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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第21巻(申の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 千辛万苦
第1章 高春山
第2章 夢の懸橋
第3章 月休殿
第4章 砂利喰
第5章 言の疵
第2篇 是生滅法
第6章 小杉の森
第7章 誠の宝
第8章 津田の湖
第9章 改悟の酬
第3篇 男女共権
第10章 女権拡張
第11章 鬼娘
第12章 奇の女
第13章 夢の女
第14章 恩愛の涙
第4篇 反復無常
第15章 化地蔵
第16章 約束履行
第17章 酒の息
第18章 解決
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> 第3篇 男女共権 > 第10章 女権拡張
<<< 改悟の酬
(B)
(N)
鬼娘 >>>
第一〇章
女権
(
ぢよけん
)
拡張
(
くわくちやう
)
〔六八四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第21巻 如意宝珠 申の巻
篇:
第3篇 男女共権
よみ(新仮名遣い):
だんじょきょうけん
章:
第10章 女権拡張
よみ(新仮名遣い):
じょけんかくちょう
通し章番号:
684
口述日:
1922(大正11)年05月20日(旧04月24日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年4月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
竜国別は吹雪の山を高春山に向かって進んで行く。岩の陰に雪を避け、一夜を明かすことになった。
うつらうつらしていると、妙齢の美人が赤子を抱いてやってきた。女は、自分は浪速の者で高春山の鬼婆にさらわれていたのを、逃げてきたのだ、と言った。
竜国別は枯れ柴に火をつけて暖をとった。女は、高春山の内情に通じていると言って、竜国別と一緒に魔神征服に行こうと言う。竜国別は断るが、女は竜国別を誘惑しようとする。
女は自分の審神をしろと竜国別に迫り、竜国別を困惑させる。女は羽衣の舞を舞って竜国別の身魂の曇りを取ってやろうと言い出し、そのために赤子を抱いてくれるように、と竜国別に頼む。
竜国別は、魔神征服の途上、赤子とは言え女の子を抱くことを渋るが、女は女性がいかに勝れているかをとうとうと演説し、とうとう竜国別は不承不承に赤子を抱こうとする。
するとどこからともなく法螺貝の音が響き、大男が雪を踏んで現れると、女に対して大喝した。女は金毛九尾白面の悪狐の正体を表して逃げて行った。竜国別は肝をつぶして夢心地になってしまった。
またそこへ、美妙の音楽が聞こえて天女が現れた。先の大男は鬼武彦、天女は言依別の本守護神・言依姫であった。二柱は竜国別の急を救うために現れたのであった。
鬼武彦は、玉治別、国依別、竜国別の三人では高春山征服は荷が重いので、自分に三人の加勢を命ずるようにと言依姫に頼むが、言依姫はこれは三人の卒業試験だから、危急の場合以外は見守るようにと鬼武彦に依頼した。
竜国別は夢が覚めた心地して、宣伝歌を歌いながら進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-05-12 18:55:57
OBC :
rm2110
愛善世界社版:
175頁
八幡書店版:
第4輯 328頁
修補版:
校定版:
181頁
普及版:
78頁
初版:
ページ備考:
001
吹雪
(
ふぶき
)
烈
(
はげ
)
しき
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
002
竜国別
(
たつくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
003
高春山
(
たかはるやま
)
に
向
(
むか
)
はむと
004
猿
(
ましら
)
の
声
(
こゑ
)
に
耳
(
みみ
)
打
(
う
)
たれ
005
心
(
こころ
)
イソイソ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
006
人煙
(
じんえん
)
稀
(
まれ
)
なる
谷
(
たに
)
の
道
(
みち
)
007
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うづ
)
もれ
ゆき
暮
(
く
)
れて
008
路傍
(
ろばう
)
に
立
(
た
)
てる
岩蔭
(
いはかげ
)
に
009
少時
(
しばし
)
息
(
いき
)
をば
休
(
やす
)
めける。
010
谷
(
たに
)
の
片方
(
かたへ
)
の
突出
(
つきで
)
た
岩
(
いは
)
の
蔭
(
かげ
)
に
身
(
み
)
を
寄
(
よ
)
せ、
011
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あ
)
かす
事
(
こと
)
となりぬ。
012
竜国別
(
たつくにわけ
)
はウツラウツラと
眠
(
ねむ
)
りに
就
(
つ
)
きけるが、
013
フト
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
りしはなまめかしき
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
、
014
驚
(
おどろ
)
いて
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
ませば
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
、
015
鬢
(
びん
)
のほつれ
毛
(
げ
)
を
頬
(
ほほ
)
の
辺
(
あたり
)
に
七八本
(
しちはちほん
)
垂
(
た
)
れ
乍
(
なが
)
ら、
016
稍
(
やや
)
憂
(
うれ
)
ひを
含
(
ふく
)
み、
017
一人
(
ひとり
)
の
赤児
(
あかご
)
を
抱
(
だ
)
き
前方
(
ぜんぱう
)
に
立
(
た
)
てり。
018
竜国別
『
此
(
この
)
真夜中
(
まよなか
)
の
雪路
(
ゆきみち
)
に
女
(
をんな
)
の
一人
(
ひとり
)
、
019
而
(
しか
)
も
乳呑児
(
ちのみご
)
を
抱
(
だ
)
いて、
020
何処
(
どこ
)
へ
御
(
お
)
出
(
い
)
でなされますか』
021
女
『ハイ
妾
(
わたし
)
は
浪速
(
なには
)
の
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
022
高春山
(
たかはるやま
)
の
鬼婆
(
おにばば
)
に
拐
(
かどは
)
かされ、
023
日夜
(
にちや
)
責苦
(
せめく
)
に
遇
(
あ
)
ひ
難渋
(
なんじふ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りましたが、
024
情
(
なさけ
)
あるカーリンスと
云
(
い
)
ふ
婆
(
ばば
)
アの
部下
(
ぶか
)
に
想
(
おも
)
ひをかけられ、
025
ソツと
救
(
すく
)
はれて
此処迄
(
ここまで
)
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
りました。
026
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
何時
(
なんどき
)
追手
(
おつて
)
がかからうやら
知
(
し
)
れませぬ。
027
どうぞ
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいませ。
028
妾
(
わたし
)
としても
此
(
この
)
寒
(
さむ
)
さに
凍
(
こご
)
え、
029
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
して
一歩
(
ひとあし
)
も
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないので
御座
(
ござ
)
います。
030
どうぞ
火
(
ひ
)
が
御座
(
ござ
)
りますれば
暖取
(
あた
)
らして
下
(
くだ
)
さいませぬか』
031
竜国別
『それは
御
(
ご
)
難儀
(
なんぎ
)
な
事
(
こと
)
でせう。
032
此処
(
ここ
)
へ
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
集
(
あつ
)
めて
焚
(
た
)
く
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
033
困
(
こま
)
つたものですなア』
034
女
『どうぞ
貴方
(
あなた
)
の
暖
(
あたた
)
かいお
体
(
からだ
)
の
温
(
ぬく
)
みを
分
(
わ
)
けて
頂
(
いただ
)
くことは
出来
(
でき
)
ますまいか。
035
最早
(
もはや
)
斯
(
か
)
うなつては、
036
恥
(
はぢ
)
も
何
(
なに
)
も
構
(
かま
)
うて
居
(
を
)
れませぬ。
037
全身
(
ぜんしん
)
の
血液
(
けつえき
)
が
凝固
(
ぎようこ
)
しさうに
御座
(
ござ
)
いますワ』
038
竜国別
『アー
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だなア。
039
今
(
いま
)
高春山
(
たかはるやま
)
の
魔神
(
まがみ
)
の
征服
(
せいふく
)
に
向
(
むか
)
ふ
途中
(
とちう
)
、
040
女
(
をんな
)
の
肉体
(
にくたい
)
に
触
(
ふ
)
れると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
絶対
(
ぜつたい
)
に
出来
(
でき
)
ない。
041
何
(
なに
)
か
良
(
い
)
い
考
(
かんが
)
へは
出
(
で
)
ぬものかなア』
042
と
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みまは
)
せば、
043
雪明
(
ゆきあか
)
りに
目
(
め
)
に
付
(
つ
)
いたのは
一束
(
ひとたば
)
の
枯柴
(
かれしば
)
、
044
突出
(
つきで
)
た
岩
(
いは
)
に
蔽
(
おほ
)
はれて
乾
(
かわ
)
いた
儘
(
まま
)
に
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
045
竜国別
『アー
此処
(
ここ
)
に
結構
(
けつこう
)
な
薪
(
たきぎ
)
がある。
046
何人
(
なにびと
)
が
刈
(
か
)
つて
置
(
お
)
いたか
知
(
し
)
らないが、
047
これも
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
だ、
048
これを
焚
(
た
)
いて
暖
(
だん
)
を
取
(
と
)
つたら
如何
(
どう
)
でせう』
049
女
『それは
好都合
(
かうつがふ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
050
どうぞ
燃
(
も
)
やして
下
(
くだ
)
さいませ。
051
しかし
余
(
あま
)
り
大
(
おほ
)
きな
火
(
ひ
)
を
焚
(
た
)
くと
追手
(
おつて
)
の
目標
(
めじるし
)
になつては
困
(
こま
)
りますから……』
052
竜国別
『
宜
(
よろ
)
しい
宜
(
よろ
)
しい、
053
小
(
ちひ
)
さく
燃
(
も
)
やしませう。
054
しかし
雪
(
ゆき
)
の
足形
(
あしかた
)
を
索
(
たづ
)
ねて
追手
(
おつて
)
が
来
(
く
)
るかも
知
(
し
)
れますまい』
055
女
『お
蔭
(
かげ
)
で
足跡
(
あしあと
)
は
降
(
ふ
)
る
雪
(
ゆき
)
が
次々
(
つぎつぎ
)
に
埋
(
うづ
)
めてくれましたから、
056
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
で
御座
(
ござ
)
います』
057
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
燧
(
ひうち
)
を
打
(
う
)
ち
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
し、
058
薪
(
たきぎ
)
に
点
(
つ
)
けて
暖
(
だん
)
をとり、
059
女
(
をんな
)
も
嬉
(
うれ
)
しげに
手
(
て
)
を
炙
(
あぶ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
060
竜国別
『いまのあなたの
御
(
お
)
話
(
はなし
)
に
依
(
よ
)
れば、
061
高春山
(
たかはるやま
)
へ
囚
(
とら
)
はれて
居
(
を
)
られたとの
事
(
こと
)
、
062
然
(
しか
)
らばアルプス
教
(
けう
)
の
内幕
(
うちまく
)
はよく
御存
(
ごぞん
)
じでせうな』
063
女
『ハイよく
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
064
到底
(
たうてい
)
あなた
方
(
がた
)
が
三
(
さん
)
人
(
にん
)
や
五
(
ご
)
人
(
にん
)
お
出
(
い
)
でになつた
所
(
ところ
)
で、
065
飛
(
と
)
んで
火
(
ひ
)
に
入
(
い
)
る
夏
(
なつ
)
の
虫
(
むし
)
ですよ、
066
お
止
(
や
)
めになつた
方
(
はう
)
が
却
(
かへつ
)
てお
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
だと
思
(
おも
)
ひます』
067
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
不機嫌
(
ふきげん
)
な
顔
(
かほ
)
で、
068
竜国別
『
仮令
(
たとへ
)
幾万
(
いくまん
)
の
強敵
(
きやうてき
)
があらうとも、
069
一旦
(
いつたん
)
我々
(
われわれ
)
は
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
より
任命
(
にんめい
)
された
以上
(
いじやう
)
は、
070
一
(
ひと
)
つの
生命
(
いのち
)
が
無
(
な
)
くなつても、
071
此
(
この
)
使命
(
しめい
)
を
果
(
はた
)
さねばならないのだから、
072
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
行
(
ゆ
)
く
積
(
つも
)
りです』
073
女
『それは
大変
(
たいへん
)
な
御
(
ご
)
決心
(
けつしん
)
で
結構
(
けつこう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
074
妾
(
わたし
)
もあなたの
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
の
強
(
つよ
)
い
御
(
お
)
方
(
かた
)
と
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
075
今迄
(
いままで
)
鬼婆
(
おにばば
)
が
妾
(
わたし
)
に
加
(
くは
)
へた
惨虐
(
ざんぎやく
)
の
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らしたいのですから、
076
どうぞ
伴
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいませぬか』
077
竜国別
『イヤ
滅相
(
めつさう
)
も
無
(
な
)
い。
078
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
と
道伴
(
みちづ
)
れなんか
出来
(
でき
)
ますものか。
079
又
(
また
)
あなたに
助
(
たす
)
けられて、
080
魔神
(
まがみ
)
の
征服
(
せいふく
)
に
行
(
い
)
つたと
云
(
い
)
はれては、
081
末代
(
まつだい
)
の
恥辱
(
はぢ
)
ですから、
082
それだけは
平
(
ひら
)
に
御
(
お
)
断
(
ことわ
)
り
致
(
いた
)
します』
083
女
『
随分
(
ずゐぶん
)
お
堅
(
かた
)
い
方
(
かた
)
ですなア。
084
さう
云
(
い
)
ふ
堅固
(
けんご
)
な
精神
(
せいしん
)
の
夫
(
をつと
)
が、
085
妾
(
わたし
)
も
持
(
も
)
つて
見
(
み
)
たう
御座
(
ござ
)
いますワ』
086
竜国別
『コレコレ
女中
(
ぢよちう
)
、
087
戯談
(
じやうだん
)
も
良
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
になさいませ。
088
貴女
(
あなた
)
は
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
を
懐
(
ふところ
)
に
抱
(
だ
)
いて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
089
立派
(
りつぱ
)
な
夫
(
をつと
)
があるに
相違
(
さうゐ
)
はありますまい』
090
女
『イエイエ、
091
夫
(
をつと
)
はまだ
持
(
も
)
つた
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ』
092
竜国別
『
夫
(
をつと
)
が
無
(
な
)
いのに
児
(
こ
)
があるとは、
093
一
(
ひと
)
つの
不思議
(
ふしぎ
)
ではありませぬか』
094
女
『ホヽヽヽヽ、
095
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にも
似合
(
にあ
)
はない
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますこと。
096
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
生母
(
せいぼ
)
のお
玉
(
たま
)
さまは、
097
夫
(
をつと
)
なしに
妊娠
(
にんしん
)
なさつたぢやありませぬか』
098
竜国別
『それはさうだが、
099
ああ
云
(
い
)
ふことはまた
例外
(
れいぐわい
)
だ。
100
普通
(
ふつう
)
の
女
(
をんな
)
にさう
云
(
い
)
ふことがある
道理
(
だうり
)
がない』
101
女
『
妾
(
わたし
)
を
普通
(
ふつう
)
一般
(
いつぱん
)
の
女
(
をんな
)
と
御覧
(
ごらん
)
になりましたか』
102
竜国別
『サア
別
(
べつ
)
に
斯
(
か
)
う
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
では、
103
何
(
なん
)
の
変
(
かは
)
つた
点
(
てん
)
もなし、
104
判別
(
はんべつ
)
がつきませぬワイ』
105
女
『
妾
(
わたし
)
の
素性
(
すじやう
)
が
分
(
わか
)
らない
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
では
審神者
(
さには
)
も
駄目
(
だめ
)
ですよ。
106
どうして
高春山
(
たかはるやま
)
の
魔神
(
まがみ
)
を
帰順
(
きじゆん
)
させる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませうか』
107
竜国別
『これは
又
(
また
)
妙
(
めう
)
な
女
(
をんな
)
に
会
(
あ
)
つたものだ。
108
お
前
(
まへ
)
は
要
(
えう
)
するに
化物
(
ばけもの
)
だらう』
109
女
『
何
(
いづ
)
れ
化物
(
ばけもの
)
には
違
(
ちが
)
ひありませぬ。
110
併
(
しか
)
し
化物
(
ばけもの
)
にも
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とがあります。
111
其
(
その
)
審神者
(
さには
)
をして
下
(
くだ
)
さいな』
112
竜国別
『
此
(
この
)
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
るのに、
113
一人
(
ひとり
)
で
山路
(
やまみち
)
を
赤児
(
あかご
)
を
抱
(
かか
)
へて
歩
(
ある
)
くところを
見
(
み
)
れば、
114
先
(
ま
)
づ
立派
(
りつぱ
)
な
者
(
もの
)
だなかりそうだ。
115
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
の
悪神
(
あくがみ
)
に
苦
(
くる
)
しめられて
逃
(
に
)
げて
帰
(
かへ
)
つたところを
見
(
み
)
れば、
116
どうせ
碌
(
ろく
)
なものぢやなからうて』
117
女
『
鷹依姫
(
たかよりひめ
)
に
苦
(
くる
)
しめられた
様
(
やう
)
な
女
(
をんな
)
だから、
118
碌
(
ろく
)
な
者
(
もの
)
で
無
(
な
)
いと
仰有
(
おつしや
)
りますが、
119
現在
(
げんざい
)
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
をお
生
(
う
)
み
遊
(
あそ
)
ばしたお
玉
(
たま
)
の
方
(
かた
)
は、
120
三国
(
みくに
)
ケ
岳
(
だけ
)
で
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
に
苦
(
くる
)
しめられたぢやありませぬか。
121
あなたの
判断
(
はんだん
)
は
正鵠
(
せいこう
)
を
欠
(
か
)
いで
居
(
ゐ
)
ますよ。
122
お
玉
(
たま
)
さまは
立派
(
りつぱ
)
だが、
123
妾
(
わたし
)
は
雪路
(
ゆきみち
)
を
夜中
(
よなか
)
に
歩
(
ある
)
いて
居
(
を
)
るから
怪
(
あや
)
しいと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
先入主
(
せんにふしゆ
)
になつて、
124
お
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
んだのぢやありますまいかなア』
125
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
両手
(
りやうて
)
を
胸
(
むね
)
のあたりに
組
(
く
)
んで
太
(
ふと
)
い
息
(
いき
)
をつき
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
む。
126
女
(
をんな
)
は
薪
(
たきぎ
)
を
先繰
(
せんぐ
)
り
燻
(
く
)
べる。
127
二人
(
ふたり
)
の
顔
(
かほ
)
は
益々
(
ますます
)
明
(
あきら
)
かになつて
来
(
き
)
た。
128
竜国別
(
たつくにわけ
)
はフト
女
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ると、
129
二
(
ふた
)
つの
耳
(
みみ
)
が
馬
(
うま
)
の
様
(
やう
)
にビリビリと
動
(
うご
)
いて
居
(
ゐ
)
るに
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
いた。
130
竜国別
『あなたの
耳
(
みみ
)
はどうしましたか。
131
人間
(
にんげん
)
なれば
耳
(
みみ
)
は
動
(
うご
)
かないのが
通例
(
つうれい
)
だ。
132
お
前
(
まへ
)
さまの
耳
(
みみ
)
は
不随意
(
ふずゐい
)
筋
(
きん
)
が
発達
(
はつたつ
)
して
居
(
を
)
ると
見
(
み
)
えて、
133
畜生
(
ちくしやう
)
の
様
(
やう
)
に
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
動
(
うご
)
く。
134
コレヤ
屹度
(
きつと
)
魔性
(
ましやう
)
の
女
(
をんな
)
に
相違
(
さうゐ
)
あるまい』
135
女
『オホヽヽヽ、
136
耳
(
みみ
)
が
動
(
うご
)
くのがそれ
丈
(
だけ
)
気
(
き
)
になりますか。
137
あなたは
耳
(
みみ
)
所
(
どころ
)
か
肝腎
(
かんじん
)
の
霊魂
(
みたま
)
まで
頻
(
しき
)
りに
動揺
(
どうえう
)
し、
138
ハートには
激浪
(
げきらう
)
怒濤
(
どたう
)
が
立
(
た
)
ち
騒
(
さわ
)
いで
居
(
を
)
るぢやありませぬか。
139
それの
方
(
はう
)
がよつ
程
(
ぽど
)
可笑
(
をか
)
しいワ、
140
ホヽヽヽヽ』
141
竜国別
『ハーテナ。
142
ますます
分
(
わか
)
らなくなつて
来
(
き
)
たワイ』
143
女
『
本当
(
ほんたう
)
に
妾
(
わたし
)
だつて、
144
あなたの
様
(
やう
)
な
分
(
わか
)
らぬ
宣伝使
(
せんでんし
)
に
出会
(
であ
)
うた
事
(
こと
)
はありませぬワ。
145
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はイロイロ
姿
(
すがた
)
をお
変
(
へん
)
じ
遊
(
あそ
)
ばすぢやありませぬか。
146
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
様
(
さま
)
を
御覧
(
ごらん
)
なさい。
147
竜体
(
りうたい
)
にもなれば、
148
獣
(
けだもの
)
にもなり、
149
立派
(
りつぱ
)
な
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
にも
現
(
げん
)
じ、
150
乞食
(
こじき
)
にまで
身
(
み
)
を
窶
(
やつ
)
して
衆生
(
しうじやう
)
済度
(
さいど
)
を
遊
(
あそ
)
ばすのに、
151
妾
(
わたし
)
の
耳
(
みみ
)
が
動
(
うご
)
いたと
云
(
い
)
つて
軽率
(
けいそつ
)
にも
獣
(
けもの
)
扱
(
あつか
)
ひなさるのは、
152
チツト
聞
(
きこ
)
えないぢやありませぬか』
153
竜国別
(
たつくにわけ
)
は、
154
竜国別
『ハーテナー』
155
と
云
(
い
)
つた
限
(
き
)
り、
156
又
(
また
)
俯向
(
うつむ
)
く。
157
女
『ハテナハテナと
何程
(
なにほど
)
仰有
(
おつしや
)
つても、
158
あなたの
身魂
(
みたま
)
が
磨
(
みが
)
けねば、
159
此
(
この
)
談判
(
だんぱん
)
は
何時
(
いつ
)
までも
果
(
は
)
てませぬ。
160
ハテ
悟
(
さと
)
りの
悪
(
わる
)
い
宣伝使
(
せんでんし
)
だこと、
161
ホヽヽヽヽ』
162
竜国別
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
今日
(
けふ
)
は
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
不在
(
ふざい
)
だから、
163
番頭
(
ばんとう
)
の
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
発動
(
はつどう
)
して
居
(
を
)
るので、
164
根
(
ね
)
つからお
前
(
まへ
)
さまの
審神
(
さには
)
も
出来
(
でき
)
ない。
165
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
帰
(
かへ
)
つてから、
166
ユツクリと
御
(
お
)
答
(
こたへ
)
を
致
(
いた
)
しませう』
167
女
『ホヽヽヽヽ、
168
うまい
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
いますこと。
169
一時遁
(
いちじのが
)
れの
言
(
い
)
ひ
訳
(
わけ
)
でせう。
170
そんな
痩我慢
(
やせがまん
)
を
出
(
だ
)
して
我
(
が
)
を
張
(
は
)
らずに、
171
男
(
をとこ
)
らしくスツパリと、
172
身魂
(
みたま
)
が
曇
(
くも
)
つて
居
(
を
)
るので
分
(
わか
)
らないから……と
仰有
(
おつしや
)
つたらどうです。
173
妾
(
わたし
)
の
素性
(
すじやう
)
を
明
(
あ
)
かす
為
(
ため
)
に、
174
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
羽衣
(
はごろも
)
の
舞
(
まひ
)
を
舞
(
ま
)
うて
見
(
み
)
せますから、
175
どうぞ
此
(
この
)
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
を
一寸
(
ちよつと
)
抱
(
だ
)
いて
下
(
くだ
)
さらぬか』
176
竜国別
『
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
177
旅
(
たび
)
の
慰
(
なぐさ
)
めだ。
178
審神
(
さには
)
を
兼
(
か
)
ねて
其
(
その
)
舞
(
まひ
)
を
拝見
(
はいけん
)
致
(
いた
)
さうかなア』
179
女
『どこまでも
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
に、
180
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
いお
方
(
かた
)
ですこと、
181
ホヽヽヽヽ』
182
竜国別
『
我
(
が
)
が
無
(
な
)
ければならず、
183
我
(
が
)
があつてはならず、
184
我
(
が
)
は
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
へキユツと
締
(
し
)
め
込
(
こ
)
みて
落
(
お
)
ちついて
居
(
ゐ
)
る
身魂
(
みたま
)
でないと、
185
誠
(
まこと
)
の
御用
(
ごよう
)
は
出来
(
でき
)
ませぬワイ』
186
女
『ホヽヽヽヽ、
187
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
ご
)
神諭
(
しんゆ
)
を
其
(
その
)
儘
(
まま
)
拝借
(
はいしやく
)
して、
188
巧妙
(
うま
)
い
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
りますこと』
189
竜国別
『
日進
(
につしん
)
月歩
(
げつぽ
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
190
知識
(
ちしき
)
を
世界
(
せかい
)
に
求
(
もと
)
めると
云
(
い
)
つて、
191
善
(
い
)
い
事
(
こと
)
は
直
(
ただち
)
に
取
(
と
)
つて
我
(
わが
)
物
(
もの
)
とするのが、
192
豁達
(
かつたつ
)
自在
(
じざい
)
の
文明人
(
ぶんめいじん
)
としての
本領
(
ほんりやう
)
だ。
193
お
前
(
まへ
)
さまは
浪速
(
なには
)
の
土地
(
とち
)
に
生
(
うま
)
れたものだと
云
(
い
)
つたが、
194
文化
(
ぶんくわ
)
生活
(
せいくわつ
)
と
云
(
い
)
ふものはどんなものだか
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るかい』
195
女
『ホヽヽヽヽ、
196
文化
(
ぶんくわ
)
生活
(
せいくわつ
)
が
聞
(
き
)
いて
呆
(
あき
)
れますよ。
197
そんなことは
疾
(
とう
)
の
昔
(
むかし
)
に
御存
(
ごぞん
)
じの
妾
(
わたし
)
、
198
文
(
ぶん
)
と
云
(
い
)
ふのは
蚊
(
か
)
の
活動
(
くわつどう
)
する
羽翼
(
うよく
)
の
声
(
こゑ
)
……
一秒
(
いちべう
)
時間
(
じくわん
)
に
何万回
(
なんまんくわい
)
とも
知
(
し
)
れぬ
羽翼
(
うよく
)
の
廻転
(
くわいてん
)
から
起
(
おこ
)
る
声音
(
せいおん
)
ですよ。
199
化
(
くわ
)
と
云
(
い
)
ふのは
人
(
ひと
)
の
褌
(
ふんどし
)
で
相撲
(
すまふ
)
をとつたり
顔
(
かほ
)
を
舐
(
な
)
めたりして、
200
生血
(
いきち
)
を
絞
(
しぼ
)
り
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
うまい
汁
(
しる
)
を
吸
(
す
)
ふと
云
(
い
)
ふ
生活
(
せいくわつ
)
でせう。
201
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
、
202
我利
(
がり
)
々々
(
がり
)
亡者
(
まうじや
)
の
充満
(
じうまん
)
した
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
矯直
(
ためなほ
)
す
為
(
ため
)
に、
203
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
が
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
借
(
か
)
つて
教
(
をしへ
)
を
垂
(
た
)
れさせられ、
204
其
(
その
)
御心
(
みこころ
)
を
世界
(
せかい
)
に
宣伝
(
せんでん
)
するお
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
が、
205
悪逆
(
あくぎやく
)
非道
(
ひだう
)
の
利己主義
(
われよし
)
の
文化
(
ぶんくわ
)
生活
(
せいくわつ
)
を
主張
(
しゆちやう
)
するとは、
206
逆様
(
さかさま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
207
実
(
じつ
)
に
矛盾
(
むじゆん
)
したものですなア。
208
それだから
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がこれ
丈
(
だけ
)
沢山
(
たくさん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
があつても、
209
誠
(
まこと
)
の
解
(
わか
)
つた
者
(
もの
)
は
一柱
(
ひとはしら
)
も
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
つて、
210
御
(
お
)
悔
(
くや
)
み
遊
(
あそ
)
ばすのですよ。
211
三五教
(
あななひけう
)
を
破
(
やぶ
)
る
者
(
もの
)
は
依然
(
やつぱり
)
三五教
(
あななひけう
)
にあるとは
千古
(
せんこ
)
不磨
(
ふま
)
の
金言
(
きんげん
)
ですワ。
212
妾
(
わたし
)
は
此
(
この
)
第一言
(
だいいちごん
)
に
対
(
たい
)
し
無量
(
むりやう
)
の
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれて
居
(
ゐ
)
ます。
213
サア
妾
(
わたし
)
がこれから
羽衣
(
はごろも
)
の
舞
(
まひ
)
を
舞
(
ま
)
うて、
214
尊
(
たふと
)
き
天
(
てん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
御
(
ご
)
招待
(
せうたい
)
申上
(
まをしあ
)
げ、
215
貴方
(
あなた
)
の
心
(
こころ
)
の
岩戸
(
いはと
)
を
開
(
ひら
)
いて
見
(
み
)
せませう。
216
どうぞ
此
(
この
)
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
を
抱
(
かか
)
へて
下
(
くだ
)
さいませ』
217
竜国別
『
随分
(
ずゐぶん
)
愛
(
あい
)
らしいお
子
(
こ
)
だ。
218
併
(
しか
)
し
男
(
をとこ
)
ですか、
219
女
(
をんな
)
ですか』
220
女
『
三十三
(
さんじふさん
)
相
(
さう
)
揃
(
そろ
)
うた
女
(
をんな
)
です。
221
女
(
をんな
)
の
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
です』
222
竜国別
『ヤアそれならば
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りたい。
223
女
(
をんな
)
を……
仮令
(
たとへ
)
子供
(
こども
)
にもせよ、
224
魔神
(
まがみ
)
の
征討
(
せいたう
)
に
上
(
のぼ
)
る
我々
(
われわれ
)
、
225
抱
(
だ
)
く
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きますまい』
226
女
『
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますか。
227
女
(
をんな
)
位
(
ぐらゐ
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
潔白
(
けつぱく
)
なものはありますまい。
228
あなた
方
(
がた
)
は
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
には
婦人
(
ふじん
)
に
対
(
たい
)
し、
229
軽侮
(
けいぶ
)
の
目
(
め
)
を
以
(
もつ
)
て
臨
(
のぞ
)
まれるのが
怪
(
け
)
しからぬ。
230
我々
(
われわれ
)
は
新
(
あたら
)
しい
婦人
(
ふじん
)
となつてどこまでも
女権
(
ぢよけん
)
拡張
(
くわくちやう
)
をやらねばならない。
231
婦人
(
ふじん
)
の
代議士
(
だいぎし
)
さへ
選出
(
せんしゆつ
)
される
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
頭脳
(
あたま
)
の
古
(
ふる
)
い
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのでせう』
232
竜国別
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
233
男
(
をとこ
)
は
陽
(
やう
)
、
234
女
(
をんな
)
は
陰
(
いん
)
だ。
235
おまけに
月
(
つき
)
に
七日
(
なぬか
)
の
汚
(
けが
)
れがある。
236
そんな
汚
(
けが
)
れた
女
(
をんな
)
に
男
(
をとこ
)
が
触
(
さは
)
つてどうなるものか。
237
清
(
きよ
)
きが
上
(
うへ
)
にも
清
(
きよ
)
くせなくては、
238
神業
(
しんげふ
)
が
勤
(
つと
)
まりますまい』
239
女
『
男
(
をとこ
)
位
(
くらゐ
)
不潔苦
(
むさくる
)
しい
肉体
(
にくたい
)
はありますまい。
240
十三
(
じふさん
)
元素
(
げんそ
)
とか、
241
十五
(
じふご
)
元素
(
げんそ
)
にて
固
(
かた
)
め
上
(
あ
)
げた
肉体
(
にくたい
)
の、
242
半
(
なか
)
ば
腐敗
(
ふはい
)
せる
燐火
(
りんくわ
)
の
燃
(
も
)
える、
243
臭気
(
しうき
)
の
激
(
はげ
)
しい
醜体
(
しうたい
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
244
月
(
つき
)
に
一
(
いつ
)
週間
(
しうかん
)
づつ
汚
(
けが
)
れを
排除
(
はいじよ
)
し、
245
清
(
きよ
)
められた
女
(
をんな
)
の
肉体
(
にくたい
)
が
汚
(
けが
)
れるとは、
246
ソラまア
何
(
なん
)
とした
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのでせう。
247
開闢
(
かいびやく
)
の
初
(
はじめ
)
より、
248
女
(
をんな
)
ならでは
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けぬ
国
(
くに
)
と
云
(
い
)
ふぢやありませぬか。
249
太陽界
(
たいやうかい
)
を
治
(
しろ
)
しめす
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
男
(
をとこ
)
でしたか。
250
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
様
(
さま
)
はどうでせう。
251
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
身魂
(
みたま
)
、
252
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
は
男
(
をとこ
)
ですか、
253
よく
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
なさい』
254
竜国別
『
短兵急
(
たんぺいきふ
)
にさう
攻撃
(
こうげき
)
されては、
255
二
(
に
)
の
矢
(
や
)
が
継
(
つ
)
げませぬ。
256
併
(
しか
)
し
牝鶏
(
ひんけい
)
暁
(
あかつき
)
を
告
(
つ
)
ぐる
時
(
とき
)
は
其
(
その
)
家
(
いへ
)
亡
(
ほろ
)
ぶ、
257
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がある。
258
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
牝鶏
(
めんどり
)
は
牝鶏
(
めんどり
)
だ。
259
何程
(
なにほど
)
女
(
をんな
)
が
男
(
をとこ
)
の
真似
(
まね
)
をしようと
思
(
おも
)
つても、
260
第一
(
だいいち
)
体格
(
たいかく
)
が
劣
(
おと
)
つて
居
(
を
)
る。
261
鼻下
(
びか
)
に
髭
(
ひげ
)
もなければ、
262
腮髯
(
あごひげ
)
もない。
263
それから
見
(
み
)
ても
男尊
(
だんそん
)
女卑
(
ぢよひ
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
証明
(
しようめい
)
されるぢやないか』
264
女
『よく
掃清
(
はききよ
)
められた
庭
(
には
)
には、
265
雑草
(
ざつさう
)
は
一本
(
いつぽん
)
も
生
(
は
)
えて
居
(
を
)
りますまい。
266
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
を
長
(
なが
)
くして
女
(
をんな
)
に
洟
(
はな
)
をたらす
天罰
(
てんばつ
)
の
酬
(
むく
)
いとして、
267
雑草
(
ざつさう
)
がムシヤクシヤと
生
(
は
)
えて
居
(
を
)
るのだ。
268
お
前
(
まへ
)
さまは
髯
(
ひげ
)
を
大変
(
たいへん
)
自慢
(
じまん
)
にして
居
(
を
)
るが、
269
其
(
その
)
髯
(
ひげ
)
は
男
(
をとこ
)
の
卑劣
(
ひれつ
)
な
根性
(
こんじやう
)
を
隠
(
かく
)
す
為
(
ため
)
の
道具
(
だうぐ
)
だ。
270
つまり
世間
(
せけん
)
に
卑下
(
ひげ
)
をせなくてはならぬ
所
(
ところ
)
を、
271
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
恵
(
めぐみ
)
で
包
(
つつ
)
む
様
(
やう
)
にして
貰
(
もら
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだから、
272
ヒゲ
と
云
(
い
)
ふのですよ、
273
オホヽヽヽ』
274
竜国別
『どこまでも
男子
(
だんし
)
を
馬鹿
(
ばか
)
にするぢやないか。
275
俺
(
わし
)
は
天下
(
てんか
)
の
男子
(
だんし
)
に
代
(
かは
)
つて、
276
大
(
おほ
)
いに
男尊
(
だんそん
)
女卑
(
ぢよひ
)
の
至当
(
したう
)
なる
道理
(
だうり
)
を
徹底
(
てつてい
)
させなくてはならない。
277
お
転婆
(
てんば
)
女
(
をんな
)
の
跋扈
(
ばつこ
)
する
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから……』
278
女
『ホヽヽヽヽ、
279
男
(
をとこ
)
位
(
くらゐ
)
得手
(
えて
)
勝手
(
かつて
)
な
者
(
もの
)
がありませうか。
280
女房
(
にようばう
)
に
口
(
くち
)
の
先
(
さき
)
でウマい
事
(
こと
)
ばつかり
言
(
い
)
つて、
281
社交
(
しやかう
)
の
為
(
ため
)
だとか、
282
外交
(
ぐわいかう
)
手段
(
しゆだん
)
だとか、
283
甘
(
うま
)
い
辞令
(
じれい
)
を
編
(
あ
)
み
出
(
だ
)
して
女房
(
にようばう
)
の
手前
(
てまへ
)
を
繕
(
つく
)
ろひ、
284
狐鼠
(
こそ
)
々々
(
こそ
)
と
家
(
いへ
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
285
スベタ
女
(
をんな
)
に
酌
(
しやく
)
をさせ、
286
涎
(
よだれ
)
をたらして、
287
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がなズボリ
込
(
こ
)
み、
288
スゴスゴと
家
(
うち
)
へ
帰
(
かへ
)
つては、
289
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
に
如何
(
どう
)
してウマク
弁解
(
べんかい
)
しようかと、
290
そんな
事
(
こと
)
ばかりに
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ましてゐる、
291
腑甲斐
(
ふがひ
)
ない
男
(
をとこ
)
は、
292
世界
(
せかい
)
に
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
と
云
(
い
)
つても
差支
(
さしつかへ
)
ありますまい。
293
ヤツパリ
女
(
をんな
)
は
家庭
(
かてい
)
の
女王
(
ぢよわう
)
ですよ。
294
女
(
をんな
)
がそれ
程
(
ほど
)
卑
(
いや
)
しいものなら、
295
なぜ
亭主
(
おやぢ
)
になつた
男
(
をとこ
)
はそれ
丈
(
だけ
)
女房
(
にようばう
)
に
遠慮
(
ゑんりよ
)
をしたり、
296
弁解
(
べんかい
)
をするのだらう。
297
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
男
(
をとこ
)
は
下劣
(
げれつ
)
ですよ。
298
天下
(
てんか
)
の
事
(
こと
)
は
一切
(
いつさい
)
女
(
をんな
)
でなければ
解決
(
かいけつ
)
はつきますまい』
299
竜国別
『お
前
(
まへ
)
さまは
浪速
(
なには
)
の
土地
(
とち
)
に
生
(
うま
)
れた
丈
(
だけ
)
に、
300
新刊
(
しんかん
)
雑誌
(
ざつし
)
でも
沢山
(
たくさん
)
に
噛
(
かぢ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
見
(
み
)
え、
301
随分
(
ずゐぶん
)
口先
(
くちさき
)
は
巧妙
(
うま
)
いものだなア』
302
女
『
日進
(
につしん
)
月歩
(
げつぽ
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
303
一
(
いち
)
日
(
にち
)
新聞紙
(
しんぶんし
)
を
見
(
み
)
なくても
雑誌
(
ざつし
)
を
繙
(
ひもと
)
かなくても、
304
社会
(
しやくわい
)
に
遅
(
おく
)
れて
了
(
しま
)
ふのですから、
305
女
(
をんな
)
は
十分
(
じふぶん
)
に
時勢
(
じせい
)
に
遅
(
おく
)
れない
様
(
やう
)
に
注意
(
ちゆうい
)
を
払
(
はら
)
つて
居
(
を
)
りますよ。
306
男
(
をとこ
)
の
様
(
やう
)
にスベタ
女
(
をんな
)
の
機嫌
(
きげん
)
を
取
(
と
)
つたり
女房
(
にようばう
)
の
顔色
(
かほいろ
)
を
見
(
み
)
て
弁解
(
べんかい
)
ばかりに
心力
(
しんりよく
)
を
費消
(
ひせう
)
する
野呂作
(
のろさく
)
とは、
307
大
(
おほい
)
に
趣
(
おもむき
)
が
違
(
ちが
)
ふのです。
308
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると、
309
今
(
いま
)
に
女尊
(
ぢよそん
)
男卑
(
だんぴ
)
の
実
(
じつ
)
が
現
(
あら
)
はれ、
310
亭主
(
おやぢ
)
は
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
を
背
(
せな
)
にひつ
括
(
くく
)
り、
311
鍋
(
なべ
)
の
下
(
した
)
から、
312
走
(
はし
)
り
元
(
もと
)
から、
313
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで、
314
女房
(
にようばう
)
の
頤使
(
いし
)
に
従
(
したが
)
つて、
315
御用
(
ごよう
)
を
承
(
うけたま
)
はらねばならぬ
様
(
やう
)
になつて
来
(
き
)
ますよ。
316
現
(
げん
)
に
今
(
いま
)
でもチヨコチヨコ、
317
さういふ
事
(
こと
)
が
実現
(
じつげん
)
して
居
(
ゐ
)
ます。
318
女
(
をんな
)
は
長煙管
(
ながぎせる
)
を
銜
(
くは
)
へながら、
319
腮
(
あご
)
で
指図
(
さしづ
)
をして
居
(
を
)
る
例
(
れい
)
は
沢山
(
たくさん
)
あるのです。
320
これも
時代
(
じだい
)
の
趨勢
(
すうせい
)
だから、
321
坂
(
さか
)
に
車
(
くるま
)
を
押
(
お
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
322
男子
(
だんし
)
は
須
(
すべか
)
らく
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
り、
323
従順
(
じうじゆん
)
の
態度
(
たいど
)
を
執
(
と
)
るのが、
324
今後
(
こんご
)
の
男子
(
だんし
)
の
立場
(
たちば
)
として
安全
(
あんぜん
)
第一
(
だいいち
)
の
良法
(
りやうはふ
)
と
考
(
かんが
)
へますワ、
325
オホヽヽヽ』
326
竜国別
『イヤもう
是
(
こ
)
れ
位
(
くらゐ
)
で、
327
女権
(
ぢよけん
)
拡張論
(
くわくちやうろん
)
の
演説
(
えんぜつ
)
は
中止
(
ちゆうし
)
を
命
(
めい
)
じませう』
328
女
『そんなら
此
(
この
)
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
を
抱
(
だ
)
いて
呉
(
く
)
れますか』
329
竜国別
『エー
仕方
(
しかた
)
がない。
330
そんなら
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
りて
女尊
(
ぢよそん
)
男卑
(
だんぴ
)
の
実
(
じつ
)
を
示
(
しめ
)
しませう。
331
併
(
しか
)
し
明日
(
あす
)
からは
捲土
(
けんど
)
重来
(
ぢゆうらい
)
、
332
男子
(
だんし
)
の
為
(
ため
)
に
大気焔
(
だいきえん
)
を
吐
(
は
)
いて、
333
現代
(
げんだい
)
のハイカラ
婦人
(
ふじん
)
の
心胆
(
しんたん
)
を
寒
(
さむ
)
からしめる
覚悟
(
かくご
)
だから、
334
其
(
その
)
積
(
つも
)
りで
応戦
(
おうせん
)
準備
(
じゆんび
)
をなさるが
良
(
よ
)
からう』
335
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
何処
(
いづく
)
ともなく「ブーブー」と
法螺貝
(
ほらがひ
)
を
吹
(
ふ
)
く
声
(
こゑ
)
、
336
谺
(
こだま
)
に
響
(
ひび
)
き
出
(
だ
)
した。
337
女
(
をんな
)
はあたりをキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
し、
338
心
(
こころ
)
落
(
おち
)
つかぬ
様子
(
やうす
)
である。
339
ザクザクと
雪
(
ゆき
)
踏
(
ふ
)
み
鳴
(
な
)
らし、
340
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれた
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
、
341
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
342
男(鬼武彦)
『
汝
(
なんぢ
)
魔性
(
ましやう
)
の
女
(
をんな
)
、
343
そこを
動
(
うご
)
くなツ』
344
と
大喝
(
だいかつ
)
した。
345
女
(
をんな
)
は
乳呑児
(
ちのみご
)
を
火中
(
くわちう
)
に
投
(
とう
)
じ、
346
忽
(
たちま
)
ち
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
白面
(
はくめん
)
の
悪狐
(
あくこ
)
となつて、
347
宙空
(
ちうくう
)
をかけり
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
348
竜国別
(
たつくにわけ
)
はこれを
見
(
み
)
て
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
349
夢心地
(
ゆめごこち
)
に
入
(
い
)
つて
了
(
しま
)
つた。
350
又
(
また
)
もや
大空
(
おほぞら
)
に
美妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
351
ややあつて
又
(
また
)
もや
降
(
くだ
)
る
天女
(
てんによ
)
の
姿
(
すがた
)
、
352
巨人
(
きよじん
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれて、
353
女神(言依姫)
『アヽ
其方
(
そなた
)
は
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
様
(
さま
)
。
354
よく
竜国別
(
たつくにわけ
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さりました。
355
妾
(
わらは
)
は
聖地
(
せいち
)
に
於
(
おい
)
て
竜国別
(
たつくにわけ
)
が
危急
(
ききふ
)
を
悟
(
さと
)
り、
356
取
(
と
)
る
物
(
もの
)
も
取敢
(
とりあ
)
へず
救援
(
きうゑん
)
に
向
(
むか
)
うた
言依別
(
ことよりわけ
)
の
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
言依姫
(
ことよりひめ
)
で
御座
(
ござ
)
ります』
357
鬼武彦
『
何
(
なに
)
、
358
これしきの
事
(
こと
)
に
御
(
お
)
褒
(
ほ
)
めの
詞
(
ことば
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しまして、
359
実
(
じつ
)
に
汗顔
(
かんがん
)
の
至
(
いた
)
りで
御座
(
ござ
)
ります。
360
併
(
しか
)
し
竜国別
(
たつくにわけ
)
、
361
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
362
国依別
(
くによりわけ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
では、
363
余
(
あま
)
りに
高春山
(
たかはるやま
)
の
征服
(
せいふく
)
は、
364
荷
(
に
)
が
重
(
おも
)
すぎる
様
(
やう
)
ですから、
365
私
(
わたくし
)
に
加勢
(
かせい
)
を
命
(
めい
)
じて
頂
(
いただ
)
けませぬか』
366
言依姫
『
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の、
367
今度
(
こんど
)
は
卒業
(
そつげふ
)
試験
(
しけん
)
も
同様
(
どうやう
)
ですから、
368
どうぞ
構
(
かま
)
へ
立
(
だ
)
てをしてやつて
下
(
くだ
)
さりますな。
369
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
危急
(
ききふ
)
の
場合
(
ばあひ
)
は、
370
御
(
ご
)
助勢
(
じよせい
)
を
願
(
ねが
)
ひおきます。
371
サアこれから
聖地
(
せいち
)
を
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
りませう』
372
と
二人
(
ふたり
)
は
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り、
373
中空
(
ちうくう
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
374
又
(
また
)
もや
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
る
雪
(
ゆき
)
しばき、
375
嵐
(
あらし
)
の
音
(
おと
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さま
)
せば
岩窟
(
がんくつ
)
の
前
(
まへ
)
に
火
(
ひ
)
を
焚
(
た
)
き、
376
其
(
その
)
正中
(
まんなか
)
に
巨岩
(
きよがん
)
が
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれてあつた。
377
赤児
(
あかご
)
と
見
(
み
)
えたのは、
378
此
(
こ
)
の
岩石
(
いはいし
)
である。
379
竜国別
(
たつくにわけ
)
は
夢
(
ゆめ
)
の
醒
(
さ
)
めたる
心地
(
ここち
)
して、
380
夜明
(
よあ
)
けに
間
(
ま
)
もなき
雪空
(
ゆきぞら
)
を、
381
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
前進
(
ぜんしん
)
する。
382
アヽ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
383
(
大正一一・五・二〇
旧四・二四
松村真澄
録)
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鬼娘 >>>
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