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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第49巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 神示の社殿
第1章 地上天国
第2章 大神人
第3章 地鎮祭
第4章 人情
第5章 復命
第2篇 立春薫香
第6章 梅の初花
第7章 剛胆娘
第8章 スマート
第3篇 暁山の妖雲
第9章 善幻非志
第10章 添書
第11章 水呑同志
第12章 お客さん
第13章 胸の轟
第14章 大妨言
第15章 彗星
第4篇 鷹魅糞倒
第16章 魔法使
第17章 五身玉
第18章 毒酸
第19章 神丹
第20章 山彦
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第49巻(子の巻)
> 第4篇 鷹魅糞倒 > 第19章 神丹
<<< 毒酸
(B)
(N)
山彦 >>>
第一九章
神丹
(
しんたん
)
〔一二九三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻
篇:
第4篇 鷹魅糞倒
よみ(新仮名遣い):
ようみふんとう
章:
第19章 神丹
よみ(新仮名遣い):
しんたん
通し章番号:
1293
口述日:
1923(大正12)年01月19日(旧12月3日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年11月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
珍彦と静子の娘・楓は、杢助と高姫の企みを聞いてしまい、父母のところへ現れた。楓は夜前、文殊菩薩が夢に現れ、父母の危機を告げ神丹という薬を授けた。楓が目を覚ますと、立派な薬が三粒手に残っていたという。
この話を聞いた珍彦と静子は、楓と共に一粒ずつ神丹をいただいた。そこへ高姫がやってきて珍彦と静子を晩餐に誘った。珍彦たちは承諾し、大神様に無事を祈願してから高姫の居間に現れた。
珍彦夫婦は杢助と高姫にたくさんの御馳走やお酒を勧められたが、いくら食事が進んでも二人の体には何の変化もなかった。高姫が不機嫌になってきたため、珍彦と静子はにわかに気分が悪くなったと言って食事の場を辞した。後に杢助と高姫はほくそ笑んでいた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-06-30 09:14:18
OBC :
rm4919
愛善世界社版:
280頁
八幡書店版:
第9輯 135頁
修補版:
校定版:
288頁
普及版:
130頁
初版:
ページ備考:
001
珍彦
(
うづひこ
)
、
002
静子
(
しづこ
)
は
火鉢
(
ひばち
)
を
中
(
なか
)
に
囲
(
かこ
)
み、
003
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
004
静子
(
しづこ
)
『もし
珍彦
(
うづひこ
)
さま、
005
吾々
(
われわれ
)
親子
(
おやこ
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
擒
(
とりこ
)
となり、
006
危
(
あやふ
)
い
所
(
ところ
)
を
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
に
助
(
たす
)
けられ、
007
御恩
(
ごおん
)
の
返
(
かへ
)
しやうもない
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に、
008
こんな
結構
(
けつこう
)
な
宮番
(
みやばん
)
迄
(
まで
)
さして
頂
(
いただ
)
き、
009
何
(
なん
)
とも
冥加
(
みやうが
)
に
余
(
あま
)
つた
事
(
こと
)
ぢやありませぬか』
010
珍彦
(
うづひこ
)
『さうだ。
011
お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り
山海
(
さんかい
)
の
大恩
(
だいおん
)
を
受
(
う
)
け、
012
其
(
その
)
上
(
うへ
)
、
013
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
も
分
(
わか
)
らないのに、
014
此
(
この
)
館
(
やかた
)
の
主人
(
しゆじん
)
を
仰
(
おほ
)
せつけられ
実
(
じつ
)
に
身
(
み
)
に
余
(
あま
)
る
光栄
(
くわうえい
)
だ。
015
併
(
しか
)
し
吾々
(
われわれ
)
は
神
(
かみ
)
のお
道
(
みち
)
には
全
(
まつた
)
くの
素人
(
しろうと
)
だから、
016
余
(
あま
)
り
荷
(
に
)
が
重過
(
おもす
)
ぎて
迷惑
(
めいわく
)
だな。
017
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
とか
云
(
い
)
つて、
018
生神
(
いきがみ
)
様
(
さま
)
がお
出
(
いで
)
になり、
019
主人顔
(
しゆじんがほ
)
をして
御座
(
ござ
)
るが、
020
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
生神
(
いきがみ
)
さまだから、
021
維命
(
これめい
)
維従
(
これしたが
)
ふより
外
(
ほか
)
はない。
022
主人
(
しゆじん
)
とは
云
(
い
)
ふものの
有名
(
いうめい
)
無実
(
むじつ
)
で
吾々
(
われわれ
)
の
思
(
おも
)
ふやうには
一寸
(
ちよつと
)
もなりはしない、
023
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
と
云
(
い
)
ふものはこんなものかなア』
024
静子
(
しづこ
)
『それでも、
025
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
役員
(
やくゐん
)
さまは
矢張
(
やつぱ
)
り
私
(
わたし
)
のやうな
者
(
もの
)
でも
主人
(
しゆじん
)
と
立
(
た
)
てて
下
(
くだ
)
さるのだから
結構
(
けつこう
)
ぢやありませぬか。
026
楓
(
かへで
)
のやうな
何
(
なに
)
も
知
(
し
)
らぬ
娘
(
むすめ
)
をお
嬢
(
ぢやう
)
さまお
嬢
(
ぢやう
)
さまと
尊敬
(
そんけい
)
して
下
(
くだ
)
さるのだから
有難
(
ありがた
)
いものだ、
027
これと
云
(
い
)
ふのも
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
だわ』
028
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ
楓
(
かへで
)
は
襖
(
ふすま
)
をそつとあけて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
029
楓
(
かへで
)
『お
父
(
とう
)
さまお
母
(
かあ
)
さま、
030
今
(
いま
)
高姫
(
たかひめ
)
さまが、
031
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
に
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
を
上
(
あ
)
げたいと
云
(
い
)
ふて
呼
(
よ
)
びに
来
(
こ
)
られたらお
出
(
いで
)
になりますか』
032
珍彦
(
うづひこ
)
『
夫
(
それ
)
は
折角
(
せつかく
)
の
思召
(
おぼしめし
)
、
033
無
(
む
)
にする
訳
(
わけ
)
には
往
(
ゆ
)
かない。
034
又
(
また
)
無下
(
むげ
)
に
断
(
ことわ
)
ればお
心
(
こころ
)
を
悪
(
わる
)
くしてはならないからなア』
035
楓
(
かへで
)
『お
母
(
かあ
)
さまも
往
(
ゆ
)
く
積
(
つも
)
りですか』
036
静子
(
しづこ
)
『
珍彦
(
うづひこ
)
さまが
往
(
ゆ
)
かれるのに、
037
女房
(
にようばう
)
の
私
(
わたし
)
が
往
(
ゆ
)
かぬ
訳
(
わけ
)
には
往
(
ゆ
)
きますまい。
038
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
い
女
(
をんな
)
だと
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
に
思
(
おも
)
はれてはなりませぬからな。
039
杢助
(
もくすけ
)
さまと
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
なお
方
(
かた
)
がお
出
(
い
)
でになつて
居
(
ゐ
)
るのだから、
040
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
に
一度
(
いちど
)
は
往
(
ゆ
)
かうと
思
(
おも
)
ふて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
だ』
041
楓
(
かへで
)
『それならお
母
(
かあ
)
さま、
042
お
父
(
とう
)
さま、
043
お
出
(
いで
)
なさいませ。
044
就
(
つい
)
ては
私
(
わたし
)
夜前
(
やぜん
)
夢
(
ゆめ
)
に
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
がお
出
(
いで
)
になりまして、
045
神丹
(
しんたん
)
と
云
(
い
)
ふ
薬
(
くすり
)
を
下
(
くだ
)
さいまして、
046
「お
前
(
まへ
)
の
両親
(
りやうしん
)
の
上
(
うへ
)
に
危急
(
ききふ
)
が
迫
(
せま
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
047
これを
一粒
(
ひとつぶ
)
づつ
飲
(
の
)
ましておけば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
」と
渡
(
わた
)
して
下
(
くだ
)
さいました。
048
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いますとお
辞儀
(
じぎ
)
をしたと
思
(
おも
)
へば
夢
(
ゆめ
)
は
醒
(
さ
)
めました。
049
目
(
め
)
がさめましてもこんな
立派
(
りつぱ
)
な
薬
(
くすり
)
が
三粒
(
みつぶ
)
、
050
手
(
て
)
の
上
(
うへ
)
に
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
051
これを
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
一粒
(
ひとつぶ
)
づつ
頂
(
いただ
)
きませう、
052
さうすれば
食当
(
しよくあた
)
りも
何
(
なに
)
もないさうですからなあ』
053
珍彦
(
うづひこ
)
『それは
有難
(
ありがた
)
い
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
恵
(
めぐみ
)
だ。
054
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
頂
(
いただ
)
いて
往
(
ゆ
)
かう。
055
オイ
静子
(
しづこ
)
お
前
(
まへ
)
も
頂
(
いただ
)
きなさい』
056
楓
(
かへで
)
『このお
薬
(
くすり
)
は
私
(
わたし
)
の
手
(
て
)
から
口
(
くち
)
へ
直接
(
ちよくせつ
)
に
上
(
あ
)
げなくては
利
(
き
)
かないと
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
が
仰有
(
おつしや
)
いました。
057
サア
口
(
くち
)
をお
開
(
あ
)
けなさいませ』
058
珍彦
(
うづひこ
)
、
059
静子
(
しづこ
)
二人
(
ふたり
)
は
楓
(
かへで
)
の
命
(
めい
)
ずるままに
口
(
くち
)
をパツと
開
(
あ
)
けた。
060
楓
(
かへで
)
は
一粒
(
ひとつぶ
)
づつ
両親
(
りやうしん
)
の
口
(
くち
)
へ
放
(
はふ
)
り
込
(
こ
)
んだ。
061
忽
(
たちま
)
ち
得
(
え
)
も
云
(
い
)
はれぬ
香
(
にほひ
)
が
四辺
(
あたり
)
を
包
(
つつ
)
み
胸
(
むね
)
は
爽
(
さはや
)
かになり、
062
身体
(
からだ
)
から
光
(
ひかり
)
が
出
(
で
)
るやうな
心持
(
こころもち
)
になつた。
063
楓
(
かへで
)
も
亦
(
また
)
押頂
(
おしいただ
)
いて
自
(
みづか
)
ら
服用
(
ふくよう
)
した。
064
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
俄
(
にはか
)
に
面色
(
めんしよく
)
美
(
うつく
)
しく、
065
其
(
その
)
美
(
び
)
は
益々
(
ますます
)
美
(
び
)
を
加
(
くは
)
へた。
066
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
高姫
(
たかひめ
)
は
満面
(
まんめん
)
に
嫌
(
いや
)
らしき
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へながら
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
067
襖
(
ふすま
)
をそつと
開
(
あ
)
けて、
068
高姫
(
たかひめ
)
『
御免
(
ごめん
)
なさいませ。
069
珍彦
(
うづひこ
)
様
(
さま
)
、
070
静子
(
しづこ
)
様
(
さま
)
、
071
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
から
参
(
まゐ
)
りまして、
072
余
(
あんま
)
り
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
が
忙
(
いそが
)
しいのでとつくり
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
も
致
(
いた
)
しませず、
073
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まない
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
074
ついては
夫
(
おつと
)
杢助
(
もくすけ
)
が
心
(
こころ
)
許
(
ばか
)
りの
御飯
(
ごはん
)
を
差上
(
さしあげ
)
たいと
申
(
まを
)
しますので、
075
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
手
(
て
)
づから
拵
(
こしら
)
へましたる
料理
(
れうり
)
、
076
お
口
(
くち
)
に
合
(
あ
)
ひますまいが、
077
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
お
揃
(
そろ
)
ひなさつて
御
(
お
)
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さるまいか、
078
御
(
お
)
酒
(
さけ
)
の
燗
(
かん
)
も
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ますから』
079
珍彦
(
うづひこ
)
『
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
いますかな、
080
私
(
わたくし
)
の
方
(
はう
)
から
一度
(
いちど
)
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
致
(
いた
)
さねばならぬのに、
081
貴方
(
あなた
)
の
方
(
はう
)
から
却
(
かへ
)
つて
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
をして
頂
(
いただ
)
くとは
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まない
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います』
082
静子
(
しづこ
)
『
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
、
083
左様
(
さやう
)
ならば
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
なう
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
が
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
に
預
(
あづ
)
かりませう』
084
高姫
(
たかひめ
)
は
仕
(
し
)
済
(
す
)
ましたりと
内心
(
ないしん
)
打
(
う
)
ち
喜
(
よろこ
)
び、
085
態
(
わざ
)
と
艶
(
つや
)
つぽい
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
086
高姫
(
たかひめ
)
『これはこれは
早速
(
さつそく
)
の
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
、
087
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
身
(
み
)
にとり
満足
(
まんぞく
)
に
存
(
ぞん
)
じます。
088
杢助殿
(
もくすけどの
)
もさぞや
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いませう。
089
是
(
これ
)
にてお
互
(
たがひ
)
に
親睦
(
しんぼく
)
の
度
(
ど
)
を
加
(
くは
)
へ
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
致
(
いた
)
しますれば、
090
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
四方
(
よも
)
に
輝
(
かがや
)
き、
091
従
(
したが
)
つて
此
(
この
)
館
(
やかた
)
の
主人公
(
しゆじんこう
)
たる
珍彦
(
うづひこ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
名誉
(
めいよ
)
も
世界
(
せかい
)
に
響
(
ひび
)
き、
092
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
093
サアどうぞ
私
(
わたくし
)
についてお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さいませ』
094
珍彦
(
うづひこ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
095
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
袴
(
はかま
)
もつけなくてはなりませぬから、
096
何卒
(
どうぞ
)
一足
(
ひとあし
)
お
先
(
さき
)
にお
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
097
直
(
すぐ
)
に
参
(
まゐ
)
りますから』
098
高姫
(
たかひめ
)
は、
099
高姫
『
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
く
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、
100
お
待
(
ま
)
ち
申
(
まをし
)
て
居
(
を
)
ります』
101
と
云
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
て
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
る。
102
後
(
あと
)
に
珍彦
(
うづひこ
)
、
103
静子
(
しづこ
)
に
楓
(
かへで
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
手
(
て
)
を
洗
(
あら
)
ひ、
104
口
(
くち
)
を
滌
(
すす
)
ぎ、
105
珍彦、静子、楓
『
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
106
何卒
(
なにとぞ
)
此
(
この
)
危難
(
きなん
)
をお
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さいませ』
107
と
祈願
(
きぐわん
)
し、
108
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
して
高姫
(
たかひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
現
(
あら
)
はれた。
109
珍彦
(
うづひこ
)
『
唯今
(
ただいま
)
は、
110
態々
(
わざわざ
)
尊
(
たふと
)
き
御
(
おん
)
身
(
み
)
をもつて
私
(
わたくし
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
如
(
ごと
)
きものをお
招
(
まね
)
きに
預
(
あづ
)
かり
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
111
お
言葉
(
ことば
)
に
甘
(
あま
)
え、
112
御
(
ご
)
辞退
(
じたい
)
致
(
いた
)
すも
如何
(
いかが
)
と
存
(
ぞん
)
じ
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
が
罷
(
まかり
)
出
(
で
)
まして
厶
(
ござ
)
ります』
113
高姫
(
たかひめ
)
『
夫
(
それ
)
は
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
様
(
さま
)
で
厶
(
ござ
)
いましたなア。
114
何
(
なに
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬが、
115
丁度
(
ちやうど
)
お
燗
(
かん
)
がよい
加減
(
かげん
)
に
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ます。
116
サア
一
(
ひと
)
つお
過
(
すご
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
117
珍彦
(
うづひこ
)
『
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います』
118
と
云
(
い
)
ひながら
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
の
一足
(
いつそく
)
とび
毒
(
どく
)
と
知
(
し
)
りつつ
仰
(
あふ
)
ぐ
盃
(
さかづき
)
……
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
、
119
守
(
まも
)
りたまへ……と
高姫
(
たかひめ
)
の
注
(
つ
)
ぐ
盃
(
さかづき
)
をグツと
一口
(
ひとくち
)
に
飲
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
した。
120
杢助
(
もくすけ
)
『ヤア
珍彦
(
うづひこ
)
様
(
さま
)
は
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
酌
(
しやく
)
をして
貰
(
もら
)
ひました。
121
男
(
をとこ
)
に
女
(
をんな
)
、
122
よい
配合
(
はいがふ
)
だ、
123
それでは
私
(
わたくし
)
は
静子
(
しづこ
)
さまに
注
(
つ
)
がして
頂
(
いただ
)
きませう、
124
アハヽヽヽ、
125
男
(
をとこ
)
と
女
(
をんな
)
とは
何
(
なん
)
とはなしに
配置
(
はいち
)
のよいものですわ』
126
静子
(
しづこ
)
は『ハイ
有難
(
ありがた
)
う』と
手
(
て
)
を
慄
(
ふる
)
はせながら
盃
(
さかづき
)
を
差出
(
さしだ
)
した。
127
杢助
(
もくすけ
)
は
浪々
(
なみなみ
)
と
注
(
つ
)
いだ。
128
静子
(
しづこ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
神
(
かみ
)
を
念
(
ねん
)
じ『
神丹
(
しんたん
)
の
効
(
かう
)
を
現
(
あら
)
はしたまへ』と
小声
(
こごゑ
)
に
念
(
ねん
)
じながら、
129
グツト
呑
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
した。
130
それから
高姫
(
たかひめ
)
に
飯
(
めし
)
を
盛
(
も
)
られ、
131
種々
(
いろいろ
)
の
煮〆
(
にしめ
)
を
盛
(
も
)
られ、
132
夫婦
(
ふうふ
)
は
十二分
(
じふにぶん
)
に
腹
(
はら
)
を
膨
(
ふく
)
らした。
133
されど
両人
(
りやうにん
)
の
身体
(
からだ
)
には
些
(
すこ
)
しの
変化
(
へんくわ
)
も
無
(
な
)
かつた。
134
杢助
(
もくすけ
)
高姫
(
たかひめ
)
は、
135
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
して
不機嫌
(
ふきげん
)
な
顔
(
かほ
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
136
珍彦
(
うづひこ
)
は
態
(
わざ
)
と
言葉
(
ことば
)
を
設
(
まう
)
けて、
137
珍彦
(
うづひこ
)
『
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
様
(
さま
)
、
138
余
(
あま
)
り
沢山
(
たくさん
)
頂
(
いただ
)
きましたので、
139
何
(
なん
)
だか
頭
(
あたま
)
がグラグラ
致
(
いた
)
し、
140
目
(
め
)
が
眩
(
ま
)
ひさうで
厶
(
ござ
)
います。
141
そして
腹
(
はら
)
が
痛
(
いた
)
うなりました。
142
何卒
(
どうぞ
)
これで
失礼
(
しつれい
)
して
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
でとつくりと
休
(
やす
)
まして
頂
(
いただ
)
きます』
143
静子
(
しづこ
)
『アヽ
私
(
わたし
)
も
何
(
なん
)
だか
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
くなりました。
144
あまりどつさりお
酒
(
さけ
)
を
頂
(
いただ
)
いたものですから、
145
失礼
(
しつれい
)
ながら
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
ります』
146
高姫
(
たかひめ
)
『ハイお
塩梅
(
あんばい
)
が
悪
(
わる
)
う
厶
(
ござ
)
いますかな。
147
夫
(
それ
)
はお
気
(
き
)
の
毒様
(
どくさま
)
、
148
どうぞ
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
にお
居間
(
ゐま
)
に
往
(
い
)
つてお
休
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ』
149
両人
(
りやうにん
)
は、
150
珍彦、静子
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
151
左様
(
さやう
)
なればこれにて
失礼
(
しつれい
)
』
152
と
態
(
わざ
)
とに
足
(
あし
)
をヨロヨロさせながら
自分
(
じぶん
)
の
居間
(
ゐま
)
に
引
(
ひ
)
きとり、
153
布団
(
ふとん
)
を
沢山
(
たくさん
)
かぶり、
154
仮病
(
けびやう
)
を
装
(
よそほ
)
ひ
居
(
ゐ
)
たりける。
155
後
(
あと
)
見送
(
みおく
)
り
高姫
(
たかひめ
)
は、
156
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
し、
157
腮
(
あご
)
を
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つしやくつて
居
(
ゐ
)
る。
158
杢助
(
もくすけ
)
『アハヽヽヽ、
159
願望
(
ぐわんまう
)
成就
(
じやうじゆ
)
時節
(
じせつ
)
到来
(
たうらい
)
だ、
160
南無
(
なむ
)
悪魔
(
あくま
)
大明神
(
だいみやうじん
)
、
161
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
へ
幸
(
さち
)
はひ
給
(
たま
)
へ』
162
高姫
(
たかひめ
)
『ヱヘヽヽヘン。
163
ヱヘヽヽヘン。
164
オホヽヽヽヽ。
165
オホヽヽヽヽ』
166
(
大正一二・一・一九
旧一一・一二・三
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
山彦 >>>
霊界物語
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真善美愛(第49~60巻)
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