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第一五章 彗星(すゐせい)〔一二八九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第3篇 暁山の妖雲 よみ(新仮名遣い):ぎょうざんのよううん
章:第15章 彗星 よみ(新仮名遣い):すいせい 通し章番号:1289
口述日:1923(大正12)年01月18日(旧12月2日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
お寅、魔我彦、ヨルの三人は祠の森で高姫とさんざん争った末、祠の森を立ち出でてイソ館に進んで行った。懐谷の近くまでやってきたときには、すっかり日が暮れた。
南の天を見ると、大彗星が現れているのが見えた。三人は彗星についてあれこれ寸評した。ヨルは彗星が何かの凶兆ではないかという歌を詠んだ。お寅は、何事も神の顕現だとして魔我彦に、宣り直しの歌を歌わせた。
三人は近傍の岩に腰をかけて休息し、高姫との争いや彗星や旅路を読み込んだ述懐の歌を歌った。
三人は休息が終わると、ふたたび険しい坂道を夜中に登りはじめた。登りながら、これまでの経緯やイソ館参拝の思いを込めた宣伝歌を歌った。
上の方から、優しい女の宣伝歌が聞こえてきた。これはイソ館からハルナの都へ悪魔の征討に上る初稚姫であった。三人はこの声に力を得て、蘇った心地で苦しさを忘れて坂道を登って行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-27 09:05:32 OBC :rm4915
愛善世界社版:215頁 八幡書店版:第9輯 111頁 修補版: 校定版:221頁 普及版:101頁 初版: ページ備考:
001 お(とら)002魔我彦(まがひこ)003ヨルの(さん)(にん)高姫(たかひめ)散々(さんざん)(あらそ)ひ、004(ほこら)(もり)()()でイソの(やかた)(すす)()く。005懐谷(ふところだに)近傍(きんばう)(まで)()(とき)()はずつぽりと()れた。006不思議(ふしぎ)(みなみ)(てん)(あた)つて大彗星(だいすゐせい)(あら)はれて()る。007ヨルは(そら)()(あふ)ぎ、
008ヨル『もしお(とら)さま、009魔我彦(まがひこ)さま、010あれ御覧(ごらん)なさい、011あの彗星(すゐせい)を。012ハルナの(みやこ)恰度(ちやうど)(うへ)(はう)(あた)つて()()るぢやありませぬか。013屹度(きつと)(なに)かの変事(へんじ)でせうよ』
014(とら)『ほんに ほんに不思議(ふしぎ)彗星(すゐせい)ですこと。015あれは大方(おほかた)八十(はちじふ)(ねん)一度(いちど)(あら)はれると()ふ、016ハレー彗星(すゐせい)ぢやありますまいかな』
017ヨル『さうでせうよ、018(なん)でも天下(てんか)変事(へんじ)(おこ)前兆(しらせ)でせう』
019魔我(まが)(なに)020あいつは高姫星(たかひめぼし)だ。021どこもかも(しり)(くも)らし(まは)妖星(えうせい)だから、022(なん)()(ほし)()らないが、023魔我彦(まがひこ)(これ)(しよう)して高姫星(たかひめぼし)()ひますわ』
024ヨル『(ひと)つあの彗星(すゐせい)について(うた)()んで()ませう。
025地上(ちじやう)充満(じゆうまん)せる
026陰鬱(いんうつ)空気(くうき)
027(てん)(のぼ)つて凝結(ぎようけつ)
028(たちま)彗星(すゐせい)()つて
029妖光(えうくわう)放射(はうしや)怪煙(くわいえん)()いてゐる。
030(これ)(はた)して(なん)
031凶兆(きようてう)だらうか
032彗星(すゐせい)妖光(えうくわう)(どく)せられて
033紫微宮(しびきう)(いろ)
034非常(ひじやう)(かは)つてゐる。
035これを(おも)へば
036やがて天下(てんか)
037大難(たいなん)到来(たうらい)する前兆(ぜんてう)ならむ。
038()妖星(えうせい)
039やがては
040紫微宮(しびきう)(ちう)(おか)すであらう。
041その(とき)こそは
042(じつ)警戒(けいかい)(えう)する(とき)
043大黒主(おほくろぬし)失脚(しつきやく)
044歴々(れきれき)として
045(すで)(すで)
046天極(てんごく)紫微宮(しびきう)(うち)
047(いま)より
048(あら)はれて()るやうだ』
049魔我(まが)『ハヽヽヽヽ、050(なん)だか、051そんな(こと)()くと(こころ)落付(おちつ)かぬやうだなア。052(しか)事実(じじつ)とあれば仕方(しかた)がないわ』
053(とら)魔我彦(まがひこ)さま、054ヨルさまの言霊(ことたま)(ひと)()(なほ)しなさい、055何事(なにごと)(かみ)顕現(けんげん)だからなア』
056魔我彦(まがひこ)森羅(しんら)万象(ばんしやう)
057(ことごと)()(かみ)顕現(けんげん)
058人間(にんげん)()
059()(かみ)聖霊(せいれい)神格(しんかく)とを
060摂受(せつじゆ)する(とき)
061(ここ)(はじ)めて
062万有(ばんいう)一切(いつさい)
063共通(きやうつう)活躍(くわつやく)()るものである』
064ヨル『ヤアこれで()つとばかり()がすんだやうだ。065(ひと)(この)(へん)(くら)くなつた(ついで)休息(きうそく)しませうか』
066(とら)宜敷(よろし)からう、067夜途(よみち)()()れませぬからなア』
068路傍(ろばう)(いは)(こし)()ちかけ、069(さん)(にん)(しば)(いき)(やす)めた。
070(とら)()(あふ)天津(あまつ)御空(みそら)彗星(はうきぼし)
071()(ちり)(はら)仕組(しぐみ)なるらむ』
072魔我彦(まがひこ)()(あふ)空高姫(そらたかひめ)彗星(はうきぼし)
073(ひと)をごもくのやうに掃出(はきだ)す』
074ヨル『(よる)(そら)(あら)はれ()でし彗星(はうきぼし)
075空高姫(そらたかひめ)(まが)(はら)ひつ』
076(とら)八十年(やそとせ)一度(ひとたび)()づる彗星(はうきぼし)
077(ふたた)()せよ(われ)(まも)りて。
078大空(おほぞら)(やうや)くハレー彗星(すゐせい)
079(ちから)(まが)()()するらむ』
080魔我彦(まがひこ)『いざさらば河鹿(かじか)(たうげ)三人(みたり)()
081イソの(やかた)(すす)みて()かなむ』
082ヨル『(よる)(みち)(のぼ)(わが)()義理(ぎり)天上(てんじやう)
083日出(ひのでの)(かみ)(わか)()げつつ』
084 ()(たがひ)(うた)ひ、085(また)もや(あし)(はや)めて急坂(きふはん)()ぢながらお(とら)(うた)()した。
086お寅治国別(はるくにわけ)()りなしで
087イソの(やかた)(まう)でむと
088魔我彦(まがひこ)さまを(ともな)ひて
089(ほこら)(もり)()()れば
090十曜(とえう)御旗(みはた)ひるがへり
091高天原(たかあまはら)千木(ちぎ)(たか)
092大宮柱(おほみやばしら)(ふと)しきて
093(しづ)まり()ます三五(あななひ)
094()にも(たふと)大御神(おほみかみ)
095八尋(やひろ)殿(との)(あたら)しく
096()(なら)べられヨルさまが
097いと(いか)めしく受付(うけつけ)
098きちんと(すわ)()ましけり
099(とら)はすつと()()つて
100様子(やうす)()けば高姫(たかひめ)
101(つかさ)()ますと(さと)りてゆ
102如何(いか)なる(かた)()らねども
103(いま)(まで)教祖(けうそ)(した)ひたる
104日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)
105一目(ひとめ)()はむと(よろこ)びつ
106魔我彦(まがひこ)さまと諸共(もろとも)
107高姫(たかひめ)さまに面会(めんくわい)
108(わけ)(わか)らぬ託宣(たくせん)
109(とら)(まつた)(あき)()
110(こた)ふる言葉(ことば)()きままに
111二言(ふたこと)三言(みこと)(あらそ)ひつ
112愛想(あいさう)もこそも()()てて
113やつと(やかた)()(いだ)
114魔我彦(まがひこ)さまと逸早(いちはや)
115旅装(りよさう)調(ととの)()()づる
116(あと)(つづ)いてヨルさまが
117()ひかけ(きた)(よる)(みち)
118(ここ)三人(みたり)一行(いつかう)
119(くも)つくばかりの峻坂(しゆんぱん)
120(かみ)(めぐみ)(たす)けられ
121(のぼ)(をり)しもあら不思議(ふしぎ)
122(そら)(かがや)彗星(はうきぼし)
123如何(いか)なる(こと)前兆(しるし)にや
124善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)(わか)らねど
125容易(ようい)ならざる(この)景色(けしき)
126(われ)()(こころ)(あらた)めて
127三五教(あななひけう)大道(おほみち)
128一直線(いつちよくせん)進行(しんかう)
129一日(ひとひ)(はや)御霊(みたま)をば
130みがき(きよ)めて(かみ)のため
131世人(よびと)のために赤心(まごころ)
132()くさむための宮参詣(みやまうで)
133イソの(やかた)()れませる
134(みづ)御霊(みたま)大御神(おほみかみ)
135何卒(なにとぞ)(われ)()(さん)(にん)
136(こころ)(あは)れみたまひつつ
137一日(ひとひ)(はや)大神(おほかみ)
138御楯(みたて)(つか)へなさしめよ
139朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
140(つき)()つとも()くるとも
141彗星(すゐせい)(そら)より()つるとも
142(うみ)はあせなむ()ありとも
143(この)()(つく)りたまひたる
144(すめ)大神(おほかみ)のます(かぎ)
145(まこと)(みち)(すす)()
146(けつ)して(おそ)るる(こと)あらじ
147(すす)めよ(すす)めいざ(すす)
148魔我彦(まがひこ)、ヨルさま諸共(もろとも)
149()()(かぜ)(さむ)くとも
150山路(やまぢ)(さか)しくあるとても
151一旦(いつたん)(おも)()ちし()
152如何(いか)なる(まが)(さまた)げも
153(たゆ)まず(くつ)せず(くは)(ゆみ)
154ひきてかへらぬ(わが)(おも)
155(うべな)ひたまへ惟神(かむながら)
156(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
157(かしこ)(かしこ)()ぎまつる』
158 ヨルは(また)(うた)ふ。
159ヨル玉国別(たまくにわけ)宣伝使(せんでんし)
160五十子(いそこ)(ひめ)諸共(もろとも)
161(ひやく)(にち)百夜(ひやくや)丹精(たんせい)
162()らして(みづ)御舎(みあらか)
163(つく)りたまひし雄々(をを)しさよ
164(こころ)(きよ)宣伝使(せんでんし)
165(かか)(たふと)(みや)()
166いささか執着心(しふちやくしん)もなく
167遷宮式(せんぐうしき)相済(あひす)まし
168直様(すぐさま)(あと)珍彦(うづひこ)
169(われ)()一同(いちどう)(まか)せつつ
170()()(たま)雄々(をを)しさよ
171(かへで)(ひめ)(たちま)ちに
172神人(しんじん)感応(かんおう)(きやう)()
173身体(からだ)をブルブルふるはせて
174(われ)()出神(でのかみ)なりと
175言挙(ことあ)げせしぞ不思議(ふしぎ)なれ
176数多(あまた)信者(しんじや)()きつけて
177(あり)(あま)きにつどふごと
178岩石(がんせき)起伏(きふく)山道(やまみち)
179老若(らうにやく)男女(なんによ)(いと)ひなく
180(まう)(きた)りて神徳(しんとく)
181摂受(せつじゆ)感謝(かんしや)にむせぶ(をり)
182高姫司(たかひめつかさ)瓢然(へうぜん)
183(あら)はれ(きた)(おく)()
184(かへで)(ひめ)神懸(かむがか)
185審判(さには)をなせば(たちま)ちに
186(かへで)(ひめ)(もと)(ごと)
187普通(ふつう)(むすめ)となりにけり
188(あと)高姫(たかひめ)傲然(がうぜん)
189(おく)居坐(ゐすわ)(われ)こそは
190()出神(でのかみ)義理(ぎり)天上(てんじやう)
191(ほこら)(もり)高姫(たかひめ)
192(この)生宮(いきみや)守護(しゆごう)する
193なぞとそろそろ威張(ゐば)()
194金釘流(かなくぎりう)筆先(ふでさき)
195(あさ)から(ばん)(まで)()きつづけ
196(これ)(まこと)神勅(しんちよく)
197宣言(せんげん)なして吾々(われわれ)
198拝読(はいどく)()ふる(くる)しさよ
199いやいや(なが)吾々(われわれ)
200(まつた)(かみ)のお(しめ)しと
201(あたま)(おさ)へて()みゆけば
202脱線(だつせん)だらけの世迷言(よまひごと)
203()くに()へない(こと)ばかり
204(あま)合点(がてん)がゆかぬ(ゆゑ)
205イソの(やかた)参詣(まゐまう)
206審判(さには)()はむと(おも)ふうち
207高姫(たかひめ)(われ)()(こころ)をば
208(さぐ)りしものかイソ(やかた)
209御霊(みたま)(みが)けるそれ(まで)
210(けつ)して参拝(さんぱい)ならぬぞと
211無性(むしやう)矢鱈(やたら)にせき(とめ)
212合点(がてん)がゆかぬと(おも)(をり)
213三五教(あななひけう)のお(とら)さま
214(おも)はず(ここ)(あら)はれて
215高姫(たかひめ)さまとのかけあひに
216()出神(でのかみ)素性(すじやう)まで
217魔我彦(まがひこ)さまの(くち)をもて
218()()ぬかれし可笑(をか)しさよ
219ヨルも(やうや)(むね)()れて
220高姫司(たかひめつかさ)(ばけ)(かは)
221()いてやらうと決心(けつしん)
222二人(ふたり)さまに(したが)つて
223イソの(やかた)参詣(まゐまう)
224御霊(みたま)(みが)神徳(しんとく)
225(うで)もたわわに(かうむ)りて
226(この)黒白(こくびやく)(あきら)かに
227(しめ)さむものと(おも)()
228(やうや)くここに(きた)りけり
229あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
230産土山(うぶすなやま)大御神(おほみかみ)
231ヨルが(こころ)(あは)れみて
232御霊(みたま)恩頼(ふゆ)(たま)へかし
233朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
234(つき)()つとも()くるとも
235バラモン(けう)をあきらめて
236三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
237帰順(きじゆん)しまつりし(その)(うへ)
238如何(いか)でか(こころ)(かは)るべき
239(めぐ)ませ(たま)大御神(おほみかみ)
240(ほこら)(もり)受付(うけつけ)
241(つか)へまつりしヨル(こう)
242赤心(まごころ)()めて()ぎまつる
243あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
244御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
245 魔我彦(まがひこ)(また)(うた)ふ。
246魔我彦北山村(きたやまむら)()でしより
247()出神(でのかみ)義理(ぎり)天上(てんじやう)
248ウラナイ(けう)(ひら)きたる
249高姫(たかひめ)さまはいづくぞと
250(こころ)にかけて(さが)すうち
251(ほこら)(もり)ではからずも
252久方振(ひさかたぶ)りにて(めぐ)()
253我情(がじやう)我慢(がまん)高姫(たかひめ)
254(こころ)(ふたた)仰天(ぎやうてん)
255(さすが)魔我彦(まがひこ)(あき)()
256(はなし)にならぬ有様(ありさま)
257(とら)()さまと()()いて
258長居(ながゐ)(おそ)れと(やかた)をば
259(あと)見捨(みす)ててヨルさまと
260(さか)しき坂路(さかみち)()(のぼ)
261やつと此処(ここ)(まで)(きた)りけり
262かうなる(うへ)高姫(たかひめ)
263よもや(おつ)かけ(きた)るまい
264何卒(なにとぞ)無事(ぶじ)産土(うぶすな)
265イソの(やかた)聖場(せいぢやう)
266(われ)()三人(みたり)をすくすくと
267(すす)ませ(たま)惟神(かむながら)
268(かみ)かけ(ねん)(たてまつ)
269もしも高姫(たかひめ)(あと)()
270(かみ)ふり(みだ)夜叉(やしや)のごと
271(きた)るも(はか)()られない
272その(とき)こそは大空(おほぞら)
273(よこ)たはりたる彗星(はうきぼし)
274これをば矢庭(やには)にひつ(つか)
275朽木(くちき)(のぼ)(あり)(むれ)
276手箒(てばうき)もちて(おと)すよに
277(はら)へばそれですむ(こと)
278高姫(たかひめ)たとへ大空(おほぞら)
279伊馳(いかけ)(つち)(くぐ)るとも
280(この)()(あるじ)()れませる
281(かみ)(ちから)にや(かな)ふまい
282(われ)()三人(みたり)赤心(まごころ)
283(ひと)つになして何処(どこ)(まで)
284(もも)(さまた)()(やぶ)
285初志(しよし)貫徹(くわんてつ)(いた)さねば
286(をとこ)(かほ)()ちませぬ
287男勝(をとこまさ)りのお(とら)さま
288どうぞ(しつか)(たの)みます
289此処(ここ)()()()(たうげ)
290山猿(やまざる)(ども)沢山(たくさん)
291(あら)はれ()でて(ひと)()
292()()きやぶると()きました
293神力(しんりき)無双(むさう)玉国(たまくに)
294(わけ)(みこと)(おん)()をば
295(きづ)つけまつる(わる)(さる)
296いつ()()すか(わか)らない
297危険(きけん)区域(くゐき)()くからは
298(ただ)一心(いつしん)神言(かみごと)
299天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)
300(この)坂道(さかみち)(のぼ)りませう
301あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
302御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ』
303(うた)(なが)ら、304さしも(けは)しき(よる)坂道(さかみち)305一歩(いつぽ)一歩(いつぽ)(こころ)(くば)祝詞(のりと)くづしの宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、306(あせ)()らして(のぼ)()く。307(うへ)(はう)より(やさ)しき(をんな)宣伝歌(せんでんか)(きこ)えて()た。308これはイソの(やかた)よりハルナの(みやこ)()して悪魔(あくま)征討(せいたう)(のぼ)(をんな)宣伝使(せんでんし)309豪胆(がうたん)不敵(ふてき)初稚姫(はつわかひめ)であつた。310(さん)(にん)(この)(こゑ)(ちから)()(ほとん)(よみが)へりたる(ごと)心地(ここち)しつつ(くる)しさを(わす)れて(のぼ)()く。
311大正一二・一・一八 旧一一・一二・二 加藤明子録)
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