霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 五身玉(いづみたま)〔一二九一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第4篇 鷹魅糞倒 よみ(新仮名遣い):ようみふんとう
章:第17章 五身玉 よみ(新仮名遣い):いずみたま 通し章番号:1291
口述日:1923(大正12)年01月19日(旧12月3日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
イル、イク、サールは、ハルとテルが高姫からせしめた酒を、楓姫に酌をさせながら飲んでいた。三人は酔いが回ると脱線してあたりかまわず歌いだし、楓姫にちょっかいを出しては逆にからかわれ、笑いさんざめいている。
ハルとテルはそこへやってきて、奥にいる杢助と高姫に聞こえると一同に注意した。酔った三人は、我々は正当な三五教の信者であり、玉国別から正式に祠の森の御用を仰せつかったのだから、団結して杢助と高姫の方を逆に追い出してやろうと息巻いた。
ハルも賛成し、五人はどやどやと高姫の居間になだれ込んだ。杢助の姿は消えてしまい、高姫は一人でたたずんでいた。五人が乱入して杢助と高姫を追い出すと歌を歌うと、高姫は怒って怒鳴りたてた。
しかしイクは、自分たちは団結して杢助・高姫を追い出すのだと鼻息が荒い。高姫は下手に出て、玉国別が留守の間だから、祠の森にいる者たち仲良く御神業に奉仕しようと呼び掛けた。
ハルは、お神酒のおさがりをもらっても干渉しないようにと高姫に釘をさし、高姫はその代わりに日の出神の生き宮である自分の言うことをよく聞くようにとして、その場は収まった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-30 09:12:41 文字数:4590 OBC :rm4917
愛善世界社版:260頁 八幡書店版:第9輯 128頁 修補版: 校定版:267頁 普及版:120頁 初版: ページ備考:
001 イル、002イク、003サールは、004やさしき楓姫(かへでひめ)に酌(しやく)をさせ乍(なが)ら四辺(あたり)を憚(はばか)りチビリチビリと飲(の)んでゐたがソロソロ酔(よ)ひがまはるにつれて脱線(だつせん)し四辺(あたり)構(かま)はず唄(うた)ひ出(だ)した。
005イル『おい、006イク、007サール、008如何(どう)だ。009かう黙(だま)つてクビリクビリとやつてゐた処(ところ)で酒(さけ)が沈(しづ)んで仕方(しかた)がないぢやないか。010チツト歌(うた)でも唄(うた)つたら如何(どう)だい。011エーイ』
012イク『宜(よ)からう宜(よ)からう一(ひと)つ唄(うた)はうかな。
013日(ひ)の出(で)の神(かみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)
014イソの宮(みや)から降(ふ)つて来(き)て
015朝(あさ)から晩(ばん)までコテコテと
016白(しろ)い粉(こな)をば顔(かほ)に塗(ぬ)り
017一寸(ちよつと)眺(なが)めれや雪婆(ゆきばば)か
018ヨイトセー ヨイトセー
019もとの木阿弥(もくあみ)杢助(もくすけ)が
020ブラリブラリとやつて来(き)て
021何(なん)だか俺(おれ)は知(し)らないが
022目出度(めでた)い事(こと)が出来(でき)たさうだ
023お寅婆(とらばあ)さまや魔我彦(まがひこ)や
024ヨルの兄貴(あにき)に扮装(ふんさう)して
025ヤ、ドツコイシヨ ドツコイシヨ
026うまく眼(まなこ)を晦(くら)ました
027おかげでお酒(さけ)やお肴(さかな)が
028これ程(ほど)沢山(たくさん)戴(いただ)ける
029ア、ヨイトセー ヨイトセー。
030アハヽヽヽヽ、031エヘヽヽヽヽ、032うまいうまい、033こんな事(こと)なら毎日(まいにち)でもあつて欲(ほ)しいものだ。034僅(わづ)か蓑笠(みのかさ)着(き)て一丁(いつちやう)ばかり行(い)つて酒(さけ)を飲(の)み、035又(また)帰(かへ)つて此処(ここ)で楓姫(かへでひめ)の白(しろ)い手(て)で……イヒヽヽヽヽ、036ぼろいぢやないか』
037サール『ナヽヽヽ何(なに)がぼろいのだい、038エーン。039これ位(くらゐ)な味(あぢ)なくもない酒(さけ)を飲(の)まされて、040見(み)た事(こと)もない様(やう)な生肴(なまざかな)をつきつけやがつて、041アタ甘(うま)い、042それが何(なに)結構(けつこう)なのだ。043糞面白(くそおもしろ)くもない。044俺(おれ)や、045モウ自棄(やけ)だ。046之(これ)から義理(ぎり)天上(てんじやう)日(ひ)の出神(でのかみ)の処(ところ)へ行(い)つて一(ひと)つ管(くだ)を巻(ま)いて来(き)てやるのだい』
047イル『こりや こりや さう八釜(やかま)しう云(い)ふない。048ハル、049テルの哥兄(あにい)が気(き)を揉(も)むぢやないか』
050サール『ナヽヽヽ何(なん)ぢや、051木(き)をもむ、052そんな事(こと)があつて堪(たま)らうかい。053木(き)をもむ奴(やつ)あ三目錐(みつめきり)だ。054俺(おれ)は鉋(かんな)だぞ。055親(おや)の脛(すね)を削(けづ)り、056腕(うで)を削(けづ)り又(また)高姫(たかひめ)の肴(さかな)を削(けづ)り、057削(けづ)つて削(けづ)つて削(けづ)りまはす鉋(かんな)だ。058それだからかんながら霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)と云(い)ふのだ。059エヘヽヽヽヽあゝ酔(よ)ふた酔(よ)ふた。060楓(かへで)さま、061おい何(なん)だ。062イルの方(はう)に妙(めう)な視線(しせん)を向(む)けてゐるぢやないか。063チツと俺(おれ)の方(はう)にも向(む)けたら如何(どう)だい』
064楓(かへで)『ホヽヽヽヽ、065あまりイルさまは男前(をとこまへ)のいい、066何処(どこ)ともなしに虫(むし)の好(す)く方(かた)ですから、067一生(いつしやう)懸命(けんめい)に視線(しせん)を向(む)けてイルさまですよ』
068イク『おい、069楓姫(かへでひめ)さま、070このイクには如何(どう)だい。071思召(おぼしめ)しは厶(ござ)りますかな』
072楓(かへで)『イクら仰有(おつしや)つて下(くだ)さつてもイク地(ぢ)のないイクさまの方(はう)へは私(わたし)の視線(しせん)がイク道理(だうり)が厶(ござ)りませぬわ。073ホヽヽヽヽ、074お気(き)に障(さはり)ましたらイクへにもお詫(わび)致(いた)します』
075イク『こりや、076あまり馬鹿(ばか)にすない。077イクら女(をんな)だつて、078酒(さけ)の上(うへ)だつて、079あまりの暴言(ばうげん)吐(は)くと此(この)拳骨(げんこつ)が貴様(きさま)の頭(あたま)の上(うへ)にポカンとイクさまだぞ』
080楓(かへで)『山田(やまだ)の案山子(かがし)の様(やう)なスタイルで、081オヽヽヽ可笑(おか)し、082これイクさま、083弥之助(やのすけ)人形(にんぎやう)の踊(をどり)一(ひと)つ、084して御覧(ごらん)。085貴方(あなた)ならよく似合(にあ)ふに違(ちが)ひないわ。086丁度(ちやうど)渋紙(しぶがみ)に顔(かほ)かいた様(やう)なスタイルだからね』
087イル『アハヽヽヽヽ、088面白(おもしろ)い面白(おもしろ)い』
089イク『ヘン、090馬鹿(ばか)にしやがる。091楓(かへで)、092覚(おぼ)えてゐやがれ。093月夜(つきよ)の晩(ばん)ばかりでないぞ。094暗(やみ)の晩(ばん)に首筋(くびすぢ)がヒヤリとしたら俺(おれ)だからな』
095楓(かへで)『何(なん)とマア気障(きざ)な男(をとこ)だ事(こと)。096あゝ臭(く)さ、097臭(くさ)い臭(くさ)い。098息(いき)のかからぬ処(ところ)に行(い)つて下(くだ)さい。099お前(まへ)の口(くち)はまるで鰯(いわし)のドーケン壺(つぼ)を交(ま)ぜかへした様(やう)だわ』
100サール『これ、101楓(かへで)さま、102此(この)面(つら)はお気(き)に入(い)りますかな』
103とニユツと前(まへ)に出(だ)す。104楓(かへで)は頬辺(ほほべた)をピシヤツと叩(たた)き、
105楓(かへで)『エーエ、106好(す)かぬたらしい男(をとこ)だ事(こと)。107お前(まへ)はサールの人真似(ひとまね)だよ。108悪戯(ふざけ)た事(こと)をなサールと、109此(この)楓(かへで)だつて量見(りやうけん)はしませぬぞえ』
110サール『ヤー、111こいつは恐(おそ)れ入(い)つた。112如何(どう)したら姫(ひめ)さまのお気(き)に入(い)るのですかな』
113楓(かへで)『さうだね。114私(わたし)の好(す)きな男(をとこ)は酒(さけ)を飲(の)まない、115さうして色(いろ)の白(しろ)い、116年(とし)の若(わか)い、117頭(あたま)の毛(け)の黒(くろ)い、118目(め)のパツチリした、119口許(くちもと)のしまつた鼻(はな)のツンモリとした男(をとこ)が好(す)きだよ』
120サール『さうすると、121その条件(でうけん)に合格(がふかく)したのは此(この)サールかな。122只(ただ)欠点(けつてん)は酒(さけ)を飲(の)むだけの事(こと)だ。123これ楓姫(かへでひめ)さま、124そんなら今日(けふ)限(かぎ)り酒(さけ)は一吸(ひとすひ)も飲(の)まぬ様(やう)にする。125そしたらお気(き)に入(い)るだらうね』
126楓(かへで)『エー、127好(す)かぬたらしい。128誰(たれ)がお前(まへ)の様(やう)なスカンペイに秋波(しうは)を送(おく)るものがありますか。129冗談(じようだん)もいい加減(かげん)にしなさい』
130と小(ちひ)さい柔(やはら)かい手(て)で頬辺(ほほべた)をピシヤピシヤと殴(なぐ)る。131サールは頗(すこぶ)る御(ご)機嫌(きげん)で相好(さうがう)を崩(くづ)し涎(よだれ)を垂(た)らし乍(なが)ら、
132サール『エツヘヽヽヽ、133姫(ひめ)さまのおやさしい手(て)でピシヤピシヤとおいでやしたのだな。134憎(にく)くて一(ひと)つも叩(たた)かれやうかと云(い)つて、135俺(おれ)にはホの字(じ)とレの字(じ)だな。136おい、137イク、138イル、139羨(けな)るい事(こと)はないか』
140イク『ハヽヽヽ、141馬鹿(ばか)だな。142子供(こども)上(あが)りの女(をんな)に玩弄(おもちや)にされやがつて、143何(なん)の態(ざま)だ。144それだから高姫(たかひめ)の風来者(ふうらいもの)に放(はふ)り出(だ)されるのだ』
145サール『放(はふ)り出(だ)されたのは俺(おれ)ばかりぢやない。146貴様(きさま)等(たち)両人(りやうにん)も同様(どうやう)ぢやないか』
147イル『何(なに)、148一寸(ちよつと)芝居(しばゐ)したのだ。149何(なに)も貴様(きさま)、150よう考(かんが)へて見(み)よ。151高姫(たかひめ)や杢助(もくすけ)に命令(めいれい)を受(う)けたのぢやない。152俺(おれ)等(たち)は此(この)宮(みや)を創立(さうりつ)遊(あそ)ばした玉国別(たまくにわけ)御(ご)夫婦(ふうふ)から任命(にんめい)されたものだ。153云(い)はば高姫(たかひめ)如(ごと)きは風来者(ふうらいもの)だ。154彼奴(あいつ)は屹度(きつと)イソの館(やかた)を放(はふ)り出(だ)されて来(き)たに違(ちが)ひないぞ。155それでヨルや魔我彦(まがひこ)がイソの館(やかた)へ行(ゆ)くのを頻(しき)りにとめやがるのだ』
156サール『さう聞(き)けばさうだ。157高姫(たかひめ)に何(なに)も遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)があるものか。158俺(おれ)等(たち)は祠(ほこら)の森(もり)の常置品(じやうちひん)だ。159之(これ)から高姫(たかひめ)を揶揄(からか)つてやつたら如何(どう)だい、160面白(おもしろ)いぞ』
161イル『うん、162そりや宜(よ)からう。163それよりも土堤(どて)ぎり、164此処(ここ)で大声(おほごゑ)張(は)り上(あ)げて唄(うた)つて見(み)ようぢやないか。165さうすりやビツクリして高(たか)ちやんがやつて来(く)るかも知(し)れぬぞ』
166 かかる処(ところ)へハル、167テルの両人(りやうにん)は走(はし)り来(きた)り、
168ハル『おいおい、169チツト静(しづか)にしてくれぬか。170奥(おく)へ聞(きこ)えるぢやないか。171それだから貴様(きさま)等(たち)に酒(さけ)を飲(の)ますと困(こま)ると云(い)ふのだ。172なあテル公(こう)、173困(こま)つたものぢやないか』
174テル『うん、175本当(ほんたう)に仕方(しかた)のない代物(しろもの)だな。176コリヤコリヤ三(さん)人(にん)の奴(やつ)、177もつと静(しづ)かにせぬか』
178サール『イヤー、179魔法使(まはふつかひ)のハルに、180テル、181ヤー、182先(さき)程(ほど)は御(ご)苦労(くらう)で厶(ござ)りました。183お蔭(かげ)さまで此(この)通(とほ)りお寅(とら)婆(ば)さまも、184魔我彦(まがひこ)さまもヨルも、185夜中(よなか)も、186昼(ひる)も今日(けふ)も明日(あす)も明後日(あさつて)もお酒(さけ)を頂(いただ)きまして結構(けつこう)な睾丸(きんたま)の皺伸(しわのば)しをさして頂(いただ)きました』
187ハル『睾丸(きんたま)の皺伸(しわのば)しはいいが、188さう大(おほ)きな声(こゑ)を出(だ)しちや困(こま)るぢやないか』
189サール『声(こゑ)の大(おほ)きいのは俺(おれ)の持前(もちまへ)だよ。190臍下(さいか)丹田(たんでん)から副守(ふくしゆ)が発動(はつどう)して責(せ)めるのだからな。191おい、192ハル、193テルの哥兄(あにい)、194よう考(かんが)へて見(み)よ。195俺(おれ)等(たち)は別(べつ)に高姫(たかひめ)に遠慮(ゑんりよ)する必要(ひつえう)がないぢやないか。196珍彦(うづひこ)様(さま)や静子(しづこ)様(さま)、197楓(かへで)さまは申(まを)すに及(およ)ばず、198吾々(われわれ)六(ろく)人(にん)はバラモン組(ぐみ)とは云(い)へ今(いま)は三五教(あななひけう)の立派(りつぱ)な信者(しんじや)だ。199否(いな)祠(ほこら)の森(もり)の役員(やくゐん)だ。200誰(たれ)に遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)が要(い)るものか。201高姫(たかひめ)と杢助(もくすけ)を、202同盟(どうめい)してオツ放(ぽ)り出(だ)してやらうぢやないか』
203ハル『成(な)る程(ほど)、204そりや、205さうだ。206さア之(これ)から一杯(いつぱい)機嫌(きげん)で高姫(たかひめ)の居間(ゐま)へ乗(の)り込(こ)み、207一談判(ひとだんぱん)やらうかな』
208一同(いちどう)『賛成(さんせい)賛成(さんせい)』
209とヒヨロヒヨロし乍(なが)ら、210長(なが)い廊下(らうか)を伝(つた)ふてドヤドヤと高姫(たかひめ)の部屋(へや)へ転(ころ)げ込(こ)んだ。211高姫(たかひめ)は今(いま)やフツと気(き)がついて火鉢(ひばち)に凭(もた)れて煙草(たばこ)をくゆらしてゐる処(ところ)であつた。212四辺(あたり)を見(み)れば杢助(もくすけ)の姿(すがた)は何処(どこ)へ行(い)つたか影(かげ)も形(かたち)もない。213高姫(たかひめ)は心(こころ)の中(なか)で、
214高姫(たかひめ)『アーア、215何(なん)だか怪体(けたい)の奴(やつ)が出(で)て来(き)たので、216杢助(もくすけ)さまも私(わたし)に恥(はづ)かしいと見(み)えて、217森(もり)の散歩(さんぽ)でもやつて厶(ござ)るのかな。218大(おほ)きな図体(づうたい)をしても気(き)の弱(よわ)い男(をとこ)だな。219然(しか)し義理(ぎり)天上(てんじやう)の生宮(いきみや)にはもつて来(こ)いだ。220あまり男(をとこ)がテキハキすると日(ひ)の出(で)の神(かみ)の勤(つと)めが仕難(しにく)うて仕方(しかた)がない。221神(かみ)様(さま)もうまく配剤(はいざい)をして下(くだ)さるものだ。222あゝ有難(ありがた)い有難(ありがた)い、223此(この)生宮(いきみや)も何(なん)だか肩幅(かたはば)が広(ひろ)くなつた様(やう)な気(き)がしますわい』
224と独言(ひとりごち)つつ笑壺(ゑつぼ)に入(い)つてゐる。225五(ご)人(にん)の泥酔者(よひどれ)は襖(ふすま)をガラリと開(あ)け、226居間(ゐま)に雪崩(なだ)れ込(こ)み、227捻鉢巻(ねぢはちまき)をし乍(なが)ら毛(け)の生(は)えた尻(しり)を引(ひ)きまくり、
228五(ご)人(にん)『祠(ほこら)の森(もり)に、デツカンシヨ
229デカイお尻(しり)据(す)えよつて
230デツカンシヨ デツカンシヨ
231日(ひ)の出(で)の神(かみ)とは何(なん)の事(こと)
232元(もと)をただせば居候(ゐさふらふ)ぢやないか
233魔法使(まはうつかひ)と騙(だ)まされて
234それを誠(まこと)と思(おも)ひつめ
235喜(よろこ)んでゐる様(やう)な盲神(めくらがみ)
236デツカンシヨ デツカンシヨ
237サア サア之(これ)から出(で)て貰(もら)はう
238俺(おれ)等(たち)五(ご)人(にん)は祠(ほこら)の森(もり)の
239神(かみ)の任(よ)さしの常置品(じやうちひん)
240挺(てこ)でも棒(ぼう)でも動(うご)かない
241デツカンシヨ デツカンシヨ
242さアさア杢助(もくすけ)、高姫(たかひめ)さま
243早(はや)くトツトとお帰(かへ)りよ
244お前(まへ)に頼(たの)んで来(き)てくれと
245云(い)つたぢやあろまい、御(ご)勝手(かつて)に
246お出(いで)たのだから御(ご)勝手(かつて)に
247お帰(かへ)りなさるが宜(よろ)しかろ
248ア、デツカンシヨ デツカンシヨ
249お寅(とら)婆(ば)さまや魔我彦(まがひこ)や
250ヨルの三(さん)人(にん)今頃(いまごろ)は
251河鹿(かじか)峠(たうげ)を鼻唄(はなうた)で
252ア、ウントコドツコイ ドツコイシヨ
253三五教(あななひけう)の宣伝歌(せんでんか)
254歌(うた)ふて渡(わた)つて厶(ござ)るだろ
255やがて四五(しご)日(にち)経(た)つたなら
256八島(やしま)の主(ぬし)の神(かみ)さまの
257屹度(きつと)使(つかひ)が見(み)えるだろ
258其(その)時(とき)やアフンと高姫(たかひめ)が
259肝玉(きもだま)潰(つぶ)すに違(ちが)ひない
260思(おも)へば思(おも)へば気(き)の毒(どく)だ
261これこれもうし高(たか)チヤンよ
262お前(まへ)の足許(あしもと)明(あか)い中(うち)
263杢助(もくすけ)親爺(おやぢ)と手(て)を曳(ひ)いて
264ここをば立(た)つて下(くだ)さんせ
265之(これ)が吾(われ)等(ら)のお願(ねが)ひだ
266之(これ)程(ほど)優(やさ)しう頼(たの)むのに
267四(し)の五(ご)の吐(ぬか)して出(で)て行(ゆ)かな
268俺(おれ)も男(をとこ)だ腕(うで)まかせ
269直接(ちよくせつ)行動(かうどう)に出(で)まするぞ
270さアさア早(はや)く返答(へんたふ)を
271聞(き)かしてくれよ義理(ぎり)天上(てんじやう)
272贋(にせ)の日(ひ)の出神(でのかみ)さまよ
273アハヽヽヽ、アハヽヽヽ
274ホンに心地(ここち)のよい事(こと)だ
275高姫(たかひめ)夫婦(ふうふ)を放(ほ)り出(だ)した
276あとは珍彦(うづひこ)静子(しづこ)さま
277天女(てんによ)のやうな楓(かへで)さま
278智慧(ちゑ)も器量(きりやう)も優(すぐ)れたる
279イル、イク、サール、ハル、テルの
280五(ご)人(にん)の男(をとこ)が頑張(ぐわんば)つて
281祠(ほこら)の森(もり)の神徳(しんとく)を
282四方(しはう)八方(はつぱう)に輝(かがや)かし
283大神(おほかみ)さまのお恵(めぐ)みを
284世界(せかい)のものに施(ほどこ)して
285ミロク成就(じやうじゆ)の神業(しんげふ)に
286立派(りつぱ)に仕(つか)へて見(み)せませう
287アハヽヽヽ、アハヽヽヽ。
288おい、289高姫(たかひめ)、290如何(どう)だい。291もういい加減(かげん)に尻(しり)をからげたら宜(よ)かりさうなものだな。292ヨルがもし帰(かへ)つたら化(ば)けが現(あら)はれるのだから、293其(その)前(まへ)にトツトと帰(い)んだ方(はう)がお前(まへ)の身(み)のためだぞ』
294 高姫(たかひめ)は目(め)に角(かど)を立(た)て煙管(きせる)をグツと握(にぎ)り、
295高姫(たかひめ)『こりや、296五(ご)人(にん)の耄碌(まうろく)共(ども)、297何処(どこ)へ行(い)つて、298けつかつたのだ。299日(ひ)の出神(でのかみ)の義理(ぎり)天上(てんじやう)を何(なん)と心得(こころえ)てる。300仮令(たとへ)イソの館(やかた)の八島(やしま)の主(ぬし)が何(なん)と申(まを)さうとも、301彼奴(あいつ)は人間(にんげん)だ。302誠(まこと)の生神(いきがみ)は日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)だぞや。303大国治立(おほくにはるたち)之(の)命(みこと)の片腕(かたうで)とおなり遊(あそ)ばす日(ひ)の出神(でのかみ)の生宮(いきみや)を粗末(そまつ)に申(まを)すと、304神(かみ)は堪忍袋(こらへぶくろ)が切(き)れるぞや。305そしてイル、306イク、307サール、308お前(まへ)は一旦(いつたん)暇(ひま)を出(だ)したのぢやないか。309盆(ぼん)すぎの仏(ほとけ)の様(やう)に、310ド甲斐性(がひしやう)のない、311又(また)、312帰(かへ)つたのか。313一旦(いつたん)放(はふ)り出(だ)した以上(いじやう)は帰(い)んでくれ帰(い)んでくれ、314日(ひ)の出神(でのかみ)が一秒(いちべう)時間(じかん)だつて置(お)かぬと云(い)つたら置(お)きはせぬぞや』
315イク『アハヽヽヽ、316吐(ぬか)したりな吐(ぬか)したりな。317こりや高姫(たかひめ)、318此(この)方(はう)を誰方(どなた)と心得(こころえ)てる。319イルイクサールの神(かみ)、320又(また)の名(な)はハルテル彦(ひこ)の命(みこと)だぞ。321五(い)つの身魂(みたま)が一(ひと)つになつて守護(しゆご)致(いた)す、322五身魂(いづみたま)の神(かみ)を何(なん)と心得(こころえ)てる。323グヅグヅ致(いた)して居(ゐ)ると目(め)から火(ひ)の出神(でのかみ)としてやらうか。324さアさア早(はや)く帰(い)んで貰(もら)はう、325祓(はら)ひ給(たま)へ清(きよ)め給(たま)へ』
326高姫(たかひめ)『何(なん)とまア、327もとのバラモンのガラクタだけあつて、328分(わか)らぬ男(をとこ)だこと。329そんなら暫(しば)らく放(はふ)り出(だ)すのだけは猶予(いうよ)して上(あ)げようぞ。330その代(かは)り徹頭(てつとう)徹尾(てつび)高姫(たかひめ)の云(い)ふ事(こと)を聞(き)くのだよ』
331イク『ヘーン、332うまい事(こと)仰有(おつしや)いますわい。333イルイクサールの神(かみ)又(また)の御名(みな)はハルテル彦神(ひこのかみ)さまに対(たい)し、334家来扱(けらいあつかひ)をすると云(い)ふ事(こと)があるか。335チツと階級(かいきふ)と云(い)ふ事(こと)を考(かんが)へて貰(もら)ひたいものだ』
336高姫(たかひめ)『おい五(ご)人(にん)の役員(やくゐん)さま、337父(ちち)死(し)して牆(かき)に鬩(せめ)ぐ兄弟(きやうだい)、338相親(あひした)しむと云(い)ふ事(こと)があるぢやないか。339肝腎(かんじん)の玉国別(たまくにわけ)さまが留守(るす)なのだから日(ひ)の出神(でのかみ)の云(い)ふ事(こと)を聞(き)いて、340私(わたし)は教(をしへ)の親(おや)となり、341お前(まへ)等(たち)は兄弟(きやうだい)となつて仲(なか)よく御(ご)神業(しんげふ)に奉仕(ほうし)したら如何(どう)だい』
342ハル『ヤー、343高姫(たかひめ)さま、344お前(まへ)さまの方(はう)から、345さう柔(やはら)かく出(で)りや此方(こちら)も文句(もんく)はないのだ。346其(その)代(かは)りお神酒(みき)のお下(さが)りを何程(いくら)飲(あが)つても、347滅多(めつた)に干渉(かんせう)はせぬだらうな』
348高姫(たかひめ)『アヽ仕方(しかた)がない。349暫(しば)らくはお前(まへ)らに任(まか)して置(お)かう。350其(その)代(かは)り日(ひ)の出神(でのかみ)の仰有(おつしや)る事(こと)は何事(なにごと)も聞(き)くのだよ』
351 五(ご)人(にん)一同(いちどう)に、
352五人『イルイクサールの神(かみ)、353又(また)の御名(みな)はハルテル彦(ひこの)命(みこと)、354義理(ぎり)天上(てんじやう)贋(にせ)日(ひ)の出神(でのかみ)の申(まを)す事(こと)確(たしか)に聞(き)き済(ず)みありたぞよ、355アハヽヽヽヽ』
356高姫(たかひめ)『ウフヽヽヽヽ、357エー仕様(しやう)もない』
358(大正一二・一・一九 旧一一・一二・三 北村隆光録)
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