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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第56巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 自愛之柵
第1章 神慮
第2章 恋淵
第3章 仇花
第4章 盗歌
第5章 鷹魅
第2篇 宿縁妄執
第6章 高圧
第7章 高鳴
第8章 愛米
第9章 我執
第3篇 月照荒野
第10章 十字
第11章 惚泥
第12章 照門颪
第13章 不動滝
第14章 方岩
第4篇 三五開道
第15章 猫背
第16章 不臣
第17章 強請
第18章 寛恕
第19章 痴漢
第20章 犬嘘
余白歌
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霊界物語
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真善美愛(第49~60巻)
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第56巻(未の巻)
> 第2篇 宿縁妄執 > 第6章 高圧
<<< 鷹魅
(B)
(N)
高鳴 >>>
第六章
高圧
(
かうあつ
)
〔一四三六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
篇:
第2篇 宿縁妄執
よみ(新仮名遣い):
しゅくえんもうしゅう
章:
第6章 高圧
よみ(新仮名遣い):
こうあつ
通し章番号:
1436
口述日:
1923(大正12)年03月14日(旧01月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は地獄に籍を置き、直ちに地獄に降るべき資格が備わっていたが、大神はその精霊を救おうと三年の間修業を命じ給うたのであった。
地獄界に籍を有する精霊はもっとも尊大にして自我の心強く、他に対して軽侮の念を持しこれを外部に知らず知らずの間に現すものである。自分を尊敬せざるものにたちまち威喝を現し、また憎悪や復讐の相好を現すものである。
一言たりともその意に合わざることを言う者は、慢心だとか悪だとか虚偽だとか称して、これを叩きつけようとするのが、地獄界に籍を置く者の情態である。
現界、霊界を問わず地獄にある者はすべて世間愛と自己より来る悪と虚偽に浸っている。その心と相似たる者でなければ、一緒に居ることは実に苦しく、呼吸も自由にできないくらいである。地獄における者は、悪心をもって悪を行い、悪をもってすべての真理を表明したり説明しようとする。
このような者が地獄界に自ら進んで堕ち行くときは、地獄の数多の悪霊が集まり来たり、俊酷獰猛な責罰を加えようとする。これは現界における法律組織とほぼ類似している。悪を罰する者は悪人でなければならないからである。
幽界においては善悪はそのまま表れるので、現界と違って誤解がない。また地獄界は悪そのものが自ら進んで堕ち行くのであるから、あたかも秤にかけたごとく、少しの不平衡もないのである。
地獄界の者は虚偽をもって真と信じ、悪をもって善と感じている。神の稜威も信真の光明も、地獄に籍を置いた人間から見たときは暗黒と見えるのである。
高姫は中有界に放たれて精霊の修養を積むべき期間を与えられたにもかかわらず、地獄の境涯を脱することができず、虚偽と悪を善と信じて拡充しようと活動を続けていた。そして四人の男女を吾が居間に導き、支離滅裂な教えを説きはじめた。
ヘルとケリナは、高姫の説教に納得がいかず、いちいち反論している。高姫は手を合わせてケリナの改心を祈っていると、どら声を張り上げて門の戸を叩く者があった。高姫は表へ出て行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-13 19:36:20
OBC :
rm5606
愛善世界社版:
71頁
八幡書店版:
第10輯 171頁
修補版:
校定版:
75頁
普及版:
31頁
初版:
ページ備考:
派生
[?]
この文献を底本として書かれたと思われる文献です。
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:
出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 第四篇 神霊世界 > 第九章 地獄の精霊
001
高姫
(
たかひめ
)
に
導
(
みちび
)
かれて
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男女
(
なんによ
)
は、
002
細谷川
(
ほそたにがは
)
の
一本橋
(
いつぽんばし
)
を
渡
(
わた
)
り、
003
二間造
(
ふたまづく
)
りの
小
(
ちひ
)
さき
家
(
いへ
)
に
導
(
みちび
)
かれた。
004
高姫
(
たかひめ
)
の
精霊
(
せいれい
)
は
既
(
すで
)
に
地獄
(
ぢごく
)
に
籍
(
せき
)
を
置
(
お
)
き、
005
直
(
ただ
)
ちに
地獄
(
ぢごく
)
に
下
(
くだ
)
るべき
自然
(
しぜん
)
の
資格
(
しかく
)
が
備
(
そな
)
はつてゐる。
006
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
如何
(
いか
)
にもして
其
(
その
)
精霊
(
せいれい
)
を
救
(
すく
)
ひやらむと
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
、
007
ブルガリオの
修行
(
しうぎやう
)
を
命
(
めい
)
じ
給
(
たま
)
ふたのである。
008
総
(
すべ
)
て
精霊
(
せいれい
)
の
内分
(
ないぶん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
外分
(
ぐわいぶん
)
に
現
(
あら
)
はれるものである。
009
外分
(
ぐわいぶん
)
とは
概
(
がい
)
して
言
(
い
)
へば
身体
(
しんたい
)
、
010
動作
(
どうさ
)
、
011
面貌
(
めんばう
)
、
012
言語
(
げんご
)
等
(
とう
)
を
指
(
さ
)
すのである。
013
内分
(
ないぶん
)
とは
善愛
(
ぜんあい
)
の
想念
(
さうねん
)
や
情動
(
じやうどう
)
である。
014
地獄界
(
ぢごくかい
)
に
籍
(
せき
)
を
有
(
いう
)
する
精霊
(
せいれい
)
は
最
(
もつと
)
も
尊大
(
そんだい
)
自我
(
じが
)
の
心
(
こころ
)
強
(
つよ
)
く、
015
他
(
た
)
に
対
(
たい
)
して
軽侮
(
けいぶ
)
の
念
(
ねん
)
を
持
(
ぢ
)
し
之
(
これ
)
を
外部
(
ぐわいぶ
)
に
不知
(
しらず
)
不識
(
しらず
)
の
間
(
あひだ
)
に
現
(
あら
)
はすものである。
016
自分
(
じぶん
)
を
尊敬
(
そんけい
)
せざるものに
対
(
たい
)
しては
忽
(
たちま
)
ち
威喝
(
ゐかつ
)
を
現
(
あら
)
はし、
017
又
(
また
)
は
憎悪
(
ぞうを
)
の
相好
(
さうがう
)
や
復讐
(
ふくしう
)
的
(
てき
)
の
相好
(
さうがう
)
を
現
(
あら
)
はすものである。
018
故
(
ゆゑ
)
に
一言
(
いちごん
)
たりとも
其
(
その
)
意
(
い
)
に
合
(
あ
)
はざる
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ
者
(
もの
)
は、
019
忽
(
たちま
)
ち
慢心
(
まんしん
)
だとか
悪
(
あく
)
だとか
虚偽
(
きよぎ
)
だとか、
020
いろいろの
名称
(
めいしよう
)
を
附
(
ふ
)
して、
021
之
(
これ
)
を
叩
(
たた
)
きつけむとするのが
地獄界
(
ぢごくかい
)
に
籍
(
せき
)
を
置
(
お
)
くものの
情態
(
じやうたい
)
である。
022
現界
(
げんかい
)
に
於
(
お
)
ける
人間
(
にんげん
)
も
亦
(
また
)
、
023
顕幽
(
けんいう
)
一致
(
いつち
)
の
道理
(
だうり
)
に
依
(
よ
)
つて
同様
(
どうやう
)
である。
024
現界
(
げんかい
)
、
025
霊界
(
れいかい
)
を
問
(
と
)
はず
地獄
(
ぢごく
)
にあるものは、
026
全
(
すべ
)
て
世間愛
(
せけんあい
)
と
自己
(
じこ
)
よりする、
027
諸
(
もろもろ
)
の
悪
(
あく
)
と
諸
(
もろもろ
)
の
虚偽
(
きよぎ
)
に
浸
(
ひた
)
つてゐるが
故
(
ゆゑ
)
に、
028
其
(
その
)
心
(
こころ
)
と
自己
(
じこ
)
の
心
(
こころ
)
と
相似
(
あひに
)
たるものとでなければ、
029
心
(
こころ
)
の
相応
(
さうおう
)
せないものと
一緒
(
いつしよ
)
に
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
は
実
(
じつ
)
に
苦
(
くる
)
しく、
030
呼吸
(
こきふ
)
も
自由
(
じいう
)
に
出来
(
でき
)
ない
位
(
くらゐ
)
である。
031
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
悪
(
あく
)
即
(
すなは
)
ち
地獄
(
ぢごく
)
に
於
(
お
)
ける
者
(
もの
)
は
悪心
(
あくしん
)
を
以
(
もつ
)
て
悪
(
あく
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
032
又
(
また
)
悪
(
あく
)
を
以
(
もつ
)
て
総
(
すべ
)
ての
真理
(
しんり
)
を
表明
(
へうめい
)
したり、
033
説明
(
せつめい
)
せむとするものである。
034
故
(
ゆゑ
)
に
其
(
その
)
説明
(
せつめい
)
には
矛盾
(
むじゆん
)
撞着
(
どうちやく
)
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
の
箇所
(
かしよ
)
ばかりで、
035
正
(
ただ
)
しき
人間
(
にんげん
)
や
精霊
(
せいれい
)
の
眼
(
め
)
から
見
(
み
)
れば、
036
実
(
じつ
)
に
不都合
(
ふつがふ
)
極
(
きは
)
まるものである。
037
斯
(
か
)
かる
悪霊
(
あくれい
)
が
地獄界
(
ぢごくかい
)
に
自
(
みづか
)
ら
進
(
すす
)
んで
堕
(
お
)
ちゆく
時
(
とき
)
は、
038
其処
(
そこ
)
に
居
(
を
)
る
数多
(
あまた
)
の
悪霊
(
あくれい
)
は、
039
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
上
(
うへ
)
に
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
040
峻酷
(
しゆんこく
)
獰猛
(
だうまう
)
なる
責罰
(
せきばつ
)
を
加
(
くは
)
へむとするものである。
041
其
(
その
)
有様
(
ありさま
)
は
現界
(
げんかい
)
に
於
(
お
)
ける
法律
(
はふりつ
)
組織
(
そしき
)
と
略
(
ほぼ
)
類似
(
るゐじ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
042
総
(
すべ
)
て
悪
(
あく
)
を
罰
(
ばつ
)
するものは
悪人
(
あくにん
)
でなければならぬ。
043
虚偽
(
きよぎ
)
、
044
譎詐
(
きつさ
)
、
045
獰猛
(
だうまう
)
、
046
峻酷
(
しゆんこく
)
等
(
とう
)
の
悪徳
(
あくとく
)
無
(
な
)
きものは
到底
(
たうてい
)
悪人
(
あくにん
)
を
罰
(
ばつ
)
することは
出来得
(
できえ
)
ないのである。
047
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
現界
(
げんかい
)
と
幽界
(
いうかい
)
と
異
(
こと
)
なる
点
(
てん
)
は
現界
(
げんかい
)
にては
大悪
(
だいあく
)
が
発見
(
はつけん
)
されなかつたり、
048
又
(
また
)
善人
(
ぜんにん
)
が
悪
(
あく
)
と
誤解
(
ごかい
)
されて
責罰
(
せきばつ
)
を
受
(
う
)
くる
事
(
こと
)
が
沢山
(
たくさん
)
にあるに
反
(
はん
)
し、
049
地獄界
(
ぢごくかい
)
に
於
(
おい
)
ては、
050
悪
(
あく
)
其
(
その
)
物
(
もの
)
が
自
(
みづか
)
ら
進
(
すす
)
んで
堕
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
くのであるから、
051
恰
(
あだか
)
も
衡
(
はかり
)
にかけた
如
(
ごと
)
く、
052
少
(
すこ
)
しの
不平衡
(
ふへいかう
)
も
無
(
な
)
いものである。
053
而
(
しか
)
して
獰猛
(
だうまう
)
と
峻酷
(
しゆんこく
)
の
内分
(
ないぶん
)
も
亦
(
また
)
外分
(
ぐわいぶん
)
即
(
すなは
)
ち
相好
(
さうがう
)
の
上
(
うへ
)
に
現
(
あら
)
はるるものである。
054
故
(
ゆゑ
)
に
地獄
(
ぢごく
)
に
墜
(
お
)
ちて
居
(
を
)
る
邪鬼
(
じやき
)
及
(
および
)
邪霊
(
じやれい
)
は
何
(
いづ
)
れも
其
(
その
)
内分
(
ないぶん
)
相応
(
さうおう
)
の
面貌
(
めんばう
)
を
保
(
たも
)
ち
生気
(
せいき
)
無
(
な
)
き
死屍
(
しし
)
の
相
(
さう
)
を
現
(
げん
)
じ、
055
疣
(
いぼ
)
や
痣
(
ほくろ
)
、
056
大
(
だい
)
なる
腫物
(
しゆもつ
)
等
(
とう
)
一見
(
いつけん
)
して
実
(
じつ
)
に
不快
(
ふくわい
)
な
感
(
かん
)
じを
与
(
あた
)
ふる
者
(
もの
)
である。
057
然
(
しか
)
し
之
(
これ
)
は
天国
(
てんごく
)
に
到
(
いた
)
るべき
天人
(
てんにん
)
の
目
(
め
)
より
其
(
その
)
内分
(
ないぶん
)
を
透
(
とほ
)
して
見
(
み
)
たる
形相
(
ぎやうさう
)
であつて、
058
地獄
(
ぢごく
)
の
邪霊
(
じやれい
)
相互
(
さうご
)
の
間
(
あひだ
)
にては
決
(
けつ
)
して
余
(
あま
)
り
醜
(
みぐる
)
しく
見
(
み
)
えない
者
(
もの
)
である。
059
何故
(
なぜ
)
なれば
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
皆
(
みな
)
虚偽
(
きよぎ
)
を
以
(
もつ
)
て
真
(
しん
)
と
信
(
しん
)
じ、
060
悪
(
あく
)
を
以
(
もつ
)
て
善
(
ぜん
)
と
感
(
かん
)
じて
居
(
ゐ
)
るからである。
061
時
(
とき
)
あつて
天上
(
てんじやう
)
より
大神
(
おほかみ
)
の
光明
(
くわうみやう
)
、
062
地獄界
(
ぢごくかい
)
を
照
(
てら
)
す
時
(
とき
)
は、
063
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
忽
(
たちま
)
ち
珍姿
(
ちんし
)
怪態
(
くわいたい
)
を
曝露
(
ばくろ
)
し、
064
恰
(
あだか
)
も
妖怪
(
えうくわい
)
の
如
(
ごと
)
き
相好
(
さうがう
)
を
現
(
あら
)
はし、
065
自
(
みづか
)
ら
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
の
恐
(
おそ
)
ろしきに
驚
(
おどろ
)
くものである。
066
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
天界
(
てんかい
)
より
光明
(
くわうみやう
)
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
る
時
(
とき
)
は、
067
朦朧
(
もうろう
)
たる
地獄
(
ぢごく
)
は
層一層
(
そういつそう
)
暗黒
(
あんこく
)
の
度
(
ど
)
を
増
(
ま
)
すものである。
068
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
と
信真
(
しんしん
)
の
光明
(
くわうみやう
)
は
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
とに
充
(
みた
)
されたる
地獄
(
ぢごく
)
では
益々
(
ますます
)
暗黒
(
あんこく
)
となるものである。
069
故
(
ゆゑ
)
に
如何
(
いか
)
なる
神
(
かみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
も
善徳
(
ぜんとく
)
も、
070
信真
(
しんしん
)
の
光明
(
くわうみやう
)
も、
071
地獄
(
ぢごく
)
に
籍
(
せき
)
を
置
(
お
)
きたる
人間
(
にんげん
)
より
見
(
み
)
たる
時
(
とき
)
は、
072
自分
(
じぶん
)
の
住
(
ぢゆう
)
する
世界
(
せかい
)
よりは
暗黒
(
あんこく
)
に
見
(
み
)
え、
073
真理
(
しんり
)
は
虚偽
(
きよぎ
)
と
感
(
かん
)
じ、
074
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
は
憎悪
(
ぞうを
)
と
感
(
かん
)
ずるに
至
(
いた
)
るものである。
075
故
(
ゆゑ
)
に
大部分
(
だいぶぶん
)
地獄界
(
ぢごくかい
)
に
堕落
(
だらく
)
せる
現代人
(
げんだいじん
)
が、
076
大本
(
おほもと
)
の
光明
(
くわうみやう
)
を
見
(
み
)
て
却
(
かへつ
)
て
之
(
これ
)
を
暗黒
(
あんこく
)
となし、
077
至善
(
しぜん
)
至美
(
しび
)
の
教
(
をしへ
)
を
以
(
もつ
)
て
至醜
(
ししう
)
至悪
(
しあく
)
の
教理
(
けうり
)
となし、
078
或
(
あるひ
)
は
邪教
(
じやけう
)
と
誹
(
そし
)
るに
至
(
いた
)
るは、
079
其
(
その
)
人
(
ひと
)
の
内分
(
ないぶん
)
相応
(
さうおう
)
の
理
(
り
)
に
依
(
よ
)
つて
寧
(
むし
)
ろ
当然
(
たうぜん
)
と
謂
(
ゐ
)
ふ
可
(
べ
)
きものである。
080
高姫
(
たかひめ
)
は
中有界
(
ちううかい
)
に
放
(
はな
)
たれ
精霊
(
せいれい
)
の
修養
(
しうやう
)
を
積
(
つ
)
むべき
期間
(
きかん
)
を
与
(
あた
)
へられたるにも
拘
(
かかは
)
らず、
081
容易
(
ようい
)
に
地獄
(
ぢごく
)
の
境涯
(
きやうがい
)
を
脱
(
だつ
)
する
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
ず、
082
虚偽
(
きよぎ
)
を
以
(
もつ
)
て
真理
(
しんり
)
と
為
(
な
)
し、
083
悪
(
あく
)
を
以
(
もつ
)
て
善
(
ぜん
)
と
信
(
しん
)
じ、
084
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
善
(
ぜん
)
の
道
(
みち
)
を
拡充
(
くわくじゆう
)
せむと
車輪
(
しやりん
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
るのである。
085
類
(
るゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
集
(
あつ
)
まるとか
云
(
い
)
つて、
086
自分
(
じぶん
)
の
内分
(
ないぶん
)
に
相似
(
あひに
)
たるものでなければ、
087
到底
(
たうてい
)
相和
(
あひわ
)
する
事
(
こと
)
は
霊界
(
れいかい
)
に
於
(
おい
)
ては
出来
(
でき
)
ない。
088
現界
(
げんかい
)
ならばいろいろと
巧言
(
かうげん
)
令色
(
れいしよく
)
、
089
或
(
あるひ
)
は
虚偽
(
きよぎ
)
なぞに
由
(
よ
)
つて
内分
(
ないぶん
)
の
幾分
(
いくぶん
)
かを
包
(
つつ
)
み
得
(
う
)
るが
故
(
ゆゑ
)
に
高姫
(
たかひめ
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
くものも
多少
(
たせう
)
はあつたけれども、
090
最早
(
もはや
)
霊界
(
れいかい
)
に
来
(
きた
)
つては
自分
(
じぶん
)
と
相似
(
あひに
)
たるものでなければ、
091
共
(
とも
)
に
共
(
とも
)
に
生涯
(
しやうがい
)
を
送
(
おく
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なくなつてゐた。
092
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
高姫
(
たかひめ
)
は
依然
(
いぜん
)
として
現界
(
げんかい
)
に
居
(
を
)
るものとのみ
考
(
かんが
)
へ、
093
八衢
(
やちまた
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
が
言葉
(
ことば
)
も
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
体
(
てい
)
に
取扱
(
とりあつか
)
ふてゐた。
094
霊界
(
れいかい
)
へ
来
(
き
)
てから
殆
(
ほとん
)
ど
一
(
いつ
)
ケ
年
(
ねん
)
、
095
月日
(
つきひ
)
を
経
(
ふ
)
るに
従
(
したが
)
つて
守衛
(
しゆゑい
)
の
言葉
(
ことば
)
は
少
(
すこ
)
しも
意
(
い
)
に
止
(
と
)
めなくなり、
096
益々
(
ますます
)
悪化
(
あくくわ
)
し
乍
(
なが
)
らも
自分
(
じぶん
)
の
教
(
をしへ
)
は
至善
(
しぜん
)
である、
097
自分
(
じぶん
)
の
動作
(
どうさ
)
は
神
(
かみ
)
に
叶
(
かな
)
ひしものである、
098
而
(
しか
)
して
自分
(
じぶん
)
は
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
で、
099
天地
(
てんち
)
を
総轄
(
そうかつ
)
したる
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
の
神
(
かみ
)
の
神柱
(
かみばしら
)
と
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じてゐるのだから
堪
(
たま
)
らない。
100
さて
高姫
(
たかひめ
)
は
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男女
(
なんによ
)
を
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
導
(
みちび
)
き、
101
自分
(
じぶん
)
は
正座
(
しやうざ
)
に
傲然
(
がうぜん
)
としてかまへ、
102
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
支離
(
しり
)
滅裂
(
めつれつ
)
なる
教
(
をしへ
)
を
説
(
と
)
き
初
(
はじ
)
めた。
103
高姫
(
たかひめ
)
『
皆
(
みな
)
さま、
104
よくまア
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
つて
此処
(
ここ
)
へ
跟
(
つ
)
いて
厶
(
ござ
)
つた。
105
お
前
(
まへ
)
は
余程
(
よつぽど
)
因縁
(
いんねん
)
の
深
(
ふか
)
いお
方
(
かた
)
だぞえ。
106
こんな
結構
(
けつこう
)
な
教
(
をしへ
)
は
鉄
(
かね
)
の
草鞋
(
わらぢ
)
が
減
(
へ
)
る
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
世界中
(
せかいぢう
)
を
探
(
さが
)
し
廻
(
まは
)
つても
外
(
ほか
)
にはありませぬぞや。
107
そして
喜
(
よろこ
)
びなされ、
108
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
高天原
(
たかあまはら
)
の
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
のエンゼルの
身魂
(
みたま
)
で、
109
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
だから、
110
天
(
てん
)
も
構
(
かま
)
へば
地
(
ち
)
も
構
(
かま
)
ひ、
111
何処
(
どこ
)
も
彼処
(
かしこ
)
も
一
(
ひと
)
つに
握
(
にぎ
)
つた
太柱
(
ふとばしら
)
、
112
扇
(
あふぎ
)
で
譬
(
たと
)
へたら
要
(
かなめ
)
だぞえ。
113
時計
(
とけい
)
で
喩
(
たとへ
)
たら
竜頭
(
りうづ
)
の
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
だ。
114
扇
(
あふぎ
)
に
要
(
かなめ
)
が
無
(
な
)
ければバラバラと
潰
(
つぶ
)
れて
了
(
しま
)
ふ。
115
時計
(
とけい
)
に
竜頭
(
りうづ
)
が
無
(
な
)
ければ
捻
(
ねぢ
)
をかける
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ますまい。
116
夫
(
それ
)
だから
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
世界
(
せかい
)
に
又
(
また
)
と
無
(
な
)
い
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
ぢやから、
117
よく
聞
(
き
)
きなされや。
118
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
泥坊
(
どろばう
)
をしたり、
119
バラモンの
軍人
(
ぐんじん
)
になつたり
所在
(
あらゆる
)
悪
(
あく
)
をやつて
来
(
き
)
たのだから、
120
直様
(
すぐさま
)
地獄
(
ぢごく
)
へ
堕
(
おと
)
すべき
代物
(
しろもの
)
だけれども、
121
此
(
こ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
をよく
聞
(
き
)
いて
行
(
おこな
)
ひを
致
(
いた
)
したなれば
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
第一
(
だいいち
)
天国
(
てんごく
)
へでも
助
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げますぞや』
122
と
止
(
と
)
め
度
(
ど
)
もなく
大法螺
(
おほぼら
)
を
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てる。
123
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
高姫
(
たかひめ
)
自身
(
じしん
)
は
決
(
けつ
)
して
自分
(
じぶん
)
の
言葉
(
ことば
)
は
大法螺
(
おほぼら
)
だとは
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
ない。
124
正真
(
しやうしん
)
正銘
(
しやうめい
)
一分
(
いちぶ
)
一厘
(
いちりん
)
間違
(
まちが
)
ひのない
神
(
かみ
)
の
慈言
(
じげん
)
だと
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じて
居
(
ゐ
)
るのだ。
125
ヘル『モシ
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
126
貴女
(
あなた
)
が
夫
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
偉
(
えら
)
い
御
(
お
)
方
(
かた
)
なら
何故
(
なぜ
)
天
(
てん
)
へ
上
(
あが
)
つて
下界
(
げかい
)
を
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
遊
(
あそ
)
ばさぬのですか。
127
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
山
(
やま
)
の
ほでら
に
御殿
(
ごてん
)
を
建
(
た
)
てて
吾々
(
われわれ
)
の
様
(
やう
)
な
人間
(
にんげん
)
を
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
捉
(
つか
)
まへて
説教
(
せつけう
)
をなさるとは、
128
神
(
かみ
)
としては
余
(
あま
)
り
迂濶
(
うくわつ
)
ぢやないですか。
129
世界中
(
せかいぢう
)
には
幾億万
(
いくおくまん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
精霊
(
せいれい
)
があるにも
拘
(
かかは
)
らず、
130
根本
(
こつぽん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
さまが
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
をなさるとは、
131
些
(
ちつ
)
と
合点
(
がつてん
)
が
参
(
まゐ
)
りませぬワ。
132
要
(
えう
)
するに
高姫
(
たかひめ
)
さまの
法螺
(
ほら
)
では
厶
(
ござ
)
いますまいかなア』
133
高姫
(
たかひめ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
地獄
(
ぢごく
)
的
(
てき
)
精神
(
せいしん
)
になり、
134
軽侮
(
けいぶ
)
と
威喝
(
ゐかつ
)
と
憎悪
(
ぞうを
)
の
面相
(
めんさう
)
を
表
(
あら
)
はし、
135
且
(
かつ
)
プンプンとふくれ
出
(
だ
)
し
言葉
(
ことば
)
迄
(
まで
)
地獄
(
ぢごく
)
の
相
(
さう
)
を
現
(
あら
)
はして
来
(
き
)
た。
136
高姫
(
たかひめ
)
『コレお
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
といふ
途方
(
とはう
)
もない
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふのだ。
137
ホンに
虫
(
むし
)
けら
同然
(
どうぜん
)
のつまらぬ
代物
(
しろもの
)
だな。
138
勿体
(
もつたい
)
なくも
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
するとは
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
ぢや。
139
そんな
不量見
(
ふれうけん
)
な
事
(
こと
)
では
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
は
許
(
ゆる
)
しませぬぞや。
140
直
(
ただ
)
ちに
地獄
(
ぢごく
)
へ
堕
(
おと
)
してやるから
其
(
その
)
積
(
つも
)
りでゐなされよ』
141
と
獰猛
(
だうまう
)
なる
形相
(
ぎやうさう
)
に
憤怒
(
ふんぬ
)
の
色
(
いろ
)
を
現
(
あら
)
はし、
142
歯
(
は
)
をキリキリと
噛
(
か
)
みしめて、
143
眼
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らし
睨
(
ね
)
めつけて
居
(
ゐ
)
る。
144
ヘルは
高姫
(
たかひめ
)
の
面貌
(
めんばう
)
を
見
(
み
)
てギヨツとしながら、
145
屹度
(
きつと
)
胸
(
むね
)
をすゑ、
146
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
りわざとに
体
(
からだ
)
を
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
へ
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
し、
147
胸
(
むね
)
の
動悸
(
どうき
)
をかくし、
148
ヘル『アハハハハハ
吐
(
ぬか
)
したりな
高姫
(
たかひめ
)
、
149
其
(
その
)
鬼面
(
おにづら
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
、
150
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
些
(
ちつ
)
と
許
(
ばか
)
り
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つたからとて、
151
そんな
六ケ敷
(
むつかし
)
い
相好
(
さうがう
)
はなさりませぬぞや。
152
神
(
かみ
)
は
愛
(
あい
)
と
善
(
ぜん
)
と
信
(
しん
)
とでは
厶
(
ござ
)
らぬか。
153
仮
(
かり
)
にも
人
(
ひと
)
を
威喝
(
ゐかつ
)
、
154
軽侮
(
けいぶ
)
、
155
憎悪
(
ぞうを
)
するやうな
事
(
こと
)
で、
156
何
(
ど
)
うして
正
(
ただ
)
しい
神
(
かみ
)
と
云
(
い
)
へますか。
157
御
(
お
)
控
(
ひか
)
へ
召
(
め
)
され』
158
と
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
159
高姫
(
たかひめ
)
は
烈火
(
れつくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
憤
(
いきどほ
)
り、
160
相好
(
さうがう
)
益々
(
ますます
)
獰猛
(
だうまう
)
となり、
161
さも
憎々
(
にくにく
)
しげに
睨
(
ね
)
めつけ
乍
(
なが
)
ら、
162
高姫
(
たかひめ
)
『コリヤ、
163
バラモンの
小盗人
(
こぬすと
)
奴
(
め
)
、
164
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
165
誠
(
まこと
)
の
生神
(
いきがみ
)
は
貴様
(
きさま
)
のやうな
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
に
分
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
らうか。
166
お
前
(
まへ
)
は
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
に
悪
(
あく
)
と
云
(
い
)
ふ
地獄
(
ぢごく
)
を
築
(
きづ
)
き
上
(
あ
)
げてゐるから、
167
此
(
この
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
円満
(
ゑんまん
)
なる
美貌
(
びばう
)
が
怖
(
こは
)
く
見
(
み
)
えたり、
168
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
が
悪言
(
あくげん
)
暴語
(
ばうご
)
の
如
(
ごと
)
く
聞
(
きこ
)
ゆるのだ。
169
身魂
(
みたま
)
の
階級
(
かいきふ
)
が
違
(
ちが
)
ふと
悪
(
あく
)
が
善
(
ぜん
)
に
見
(
み
)
え、
170
善
(
ぜん
)
が
悪
(
あく
)
に
見
(
み
)
えたりするものだ』
171
と
自分
(
じぶん
)
の
悪
(
あく
)
と
虚偽
(
きよぎ
)
とにより
地獄
(
ぢごく
)
に
堕
(
お
)
ち
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
らず、
172
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
他
(
た
)
に
対
(
たい
)
して
悪呼
(
あくよば
)
はりをしてゐる。
173
人間
(
にんげん
)
も
精霊
(
せいれい
)
も
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
暗愚
(
あんぐ
)
になつては
如何
(
いか
)
なる
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
も
之
(
これ
)
を
救
(
すく
)
ふ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないものである。
174
ヘルは
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
首
(
くび
)
をヌツと
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
し、
175
背水
(
はいすゐ
)
の
陣
(
ぢん
)
を
張
(
は
)
つたつもりで、
176
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め、
177
ヘル『
今一言
(
いまいちごん
)
、
178
何
(
なん
)
なと
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
よ。
179
この
鉄拳
(
てつけん
)
が
貴様
(
きさま
)
の
脳天
(
なうてん
)
に
障
(
さは
)
るや
否
(
いな
)
や
木端
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
にして
呉
(
く
)
れるぞよ』
180
との
勢
(
いきほひ
)
を
示
(
しめ
)
してゐる。
181
流石
(
さすが
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も
其
(
その
)
権幕
(
けんまく
)
に
辟易
(
へきえき
)
したか、
182
ヘルに
向
(
むか
)
つては
夫
(
そ
)
れ
切
(
き
)
り
相手
(
あひて
)
にしなかつた。
183
ヘルは
振
(
ふ
)
り
上
(
あ
)
げた
拳
(
こぶし
)
のやり
所
(
どころ
)
がなくなつて、
184
首尾
(
しゆび
)
悪
(
わる
)
げに
元
(
もと
)
へ
直
(
なほ
)
した。
185
高姫
(
たかひめ
)
はニヤリと
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
らさも
横柄
(
わうへい
)
な
面付
(
つらつき
)
して
後
(
うしろ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
見下
(
みくだ
)
し、
186
高姫
(
たかひめ
)
『コレ
六公
(
ろくこう
)
にシャル、
187
ケリナ、
188
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
の
事
(
こと
)
より
出来
(
でき
)
ぬのだから、
189
妾
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
耳
(
みみ
)
に
入
(
はい
)
らぬ
人
(
ひと
)
は、
190
如何
(
どう
)
しても
地獄行
(
ぢごくゆ
)
きぢやぞえ。
191
皆々
(
みなみな
)
、
192
どうだい、
193
一
(
ひと
)
つ
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
天国
(
てんごく
)
へ
上
(
のぼ
)
る
気
(
き
)
はないか』
194
ケリナ『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
195
到底
(
たうてい
)
妾
(
わたし
)
のやうな
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
人間
(
にんげん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
造
(
つく
)
つた
罪業
(
ざいごふ
)
に
依
(
よ
)
つて
相応
(
さうおう
)
の
地獄
(
ぢごく
)
へ
行
(
ゆ
)
かねばなりますまい。
196
何程
(
なにほど
)
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
が
天国
(
てんごく
)
へ
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げてやらうと
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さつても、
197
身魂
(
みたま
)
不相応
(
ふさうおう
)
の
所
(
ところ
)
へ
行
(
ゆ
)
くのは
苦
(
くる
)
しくて
堪
(
た
)
えられませぬ。
198
妾
(
わたし
)
は
現在
(
げんざい
)
の
儘
(
まま
)
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
暮
(
くら
)
したいと
存
(
ぞん
)
じます』
199
高姫
(
たかひめ
)
『ハテ、
200
さて
解
(
わか
)
らぬ
方
(
かた
)
だなア。
201
神
(
かみ
)
が
御
(
お
)
蔭
(
かげ
)
をやらうと
思
(
おも
)
ふてつき
出
(
だ
)
して
居
(
を
)
るのに
受取
(
うけと
)
らぬと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるものか。
202
諺
(
ことわざ
)
にも……
天
(
てん
)
の
与
(
あた
)
ふるものを
取
(
と
)
らざれば
却
(
かへ
)
つて
災
(
わざはひ
)
其
(
その
)
身
(
み
)
に
及
(
およ
)
ぶ……といふ
事
(
こと
)
があるぢやないか。
203
何故
(
なぜ
)
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
がつき
出
(
だ
)
した
神徳
(
しんとく
)
を
辞退
(
じたい
)
するのだい』
204
ケリナ『ハイ、
205
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いますが、
206
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
から
頂
(
いただ
)
いた
神徳
(
しんとく
)
なれば
自分
(
じぶん
)
がお
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
さぬ
限
(
かぎ
)
り
決
(
けつ
)
して
取上
(
とりあ
)
げらるる
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
207
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
人間
(
にんげん
)
さまから
頂
(
いただ
)
いた
神徳
(
しんとく
)
は、
208
何時
(
なんどき
)
取返
(
とりかへ
)
されるか
知
(
し
)
れませぬから、
209
初
(
はじ
)
めから
頂
(
いただ
)
かない
方
(
はう
)
が、
210
双方
(
さうはう
)
の
利益
(
りえき
)
で
厶
(
ござ
)
いませう』
211
高姫
(
たかひめ
)
『コレ、
212
ケリナ、
213
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
解
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
をお
前
(
まへ
)
は
云
(
い
)
ふのだい。
214
最前
(
さいぜん
)
からも
云
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
り、
215
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
さまの
生宮
(
いきみや
)
ぢやないか。
216
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
を
人間
(
にんげん
)
ぢやと
思
(
おも
)
ふて
居
(
を
)
るのが、
217
テンカラ
間違
(
まちが
)
ひぢやぞえ。
218
それだからお
前
(
まへ
)
は
改心
(
かいしん
)
が
足
(
た
)
らぬといふのだ。
219
お
前
(
まへ
)
が
妾
(
わたし
)
の
館
(
やかた
)
へ
来
(
き
)
たのも
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
古
(
ふる
)
き
神代
(
かみよ
)
から、
220
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
があつて
引寄
(
ひきよ
)
せられたのだ。
221
お
前
(
まへ
)
の
大先祖
(
おほせんぞ
)
は
大将軍
(
だいしやうぐん
)
様
(
さま
)
を
苦
(
くる
)
しめた
十悪道
(
じふあくだう
)
の
身魂
(
みたま
)
ぢやから、
222
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
が
子孫
(
しそん
)
に
伝
(
つた
)
はり
今度
(
こんど
)
は
世
(
よ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しにつれて、
223
大掃除
(
おほさうぢ
)
が
始
(
はじ
)
まるのだから、
224
悪
(
あく
)
の
系統
(
ひつぽう
)
の
身魂
(
みたま
)
は
焼
(
や
)
き
亡
(
ほろ
)
ぼし、
225
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
置
(
お
)
かぬやうにするのだから、
226
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
の
申
(
まを
)
す
間
(
うち
)
に
柔順
(
すなほ
)
に
聞
(
き
)
く
方
(
はう
)
が、
227
お
主
(
ぬし
)
の
徳
(
とく
)
ぢやぞえ』
228
ケリナ『ハイ、
229
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いますが、
230
妾
(
わたし
)
には
大先祖
(
おほせんぞ
)
がどんな
事
(
こと
)
をして
居
(
を
)
つたか、
231
中先祖
(
ちうせんぞ
)
が
何
(
ど
)
うだつたか、
232
そんな
事
(
こと
)
はテンと
解
(
わか
)
りませぬ。
233
私
(
わたし
)
は
私
(
わたし
)
で
信
(
しん
)
ずる
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
厶
(
ござ
)
いますから、
234
折角
(
せつかく
)
乍
(
なが
)
ら
御
(
ご
)
辞退
(
じたい
)
を
致
(
いた
)
します』
235
高姫
(
たかひめ
)
『ドークズの
身魂
(
みたま
)
といふものは
上
(
あ
)
げも
下
(
おろ
)
しもならぬものだなア。
236
人間
(
にんげん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
根本
(
こつぽん
)
の
因縁
(
いんねん
)
が
解
(
わか
)
るものかいなア。
237
それだから
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
身魂調
(
みたましら
)
べをして
各自
(
めんめ
)
に
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
を
表
(
あら
)
はし、
238
因縁
(
いんねん
)
だけの
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
おほ
)
せつけるのだ。
239
先祖
(
せんぞ
)
からの
因縁
(
いんねん
)
性来
(
しやうらい
)
が
解
(
わか
)
らぬやうな
事
(
こと
)
で、
240
何
(
ど
)
うして
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
御用
(
ごよう
)
が
勤
(
つと
)
まりますか。
241
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
間
(
うち
)
に
柔順
(
すなほ
)
に
聞
(
き
)
いて
置
(
お
)
きなさらぬと
後
(
あと
)
で
後悔
(
こうくわい
)
を
致
(
いた
)
しても、
242
其処
(
そこ
)
になりたらモウ
神
(
かみ
)
は
知
(
し
)
りませぬぞや。
243
マア
悠
(
ゆつく
)
りと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てて
雪隠
(
せつちん
)
へでも
入
(
はい
)
つて
考
(
かんが
)
へて
来
(
き
)
なさい。
244
アーア
一人
(
ひとり
)
の
氏子
(
うぢこ
)
を
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
導
(
みちび
)
かうと
思
(
おも
)
へば、
245
並
(
なみ
)
や
大抵
(
たいてい
)
の
事
(
こと
)
ぢやない。
246
乃木
(
のぎ
)
大将
(
たいしやう
)
が
旅順口
(
りよじゆんこう
)
を
十万
(
じふまん
)
の
兵士
(
へいし
)
を
以
(
もつ
)
て
落
(
おと
)
したよりも
難
(
むつかし
)
いものだ。
247
針
(
はり
)
の
穴
(
あな
)
へ
駱駝
(
らくだ
)
を
通
(
とほ
)
すよりも
難
(
むつかし
)
い。
248
これでは
神
(
かみ
)
も
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れるワイ。
249
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
に
何程
(
なにほど
)
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
を
噛
(
か
)
んで
含
(
くく
)
めるやうに
言
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かしてやつても、
250
豚
(
ぶた
)
に
真珠
(
しんじゆ
)
、
251
猫
(
ねこ
)
に
小判
(
こばん
)
のやうなものだ。
252
憐
(
あは
)
れみ
玉
(
たま
)
へ
助
(
たす
)
け
玉
(
たま
)
へ、
253
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
様
(
さま
)
』
254
と
掌
(
て
)
を
合
(
あは
)
し
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
にケリナ
姫
(
ひめ
)
の
改心
(
かいしん
)
を
祈
(
いの
)
つてゐる。
255
シャル、
256
六造
(
ろくざう
)
の
二人
(
ふたり
)
は
此
(
この
)
問答
(
もんだふ
)
をポカンと
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けた
儘
(
まま
)
延
(
の
)
び
上
(
あが
)
つて
立膝
(
たてひざ
)
し
乍
(
なが
)
ら
聞
(
き
)
いてゐる。
257
暫
(
しばら
)
くは
土佐犬
(
とさいぬ
)
の
噛
(
か
)
み
合
(
あ
)
ひのやうな
光景
(
くわうけい
)
で
沈黙
(
ちんもく
)
の
幕
(
まく
)
が
下
(
お
)
りた。
258
其処
(
そこ
)
へ
銅羅声
(
どらごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
門
(
かど
)
の
戸
(
と
)
をブチ
割
(
わ
)
れる
程
(
ほど
)
叩
(
たた
)
くものがある。
259
高姫
(
たかひめ
)
はツと
立上
(
たちあが
)
り
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
尻目
(
しりめ
)
にかけ
乍
(
なが
)
ら、
260
門
(
かど
)
の
戸
(
と
)
を
開
(
ひら
)
く
可
(
べ
)
く
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
261
(
大正一二・三・一四
旧一・二七
於竜宮館二階
外山豊二
録)
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