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鶴と雉子

インフォメーション
題名:14 鶴と雉子 著者:出口王仁三郎
ページ:
概要: 備考: タグ: データ凡例:『神の国』昭和10年(1935年)10月号 データ最終更新日: OBC :B182000c14
 鶴といふ鳥は霊鳥(れいてう)であつて非常に夫婦の愛情の(こまや)かなものであると共に、(その)子に対する愛は格別なものがある。
 鶴は三羽を以て一(つが)ひと言ふのである、それは夫婦が下女(げぢよ)を伴うて()るからである、俗に(これ)鍋鶴(なべづる)といふ、下女のことをお鍋といふからであらう、そうして礼儀の非常に正しい鳥であるから、(をす)が鍋鶴に手を懸けるやうなことは絶対に無い。鍋鶴は忠実に夫婦に対し(その)任務を(つく)し世話をするものである、(めす)が卵を産んで孵化さす為に之を(いだ)き温めてゐる時は、鍋鶴を番に付け置きて昼間(ちうかん)は雄は食料を(あさ)つて雌二羽を養ふて行く。夜間は雄とお鍋とが終夜(その)巣の下方の樹木の幹の周囲を長い(くちばし)を以てコツコツと間断なくコツキ回して()る、これは総て鳥類は夜間()()えぬものであるから危害を加ふべき敵の襲来を防ぐ為である、万一にも蛇(その)()怪しきものの襲来する時は身命(しんめい)()して之を防ぎ雌や雛をどこまでも保護するものである。
 焼野(やけの)雉子(きぎす)夜の鶴というて雉子(きじ)(また)野山(のやま)に卵を(いだ)き雛を育てて()る時などは、(その)野山が焼かれ自己の身辺に火が近づいて来ても決して卵や雛を捨てて自己だけ逃げて助からうとはせぬものであつて、(その)卵や雛を腹の下に保護して助け自己は犠牲となつて夫婦とも(やけ)死ぬものである。雄は(つる)同様(ひる)は食料を漁り夜は敵の襲来に備へ忠実に雌や雛を保護するものである。
 両鳥(りやうてう)とも如此(かく)非常に夫婦の愛情(および)子に対する愛の深きものである。
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