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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第21巻(申の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 千辛万苦
第1章 高春山
第2章 夢の懸橋
第3章 月休殿
第4章 砂利喰
第5章 言の疵
第2篇 是生滅法
第6章 小杉の森
第7章 誠の宝
第8章 津田の湖
第9章 改悟の酬
第3篇 男女共権
第10章 女権拡張
第11章 鬼娘
第12章 奇の女
第13章 夢の女
第14章 恩愛の涙
第4篇 反復無常
第15章 化地蔵
第16章 約束履行
第17章 酒の息
第18章 解決
余白歌
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霊界物語
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> 第2篇 是生滅法 > 第8章 津田の湖
<<< 誠の宝
(B)
(N)
改悟の酬 >>>
第八章
津田
(
つだ
)
の
湖
(
うみ
)
〔六八二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻
篇:
第2篇 是生滅法
よみ(新仮名遣い):
ぜしょうめっぽう
章:
第8章 津田の湖
よみ(新仮名遣い):
つだのうみ
通し章番号:
682
口述日:
1922(大正11)年05月19日(旧04月23日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
竜国別は道を北にとって迂回し、大谷山方面からアルプス教を攻めることとなった。国依別は鼓の滝から六甲山へ至る道をとった。そして玉治別は元盗人の三人と共に、津田の湖を舟で越えるルートをとった。
しかし玉治別が舟をこいで湖の半ばにさしかかると、三人はにわかに態度を変え、玉治別の懐のアルプス教の計画書を奪おうとし始めた。三人は櫂で玉治別に打ちかかり、玉治別は湖に落ちてしまった。
三人は落ちた玉治別を櫂で殴りつけようとする。九死に一生のところで、一艘の舟が矢のように現れて、玉治別を救った。これは杢助とお初が助けに来たのであった。
盗人たち三人は杢助の出現に驚いて慌てて逃げるが、湖の中にある大岩石に衝突して舟は砕け、湖水に落ちてしまった。
玉治別は櫂をこいで行き、三人を大岩石の上に助け上げると、宣伝歌を歌って聞かせた。杢助も、三人に仲間の失敗を告げて、改心を迫る。
しかしお初は今度は三人を懲らしめた方がよいと主張し、舟は三人を湖中の大岩石の上に残したまま行ってしまった。するとにわかに湖水のかさが増して、三人は首のあたりまで水に浸かってしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-05-10 18:16:24
OBC :
rm2108
愛善世界社版:
154頁
八幡書店版:
第4輯 320頁
修補版:
校定版:
159頁
普及版:
70頁
初版:
ページ備考:
001
津田
(
つだ
)
の
湖辺
(
こへん
)
に
現
(
あら
)
はれたる
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
始
(
はじ
)
め、
002
遠
(
ゑん
)
、
003
駿
(
すん
)
、
004
武
(
ぶ
)
、
005
三
(
さん
)
、
006
甲
(
かふ
)
、
007
雲
(
うん
)
の
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
高春山
(
たかはるやま
)
を
遥
(
はるか
)
に
眺
(
なが
)
めて、
008
今
(
いま
)
や
三方
(
さんぱう
)
より
進撃
(
しんげき
)
せんとする
計画
(
けいくわく
)
を
定
(
さだ
)
むる
折
(
をり
)
しも、
009
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
泥棒
(
どろばう
)
は
内輪
(
うちわ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
を
始
(
はじ
)
め
出
(
だ
)
し、
010
武州
(
ぶしう
)
、
011
駿州
(
すんしう
)
、
012
遠州
(
ゑんしう
)
は
向脛
(
むかふづね
)
を
打
(
う
)
たれて
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れたるを
見
(
み
)
すまし、
013
三
(
さん
)
、
014
甲
(
かふ
)
、
015
雲
(
うん
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
見捨
(
みす
)
てて、
016
元
(
もと
)
来
(
き
)
し
道
(
みち
)
に
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つた。
017
茲
(
ここ
)
に
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
道
(
みち
)
を
北
(
きた
)
に
採
(
と
)
り、
018
迂回
(
うくわい
)
して
大谷山
(
おほたにやま
)
より
攻
(
せ
)
め
上
(
のぼ
)
る
事
(
こと
)
とした。
019
又
(
また
)
国依別
(
くによりわけ
)
は
鼓
(
つづみ
)
の
滝
(
たき
)
を
越
(
こ
)
え
六甲山
(
ろくかふざん
)
に
登
(
のぼ
)
り、
020
魔神
(
まがみ
)
を
言向
(
ことむ
)
けつつ
高春山
(
たかはるやま
)
に
向
(
むか
)
ふ
計画
(
けいくわく
)
を
定
(
さだ
)
めた。
021
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
湖辺
(
こへん
)
に
繋
(
つな
)
ぎある
舟
(
ふね
)
に
身
(
み
)
を
托
(
たく
)
し、
022
津田
(
つだ
)
の
湖
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
つて
驀地
(
まつしぐら
)
に
高春山
(
たかはるやま
)
に
押寄
(
おしよ
)
すべく、
023
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
めた
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せて
自
(
みづか
)
ら
艪
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
024
寒風
(
かんぷう
)
荒
(
すさ
)
む
月
(
つき
)
の
夜
(
よ
)
を
西方
(
せいはう
)
の
山麓
(
さんろく
)
目蒐
(
めが
)
けて
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
い
)
だす。
025
湖水
(
こすゐ
)
の
殆
(
ほとん
)
ど
中央
(
ちうあう
)
まで
進
(
すす
)
みし
時
(
とき
)
、
026
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
俄
(
にはか
)
に
立上
(
たちあが
)
り、
027
遠州
(
ゑんしう
)
『オイ
貴様
(
きさま
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
028
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
す
神聖
(
しんせい
)
な
役目
(
やくめ
)
であり
乍
(
なが
)
ら、
029
秘密
(
ひみつ
)
書類
(
しよるゐ
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れたを
幸
(
さいはひ
)
に、
030
敵
(
てき
)
の
備
(
そな
)
へを
覚
(
さと
)
り、
031
三方
(
さんぱう
)
より
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せむとするは
実
(
じつ
)
に
見下
(
みさ
)
げ
果
(
は
)
てたるやり
方
(
かた
)
だ。
032
何故
(
なぜ
)
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つで
進
(
すす
)
まぬのかい』
033
駿州
(
すんしう
)
『
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
はその
手帳
(
てちやう
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
仲間
(
なかま
)
に
取
(
と
)
つて
大切
(
たいせつ
)
な
品物
(
しなもの
)
だ。
034
それを
貴様
(
きさま
)
に
奪
(
と
)
られて
堪
(
たま
)
るものか。
035
杢助
(
もくすけ
)
の
宅
(
たく
)
に
於
(
お
)
いて、
036
この
大切
(
たいせつ
)
な
書類
(
しよるゐ
)
を
貴様
(
きさま
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れたのを
覚
(
さと
)
つた
故
(
ゆゑ
)
、
037
吾々
(
われわれ
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
道々
(
みちみち
)
符牒
(
ふてう
)
を
以
(
もつ
)
て
諜
(
しめ
)
し
合
(
あ
)
はせ、
038
態
(
わざ
)
と
喧嘩
(
けんくわ
)
をして
見
(
み
)
せ、
039
脚
(
あし
)
が
痛
(
いた
)
いと
詐
(
いつは
)
つてこの
舟
(
ふね
)
に
乗込
(
のりこ
)
んだのだぞ』
040
武州
(
ぶしう
)
『サア、
041
最早
(
もはや
)
ジタバタしても
叶
(
かな
)
はぬぞ。
042
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
と
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
に
返納
(
へんなふ
)
致
(
いた
)
せ。
043
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬか
)
すと、
044
此
(
こ
)
の
湖中
(
こちう
)
へ
投
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
ふぞ』
045
玉治別
(
たまはるわけ
)
『アハヽヽヽ、
046
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
すのだ。
047
三五教
(
あななひけう
)
の
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
向
(
むか
)
つて、
048
刃向
(
はむか
)
うとは、
049
生命
(
いのち
)
知
(
し
)
らずも
程
(
ほど
)
がある。
050
蟷螂
(
たうらう
)
の
斧
(
をの
)
を
揮
(
ふる
)
つて
竜車
(
りうしや
)
に
向
(
むか
)
ふも
同然
(
どうぜん
)
、
051
速
(
すみや
)
かに
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
せば
赦
(
ゆる
)
してやるが、
052
何処
(
どこ
)
までも
悪心
(
あくしん
)
を
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
すなら、
053
最早
(
もはや
)
是非
(
ぜひ
)
に
及
(
およ
)
ばぬ、
054
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
汝
(
なんぢ
)
が
身体
(
からだ
)
を
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げ、
055
此
(
こ
)
の
湖水
(
こすゐ
)
へ
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んでやらうか』
056
遠州
(
ゑんしう
)
『
貴様
(
きさま
)
に
言霊
(
ことたま
)
の
武器
(
ぶき
)
があれば、
057
此方
(
こちら
)
にも
言霊
(
ことたま
)
の
武器
(
ぶき
)
がある。
058
おまけにこの
鉄腕
(
てつわん
)
が
唸
(
うな
)
りを
立
(
た
)
てて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るぞよ。
059
サア
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
方
(
はう
)
に
渡
(
わた
)
さないか』
060
玉治別
『
渡
(
わた
)
せと
云
(
い
)
つても
俺
(
おれ
)
一人
(
ひとり
)
の
物
(
もの
)
では
無
(
な
)
い。
061
竜国別
(
たつくにわけ
)
や、
062
国依別
(
くによりわけ
)
に
協議
(
けふぎ
)
をした
上
(
うへ
)
、
063
渡
(
わた
)
してもよければ
渡
(
わた
)
してやらう』
064
遠州
『
馬鹿
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふな。
065
竜国別
(
たつくにわけ
)
や、
066
国依別
(
くによりわけ
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
同類
(
どうるゐ
)
が
途中
(
とちう
)
に
待伏
(
まちふ
)
せて、
067
平
(
たひ
)
らげて
了
(
しま
)
ふ
手筈
(
てはず
)
がチヤンと
整
(
ととの
)
うて
居
(
を
)
るのだ。
068
この
湖
(
みづうみ
)
を
向方
(
むかふ
)
へ
渡
(
わた
)
るが
最後
(
さいご
)
、
069
味方
(
みかた
)
のものが
待
(
ま
)
ちうけて、
070
貴様
(
きさま
)
を
嬲殺
(
なぶりごろ
)
しにする
手筈
(
てはず
)
が
定
(
きま
)
つて
居
(
を
)
る。
071
驚
(
おどろ
)
いたか、
072
何
(
なん
)
と
吾々
(
われわれ
)
の
計略
(
けいりやく
)
は
偉
(
えら
)
いものだらう』
073
玉治別
『たとへ
小童
(
こわつぱ
)
どもの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
や
五
(
ご
)
人
(
にん
)
、
074
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
るとも、
075
恟
(
びく
)
とも
致
(
いた
)
すやうな
玉治別
(
たまはるわけ
)
では
無
(
な
)
い、
076
あんまり
見損
(
みそこな
)
ひを
致
(
いた
)
すな。
077
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
は
表面
(
おもて
)
にアルプス
教
(
けう
)
を
標榜
(
へうぼう
)
しながら、
078
山賊
(
さんぞく
)
の
大親分
(
おほおやぶん
)
になつて
居
(
を
)
るのだな』
079
駿州
(
すんしう
)
『
馬鹿
(
ばか
)
を
云
(
い
)
ふない。
080
アルプス
教
(
けう
)
には
泥棒
(
どろばう
)
は
一人
(
ひとり
)
も
居
(
ゐ
)
ない。
081
唯
(
ただ
)
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
駄賃
(
だちん
)
を
貰
(
もら
)
つて
此
(
この
)
仕事
(
しごと
)
をするだけだ。
082
実
(
じつ
)
は
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
はアルプス
教
(
けう
)
ではない。
083
盗人
(
ぬすびと
)
の
団体
(
だんたい
)
だからトツクリ
見
(
み
)
て
見
(
み
)
よ。
084
その
手帳
(
てちやう
)
に
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
名
(
な
)
は
記
(
しる
)
してない
筈
(
はづ
)
だ。
085
聖地
(
せいち
)
へ
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
んだ
奴
(
やつ
)
の
名前
(
なまへ
)
が
沢山
(
たくさん
)
あるといふことだが、
086
最早
(
もはや
)
貴様
(
きさま
)
にそれが
判
(
わか
)
つたところで、
087
アルプス
教
(
けう
)
は
痛痒
(
つうよう
)
を
感
(
かん
)
じない。
088
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
亡
(
な
)
き
者
(
もの
)
に
致
(
いた
)
せばよいのだ。
089
……オイ
何
(
ど
)
うだい、
090
此奴
(
こいつ
)
を
真裸体
(
まつぱだか
)
にして
秘密
(
ひみつ
)
書類
(
しよるゐ
)
をフン
奪
(
だく
)
り、
091
高春山
(
たかはるやま
)
へ
持参
(
ぢさん
)
せば
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
褒美
(
ほうび
)
が
頂戴
(
ちやうだい
)
出来
(
でき
)
る。
092
サア
ぬかる
な』
093
と
三方
(
さんぱう
)
より
櫂
(
かい
)
を
以
(
もつ
)
て
打
(
う
)
つてかかる。
094
無抵抗
(
むていかう
)
主義
(
しゆぎ
)
の
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
も、
095
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
正当
(
せいたう
)
防禦
(
ばうぎよ
)
の
積
(
つも
)
りで、
096
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
謳
(
うた
)
つた。
097
されど
神慮
(
しんりよ
)
に
反
(
そむ
)
きし
敵
(
てき
)
の
秘密
(
ひみつ
)
書類
(
しよるゐ
)
を
懐中
(
くわいちゆう
)
したる
穢
(
けが
)
れのためか、
098
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
も、
099
鎮魂
(
ちんこん
)
も、
100
何
(
なん
)
の
効果
(
かうくわ
)
も
現
(
あら
)
はれなかつた。
101
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
三方
(
さんぱう
)
より
滅多打
(
めつたう
)
ちに
打
(
う
)
ちかかる。
102
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず、
103
又
(
また
)
もや
櫂
(
かい
)
を
握
(
にぎ
)
るより
早
(
はや
)
く
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
中
(
なか
)
に
交
(
まじ
)
つて
飛鳥
(
ひてう
)
の
如
(
ごと
)
く
防
(
ふせ
)
ぎ
戦
(
たたか
)
うた。
104
如何
(
いか
)
がはしけむ、
105
遠州
(
ゑんしう
)
はバサリと
湖中
(
こちう
)
に
落
(
お
)
ちた。
106
二人
(
ふたり
)
に
追
(
お
)
ひ
詰
(
つ
)
められて
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
又
(
また
)
もやザンブとばかり
湖中
(
こちう
)
に
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
落込
(
おちこ
)
んだ。
107
舟
(
ふね
)
に
掻
(
か
)
き
着
(
つ
)
き
上
(
あが
)
らうとすれば、
108
二人
(
ふたり
)
は
上
(
うへ
)
より
櫂
(
かい
)
を
以
(
もつ
)
て
頭
(
あたま
)
を
撲
(
なぐ
)
りつけやうとする。
109
遠州
(
ゑんしう
)
は
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
舟
(
ふね
)
に
駆上
(
かけあが
)
り、
110
遠州
『サア
玉
(
たま
)
の
奴
(
やつ
)
、
111
神妙
(
しんめう
)
に
渡
(
わた
)
せばよし、
112
渡
(
わた
)
さねば
貴様
(
きさま
)
の
生命
(
いのち
)
はモーないぞ』
113
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
抜
(
ぬ
)
き
手
(
て
)
を
切
(
き
)
つて
逃出
(
にげだ
)
す。
114
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
櫂
(
かい
)
を
操
(
あやつ
)
り
乍
(
なが
)
ら
玉治別
(
たまはるわけ
)
を
追
(
お
)
ひかける。
115
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
浮
(
う
)
きつ
沈
(
しづ
)
みつ
逃
(
に
)
げ
廻
(
まは
)
る。
116
秘密
(
ひみつ
)
書類
(
しよるゐ
)
は
懐中
(
くわいちゆう
)
より
脱出
(
だつしゆつ
)
して
水面
(
すゐめん
)
に
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
つた。
117
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
手早
(
てばや
)
く
之
(
これ
)
を
拾
(
ひろ
)
ひ
上
(
あ
)
げて、
118
大切
(
たいせつ
)
に
濡
(
ぬ
)
れた
儘
(
まま
)
そつ
と
舟
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
に
匿
(
かく
)
し、
119
尚
(
なほ
)
も
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
浮
(
う
)
きつ
沈
(
しづ
)
みつ
逃
(
に
)
ぐるを
追
(
お
)
ひかけ、
120
頭
(
あたま
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
撲
(
なぐ
)
りつけようとする。
121
撲
(
なぐ
)
られては
一大事
(
いちだいじ
)
と、
122
苦
(
くる
)
しき
息
(
いき
)
を
凝
(
こ
)
らし
乍
(
なが
)
ら
水底
(
すゐてい
)
を
潜
(
くぐ
)
り、
123
一方
(
いつぱう
)
に
頭
(
あたま
)
を
上
(
あ
)
げて
息
(
いき
)
をつぎ
見
(
み
)
れば、
124
又
(
また
)
もや
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
舟
(
ふね
)
にて
追
(
お
)
ひかけて
来
(
く
)
る。
125
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
進退
(
しんたい
)
谷
(
きは
)
まり、
126
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
のところへ
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く、
127
一人
(
ひとり
)
の
子供
(
こども
)
を
乗
(
の
)
せて
漕
(
こ
)
ぎつけた
一隻
(
いつさう
)
の
舟
(
ふね
)
。
128
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
盲亀
(
まうき
)
の
浮木
(
ふぼく
)
と
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
舟
(
ふね
)
に
取
(
とり
)
ついた。
129
舟人
(
ふなびと
)
は
玉治別
(
たまはるわけ
)
を
助
(
たす
)
けて
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せた。
130
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
えになつてゐる。
131
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
盗人
(
ぬすびと
)
は、
132
三人
『エー
邪魔
(
じやま
)
ひろぐな』
133
と
此
(
こ
)
の
舟
(
ふね
)
目蒐
(
めが
)
けて
攻
(
せ
)
めかけ
来
(
きた
)
る。
134
船人
(
ふなびと
)
『
貴様
(
きさま
)
は
遠州
(
ゑんしう
)
、
135
駿州
(
すんしう
)
、
136
武州
(
ぶしう
)
の
小盗人
(
こぬすと
)
だらう。
137
サア、
138
モウ
俺
(
おれ
)
が
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
た
上
(
うへ
)
は、
139
汝
(
きさま
)
も
最早
(
もはや
)
観念
(
かんねん
)
せねばなるまい。
140
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
してやらう』
141
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
櫂
(
かい
)
を
操
(
あやつ
)
り、
142
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
くに
西
(
にし
)
へ
西
(
にし
)
へと
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した。
143
湖中
(
こちう
)
に
突出
(
とつしゆつ
)
せる
大岩石
(
だいがんせき
)
に
舟
(
ふね
)
の
先端
(
さき
)
を
衝突
(
しようとつ
)
させ、
144
船体
(
せんたい
)
は
木
(
こ
)
つ
端
(
ぱ
)
微塵
(
みぢん
)
になつて、
145
ゴブゴブゴブと
沈没
(
ちんぼつ
)
した。
146
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひに
抜
(
ぬ
)
き
手
(
て
)
を
切
(
き
)
つて
逃
(
に
)
げようとする。
147
船頭
(
せんどう
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
浮
(
う
)
いた
頭
(
あたま
)
を
目当
(
めあて
)
に
舟
(
ふね
)
を
差向
(
さしむ
)
けた。
148
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
漸
(
やうや
)
く
気
(
き
)
がついた。
149
見
(
み
)
れば
杢助
(
もくすけ
)
親子
(
おやこ
)
が
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて、
150
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
泥棒
(
どろばう
)
の
影
(
かげ
)
を
目当
(
めあて
)
に
走
(
はし
)
つてゐる。
151
玉治別
『アー
貴方
(
あなた
)
は
杢助
(
もくすけ
)
さま。
152
危
(
あやふ
)
い
所
(
ところ
)
をよう
助
(
たす
)
けに
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました』
153
杢助
『
話
(
はなし
)
は
後
(
あと
)
でゆつくり
聞
(
き
)
きませう。
154
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
を
)
れば
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
泥棒
(
どろばう
)
の
生命
(
いのち
)
が
失
(
な
)
くなつて
了
(
しま
)
ふ。
155
サア
貴方
(
あなた
)
も
此
(
この
)
櫂
(
かい
)
を
漕
(
こ
)
いで
下
(
くだ
)
さい』
156
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
直
(
ただ
)
ちに
櫂
(
かい
)
を
漕
(
こ
)
ぎ
始
(
はじ
)
めた。
157
漸
(
やうや
)
くにして
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
泥棒
(
どろばう
)
を
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げた。
158
さうして
以前
(
いぜん
)
の
湖中
(
こちう
)
の
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
送
(
おく
)
り、
159
舟
(
ふね
)
を
此方
(
こなた
)
に
引返
(
ひきかへ
)
し、
160
十数間
(
じふすうけん
)
許
(
ばか
)
り
距離
(
きより
)
を
保
(
たも
)
つて、
161
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
向
(
むか
)
ひ
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
聞
(
き
)
かさむと、
162
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
163
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
164
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
165
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
166
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
167
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
168
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
踏
(
ふ
)
み
外
(
はづ
)
し
169
天地
(
てんち
)
に
罪
(
つみ
)
を
重
(
かさ
)
ねつつ
170
終
(
つひ
)
には
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
171
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
の
どん
底
(
ぞこ
)
の
172
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
に
落
(
おと
)
されて
173
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
える
幽界
(
いうかい
)
の
174
掟
(
おきて
)
を
知
(
し
)
らずに
智慧
(
ちゑ
)
浅
(
あさ
)
き
175
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
人々
(
ひとびと
)
が
176
小
(
ちひ
)
さき
欲
(
よく
)
に
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
み
177
結構
(
けつこう
)
な
身魂
(
みたま
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら
178
他
(
ひと
)
の
宝
(
たから
)
を
奪
(
うば
)
ひ
取
(
と
)
り
179
飲
(
の
)
めよ
騒
(
さわ
)
げの
大騒
(
おほさわ
)
ぎ
180
遊
(
あそ
)
んで
暮
(
くら
)
す
悪企
(
わるだく
)
み
181
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
の
道
(
みち
)
作
(
つく
)
り
182
それも
知
(
し
)
らずに
曲道
(
まがみち
)
を
183
通
(
とほ
)
る
身魂
(
みたま
)
ぞいぢらしき
184
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
185
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
叶
(
かな
)
ひなば
186
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
187
必
(
かなら
)
ず
救
(
たす
)
け
給
(
たま
)
ふべし
188
遠州
(
ゑんしう
)
武州
(
ぶしう
)
駿州
(
すんしう
)
よ
189
汝
(
なんぢ
)
も
元
(
もと
)
は
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
190
聖
(
きよ
)
き
身魂
(
みたま
)
を
受継
(
うけつ
)
ぎし
191
貴
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
ぞ
192
小
(
ちひ
)
さき
欲
(
よく
)
にからまれて
193
此
(
この
)
世
(
よ
)
からなる
地獄道
(
ぢごくだう
)
194
餓鬼
(
がき
)
畜生
(
ちくしやう
)
や
修羅道
(
しゆらだう
)
の
195
責苦
(
せめく
)
に
自
(
みづか
)
ら
遭
(
あ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
196
未
(
ま
)
だ
覚
(
さと
)
らずに
日
(
ひ
)
に
夜
(
よる
)
に
197
道
(
みち
)
に
背
(
そむ
)
いた
事
(
こと
)
ばかり
198
われは
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
平
(
たひら
)
けく
199
治
(
をさ
)
め
鎮
(
しづ
)
むる
大神
(
おほかみ
)
の
200
教
(
をしへ
)
を
宣
(
の
)
ぶる
宣伝使
(
せんでんし
)
201
決
(
けつ
)
して
憎
(
にく
)
しと
思
(
おも
)
はない
202
汝
(
なんぢ
)
に
潜
(
ひそ
)
む
曲神
(
まがかみ
)
を
203
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けて
204
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
救
(
すく
)
はむと
205
願
(
ねが
)
ふばかりの
我
(
わが
)
心
(
こころ
)
206
さはさり
乍
(
なが
)
ら
三五
(
あななひ
)
の
207
道
(
みち
)
を
教
(
をし
)
ふる
神司
(
かむづかさ
)
208
其
(
そ
)
の
身
(
み
)
を
忘
(
わす
)
れてアルプスの
209
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
立
(
た
)
て
籠
(
こも
)
る
210
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
が
計略
(
けいりやく
)
を
211
事
(
こと
)
も
細
(
こま
)
かに
記
(
しる
)
したる
212
秘密
(
ひみつ
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
懐
(
ふところ
)
に
213
収
(
をさ
)
めて
曲
(
まが
)
を
倒
(
たふ
)
さむと
214
思
(
おも
)
うたことは
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
215
これ
一生
(
いつしやう
)
の
誤
(
あやま
)
りぞ
216
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
は
之
(
これ
)
を
携
(
たづさ
)
へて
217
高春山
(
たかはるやま
)
に
持参
(
もちまゐ
)
り
218
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
に
手渡
(
てわた
)
して
219
手柄
(
てがら
)
を
現
(
あら
)
はし
御
(
ご
)
褒美
(
ほうび
)
の
220
金
(
かね
)
を
沢山
(
たくさん
)
貰
(
もろ
)
て
来
(
こ
)
い
221
さすれば
汝
(
なんぢ
)
が
懐
(
ふところ
)
は
222
ふとつて
親子
(
おやこ
)
が
安々
(
やすやす
)
と
223
楽
(
たの
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
るだらう
224
さは
云
(
い
)
ふものの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
よ
225
此
(
この
)
世
(
よ
)
は
仮
(
かり
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ぞ
226
万劫
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
生
(
い
)
き
通
(
とほ
)
す
227
霊魂
(
みたま
)
の
生命
(
いのち
)
は
限
(
かぎ
)
りなし
228
なることならば
三五
(
あななひ
)
の
229
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
230
天晴
(
あつぱ
)
れ
世界
(
せかい
)
の
塩
(
しほ
)
となり
231
花
(
はな
)
ともなりて
香
(
かん
)
ばしき
232
実
(
み
)
のりを
残
(
のこ
)
せ
後
(
のち
)
の
世
(
よ
)
に
233
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
234
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
235
悪魔
(
あくま
)
の
為
(
ため
)
に
魂
(
たましひ
)
を
236
曇
(
くも
)
らされたる
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
237
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
238
其
(
そ
)
の
過
(
あやま
)
ちを
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
239
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
にすくすくと
240
歩
(
あゆ
)
ませ
給
(
たま
)
へ
大御神
(
おほみかみ
)
241
珍
(
うづ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
玉治別
(
たまはるわけ
)
が
242
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
243
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つた。
244
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
此
(
この
)
歌
(
うた
)
に
感
(
かん
)
じてか、
245
但
(
ただし
)
は
離
(
はな
)
れ
島
(
じま
)
に
捨
(
す
)
てられた
悲
(
かな
)
しさに
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
免
(
のが
)
れむとしてか、
246
一度
(
いちど
)
に
玉治別
(
たまはるわけ
)
に
向
(
むか
)
つて
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
247
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
改心
(
かいしん
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
する。
248
杢助
(
もくすけ
)
は
舟
(
ふね
)
を
岩
(
いは
)
の
前
(
まへ
)
に
近
(
ちか
)
づけ
乍
(
なが
)
ら、
249
杢助
(
もくすけ
)
『オイ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
、
250
汝
(
きさま
)
の
片割
(
かたわ
)
れ
三州
(
さんしう
)
、
251
甲州
(
かふしう
)
、
252
雲州
(
うんしう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
俺
(
おれ
)
の
館
(
やかた
)
に
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
んで
金銀
(
きんぎん
)
の
小玉
(
こだま
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
貰
(
もら
)
つて
帰
(
かへ
)
りよつた。
253
汝
(
きさま
)
は
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
懐中
(
くわいちゆう
)
せるアルプス
教
(
けう
)
の
書類
(
しよるゐ
)
を
狙
(
ねら
)
つてゐるさうだ。
254
併
(
しか
)
しそれを
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
に
届
(
とど
)
けてやつたところで、
255
余
(
あま
)
り
大
(
たい
)
した
礼物
(
れいもつ
)
もくれはしよまい。
256
生命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
にそんな
欲
(
よく
)
の
無
(
な
)
い
小
(
ちひ
)
さいことを
致
(
いた
)
すな。
257
改心
(
かいしん
)
するなら
今
(
いま
)
だ。
258
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
此
(
こ
)
の
離
(
はな
)
れ
島
(
じま
)
に
捨
(
す
)
てられては
汝
(
きさま
)
も
浮
(
うか
)
ぶ
瀬
(
せ
)
はあるまい。
259
サア
改心
(
かいしん
)
を
誓
(
ちか
)
ふか
何
(
ど
)
うだ、
260
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
せば
此
(
この
)
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
せて
助
(
たす
)
けてやるが』
261
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へて、
262
三人
『
改心
(
かいしん
)
します。
263
何
(
ど
)
うぞ
赦
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
264
杢助
(
もくすけ
)
『
玉治別
(
たまはるわけ
)
さま、
265
貴方
(
あなた
)
のお
考
(
かんが
)
へは
何
(
ど
)
うでせうか』
266
玉治別
(
たまはるわけ
)
『
改心
(
かいしん
)
さへしてくれたならば
四海
(
しかい
)
兄弟
(
きやうだい
)
だ、
267
何処
(
どこ
)
までも
助
(
たす
)
けたいものですな』
268
杢助
『そんなら
助
(
たす
)
けてやらうか』
269
お
初
(
はつ
)
は
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り、
270
お初
『お
父
(
とう
)
さん、
271
斯
(
こ
)
んな
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けたつて
直
(
すぐ
)
に
又
(
また
)
悪
(
わる
)
いことを
致
(
いた
)
しますよ。
272
暫
(
しばら
)
くこの
離
(
はな
)
れ
島
(
じま
)
に
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
いたがよろしいでせう』
273
遠州
(
ゑんしう
)
『モシモシ
小
(
ちひ
)
さいお
方
(
かた
)
、
274
お
前
(
まへ
)
さまは
年
(
とし
)
にも
似合
(
にあ
)
はぬ、
275
きつい
人
(
ひと
)
だな。
276
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はずに
何
(
ど
)
うぞ
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいな。
277
屹度
(
きつと
)
改心
(
かいしん
)
しますから』
278
お初
『イエイエ
貴方
(
あなた
)
は
未
(
ま
)
だ
未
(
ま
)
だ
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ませぬよ。
279
サア、
280
お
父
(
とう
)
さま、
281
早
(
はや
)
く
艪
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
282
小父
(
をぢ
)
さま、
283
櫂
(
かい
)
を
漕
(
こ
)
いで
下
(
くだ
)
さい。
284
私
(
わたし
)
も
手伝
(
てつだ
)
ひませう』
285
玉治別
『アヽさうだ。
286
子供
(
こども
)
は
正直
(
しやうぢき
)
だ。
287
此奴
(
こいつ
)
等
(
ら
)
可愛
(
かあい
)
いと
思
(
おも
)
へば、
288
暫
(
しば
)
らく
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
預
(
あづ
)
けて
置
(
お
)
いた
方
(
はう
)
が
将来
(
しやうらい
)
のためだらう。
289
サア、
290
杢助
(
もくすけ
)
さま、
291
彼方
(
あちら
)
へ
進
(
すす
)
みませう』
292
と
湖中
(
こちう
)
の
岩島
(
いはしま
)
を
後
(
あと
)
に、
293
高春山
(
たかはるやま
)
の
東麓
(
とうろく
)
を
指
(
さ
)
して
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
294
不思議
(
ふしぎ
)
や
湖水
(
こすゐ
)
の
水
(
みづ
)
は
見
(
み
)
る
見
(
み
)
る
水量
(
みづかさ
)
増
(
まさ
)
り、
295
さしもに
高
(
たか
)
き
湖中
(
こちう
)
の
巌
(
いは
)
も
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
水中
(
すゐちう
)
に
没
(
ぼつ
)
し、
296
早
(
はや
)
くも
足許
(
あしもと
)
まで
波
(
なみ
)
が
押寄
(
おしよ
)
せて
来
(
き
)
た。
297
刻々
(
こくこく
)
に
増
(
まさ
)
る
水量
(
みづかさ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
298
最早
(
もはや
)
首
(
くび
)
の
辺
(
あた
)
りまで
浸
(
つか
)
つて
了
(
しま
)
つた。
299
(
大正一一・五・一九
旧四・二三
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