)依然(いぜん)として一生(いつしやう)懸命(けんめい)()()いてゐる。061よくよく()れば(かぶら)でもなく大根(だいこん)でもなく黒蛇(くろくちなは)でもない。062(そば)()()守護(しゆご)()(しる)老松(らうしよう)(みき)(べに)(やう)太陽(たいやう)(かがや)いてゐる。063かなり立派(りつぱ)()(ゑが)いて()た。064(とら)突然(とつぜん)(こゑ)をかけ、
065(とら)『これ文助(ぶんすけ)さま、066()機嫌(きげん)(よろ)しう。067相変(あひかは)らず立派(りつぱ)()掛軸(かけぢく)()けますな。068竜神(りうじん)(さま)はモウお()しなさつたのですか』
069 ()のうとい文助(ぶんすけ)はお(とら)とは(ゆめ)にも()らず、
070文助(ぶんすけ)『ようお(まゐ)りなさいませ。071誰方(どなた)()りませぬが(おく)()(とほ)(くだ)さいませ。072さうして(いま)(まで)(この)聖地(せいち)もヘグレ神社(じんしや)種物(たねもの)神社(じんしや)073(その)(ほか)いろいろの(かみ)(さま)(まつ)つて(ござ)りましたが、074教祖(けうそ)蠑螈別(いもりわけ)さまやお(とら)さまが逐電(ちくでん)されましてから、075三五教(あななひけう)大神(おほかみ)(さま)(まつ)()へました。076それで掛軸(かけぢく)(また)()()へねばなりませぬので、077大神(おほかみ)(さま)のお(ゆる)しを()(この)(とほ)り、078(まつ)()()()掛軸(かけぢく)(したた)めております。079貴方(あなた)()信仰(しんかう)(あそ)ばすなら()げますから表具(へうぐ)をしてお(まつ)りなさい。080()()()081(まつ)()といつて(これ)さへ(まつ)つて()れば家内(かない)安全(あんぜん)商売(しやうばい)繁昌(はんじやう)082(みたま)になつても天国(てんごく)()旅券(りよけん)になりますよ』
083(とら)『これ文助(ぶんすけ)さま、084シツカリしなさらぬか。085(まつ)()()(まこと)結構(けつこう)だが、086(わたし)はお(とら)ですよ』
087文助(ぶんすけ)(なん)だか()(おぼ)えのある(かた)だと(おも)つてゐました。088アヽお(とら)さまですか、089それはマア、090よう(かへ)つて(くだ)さいました、091(きく)さまは(まを)すに(およ)ばず(みな)さまお(よろこ)びでせう。092(わたし)(なん)だか()がいそいそして()ました。093それでは松姫(まつひめ)さまや魔我彦(まがひこ)さまに申上(まをしあ)げませう。094一寸(ちよつと)()つてゐて(くだ)さい』
095(とら)『いえいえお(まへ)はここに受付(うけつけ)をしてゐて(くだ)さい。096()(わる)(ひと)(うご)いて(もら)ふよりも(この)達者(たつしや)なお(とら)(わたし)居間(ゐま)(かへ)りますから……お(きく)もゐるでせう。097さうすればお(きく)(もつ)松姫(まつひめ)(さま)魔我彦(まがひこ)通知(つうち)をさせますから』
098()(なが)自分(じぶん)居間(ゐま)をさして(いそ)()く。099(あと)文助(ぶんすけ)(くび)(しき)りにかたげて独言(ひとりごと)
100文助(ぶんすけ)『あゝお(とら)さまも大変(たいへん)人格(じんかく)(あが)つたものだな。101(まる)別人(べつじん)(やう)だつた。102(もの)()(やう)()(なん)とはなしに身体(からだ)から(ひかり)()(やう)だつた。103(これ)(だけ)(なが)らくつき()ふて()つた(わし)でさへも見違(みちが)へる(くらゐ)だから、104神徳(しんとく)()ふものは(えら)いものだな。105どれどれお(とら)さまが(かへ)つて(くだ)さつた(この)(うれ)しさを(かみ)(さま)へお(れい)(まを)して()う』
106独語(ひとりごち)つつトボトボと神殿(しんでん)さして(すす)()く。107(とら)(わが)居間(ゐま)(かへ)るに先立(さきだ)小北山(こぎたやま)のお(みや)一々(いちいち)巡拝(じゆんぱい)し、108(わが)居間(ゐま)(かへ)つて休息(きうそく)せむとする(ところ)へ、109何時(いつ)のまにかお(とら)さまが(かへ)つたと()(うはさ)()つたので魔我彦(まがひこ)110(きく)(あわ)てて松姫館(まつひめやかた)から(はし)(きた)り、
111(きく)『お()アさま、112貴方(あなた)松彦(まつひこ)(さま)宣伝(せんでん)のためにおいでになつてから、113()幾何(いくら)()()たないのにお(かへ)りになつたのですか。114(また)()でも()して縮尻(しくじ)つたのではありませぬか』
115(とら)(なに)116縮尻(しくじ)(どころ)か、117結構(けつこう)なお神徳(かげ)(いただ)いて()たのだよ。118(きく)119(まへ)(その)()機嫌(きげん)よう御用(ごよう)をして()たのか』
120(きく)『はい、121機嫌(きげん)ようしてゐました。122何卒(どうぞ)(わたくし)(こと)(あん)じて(くだ)さいますな。123さうして万公(まんこう)さまは機嫌(きげん)ようしてゐましたかな』
124(とら)『ホヽヽヽヽ、125ヤツパリ万公(まんこう)のことが()にかかるかな。126いや(たの)もしいお(まへ)心掛(こころがけ)127(わたし)もそれ()いて安心(あんしん)(いた)したぞや』
128(きく)『お(かあ)さまの……マア(いや)(こと)129(ぢき)(めう)(ところ)()(まは)しなさるのだね』
130(とら)『それだつて、131五三公(いそこう)さまは如何(どう)だとも、132アクさまは如何(どう)だとも()はぬぢやないか』
133魔我(まが)『お(とら)さま、134よう(かへ)つて(くだ)さつた。135(その)()(この)聖地(せいち)(きは)めて円満(ゑんまん)()神業(しんげふ)発達(はつたつ)してゐますから、136安心(あんしん)して(くだ)さいませ』
137(とら)魔我彦(まがひこ)さま、138どうか脱線(だつせん)せぬ(やう)(この)聖場(せいぢやう)(まも)つて(くだ)さいや。139(わたし)は、140松彦(まつひこ)さまの先生(せんせい)治国別(はるくにわけ)()立派(りつぱ)なお(かた)から()手紙(てがみ)(いただ)いてイソの(やかた)(まゐ)り、141(ひやく)(にち)(ぎやう)をして立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)となつて()(つも)りだから(よろこ)んで(くだ)さい』
142魔我(まが)『それは至極(しごく)結構(けつこう)です。143何卒(どうぞ)144不調法(ぶてうはふ)のない(やう)修行(しうぎやう)して立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)となつて(かへ)つて(くだ)さい。145(わたし)もお(ゆる)しさへあれば一度(いちど)改心(かいしん)記念(きねん)参拝(さんぱい)したいものですがな』
146(とら)『お(まへ)松姫(まつひめ)(さま)()都合(つがふ)(うかが)つてお(ひま)(いただ)き、147(わたし)一所(いつしよ)参拝(さんぱい)したら如何(どう)だい。148百聞(ひやくぶん)一見(いつけん)()かずと()ふから、149ヤツパリ一度(いちど)ウブスナ(やま)聖地(せいち)(をが)んで()ねば、150満足(まんぞく)(をしへ)出来(でき)ず、151()神徳(しんとく)(もら)へませぬぞや』
152魔我(まが)『さう(ねが)へば結構(けつこう)ですがな……』
153(きく)『お(かあ)さま、154魔我彦(まがひこ)さま、155(これ)から(わたし)松姫(まつひめ)(さま)(うかが)つて()ませう。156まアゆつくりと魔我彦(まがひこ)さまとお(ちや)なと(あが)つて()つてゐて(くだ)さい』
157()()足早(あしばや)(ほそ)二百(にひやく)(いし)階段(かいだん)(のぼ)つて松姫(まつひめ)(やかた)(いそ)()く。158(あと)魔我彦(まがひこ)はお(とら)(むか)ひ、
159魔我(まが)『お(とら)さま、160貴方(あなた)はスツカリ()人格(じんかく)(かは)つた(やう)ですな。161(かほ)(つや)()(かみ)()(まで)(くろ)くなつたぢやありませぬか。162本当(ほんたう)(こゑ)(まで)(かは)つてゐるので別人(べつじん)(やう)ですわ』
163(とら)『お蔭様(かげさま)(かみ)(さま)(あい)(ねつ)(わか)やぎました。164さうして信仰(しんかう)(ひかり)()らされて何処(どこ)ともなしに身体(からだ)から(ひかり)()(やう)気分(きぶん)ですよ、165ホヽヽヽヽ、166(また)()められて慢心(まんしん)をすると谷底(たにそこ)()ちますから、167もう(これ)(くらゐ)でやめておきませう』
168魔我(まが)(とき)にお(とら)さま、169蠑螈別(いもりわけ)さまの()()げしたお(かね)()()りましたか』
170(とら)魔我彦(まがひこ)さま、171(かね)(こと)なんか、172まだ貴方(あなた)(おも)つてゐるのかい。173(この)(とら)(かね)なんかは(はなし)()いても気持(きもち)(わる)うなります。174蠑螈別(いもりわけ)さまも生来(しやうらい)淡白(たんぱく)(ひと)だから、175あの(かね)をスツカリ(ひと)にやつて(しま)ひ、176(いま)では無一物(むいちぶつ)ですよ。177そしてお(たみ)(なか)ようして()ります』
178魔我(まが)(なに)179(たみ)一所(いつしよ)()りますか。180エーエー』
181(とら)『これ、182魔我彦(まがひこ)さま、183エーとは(なん)だ。184(まへ)はヤツパリお(たみ)(たい)恋着心(れんちやくしん)(のこ)つてゐるのかな。185それでは改心(かいしん)出来(でき)ませぬぞや。186(なに)がエーだい』
187魔我(まが)『エー(こと)をなされましたな、188()ひかけたのですよ。189エー、190エーン((えん))と()ふものは不思議(ふしぎ)なものですな』
191(とら)『エー加減(かげん)(こと)()つて誤魔化(ごまくわ)さうと(おも)つても駄目(だめ)ですよ。192(たみ)如何(どう)やら()()めて蠑螈別(いもりわけ)さまと、193(いま)はホンの(をしへ)(とも)として、194つき()つてる()けのものですよ。195(たみ)随分(ずいぶん)改心(かいしん)出来(でき)ましたからな。196(いづ)れお(まへ)立派(りつぱ)神徳(しんとく)(いただ)いたら(わたし)媒介(なかうど)をしてお(まへ)夫婦(ふうふ)にして()げたいと(おも)ふて(かんが)へてゐるのよ』
197魔我(まが)本当(ほんたう)世話(せわ)をして(くだ)さいますか』
198(とら)(なに)199(うそ)()ふものか。200(わし)はお(たみ)蠑螈別(いもりわけ)さまの様子(やうす)()をつけて(かんが)へてゐたが、201どちらにも未練(みれん)がない(やう)だ。202(かへつ)魔我彦(まがひこ)さまの(はう)がお(たみ)()()つてる(やう)だから、203マア(よろこ)びなさい』
204魔我(まが)『エーヘツヘヽヽヽ、205(ちが)やしませぬかな』
206(とら)最前(さいぜん)のエーとは(おな)じエーでも大変(たいへん)調子(てうし)(ちがひ)ますな。207オホヽヽヽ、208(なん)現銀(げんぎん)(をとこ)(こと)
209魔我(まが)『お(とら)さま、210(まへ)さまは蠑螈別(いもりわけ)さまに(たい)する恋着(れんちやく)は、211最早(もはや)212とれたのですか。213()うも(あや)しいものですな。214貴女(あなた)()様子(やうす)()ひ、215(なん)だか(うれ)(さう)若々(わかわか)してゐられます。216(これ)には(なに)(うれ)しい(こと)がなくては(かな)はぬ(こと)だ』
217(とら)『これ魔我(まが)ヤン……』
218(かた)平手(ひらて)(ふた)()(たた)き、
219(とら)馬鹿(ばか)にしておくれな。220(この)(とら)はそんな(こと)(うれ)しいのではありませぬよ。221一旦(いつたん)(まこと)(みち)()()めた(うへ)は……阿呆(あほ)らしい……(こひ)の、222(かね)のと、223よい(とし)をして、224そんな馬鹿(ばか)げた(こと)(ゆめ)にも(おも)へますか。225あまり(ひと)見下(みさ)げて(くだ)さいますな。226(とら)はそんな柔弱(じうじやく)(をんな)とはチツと(ちが)ひますよ。227ヘン、228自分(じぶん)(こころ)()(くら)べて(わし)(こころ)忖度(そんたく)しようとは、229()しからぬ(をとこ)だな』
230魔我(まが)『こりや失礼(しつれい)(いた)しました。231(すずめ)(ひやく)(まで)雄鳥(をんどり)(わす)れぬと()(たとへ)もありますから……ツイお(たづ)ねしたのです。232()無礼(ぶれい)(だん)何卒(なにとぞ)233見直(みなほ)聞直(ききなほ)しを(ねが)ひます。234どうか()機嫌(きげん)(なほ)して松姫(まつひめ)さまの(ゆる)しがあれば(この)魔我彦(まがひこ)一度(いちど)ウブスナ(やま)聖場(せいぢやう)()れて()つて(くだ)さいませ』
235(とら)『あゝよしよし、236井戸(ゐど)(そこ)(かはづ)世間見(せけんみ)ずでは宣伝使(せんでんし)(など)出来(でき)ないから、237一度(いちど)見聞(けんぶん)(ひろ)くするために大神(おほかみ)()出現地(しゆつげんち)参拝(さんぱい)するのは結構(けつこう)だ』
238 かく(はな)(ところ)へお(きく)松姫(まつひめ)239千代(ちよ)(とも)(かへ)(きた)り、
240(きく)『お(かあ)さま、241松姫(まつひめ)(さま)がお()しで(ござ)りますよ。242さア()挨拶(あいさつ)なさいませ』
243 お(とら)(あと)ふり(かへ)松姫(まつひめ)姿(すがた)()て、244さも(うれ)しげに打笑(うちゑ)(なが)言葉(ことば)(おだや)かに両手(りやうて)をつき、
245(とら)『これはこれは松姫(まつひめ)(さま)246日々(にちにち)()神務(しんむ)()苦労(くらう)(さま)(ござ)ります。247(きく)のヤンチヤがお世話(せわ)(あづ)かりまして(さぞ)()迷惑(めいわく)(ござ)りませう。248(わたくし)治国別(はるくにわけ)宣伝使(せんでんし)から()手紙(てがみ)(いただ)いてイソの(やかた)修行(しうぎやう)(まゐ)途中(とちう)249一寸(ちよつと)()挨拶(あいさつ)(かたがた)(かみ)(さま)参拝(さんぱい)(いた)しました。250何卒(なにとぞ)(きく)()(うへ)251(よろ)しくお(ねが)(いた)します』
252松姫(まつひめ)『お(とら)(さま)(ござ)りますか、253よう()立寄(たちよ)(くだ)さいました。254(きく)さまの(こと)()心配(しんぱい)(くだ)さいますな。255貴女(あなた)()出立(しゆつたつ)(あと)はお(きく)さまも、256文助(ぶんすけ)さまも、257魔我彦(まがひこ)さまも、258大勉強(だいべんきやう)(ござ)ります。259(その)(かげ)信者(しんじや)日々(にちにち)()参拝(さんぱい)なされ()神徳(しんとく)()()(あが)りまして(まこと)()結構(けつこう)(ござ)ります。260そしてお(とら)さま、261貴女(あなた)大変(たいへん)にお(かほ)(つや)出来(でき)ましたな。262(つむ)(いろ)()一寸(ちよつと)()ても二十(にじふ)(ねん)ばかりお(わか)うお()りなさつた(やう)(ござ)りますわ。263本当(ほんたう)()神徳(しんとく)()ふものは有難(ありがた)いもので(ござ)りますな』
264(とら)『はい、265何分(なにぶん)雪隠(せつちん)(みづ)つきで(ござ)りますからな、266ホヽヽヽヽ』
267魔我(まが)『アハヽヽヽ、268さうするとお(とら)さまは、269浮木(うきき)(もり)余程(よほど)()いて()たと()えますな』
270(とら)『オホヽヽヽ、271(わたし)恋人(こひびと)出来(でき)ました。272それ(ゆゑ)(この)(とほ)(わか)くなつたのですよ』
273魔我(まが)『アハヽヽヽ、274(なん)だか可笑(をか)しいと(おも)つてゐたて、275到頭(たうとう)本音(ほんね)()きましたね』
276松姫(まつひめ)『お(とら)さまの恋人(こひびと)()ふのは(みづ)御霊(みたま)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(さま)でせう。277それは本当(ほんたう)によい恋人(こひびと)をお(さだ)(あそ)ばしましたね。278(わらは)矢張(やは)素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)唯一(ゆゐいつ)恋人(こひびと)(いた)して()りますよ、279ホヽヽヽヽ』
280魔我(まが)『これは()しからぬ、281(とら)さまはそれで()いとして、282松姫(まつひめ)さまは立派(りつぱ)松彦(まつひこ)さまと()恋人(こひびと)(いな)二世(にせ)(ちぎ)つた(をつと)があるぢやありませぬか。283チと不貞腐(ふていくさ)れぢやありませぬか』
284松姫(まつひめ)第一(だいいち)大神(おほかみ)(さま)()(した)第二(だいに)(をつと)(した)つてゐます。285それで二世(にせ)(つま)()ふのですよ』
286魔我(まが)『ヤア、287自惚気(おのろけ)をタツプリと()かして(いただ)きました。288魔我彦(まがひこ)(これ)満足(まんぞく)(いた)します。289(しか)(ひと)つお(ねが)ひが(ござ)りますが、290(しばら)(わたし)はお(とら)さまのお(とも)してウブスナ(やま)聖場(せいぢやう)(まゐ)()いのですが(ゆる)して(いただ)けませぬか』
291松姫(まつひめ)『それは(ねが)うてもなき(こと)292(じつ)(わらは)より一度(いちど)魔我彦(まがひこ)さまに()修行(しうぎやう)()つて(もら)ひたいと(おも)つて()たのです。293(しか)(なが)(をんな)差出口(さしでぐち)(おも)はれちやならないと差控(さしひか)へて()りました。294それは結構(けつこう)(ござ)りますが、295(とら)さま、296何卒(どうぞ)魔我彦(まがひこ)さまをお(あづ)けしますから(よろ)しくお(ねが)(まを)します』
297(とら)『はいはい(わたし)(あづ)かりました以上(いじやう)はメツタの(こと)はさせませぬ。298()安心(あんしん)(くだ)さいませ』
299魔我(まが)(しか)らば松姫(まつひめ)(さま)300(しばら)()(いとま)頂戴(ちやうだい)(いた)します』
301松姫(まつひめ)何卒(なにとぞ)聖地(せいち)へお(まゐ)りになりましたら、302松姫(まつひめ)(よろ)しう申上(まをしあ)げたと()つて(くだ)さいませ』
303(とら)『はい、304承知(しようち)(いた)しました』
305とお(とら)(しば)休息(きうそく)(うへ)306魔我彦(まがひこ)(ともな)(かく)神社(じんじや)遥拝(えうはい)し、307受付(うけつけ)文助(ぶんすけ)数多(あまた)信者(しんじや)挨拶(あいさつ)(をは)一本橋(いつぽんばし)打渡(うちわた)河鹿(かじか)(たうげ)山口(やまぐち)さして(おい)(あし)もともいと(すこや)かに、308神文(しんもん)(とな)(なが)ら、309(いきほ)()んで(すす)()く。
310大正一二・一・一八 旧一一・一二・二 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki