霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 盗歌(とうか)〔一四三四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻 篇:第1篇 自愛之柵 よみ(新仮名遣い):じあいのしがらみ
章:第4章 盗歌 よみ(新仮名遣い):とうか 通し章番号:1434
口述日:1923(大正12)年03月14日(旧01月27日) 口述場所:竜宮館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
白と赤の八衢の守衛たちは生死簿を調べ、ヘル、シャル、ケリナ姫もまだ現界に数十年の寿命が残っていると告げ、東に向かって進むようにと命じた。三人は言われるままに向かって行くと、一人の男と鉢合わせた。
男はケリナ姫の貧しい身なりを見るとからかいだして三人に絡んだ。その男・六造とシャルは掛け合いをやっている。すると蓑笠をかぶった五十あまりの婆がとぼとぼとやってきた。四人はその姿がどこともなく変わっているのに不審を抱き、道端の草むらに身を隠した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5604
愛善世界社版:42頁 八幡書店版:第10輯 161頁 修補版: 校定版:44頁 普及版:19頁 初版: ページ備考:
001高天原(たかあまはら)()(くに)
002中断(ちうだん)したる中有界(ちううかい)
003(もも)のエンゼル(くだ)()
004伊吹戸主(いぶきどぬし)()(やかた)
005(あつ)まりたまひ愛善(あいぜん)
006(とく)をば(をし)信真(しんしん)
007(ひかり)(てら)して精霊(せいれい)
008(みな)(ことごと)天界(てんかい)
009(すく)はむものと大神(おほかみ)
010大御心(おほみこころ)(かしこ)みて
011言葉(ことば)(つく)()(くば)
012(さと)したまへど現世(うつしよ)
013ありたる(とき)諸々(もろもろ)
014(あく)虚偽(きよぎ)との罪悪(ざいあく)
015御魂(みたま)(けが)(やぶ)りたる
016精霊(みたま)(きよ)きエンゼルの
017()言霊(ことたま)()へきれず
018(かしら)(いた)(むね)はやけ
019(みみ)には(はり)をさす(ごと)
020いと(くる)しげに(おのづか)
021自由(じいう)自在(じざい)()(くに)
022(そこ)(くに)へと(かけ)()
023ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
024宇宙(うちう)主宰(しゆさい)()れませる
025仁慈(じんじ)無限(むげん)大神(おほかみ)
026(ひと)精霊(みたま)()ふも(さら)
027禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)(いた)るまで
028(れい)あるものは(ことごと)
029(みな)天国(てんごく)(すく)()
030各団体(かくだんたい)円満(ゑんまん)
031はからせ(たま)へど如何(いか)にせむ
032(あく)()れたる精霊(せいれい)
033(ぜん)(しん)とを()(きら)
034(あく)虚偽(きよぎ)との悪魔道(あくまだう)
035(みづか)(いさ)んで(くだ)りゆく
036(しこ)御魂(みたま)ぞあはれなり
037(すめ)大神(おほかみ)(この)(さま)
038(あはれ)みたまひ現世(うつしよ)
039(いづ)御魂(みたま)瑞御魂(みづみたま)
040(かみ)()さしのエンゼルを
041(くだ)したまひて霊界(れいかい)
042(くし)有様(ありさま)(ことごと)
043完全(うまら)委曲(つばら)()(さと)
044(しめ)させたまへど現世(うつしよ)
045自愛(じあい)(よく)(とら)はれて
046(まなこ)をふさぎ(みみ)()
047(かみ)(ひかり)(せな)にして
048(みな)()()りに()げて()
049(しこ)御魂(みたま)(あは)れなり
050(かみ)(おもて)(あら)はれて
051(ぜん)(あく)との(むく)ひをば
052いと(つばらか)()(さと)
053(つみ)をば(ゆる)(たす)けむと
054(こころ)千々(ちぢ)(くだ)きつつ
055()()(おも)ひの杜鵑(ほととぎす)
056八千八(はつせんや)(たび)(こゑ)()れて
057竜宮館(りうぐうやかた)渡船場(わたしば)
058()たせたまふぞ(かしこ)けれ
059ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
060御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましませよ。
061 白赤(しろあか)守衛(しゆゑい)は、062ヘル、063シャル、064ケリナ(ひめ)生死簿(せいしぼ)調(しら)べ、065()(いづ)れも数十(すうじふ)(ねん)現界(げんかい)寿命(じゆみやう)(のこ)つて()ることを(さん)(にん)()()かせ、066(いち)()(はや)此処(ここ)()()(ひがし)(むか)つて(すす)めよと(めい)じた。067(さん)(にん)(ゆめ)(うつつ)か、068現界(げんかい)か、069幽界(いうかい)か、070(すこ)しも合点(がてん)ゆかず暗中(あんちう)摸索(もさく)(てい)にて、071守衛(しゆゑい)()ふままに(きびす)をかへし、072(ひがし)()してトボトボと(すす)()く。
073ケリナ『(ほそ)(けぶり)()()えの
074(ひかり)(かげ)(あと)にして
075(こひ)しき(つま)(たづ)ねむと
076(くさ)(とぼそ)()()てて
077エルシナ(がは)(ほとり)まで
078(すす)(きた)れる(をり)もあれ
079(かたむ)(みね)月影(つきかげ)
080(わらは)姿(すがた)見下(みおろ)して
081諸行(しよぎやう)無常(むじやう)(ふる)()
082ああ(なつか)しや(なつか)しや
083(こひ)しき(ひと)(あと)()ふて
084荒野(あらの)(はら)()(わた)
085(つゆ)(からだ)(うるほ)して
086(なみだ)(しぼ)(かな)しさよ
087()るるも(はな)下影(したかげ)
088宿(やど)らむものと()()れば
089(かたむ)(つき)()(のこ)
090(あふ)げば(たか)(あま)(かは)
091(そら)には(かり)(こゑ)すれど
092(たづ)ぬる(ひと)便(たよ)りをば
093聞知(ききし)るよしもないぢやくり
094ああ如何(いか)にせむ千秋(せんしう)
095(うらみ)()んで遠近(をちこち)
096彷徨(さまよ)(きた)りエルシナの
097谷川(たにがは)目蒐(めが)けて()(とう)
098寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)となりしよと
099(おも)ふまもなくヘル、シヤール
100二人(ふたり)(をとこ)(たす)けられ
101(また)浮世(うきよ)荒風(あらかぜ)
102(あた)りて(こころ)(くだ)(をり)
103泥坊頭(どろばうがしら)のベルさまが
104無体(むたい)恋慕(れんぼ)()きかける
105ヘルとシヤールの両人(りやうにん)
106(むか)ふにまはしケリナをば
107(たがひ)(つま)(めと)らむと
108(しのぎ)(けづ)果敢(はか)なさよ
109(わらは)(おどろ)森林(しんりん)
110パインの(こずゑ)にかけ(のぼ)
111(なん)()()(とき)もあれ
112(やみ)をつらぬく(みづ)(おと)
113(たちま)三人(みたり)黒影(くろかげ)
114エルシナ(がは)深淵(しんえん)
115()ちたるものか(あは)れやと
116(うかが)途端(とたん)()(はづ)
117ケリナも(とも)深淵(しんえん)
118()()みたりと(おも)ひきや
119いつの()にかは()らねども
120草花(くさばな)(しげ)田圃道(たんぼみち)
121彷徨(さまよ)(きた)りし(いぶか)しさ
122(おも)ふに此地(ここ)霊界(れいかい)
123(たづ)ねあぐみし()(きみ)
124鎌彦(かまひこ)さまに(めぐ)()
125(すぎ)(むかし)物語(ものがたり)
126()いて(おどろ)(わが)(こころ)
127(こひ)しき(ひと)(あに)(あだ)
128如何(いか)なる因果(いんぐわ)(めぐ)()
129(かく)不思議(ふしぎ)運命(うんめい)
130(つな)(つな)がれ()たりしぞ
131これも現世(げんせ)宿業(しゆくごふ)
132(めぐ)(めぐ)りて(われ)()
133(きた)りしものか(なさ)けなや
134(あに)のベルジーを(ころ)したる
135(つま)(たの)みし鎌彦(かまひこ)
136(また)もやベルに(ころ)されて
137ライオン(がは)(あわ)となり
138()えて(あと)なく霊界(れいかい)
139(ちまた)(まよ)(あはれ)さよ
140ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
141御魂(みたま)恩頼(ふゆ)(たまは)りて
142中有界(ちううかい)(まよ)ひたる
143(われ)()御魂(みたま)(すみやか)
144(かみ)御国(みくに)(すく)へかし
145朝日(あさひ)()らず(つき)もなく
146(ほし)さへ()えぬこの(みち)
147()(ほこ)りたる(もも)(はな)
148(かを)りはあまりなけれども
149(えん)(きそ)ふて(なら)()
150草木(くさき)(はな)(いた)るまで
151常世(とこよ)(はる)(たの)しみて
152(ゑら)(あそ)べる()(なか)
153(われ)()三人(みたり)(なん)として
154(はな)()もなき霊界(れいかい)
155(こころ)(さび)しき(この)旅路(たびぢ)
156(あはれ)みたまへ天津(あまつ)(かみ)
157国津(くにつ)(かみ)(たち)八百万(やほよろづ)
158(かみ)使(つかひ)(おん)(まへ)
159(つつし)(うやま)()ぎまつる
160(つつし)(かしこ)()ぎまつる』
161(うた)(なが)(すす)()く。162一人(ひとり)泥酔(よひどれ)(をとこ)頬被(ほほかぶ)りを(ふか)(かぶ)(なが)ら、163(さび)しさうな筒袖(つつそで)で、164労働姿(らうどうすがた)(まま)やつて()た。165三人(みたり)(みち)(かたへ)木影(こかげ)()(どま)(その)(をとこ)目送(もくそう)して()る。166(あま)(ひろ)からぬ(みち)を、167(みぎ)によろよろ(ひだり)によろよろと足許(あしもと)(あやふ)く、
 
168(をとこ)()れを()(よひ)169(くも)るも(にく)
170 (くも)りまつよに、171()れる(つき)
172 (こひ)()が(五位(ごゐ)173(たか)
174 (をし)鴛鴦(をし))へつるかも(かり)(そめ)に((つる)175(かも)176(かり)
177 ほのみし(かげ)()にしみて()き(家鶏(かけ)178()
179 やつこらしよ、180やつこらしよ……ぢや』
 
181(うた)(なが)(さん)(にん)にドンと()(あた)り、
182(をとこ)『ドド誰奴(どやつ)だい、183往来(わうらい)(さまた)げをしやがつて(ちつと)()まぬぢやないか。184()れば(をとこ)二人(ふたり)(をんな)一匹(いつぴき)185ヘン馬鹿(ばか)にしてけつかるわい。186一寸(ちよつと)()(ところ)では綺麗(きれい)(をんな)だが、187その衣類(きもの)(なん)だい。188まるきり古家(ふるいへ)障子(しやうじ)()たやうに(まど)()きさらして(はだ)()えて()るぢやないか。189えらい、190(しらみ)だ。191(なん)美人(びじん)かと(おも)へば虱太夫(しらみだいう)さまか、192ペツペツペツ、193ああ(きたな)い、194(くさ)(くさ)い』
195(はな)(つま)む。
196ヘル『こりや、197どこの誰奴(どやつ)()らないが、198(おれ)(おく)さまを(つかま)へて(なん)といふ暴言(ばうげん)()くのだ、199もう承知(しようち)はしないぞ』
200(をとこ)『アハハハハ。201乞食(こじき)(をんな)(おく)さまだなんて()いデレ(すけ)だなア、202ハハー、203こんな虱太夫(しらみだいう)でも(あと)(した)つて()(をとこ)(しめ)二人(ふたり)もあるかと(おも)へば()(なか)不思議(ふしぎ)のものだなア。204オイ阿魔女(あまつちよ)(まへ)()(なん)()ふのだ。205(しらみ)のお宿(やど)さま、206()()ふのが(はづ)かしいのか、207ペツペツペツ』
208ヘル『こりや、209何所(どこ)(やつ)()らぬが一寸(ちよつと)()て、210貴様(きさま)一体(いつたい)此処(ここ)何処(どこ)心得(こころえ)()るか』
211(をとこ)『ヘン、212何処(どこ)彼所(かしこ)もあるものかい、213此処(ここ)はフサの(くに)テルモン(ざん)(ふもと)高野(たかの)(はら)だ。214(おれ)女房(にようばう)がこの(さき)(むら)()つて()るのだ。215これから(かへ)るのだよ。216(それ)(それ)別嬪(べつぴん)だぞ』
217ヘル『これや、218(のろ)けやがるない、219貴様(きさま)此処(ここ)高野(たかの)(はら)(おも)つて()るか()らぬが此処(ここ)冥土(めいど)八衢(やちまた)だ。220(ちつと)(しつか)りせぬかい、221そして此処(ここ)(あら)はれた(をんな)(かた)(おれ)女房(にようばう)とは(いつは)り、222(じつ)(ところ)三十三(さんじふさん)(さう)()(へん)(あそ)ばす観自在天(くわんじざいてん)(さま)だぞ』
223(をとこ)『ハハハハハ、224(なに)(ぬか)しやがるのだい。225(くわん)自在天(じざいてん)とはよく洒落(しやれ)たものだ。226このナイスの(からだ)には、227胡麻(ごま)()りかけた(ごと)観音(くわんのん)(さま)()出現(しゆつげん)だからな、228ウフフフフ
229()みつかば(ゆる)しはするなよただ(ひね)
230布子(ぬのこ)(うら)にわたがみはなし
231梅桜(うめさくら)摺縫箔(すりぬひはく)古小袖(ふるこそで)
232花見(はなみ)(しらみ)()()りにけり
233汗水(あせみづ)になりて世渡(よわた)(ひと)()
234(なつ)(しらみ)(うき)(しづ)みつ
235か、236ウントコシヨ、237ウントコシヨ、238か。
239()きかつぎ帷布(かたびら)ごしに(そら)()れば
240雲井(くもゐ)(はし)(つき)夜虱(よじらみ)
241冬籠(ふゆごもり)布子(ぬのこ)綿(わた)()(しらみ)
242(ゆき)(ごと)くに(しら)けてぞ()す』
243ヘル『アハハハハ。244こりや虱太夫(しらみたいう)245ソロリソロリと新左衛門(しんざゑもん)坊主(ばうず)()ふやうな(こと)()くぢやないか、246貴様(きさま)()(ほど)虱博士(しらみはかせ)()えるな』
247(をとこ)(きま)つた(こと)だ。248(おれ)こそ(しらみ)のお庄屋(しやうや)さまだ。249これ()ろ、250こんな浅黄(あさぎ)筒袖(つつそで)()()るから貴様(きさま)()には(わか)るまいが、251(おれ)着物(きもの)六道(ろくだう)(つじ)だ。252沢山(たくさん)(しらみ)がウヨウヨと右往(うわう)左往(さわう)活動(くわつどう)して()るのぢや。253(おれ)()六造(ろくざう)なり()ふたり(かな)ふたりだ。254一層(いつそ)(こと)その(しらみ)ナイスと此処(ここ)(ひと)観音較(くわんのんくら)べをして夫婦(ふうふ)になる(わけ)にはゆくまいかなア』
255ヘル『こりや、256貴様(きさま)(いま)この(さき)(うつく)しい女房(にようばう)()つて()ると()つたぢやないか、257(それ)にも(かかは)らず、258このナイスと結婚(けつこん)すれば重婚(ぢうこん)(つみ)八衢(やちまた)関所(せきしよ)厳罰(げんばつ)(しよ)せられるのを()らぬのか。259貴様(きさま)()(おほ)い、260箸豆(はしまめ)人足(にんそく)()えるわい』
261六造(ろくざう)(じつ)(ところ)はまだ女房(にようばう)()いのだ。262(おれ)(はう)から女房(にようばう)()めて()るだけで、263先方(せんぱう)意志(いし)はテンと(わか)らぬのだ。264今日(けふ)(さん)(ねん)(ばか)(かほ)()(かよ)つて()るのだが、265まだ一口(ひとくち)(こころ)(おも)ひを先方(せんぱう)(ひび)かした(こと)はないのだ。266つまり予定(よてい)女房(にようばう)だからなア』
267ヘル『アハハハハ。268大方(おほかた)(その)(へん)のことだと(おも)ふて()たのだ。269貴様(きさま)のスタイルで(ねこ)だつて女房(にようばう)になる(やつ)があるかい、270(しらみ)(からだ)(ねぶ)らして()(くらゐ)(しやう)()つて()るわい。271(すこ)(さき)()くと六道(ろくだう)(つじ)だから、272(しらみ)でも提出(ていしゆつ)して地獄行(ぢごくゆき)冥罰(めいばつ)(たす)かつたらよからう、273(しらみ)観世音(くわんぜおん)菩薩(ぼさつ)だからのう』
274(ろく)(ろく)でもない(こと)()ふない。275八衢(やちまた)だとか六道(ろくだう)(つじ)だとか、276(なに)(とぼけ)()るのだ。277此処(ここ)現界(げんかい)だ。278貴様(きさま)大方(おほかた)(ゆめ)でも()()るのだらう。279(しらみ)のやうなものは(おれ)(じつ)()かないのだけれど、280何分(なにぶん)洗濯(せんたく)して()れる女房(にようばう)もなし、281()んだり(ひね)つたり縁側(えんがは)(ひろ)げて徳利(とくり)(ころ)がしたりして征伐(せいばつ)しても仲々(なかなか)()()らぬものだ。282六道(ろくだう)(つじ)()へば地獄(ぢごく)283餓鬼(がき)284畜生(ちくしやう)285修羅(しゆら)286人間(にんげん)287天上(てんじやう)288()(こと)だが()れについて面白(おもしろ)(しらみ)(うた)がある、289(ひと)()かしてやらうか』
290ヘル『ウン、291(うけたま)はらう、292どうで(ろく)(うた)ぢやあるまいが、293(しか)乞食(こじき)門付(かどつ)けを()くと(おも)つてお(みみ)()してやらう、294古汚(ふるきたな)(しらみ)のわくやうな(うた)なら御免(ごめん)だぞ』
295(ろく)『どうせ(しらみ)のわく着物(きもの)(ふる)いに(きま)つて()るわ、296(かび)()へた(あたま)から(ひね)()した(うた)でなくては(しらみ)(たい)する名歌(めいか)出来(でき)るものでない、297野暮(やぼ)(こと)()ふな。298サアこれから地獄(ぢごく)(しらみ)だ。
 
299   地獄(ぢごく)
300(ひね)(らく)(つぶ)極楽(ごくらく)()浄土(じやうど)
301(みづ)()るこそ地獄(ぢごく)なりけり
302   餓鬼(がき)
303()()てて竿(さを)にかけたる古布子(ふるぬのこ)
304餓鬼(がき)(ごと)くに痩虱(やせじらみ)かな
305   畜生(ちくしやう)
306(ひと)()(こと)より(ほか)はいざ(しらみ)
307生畜生(いきちくしやう)(はて)()ふべき
308   修羅(しゆら)
309血交(ちまじ)りに(ころ)()てたる(しらみ)こそ
310さながら修羅(しゆら)(ちまた)なりけり
311   人間(にんげん)
312帷布(かたびら)縫目(ぬひめ)宿(やど)(しらみ)こそ
313(ひと)(おな)じく()ちてゆくなり
314   天上(てんじやう)
315五月雨(さみだれ)(たつ)(うろこ)にわく(しらみ)
316つれてもろ(とも)(てん)(のぼ)れり
317かくれ()(はだ)(まもり)(しらみ)こそ
318()きた観音(くわんのん)菩薩(ぼさつ)なりけり』
319シャル『アハハハハ。320十八(じふはち)世紀(せいき)のお茶坊主(ちやばうず)(ほざ)いた(うた)ぢやないか、321貴様(きさま)(つく)つたのぢやあるまい』
322六造(ろくざう)(たれ)(つく)つても(おな)(こと)ぢや、323現在(げんざい)(おれ)(くち)から()たのぢやないか、324他人(ひと)のものなら他人(ひと)(くち)から()る、325(おれ)(つく)つた証拠(しようこ)には(おれ)(こゑ)をもつて(おれ)(くち)から貴様(きさま)(つた)へてやつたぢやないか、326ゴテゴテ()ふない』
327シャル『他人(ひと)(うた)(ぬす)(やつ)は、328八衢(やちまた)関所(せきしよ)調(しら)べられたら矢張(やつぱり)(とがめ)られて咎人(とがにん)になるぞよ、329(うた)(ぬす)(やつ)盗歌人(とがにん)といふのだぞ、330ウフフフフ』
331 ()かる(ところ)蓑笠(みのかさ)(かぶ)つた五十余(ごじふあまり)一人(ひとり)(ばば)アが、332金剛杖(こんがうづゑ)をつき、333(なに)小声(こごゑ)(うた)ひながら、334トボトボと(すす)()る。335()(にん)(その)姿(すがた)何処(どこ)ともなく(かは)つて()るのに不審(ふしん)(いだ)き、336つくづくと(なが)めて()た。337(ばば)(なに)急用(きふよう)でもあるやうに(しき)りに足許(あしもと)(いそ)いで()る。338()(にん)(なん)(おも)ふたか道端(みちばた)背丈(せたけ)()びた雑草(ざつさう)(なか)()(かく)した。
339大正一二・三・一四 旧一・二七 於竜宮館二階 加藤明子録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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