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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第21巻(申の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 千辛万苦
第1章 高春山
第2章 夢の懸橋
第3章 月休殿
第4章 砂利喰
第5章 言の疵
第2篇 是生滅法
第6章 小杉の森
第7章 誠の宝
第8章 津田の湖
第9章 改悟の酬
第3篇 男女共権
第10章 女権拡張
第11章 鬼娘
第12章 奇の女
第13章 夢の女
第14章 恩愛の涙
第4篇 反復無常
第15章 化地蔵
第16章 約束履行
第17章 酒の息
第18章 解決
余白歌
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霊界物語
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<<< 小杉の森
(B)
(N)
津田の湖 >>>
第七章
誠
(
まこと
)
の
宝
(
たから
)
〔六八一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻
篇:
第2篇 是生滅法
よみ(新仮名遣い):
ぜしょうめっぽう
章:
第7章 誠の宝
よみ(新仮名遣い):
まことのたから
通し章番号:
681
口述日:
1922(大正11)年05月19日(旧04月23日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
三州、甲州、雲州の三人は杢助の館の前までやってきた。甲州は杢助を油断させて家の中に入ろうと、玉治別の使いで死んだ杢助の女房・お杉の弔いにやってきたように見せかけるため、宣伝歌を歌った。
しかし杢助は、盗人たちの計画をすべて見抜いてしまっていた。杢助が参拝していた祠の前で、三州、甲州、雲州が杢助の金銀を盗む予行演習をしていたのであった。
杢助は、金銀はやるからその代わりに、宣伝使をやっつける計略をすべて白状しろ、と迫った。窮した三人は杢助に襲い掛かるが、杢助は難なく三人を取り押さえてしまう。
改心の見込みがないと見て取った杢助は、三人を打とうとするが、娘のお初が出てきて命乞いをする。そして、杢助の金銀は自分のために貯めてあったものだと知ると、それを今受け取り、泥棒三人に施して逃がした。
お初は、この金銀への執着が凝って母も病になって亡くなったので、これですっきりしたと喜ぶ。三人の泥棒は涙を流してお初に感謝し、逃げて行った。杢助は、金銀より尊い宝が手に入ったと悟り、お初を抱きながら涙に暮れて合掌する。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-05-09 18:59:57
OBC :
rm2107
愛善世界社版:
137頁
八幡書店版:
第4輯 315頁
修補版:
校定版:
142頁
普及版:
62頁
初版:
ページ備考:
001
湯谷
(
ゆや
)
ケ
岳
(
だけ
)
の
山麓
(
さんろく
)
なる
杢助
(
もくすけ
)
が
住家
(
すみか
)
へ、
002
面白
(
おもしろ
)
からぬ
目的
(
もくてき
)
を
達成
(
たつせい
)
せむがために、
003
高天原
(
たかあまはら
)
の
神国
(
しんこく
)
より
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
へ
急転
(
きふてん
)
落下
(
らくか
)
したる
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
の
雲州
(
うんしう
)
、
004
三州
(
さんしう
)
、
005
甲州
(
かふしう
)
は、
006
疵
(
きず
)
持
(
も
)
つ
足
(
あし
)
のきよろきよろと
木挽
(
こびき
)
の
小屋
(
こや
)
に
近
(
ちか
)
づいた。
007
雲州
(
うんしう
)
『サア
兄弟
(
きやうだい
)
、
008
是
(
こ
)
れからが
正念場
(
しやうねんば
)
だぞ。
009
善
(
ぜん
)
と
云
(
い
)
ふ
名詞
(
めいし
)
は
此処
(
ここ
)
ですつかり
抹殺
(
まつさつ
)
して、
010
飽迄
(
あくまで
)
悪
(
あく
)
で
遣
(
や
)
り
通
(
とほ
)
すのだ。
011
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
悪
(
あく
)
を
為
(
な
)
さむとする
者
(
もの
)
は、
012
悪相
(
あくさう
)
を
現
(
あら
)
はしては
出来
(
でき
)
ない。
013
善
(
ぜん
)
の
仮面
(
かめん
)
を
被
(
かぶ
)
らねば
敵
(
てき
)
に
内兜
(
うちかぶと
)
を
見透
(
みす
)
かされて
仕舞
(
しま
)
ふから、
014
三州
(
さんしう
)
、
015
汝
(
きさま
)
は
一
(
ひと
)
つ
殊勝
(
しゆしよう
)
らしいお
経
(
きやう
)
を
唱
(
とな
)
へるのだぞ』
016
三州
(
さんしう
)
『お
経
(
きやう
)
を
唱
(
とな
)
へと
云
(
い
)
つても、
017
何
(
なん
)
にも
てん
で
知
(
し
)
らぬのだから
仕方
(
しかた
)
がないワ』
018
雲州
(
うんしう
)
『
何
(
なん
)
でも
好
(
い
)
い。
019
其処
(
そこ
)
らの
物
(
もの
)
を
出鱈目
(
でたらめ
)
放題
(
はうだい
)
に
並
(
なら
)
べるのだ。
020
一
(
ひと
)
つ
俺
(
おれ
)
が
云
(
い
)
うて
見
(
み
)
ようかな。
021
アヽ
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
迄
(
まで
)
教育
(
けういく
)
をしてやらねばならぬのか、
022
低能児
(
ていのうじ
)
を
捉
(
つか
)
まへたテイーチヤーさんも
大抵
(
たいてい
)
ぢやないワイ。
023
そこらの
器具
(
きぐ
)
万端
(
ばんたん
)
を
逆様
(
さかさま
)
に
云
(
い
)
ふのだ。
024
先
(
ま
)
づ
屏風
(
びやうぶ
)
に
襖
(
ふすま
)
、
025
鍋
(
なべ
)
に
釜
(
かま
)
、
026
徳利
(
とくり
)
、
027
杉
(
すぎ
)
に
松
(
まつ
)
、
028
門口
(
かどぐち
)
其
(
その
)
他
(
た
)
我々
(
われわれ
)
の
名
(
な
)
だ。
029
門口
(
かどぐち
)
に
立
(
た
)
つて、
030
ブベウ、
031
マフス、
032
ベナーマカ、
033
チバヒ、
034
シバヒ、
035
ツマ、
036
ギス、
037
ドカー、
038
シウウン、
039
シウサン、
040
シウコウ、
041
ケワルハー、
042
マーター、
043
ケーワー、
044
ニーク、
045
ツター、
046
ケワー、
047
リヨーニクー、
048
スケモクノボウニヨーノー、
049
ギスーオーサン、
050
ダーシン、
051
ダーシン、
052
ワイカワイカ、
053
ワカイマツー、
054
カハノー、
055
カナーデー、
056
クタベツナツテ、
057
ルオーデー、
058
ローアー、
059
ハンニヤハラミタシンギヨウ、
060
ウン、
061
アボキヤ、
062
スギコーノリーモーデ、
063
ボードロノ、
064
シウレン、
065
オリーヤーマーシータ、
066
アサ、
067
アサ、
068
レコラカハレカノ、
069
ラカダヲ、
070
ラモイ、
071
シヨマ、
072
ハンニヤハラミタシンギヨー、
073
と
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふのだ』
074
三州
(
さんしう
)
『そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つたつて
分
(
わか
)
りやしない。
075
もつと
分
(
わか
)
るやうに
云
(
い
)
はないか』
076
雲州
(
うんしう
)
『
分
(
わか
)
らないのがお
経
(
きやう
)
の
価値
(
ねうち
)
だ。
077
今時
(
いまどき
)
の
蛸坊主
(
たこばうず
)
や、
078
宣伝使
(
せんでんし
)
に
満足
(
まんぞく
)
なお
経
(
きやう
)
の
読
(
よ
)
める
奴
(
やつ
)
があるかい』
079
三州
(
さんしう
)
『オイ
甲州
(
かふしう
)
、
080
汝
(
きさま
)
がよく
似合
(
にあ
)
ふだらう。
081
一
(
ひと
)
つ
臨時
(
りんじ
)
坊主
(
ばうず
)
が
嫌
(
いや
)
なら、
082
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
になつて、
083
宣伝歌
(
せんでんか
)
をうまく
歌
(
うた
)
つたらどうだい』
084
甲州
(
かふしう
)
『それの
方
(
はう
)
が
近道
(
ちかみち
)
だ。
085
彼我共
(
ひがとも
)
に
意志
(
いし
)
が
疎通
(
そつう
)
して
面白
(
おもしろ
)
からう。
086
サアこれから
俺
(
おれ
)
が
宣伝歌
(
せんでんか
)
をやる。
087
さうすればきつと
杢助
(
もくすけ
)
の
奴
(
やつ
)
、
088
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げ、
089
尾
(
を
)
を
掉
(
ふ
)
つて
飛
(
と
)
びつくかも
知
(
し
)
れないぞ、
090
汝
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
甲
(
かふ
)
さまの
後
(
あと
)
から
小声
(
こごゑ
)
でついて
来
(
こ
)
い』
091
と
甲州
(
かふしう
)
は
入口
(
いりぐち
)
に
立
(
た
)
つて、
092
甲州
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
093
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
094
それに
従
(
したが
)
ふ
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
095
プロパガンデイストに
従
(
したが
)
ひて
096
湯屋
(
ゆや
)
が
峠
(
たうげ
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
097
津田
(
つだ
)
の
湖水
(
こすゐ
)
の
辺
(
ほとり
)
まで
098
やつと
進
(
すす
)
んで
来
(
き
)
た
折
(
をり
)
に
099
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
100
俄
(
にはか
)
に
手
(
て
)
をふり
首
(
くび
)
をふり
101
顔色
(
かほいろ
)
変
(
か
)
へて
神懸
(
かむがかり
)
102
これや
大変
(
たいへん
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
103
懸
(
かか
)
つて
何
(
なに
)
か
仰有
(
おつしや
)
ると
104
お
供
(
とも
)
をして
居
(
ゐ
)
た
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
105
息
(
いき
)
を
殺
(
ころ
)
して
畏
(
かしこ
)
まり
106
其
(
その
)
託宣
(
たくせん
)
を
待
(
ま
)
ち
居
(
を
)
れば
107
玉治別
(
たまはるわけ
)
のお
言葉
(
ことば
)
に
108
妾
(
わし
)
はお
杉
(
すぎ
)
の
亡霊
(
ばうれい
)
だ
109
杢助
(
もくすけ
)
さまや
幼児
(
をさなご
)
を
110
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
して
霊界
(
れいかい
)
に
111
旅立
(
たびだち
)
したが
残念
(
ざんねん
)
ぢや
112
土
(
つち
)
の
底
(
そこ
)
へと
埋
(
う
)
められて
113
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
から
冷水
(
ひやみづ
)
を
114
蛙
(
かはづ
)
のやうに
浴
(
あ
)
びせられ
115
妾
(
わたし
)
は
困
(
こま
)
つて
居
(
を
)
りまする
116
行
(
ゆ
)
きたい
所
(
とこ
)
へもよう
行
(
ゆ
)
かず
117
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
をウロウロと
118
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
と
彷徨
(
さまよ
)
ひつ
119
淋
(
さび
)
しき
枯野
(
かれの
)
ケ
原
(
はら
)
の
中
(
なか
)
120
言問
(
ことと
)
ふ
人
(
ひと
)
も
無
(
な
)
き
折
(
をり
)
に
121
実
(
げ
)
に
有難
(
ありがた
)
い
三五
(
あななひ
)
の
122
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
123
霊魂
(
みたま
)
の
磨
(
みが
)
けた
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
124
珍
(
うづ
)
の
使
(
つかひ
)
の
御
(
お
)
肉体
(
にくたい
)
125
一寸
(
ちよつと
)
拝借
(
はいしやく
)
致
(
いた
)
します
126
可愛
(
かあい
)
い
女房
(
にようばう
)
に
先立
(
さきだ
)
たれ
127
まだ
東西
(
とうざい
)
も
知
(
し
)
らぬ
児
(
こ
)
を
128
抱
(
かか
)
へて
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
淋
(
さび
)
しげに
129
暮
(
くら
)
して
御座
(
ござ
)
る
我
(
わが
)
夫
(
つま
)
の
130
心
(
こころ
)
は
如何
(
いか
)
にと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
131
案
(
あん
)
じ
過
(
す
)
ごして
結構
(
けつこう
)
な
132
高天原
(
たかあまはら
)
へもええ
行
(
ゆ
)
かず
133
中有
(
ちうう
)
に
迷
(
まよ
)
うて
居
(
を
)
りまする
134
どうぞ
憐
(
あは
)
れと
思
(
お
)
ぼ
召
(
しめ
)
し
135
お
杉
(
すぎ
)
の
願
(
ねがひ
)
を
聞
(
き
)
いてたべ
136
如何
(
いか
)
に
気強
(
きづよ
)
い
我
(
わが
)
夫
(
つま
)
も
137
二世
(
にせ
)
を
契
(
ちぎ
)
つた
女房
(
にようばう
)
の
138
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
頼
(
たの
)
む
事
(
こと
)
139
よもや
厭
(
いや
)
とは
申
(
まを
)
すまい
140
せめて
十日
(
とをか
)
や
三十
(
さんじふ
)
日
(
にち
)
141
三五教
(
あななひけう
)
に
帰順
(
きじゆん
)
した
142
三
(
さん
)
甲
(
かふ
)
雲
(
うん
)
の
三州
(
さんしう
)
を
143
我
(
わが
)
霊前
(
れいぜん
)
に
額
(
ぬか
)
づかせ
144
輪廻
(
りんね
)
に
迷
(
まよ
)
うた
我
(
わが
)
魂
(
たま
)
を
145
安心
(
あんしん
)
さして
下
(
くだ
)
さんせ
146
もしも
主人
(
しゆじん
)
がゴテゴテと
147
疑
(
うたが
)
うて
聞
(
き
)
かぬ
事
(
こと
)
あれば
148
高春山
(
たかはるやま
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
149
帰
(
かへ
)
つてござる
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
150
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
体
(
たい
)
を
借
(
か
)
り
151
一々
(
いちいち
)
細々
(
こまごま
)
ハズバンドに
152
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
からサツパリと
153
氷解
(
ひようかい
)
するよに
申
(
まを
)
しませう
154
小盗人
(
こぬすと
)
ばかりを
働
(
はたら
)
いた
155
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
も
元
(
もと
)
からの
156
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
でない
157
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
158
身魂
(
みたま
)
の
洗濯
(
せんたく
)
した
上
(
うへ
)
は
159
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
分霊
(
わけみたま
)
160
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
杢助
(
もくすけ
)
の
161
住居
(
すまゐ
)
に
駆
(
か
)
けつけ
幽界
(
いうかい
)
で
162
お
杉
(
すぎ
)
の
霊魂
(
みたま
)
が
苦
(
くるし
)
んで
163
迷
(
まよ
)
うて
居
(
を
)
ると
逐一
(
ちくいち
)
に
164
話
(
はな
)
して
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
されと
165
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
口
(
くち
)
を
借
(
か
)
り
166
涙
(
なみだ
)
ドツサリ
流
(
なが
)
しつつ
167
しみじみ
頼
(
たの
)
んで
居
(
を
)
らしやつた
168
袖
(
そで
)
振
(
ふ
)
り
合
(
あ
)
ふも
多生
(
たしやう
)
の
縁
(
えん
)
169
躓
(
つまづ
)
く
石
(
いし
)
も
縁
(
えん
)
の
端
(
はし
)
170
高春山
(
たかはるやま
)
の
征伐
(
せいばつ
)
に
171
行
(
ゆ
)
かねばならぬ
我
(
われ
)
なれど
172
顕幽
(
けんいう
)
共
(
とも
)
に
助
(
たす
)
け
行
(
ゆ
)
く
173
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
のピユリタンと
174
なつた
我々
(
われわれ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
175
是
(
これ
)
を
見捨
(
みす
)
ててなるものか
176
杢助
(
もくすけ
)
さまがどのやうに
177
頑張
(
ぐわんば
)
り
散
(
ち
)
らして
怒
(
おこ
)
るとも
178
寄
(
よ
)
る
辺
(
べ
)
渚
(
なぎさ
)
の
捨小舟
(
すてをぶね
)
179
浪
(
なみ
)
に
取
(
と
)
られた
沖
(
おき
)
の
舟
(
ふね
)
180
憐
(
あは
)
れ
至極
(
しごく
)
のお
杉
(
すぎ
)
さま
181
助
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げたいばつかりに
182
岩石
(
がんせき
)
起伏
(
きふく
)
の
細道
(
ほそみち
)
を
183
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
めてようように
184
此処
(
ここ
)
まで
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
ましたぞ
185
杢助
(
もくすけ
)
さまは
在宅
(
ざいたく
)
か
186
早
(
はや
)
う
此
(
この
)
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けなされ
187
お
前
(
まへ
)
の
大事
(
だいじ
)
な
女房
(
にようばう
)
の
188
私
(
わたし
)
は
頼
(
たの
)
みで
親切
(
しんせつ
)
に
189
誠
(
まこと
)
尽
(
つく
)
しにやつて
来
(
き
)
た
190
よもや
厭
(
いや
)
とは
言
(
い
)
はりよまい
191
お
杉
(
すぎ
)
さまの
精霊
(
せいれい
)
に
頼
(
たの
)
まれて
192
お
前
(
まへ
)
に
代
(
かは
)
つて
霊前
(
れいぜん
)
に
193
お
給仕
(
きふじ
)
さして
貰
(
もら
)
ひます
194
サアサア
開
(
あ
)
けた サア
開
(
あ
)
けた
195
開
(
あ
)
けて
嬉
(
うれ
)
しい
玉手箱
(
たまてばこ
)
196
これも
全
(
まつた
)
く
三五
(
あななひ
)
の
197
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
と
感謝
(
かんしや
)
して
198
お
前
(
まへ
)
が
今迄
(
いままで
)
貯
(
たくは
)
へた
199
金
(
きん
)
と
銀
(
ぎん
)
との
小玉
(
こだま
)
まで
200
皆
(
みな
)
霊前
(
れいぜん
)
に
置
(
お
)
き
並
(
なら
)
べ
201
お
杉
(
すぎ
)
の
霊
(
みたま
)
を
慰
(
なぐさ
)
めよ
202
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
203
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
204
お
杉
(
すぎ
)
の
精霊
(
せいれい
)
の
憑
(
うつ
)
つたる
205
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
206
それに
従
(
したが
)
ふ
雲
(
うん
)
、
甲
(
かふ
)
、
三
(
さん
)
207
三
(
さん
)
人
(
にん
)
さまのお
目
(
め
)
にかけ
208
修羅
(
しゆら
)
の
妄執
(
まうしふ
)
を
晴
(
は
)
らさして
209
極楽
(
ごくらく
)
参
(
まゐ
)
りをさすがよい
210
女房
(
にようばう
)
となるも
前世
(
さきのよ
)
の
211
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
あればこそ
212
貞操
(
ていさう
)
深
(
ふか
)
いお
杉
(
すぎ
)
さま
213
お
前
(
まへ
)
が
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
214
欲
(
よく
)
に
捉
(
とら
)
はれ
金銀
(
きんぎん
)
に
215
眼
(
まなこ
)
眩
(
くら
)
みて
女房
(
にようばう
)
を
216
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
突落
(
つきおと
)
し
217
可愛
(
かあい
)
い
子供
(
こども
)
に
苦労
(
くらう
)
させ
218
自分
(
じぶん
)
も
死
(
し
)
んで
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
219
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
へと
突込
(
つきこ
)
まれ
220
無限
(
むげん
)
の
苦
(
く
)
をば
嘗
(
な
)
めて
泣
(
な
)
く
221
事
(
こと
)
に
てつきり
定
(
きま
)
つたと
222
貞操
(
ていさう
)
深
(
ふか
)
いお
杉
(
すぎ
)
さまが
223
大変
(
たいへん
)
心配
(
しんぱい
)
遊
(
あそ
)
ばして
224
我
(
われ
)
等
(
ら
)
に
伝言
(
ことづけ
)
なさつたぞ
225
それは
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
一時
(
いつとき
)
も
226
此
(
この
)
門
(
かど
)
開
(
あ
)
けて
下
(
くだ
)
されや
227
ゴテゴテ
言
(
い
)
うて
開
(
あ
)
けぬなら
228
開
(
あ
)
けでもよいがお
前
(
まへ
)
さま
229
未来
(
みらい
)
の
程
(
ほど
)
が
恐
(
おそ
)
ろしと
230
やがて
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
く
時
(
とき
)
が
来
(
く
)
る
231
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
232
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
けて
233
お
前
(
まへ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
行先
(
ゆくさき
)
を
234
キツと
守
(
まも
)
つて
下
(
くだ
)
さらう
235
アヽ
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
しい
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
し
236
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
ふのは
俺
(
おれ
)
ぢやない
237
冥途
(
めいど
)
にござるお
杉
(
すぎ
)
さまだ』
238
と
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せに、
239
憐
(
あは
)
れつぽい
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
歌
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
240
杢助
(
もくすけ
)
フト
目
(
め
)
を
覚
(
さま
)
し、
241
杢助
(
もくすけ
)
『なんだ。
242
門口
(
かどぐち
)
に
乞食
(
こじき
)
が
来
(
き
)
よつて、
243
蚊
(
か
)
の
泣
(
な
)
く
様
(
やう
)
な
声
(
こゑ
)
で
何
(
なん
)
だか
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るやうだ。
244
腹
(
はら
)
が
空
(
へ
)
つとるのだらう。
245
死人
(
しにん
)
に
供
(
そな
)
へた
飯
(
めし
)
の
余
(
あま
)
りがある。
246
此
(
こ
)
れなつと
戴
(
いただ
)
かして、
247
早
(
はや
)
くボツ
払
(
ぱら
)
うてやらう。
248
……エヽこれだけ
気
(
き
)
が
沈淪
(
しづ
)
むで
居
(
ゐ
)
るのに、
249
憐
(
あは
)
れつぽい
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
250
益々
(
ますます
)
淋
(
さび
)
しくなるワ』
251
と
云
(
い
)
ひつつ、
252
門口
(
かどぐち
)
をサラリと
開
(
あ
)
けた
杢助
(
もくすけ
)
、
253
杢助
『
何処
(
どこ
)
の
物貰
(
ものもら
)
ひか
知
(
し
)
らぬが、
254
此
(
この
)
山中
(
さんちう
)
の
一
(
ひと
)
つ
家
(
や
)
へ
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
たのか。
255
腹
(
はら
)
が
空
(
へ
)
つたらしい、
256
力
(
ちから
)
のない
声
(
こゑ
)
だが、
257
生憎
(
あいにく
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
女房
(
にようばう
)
に
死
(
し
)
なれ、
258
俄
(
にはか
)
に
飯
(
めし
)
炊
(
た
)
く
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
らず、
259
骨
(
ほね
)
だらけの
飯
(
めし
)
が
炊
(
た
)
いてある。
260
さうして
女房
(
にようばう
)
の
亡霊
(
ばうれい
)
に
供
(
そな
)
へた
奴
(
やつ
)
も
沢山
(
たくさん
)
に
蓄積
(
たま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
261
恰度
(
ちやうど
)
好
(
い
)
い
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れた。
262
勿体
(
もつたい
)
なくて
放棄
(
ほか
)
す
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ないので
困
(
こま
)
つて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
だ。
263
サア
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ。
264
這入
(
はい
)
つてドツサリと
喰
(
く
)
つて
呉
(
く
)
れい』
265
雲州
(
うんしう
)
『
夜中
(
やちう
)
にお
休眠
(
やすみ
)
になつて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
を、
266
お
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
ましまして
申訳
(
まをしわけ
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ。
267
私
(
わたくし
)
は
先般
(
こなひだ
)
お
世話
(
せわ
)
になつた
雲州
(
うんしう
)
、
268
この
二人
(
ふたり
)
は
甲州
(
かふしう
)
、
269
三州
(
さんしう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
270
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
伴
(
とも
)
をして
津田
(
つだ
)
の
湖辺
(
こへん
)
まで
参
(
まゐ
)
りますと、
271
お
杉
(
すぎ
)
さまの
精霊
(
せいれい
)
が
現
(
あら
)
はれ
遊
(
あそ
)
ばして、
272
是非
(
ぜひ
)
共
(
とも
)
杢助
(
もくすけ
)
さまに
一度
(
いちど
)
会
(
あ
)
つて
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れと
仰有
(
おつしや
)
つたものですから、
273
高春山
(
たかはるやま
)
の
征服
(
せいふく
)
の
結構
(
けつこう
)
なお
伴
(
とも
)
を
棒
(
ぼう
)
に
振
(
ふ
)
つて
漸
(
やうや
)
く
此処
(
ここ
)
までスタスタやつて
来
(
き
)
ました』
274
杢助
(
もくすけ
)
『アヽさうでしたか。
275
それは
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に、
276
女房
(
にようばう
)
の
精霊
(
せいれい
)
も
定
(
さだ
)
めて
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
でせう。
277
此処
(
ここ
)
は
小杉
(
こすぎ
)
の
森
(
もり
)
の
祠
(
ほこら
)
とはチツト
広
(
ひろ
)
う
御座
(
ござ
)
いますから、
278
ユツクリとお
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
279
雲州
(
うんしう
)
『
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
います。
280
小杉
(
こすぎ
)
の
森
(
もり
)
の
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
とは、
281
それや
貴方
(
あなた
)
御存
(
ごぞん
)
じですか』
282
杢助
(
もくすけ
)
『
御存
(
ごぞん
)
じも
御存
(
ごぞん
)
じだ、
283
此家
(
ここ
)
から
僅
(
わづ
)
か
四五丁
(
しごちやう
)
より
無
(
な
)
い。
284
俺
(
わし
)
の
日々
(
にちにち
)
信仰
(
しんかう
)
するお
宮
(
みや
)
さまだ。
285
其
(
その
)
神
(
かみ
)
さまは
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
で、
286
何
(
なん
)
でもかでも
信神
(
しんじん
)
の
徳
(
とく
)
に
依
(
よ
)
つて
知
(
し
)
らして
下
(
くだ
)
さるのだ。
287
お
三人
(
さんにん
)
様
(
さま
)
、
288
随分
(
ずゐぶん
)
作戦
(
さくせん
)
計画
(
けいくわく
)
は
手落
(
ておち
)
なく
整
(
ととの
)
ひましたかなア。
289
イヤ
成功
(
せいこう
)
する
見込
(
みこみ
)
がありますかな。
290
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
る
秘密
(
ひみつ
)
書類
(
しよるゐ
)
を、
291
遠州
(
ゑんしう
)
、
292
駿州
(
すんしう
)
、
293
武州
(
ぶしう
)
が、
294
今頃
(
いまごろ
)
はウマク
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて
御座
(
ござ
)
るでせう。
295
お
前
(
まへ
)
等
(
たち
)
も
負
(
ま
)
けない
様
(
やう
)
に
計略
(
けいりやく
)
を
廻
(
めぐ
)
らして、
296
金銀
(
きんぎん
)
の
小玉
(
こだま
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れたが
良
(
よ
)
からうぞ』
297
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せ、
298
小声
(
こごゑ
)
で、
299
三
(
さん
)
人
(
にん
)
『オイ
怪体
(
けつたい
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふぢやないか。
300
どうしてあんな
事
(
こと
)
が
判
(
わか
)
つたのだらうか。
301
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
盗賊
(
どろぼう
)
演習
(
えんしふ
)
を、
302
ソツと
側
(
そば
)
で
観戦
(
くわんせん
)
して
居
(
ゐ
)
たのぢやなからうか。
303
これやモウ
駄目
(
だめ
)
だぞ』
304
杢助
(
もくすけ
)
『アハヽヽヽ、
305
俺
(
わし
)
が
小杉
(
こすぎ
)
の
森
(
もり
)
の
祠
(
ほこら
)
に
参拝
(
さんぱい
)
して
居
(
を
)
ると、
306
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
小盗人
(
こぬすと
)
奴
(
め
)
が、
307
何処
(
どこ
)
からともなくやつて
来
(
き
)
やがつて、
308
虫
(
むし
)
のよい
妙
(
めう
)
な
相談
(
そうだん
)
をやつて
居
(
ゐ
)
よつた。
309
盗
(
と
)
らぬ
先
(
さき
)
から
取
(
と
)
つた
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
になつて、
310
涸
(
かわ
)
き
切
(
き
)
つた
智慧
(
ちゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
し、
311
終局
(
しまひのはて
)
には、
312
人名
(
じんめい
)
や
器具
(
きぐ
)
などの
名詞
(
めいし
)
を
逆唱
(
ぎやくしやう
)
してお
経
(
きやう
)
に
見
(
み
)
せたり、
313
哀
(
あは
)
れつぽい
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて、
314
寒
(
さむ
)
いのにビリビリ
慄
(
ふる
)
へて
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
やがつた
奴
(
やつ
)
は
誰
(
だ
)
れだあい』
315
と
雷
(
かみなり
)
の
落
(
お
)
ちたやうな
声
(
こゑ
)
で
終
(
しまひ
)
の
一句
(
いつく
)
を
高
(
たか
)
く
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
316
雲州
(
うんしう
)
は
慄
(
ふる
)
ひながら、
317
雲州
『ワヽ
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
高名
(
かうめい
)
を
一寸
(
ちよつと
)
拝借
(
はいしやく
)
致
(
いた
)
しまして、
318
洒落
(
しやれ
)
に
芝居
(
しばゐ
)
をしたのです』
319
杢助
『
芝居
(
しばゐ
)
なら
芝居
(
しばゐ
)
でよい。
320
さうすれば
金銀
(
きんぎん
)
の
小玉
(
こだま
)
は
必要
(
ひつえう
)
がないのだなア』
321
雲州
『ハイ、
322
ヒヽ
必要
(
ひつえう
)
はないことはありませぬ。
323
併
(
しか
)
し
猿猴
(
ゑんこう
)
が
水
(
みづ
)
の
月
(
つき
)
を
探
(
さぐ
)
るやうなもので
到底
(
たうてい
)
貴方
(
あなた
)
のお
手
(
て
)
にある
以上
(
いじやう
)
は
私
(
わたくし
)
の
自由
(
じいう
)
になりますまい。
324
オイ
甲州
(
かふしう
)
、
325
三州
(
さんしう
)
、
326
汝
(
きさま
)
の
意見
(
いけん
)
は
何
(
ど
)
うだ。
327
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
うても
遠州
(
ゑんしう
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
が
無
(
な
)
いぢやないか』
328
杢助
『
汝
(
きさま
)
の
執着心
(
しふちやくしん
)
が、
329
俺所
(
おれんとこ
)
の
宝
(
たから
)
に
付着
(
ふちやく
)
して
居
(
を
)
るから、
330
俺
(
おれ
)
も
今日
(
こんにち
)
では、
331
最早
(
もはや
)
金銀
(
きんぎん
)
の
恐
(
おそ
)
ろしいと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
つたのだ。
332
恰度
(
まるで
)
、
333
蜈蚣
(
むかで
)
か
蝮
(
はみ
)
か
鬼
(
おに
)
のやうな
心持
(
こころもち
)
がする。
334
夜前
(
やぜん
)
も
金銀
(
きんぎん
)
の
小玉
(
こだま
)
奴
(
め
)
が
赤鬼
(
あかおに
)
や
黒鬼
(
くろおに
)
に
化
(
ば
)
けて、
335
鉄
(
かね
)
の
棒
(
ぼう
)
をもつて
俺
(
おれ
)
を
突刺
(
つきさ
)
しに
来
(
き
)
よつた。
336
今後
(
こんご
)
此
(
この
)
金
(
かね
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れた
奴
(
やつ
)
は
皆
(
みな
)
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りにしてやると
吐
(
ぬか
)
しよつたぞ。
337
本当
(
ほんたう
)
に
金
(
かね
)
が
敵
(
かたき
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
とは
好
(
よ
)
く
云
(
い
)
うたものだよ。
338
汝
(
きさま
)
等
(
ら
)
もそれ
程
(
ほど
)
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
しければ
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
つたがよい。
339
併
(
しか
)
し
鬼
(
おに
)
が
出
(
で
)
て
即座
(
そくざ
)
に
汝
(
きさま
)
の
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
つても
承知
(
しようち
)
かい』
340
雲州
『ソヽその
鬼
(
おに
)
は
何時
(
いつ
)
でも
出
(
で
)
ますか』
341
杢助
『ウン、
342
何時
(
いつ
)
でも
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る。
343
汝
(
きさま
)
の
現
(
げん
)
に
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
にも
鉄棒
(
かなぼう
)
を
突
(
つ
)
いて
現
(
あら
)
はれて
居
(
を
)
るぢやないか。
344
そして
現実
(
げんじつ
)
的
(
てき
)
に
現
(
あら
)
はれた
鬼
(
おに
)
は、
345
百人力
(
ひやくにんりき
)
の
杢助
(
もくすけ
)
と
云
(
い
)
ふ
手
(
て
)
に
合
(
あ
)
はぬ
やもを
の
鬼
(
おに
)
だ。
346
第一
(
だいいち
)
その
鬼
(
おに
)
が
最
(
もつと
)
も
手
(
て
)
に
合
(
あ
)
はぬのだよ、
347
アハヽヽヽ』
348
雲州
『そんなら
私
(
わたくし
)
はもう
是
(
これ
)
で
泥棒
(
どろばう
)
は
廃業
(
はいげふ
)
しますから
堪
(
こら
)
へて
下
(
くだ
)
さい』
349
杢助
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな、
350
地獄
(
ぢごく
)
の
沙汰
(
さた
)
も
金
(
かね
)
次第
(
しだい
)
だ。
351
金
(
かね
)
さへあれば
何
(
ど
)
んな
恐
(
こは
)
い
鬼
(
おに
)
でも
俄
(
にはか
)
に
地蔵
(
ぢざう
)
様
(
さま
)
のやうになつて
仕舞
(
しま
)
ふのだ。
352
サアサア
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ、
353
御
(
ご
)
註文
(
ちゆうもん
)
通
(
どほ
)
り
女房
(
にようばう
)
の
御
(
ご
)
霊前
(
れいぜん
)
に
供
(
そな
)
へてある、
354
トツトと
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
れ』
355
三州
『そんなら
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
なう
頂
(
いただ
)
いて
帰
(
かへ
)
りませうか』
356
杢助
『
薪
(
たきぎ
)
に
油
(
あぶら
)
をかけ、
357
それを
抱
(
だ
)
いて
火中
(
くわちう
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
むやうな
剣呑
(
けんのん
)
な
芸当
(
げいたう
)
だぞ。
358
旨
(
うま
)
く
汝
(
きさま
)
でそれが
遂行
(
すゐかう
)
出来
(
でき
)
るか』
359
甲州
『
背中
(
せなか
)
に
腹
(
はら
)
は
代
(
か
)
へられぬ。
360
一寸
(
ちよつと
)
で
宜敷
(
よろし
)
いから、
361
長
(
なが
)
らく
拝借
(
はいしやく
)
しようとは
申
(
まを
)
しませぬ、
362
触
(
さは
)
らしてさへ
下
(
くだ
)
さればよろしい』
363
杢助
『
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
だ。
364
持
(
も
)
つて
去
(
い
)
ねと
云
(
い
)
つたら、
365
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
れツ』
366
三州
『
差支
(
さしつか
)
へはありませぬか』
367
杢助
『
汝
(
きさま
)
が
最前
(
さいぜん
)
小杉
(
こすぎ
)
の
森
(
もり
)
で
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
た、
368
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
従
(
つ
)
いて
行
(
い
)
つた
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
計略
(
けいりやく
)
を、
369
逐一
(
ちくいち
)
此処
(
ここ
)
で
白状
(
はくじやう
)
せい。
370
さうすれば
其
(
その
)
白状賃
(
はくじやうちん
)
として、
371
あるだけ
皆
(
みな
)
汝
(
きさま
)
に
渡
(
わた
)
してやらう。
372
さうすれば
汝
(
きさま
)
も
泥棒
(
どろばう
)
したのでない、
373
俺
(
おれ
)
から
報酬
(
ほうしう
)
として
貰
(
もら
)
つたのだから』
374
雲州
(
うんしう
)
喉
(
のど
)
をゴロゴロ
云
(
い
)
はせながら、
375
雲州
『それは
杢助
(
もくすけ
)
さま、
376
真
(
ほんと
)
ですかな。
377
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
計略
(
けいりやく
)
を
此処
(
ここ
)
で
薩張
(
さつぱり
)
云
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つては、
378
遠州
(
ゑんしう
)
の
親方
(
おやかた
)
に
縁
(
えん
)
を
絶
(
き
)
られて
仕舞
(
しま
)
ふかも
知
(
し
)
れませぬ』
379
杢助
『
泥棒
(
どろばう
)
に
縁
(
えん
)
を
絶
(
き
)
られても
好
(
い
)
いぢやないか。
380
汝
(
きさま
)
はそれほど
泥棒
(
どろばう
)
を
結構
(
けつこう
)
な
商売
(
しやうばい
)
と
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
るのか』
381
雲州
『
金
(
かね
)
は
欲
(
ほ
)
しいし、
382
遠州
(
ゑんしう
)
の
親分
(
おやぶん
)
に
縁
(
えん
)
を
絶
(
き
)
られるのは
辛
(
つら
)
いし、
383
オイ
三州
(
さんしう
)
、
384
甲州
(
かふしう
)
、
385
秘密
(
ひみつ
)
を
明
(
あ
)
かして
金
(
かね
)
を
貰
(
もら
)
つて
帰
(
かへ
)
らうか………エヽ
秘密
(
ひみつ
)
を
云
(
い
)
つて
金
(
かね
)
を
貰
(
もら
)
へば
我々
(
われわれ
)
の
估券
(
こけん
)
が
下
(
さ
)
がるなり、
386
何程
(
なにほど
)
此奴
(
こいつ
)
が
強
(
つよ
)
いと
云
(
い
)
つても
知
(
し
)
れたものだ。
387
サア
三
(
さん
)
人
(
にん
)
寄
(
よ
)
つて
此奴
(
こいつ
)
をフン
縛
(
じば
)
り
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
らう』
388
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
389
杢助
(
もくすけ
)
に
三方
(
さんぱう
)
から
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りついた。
390
杢助
(
もくすけ
)
はまるで
蝶々
(
てふてふ
)
でも
押
(
おさ
)
へたやうに、
391
杢助
『
何
(
なに
)
を
小癪
(
こしやく
)
な、
392
蠅虫
(
はへむし
)
奴
(
め
)
等
(
ら
)
』
393
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
一緒
(
いつしよ
)
に
倒
(
たふ
)
し、
394
グツと
股
(
また
)
に
支
(
ささ
)
へ、
395
蠑螺
(
さざえ
)
のやうな
拳骨
(
げんこつ
)
を
固
(
かた
)
めて、
396
杢助
『
是
(
これ
)
程
(
ほど
)
事
(
こと
)
を
分
(
わ
)
けて
俺
(
おれ
)
が
柔順
(
おとな
)
しく
出
(
で
)
れば
のし
上
(
あが
)
り、
397
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
すか。
398
最早
(
もはや
)
汝
(
きさま
)
は
改心
(
かいしん
)
の
望
(
のぞ
)
みがない。
399
サア
此
(
この
)
拳骨
(
げんこつ
)
が
一
(
ひと
)
つ
触
(
さは
)
るや
否
(
いな
)
や、
400
汝
(
きさま
)
の
命
(
いのち
)
はそれきりだ。
401
俺
(
おれ
)
の
女房
(
にようばう
)
のお
伴
(
とも
)
をさしてやらう』
402
と
今
(
いま
)
や
打
(
う
)
たむとする
時
(
とき
)
、
403
六才
(
むつつ
)
になつた
娘
(
むすめ
)
のお
初
(
はつ
)
は
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
い
)
で、
404
お初
『お
父
(
とう
)
さま、
405
まア
待
(
ま
)
つておやりなさい。
406
さうして
此
(
この
)
お
金
(
かね
)
は
此
(
この
)
人
(
ひと
)
に
遣
(
や
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
407
杢助
『お
前
(
まへ
)
が
成人
(
せいじん
)
してから、
408
好
(
よ
)
い
婿
(
むこ
)
を
貰
(
もら
)
ひ、
409
楽
(
らく
)
に
暮
(
くら
)
せる
様
(
やう
)
にと
思
(
おも
)
つて、
410
夜昼
(
よるひる
)
働
(
はたら
)
いて
貯
(
た
)
めて
置
(
お
)
いたお
金
(
かね
)
だ。
411
此
(
この
)
金
(
かね
)
は
詮
(
つま
)
り
俺
(
おれ
)
のものぢやない、
412
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
で
既
(
すで
)
にお
前
(
まへ
)
にやつてあるのだ』
413
お初
『お
父
(
とう
)
さま、
414
そんなら
今
(
いま
)
私
(
わたくし
)
に
下
(
くだ
)
さいな』
415
杢助
『オヽ
何時
(
いつ
)
でもやる。
416
今
(
いま
)
か、
417
今
(
いま
)
やつて
置
(
お
)
かう』
418
お初
『そんなら
貰
(
もら
)
ひました。
419
これこれ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
、
420
私
(
わたくし
)
が
此
(
この
)
金
(
かね
)
を
皆
(
みんな
)
にあげるから
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
りなさい。
421
その
代
(
かは
)
りにこれで
何
(
なん
)
なりと
商売
(
しやうばい
)
をして、
422
もう
此
(
この
)
先
(
さき
)
はこんな
恐
(
こは
)
い
商売
(
しやうばい
)
は
廃
(
や
)
めなさい。
423
お
父
(
とう
)
さま、
424
何卒
(
どうぞ
)
この
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
助
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さい』
425
杢助
『よしよし、
426
ヤア
命冥加
(
いのちみやうが
)
な
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
、
427
娘
(
むすめ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をよく
聞
(
き
)
いて、
428
此
(
この
)
金
(
かね
)
をもつて
何
(
なん
)
とか
商売
(
しやうばい
)
をして、
429
今後
(
こんご
)
は
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をすな。
430
サア
早
(
はや
)
く
持
(
も
)
つて
帰
(
かへ
)
れ』
431
三
(
さん
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
432
三人
『
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まぬ
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
433
そんなら
暫
(
しばら
)
く
拝借
(
はいしやく
)
して
帰
(
かへ
)
ります。
434
きつと
是
(
これ
)
はお
返
(
かへ
)
し
致
(
いた
)
します』
435
お
初
(
はつ
)
『
貸
(
か
)
したのでは
無
(
な
)
い、
436
進上
(
あげ
)
たのだから
返
(
かへ
)
しては
要
(
い
)
りませぬ。
437
こんな
恐
(
こは
)
いものがあると
私
(
わたくし
)
の
将来
(
しやうらい
)
のためになりませぬ。
438
アヽお
父
(
とう
)
さま、
439
これで
気楽
(
きらく
)
になりました。
440
よう
私
(
わたくし
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
441
このお
金
(
かね
)
があるばつかりで、
442
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
恐
(
こは
)
くつて
寝
(
ね
)
るのも
寝
(
ね
)
られませなんだ。
443
お
母
(
かあ
)
さまも
此
(
この
)
お
金
(
かね
)
のために
心配
(
しんぱい
)
して、
444
あんな
病気
(
びやうき
)
になつたのです』
445
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はお
初
(
はつ
)
の
渡
(
わた
)
す
金包
(
かねづつみ
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
446
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
る。
447
杢助
(
もくすけ
)
はお
初
(
はつ
)
を
抱
(
いだ
)
き、
448
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れながら、
449
杢助
『アヽお
初
(
はつ
)
、
450
有
(
あ
)
り
難
(
がた
)
い、
451
金銀
(
きんぎん
)
よりも
何
(
なに
)
よりも
貴
(
たつと
)
い
宝
(
たから
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
つた。
452
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
453
と
合掌
(
がつしやう
)
し、
454
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
455
折
(
をり
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
きた
)
る
夜嵐
(
よあらし
)
の
声
(
こゑ
)
、
456
雨戸
(
あまど
)
をガタガタガタと
揺
(
ゆす
)
つて
通
(
とほ
)
る。
457
(
大正一一・五・一九
旧四・二三
加藤明子
録)
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【第7章 誠の宝|第21巻|如意宝珠|霊界物語|/rm2107】
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