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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第56巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 自愛之柵
第1章 神慮
第2章 恋淵
第3章 仇花
第4章 盗歌
第5章 鷹魅
第2篇 宿縁妄執
第6章 高圧
第7章 高鳴
第8章 愛米
第9章 我執
第3篇 月照荒野
第10章 十字
第11章 惚泥
第12章 照門颪
第13章 不動滝
第14章 方岩
第4篇 三五開道
第15章 猫背
第16章 不臣
第17章 強請
第18章 寛恕
第19章 痴漢
第20章 犬嘘
余白歌
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霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
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第56巻(未の巻)
> 第2篇 宿縁妄執 > 第9章 我執
<<< 愛米
(B)
(N)
十字 >>>
第九章
我執
(
がしふ
)
〔一四三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
篇:
第2篇 宿縁妄執
よみ(新仮名遣い):
しゅくえんもうしゅう
章:
第9章 我執
よみ(新仮名遣い):
がしゅう
通し章番号:
1439
口述日:
1923(大正12)年03月16日(旧01月29日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
求道居士が吹いたほら貝の音に、求道居士とベル、ヘル、ケリナの三人は煙のごとく姿を消した。高姫はシャルと六造に向かって、彼らは義理天上に逆らったから消されてしまったのだ、と息巻いている。
六造は人が少なくなったのを見て、高姫相手に強盗を働こうと凄んだ。高姫は出刃包丁をシャルに渡して、六造と張り合うように命令した。
シャルはふるえていたが、宣伝歌の声が遠くから聞こえてくると、六造は煙となって窓から逃げ出してしまった。
高姫とシャルが話していると、微妙の音楽が聞こえ、麗しい天人が現れた。天人は中間天国のエンゼル・文治別命と名乗った。文治別命は、自分はかつて小北山で受付をしていた文助であることを明かした。
高姫は文助がエンゼルになれるわけがないと、文治別命を魔神だと疑った。文治別命は高姫に悔い改めを勧めに来たのだが、高姫はまるで聞き入れない。文治別命はシャルにも忠告したが、二人は耳を貸さなかった。
文治別命はなんとかかつての師匠高姫を改心させたいと思案に暮れている。高姫の伏せ家の周りには天人が隊を成して取り巻き、あたりには芳香が薫じ嚠喨とした音楽がしきりに聞こえている。
高姫は突然もだえ苦しみだした。エンゼルたちは高姫を救おうと天津祝詞を奏上し、数歌を歌った。高姫はますます忌み嫌い、裏口を開けて裏山を指して四つ這いに逃げて行った。シャルもこの態を見て高姫の後を追った。
高姫は禿山を二つ三つ越えて広い沼のほとりに着いた。後からシャルも声を呼ばわりやってきた。高姫とシャルには、天人たちが恐い顔をして金棒を持った鬼に見えていた。
高姫は天人たちを振り切ったと思って、シャルの前で強がって見せた。そこへ文治別命が数百人の天人を従えて降ってきた。高姫は負け惜しみを言いながら、青い顔をして次の山を駆け上って逃げ出した。シャルもその後を追っていく。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-19 19:48:43
OBC :
rm5609
愛善世界社版:
119頁
八幡書店版:
第10輯 190頁
修補版:
校定版:
126頁
普及版:
57頁
初版:
ページ備考:
001
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
が
息
(
いき
)
をこめて
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てた
法螺貝
(
ほらがひ
)
の
音
(
ね
)
にベル、
002
ヘル、
003
ケリナの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
此
(
この
)
場
(
ば
)
より
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
姿
(
すがた
)
を
消
(
け
)
した。
004
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
の
影
(
かげ
)
もいつしか
消
(
き
)
えて
幽
(
かす
)
かに
法螺
(
ほら
)
の
音
(
ね
)
が
遠
(
とほ
)
く
聞
(
きこ
)
えてゐる。
005
高姫
(
たかひめ
)
はシャル、
006
六造
(
ろくざう
)
の
二人
(
ふたり
)
に
向
(
むか
)
ひ、
007
高姫
(
たかひめ
)
『コレ、
008
シャル、
009
六造
(
ろくざう
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
010
何
(
なん
)
と
高姫
(
たかひめ
)
の
神力
(
しんりき
)
は
偉
(
えら
)
いものだらうがなア。
011
余
(
あま
)
り
我
(
が
)
が
強
(
つよ
)
いに
仍
(
よ
)
つて、
012
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
様
(
さま
)
が
勘忍袋
(
かんにんぶくろ
)
をお
切
(
き
)
らし
遊
(
あそ
)
ばし、
013
ホンの
一寸
(
ちよつと
)
お
睨
(
にら
)
み
遊
(
あそ
)
ばすと
共
(
とも
)
に、
014
あの
法螺
(
ほら
)
吹
(
ふき
)
もベル、
015
ヘルの
両人
(
りやうにん
)
もハイカラ
女
(
をんな
)
も、
016
皆
(
みな
)
一度
(
いちど
)
に
煙散
(
えんさん
)
霧消
(
むせう
)
跡型
(
あとかた
)
もなくなりにけり……といふ
悲惨
(
ひさん
)
な
有様
(
ありさま
)
だ。
017
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
て
改心
(
かいしん
)
をしなされ。
018
六
(
ろく
)
さんは
又
(
また
)
唖
(
おし
)
か
何
(
なに
)
かのやうに
一言
(
ひとこと
)
もいはずに、
019
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
どこに
居
(
を
)
つたのだえ』
020
六造
(
ろくざう
)
『ヘー、
021
余
(
あま
)
り
法螺
(
ほら
)
の
貝
(
かひ
)
が
恐
(
おそ
)
ろしいので、
022
一寸
(
ちよつと
)
厠
(
かはや
)
の
中
(
なか
)
へ
隠居
(
いんきよ
)
して
居
(
を
)
りました。
023
随分
(
ずいぶん
)
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
がやつて
来
(
き
)
た
者
(
もの
)
ですな。
024
それにしてもベルの
奴
(
やつ
)
、
025
私
(
わたし
)
をライオン
川
(
がは
)
に
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
みやがつた
天罰
(
てんばつ
)
で
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つたのは
小気味
(
こぎみ
)
のよいこつて
厶
(
ござ
)
います。
026
之
(
これ
)
も
全
(
まつた
)
く
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
の
致
(
いた
)
す
所
(
ところ
)
と、
027
有難
(
ありがた
)
く
感謝
(
かんしや
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります』
028
高姫
(
たかひめ
)
『それだから
神
(
かみ
)
に
凭
(
もた
)
れてさへ
居
(
を
)
りたら
神
(
かみ
)
が
仇
(
かたき
)
を
討
(
う
)
つてやらうと
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
029
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
のヤンチヤをスツカリ
改良
(
かいりやう
)
して、
030
何事
(
なにごと
)
も
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
の
申
(
まを
)
す
通
(
とほ
)
りにするが
可
(
よ
)
いぞや』
031
六造
(
ろくざう
)
『ハイ、
032
何
(
なん
)
でも
致
(
いた
)
しますが、
033
併
(
しか
)
し
何
(
なん
)
だか
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くなつて
来
(
き
)
ました。
034
一杯
(
いつぱい
)
おごつて
貰
(
もら
)
いませぬと、
035
元気
(
げんき
)
が
付
(
つ
)
きませぬワ』
036
高姫
(
たかひめ
)
『エーエ
付
(
つ
)
け
上
(
あが
)
りのした、
037
お
前
(
まへ
)
はそれだから
可
(
い
)
かぬのだ。
038
お
前
(
まへ
)
の
仇
(
かたき
)
をあの
通
(
とほ
)
り
消滅
(
せうめつ
)
さしてやり、
039
結構
(
けつこう
)
な
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
かして
居
(
ゐ
)
るのに、
040
一杯
(
いつぱい
)
呑
(
の
)
ませなんて、
041
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
厚
(
あつ
)
かましい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのだいなア』
042
六造
(
ろくざう
)
『イエ
私
(
わたし
)
は
酒
(
さけ
)
を
呑
(
の
)
ましてくれと
云
(
い
)
つたのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
043
お
前
(
まへ
)
さまの
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
る
出刃
(
でば
)
を
懐
(
ふところ
)
に
呑
(
の
)
まして
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
つたのです。
044
どうか
一口
(
ひとくち
)
頂
(
いただ
)
く
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬかな』
045
高姫
(
たかひめ
)
『ならんならん、
046
出刃
(
でば
)
のやうな
兇器
(
きようき
)
を
持
(
も
)
つて、
047
何
(
ど
)
うする
積
(
つもり
)
だい、
048
又
(
また
)
出刃亀
(
でばがめ
)
にでもなる
積
(
つもり
)
だらう』
049
六造
(
ろくざう
)
『イエ、
050
出刃亀
(
でばがめ
)
ぢやありませぬ、
051
出刃六
(
でばろく
)
になる
考
(
かんが
)
へです。
052
之
(
これ
)
を
以
(
もつ
)
て
風呂屋
(
ふろや
)
の
障子
(
しやうじ
)
を
四角
(
しかく
)
に
切
(
き
)
り、
053
三助
(
さんすけ
)
やおさんの
活動
(
くわつどう
)
を
覗
(
のぞ
)
く
考
(
かんが
)
へです。
054
三助
(
さんすけ
)
とおさんと
寄
(
よ
)
れば
六
(
ろく
)
でせう。
055
そこへ
六
(
ろく
)
さんが
這入
(
はい
)
ると
六六三
(
ろくろくさん
)
で
十五夜
(
じふごや
)
の
満月
(
まんげつ
)
になりませうがな。
056
お
前
(
まへ
)
さまは
最前
(
さいぜん
)
も
小声
(
こごゑ
)
で
唄
(
うた
)
つてゐたでせう……
十五夜
(
じふごや
)
に
片割月
(
かたわれづき
)
があるものか、
057
雲
(
くも
)
に
隠
(
かく
)
れてここに
半分
(
はんぶん
)
……と
聞
(
き
)
きましたよ。
058
十五夜
(
じふごや
)
の
片割月
(
かたわれづき
)
は
余
(
あま
)
り
目出度
(
めでた
)
くありませぬから、
059
私
(
わたし
)
が
之
(
これ
)
から
出刃六
(
でばろく
)
となり、
060
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
となりて
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
へ
上
(
のぼ
)
り、
061
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に、
062
お
前
(
まへ
)
さまの
今
(
いま
)
の
有様
(
ありさま
)
を
報告
(
はうこく
)
せうと
思
(
おも
)
つてゐるのだ。
063
どうです、
064
名案
(
めいあん
)
でせう』
065
高姫
(
たかひめ
)
『
明暗
(
めいあん
)
も
顕幽
(
けんいう
)
もあるものか、
066
お
前
(
まへ
)
の
霊
(
みたま
)
は
暗
(
やみ
)
の
暗
(
あん
)
だ。
067
それだから
暗本丹
(
あんぽんたん
)
と
人
(
ひと
)
に
云
(
い
)
はれるのだよ。
068
六
(
ろく
)
でなしだから、
069
名
(
な
)
迄
(
まで
)
六造
(
ろくざう
)
だ。
070
どうで
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
へ
行
(
ゆ
)
けるやうな
代物
(
しろもの
)
ぢやない。
071
六道
(
ろくだう
)
の
辻代物
(
つじしろもの
)
だ。
072
イヒヒヒヒ』
073
六造
(
ろくざう
)
『コリヤ
高
(
たか
)
、
074
俺
(
おれ
)
を
何方
(
どなた
)
と
心得
(
こころえ
)
てるンでえ、
075
エエン。
076
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
は
法螺
(
ほら
)
つ
吹
(
ぷき
)
先生
(
せんせい
)
が
来
(
き
)
よつたので、
077
俺
(
おれ
)
も
聊
(
いささ
)
か
面喰
(
めんくら
)
つてすつ
込
(
こ
)
んでゐたのだが、
078
モウ
斯
(
か
)
うなりや
〆
(
しめ
)
たものだ。
079
誰
(
たれ
)
憚
(
はばか
)
る
者
(
もの
)
もなし、
080
婆
(
ばば
)
の
一匹
(
いつぴき
)
や
二匹
(
にひき
)
は
俺
(
おれ
)
の
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
だ。
081
サア
有金
(
ありがね
)
をスツパリ
渡
(
わた
)
すか、
082
さなくば、
083
衣類
(
いるゐ
)
一切
(
いつさい
)
をここへつん
出
(
だ
)
して、
084
あやまるか、
085
どうだ。
086
汝
(
きさま
)
の
槍
(
やり
)
は
俺
(
おれ
)
が、
087
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はボキボキに
折
(
を
)
つといたのだ。
088
ゴテゴテ
申
(
まを
)
すと
命
(
いのち
)
がないぞ』
089
高姫
(
たかひめ
)
『コレ、
090
シャル、
091
お
前
(
まへ
)
は
私
(
わたし
)
の
家来
(
けらい
)
ぢやないか、
092
何
(
なに
)
をグヅグヅしてゐるのだい。
093
サ、
094
此
(
この
)
出刃
(
でば
)
を
貸
(
か
)
すから、
095
負
(
まけ
)
ず
劣
(
おと
)
らず、
096
此奴
(
こやつ
)
に
対抗
(
たいかう
)
して
取
(
と
)
つつめてやりなさい。
097
善
(
ぜん
)
を
助
(
たす
)
け
悪
(
あく
)
を
懲
(
こら
)
すは
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
だ。
098
こんな
者
(
もの
)
が
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
にウヨウヨしてゐると、
099
世界
(
せかい
)
にどれ
丈
(
だけ
)
害
(
がい
)
を
流
(
なが
)
すか
分
(
わか
)
らない。
100
サア、
101
之
(
これ
)
を
確
(
しつか
)
り
握
(
にぎ
)
つて
強圧
(
きやうあつ
)
的
(
てき
)
に
出
(
で
)
るのだよ』
102
シャル『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
103
チツト
夫
(
そ
)
れは
自愛
(
じあい
)
ぢやありませぬか、
104
私
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
だか
地獄
(
ぢごく
)
の
行
(
や
)
り
方
(
かた
)
のやうに
思
(
おも
)
へてなりませぬがな、
105
威喝
(
ゐかつ
)
や
憤怒
(
ふんぬ
)
や
復讐
(
ふくしう
)
などは、
106
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
には
影
(
かげ
)
さへもないぢやありませぬか』
107
高姫
(
たかひめ
)
『エーエ、
108
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
男
(
をとこ
)
だな、
109
正当
(
せいたう
)
防衛
(
ばうゑい
)
といふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つてゐるかい。
110
何程
(
なにほど
)
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
だと
云
(
い
)
つても、
111
ジツとして
居
(
を
)
つたら、
112
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
がどんな
目
(
め
)
に
合
(
あ
)
はされまいものでもない。
113
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
は
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
大切
(
たいせつ
)
なお
道具
(
だうぐ
)
だから、
114
それを
守護
(
しゆご
)
するのはお
前
(
まへ
)
の
役目
(
やくめ
)
だ。
115
サアお
前
(
まへ
)
の
手柄
(
てがら
)
を
現
(
あら
)
はす
時
(
とき
)
だ。
116
かういふものの
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は、
117
六
(
ろく
)
のやうな
者
(
もの
)
が
千匹
(
せんびき
)
万匹
(
まんびき
)
束
(
たば
)
になつて
来
(
き
)
たとて
屁
(
へ
)
とも
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
ないが、
118
お
前
(
まへ
)
の
弟子入
(
でしい
)
りした
初陣
(
うひぢん
)
の
功名
(
こうみやう
)
に、
119
此奴
(
こいつ
)
をとつつめさしてやるのだから、
120
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
のお
馬
(
うま
)
の
前
(
さき
)
の
功名
(
こうみやう
)
だ。
121
サア、
122
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
頂
(
いただ
)
くのは
今
(
いま
)
だぞえ。
123
エーエ、
124
慄
(
ふる
)
つてゐるのかいな、
125
何
(
なん
)
だ
気
(
き
)
のチヨろい。
126
そんな
事
(
こと
)
で、
127
よう
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
盗人
(
ぬすびと
)
が
出来
(
でき
)
たものだなア』
128
六造
(
ろくざう
)
『ワツハハハハ、
129
オイ、
130
シャル、
131
其
(
その
)
ザマは
何
(
なん
)
だ。
132
随分
(
ずいぶん
)
体
(
からだ
)
が
微細
(
びさい
)
にワク……ワクと
動
(
うご
)
いてゐるぢやないか、
133
エヘヘヘヘ』
134
シャル『オイ
六
(
ろく
)
、
135
俺
(
おれ
)
は
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
に
抵抗
(
ていかう
)
する
意志
(
いし
)
はないのだから、
136
俺
(
おれ
)
には
決
(
けつ
)
して
危害
(
きがい
)
を
加
(
くは
)
へないやうにしてくれ、
137
そして
高姫
(
たかひめ
)
は
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで
見
(
み
)
えすく
生宮
(
いきみや
)
だから、
138
天下
(
てんか
)
の
為
(
ため
)
に
之
(
これ
)
を
傷付
(
きずつ
)
けるやうな
事
(
こと
)
があつては
大変
(
たいへん
)
な
損害
(
そんがい
)
だよつて、
139
何卒
(
どうぞ
)
、
140
そんな
無理
(
むり
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
はずに、
141
トツトと
帰
(
かへ
)
つてくれ、
142
頼
(
たの
)
みだからなア』
143
六造
(
ろくざう
)
『オイ
高
(
たか
)
、
144
ツベコベと
人
(
ひと
)
の
受売
(
うけうり
)
許
(
ばか
)
りしやがつて、
145
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
標榜
(
へうばう
)
してゐるが、
146
一遍
(
いつぺん
)
其
(
その
)
出刃
(
でば
)
を
此方
(
こつち
)
へ
渡
(
わた
)
せ、
147
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はお
前
(
まへ
)
の
肚
(
はら
)
を
断
(
た
)
ち
割
(
わ
)
つて、
148
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
出現
(
しゆつげん
)
を
願
(
ねが
)
ふ
積
(
つもり
)
だ。
149
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
もこんな
肉体
(
にくたい
)
に
這入
(
はい
)
つて
厶
(
ござ
)
つてはお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だからなア』
150
高姫
(
たかひめ
)
は
稍
(
やや
)
慄
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
151
ワザと
空元気
(
からげんき
)
を
出
(
だ
)
し、
152
高姫
『
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
を
何
(
なん
)
とお
前
(
まへ
)
は
心得
(
こころえ
)
てるのか、
153
ヘグレのヘグレのヘグレ
武者
(
むしや
)
、
154
或
(
ある
)
時
(
とき
)
は
天
(
てん
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
竜
(
りう
)
ともなり、
155
或
(
ある
)
時
(
とき
)
は
蠑螈
(
いもり
)
となつて
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
め、
156
千変
(
せんぺん
)
万化
(
ばんくわ
)
の
活動
(
くわつどう
)
をいたして、
157
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
守護
(
しゆご
)
致
(
いた
)
す
弥勒
(
みろく
)
様
(
さま
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
だ。
158
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて、
159
忽
(
たちま
)
ち
地獄行
(
ぢごくゆき
)
を
致
(
いた
)
さねばならぬぞや』
160
六造
(
ろくざう
)
『
何
(
なん
)
だか
俺
(
おれ
)
はお
前
(
まへ
)
の
面
(
つら
)
を
見
(
み
)
るとムカついて
仕方
(
しかた
)
がないのだ。
161
地獄
(
ぢごく
)
へ
堕
(
おと
)
されうが、
162
そんなこたア、
163
構
(
かま
)
ふものかい。
164
地獄
(
ぢごく
)
へ
堕
(
お
)
ちるのが
厭
(
いや
)
だと
云
(
い
)
つて、
165
心
(
こころ
)
にもないおベツカを
使
(
つか
)
ふのは、
166
自分
(
じぶん
)
の
潔
(
いさぎよ
)
しとせざる
所
(
ところ
)
だ。
167
そんな
心
(
こころ
)
になれば、
168
お
前
(
まへ
)
の
最前
(
さいぜん
)
言
(
い
)
はれたやうに
自愛心
(
じあいしん
)
になるのだから、
169
放
(
ほ
)
つといて
呉
(
く
)
れ。
170
それよりも
一旦
(
いつたん
)
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
したらば
後
(
あと
)
へは
引
(
ひ
)
かぬ
六造
(
ろくざう
)
だ。
171
サア、
172
キレーサツパリと、
173
何
(
なに
)
もかも
渡
(
わた
)
して
貰
(
もら
)
ひませう』
174
シャルは
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に、
175
シャル
『
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
176
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
六造
(
ろくざう
)
を
改心
(
かいしん
)
さして
下
(
くだ
)
さいませ。
177
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
難儀
(
なんぎ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
178
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸
(
ち
)
はひませ』
179
と
小声
(
こごゑ
)
で
祈
(
いの
)
つてゐる。
180
高姫
(
たかひめ
)
はツト
立
(
た
)
つて
此
(
この
)
家
(
や
)
を
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
し
相
(
さう
)
な
様子
(
やうす
)
が
見
(
み
)
えた。
181
六
(
ろく
)
は
背後
(
うしろ
)
からグツと
首筋
(
くびすぢ
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み、
182
力
(
ちから
)
に
任
(
まか
)
して
引倒
(
ひきたふ
)
した。
183
シャルは
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
て、
184
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
と、
185
矢庭
(
やには
)
に
六
(
ろく
)
の
胸倉
(
むなぐら
)
を
取
(
と
)
り、
186
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
締
(
し
)
めつけた。
187
不思議
(
ふしぎ
)
や
六
(
ろく
)
はスボツと
脱
(
ぬ
)
けて
三間
(
さんげん
)
許
(
ばか
)
り
後
(
うしろ
)
につつ
立
(
た
)
ち、
188
大口
(
おほぐち
)
をあけて、
189
六造
(
ろくざう
)
『アツハハハ』
190
と
笑
(
わら
)
つてゐる。
191
そこへ
何処
(
どこ
)
ともなしに
宣伝歌
(
せんでんか
)
の
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
192
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くより
六
(
ろく
)
は、
193
天井
(
てんじやう
)
の
窓
(
まど
)
から
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
逃出
(
にげだ
)
して
了
(
しま
)
つた。
194
高姫
(
たかひめ
)
はヤツと
安心
(
あんしん
)
し、
195
又
(
また
)
もや
法螺
(
ほら
)
を
吹出
(
ふきだ
)
した。
196
高姫
(
たかひめ
)
『オホホホホ、
197
コレ、
198
シャル、
199
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
は
偉
(
えら
)
いものだらう。
200
あの
通
(
とほ
)
り
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
に
恐
(
おそ
)
れて
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
ふのだからな』
201
シャル『それでも、
202
貴方
(
あなた
)
、
203
大変
(
たいへん
)
に
体
(
からだ
)
がフラックツァールしてゐたぢやありませぬか。
204
此
(
この
)
シャルは
高姫
(
たかひめ
)
さまが
恐
(
おそ
)
れて
精神
(
せいしん
)
動揺
(
どうえう
)
を
遊
(
あそ
)
ばしたのだと
思
(
おも
)
ひ、
205
随分
(
ずいぶん
)
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
しましたよ』
206
高姫
(
たかひめ
)
『ホホホホ、
207
私
(
わたし
)
がフラックツァールしたのは
一厘
(
いちりん
)
のお
仕組
(
しぐみ
)
を
現
(
あら
)
はしてみたのだよ。
208
彼奴
(
あいつ
)
は
影
(
かげ
)
の
代物
(
しろもの
)
だから、
209
此方
(
こちら
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りになるのだ。
210
影
(
かげ
)
は
形
(
かたち
)
に
従
(
したが
)
ふものだ。
211
日
(
ひ
)
の
照
(
て
)
る
所
(
ところ
)
へ
出
(
で
)
て、
212
体
(
からだ
)
を
動
(
うご
)
かして
見
(
み
)
なさい、
213
キツと
影法師
(
かげぼふし
)
が
動
(
うご
)
くだらう。
214
さうだから
高姫
(
たかひめ
)
が
動揺
(
どうえう
)
して
見
(
み
)
せたのは、
215
影人足
(
かげにんそく
)
の
六公
(
ろくこう
)
をゆり
散
(
ち
)
らす
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
神法
(
しんぱふ
)
だ。
216
何
(
なん
)
と
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
といふものは
結構
(
けつこう
)
なものだらうがなア』
217
シャル『
成程
(
なるほど
)
矢張
(
やつぱり
)
貴女
(
あなた
)
は、
218
チェンジェーブルの
術
(
じゆつ
)
に
長
(
た
)
けてゐられますな。
219
それでヘグレのヘグレのヘグレ
武者
(
むしや
)
といふ
事
(
こと
)
が
合点
(
がつてん
)
が
参
(
まゐ
)
りました。
220
イヤもう
大変
(
たいへん
)
な
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
戴
(
いただ
)
きました。
221
サンキューサンキュー』
222
高姫
(
たかひめ
)
『コレ、
223
サンキューとは
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふのだい。
224
六
(
ろく
)
が
帰
(
い
)
んだと
思
(
おも
)
へば、
225
又
(
また
)
三九
(
さんきう
)
だのと、
226
三九
(
さんきう
)
の
数
(
かず
)
は
十二
(
じふに
)
ぢやないか、
227
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
意味
(
いみ
)
だい。
228
ハツキリと
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひませう。
229
チェンジェーブルだの、
230
三九
(
さんきう
)
だのと、
231
鳥
(
とり
)
のなくやうな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して……
神
(
かみ
)
には
分
(
わか
)
りませぬぞや』
232
シャル『
別
(
べつ
)
にお
前
(
まへ
)
さまの
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へ
遊
(
あそ
)
ばすやうな
深
(
ふか
)
い
意味
(
いみ
)
があるのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ、
233
サンキュー
と
云
(
い
)
つたのは
有難
(
ありがた
)
うと
感謝
(
かんしや
)
したので
厶
(
ござ
)
います。
234
チェンジェーブルと
云
(
い
)
つたのは、
235
何
(
なに
)
にもよく
変
(
へん
)
げ
遊
(
あそ
)
ばす
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
感心
(
かんしん
)
したので
厶
(
ござ
)
います』
236
高姫
(
たかひめ
)
『ウン
成程
(
なるほど
)
、
237
そんなら
之
(
これ
)
から
精
(
せい
)
出
(
だ
)
して、
238
私
(
わたし
)
をチェンジェーブルの
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
といふのだよ。
239
サンキューも
許
(
ゆる
)
しますから、
240
精
(
せい
)
出
(
だ
)
してサンキュー サンキューと
云
(
い
)
ひなさい』
241
シャル『チェンジェーブル
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
242
サンキュー サンキュー、
243
サンキュー サンキュー サンキュー、
244
モ
一
(
ひと
)
つサンキューまだサンキュー、
245
……サンキュー サンキュー サンキュー、
246
モシモシ
之
(
これ
)
でお
気
(
き
)
に
入
(
い
)
りますかな』
247
高姫
(
たかひめ
)
『エーエ、
248
過
(
す
)
ぎたるは
及
(
およ
)
ばざるが
如
(
ごと
)
しといふぢやないか、
249
サンキューも
可
(
い
)
いかげんにしときなさい、
250
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
かぬ
男
(
をとこ
)
だなア』
251
シャル『コルブス コルブス、
252
サークイ サークイ』
253
高姫
(
たかひめ
)
『
又
(
また
)
分
(
わか
)
らぬことを
言
(
い
)
ふぢやないか、
254
コルブスとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だい』
255
シャル『ハイ、
256
コルブスといふ
事
(
こと
)
は、
257
死体
(
したい
)
といふ
事
(
こと
)
です、
258
サークイといふ
事
(
こと
)
は
臭
(
くさ
)
いといふ
事
(
こと
)
です』
259
高姫
(
たかひめ
)
『エー、
260
増長
(
ぞうちよう
)
するも
程
(
ほど
)
がある。
261
何程
(
なにほど
)
したいと
云
(
い
)
つても、
262
ヘン、
263
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
に
相手
(
あひて
)
になる
生宮
(
いきみや
)
ぢやありませぬぞや。
264
そして
臭
(
くさ
)
いとは、
265
何
(
なん
)
といふ
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
をほざくのだい。
266
夫
(
そ
)
れほど
臭
(
くさ
)
ければ、
267
そこに
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
さるな』
268
シャル『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
死体
(
したい
)
のやうな
臭
(
くさ
)
い
匂
(
にほ
)
ひがしたといふのです。
269
それは
高
(
たか
)
……オツトドツコイ
高
(
たか
)
い
窓
(
まど
)
から
脱
(
ぬ
)
けて
帰
(
い
)
にやがつた
六
(
ろく
)
の
事
(
こと
)
ですよ。
270
本当
(
ほんたう
)
に
臭
(
くさ
)
い
奴
(
やつ
)
でしたなア』
271
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り
鼻持
(
はなもち
)
のならぬ
代物
(
しろもの
)
だつた。
272
マアマア
悪魔
(
あくま
)
が
払
(
はら
)
へて
結構
(
けつこう
)
だ。
273
サア
之
(
これ
)
からお
前
(
まへ
)
は
何事
(
なにごと
)
も
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りに
致
(
いた
)
すのだよ』
274
シャル『
一旦
(
いつたん
)
貴女
(
あなた
)
に
体
(
からだ
)
を
任
(
まか
)
した
以上
(
いじやう
)
は
何
(
なん
)
でも
聞
(
き
)
きますが、
275
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らかうして
男女
(
なんによ
)
が
二人
(
ふたり
)
一
(
ひと
)
つ
家
(
や
)
に
住居
(
すまゐ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
276
両方
(
りやうはう
)
がセリバシー
生活
(
せいくわつ
)
をやつてゐるのも
無駄
(
むだ
)
ぢやありませぬか。
277
何
(
なん
)
とかそこは
妥協
(
だけふ
)
の
余地
(
よち
)
がありさうなものですなア』
278
高姫
(
たかひめ
)
『ホホホホ、
279
チツトお
前
(
まへ
)
のスタイルと
相談
(
さうだん
)
して
御覧
(
ごらん
)
。
280
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
へた
義理
(
ぎり
)
ぢやありますまい。
281
年
(
とし
)
から
云
(
い
)
つても
三十
(
さんじふ
)
計
(
ばか
)
りも
違
(
ちが
)
ふぢやないか、
282
せうもない
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
生宮
(
いきみや
)
をおだてるものぢやありませぬぞや』
283
シャル『お
前
(
まへ
)
さまは
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のアボッスルだから、
284
到底
(
たうてい
)
私
(
わたし
)
のやうな
俗人
(
ぞくじん
)
の
側
(
そば
)
へおよりになつても
神格
(
しんかく
)
が
汚
(
よご
)
れるでせう。
285
無理
(
むり
)
とは
申
(
まを
)
しませぬ、
286
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
肉体
(
にくたい
)
上
(
じやう
)
から
言
(
い
)
へば、
287
貴女
(
あなた
)
も
私
(
わたし
)
もウルスヴルングは
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
から
発
(
はつ
)
してゐるのですから、
288
霊
(
みたま
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
として、
289
さう
軽蔑
(
けいべつ
)
するものぢやありませぬワイ』
290
高姫
(
たかひめ
)
『ウルスヴルングなんて、
291
又
(
また
)
怪体
(
けたい
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふぢやないか、
292
どこ
迄
(
まで
)
もうるさく
口説
(
くど
)
くといふのかなア。
293
そんな
野心
(
やしん
)
はやめたがよからう。
294
お
師匠
(
ししやう
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
向
(
むか
)
つて、
295
チと
無礼
(
ぶれい
)
ぢやないか』
296
シャル『
貴女
(
あなた
)
は
何処
(
どこ
)
までもセリバシー
生活
(
せいくわつ
)
を
続
(
つづ
)
けて
行
(
ゆ
)
く
考
(
かんが
)
へですか、
297
四十
(
しじふ
)
後家
(
ごけ
)
立
(
た
)
つても
五十
(
ごじふ
)
後家
(
ごけ
)
立
(
た
)
たぬといふぢやありませぬか。
298
何程
(
なにほど
)
表面
(
おもて
)
で
立派
(
りつぱ
)
に
男嫌
(
をとこぎらひ
)
を
標榜
(
へうばう
)
してる
女
(
をんな
)
でも、
299
何時
(
いつ
)
とはなしに
其
(
その
)
インスチンクトが
現
(
あら
)
はれて、
300
遂
(
つひ
)
には
操
(
みさを
)
を
破
(
やぶ
)
るのが
避
(
さ
)
く
可
(
べか
)
らざる
女
(
をんな
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
ですよ。
301
さうだから
露骨
(
ろこつ
)
に
素直
(
すなほ
)
に
此
(
この
)
シャルが
直接
(
ちよくせつ
)
交渉
(
かうせふ
)
を
開
(
ひら
)
いたのです。
302
私
(
わたし
)
だつてハタの
友達
(
ともだち
)
が
皆
(
みな
)
お
前
(
まへ
)
さまの
説
(
せつ
)
に
反抗
(
はんかう
)
するにも
関
(
かかは
)
らず
同情
(
どうじやう
)
を
表
(
へう
)
し、
303
お
味方
(
みかた
)
になつたのも、
304
そこにはそれ、
305
一
(
ひと
)
つ
曰
(
いは
)
く
因縁
(
いんねん
)
がなくちや
叶
(
かな
)
ひますまい』
306
高姫
(
たかひめ
)
『エー、
307
汚
(
きたな
)
い、
308
インスだとか、
309
チンクトだとか、
310
碌
(
ろく
)
なこた
言
(
い
)
はせぬのぢやないか、
311
そんな
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すと、
312
風俗
(
ふうぞく
)
壊乱
(
くわいらん
)
になりますぞや、
313
チツとたしなみなされ』
314
シャル『あああ、
315
サツパリ サツパリだ。
316
男
(
をとこ
)
と
生
(
うま
)
れて
而
(
しか
)
もこんなお
婆
(
ばあ
)
さまに、
317
エッパッパをくはされちや、
318
どうして
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
つものか。
319
エー
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
も
初志
(
しよし
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
するのが
男
(
をとこ
)
だ。
320
コレ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
321
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
322
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
さまが
神力
(
しんりき
)
が
強
(
つよ
)
いと
云
(
い
)
つても、
323
肉体
(
にくたい
)
と
肉体
(
にくたい
)
と
争
(
あらそ
)
へば、
324
到底
(
たうてい
)
男
(
をとこ
)
には
叶
(
かな
)
ひますまい』
325
高姫
(
たかひめ
)
は
厳然
(
げんぜん
)
として
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
ただ
)
し、
326
高姫
『コリヤ、
327
シャル、
328
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐる。
329
此
(
この
)
肉体
(
にくたい
)
は
勿体
(
もつたい
)
なくも、
330
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
、
331
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
総務
(
そうむ
)
をして
厶
(
ござ
)
つた
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
の
奥方
(
おくがた
)
だぞえ、
332
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐるか』
333
シャル『ヘー、
334
さうで
厶
(
ござ
)
いましたか、
335
何
(
なん
)
でも
杢助
(
もくすけ
)
さまといふ
宣伝使
(
せんでんし
)
は
偉
(
えら
)
い
神力
(
しんりき
)
が
備
(
そな
)
はつてゐると
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
りましたが、
336
その
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
は
今
(
いま
)
何処
(
どこ
)
にゐられますか』
337
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
は
又
(
また
)
それを
尋
(
たづ
)
ねてどうする
考
(
かんが
)
へだ』
338
シャル『
別
(
べつ
)
に
何
(
ど
)
うせうと
云
(
い
)
ふ
考
(
かんが
)
へも
厶
(
ござ
)
いませぬが、
339
一遍
(
いつぺん
)
お
目
(
め
)
にかかつてみたいのです』
340
高姫
(
たかひめ
)
『オホホホホ、
341
お
目
(
め
)
にかかりたければ、
342
モツと
霊
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
きなされ、
343
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
は
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
術
(
じゆつ
)
を
使
(
つか
)
つて、
344
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り、
345
天
(
てん
)
へ
上
(
のぼ
)
られたのだ。
346
天
(
てん
)
では
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
天人
(
てんにん
)
の
霊
(
みたま
)
を
守護
(
しゆご
)
遊
(
あそ
)
ばされ、
347
地
(
ち
)
では
高姫
(
たかひめ
)
が
汚
(
けが
)
れた
霊
(
みたま
)
の
洗濯
(
せんたく
)
をしてゐるのだ。
348
何
(
いづ
)
れ
下
(
くだ
)
つて
厶
(
ござ
)
るに
違
(
ちが
)
ひないから、
349
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
目
(
め
)
の
眩
(
くら
)
まぬやうに、
350
何事
(
なにごと
)
も
高姫
(
たかひめ
)
の
申
(
まを
)
す
通
(
とほ
)
り、
351
神妙
(
しんめう
)
に
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
すのだ。
352
今後
(
こんご
)
は
一切
(
いつさい
)
口答
(
くちごた
)
へなどしてはなりませぬぞや、
353
そして
女
(
をんな
)
などには
心
(
こころ
)
を
寄
(
よ
)
せることは
出来
(
でき
)
ませぬぞ。
354
お
前
(
まへ
)
も
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
になつた
以上
(
いじやう
)
は、
355
私
(
わし
)
が
相当
(
さうたう
)
の
女房
(
にようばう
)
を
選
(
えら
)
んで
与
(
あた
)
へてやるから、
356
それ
迄
(
まで
)
辛抱
(
しんばう
)
なさい』
357
かかる
所
(
ところ
)
へ
美妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え、
358
美
(
うる
)
はしき
三十
(
さんじふ
)
前後
(
ぜんご
)
の
天人
(
てんにん
)
が
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りぬ。
359
高姫
(
たかひめ
)
は
見
(
み
)
るより
仰天
(
ぎやうてん
)
し、
360
アツと
計
(
ばか
)
りに
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れたり。
361
シャルは
目
(
め
)
を
閉
(
ふさ
)
ぎ、
362
床上
(
きじやう
)
に
喰付
(
くひつ
)
いて
慄
(
ふる
)
うてゐる。
363
天人
(
てんにん
)
は
言葉
(
ことば
)
静
(
しづ
)
かに
高姫
(
たかひめ
)
の
耳許
(
みみもと
)
にて、
364
天人
(
てんにん
)
『
吾
(
われ
)
こそは
中間
(
ちうかん
)
天国
(
てんごく
)
のエンゼル
文治別
(
あやはるわけの
)
命
(
みこと
)
で
厶
(
ござ
)
る。
365
其方
(
そなた
)
は
高姫
(
たかひめ
)
では
厶
(
ござ
)
らぬか』
366
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
高姫
(
たかひめ
)
は
何
(
なん
)
となく
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
て、
367
目
(
め
)
を
開
(
ひら
)
き、
368
目映
(
まば
)
ゆ
相
(
さう
)
な
顔
(
かほ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
369
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
さまは
一寸
(
ちよつと
)
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いたエンゼルとみえるが、
370
杢助
(
もくすけ
)
さまのお
使
(
つかひ
)
で
来
(
き
)
たのかい。
371
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
弥勒
(
みろく
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
372
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
にお
前
(
まへ
)
は
何
(
なに
)
か
御用
(
ごよう
)
があつて
来
(
き
)
たのだなア。
373
オホホホホ、
374
何
(
なん
)
とまア
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
だこと、
375
随分
(
ずいぶん
)
天国
(
てんごく
)
では、
376
それ
丈
(
だけ
)
美
(
うつく
)
しいと、
377
女
(
をんな
)
にもてるだらうな』
378
文治
(
あやはる
)
『
高姫
(
たかひめ
)
殿
(
どの
)
、
379
拙者
(
せつしや
)
をお
忘
(
わす
)
れになりましたか。
380
小北山
(
こぎたやま
)
の
受付
(
うけつけ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
つた
文助
(
ぶんすけ
)
で
厶
(
ござ
)
るぞや』
381
高姫
(
たかひめ
)
『ナニ、
382
お
前
(
まへ
)
があの
盲
(
めくら
)
の
文助
(
ぶんすけ
)
かい、
383
ホホホホホ、
384
そんな
嘘
(
うそ
)
を
云
(
い
)
ふものでない。
385
そんな
立派
(
りつぱ
)
な
風
(
ふう
)
をして
化
(
ば
)
けて
来
(
き
)
ても、
386
此
(
この
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
二
(
ふた
)
つの
目
(
め
)
で
睨
(
にら
)
んだら、
387
違
(
ちが
)
ひは
致
(
いた
)
しませぬぞや。
388
お
前
(
まへ
)
は
大方
(
おほかた
)
中界
(
ちうかい
)
の
魔神
(
まがみ
)
だらう、
389
今
(
いま
)
も
今
(
いま
)
とて
此
(
この
)
シャル
奴
(
め
)
、
390
せうもない
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひよる
也
(
なり
)
、
391
又
(
また
)
中界
(
ちうかい
)
の
魔神
(
まがみ
)
迄
(
まで
)
が
高姫
(
たかひめ
)
の
姿
(
すがた
)
にラブして
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
ても、
392
いつかな いつかな、
393
動
(
うご
)
きませぬぞや。
394
容貌
(
きれう
)
や
若
(
わか
)
い
年
(
とし
)
に
惚
(
ほれ
)
るやうな
柔弱
(
にうじやく
)
な
高姫
(
たかひめ
)
とは、
395
ヘン、
396
チツと
違
(
ちが
)
ひますぞや。
397
男
(
をとこ
)
とも
女
(
をんな
)
とも
分
(
わか
)
らぬやうな
面
(
つら
)
をして
騙
(
だま
)
しに
来
(
きた
)
つて、
398
そんな
事
(
こと
)
に
乗
(
の
)
るやうな
生宮
(
いきみや
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬぞえ。
399
サアサア
諦
(
あきら
)
めて、
400
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
401
文治
(
あやはる
)
『
高姫
(
たかひめ
)
殿
(
どの
)
、
402
文助
(
ぶんすけ
)
に
間違
(
まちがひ
)
は
厶
(
ござ
)
らぬ、
403
拙者
(
せつしや
)
も
暫
(
しばら
)
く
中有界
(
ちううかい
)
に
於
(
おい
)
て
修行
(
しゆぎやう
)
を
致
(
いた
)
し
漸
(
やうや
)
く
諸天人
(
しよてんにん
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
いて
心
(
こころ
)
を
研
(
みが
)
き、
404
今
(
いま
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
第二
(
だいに
)
霊国
(
れいごく
)
のエンゼルとなり、
405
中有界
(
ちううかい
)
地獄界
(
ぢごくかい
)
を
宣伝
(
せんでん
)
に
廻
(
まは
)
つて
居
(
を
)
ります。
406
お
前
(
まへ
)
さまも
早
(
はや
)
く
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めて、
407
この
中有界
(
ちううかい
)
を
脱出
(
だつしゆつ
)
し、
408
早
(
はや
)
く
天国
(
てんごく
)
へ
昇
(
のぼ
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
409
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にしておけば、
410
貴女
(
あなた
)
は
地獄
(
ぢごく
)
へ
堕
(
お
)
ちるより
道
(
みち
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬぞ。
411
生前
(
せいぜん
)
の
交誼
(
よしみ
)
に
仍
(
よ
)
つて、
412
一応
(
いちおう
)
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
の
為
(
ため
)
に
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
たのです』
413
高姫
(
たかひめ
)
『ホホホホ、
414
ようまア
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
415
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天人
(
てんにん
)
の
霊
(
みたま
)
の
高姫
(
たかひめ
)
の
光明
(
くわうみやう
)
がお
前
(
まへ
)
さまには
見
(
み
)
えませぬかな。
416
神
(
かみ
)
は
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
だから
現界
(
げんかい
)
へ
現
(
あら
)
はれて
衆生
(
しゆじやう
)
済度
(
さいど
)
を、
417
糞糟
(
くそかす
)
に
身
(
み
)
をおとしてやつてゐるのだ。
418
文助
(
ぶんすけ
)
なぞと、
419
そんな
詐
(
いつは
)
りを
言
(
い
)
つてもあきませぬぞや。
420
今
(
いま
)
に
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はしてやるから、
421
其
(
その
)
積
(
つもり
)
でゐなさい、
422
オホホホホ、
423
油断
(
ゆだん
)
も
隙
(
すき
)
もあつたものぢやない』
424
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
425
高姫
(
たかひめ
)
『
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
弥勒
(
みろく
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
426
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
427
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王
(
わう
)
天
(
てん
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
』
428
と
祈
(
いの
)
り
出
(
だ
)
した。
429
文治別
(
あやはるわけ
)
のエンゼルは
高姫
(
たかひめ
)
の
余
(
あま
)
りの
脱線振
(
だつせんぶ
)
りに
取付
(
とりつ
)
く
島
(
しま
)
もなく、
430
傍
(
かたはら
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐるシャルを
揺
(
ゆす
)
り
起
(
おこ
)
し、
431
文治
(
あやはる
)
『お
前
(
まへ
)
はバラモンのシャルといふ
男
(
をとこ
)
ぢやないか。
432
こんな
所
(
ところ
)
に
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
居
(
を
)
つても
仕方
(
しかた
)
がない。
433
まだ
現界
(
げんかい
)
に
生命
(
せいめい
)
が
残
(
のこ
)
つてゐるから、
434
今
(
いま
)
の
中
(
うち
)
に、
435
サア
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
つたがよからう。
436
グヅグヅしてゐると
肉体
(
にくたい
)
が
腐敗
(
ふはい
)
して
帰
(
かへ
)
ることが
出来
(
でき
)
なくなりますぞ』
437
シャル『ハイ、
438
私
(
わたし
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
肉体
(
にくたい
)
を
持
(
も
)
つてをります。
439
此
(
この
)
外
(
ほか
)
にまだ
肉体
(
にくたい
)
があるとは
合点
(
がつてん
)
が
参
(
まゐ
)
りませぬ。
440
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて、
441
騙
(
だま
)
さうとなさつても、
442
高姫
(
たかひめ
)
さまの
片腕
(
かたうで
)
となつた
此
(
この
)
シャルは、
443
いつかな いつかな
騙
(
だま
)
されませぬ。
444
そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
はずに、
445
何卒
(
どうぞ
)
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
446
あとで
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
が
悪
(
わる
)
いと
困
(
こま
)
りますから……』
447
文治
(
あやはる
)
『お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
何
(
ど
)
うしても
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めないのかな。
448
又
(
また
)
高姫
(
たかひめ
)
さまも
高姫
(
たかひめ
)
さまだ。
449
中有界
(
ちううかい
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
450
ヤツパリここを
現界
(
げんかい
)
と
思
(
おも
)
つてゐると
見
(
み
)
えて、
451
私
(
わたし
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
化物
(
ばけもの
)
と
疑
(
うたが
)
つてゐるらしい。
452
ああ
元
(
もと
)
の
肉体
(
にくたい
)
になつてみせてやりたいが、
453
さうすれば
忽
(
たちま
)
ち
神格
(
しんかく
)
が
下
(
くだ
)
つて、
454
再
(
ふたた
)
び
今
(
いま
)
の
地位
(
ちゐ
)
になるのは
容易
(
ようい
)
な
事
(
こと
)
ではなし、
455
どうしたら
助
(
たす
)
けることが
出来
(
でき
)
やうかなア』
456
と
手
(
て
)
を
組
(
く
)
んで
思案
(
しあん
)
にくれてゐる。
457
四辺
(
あたり
)
に
芳香
(
はうかう
)
薫
(
くん
)
じ、
458
嚠喨
(
りうりやう
)
たる
音楽
(
おんがく
)
の
音
(
ね
)
は
切
(
しき
)
りに
聞
(
きこ
)
え、
459
此
(
この
)
伏家
(
ふせや
)
の
周囲
(
しうゐ
)
には
百
(
もも
)
の
天人
(
てんにん
)
が
隊
(
たい
)
を
成
(
な
)
して
取巻
(
とりま
)
いてゐる。
460
高姫
(
たかひめ
)
は
殆
(
ほと
)
んど
気
(
き
)
も
狂
(
くる
)
はむ
許
(
ばか
)
りに
悶
(
もだ
)
え
苦
(
くる
)
しみ
出
(
だ
)
した。
461
エンゼルはいかにもして
高姫
(
たかひめ
)
を
救
(
すく
)
はむと、
462
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
463
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
つた。
464
高姫
(
たかひめ
)
は
益々
(
ますます
)
忌
(
い
)
み
嫌
(
きら
)
ひ、
465
手足
(
てあし
)
をヂタバタさせ
乍
(
なが
)
ら、
466
裏口
(
うらぐち
)
を
開
(
あ
)
けるや
否
(
いな
)
や、
467
エンゼルの
間
(
あひだ
)
を
潜
(
くぐ
)
つて
裏
(
うら
)
の
禿山
(
はげやま
)
を
指
(
さ
)
して、
468
野猪
(
のじし
)
の
如
(
ごと
)
く
四這
(
よつば
)
ひになつて
逃
(
に
)
げゆく。
469
シャルは
此
(
この
)
体
(
てい
)
を
見
(
み
)
るなり、
470
又
(
また
)
もや
高姫
(
たかひめ
)
の
跡
(
あと
)
を
逐
(
お
)
ひ、
471
数多
(
あまた
)
のエンゼルの
間
(
あひだ
)
を
潜
(
くぐ
)
り
脱
(
ぬ
)
け、
472
駆
(
か
)
けり
行
(
ゆ
)
く。
473
之
(
これ
)
より
高姫
(
たかひめ
)
は
禿山
(
はげやま
)
を
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
越
(
こ
)
え、
474
四面
(
しめん
)
山
(
やま
)
に
包
(
つつ
)
まれた
赤濁
(
せきだく
)
の
可
(
か
)
なり
広
(
ひろ
)
い
沼
(
ぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
に
着
(
つ
)
いた。
475
而
(
さう
)
して
沼
(
ぬま
)
の
水
(
みづ
)
を
手
(
て
)
に
掬
(
すく
)
うて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
渇
(
かつ
)
をいやしてゐる。
476
皺枯声
(
しわがれごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ、
477
『オーイオイ』
478
と
呼
(
よ
)
ばはり
乍
(
なが
)
ら、
479
禿山
(
はげやま
)
の
上
(
うへ
)
から、
480
転
(
ころ
)
げる
様
(
やう
)
にやつて
来
(
き
)
たのはシャルであつた。
481
シャル『ああ、
482
先生
(
せんせい
)
、
483
能
(
よ
)
うマア
此処
(
ここ
)
に
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
さいました、
484
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いましたなア。
485
ありや
一体
(
いつたい
)
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
いませう。
486
何万
(
なんまん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
した
鬼
(
おに
)
奴
(
め
)
が
鉄棒
(
かなぼう
)
を
持
(
も
)
つて
家
(
いへ
)
のぐるりを
取巻
(
とりま
)
き、
487
厭
(
いや
)
らしい
鳴物
(
なりもの
)
を
鳴
(
な
)
らし、
488
鼻
(
はな
)
の
塞
(
ふさ
)
がるやうな
匂
(
にほ
)
ひをさして
攻
(
せ
)
めかけた
時
(
とき
)
の
怖
(
こは
)
さ、
489
辛
(
つら
)
さ、
490
生宮
(
いきみや
)
さまでさへもお
逃
(
に
)
げ
遊
(
あそ
)
ばす
位
(
くらゐ
)
だから、
491
到底
(
たうてい
)
自分
(
じぶん
)
は
助
(
たす
)
かりつこはないと、
492
お
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
うて
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
逃
(
に
)
げて
参
(
まゐ
)
りました。
493
モウ
追
(
お
)
つかけて
来
(
く
)
る
気遣
(
きづか
)
ひは
厶
(
ござ
)
いますまいかなア』
494
高姫
(
たかひめ
)
『ホホホホ
仮令
(
たとへ
)
幾万
(
いくまん
)
鬼
(
おに
)
が
来
(
こ
)
ようとも、
495
そんな
事
(
こと
)
にビクともする
高姫
(
たかひめ
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬぞや。
496
之
(
これ
)
は
神
(
かみ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
の
法
(
はふ
)
に
仍
(
よ
)
つて、
497
あの
悪魔
(
あくま
)
をここ
迄
(
まで
)
誘
(
さそ
)
ひ
出
(
だ
)
し、
498
此
(
この
)
血
(
ち
)
の
池
(
いけ
)
へ
皆
(
みな
)
放
(
ほ
)
りこむ
算段
(
さんだん
)
で、
499
ワザとに
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
たのだよ。
500
千
(
せん
)
や
万
(
まん
)
の
鬼
(
おに
)
に
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
すやうな
高姫
(
たかひめ
)
と
思
(
おも
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
片腹痛
(
かたはらいた
)
いわいの、
501
オホホホホ』
502
と
胸
(
むね
)
の
驚
(
おどろ
)
きを
隠
(
かく
)
して、
503
ワザと
何気
(
なにげ
)
なき
態
(
てい
)
を
装
(
よそほ
)
ひ
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
504
シャル『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
505
そんな
強
(
つよ
)
相
(
さう
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますけれど、
506
あの
時
(
とき
)
の
貴女
(
あなた
)
のスタイルには
随分
(
ずいぶん
)
狼狽
(
らうばい
)
のサマがみえて
居
(
を
)
りました、
507
不減口
(
へらずぐち
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いますまいかな』
508
高姫
(
たかひめ
)
『まだお
前
(
まへ
)
迄
(
まで
)
が
私
(
わたし
)
を
疑
(
うたが
)
うてをるのかい、
509
困
(
こま
)
つた
男
(
をとこ
)
だなア。
510
文助
(
ぶんすけ
)
の
霊
(
みたま
)
だなどと
云
(
い
)
ひやがつて、
511
化
(
ば
)
けて
来
(
き
)
よつたのを
看破
(
かんぱ
)
する
丈
(
だけ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
があるのだから、
512
到底
(
たうてい
)
お
前
(
まへ
)
では、
513
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
真価
(
しんか
)
は
分
(
わか
)
りますまい、
514
マア
黙
(
だま
)
つてゐなさい。
515
而
(
さう
)
して
高姫
(
たかひめ
)
のする
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へてをれば、
516
成程
(
なるほど
)
と、
517
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
の
内
(
うち
)
には
合点
(
がつてん
)
がゆくだらう。
518
オホホホホ、
519
あのまア
怖
(
こは
)
相
(
さう
)
な
顔
(
かほ
)
はいの。
520
これだから
弱虫
(
よわむし
)
を
伴
(
つ
)
れてゐると、
521
足手
(
あして
)
まとひになつて、
522
本当
(
ほんたう
)
の
神力
(
しんりき
)
を
出
(
だ
)
すことが
出来
(
でき
)
ないのだ。
523
お
前
(
まへ
)
さへゐなかつたら、
524
あんな
奴
(
やつ
)
ア、
525
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず、
526
最前
(
さいぜん
)
のやうに
烟
(
けぶり
)
にして
了
(
しま
)
ふのだけれど、
527
お
前
(
まへ
)
の
曇
(
くも
)
つた
霊
(
みたま
)
が
邪魔
(
じやま
)
をするものだから、
528
とうとう
位置
(
ゐち
)
を
転
(
てん
)
じて
第二
(
だいに
)
の
作戦
(
さくせん
)
計画
(
けいくわく
)
をせなけりやならぬ
面倒
(
めんだう
)
が
起
(
おこ
)
つたのだよ。
529
併
(
しか
)
し
流石
(
さすが
)
の
鬼
(
おに
)
も
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
、
530
ヨモヤ
高姫
(
たかひめ
)
の
神力
(
しんりき
)
を
恐
(
おそ
)
れて
追掛
(
おひかけ
)
ては
来
(
き
)
ますまい。
531
まア
些
(
ちつ
)
と
落着
(
おちつ
)
きなさい』
532
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
又
(
また
)
もや
音楽
(
おんがく
)
の
声
(
こゑ
)
、
533
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
より
文治別
(
あやはるわけ
)
は
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
ち、
534
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
天人
(
てんにん
)
を
従
(
したが
)
へて
降
(
くだ
)
つて
来
(
く
)
る。
535
シャル『モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
536
やつて
来
(
き
)
ました、
537
サア、
538
此処
(
ここ
)
で
見事
(
みんごと
)
、
539
彼奴
(
あいつ
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼして
下
(
くだ
)
さいませ。
540
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
では
彼奴
(
あいつ
)
が
鬼
(
おに
)
に
見
(
み
)
えたり、
541
又
(
また
)
綺麗
(
きれい
)
な
天人
(
てんにん
)
に
見
(
み
)
えたりして
仕方
(
しかた
)
がありませぬワ……それそれ、
542
大速力
(
だいそくりよく
)
で
此方
(
こちら
)
へ
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
ませうがな、
543
早
(
はや
)
く
準備
(
じゆんび
)
をして
下
(
くだ
)
され』
544
高姫
(
たかひめ
)
『エー、
545
準備
(
じゆんび
)
をせうと
思
(
おも
)
ふておつたのに、
546
お
前
(
まへ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
547
せうもない
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
り、
548
肝腎
(
かんじん
)
の
時間
(
じかん
)
を
潰
(
つぶ
)
さして
了
(
しま
)
つたものだから、
549
悪魔
(
あくま
)
の
方
(
はう
)
が
早
(
はや
)
く
来
(
き
)
よつたのだ。
550
ああ
此処
(
ここ
)
でも
具合
(
ぐあひ
)
が
悪
(
わる
)
い、
551
第三
(
だいさん
)
の
計画
(
けいくわく
)
に
移
(
うつ
)
らう』
552
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
553
顔
(
かほ
)
を
真青
(
まつさを
)
になし、
554
又
(
また
)
もや
次
(
つぎ
)
の
山
(
やま
)
を
転
(
こ
)
けつ
輾
(
まろ
)
びつ
駆
(
か
)
け
上
(
のぼ
)
る。
555
シャルも
是非
(
ぜひ
)
なく
黒
(
くろ
)
い
褌
(
ふんどし
)
をたらし
乍
(
なが
)
ら、
556
高姫
(
たかひめ
)
の
足型
(
あしがた
)
を
尋
(
たづ
)
ねて、
557
息
(
いき
)
も
苦
(
くる
)
しげに
跟
(
つ
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
558
(
大正一二・三・一六
旧一・二九
於竜宮館
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
十字 >>>
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真善美愛(第49~60巻)
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【第9章 我執|第56巻|真善美愛|霊界物語|/rm5609】
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