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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第56巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 自愛之柵
第1章 神慮
第2章 恋淵
第3章 仇花
第4章 盗歌
第5章 鷹魅
第2篇 宿縁妄執
第6章 高圧
第7章 高鳴
第8章 愛米
第9章 我執
第3篇 月照荒野
第10章 十字
第11章 惚泥
第12章 照門颪
第13章 不動滝
第14章 方岩
第4篇 三五開道
第15章 猫背
第16章 不臣
第17章 強請
第18章 寛恕
第19章 痴漢
第20章 犬嘘
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<<< 痴漢
(B)
(N)
余白歌 >>>
第二〇章
犬嘘
(
けんきよ
)
〔一四五〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
篇:
第4篇 三五開道
よみ(新仮名遣い):
あなないかいどう
章:
第20章 犬嘘
よみ(新仮名遣い):
けんきょ
通し章番号:
1450
口述日:
1923(大正12)年03月17日(旧02月1日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
テルモン山の館をエルが飛び出してから半時ばかり経つと、各宮町の町民たちが礼服を整えてやって来た。小国姫が何事かと対応すると、町総代が、エルから聞いたと言って小国別のお悔やみを上げ、またワックスとデビス姫の祝言の祝を述べたてた。
小国姫は驚いて、如意宝珠の玉が戻ったこと以外は事実ではないことを総代に説明した。総代は戻って町民たちに、小国別は健在であること、如意宝珠の玉が戻ったことを報告した。
ワックスは角辻に立って演説をやり始め、小国別夫婦が三五教の宣伝使を館に連れ込んで悪事を企んでいると事実無根の話をでっち上げ、攻撃の演説を始めた。群衆は三五教の宣伝使がテルモン山館に招かれていると聞いて怒り、館に押し寄せた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-07-18 17:07:11
OBC :
rm5620
愛善世界社版:
278頁
八幡書店版:
第10輯 250頁
修補版:
校定版:
293頁
普及版:
134頁
初版:
ページ備考:
001
テルモン
山
(
ざん
)
の
館
(
やかた
)
をエルが
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
してから
半時
(
はんとき
)
許
(
ばか
)
り
経
(
た
)
つと
各宮町
(
かくみやまち
)
の
住民
(
ぢゆうみん
)
が、
002
礼服
(
れいふく
)
を
整
(
ととの
)
へ
扇
(
あふぎ
)
をきちんと
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
り
玄関口
(
げんくわんぐち
)
にチクチクと
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
003
『
頼
(
たの
)
もう
頼
(
たの
)
もう』
004
と
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る。
005
小国姫
(
をくにひめ
)
は
何事
(
なにごと
)
の
突発
(
とつぱつ
)
せしならむかと
玄関口
(
げんくわんぐち
)
へ
出
(
で
)
て
見
(
み
)
れば
町総代
(
まちさうだい
)
のパインと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
、
006
叮嚀
(
ていねい
)
に
辞儀
(
じぎ
)
をしながら、
007
パイン『これはこれは
奥様
(
おくさま
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
008
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
は
誠
(
まこと
)
にお
気毒
(
きのどく
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
009
嘸
(
さぞ
)
お
力
(
ちから
)
落
(
おと
)
しで
厶
(
ござ
)
いませう。
010
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
り
沢山
(
たくさん
)
の
町民
(
ちやうみん
)
がお
悔
(
くやみ
)
に
参
(
まゐ
)
りましたが、
011
一々
(
いちいち
)
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
致
(
いた
)
すのも
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
と
存
(
ぞん
)
じ
私
(
わたくし
)
が
総代
(
そうだい
)
に
出
(
で
)
ました。
012
承
(
うけたま
)
はれば
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
は
御
(
ご
)
昇天
(
しようてん
)
との
事
(
こと
)
で
御
(
お
)
歎
(
なげ
)
きの
所
(
ところ
)
へ
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
が
還
(
かへ
)
り、
013
ワツクス
様
(
さま
)
とお
嬢様
(
ぢやうさま
)
の
御
(
ご
)
婚礼
(
こんれい
)
が
調
(
ととの
)
ひましたさうで、
014
お
喜
(
よろこ
)
び
申
(
まをし
)
てよいやら、
015
お
悔
(
くや
)
み
申
(
まをし
)
てよいやら、
016
盆
(
ぼん
)
と
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
が
一緒
(
いつしよ
)
に
来
(
き
)
たやうに、
017
喜
(
よろこ
)
びと
悲
(
かな
)
しみに
打
(
う
)
たれて
居
(
ゐ
)
ます。
018
何卒
(
どうぞ
)
御用
(
ごよう
)
があつたら
仰
(
おほせ
)
つけ
下
(
くだ
)
さいませ』
019
姫
(
ひめ
)
『
貴方
(
あなた
)
は
町総代
(
まちそうだい
)
のパイン
様
(
さま
)
、
020
ようお
出
(
いで
)
下
(
くだ
)
さいました。
021
併
(
しか
)
し
誰
(
たれ
)
がそんな
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
したか
知
(
し
)
りませぬが、
022
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
はまだお
国替
(
くにがへ
)
になつて
居
(
ゐ
)
ませぬから
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
023
パインは
驚
(
おどろ
)
いて
顔
(
かほ
)
を
赤
(
あか
)
らめ
乍
(
なが
)
ら、
024
パイン
『エエ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
いますか、
025
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
はまだお
達者
(
たつしや
)
で
居
(
ゐ
)
らつしやいますか、
026
それは
何
(
なに
)
より
結構
(
けつこう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
027
誠
(
まこと
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
のない
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
して
失礼
(
しつれい
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
028
何卒
(
どうぞ
)
お
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
029
併
(
しか
)
し
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
が
再
(
ふたた
)
びお
手
(
て
)
に
入
(
はい
)
つたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
事実
(
じじつ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
030
姫
(
ひめ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う、
031
それは
事実
(
じじつ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
032
まあまあこれでこの
館
(
やかた
)
も
一安心
(
ひとあんしん
)
で
厶
(
ござ
)
います』
033
パイン『それは
何
(
なに
)
よりもお
目出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
034
吾々
(
われわれ
)
町民
(
ちやうみん
)
一同
(
いちどう
)
もこんな
喜
(
よろこ
)
ばしい
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
035
就
(
つい
)
ては
御
(
ご
)
家令
(
かれい
)
の
御
(
ご
)
子息
(
しそく
)
様
(
さま
)
がお
嬢様
(
ぢやうさま
)
の
御
(
ご
)
養子
(
やうし
)
になられると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
承
(
うけたま
)
はりましたが、
036
それは
事実
(
じじつ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
037
姫
(
ひめ
)
『そんな
事
(
こと
)
を
誰
(
たれ
)
にお
聞
(
き
)
きになりましたか、
038
此方
(
こちら
)
にはそんな
噂
(
うはさ
)
もして
居
(
を
)
りませぬが』
039
パイン『ヤ、
040
それを
聞
(
き
)
いて
町内
(
ちやうない
)
の
者
(
もの
)
も
安心
(
あんしん
)
を
致
(
いた
)
すで
厶
(
ござ
)
いませう。
041
斯
(
か
)
う
申
(
まを
)
すと
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
042
御
(
ご
)
家令
(
かれい
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
子息
(
しそく
)
は
町内中
(
ちやうないぢう
)
での
憎
(
にく
)
まれもの、
043
根性
(
こんじやう
)
が
悪
(
わる
)
くて、
044
馬鹿
(
ばか
)
で、
045
極道
(
ごくだう
)
で、
046
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
を
友達
(
ともだち
)
にして、
047
町民
(
ちやうみん
)
を
困
(
こま
)
らせて
居
(
ゐ
)
る
仕方
(
しかた
)
のないお
方
(
かた
)
ですから、
048
若
(
も
)
しもそんなお
方
(
かた
)
を
御
(
ご
)
養子
(
やうし
)
にでもお
貰
(
もら
)
ひにならうものなら、
049
お
家
(
いへ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
潰
(
つぶ
)
れて
仕舞
(
しま
)
ひ、
050
宮町
(
みやまち
)
の
氏子
(
うぢこ
)
は
皆
(
みんな
)
、
051
小国別
(
をくにわけ
)
家
(
け
)
に
背
(
そむ
)
くで
厶
(
ござ
)
いませう。
052
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
承
(
うけたま
)
はつてお
家
(
いへ
)
のため、
053
実
(
じつ
)
に
安心
(
あんしん
)
を
致
(
いた
)
しました。
054
如何
(
いか
)
なる
事情
(
じじやう
)
が
厶
(
ござ
)
いましても、
055
御
(
ご
)
如才
(
じよさい
)
は
厶
(
ござ
)
いますまいが、
056
義理
(
ぎり
)
人情
(
にんじやう
)
に
搦
(
から
)
まれて、
057
あのやうな
男
(
をとこ
)
を
御
(
ご
)
養子
(
やうし
)
になさる
事
(
こと
)
は
止
(
や
)
めて
頂
(
いただ
)
きたう
厶
(
ござ
)
います。
058
是
(
これ
)
はパイン
一人
(
ひとり
)
の
意見
(
いけん
)
ではなく、
059
町内
(
ちやうない
)
一般
(
いつぱん
)
の
意見
(
いけん
)
で
厶
(
ござ
)
いますから』
060
姫
(
ひめ
)
『ハイ
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
061
何卒
(
どうぞ
)
町内
(
ちやうない
)
の
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
にも
宜敷
(
よろし
)
く
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
062
又
(
また
)
夫
(
をつと
)
小国別
(
をくにわけ
)
は
何分
(
なにぶん
)
老齢
(
としより
)
の
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
063
何時
(
いつ
)
変
(
へん
)
が
来
(
こ
)
ないとも
分
(
わか
)
りませぬ。
064
其
(
その
)
時
(
とき
)
には
何卒
(
どうぞ
)
宜敷
(
よろし
)
く
皆様
(
みなさま
)
にお
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
すと、
065
妾
(
わたし
)
が
言
(
い
)
ふたと
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ』
066
パイン『これはこれは
失礼
(
しつれい
)
致
(
いた
)
しました。
067
左様
(
さやう
)
ならば
是
(
これ
)
で
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
ります。
068
町内
(
ちやうない
)
のものが
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
がお
国替
(
くにがへ
)
になつたと
云
(
い
)
つて
各自
(
めいめい
)
に
仕事
(
しごと
)
を
休
(
やす
)
み、
069
又
(
また
)
立花
(
たてばな
)
、
070
生花
(
いけばな
)
などの
用意
(
ようい
)
にかかつて
居
(
を
)
りますから、
071
早
(
はや
)
くこの
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
らしてやらねばなりませぬから』
072
姫
(
ひめ
)
『もしパイン
様
(
さま
)
、
073
誰
(
たれ
)
がそんな
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
したので
厶
(
ござ
)
いませうねえ、
074
怪
(
け
)
しからん
奴
(
やつ
)
があるでは
厶
(
ござ
)
いませぬか』
075
パイン『
現
(
げん
)
にお
家
(
うち
)
の
受付
(
うけつけ
)
をやつてゐるエルさまが
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
でそんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つたものですから、
076
忽
(
たちま
)
ち
町中
(
まちぢう
)
に
拡
(
ひろ
)
がつたので
厶
(
ござ
)
います』
077
姫
(
ひめ
)
『
何
(
なん
)
といふまア、
078
チヨカ
助
(
すけ
)
だらう。
079
さうして
何処
(
どこ
)
に
居
(
を
)
りますかなア』
080
パイン『ハイ、
081
今
(
いま
)
エルさまは
牛
(
うし
)
に
睾丸
(
きんたま
)
を
蹴
(
け
)
られて
綿打屋
(
わたうちや
)
の
座敷
(
ざしき
)
に
担
(
かつ
)
ぎ
込
(
こ
)
まれ、
082
大熱
(
だいねつ
)
を
出
(
だ
)
して
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
り
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
られます。
083
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
隣
(
となり
)
に
藪井
(
やぶゐ
)
竹庵
(
ちくあん
)
が
厶
(
ござ
)
つたものだから
診察
(
しんさつ
)
して
貰
(
もら
)
つた
所
(
ところ
)
、
084
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
静養
(
せいやう
)
さして
置
(
お
)
けば
癒
(
なほ
)
るだらう、
085
仮令
(
たとへ
)
間
(
ひま
)
が
要
(
い
)
つても
生命
(
いのち
)
に
別条
(
べつでう
)
は
無
(
な
)
いからと
仰有
(
おつしや
)
いました。
086
エルさまの
事
(
こと
)
は
吾々
(
われわれ
)
がお
世話
(
せわ
)
を
致
(
いた
)
しますから
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
087
それよりも
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
に
気
(
き
)
をつけて
下
(
くだ
)
さいませ』
088
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
所
(
ところ
)
へ、
089
黒山
(
くろやま
)
の
如
(
ごと
)
く
弔
(
とむら
)
ひ
客
(
きやく
)
や
祝
(
いは
)
ひ
客
(
きやく
)
が
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
つて
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せて
来
(
く
)
る。
090
小国姫
(
をくにひめ
)
はパインに
後
(
あと
)
を
頼
(
たの
)
み
置
(
お
)
き、
091
夫
(
をつと
)
の
傍
(
そば
)
に
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
092
パインは
町民
(
ちやうみん
)
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて、
093
パイン『
皆様
(
みなさま
)
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
によくも
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
094
館
(
やかた
)
の
奥様
(
おくさま
)
のお
頼
(
たの
)
みによつて
私
(
わたし
)
が
代理
(
だいり
)
となり
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
致
(
いた
)
します。
095
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
はまだ
御
(
ご
)
昇天
(
しようてん
)
遊
(
あそ
)
ばしたのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
096
番頭
(
ばんとう
)
のエルが
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
りの
慌者
(
あわてもの
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
097
慌
(
あわて
)
て
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
つたので
厶
(
ござ
)
いませう。
098
何卒
(
どうぞ
)
皆
(
みな
)
様
(
さま
)
安心
(
あんしん
)
して
下
(
くだ
)
さいませ。
099
さうして
一
(
ひと
)
つ
喜
(
よろこ
)
んで
貰
(
もら
)
ふ
事
(
こと
)
は
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
が
再
(
ふたた
)
びお
館
(
やかた
)
へ
還
(
かへ
)
つた
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
100
皆様
(
みなさま
)
の
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
を
当
(
たう
)
お
館
(
やかた
)
の
奥様
(
おくさま
)
に
代
(
かは
)
つてパインが
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
を
致
(
いた
)
します』
101
と
述
(
の
)
べ
終
(
をは
)
り、
102
『
小国別
(
をくにわけ
)
館
(
やかた
)
万歳
(
ばんざい
)
ー』
103
を
三唱
(
さんしやう
)
した。
104
数多
(
あまた
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
は
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
万歳
(
ばんざい
)
を
三唱
(
さんしやう
)
し、
105
各
(
おのおの
)
呆気
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られ、
106
ブツブツ
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
ひながら
拍子
(
ひやうし
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
顔
(
かほ
)
をして
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
107
ワツクスは
宮町
(
みやまち
)
の
四辻
(
よつつじ
)
に
立
(
た
)
つて
盛
(
さかん
)
に
演説
(
えんぜつ
)
をやり
始
(
はじ
)
めた。
108
大勢
(
おほぜい
)
の
者
(
もの
)
は
館
(
やかた
)
からの
帰
(
かへ
)
りがけ
馬鹿
(
ばか
)
息子
(
むすこ
)
が
又
(
また
)
もや
何
(
なん
)
だか
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
したと、
109
面白
(
おもしろ
)
半分
(
はんぶん
)
やつて
来
(
き
)
た。
110
ワツクスは
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
111
ワツクス『
皆
(
みな
)
さま、
112
テルモン
山
(
ざん
)
の
館
(
やかた
)
には
大変事
(
だいへんじ
)
が
突発
(
とつぱつ
)
致
(
いた
)
しましたが
御存
(
ごぞん
)
じですか、
113
よもやお
分
(
わか
)
りでは
厶
(
ござ
)
いますまい。
114
噂
(
うはさ
)
にもお
聞
(
き
)
きで
厶
(
ござ
)
いませうが
三五教
(
あななひけう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
悪神
(
あくがみ
)
が
飛
(
と
)
んで
参
(
まゐ
)
り、
115
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
を
夜
(
よる
)
密
(
ひそか
)
に
盗
(
ぬす
)
み
出
(
だ
)
し、
116
小国別
(
をくにわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
初
(
はじ
)
め
一族
(
いちぞく
)
郎党
(
らうたう
)
に
不調法
(
ぶてうはふ
)
をさせ、
117
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
をもつて
館
(
やかた
)
は
云
(
い
)
ふに
及
(
およ
)
ばず、
118
宮町
(
みやまち
)
一般
(
いつぱん
)
の
人民
(
じんみん
)
を
小国別
(
をくにわけ
)
の
同類
(
どうるゐ
)
と
見做
(
みな
)
し、
119
片端
(
かたつぱし
)
から
首
(
くび
)
をチヨン
切
(
ぎ
)
らすと
云
(
い
)
ふ
悪
(
わる
)
い
計劃
(
けいくわく
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りますぞ。
120
そしてその
三千彦
(
みちひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
悪者
(
わるもの
)
は、
121
今
(
いま
)
お
館
(
やかた
)
に
大
(
おほ
)
きな
面
(
つら
)
をして
居据
(
ゐすは
)
り、
122
魔法
(
まはふ
)
をもつて
小国姫
(
をくにひめ
)
をチヨロまかし
小国別
(
をくにわけ
)
様
(
さま
)
を
病気
(
びやうき
)
に
致
(
いた
)
し、
123
ジリジリ
弱
(
よわ
)
りに
弱
(
よわ
)
らせて
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
り、
124
デビス
姫
(
ひめ
)
の
婿
(
むこ
)
にならうとして
悪
(
わる
)
い
企
(
たく
)
みを
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りますぞ。
125
皆
(
みな
)
さま、
126
テルモン
山
(
ざん
)
のお
館
(
やかた
)
を
思
(
おも
)
ひ、
127
又
(
また
)
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
自身
(
じしん
)
のお
家
(
いへ
)
や、
128
体
(
からだ
)
や
子孫
(
しそん
)
をお
思
(
おも
)
ひなさるなら、
129
これから
一同
(
いちどう
)
力
(
ちから
)
を
合
(
あは
)
せ、
130
お
館
(
やかた
)
に
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ、
131
三千彦
(
みちひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
悪人
(
あくにん
)
を
懲
(
こら
)
しめて
下
(
くだ
)
さい、
132
否
(
いな
)
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さい。
133
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
猶予
(
いうよ
)
はして
居
(
を
)
れませぬぞ。
134
グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
の
難儀
(
なんぎ
)
になりますぞや。
135
幸
(
さいは
)
ひ
拙者
(
せつしや
)
はその
三千彦
(
みちひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
の
顔
(
かほ
)
を
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
りますから、
136
是
(
これ
)
から
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
を
致
(
いた
)
します、
137
皆
(
みな
)
さま
私
(
わたくし
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
が
出来
(
でき
)
ますなら、
138
何卒
(
どうぞ
)
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい』
139
と
呶鳴
(
どな
)
つた。
140
群集
(
ぐんしふ
)
の
中
(
なか
)
には
全部
(
ぜんぶ
)
真実
(
まこと
)
と
信
(
しん
)
ずるものもあり、
141
又
(
また
)
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
者
(
もの
)
もあつた。
142
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
143
バラモン
教
(
けう
)
の
館
(
やかた
)
の
中
(
なか
)
に
三五教
(
あななひけう
)
の
者
(
もの
)
が
来
(
き
)
て
居
(
を
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
り、
144
俄
(
にはか
)
に
皆
(
みな
)
が
怒
(
おこ
)
り
出
(
だ
)
し
老爺
(
ぢぢ
)
も
老婆
(
ばば
)
も
子供
(
こども
)
も、
145
脛腰
(
すねこし
)
の
立
(
た
)
つ
奴
(
やつ
)
は
群衆
(
ぐんしう
)
心理
(
しんり
)
とやらで
再
(
ふたた
)
び
館
(
やかた
)
に
取
(
と
)
つて
返
(
かへ
)
し、
146
潮
(
うしほ
)
の
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
するが
如
(
ごと
)
く
館
(
やかた
)
の
表門
(
おもてもん
)
にヒシヒシと
詰
(
つ
)
めかけた。
147
ワツクスの
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せの
虚構
(
きよこう
)
演説
(
えんぜつ
)
によつて
忽
(
たちま
)
ち
一同
(
いちどう
)
憤慨
(
ふんがい
)
し、
148
館
(
やかた
)
に
押寄
(
おしよ
)
せ
三千彦
(
みちひこ
)
を
袋叩
(
ふくろだたき
)
にした
事
(
こと
)
や、
149
其
(
その
)
外
(
ほか
)
いろいろの
面白
(
おもしろ
)
き
物語
(
ものがたり
)
は
之
(
これ
)
にて
尽
(
つ
)
きませぬが、
150
紙面
(
しめん
)
の
都合
(
つがふ
)
によりて
後巻
(
こうくわん
)
に
譲
(
ゆづ
)
ります。
151
(
大正一二・三・一七
旧二・一
於竜宮館階上
加藤明子
録)
152
(昭和一〇・六・一四 王仁校正)
153
本日
(
ほんじつ
)
は
故
(
こ
)
井上
(
いのうへ
)
明澄
(
はるすみ
)
君
(
くん
)
の
五十
(
ごじふ
)
日祭
(
にちさい
)
に
就
(
つ
)
き
口述者
(
こうじつしや
)
参列
(
さんれつ
)
す。
154
明澄
(
はるすみ
)
氏
(
し
)
神霊
(
しんれい
)
の
請求
(
せいきう
)
に
依
(
よ
)
り
白扇
(
はくせん
)
一本
(
いつぽん
)
を
霊前
(
れいぜん
)
に
贈
(
おく
)
る、
155
氏
(
し
)
の
神霊
(
しんれい
)
は
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天使
(
てんし
)
として
教祖
(
けうそ
)
の
傍
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
奉仕
(
ほうし
)
し
給
(
たま
)
へり。
156
大正十二年三月十七日旧二月一日
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<<< 痴漢
(B)
(N)
余白歌 >>>
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
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第56巻(未の巻)
> 第4篇 三五開道 > 第20章 犬嘘
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【第20章 犬嘘|第56巻|真善美愛|霊界物語|/rm5620】
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