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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第56巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 自愛之柵
第1章 神慮
第2章 恋淵
第3章 仇花
第4章 盗歌
第5章 鷹魅
第2篇 宿縁妄執
第6章 高圧
第7章 高鳴
第8章 愛米
第9章 我執
第3篇 月照荒野
第10章 十字
第11章 惚泥
第12章 照門颪
第13章 不動滝
第14章 方岩
第4篇 三五開道
第15章 猫背
第16章 不臣
第17章 強請
第18章 寛恕
第19章 痴漢
第20章 犬嘘
余白歌
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(B)
(N)
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第五章
鷹魅
(
ようみ
)
〔一四三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
篇:
第1篇 自愛之柵
よみ(新仮名遣い):
じあいのしがらみ
章:
第5章 鷹魅
よみ(新仮名遣い):
ようみ
通し章番号:
1435
口述日:
1923(大正12)年03月14日(旧01月27日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
宣伝歌を歌いながらやってきた婆は高姫であった。高姫はこの原野は自分の管轄区域だと言うと、四人の男女に声をかけて招いた。
高姫はここは現界だと言い張ると、半ば強引に四人を自分の館に招いた。谷川のほとりに、高姫の中有界における住処である小さな萱吹きの家が建っていた。一行は橋を渡って高姫館に着いた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5605
愛善世界社版:
56頁
八幡書店版:
第10輯 166頁
修補版:
校定版:
59頁
普及版:
25頁
初版:
ページ備考:
001
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
元津祖
(
もとつおや
)
002
弥勒
(
みろく
)
の
神
(
かみ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
が
003
肉
(
にく
)
のお
宮
(
みや
)
に
憑
(
うつ
)
りたる
004
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
とこじつけて
005
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
006
其
(
その
)
外
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
神宝
(
しんぱう
)
に
007
執着
(
しふちやく
)
強
(
つよ
)
く
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
008
海洋
(
かいやう
)
万里
(
ばんり
)
の
波
(
なみ
)
渡
(
わた
)
り
009
騒
(
さわ
)
ぎまはりし
其
(
その
)
結果
(
けつくわ
)
010
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
瑞御霊
(
みづみたま
)
011
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
012
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
執成
(
とりなし
)
に
013
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
悔悟
(
くわいご
)
して
014
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
生
(
い
)
き
復
(
かへ
)
り
015
暫
(
しば
)
らく
聖地
(
せいち
)
に
現
(
あら
)
はれて
016
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
へ
居
(
ゐ
)
たりしが
017
淡路
(
あはぢ
)
の
里
(
さと
)
の
東助
(
とうすけ
)
が
018
昔馴染
(
むかしなじみ
)
と
聞
(
き
)
きしより
019
再
(
ふたた
)
び
狂
(
くる
)
ふ
心猿
(
しんゑん
)
意馬
(
いば
)
の
020
止
(
と
)
め
度
(
ど
)
もなしに
躍動
(
やくどう
)
し
021
生田
(
いくた
)
の
森
(
もり
)
を
後
(
あと
)
にして
022
長
(
なが
)
の
海山
(
うみやま
)
打渡
(
うちわた
)
り
023
心
(
こころ
)
いそいそ
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
024
ウブスナ
山
(
やま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
025
詣
(
まう
)
で
来
(
きた
)
りて
東助
(
とうすけ
)
に
026
過
(
す
)
ぎし
昔
(
むかし
)
の
物語
(
ものがたり
)
027
シツポリなして
旧交
(
きうかう
)
を
028
回復
(
くわいふく
)
せむと
恋愛
(
れんあい
)
の
029
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれ
村肝
(
むらきも
)
の
030
心
(
こころ
)
は
暗
(
やみ
)
となりにけり
031
信心
(
しんじん
)
堅固
(
けんご
)
の
東助
(
とうすけ
)
は
032
恋
(
こひ
)
に
狂
(
くる
)
へる
高姫
(
たかひめ
)
に
033
只
(
ただ
)
一瞥
(
いちべつ
)
もくれずして
034
いと
素気
(
すげ
)
なくも
刎
(
は
)
ねつける
035
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
りし
高姫
(
たかひめ
)
も
036
愈
(
いよいよ
)
自暴
(
じばう
)
自棄
(
じき
)
となり
037
又
(
また
)
もやもとの
悪身魂
(
あくみたま
)
038
再発
(
さいはつ
)
なして
河鹿山
(
かじかやま
)
039
嵐
(
あらし
)
に
面
(
おもて
)
を
曝
(
さら
)
しつつ
040
恥
(
はぢ
)
も
名誉
(
めいよ
)
も
知
(
し
)
らばこそ
041
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
築
(
きづ
)
きたる
042
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
立寄
(
たちよ
)
りて
043
ここに
教主
(
けうしゆ
)
となりすまし
044
館
(
やかた
)
の
主人
(
あるじ
)
珍彦
(
うづひこ
)
を
045
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みくだ
)
し
居
(
ゐ
)
たる
折
(
をり
)
046
大雲山
(
だいうんざん
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
047
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
片腕
(
かたうで
)
と
048
兇党界
(
きようたうかい
)
にて
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
049
妖幻坊
(
えうげんばう
)
に
操
(
あやつ
)
られ
050
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
時置師
(
ときおかし
)
051
杢助
(
もくすけ
)
総務
(
そうむ
)
と
誤解
(
ごかい
)
して
052
うまく
抱
(
だ
)
き
込
(
こ
)
み
一旗
(
ひとはた
)
を
053
挙
(
あ
)
げて
聖地
(
せいち
)
に
立籠
(
たてこ
)
もる
054
東野別
(
あづまのわけ
)
の
向
(
むか
)
ふ
張
(
は
)
り
055
恋
(
こひ
)
の
意趣
(
いしう
)
を
晴
(
は
)
らさむと
056
企
(
たく
)
み
居
(
ゐ
)
たりし
折
(
をり
)
もあれ
057
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
現
(
あら
)
はれて
058
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
活動
(
くわつどう
)
に
059
居堪
(
ゐたま
)
りかねて
妖幻坊
(
えうげんばう
)
060
高姫
(
たかひめ
)
諸共
(
もろとも
)
森林
(
しんりん
)
を
061
潜
(
くぐ
)
つてスタスタ
逃
(
に
)
げ
出
(
いだ
)
し
062
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
063
夫婦
(
ふうふ
)
気取
(
きどり
)
で
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
064
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
065
曲輪
(
まがわ
)
の
玉
(
たま
)
を
落
(
おと
)
しつつ
066
高姫
(
たかひめ
)
諸共
(
もろとも
)
逃
(
に
)
げ
出
(
いだ
)
す
067
妖幻坊
(
えうげんばう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
は
068
高姫司
(
たかひめつかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
069
バラモン
軍
(
ぐん
)
の
屯
(
たむろ
)
せし
070
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
に
現
(
あら
)
はれて
071
あらゆる
魔法
(
まはふ
)
を
行
(
おこな
)
ひつ
072
世人
(
よびと
)
を
悩
(
なや
)
め
居
(
ゐ
)
たる
折
(
をり
)
073
三五教
(
あななひけう
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
074
天女
(
てんによ
)
に
等
(
ひと
)
しき
神司
(
かむつかさ
)
075
初稚姫
(
はつわかひめ
)
やスマートの
076
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き
妖幻坊
(
えうげんばう
)
077
黒雲
(
くろくも
)
起
(
おこ
)
し
高姫
(
たかひめ
)
を
078
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へ
空中
(
くうちう
)
を
079
逃
(
に
)
げ
行
(
ゆ
)
く
折
(
をり
)
しもデカタンの
080
大高原
(
だいかうげん
)
の
中央
(
まんなか
)
に
081
高姫司
(
たかひめつかさ
)
を
遺失
(
ゐしつ
)
して
082
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
083
高姫
(
たかひめ
)
空
(
そら
)
より
墜落
(
つゐらく
)
し
084
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
りて
085
霊肉
(
れいにく
)
脱離
(
だつり
)
の
関門
(
くわんもん
)
を
086
漸
(
やうや
)
く
越
(
こ
)
えて
遥々
(
はるばる
)
と
087
八衢
(
やちまた
)
関所
(
せきしよ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
088
さも
勇
(
いさ
)
ましき
赤白
(
あかしろ
)
の
089
守衛
(
しゆゑい
)
に
行途
(
ゆくて
)
を
遮
(
さへぎ
)
られ
090
三歳
(
みとせ
)
の
間
(
あひだ
)
中有
(
ちうう
)
の
091
世界
(
せかい
)
に
有
(
あ
)
りて
精霊
(
せいれい
)
を
092
研
(
みが
)
き
清
(
きよ
)
むる
身
(
み
)
となりぬ
093
さは
去
(
さ
)
り
乍
(
なが
)
ら
高姫
(
たかひめ
)
の
094
身魂
(
みたま
)
は
地獄
(
ぢごく
)
に
籍
(
せき
)
を
置
(
お
)
き
095
高天原
(
たかあまはら
)
の
霊光
(
れいくわう
)
を
096
畏
(
おそ
)
れ
戦
(
をのの
)
き
忌
(
い
)
み
嫌
(
きら
)
ひ
097
一歳
(
ひととせ
)
経
(
た
)
ちし
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
も
098
中有界
(
ちううかい
)
をブラブラと
099
彷徨
(
さまよ
)
ひ
巡
(
めぐ
)
り
迷
(
まよ
)
ひ
来
(
く
)
る
100
百
(
もも
)
の
精霊
(
せいれい
)
に
相対
(
あひたい
)
し
101
現実界
(
げんじつかい
)
にありし
如
(
ごと
)
102
脱線
(
だつせん
)
だらけの
宣伝
(
せんでん
)
を
103
つづけ
居
(
ゐ
)
たるぞ
愚
(
おろか
)
なれ
104
エリシナ
谷
(
だに
)
に
隠
(
かく
)
れたる
105
ケリナの
姫
(
ひめ
)
やバラモンの
106
軍人
(
いくさびと
)
なるヘル、シャルや
107
六造
(
ろくざう
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
108
草
(
くさ
)
に
隠
(
かく
)
るる
姿
(
すがた
)
をば
109
目敏
(
めざと
)
く
眺
(
なが
)
め
立止
(
たちど
)
まり
110
皺枯声
(
しわがれごゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げて
111
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
112
弥勒
(
みろく
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
先達
(
せんだつ
)
113
高姫司
(
たかひめつかさ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
114
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
に
気
(
き
)
をつける
115
早
(
はや
)
く
草原
(
くさはら
)
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
116
吾
(
わが
)
生宮
(
いきみや
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
よ
117
如何
(
いか
)
に
如何
(
いか
)
にと
呼
(
よ
)
び
立
(
た
)
てる
118
其
(
その
)
スタイルぞ
可笑
(
をか
)
しけれ
119
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
120
迷
(
まよ
)
ひ
切
(
き
)
つたる
霊魂
(
たましひ
)
は
121
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
も
如何
(
いかん
)
とも
122
救
(
すく
)
はむ
手段
(
てだて
)
もなかりけり。
123
高姫
(
たかひめ
)
は
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
長
(
なが
)
い
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
隠
(
かく
)
れてゐる
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
男女
(
なんによ
)
に
向
(
むか
)
ひ
声
(
こゑ
)
を
尖
(
とが
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
124
言葉
(
ことば
)
の
尻口
(
しりくち
)
をピンとあげて
口角
(
こうかく
)
泡
(
あわ
)
を
飛
(
と
)
ばし、
125
アトラスの
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
を
前
(
まへ
)
にニユツと
出
(
だ
)
し
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
ツつ
腮
(
あご
)
をしやくり
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
り、
126
招
(
まね
)
き
猫
(
ねこ
)
の
様
(
やう
)
な
手
(
て
)
つきをして
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
ツつ
空
(
くう
)
を
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら、
127
高姫
(
たかひめ
)
『これこれ、
128
何処
(
どこ
)
の
方
(
かた
)
か
知
(
し
)
らぬが
此
(
この
)
原野
(
げんや
)
は
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
管轄
(
くわんかつ
)
区域
(
くゐき
)
だ。
129
何故
(
なぜ
)
こんな
処
(
ところ
)
まで
黙
(
だま
)
つて
来
(
き
)
たのだい。
130
まア、
131
ちつと
此方
(
こちら
)
へ
来
(
き
)
なさい。
132
結構
(
けつこう
)
な
話
(
はなし
)
をしてやらう。
133
エーエー、
134
辛気
(
しんき
)
臭
(
くさ
)
い。
135
早
(
はや
)
う
出
(
で
)
なさらんかいな。
136
蟋蟀
(
いとど
)
か
螽斯
(
ばつた
)
の
様
(
やう
)
に
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
すつこんで
居
(
を
)
つても
埒
(
らち
)
は
明
(
あ
)
きませぬぞや』
137
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
怖々
(
こはごは
)
草
(
くさ
)
を
分
(
わ
)
けガサガサと
高姫
(
たかひめ
)
の
二三間
(
にさんげん
)
手前
(
てまへ
)
まで
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
た。
138
さうして
不思議
(
ふしぎ
)
相
(
さう
)
に
稍
(
やや
)
俯向
(
うつむき
)
気味
(
きみ
)
になつて
高姫
(
たかひめ
)
の
顔
(
かほ
)
をチラチラと
偸
(
ぬす
)
む
様
(
やう
)
に
見
(
み
)
てゐた。
139
高姫
(
たかひめ
)
『これ
皆
(
みな
)
さま、
140
お
前
(
まへ
)
がここへ
来
(
く
)
る
途中
(
とちう
)
に
一
(
ひと
)
つの
家
(
いへ
)
があつただらう。
141
何故
(
なぜ
)
そこを
黙
(
だま
)
つて
通
(
とほ
)
つて
来
(
き
)
たのだい。
142
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
はもとは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
143
今
(
いま
)
はウラナイ
教
(
けう
)
のエンゼルだぞえ。
144
天
(
てん
)
の
弥勒
(
みろく
)
様
(
さま
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
大柱
(
おほはしら
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
様
(
さま
)
で、
145
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
で
厶
(
ござ
)
るぞや。
146
あんまり
現界
(
げんかい
)
の
人間
(
にんげん
)
が
身魂
(
みたま
)
が
曇
(
くも
)
つてゐるので、
147
どうぞ
助
(
たす
)
けて
天国
(
てんごく
)
へやつてやり
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
つて
化身
(
けしん
)
の
法
(
はふ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
148
高姫
(
たかひめ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
を
使
(
つか
)
つて
此
(
この
)
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を
往来
(
ゆきき
)
する
人民
(
じんみん
)
を
片端
(
かたつぱし
)
から
取
(
と
)
ツ
捉
(
つか
)
まへて、
149
誠
(
まこと
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
かしてゐるのだ。
150
さア
早
(
はや
)
く
出
(
で
)
て
来
(
き
)
なさい』
151
六造
(
ろくざう
)
『お
前
(
まへ
)
さまは
音
(
おと
)
に
名高
(
なだか
)
い
高姫
(
たかひめ
)
さまで
厶
(
ござ
)
いましたか。
152
お
名
(
な
)
は
承
(
うけたま
)
はつてゐましたが、
153
お
目
(
め
)
にかかるのは
初
(
はじ
)
めてです』
154
高姫
(
たかひめ
)
『うん、
155
さうかな。
156
妾
(
わし
)
の
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
宇宙
(
うちう
)
根本
(
こつぽん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
だから
津々
(
つつ
)
浦々
(
うらうら
)
迄
(
まで
)
響
(
ひび
)
いてゐる
筈
(
はず
)
だ。
157
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
、
158
お
前
(
まへ
)
等
(
たち
)
も
妾
(
わし
)
の
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
つただらうな』
159
ヘル『ハイ、
160
根
(
ね
)
つから
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
161
私
(
わたし
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さまだとか、
162
清照姫
(
きよてるひめ
)
とか
云
(
い
)
ふ
立派
(
りつぱ
)
な
方
(
かた
)
の
名
(
な
)
は
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
ますが、
163
高姫
(
たかひめ
)
さまと
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
は
今日
(
こんにち
)
が
初
(
はじ
)
めてです』
164
高姫
(
たかひめ
)
『さうかいな。
165
何
(
なん
)
とまア
遅
(
おく
)
れ
耳
(
みみ
)
だこと。
166
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
名
(
な
)
を
知
(
し
)
らぬものは
一人
(
ひとり
)
も
無
(
な
)
い
筈
(
はず
)
だが、
167
矢張
(
やつぱり
)
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
がないと、
168
雷
(
かみなり
)
の
様
(
やう
)
な
声
(
こゑ
)
で
呼
(
よ
)
ばつても
耳
(
みみ
)
に
這入
(
はい
)
らぬと
見
(
み
)
えるわい。
169
さア
此処
(
ここ
)
で
会
(
あ
)
ふたを
幸
(
さいは
)
ひ、
170
高姫
(
たかひめ
)
の
姿
(
すがた
)
を
拝見
(
はいけん
)
しお
声
(
こゑ
)
をよく
聞
(
き
)
いておきなさい。
171
決
(
けつ
)
して
高姫
(
たかひめ
)
が
云
(
い
)
ふのぢやありませぬぞや。
172
底津
(
そこつ
)
磐根
(
いはね
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
るのだから
仇
(
あだ
)
に
聞
(
き
)
いては
罰
(
ばち
)
が
当
(
あた
)
りますぞえ』
173
ヘル『
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
りませぬが、
174
貴方
(
あなた
)
のお
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くと
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
くなりますわ。
175
お
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ても
気分
(
きぶん
)
がよく
厶
(
ござ
)
いませぬわい』
176
高姫
(
たかひめ
)
『そら、
177
さうだらう。
178
霊国
(
れいごく
)
天国
(
てんごく
)
を
兼
(
か
)
ねた
天人
(
てんにん
)
の
身魂
(
みたま
)
だから、
179
身魂
(
みたま
)
の
曇
(
くも
)
つた
悪
(
あく
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
光明
(
くわうみやう
)
に
照
(
て
)
らされて、
180
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
み
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
言霊
(
ことたま
)
にあてられて、
181
耳
(
みみ
)
が
鳴
(
な
)
り
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
むのだよ。
182
チツと
確
(
しつか
)
りしなさらんか。
183
今
(
いま
)
ここで
取違
(
とりちが
)
ひしたら、
184
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
浮
(
うか
)
ばれませぬぞや』
185
ヘル『ヘイヘイ、
186
畏
(
かしこ
)
まりました。
187
又
(
また
)
御縁
(
ごえん
)
が
厶
(
ござ
)
いましたらお
世話
(
せわ
)
になりやせう』
188
高姫
(
たかひめ
)
『ホホホホホ
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
癲狂
(
てんきやう
)
痴呆
(
ちはう
)
だこと。
189
あああ
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
さまも、
190
こんな
没分暁漢
(
わからずや
)
を
済度
(
さいど
)
なさらなならぬのか、
191
ホンにおいとしいわいのう、
192
オーンオーンオーン、
193
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
はヘルとか
聞
(
き
)
いたが、
194
余程
(
よほど
)
馬鹿
(
ばか
)
な
奴
(
やつ
)
と
見
(
み
)
える。
195
おい、
196
そこに
居
(
ゐ
)
る、
197
も
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
、
198
お
前
(
まへ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
名
(
な
)
位
(
ぐらゐ
)
は
聞
(
き
)
いてゐるだらうな』
199
シャル『ハイ、
200
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
りますが、
201
私
(
わたし
)
の
聞
(
き
)
いてる
高姫
(
たかひめ
)
は
貴女
(
あなた
)
では
厶
(
ござ
)
いますまい。
202
世界
(
せかい
)
に
同
(
おな
)
じ
名
(
な
)
は
沢山
(
たくさん
)
厶
(
ござ
)
いますからな』
203
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
の
聞
(
き
)
いてる
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふのは
如何
(
どん
)
な
性質
(
せいしつ
)
の
人
(
ひと
)
だ。
204
一寸
(
ちよつと
)
云
(
い
)
つて
御覧
(
ごらん
)
なさい』
205
シャル『ヘイ、
206
吾々
(
われわれ
)
の
親方
(
おやかた
)
にして
宜
(
よ
)
い
様
(
やう
)
なお
方
(
かた
)
ですわ。
207
何
(
なん
)
でも
三五教
(
あななひけう
)
とやらに
這入
(
はい
)
つて
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし
大勢
(
おほぜい
)
の
者
(
もの
)
に
嫌
(
きら
)
はれ、
208
屁
(
へ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
とか
糞出
(
くそで
)
の
神
(
かみ
)
とか
云
(
い
)
つて
自
(
みづか
)
ら
触
(
ふ
)
れ
歩
(
ある
)
き、
209
終
(
しま
)
ひの
果
(
はて
)
には
婆
(
ばば
)
の
癖
(
くせ
)
に
恋
(
こひ
)
に
落
(
お
)
ち、
210
妖幻坊
(
えうげんばう
)
と
云
(
い
)
ふ
古狸
(
ふるだぬき
)
につままれて
何処
(
どこ
)
かへ
攫
(
さら
)
はれて
行
(
い
)
つたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
です。
211
その
高姫
(
たかひめ
)
なら
聞
(
き
)
いてゐますが
随分
(
ずゐぶん
)
私
(
わたし
)
の
村
(
むら
)
では
悪
(
わる
)
い
婆
(
ばば
)
だと
云
(
い
)
ふ
評判
(
ひやうばん
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
りますよ』
212
高姫
(
たかひめ
)
『さうかな。
213
矢張
(
やつぱり
)
妾
(
わし
)
の
名
(
な
)
に
似
(
に
)
た
婆
(
ばば
)
があると
見
(
み
)
えるワイ。
214
余
(
あんま
)
り
妾
(
わし
)
の
名
(
な
)
が
高
(
たか
)
いものだから
悪神
(
あくがみ
)
が
現
(
あら
)
はれて
高姫
(
たかひめ
)
の
名
(
な
)
を
騙
(
かた
)
り、
215
三五教
(
あななひけう
)
へ
這入
(
はい
)
つて、
216
又
(
また
)
もや
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
名
(
な
)
を
騙
(
かた
)
り、
217
色々
(
いろいろ
)
の
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
したのだらう。
218
どうも
油断
(
ゆだん
)
のならぬ
時節
(
じせつ
)
だ。
219
然
(
しか
)
し
妾
(
わし
)
は
同
(
おな
)
じ
高姫
(
たかひめ
)
でも、
220
そんな
者
(
もの
)
とは
違
(
ちが
)
ひますぞや。
221
月
(
つき
)
と
鼈
(
すつぽん
)
、
222
雪
(
ゆき
)
と
墨
(
すみ
)
、
223
同
(
おな
)
じものと
見
(
み
)
られましては……ヘン……
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
も
根
(
ね
)
つから
引合
(
ひきあ
)
ひませんわい。
224
オホホホホホ』
225
シャル『
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
は
斯
(
か
)
うして
泥坊
(
どろばう
)
商売
(
しやうばい
)
に
変
(
かは
)
りましたが、
226
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
軍人
(
ぐんじん
)
で
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へたものです。
227
その
時
(
とき
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
幹部
(
かんぶ
)
連
(
れん
)
の
人相書
(
にんさうがき
)
や
絵姿
(
ゑすがた
)
が
廻
(
まは
)
つて
来
(
き
)
ましたが、
228
妖幻坊
(
えうげんばう
)
に
騙
(
だま
)
されたと
云
(
い
)
ふ
高姫
(
たかひめ
)
に、
229
お
前
(
まへ
)
さまそつくりですよ。
230
よもや
其
(
その
)
高姫
(
たかひめ
)
では
厶
(
ござ
)
いますまいな。
231
彼奴
(
あいつ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
なら
口
(
くち
)
と
心
(
こころ
)
が
裏表
(
うらおもて
)
だから
決
(
けつ
)
して
聞
(
き
)
いてはならないと、
232
バラモン
教
(
けう
)
は
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず
三五教
(
あななひけう
)
のピユリタンでさへも
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
ますよ』
233
高姫
(
たかひめ
)
『ホホホホホ、
234
盗人
(
ぬすびと
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
高姫
(
たかひめ
)
の
真偽
(
しんぎ
)
が
判
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
らうか。
235
あの
高姫
(
たかひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はバラモン
教
(
けう
)
に
居
(
を
)
つた
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
と
云
(
い
)
ふのだよ。
236
それが
妾
(
わし
)
の
名
(
な
)
を
騙
(
かた
)
つて、
237
あんな
事
(
こと
)
をやつたのだ。
238
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
は
馬鹿
(
ばか
)
だから、
239
あまり
御光
(
ごくわう
)
が
強
(
つよ
)
いので
見分
(
みわ
)
けがつかず
贋者
(
にせもの
)
を
掴
(
つか
)
んで
居
(
を
)
つたのだ。
240
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
241
この
高姫
(
たかひめ
)
の
隠
(
かく
)
れ
家
(
が
)
迄
(
まで
)
いらつしやい。
242
決
(
けつ
)
して
利益
(
ため
)
にならぬ
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はぬ。
243
皆
(
みんな
)
天国
(
てんごく
)
へ
助
(
たす
)
けてやるのだからな』
244
シャル『オイ、
245
ヘルにケリナに、
246
六公
(
ろくこう
)
、
247
如何
(
どう
)
しようかな。
248
一
(
ひと
)
つ
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
アの
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いてやらうか』
249
六造
(
ろくざう
)
『うん』
250
高姫
(
たかひめ
)
『エー、
251
そりや
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
252
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いてやらうも、
253
糞
(
くそ
)
もあつたものかい。
254
底津
(
そこつ
)
磐根
(
いはね
)
の
弥勒
(
みろく
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
だ。
255
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
助
(
たす
)
けにや
措
(
を
)
かぬ、
256
さア
来
(
き
)
なされ
来
(
き
)
なされ。
257
これ、
258
其処
(
そこ
)
な
若
(
わか
)
いお
女中
(
ぢよちう
)
、
259
お
前
(
まへ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
た
所
(
とこ
)
で
仲々
(
なかなか
)
気
(
き
)
が
利
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
260
事
(
こと
)
と
品
(
しな
)
とによつたら
妾
(
わし
)
の
脇立
(
わきだち
)
に
使
(
つか
)
つてやらうまいものでもない。
261
何
(
なに
)
せよ、
262
曇
(
くも
)
りきつた
霊
(
みたま
)
が
直
(
すぐ
)
に
天国
(
てんごく
)
に
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
ふのは
余
(
あんま
)
り
気
(
き
)
が
良
(
よ
)
すぎる。
263
中途
(
ちうと
)
で
墜落
(
おち
)
る
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
をしてはならず、
264
苦労
(
くらう
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
く
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから……
天国
(
てんごく
)
紫微宮
(
しびきう
)
から
人間
(
にんげん
)
の
姿
(
すがた
)
となつて
降
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
たのだ。
265
そして
苦労
(
くらう
)
の
手本
(
てほん
)
を
見
(
み
)
せて
皆
(
みな
)
に
改心
(
かいしん
)
させる
役
(
やく
)
だぞえ。
266
お
前
(
まへ
)
も
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て
苦労
(
くらう
)
をしなさい』
267
ケリナ『ハイ、
268
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
269
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りました
所
(
ところ
)
、
270
まだ
生命
(
いのち
)
が
現世
(
げんせ
)
に
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
るから
帰
(
かへ
)
れ、
271
と
仰有
(
おつしや
)
つたから
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのです。
272
最早
(
もはや
)
此処
(
ここ
)
は
現界
(
げんかい
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
273
高姫
(
たかひめ
)
『きまつた
事
(
こと
)
だよ。
274
此処
(
ここ
)
は
現界
(
げんかい
)
も
現界
(
げんかい
)
、
275
大現界
(
おほげんかい
)
だ。
276
現幽神
(
げんいうしん
)
三界
(
さんかい
)
の
救
(
すく
)
ひ
主
(
ぬし
)
だから
先
(
ま
)
づ
現界
(
げんかい
)
の
人間
(
にんげん
)
から
助
(
たす
)
けてやるのだよ』
277
ヘル『あああ、
278
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らなくなつて
来
(
き
)
た。
279
然
(
しか
)
しさう
聞
(
き
)
くと
現界
(
げんかい
)
の
様
(
やう
)
にもあるし、
280
も
一
(
ひと
)
つ
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
に
疑念
(
ぎねん
)
も
残
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
281
こんな
道端
(
みちばた
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
が
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
い。
282
先
(
ま
)
づお
婆
(
ば
)
アの
後
(
あと
)
に
跟
(
つ
)
いて
何
(
なん
)
でも
可
(
い
)
いから
探
(
さぐ
)
らして
貰
(
もら
)
ふ
事
(
こと
)
にしようかい。
283
のう
二男
(
になん
)
一女
(
いちによ
)
の
御
(
ご
)
連中
(
れんちう
)
』
284
高姫
(
たかひめ
)
『
探
(
さぐ
)
らして
貰
(
もら
)
ふなんて、
285
そりや
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだい。
286
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
は
正真
(
しやうじき
)
一方
(
いつぱう
)
だ。
287
水晶
(
すいしやう
)
の
様
(
やう
)
につきぬけて
居
(
を
)
るのだぞえ。
288
スパイか
何
(
なん
)
ぞの
様
(
やう
)
に
探
(
さぐ
)
るなんて、
289
心
(
こころ
)
の
穢
(
きたな
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのぢやありませぬわい。
290
さアさア
来
(
き
)
なさい』
291
と
羽
(
は
)
ばたきし
乍
(
なが
)
ら
欣々
(
いそいそ
)
と
東
(
ひがし
)
を
指
(
さ
)
して
小径
(
こみち
)
を
歩
(
あゆ
)
み
出
(
だ
)
した。
292
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
293
婆
(
ばあ
)
さまの
館
(
やかた
)
に
行
(
い
)
つて
休息
(
きうそく
)
せむと
重
(
おも
)
い
足
(
あし
)
を
引摺
(
ひきず
)
り
乍
(
なが
)
ら
跟
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
294
谷川
(
たにがは
)
の
辺
(
ほとり
)
に
萱
(
かや
)
で
葺
(
ふ
)
いた
二間作
(
ふたまづく
)
りの
小
(
ささや
)
かな
家
(
いへ
)
が
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
295
これが
高姫
(
たかひめ
)
の
中有界
(
ちううかい
)
に
於
(
お
)
ける
住家
(
すみか
)
である。
296
ヒヨヒヨした
板
(
いた
)
の
一枚橋
(
いちまいばし
)
を
危
(
あやふ
)
く
渡
(
わた
)
り
乍
(
なが
)
ら
漸
(
やうや
)
くにして
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
館
(
やかた
)
にやつと
着
(
つ
)
いた。
297
(
大正一二・三・一四
旧一・二七
於竜宮館
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 盗歌
(B)
(N)
高圧 >>>
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第56巻(未の巻)
> 第1篇 自愛之柵 > 第5章 鷹魅
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【第5章 鷹魅|第56巻|真善美愛|霊界物語|/rm5605】
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