霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第七章 剛胆娘(がうたんむすめ)〔一二八一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第2篇 立春薫香 よみ(新仮名遣い):りっしゅんくんこう
章:第7章 剛胆娘 よみ(新仮名遣い):ごうたんむすめ 通し章番号:1281
口述日:1923(大正12)年01月16日(旧11月30日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
初稚姫は、この征途の成功を祈り自らの決意を露わにした宣伝歌を歌いながら産土山を下り、荒野ケ原を渡り、たそがれ時に深谷川の丸木橋のほとりに着いた。
この谷川には、川底まで百閒もある高い丸木橋があった。騎馬でも渡れるほどの大木を切り倒して渡した丈夫な橋で、宣伝使はみな、この一本橋を渡らなければならない。
初稚姫は丸木橋の中央に立ち、眼下の谷水が飛沫を飛ばしてごうごうと流れていく絶景を眺めていた。初稚姫は橋を渡り、暗さと寒さに路傍にみのを敷いて一夜を明かそうと、天津祝詞を奏上してうとうとし始めた。
すると一本橋の彼方から二匹の鬼が現れた。鬼たちは初稚姫がこのあたりを通ることを知っており、何とかして新鮮な人肉が食いたいとあたりを探し始めた。
初稚姫はこれを聞き、これくらいの鬼が恐ろしくてこの先数千里の旅が続けられようか、一つ腕試しにこちらから先に相手になってやろう、と胆力をすえた。そして鬼たちに、自分は万物を救う宣伝使だから、腹がすいているなら肉体をくれてやるから食うが良い、と話しかけた。
二人の鬼は初稚姫のこの宣言を聞いて逆に肝をつぶし、ふるえだした。初稚姫は、声を聞いて父・杢助の僕の六と八だとわかり、二人を呼びつけた。六と八は、杢助に頼まれて初稚姫を試しに来たことを白状した。
六と八は初稚姫の剛胆に驚かされて、目の前の初稚姫は化け物が変化したものではないかと恐れてふるえていた。初稚姫はうとうとと眠りについた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-14 17:54:07 OBC :rm4907
愛善世界社版:97頁 八幡書店版:第9輯 67頁 修補版: 校定版:100頁 普及版:45頁 初版: ページ備考:
001初稚姫(はつわかひめ)(この)()(なか)(ひと)となり
002(かみ)(めぐみ)(すく)はれて
003(ちち)(みこと)諸共(もろとも)
004産土山(うぶすなやま)聖場(せいぢやう)
005(あさ)(ゆふ)なに(つか)へたる
006(わが)()(うへ)こそ(うれ)しけれ
007(かむ)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
008高天原(たかあまはら)(のぼ)りまし
009(あね)大神(おほかみ)(うたが)はれ
010高天原(たかあまはら)安河(やすかは)
011誓約(うけひ)(わざ)をなしたまひ
012清明(せいめい)無垢(むく)瑞御霊(みづみたま)
013(あら)はれ(たま)ひし(たふと)さよ
014さはさりながら八十猛(やそたける)
015(かみ)(みこと)(たけ)()
016(わが)大神(おほかみ)御心(みこころ)
017かくも(たふと)瑞御霊(みづみたま)
018しかるを何故(なにゆゑ)大神(おほかみ)
019(きたな)(こころ)ありますと
020()らせたまひし(あや)しさよ
021事理(ことわけ)()かむと伊猛(いたけ)りて
022(つひ)には畔放(あはな)溝埋(みぞう)頻蒔(しきまき)
023(くし)さしなどの曲業(まがわざ)
024(はじ)めたまひし(かな)しさよ
025(わが)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
026百千万(ももちよろづ)神人(しんじん)
027(ふか)(つみ)をば身一(みひと)つに
028()はせたまひて(かしこ)くも
029高天原(たかあまはら)(くだ)りまし
030(しま)八十島(やそしま)八十(やそ)(くに)
031(ゆき)(うづ)もれ(あめ)にぬれ
032はげしき(かぜ)(さら)されて
033世人(よびと)のために御心(みこころ)
034(つく)させたまひ産土(うぶすな)
035伊曽(いそ)(やかた)にしのばせて
036(ここ)天国(てんごく)建設(けんせつ)
037千座(ちくら)置戸(おきど)()はせつつ
038五六七(みろく)御代(みよ)(きた)さむと
039いそしみ(たま)有難(ありがた)
040(わらは)(たふと)(おん)(かみ)
041御許(みもと)(ちか)(つか)へつつ
042天国(てんごく)浄土(じやうど)真諦(しんたい)
043(さと)()たりし(うれ)しさよ
044(ちち)(みこと)(いとま)()
045()みも(なら)はぬ(たび)(そら)
046()()()こそ(たの)しけれ
047朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
048(つき)()つとも()くるとも
049仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
050(まこと)(ひと)つの三五(あななひ)
051(あい)(しん)との御教(みをしへ)
052幾万劫(いくまんごふ)(すゑ)までも
053天地(てんち)(とも)(かは)るまじ
054かくも(たふと)御教(みをしへ)
055(わが)精霊(せいれい)(みた)しつつ
056(たふと)(かみ)御使(みつかひ)
057(ここ)旅装(りよさう)調(ととの)へて
058ハルナを()して()でて()
059あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
060(かみ)(めぐみ)(ふか)くして
061()()にさやる(まが)もなく
062()(すこやか)(この)使命(しめい)
063(はた)させたまへ大御神(おほみかみ)
064(いし)(まくら)(くも)夜着(よぎ)
065野山(のやま)(つゆ)()()せて
066仮令(たとへ)幾夜(いくよ)(あか)すとも
067(かみ)御守(みまも)()(うへ)
068(なに)(おそ)れむ宣伝使(せんでんし)
069かよわき(をんな)()ながらも
070絶対(ぜつたい)無限(むげん)神力(しんりき)
071(たも)たせ(たま)大神(おほかみ)
072(われ)(たふと)(おん)使(つかひ)
073(かなら)(かみ)(おん)()をば
074(よご)さず(けが)さず(みち)のため
075世人(よびと)のためにあくまでも
076(かみ)御旨(みむね)発揚(はつやう)
077八岐(やまた)大蛇(をろち)醜神(しこがみ)
078(あま)さず(のこ)さず(かみ)(みち)
079(すく)はにややまぬ(わが)覚悟(かくご)
080()てさせたまへ惟神(かむながら)
081(かみ)御前(みまへ)赤心(まごころ)
082(ささ)げて(いの)(たてまつ)
083(かみ)(おもて)()れまして
084善神(ぜんしん)邪神(じやしん)()てわける
085五六七(みろく)御代(みよ)(ちか)づきて
086常世(とこよ)(はる)(はな)(ひら)
087小鳥(ことり)(うた)(かみ)(その)
088(この)()(まが)住家(すみか)ぞと
089世人(よびと)()へど(わが)()には
090(みな)天国(てんごく)影像(えいざう)
091あゝ(いさ)ましや(いさ)ましや
092悪魔(あくま)征討(せいたう)(のぼ)()
093(わが)()(うへ)(たの)しけれ』
094(こゑ)(しと)やかに(うた)ひつつ、095産土山(うぶすなやま)(くだ)り、096荒野(あらの)(はら)(わた)り、097(やうや)黄昏時(たそがれどき)深谷川(ふかたにがは)丸木橋(まるきばし)(ほとり)についた。098(この)谷川(たにがは)川底(かはぞこ)(まで)(ほとん)百間(ひやくけん)(ばか)りもある、099(たか)丸木橋(まるきばし)である。100(すべ)ての宣伝使(せんでんし)(みな)この一本橋(いつぽんばし)(わた)らねばならない。101(しか)一本橋(いつぽんばし)とは()へ、102谷川(たにがは)(ほとり)大木(たいぼく)()(たふ)し、103向岸(むかふぎし)(わた)せし自然橋(しぜんばし)なれば、104比較(ひかく)(てき)丈夫(ぢやうぶ)にして騎馬(きば)のまま通過(つうくわ)()巨木(きよぼく)一本橋(いつぽんばし)であつた。105初稚姫(はつわかひめ)はこの丸木橋(まるきばし)中央(ちうあう)()ち、106()(とど)かぬ(ばか)りの眼下(がんか)谷水(たにみづ)飛沫(ひまつ)をとばして囂々(がうがう)(なが)()(その)絶景(ぜつけい)()(なが)めて()た。
107初稚姫(はつわかひめ)大神(おほかみ)(めぐみ)(きよ)谷水(たにみづ)
108(なが)れて(ひろ)(うみ)()るかな。
109(やみ)()(あか)きに(わた)丸木橋(まるきばし)
110(わらは)(いま)(なか)()ちぬる。
111(なが)むれば(そこ)ひも()れぬ谷川(たにがは)
112伊猛(いたけ)(くる)(きよ)真清水(ましみづ)
113谷底(たにそこ)(なが)るる(みづ)はいと(きよ)
114(そら)(わた)()(ひと)如何(いか)にぞ。
115黄昏(たそが)れて(やみ)(とばり)はおろされぬ
116されど水泡(みなわ)(しろ)(ひか)れる。
117伊曽(いそ)(やかた)()(にほ)ひたる白梅(しらうめ)
118(いとま)()げて(わか)()しかな。
119(つき)もなく(ほし)さへ(くも)(つつ)まれて
120(くら)さは(くら)()一人旅(ひとりたび)
121かくばかり(さび)しき野路(のぢ)(わた)()
122黒白(あやめ)もわかぬ(やみ)()ふかな。
123さりながら(かみ)(ひかり)()らされし
124()御霊(みたま)こそは(くら)きを()らず。
125(ただ)一人(ひとり)(はし)のなかばに(たたず)みて
126(おも)ひに(なや)(ちち)()(うへ)
127いざさらば(この)谷川(たにがは)名残(なご)りをば
128(おし)みていゆかむ河鹿(かじか)(たうげ)へ』
129 かく(うた)ひながら(やみ)小路(こうぢ)足探(あしさぐ)りしつつ(すす)()く、130(さすが)初稚姫(はつわかひめ)(くら)さと(さむ)さに(おそ)はれ()むを()路傍(ろばう)(みの)をしき、131一夜(いちや)此処(ここ)()(あか)さむと、132天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、133うとうと(ねむ)(とき)しも一本橋(いつぽんばし)彼方(かなた)より(あら)はれ()でたる(くろ)(かげ)134のそりのそりと大股(おほまた)踏張(ふんば)(なが)ら、135初稚姫(はつわかひめ)傍近(そばちか)(すす)みより、
136(かふ)(赤六)『オイ、137(くさ)いぞ(くさ)いぞ』
138(おつ)(黒八)(なに)(くさ)いのだ。139ちつとも(くさ)くは()いぢやないか。140昨夕(ゆうべ)失敗(しつぱい)し、141今晩(こんばん)こそは(ひと)()()つけて(はら)(ふく)らさなくちや、142最早(もはや)やり()れない。143(なん)とかして人肉(じんにく)(あたた)かいやつを()ひたいものだなア』
144(かふ)(赤六)『さうだから(くさ)いと()つて()るのだ。145(なん)でも(この)(へん)杢助(もくすけ)(むすめ)146初稚姫(はつわかひめ)()(やつ)()(はず)ぢや。147(ひる)到底(たうてい)(おれ)(たち)世界(せかい)ぢやないが、148都合(つがふ)のよい(こと)には(をんな)一人(ひとり)(たび)149(にく)はムツチリと(こえ)(うま)さうだ。150(なん)とかして捜索出(たづねだ)して()馳走(ちそう)(あづ)かり()いものだ。151……オイますます(にほひ)がして()たよ。152(なん)でもこの(へん)(よこ)つちよの(はう)休息(きうそく)して()るに相違(さうゐ)ない。153オイ(くろ)154貴様(きさま)はそつちから(さが)して()れい。155この(あか)サンは足許(あしもと)から(さが)しに着手(ちやくしゆ)する』
156(くろ)(八)『オイ(あか)157貴様(きさま)(おに)(くせ)()(わる)いのか』
158(あか)(六)(なに)159ちつとも(わる)くは()いが、160(この)(あひだ)から人間(にんげん)()はないので(すこ)しうすくなつたのだ。161オイ(くろ)162貴様(きさま)()えるかい』
163(くろ)(八)()えいでかい。164イヤ、165其処(そこ)金剛杖(こんがうづゑ)(かさ)()えかけたぞ。166(うま)(うま)今晩(こんばん)はエヘヽヽヽ(ひさ)()りで、167どつさりと()馳走(ちそう)(いただ)かうなア』
168 初稚姫(はつわかひめ)不思議(ふしぎ)(やつ)()たものだと、169(いき)()らして(かんが)へて()た。170さうして(こころ)(うち)(おも)ふやう、
171初稚(はつわか)(わらは)天下(てんか)宣伝使(せんでんし)だ、172(この)(くらゐ)(おに)(おそ)ろしくて、173(この)(さき)数千(すうせん)()旅行(りよかう)(つづ)けられやうか。174(ひと)腕試(うでだめ)しに此方(こちら)(はう)から(せん)をこして相手(あひて)になつて()よう、175(いや)(おど)かしてやらう』
176胆力(たんりよく)()ゑ、
177初稚(はつわか)『こりやこりや そこな(あか)(くろ)とやら(まを)(おに)(ども)178貴様(きさま)最前(さいぜん)から()いて()れば、179大変(たいへん)(はら)(へら)して()るさうだなア。180人肉(じんにく)(あたた)かいのが()ひたいと()ふて()たが、181(ここ)(あたた)かい(にく)()へば(わらは)一人(ひとり)しかいない(はず)ぢや。182(とし)二八(にはち)若盛(わかざか)り、183(にく)もポツテリと(こえ)大変(たいへん)(あぢ)がよいぞや。184所望(しよまう)とならば()はしてやらう。185サア()からなりと、186(あし)からなりと、187勝手(かつて)()つたがよからう。188(わらは)天下(てんか)万物(ばんぶつ)(すく)ふべき宣伝使(せんでんし)だ。189(われ)御霊(みたま)(かみ)聖霊(せいれい)(みた)されて()る。190(なんぢ)(あは)れにも悪霊(あくれい)()りつかれ、191肉体(にくたい)(まで)(おに)になつたと()える。192(わらは)今日(けふ)宣伝使(せんでんし)門出(かどで)193(はじ)めて()いた(その)(はう)(くや)(ごと)194(これ)(すく)うてやらねば(わらは)(やく)がすまぬ。195サア遠慮(ゑんりよ)はいらぬ、196(わが)肉体(にくたい)(かみ)()一条(ひとすぢ)(のこ)さず()ふて()れ。197(かみ)神格(しんかく)(みた)された初稚姫(はつわかひめ)肉体(にくたい)()はば、198(なんぢ)(あか)199(くろ)(おに)どもはきつと(かみ)(すく)ひに(あづ)かり、200(きよ)(たふと)人間(にんげん)になるであらう。201(わらは)繊弱(かよわ)()なれども、202(なんぢ)(ごと)荒男(あらをとこ)()はれ、203(なんぢ)(わが)生宮(いきみや)として使(つか)ひなば、204初稚姫(はつわかひめ)身体(からだ)荒男(あらをとこ)二人(ふたり)となつて(かみ)のために(つく)非常(ひじやう)便宜(べんぎ)がある。205サア、206(はや)()つてもよからうぞ』
207 (あか)(くろ)二人(ふたり)初稚姫(はつわかひめ)(この)宣言(せんげん)(きも)(つぶ)したか、208ビリビリと(ふる)()した。
209(あか)(六)『オイ、210ク、211(くろ)212駄目(だめ)駄目(だめ)だ。213サヽ(さすが)杢助(もくすけ)さまの(むすめ)だけあつて(えら)(こと)()ふぢやないか。214(おれ)はもう(おど)文句(もんく)何処(どこ)へかすつ()んで仕舞(しま)つた。215貴様(きさま)(なん)とか()つて()れないか。216帰宅(いん)(はなし)出来(でき)ぬぢやないか』
217(ふる)(ふる)(ささや)いて()る。
218(くろ)(八)『オイ(あか)219彼奴(あいつ)はバヽヽ化物(ばけもの)だよ。220(けつ)して初稚姫(はつわかひめ)さまぢやなからう。221あんな(やさ)しい(をんな)がどうしてあんな大胆(だいたん)(こと)()へるものか。222彼奴(あいつ)はキツト化物(ばけもの)(ちが)ひない。223グヅグヅして()ると反対(あべこべ)()はれて仕舞(しま)ふぞ。224サア、225()げろ()げろ』
226(あか)(六)(おれ)だつて(あし)がワナワナして()げるにも()げられぬぢやないか。227ほんとに貴様(きさま)()(とほ)彼奴(あいつ)は、228バヽ化物(ばけもの)だ。229それだから杢助(もくすけ)さまに(こら)へて(くだ)されと()ふのに、230ちつとも()いて(くだ)さらぬからこんな()()ふのだ』
231二三間(にさんげん)此方(こなた)(かや)(なか)(くび)()()んで(ふる)(ふる)(ささや)いて()る。232初稚姫(はつわかひめ)は、
233初稚(はつわか)『ホヽヽヽヽ、234(なん)とまア腰抜(こしぬ)けの(おに)だこと、235そんな(おに)みそ()つて(もら)ふのは御免(ごめん)だよ。236(まへ)身体(からだ)(はい)つて()(ところ)で、237そんなみそ(おに)仕様(しやう)がないから(いま)宣言(せんげん)()()しますよ。238オイ(おに)(ども)一寸(ちよつと)(ここ)()なさい、239(すこ)(かみ)(さま)のお(はなし)()かしてあげる。240(まへ)可愛(かあい)さうに人間(にんげん)身体(からだ)()ちながら、241(なん)()(よわ)(こと)だ。242(わらは)初稚姫(はつわかひめ)(ちが)ひありませぬよ。243(けつ)して化物(ばけもの)ぢやありませぬ。244最前(さいぜん)からお(まへ)(ささや)(ごゑ)()いて()れば、245()うやら下僕(しもべ)(ろく)(はち)のやうだが、246(それ)(ちが)ひはあるまいがな。247(わらは)(はじ)めはほんとの(おに)かと(おも)ふて身体(からだ)()はしてやらうと()つたが、248(かす)かに(ささや)話声(はなしごゑ)()けば(ろく)(はち)とに相違(さうゐ)あるまい。249(とう)さまに(たの)まれて(わたし)(ため)しに()たのだらう。250サアここに()なさい、251(けつ)して化物(ばけもの)でもありませぬ』
252 (あか)名乗(なの)つて()(ろく)小声(こごゑ)になり、
253(ろく)『オイ黒八(くろはち)254どうだらう、255本当(ほんたう)(ひめ)(さま)だらうか? どうも(あや)しいぞ。256うつかり(そば)()かうものなら、257(かしら)から(かぢ)りつかれるかも()れやしないぞ』
258(はち)『さうだなア、259赤六(あかろく)()(とほ)り、260どうも此奴(こいつ)怪体(けたい)だぞ。261それだから今晩(こんばん)御用(ごよう)()つから()()はぬと()つて()たのだ。262あゝ()げるにも()げられぬ、263どうも仕方(しかた)がない。264(おに)さま、265いや(ばけ)さまの(ところ)()つて(ことわ)りを()はうぢやないか。266()はれぬ(さき)にお(わび)をして九死(きうし)一生(いつしやう)()(はう)余程(よほど)(かしこ)いやり(かた)だ』
267(あか)(六)『ウンさうだな、268もしもし初稚姫(はつわかひめ)(さま)にお()けなされたお(かた)269(じつ)(わたくし)(はち)270(ろく)()伊曽(いそ)(やかた)役員(やくゐん)杢助(もくすけ)()(かた)下僕(しもべ)です。271(じつ)(ひめ)(さま)のお()(うへ)(あん)じ、272()(ため)(つも)りで主人(しゆじん)命令(めいれい)をうけ此処(ここ)(まで)()たもので(ござ)います。273(けつ)して(わる)(もの)ぢやありませぬ。274()うぞ(いのち)(ばか)りはお(たす)(くだ)さいませ』
275初稚(はつわか)『ホヽヽヽヽ、276やつぱり(ろく)(はち)であらう。277そんな(きも)のチヨロイ(こと)()うして(この)初稚姫(はつわかひめ)(ため)されませう。278(とう)さまもそんな腰抜(こしぬけ)(をとこ)沢山(たくさん)給料(きふれう)()してお(かか)(あそ)ばすかと(おも)へばお()(どく)だよ。279(ろく)でもない八助(はちすけ)だなア』
280(ろく)『もしお化様(ばけさま)どうぞ勘忍(かんにん)なして(くだ)さいませ。281そしてお嬢様(ぢやうさま)此処(ここ)をお(とほ)りになつた(はず)ですがお(まへ)さま()つたのでせう。282()はれたお(ぢやう)さまは仕方(しかた)がありませぬが、283(しか)吾々(われわれ)二人(ふたり)(いのち)だけはどうぞお(たす)けを(ねが)ひます』
284初稚(はつわか)『これ(ろく)(はち)285(わらは)初稚姫(はつわかひめ)間違(まちが)ひないぞや。286(ちつ)(しつか)りなさらないかい。287(まへ)288睾丸(きんたま)をどうしたのだい』
289(はち)『オイ(ろく)290やつぱり化州(ばけしう)だ。291彼奴(あいつ)睾丸狙(きんたまねら)ひだよ。292(おれ)睾丸(きんたま)まで(ねら)つてけつかる、293此奴(こいつ)(たま)らぬぢやないか』
294(ろく)睾丸狙(きんたまねら)ひだつて、295(おれ)金助(きんすけ)余程(よほど)()()いとると()えて、296どこかへ()つて仕舞(しま)つた。297貴様(きさま)(はち)()つて八畳敷(はちでふじき)大睾丸(おほきんたま)だから()つと(こま)るだらう』
298(はち)『イヤ、299(おれ)睾丸(きんたま)何処(どこ)かへ()つて仕舞(しま)つたやうだ。300吃驚(びつくり)してどこかへ(おと)したのではあるまいかな』
301(ろく)『ハヽヽヽヽ、302馬鹿(ばか)()へ、303睾丸(きんたま)(おと)(やつ)があるか、304大方(おほかた)転宅(てんたく)したのだらう』
305(はち)(なん)だか(はら)(ふく)れたと(おも)ふたら腹中(ふくちう)にグレングレンやつて()ると()える。306オイ(ひと)つこんな(とき)には()主人(しゆじん)()つて()られた惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)(とな)へようでないか。307さうすればきつと曲津(まがつ)(かみ)()えると()(こと)だよ』
308(ろく)『そりやよい(ところ)()がついた。309サア一所(いつしよ)惟神(かむながら)だ。310カーンナガアラ、311タヽマチ、312ハヘ、313マセ』
314(はち)『カンナンガラ、315タマチハヘマセ。316……(なん)だか自分(じぶん)(こゑ)(まで)(おそ)ろしくなつて()た。317アンアンアン』
318初稚(はつわか)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)319(わが)()下僕(しもべ)(ろく)320(はち)二人(ふたり)御霊(みたま)(ちから)(あた)へさせたまへ。321惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
322 初稚姫(はつわかひめ)はうとうとと(ねむ)りについた。323(ろく)324(はち)両人(りやうにん)初稚姫(はつわかひめ)(いびき)()いて益々(ますます)(おそ)ろしくなり、325一目(ひとめ)(ねむ)らず夜中(よなか)(ごろ)まで(たがひ)(からだ)(いだ)()ひ、326(おそ)ろしさに(ふる)へて()た。
327大正一二・一・一六 旧一一・一一・三〇 加藤明子録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→