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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第56巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 自愛之柵
第1章 神慮
第2章 恋淵
第3章 仇花
第4章 盗歌
第5章 鷹魅
第2篇 宿縁妄執
第6章 高圧
第7章 高鳴
第8章 愛米
第9章 我執
第3篇 月照荒野
第10章 十字
第11章 惚泥
第12章 照門颪
第13章 不動滝
第14章 方岩
第4篇 三五開道
第15章 猫背
第16章 不臣
第17章 強請
第18章 寛恕
第19章 痴漢
第20章 犬嘘
余白歌
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>
真善美愛(第49~60巻)
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第56巻(未の巻)
> 第3篇 月照荒野 > 第10章 十字
<<< 我執
(B)
(N)
惚泥 >>>
第一〇章
十字
(
じふじ
)
〔一四四〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻
篇:
第3篇 月照荒野
よみ(新仮名遣い):
げっしょうこうや
章:
第10章 十字
よみ(新仮名遣い):
じゅうじ
通し章番号:
1440
口述日:
1923(大正12)年03月16日(旧01月29日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ベル、ヘル、ケリナの三人は、求道居士に救われ、ケリナの生家に向かっていた。道中、求道居士が唱えている呪文についてヘルから尋ねられ、講釈を始めた。求道居士は、バラモン教の呪文の言葉の意味を解説し、天の数歌が一番尊いとヘルに教えた。
ベルは呪文に力などないと馬鹿にする。ベルは求道につっかかり、果ては金を出せと腕をまくって息巻いた。ヘルは怒ってベルと格闘になった。ベルはヘルに引き回されて悲鳴を上げ、草むらに逃げて姿を隠した。
三人はテルモン山のケリナの生家目指して進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-06-20 19:08:48
OBC :
rm5610
愛善世界社版:
141頁
八幡書店版:
第10輯 198頁
修補版:
校定版:
149頁
普及版:
68頁
初版:
ページ備考:
001
エルシナ
川
(
がは
)
の
堤
(
どて
)
に
引上
(
ひきあ
)
げられ、
002
ビクトル
山
(
さん
)
の
修験者
(
しうげんじや
)
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
に
救
(
すく
)
はれたベル、
003
ヘル、
004
ケリナの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はエルシナ
川
(
がは
)
の
谷川
(
たにがは
)
を
遡
(
さかのぼ
)
りパインの
木蔭
(
こかげ
)
を
縫
(
ぬ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
005
やや
広
(
ひろ
)
き
青野
(
あをの
)
ケ
原
(
はら
)
に
出
(
で
)
た。
006
ここには
色々
(
いろいろ
)
の
美
(
うつく
)
しき
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
充
(
み
)
ちてゐる。
007
一同
(
いちどう
)
は
路傍
(
ろばう
)
の
平岩
(
ひらいは
)
に
腰打掛
(
こしうちか
)
け
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めてゐる。
008
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
は
数珠
(
じゆず
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
009
求道
(
きうだう
)
『
天竜虎
(
てんりうこ
)
、
010
王命
(
わうみやう
)
、
011
勝
㍻
(
しようたい
)
、
012
大水日
(
だいすゐじつ
)
。
013
天竜虎
(
てんりうこ
)
、
014
王命
(
わうみやう
)
、
015
勝
㍻
(
しようたい
)
、
016
大水日
(
だいすいじつ
)
』
017
と
繰返
(
くりかへ
)
し
繰返
(
くりかへ
)
し
呪文
(
じゆもん
)
を
唱
(
とな
)
へた。
018
ヘル『モシ、
019
修験者
(
しゆげんじや
)
様
(
さま
)
、
020
吾々
(
われわれ
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
命
(
いのち
)
のない
所
(
ところ
)
を
助
(
たす
)
けて
頂
(
いただ
)
きましたが、
021
今
(
いま
)
のお
経
(
きやう
)
は
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
りませぬが、
022
頭
(
あたま
)
に
浸
(
し
)
み
渡
(
わた
)
つて
有難
(
ありがた
)
い
様
(
やう
)
な
気分
(
きぶん
)
が
致
(
いた
)
します。
023
何卒
(
どうぞ
)
その
呪文
(
じゆもん
)
の
御
(
ご
)
解釈
(
かいしやく
)
をして
頂
(
いただ
)
けますまいか』
024
求道
(
きうだう
)
『あ、
025
よしよし、
026
この
呪文
(
じゆもん
)
はバラモン
教
(
けう
)
の
神秘
(
しんぴ
)
となつてゐるのだ。
027
お
前
(
まへ
)
等
(
たち
)
が
水
(
みづ
)
に
溺
(
おぼ
)
れて
絶命
(
ことぎ
)
れて
居
(
を
)
つたのを
呼
(
よ
)
び
戻
(
もど
)
したのも
此
(
この
)
十字
(
じふじ
)
の
秘法
(
ひはふ
)
のお
蔭
(
かげ
)
だよ。
028
何時
(
いつ
)
もこれさへ
唱
(
とな
)
へて
居
(
を
)
つたならば、
029
あの
様
(
やう
)
な
災難
(
さいなん
)
に
罹
(
かか
)
る
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
はチツともない。
030
起死
(
きし
)
回生
(
くわいせい
)
諸災
(
しよさい
)
除攘
(
ぢよじやう
)
の
神秘
(
しんぴ
)
的
(
てき
)
呪文
(
じゆもん
)
だ。
031
一
(
ひと
)
つ
解釈
(
かいしやく
)
をするから
聞
(
き
)
きなさい。
032
天竜虎
(
てんりうこ
)
、
033
王命
(
わうみやう
)
、
034
勝
㍻
(
しようたい
)
、
035
大水日
(
だいすゐじつ
)
。
036
天竜虎
(
てんりうこ
)
、
037
王命
(
わうみやう
)
、
038
勝
㍻
(
しようたい
)
、
039
大水日
(
だいすいじつ
)
040
この
十字
(
じふじ
)
の
秘伝
(
ひでん
)
は
神変
(
しんぺん
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
の
神徳
(
しんとく
)
が
顕
(
あらは
)
れ、
041
如何
(
いか
)
なる
願望
(
ぐわんまう
)
も
成就
(
じやうじゆ
)
し、
042
又
(
また
)
如何
(
いか
)
なる
災禍
(
さいくわ
)
も
除却
(
ぢよきやく
)
することが
出来
(
でき
)
るのだ』
043
ヘル『どうか
其
(
そ
)
の
字
(
じ
)
の
功徳
(
くどく
)
に
就
(
つい
)
て
御
(
ご
)
教示
(
けうじ
)
を
願
(
ねが
)
ひたいものですなア』
044
求道
(
きうだう
)
『ヨシヨシ
由縁
(
ゆはれ
)
を
聞
(
き
)
けば
有難
(
ありがた
)
い。
045
重
(
かさ
)
ねて
言
(
い
)
へば
猶
(
なほ
)
有難
(
ありがた
)
いと
云
(
い
)
ふ
神伝
(
しんでん
)
秘法
(
ひはふ
)
の
呪文
(
じゆもん
)
だから、
046
能
(
よ
)
く
胸
(
むね
)
に
畳
(
たた
)
み
込
(
こ
)
んでおくが
好
(
よ
)
い。
047
抑々
(
そもそも
)
、
048
天
(
てん
)
は
高貴
(
かうき
)
大官
(
たいくわん
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
くのだ。
049
又
(
また
)
航海
(
かうかい
)
渡船
(
とせん
)
の
時
(
とき
)
に
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
いても
可
(
い
)
い、
050
さすれば
高官
(
かうくわん
)
には
自分
(
じぶん
)
の
意志
(
いし
)
が
完全
(
くわんぜん
)
に
通
(
つう
)
じ
且
(
か
)
つ
難破船
(
なんぱせん
)
の
災
(
わざは
)
ひを
免
(
まぬが
)
れる。
051
竜
(
りう
)
は
海河
(
かいか
)
又
(
また
)
は
船橋
(
せんけう
)
を
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
いて
持
(
も
)
つものだ。
052
又
(
また
)
大風雨
(
だいふうう
)
に
向
(
むか
)
つて
出達
(
しゆつたつ
)
する
時
(
とき
)
に
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
けば
凡
(
すべ
)
ての
海河
(
かいか
)
風雨
(
ふうう
)
の
難
(
なん
)
を
免
(
まぬが
)
れる。
053
虎
(
こ
)
は
広野
(
くわうや
)
原野
(
げんや
)
深山
(
しんざん
)
に
行
(
ゆ
)
かむと
欲
(
ほつ
)
する
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
くのだ。
054
又
(
また
)
山猟
(
やまれふ
)
の
時
(
とき
)
とか
賊
(
ぞく
)
に
出遭
(
であ
)
つた
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
けばその
難
(
なん
)
を
免
(
まぬが
)
れる。
055
王
(
わう
)
は
悪人
(
あくにん
)
等
(
など
)
に
対
(
たい
)
する
時
(
とき
)
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
きて
持
(
も
)
つものだ。
056
又
(
また
)
不時
(
ふじ
)
に
応
(
おう
)
ずる
時
(
とき
)
、
057
裁判
(
さいばん
)
の
時
(
とき
)
に
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
くのも
可
(
い
)
い。
058
屹度
(
きつと
)
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
がある。
059
命
(
みやう
)
は
人
(
ひと
)
の
家
(
いへ
)
にて
怪
(
あや
)
しき
茶
(
ちや
)
、
060
酒
(
さけ
)
、
061
飲食
(
いんしよく
)
を
与
(
あた
)
へられた
時
(
とき
)
に
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
くのも
可
(
い
)
い、
062
又
(
また
)
敵
(
てき
)
に
向
(
むか
)
つた
時
(
とき
)
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
いて
持
(
も
)
つも
可
(
い
)
い。
063
屹度
(
きつと
)
災難
(
さいなん
)
を
免
(
まぬが
)
れる。
064
勝
(
しよう
)
は
軍陣
(
ぐんぢん
)
並
(
ならび
)
に
万
(
よろづ
)
の
勝負
(
しようぶ
)
の
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
く、
065
又
(
また
)
売買
(
ばいばい
)
の
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
くのもよい。
066
㍻
(
たい
)
は
疾病
(
しつぺい
)
のある
家
(
いへ
)
に
行
(
ゆ
)
かむとする
時
(
とき
)
、
067
又
(
また
)
は
諸々
(
もろもろ
)
の
悪人
(
あくにん
)
の
集
(
あつ
)
まつて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
に
行
(
ゆ
)
かむとする
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
くのだ。
068
屹度
(
きつと
)
神徳
(
しんとく
)
が
顕
(
あら
)
はれる。
069
大
(
だい
)
は
怪
(
あや
)
しと
思
(
おも
)
ふ
場所
(
ばしよ
)
や
又
(
また
)
淋
(
さび
)
しき
所
(
ところ
)
に
出行
(
いでゆ
)
く
時
(
とき
)
とか、
070
悪病
(
あくびやう
)
、
071
伝染病
(
でんせんびやう
)
の
人
(
ひと
)
を
見舞
(
みま
)
ふ
時
(
とき
)
に
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
くものだ。
072
水
(
すい
)
は
案内
(
あんない
)
を
知
(
し
)
らぬ
家
(
いへ
)
に
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
又
(
また
)
は
酒席
(
しゆせき
)
に
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
、
073
身構
(
みがま
)
へ、
074
清浄
(
しやうじやう
)
の
時
(
とき
)
、
075
又
(
また
)
水論
(
すいろん
)
のある
時
(
とき
)
に
之
(
これ
)
を
書
(
か
)
くと
可
(
い
)
い。
076
日
(
じつ
)
は
万
(
よろづ
)
の
祝言
(
しうげん
)
や
慶事
(
けいじ
)
喜悦
(
きえつ
)
に
関
(
くわん
)
する
時
(
とき
)
、
077
又
(
また
)
は
病人
(
びやうにん
)
を
訪
(
おとづ
)
れる
時
(
とき
)
に
書
(
か
)
いて
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
れば
相方
(
さうはう
)
共
(
とも
)
に
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
頂
(
いただ
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るのだ。
078
是
(
これ
)
は
婆羅門
(
ばらもん
)
教
(
けう
)
の
秘事中
(
ひじちう
)
の
秘術
(
ひじゆつ
)
だから、
079
妄
(
みだ
)
りに
人
(
ひと
)
に
伝
(
つた
)
へると
濫用
(
らんよう
)
する
恐
(
おそ
)
れがあるから、
080
固
(
かた
)
く
人
(
ひと
)
に
伝
(
つた
)
ふることを
厳禁
(
げんきん
)
されてあるのだ。
081
以上
(
いじやう
)
の
十字
(
じふじ
)
を
以
(
もつ
)
て
婆羅門
(
ばらもん
)
十字
(
じふじ
)
の
大法
(
たいはふ
)
と
称
(
とな
)
えるのだ。
082
之
(
これ
)
を
行
(
おこな
)
ふには
男
(
をとこ
)
は
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
、
083
女
(
をんな
)
は
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
にて
刀印
(
たういん
)
にて
空書
(
くうしよ
)
するのだ。
084
又
(
また
)
刀印
(
たういん
)
を
硯
(
すずり
)
に
施
(
ほどこ
)
して
白紙
(
はくし
)
に
書
(
しよ
)
して
懐中
(
くわいちう
)
して
居
(
ゐ
)
るのも
結構
(
けつこう
)
だ。
085
然
(
しか
)
し、
086
これより
尚
(
まだ
)
尊
(
たふと
)
い
事
(
こと
)
があるのだ。
087
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
088
余
(
あま
)
り
勿体
(
もつたい
)
なくて
口
(
くち
)
にすることが
出来
(
でき
)
ないから、
089
身魂
(
みたま
)
相応
(
さうおう
)
に
十字
(
じふじ
)
の
呪文
(
じゆもん
)
を
空書
(
くうしよ
)
したり、
090
唱
(
とな
)
へたりして
修行
(
しゆぎやう
)
に
歩
(
ある
)
いてゐるのだ』
091
ヘル『これよりも
有難
(
ありがた
)
い
尊
(
たふと
)
い
事
(
こと
)
とはどんな
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
092
何卒
(
どうぞ
)
序
(
ついで
)
に
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいませな。
093
私
(
わたし
)
も
貴方
(
あなた
)
に
助
(
たす
)
けられて
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
を
返
(
かへ
)
すためには、
094
世界
(
せかい
)
の
人間
(
にんげん
)
も
助
(
たす
)
けさして
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
いますから』
095
求道
(
きうだう
)
『お
前
(
まへ
)
が
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
私
(
わたくし
)
せず、
096
世界
(
せかい
)
の
人間
(
にんげん
)
を
助
(
たす
)
けさして
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
いと
云
(
い
)
ふ
誠心
(
まごころ
)
があるならば
伝授
(
でんじゆ
)
してやらう。
097
一番
(
いちばん
)
尊
(
たふと
)
い
事
(
こと
)
と
云
(
い
)
ふのは
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
といつて「
一
(
ひと
)
、
098
二
(
ふた
)
、
099
三
(
み
)
、
100
四
(
よ
)
、
101
五
(
いつ
)
、
102
六
(
むゆ
)
、
103
七
(
なな
)
、
104
八
(
や
)
、
105
九
(
ここの
)
、
106
十
(
たり
)
、
107
百
(
もも
)
千
(
ち
)
万
(
よろづ
)
」と
唱
(
とな
)
へるのだ。
108
之
(
これ
)
は
天地
(
てんち
)
開闢
(
かいびやく
)
の
初
(
はじめ
)
から
今日
(
こんにち
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
、
109
無限
(
むげん
)
絶対力
(
ぜつたいりよく
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
此
(
この
)
天地
(
てんち
)
を
創造
(
さうざう
)
し、
110
神徳
(
しんとく
)
を
世界
(
せかい
)
に
充
(
み
)
たし
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
と
信真
(
しんしん
)
の
光明
(
くわうみやう
)
を
吾々
(
われわれ
)
人間
(
にんげん
)
にお
授
(
さづ
)
け
下
(
くだ
)
さる
神文
(
しんもん
)
だ。
111
そして「
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
」と
後
(
あと
)
で
唱
(
とな
)
へるのだ。
112
之
(
これ
)
に
越
(
こ
)
したる
尊
(
たふと
)
い
言葉
(
ことば
)
は
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
にないのだから、
113
よく
聞
(
き
)
いておきなさい』
114
ヘル『いや、
115
如何
(
どう
)
も
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
りました。
116
お
蔭
(
かげ
)
で
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
しました。
117
サンキュー サンキュー』
118
求道
(
きうだう
)
『
無駄口
(
むだぐち
)
を
云
(
い
)
ふ
間
(
ま
)
があつたら
此
(
この
)
神文
(
しんもん
)
をお
唱
(
とな
)
へするのだ。
119
さうすればどんな
事
(
こと
)
でも
忍耐
(
たへしの
)
びがついて、
120
天晴
(
あつぱれ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
に
使
(
つか
)
ふて
貰
(
もら
)
ふ
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るのだ。
121
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふ
様
(
やう
)
な
気持
(
きもち
)
になつて
唱
(
とな
)
へては
駄目
(
だめ
)
だから、
122
よく
慎
(
つつし
)
んで
唱
(
とな
)
へたが
宜
(
よろ
)
しいぞ』
123
ヘル『サンキュー サンキュー』
124
ベル『アハハハハナーンだ。
125
竜
(
りう
)
だの、
126
虎
(
とら
)
だの、
127
貂
(
てん
)
だの、
128
鼬
(
いたち
)
だのと
勿体
(
もつたい
)
らしく
仰有
(
おつしや
)
いまして、
129
その
又
(
また
)
後
(
あと
)
に
商人
(
あきんど
)
か
大工
(
だいく
)
の
様
(
やう
)
に
数字
(
すうじ
)
を
並
(
なら
)
べたり、
130
鉋
(
かんな
)
だとか、
131
鑿
(
のみ
)
だとか、
132
笑
(
わら
)
はしやがるわい。
133
アハハハハ、
134
これ
丈
(
だ
)
け
人文
(
じんもん
)
の
発達
(
はつたつ
)
した
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
135
そんな
寝言
(
ねごと
)
の
余
(
あま
)
り
言
(
ごと
)
の
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
廻
(
まは
)
る
修験者
(
しうげんじや
)
の
気
(
き
)
が
知
(
し
)
れないわ。
136
ウフフフフ』
137
ヘル『こりやベル、
138
修験者
(
しうげんじや
)
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
様
(
さま
)
は、
139
もとは
吾々
(
われわれ
)
のカーネル、
140
エミシ
様
(
さま
)
だが、
141
結構
(
けつこう
)
な
呪文
(
じゆもん
)
を
唱
(
とな
)
へて
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつたのに、
142
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのだ。
143
勿体
(
もつたい
)
ないぢやないか』
144
ベル『ハハハハ
貴様
(
きさま
)
も
亦
(
また
)
軟化
(
なんくわ
)
しやがつたな。
145
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
寿命
(
じゆみやう
)
のある
者
(
もの
)
は
死
(
し
)
ぬものかい。
146
八衢
(
やちまた
)
で「まだお
前
(
まへ
)
は
生命
(
いのち
)
があるから
帰
(
かへ
)
れ」と
云
(
い
)
つたぢやないか。
147
別
(
べつ
)
に
修験者
(
しうげんじや
)
の
力
(
ちから
)
でも
何
(
なん
)
でも
無
(
な
)
い。
148
此
(
この
)
世
(
よ
)
にまだ
生存
(
せいぞん
)
の
力
(
ちから
)
を
持
(
も
)
つてゐるから
生還
(
いきかへ
)
つたのだよ。
149
そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
云
(
い
)
ふものぢやない。
150
それよりも
商売
(
しやうばい
)
に
勉強
(
べんきやう
)
した
方
(
はう
)
が
何程
(
なにほど
)
利益
(
りえき
)
だか
分
(
わか
)
らないわ。
151
これからワールドを
股
(
また
)
にかけワールドウ(
悪胴
(
わるどう
)
)を
据
(
す
)
ゑて
泥坊
(
どろばう
)
商売
(
しやうばい
)
を
勉強
(
べんきやう
)
した
方
(
はう
)
が
忽
(
たちま
)
ちお
蔭
(
かげ
)
がある。
152
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
十字
(
じふじ
)
の
秘法
(
ひはふ
)
を
唱
(
とな
)
へても、
153
一
(
ひ
)
、
154
二
(
ふ
)
、
155
三
(
み
)
、
156
四
(
よ
)
と
云
(
い
)
つて
数
(
かぞ
)
へて
居
(
を
)
つても、
157
一文
(
いちもん
)
の
金
(
かね
)
も
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
はせぬぢやないか。
158
そんな
事
(
こた
)
ア
世捨人
(
よすてびと
)
のする
仕事
(
しごと
)
だ。
159
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
は
日々
(
にちにち
)
の
生活難
(
せいくわつなん
)
を
凌
(
しの
)
いで
行
(
ゆ
)
かんならぬから、
160
そんな
陽気
(
やうき
)
な
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
れないわ。
161
肉体
(
にくたい
)
のある
限
(
かぎ
)
り
食物
(
しよくもつ
)
も
摂
(
と
)
らねばならず、
162
人間
(
にんげん
)
の
体
(
からだ
)
は
実在物
(
エイジツチング
)
だからヤツパリ
実在
(
じつざい
)
的
(
てき
)
物質
(
ぶつしつ
)
が
何
(
なに
)
よりも
肝腎
(
かんじん
)
だ。
163
空々
(
くうくう
)
漠々
(
ばくばく
)
たる
無形
(
むけい
)
の
呪文
(
じゆもん
)
が
何
(
なん
)
になるか。
164
馬鹿
(
ばか
)
だなア』
165
求道
(
きうだう
)
『ハハハハ、
166
ベルはどうしても
分
(
わか
)
らぬと
見
(
み
)
えるな。
167
そしてお
前
(
まへ
)
はゼネラル
様
(
さま
)
から、
168
あれ
丈
(
だ
)
けのお
金
(
かね
)
を
頂
(
いただ
)
いた
時
(
とき
)
に、
169
正業
(
せいげふ
)
に
就
(
つ
)
きますと
云
(
い
)
つたぢやないか。
170
それにも
拘
(
かか
)
はらずまだ
泥坊
(
どろばう
)
をこれからやらうと
云
(
い
)
ふのか』
171
ベル『
何分
(
なにぶん
)
人間
(
にんげん
)
はパンが
肝腎
(
かんじん
)
ですから、
172
私
(
わたし
)
のやうな
無資産
(
むしさん
)
者
(
しや
)
は、
173
泥坊
(
どろばう
)
なつとやらなくちや
仕方
(
しかた
)
がありませぬわい。
174
何程
(
なにほど
)
神
(
かみ
)
を
祈
(
いの
)
つて
居
(
を
)
つても
一片
(
ひときれ
)
のパンも
湧
(
わ
)
いては
来
(
き
)
ませぬからな。
175
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だつて
有
(
あ
)
るとも
無
(
な
)
いとも、
176
そんな
事
(
こた
)
アあてになりませぬわい』
177
求道
(
きうだう
)
『お
前
(
まへ
)
は、
178
さうすると
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
もアーセーズムを
主張
(
しゆちやう
)
するのかな。
179
困
(
こま
)
つたものだな。
180
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
で
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
だつて
出来
(
でき
)
るものでないと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つてるだらう。
181
さうすれば
山川
(
さんせん
)
草木
(
さうもく
)
を
拵
(
こしら
)
へた
原動力
(
げんどうりよく
)
がなければならぬ
筈
(
はず
)
だ。
182
人間
(
にんげん
)
以外
(
いぐわい
)
の
物
(
もの
)
がなければ
此
(
この
)
天地
(
てんち
)
は
造
(
つく
)
れるものでない。
183
よく
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
るが
宜
(
よ
)
からうぞ』
184
ベル『それは
人間
(
にんげん
)
が
出来
(
でき
)
ない
事
(
こと
)
は
分
(
わか
)
つてゐます。
185
自然
(
しぜん
)
の
力
(
ちから
)
で
一切
(
いつさい
)
万物
(
ばんぶつ
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
るのです。
186
その
自然
(
しぜん
)
を
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
神
(
かみ
)
と
云
(
い
)
ふのですか。
187
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
はフテキズムだ。
188
もしも
違
(
ちが
)
うたら
ナチュラル
・ワーシップだ。
189
私
(
わたし
)
は
神
(
かみ
)
なぞが
決
(
けつ
)
して
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
存在
(
そんざい
)
するとは
思
(
おも
)
はれませぬわい』
190
求道
(
きうだう
)
『どうも
仕方
(
しかた
)
のない
男
(
をとこ
)
だなア。
191
まアまア
緩
(
ゆつく
)
りと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てて
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
るが
宜
(
よ
)
からう』
192
ヘル『オイ、
193
ベル、
194
人間
(
にんげん
)
は
神
(
かみ
)
を
離
(
はな
)
れて
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
生
(
い
)
きて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないぞ。
195
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
蔭
(
かげ
)
だ。
196
そんな
勿体
(
もつたい
)
ない
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はずに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
礼拝
(
らいはい
)
する
気
(
き
)
はないか。
197
お
前
(
まへ
)
もこれから
天国
(
てんごく
)
に
救
(
すく
)
はれるか、
198
地獄
(
ぢごく
)
に
堕
(
だ
)
するかと
云
(
い
)
ふ
境目
(
さかひめ
)
だから、
199
トツクリ
求道
(
きうだう
)
様
(
さま
)
のお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
たら
如何
(
どう
)
だ』
200
ベル『ウン、
201
そんなら
一
(
ひと
)
つ
求道
(
きうだう
)
さまにお
尋
(
たづ
)
ねしますが、
202
一体
(
いつたい
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
此
(
この
)
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
にどれ
丈
(
だ
)
け
厶
(
ござ
)
るのですか』
203
求道
(
きうだう
)
『
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
八百万
(
やほよろづ
)
、
204
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
八百万
(
やほよろづ
)
と
云
(
い
)
つて
億兆
(
おくてう
)
無数
(
むすう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
厶
(
ござ
)
るのだ。
205
それぞれお
役目
(
やくめ
)
を
分掌
(
ぶんしやう
)
遊
(
あそ
)
ばして
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
守
(
まも
)
つて
下
(
くだ
)
さるのだから、
206
人間
(
にんげん
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信仰
(
しんかう
)
せなくてはなりませぬぞ』
207
ベル『それ
丈
(
だ
)
け
沢山
(
たくさん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
があつたら
却
(
かへ
)
つて
世界
(
せかい
)
が
治
(
をさ
)
まらぬぢやありませぬか。
208
貴方
(
あなた
)
のお
説
(
せつ
)
はどうも
私
(
わたし
)
の
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちない。
209
その
筆法
(
ひつぱふ
)
で
云
(
い
)
へば
一切
(
いつさい
)
神
(
かみ
)
ばかりで
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
埋
(
うづ
)
もつて
了
(
しま
)
ひ、
210
人間
(
にんげん
)
の
住居
(
すまゐ
)
する
場所
(
ばしよ
)
はないぢやありませぬか。
211
そんなボリセズムは
新教育
(
しんけういく
)
を
受
(
う
)
けた
吾々
(
われわれ
)
の
耳
(
みみ
)
には、
212
余
(
あんま
)
り
古臭
(
ふるくさ
)
くて
這入
(
はい
)
りませぬがな』
213
求道
(
きうだう
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
元
(
もと
)
は
只
(
ただ
)
お
一柱
(
ひとはしら
)
だ。
214
その
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
大国治立
(
おほくにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
と
云
(
い
)
つて
宇宙
(
うちう
)
一切
(
いつさい
)
をお
構
(
かま
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばす
太元神
(
たいげんしん
)
様
(
さま
)
だから
此
(
この
)
神
(
かみ
)
の
水火
(
いき
)
から
生
(
うま
)
れた
色々
(
いろいろ
)
の
天人
(
てんにん
)
が、
215
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
となつて
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
遊
(
あそ
)
ばして
厶
(
ござ
)
るのだ。
216
それだから
之
(
これ
)
を
巻
(
ま
)
けば
一神
(
いつしん
)
となり、
217
之
(
これ
)
を
開
(
ひら
)
けば
多神
(
たしん
)
となる。
218
所謂
(
いはゆる
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
一神
(
いつしん
)
にして
多神
(
たしん
)
、
219
多神
(
たしん
)
にして
一神
(
いつしん
)
だ。
220
吾々
(
われわれ
)
と
雖
(
いへど
)
もヤツパリ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
神体
(
からだ
)
の
一部分
(
いちぶぶん
)
だ』
221
ベル『
益々
(
ますます
)
分
(
わか
)
らなくなつて
来
(
き
)
た。
222
お
前
(
まへ
)
さまの
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はモノゼーズムかと
思
(
おも
)
へばボリセーズムになつて
了
(
しま
)
ふ。
223
ボリセーズムかと
思
(
おも
)
へば
一転
(
いつてん
)
してバンエンテーリズムになるぢやないか。
224
そんな
拠
(
たよ
)
りない
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
礼拝
(
らいはい
)
するのは
真平
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
だ。
225
エーエーこんな
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
ると
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くなる。
226
それよりも
現実
(
げんじつ
)
的
(
てき
)
にお
蔭
(
かげ
)
を
頂
(
いただ
)
く
事
(
こと
)
をやり
度
(
た
)
いものだ。
227
さア
之
(
これ
)
から
俺
(
おれ
)
の
幕
(
まく
)
だ』
228
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をグツと
締
(
し
)
め、
229
瘤
(
こぶ
)
だらけの
腕
(
うで
)
をニユツと
前
(
まへ
)
につき
出
(
だ
)
し、
230
ベル『おい、
231
修験者
(
しゆげんじや
)
、
232
ここを
何処
(
どこ
)
と
心得
(
こころえ
)
てる。
233
勿体
(
もつたい
)
なくも
天下
(
てんか
)
の
大泥坊
(
だいどうばう
)
ベルさまの
縄張
(
なはば
)
り
区域
(
くゐき
)
だぞ。
234
さアさア、
235
キリキリチヤツと
持物
(
もちもの
)
一切
(
いつさい
)
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
して
行
(
ゆ
)
かつせい。
236
猪倉山
(
ゐのくらやま
)
で
随分
(
ずいぶん
)
分配金
(
ぶんぱいきん
)
を
貰
(
もら
)
つただらうから、
237
まだ
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るだらう。
238
それを
此方
(
こつち
)
へスツパリ
渡
(
わた
)
して
行
(
ゆ
)
け。
239
お
慈悲
(
じひ
)
に
着物
(
きもの
)
丈
(
だけ
)
は
助
(
たす
)
けてやるから』
240
求道
(
きうだう
)
『アハハハハ、
241
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だな。
242
金
(
かね
)
は
此処
(
ここ
)
にまだ
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
ばかり
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るが、
243
之
(
これ
)
は
世界
(
せかい
)
の
困
(
こま
)
つた
人間
(
にんげん
)
を
助
(
たす
)
けるための
物質
(
ぶつしつ
)
的
(
てき
)
の
宝
(
たから
)
だ。
244
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
泥坊
(
どろばう
)
にやる
金
(
かね
)
は
一文
(
いちもん
)
も
持
(
も
)
たない。
245
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
から
大金
(
たいきん
)
を
頂
(
いただ
)
いて
改心
(
かいしん
)
するかと
思
(
おも
)
へば
益々
(
ますます
)
悪党
(
あくたう
)
になるやうな
代物
(
しろもの
)
だから、
246
お
前
(
まへ
)
を
助
(
たす
)
けようと
思
(
おも
)
へば
一厘
(
いちりん
)
だつて
渡
(
わた
)
す
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
247
それよりも
無形
(
むけい
)
の
宝
(
たから
)
を
頂
(
いただ
)
いて
誠
(
まこと
)
の
人間
(
にんげん
)
になつたら
如何
(
どう
)
だ』
248
ベル『アハハハハ、
249
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つてもパンを
与
(
あた
)
へられねば
信仰
(
しんかう
)
は
出来
(
でき
)
ない。
250
俺
(
おれ
)
を
信仰
(
しんかう
)
の
道
(
みち
)
に
入
(
い
)
れ
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
ふなら
先
(
ま
)
づパンを
与
(
あた
)
へよだ。
251
早
(
はや
)
くその
金
(
かね
)
を
此方
(
こつら
)
へ……
皆
(
みな
)
迄
(
まで
)
とは
云
(
い
)
はぬから、
252
五千
(
ごせん
)
両
(
りやう
)
ばかり
渡
(
わた
)
して
呉
(
く
)
んねえ。
253
さすれば
此
(
この
)
金
(
かね
)
のある
間
(
あひだ
)
は
信者
(
しんじや
)
になつても
可
(
い
)
い』
254
ヘル『
到頭
(
とうとう
)
本音
(
ほんね
)
を
吹
(
ふ
)
きやがつたな。
255
もし
先生
(
せんせい
)
、
256
こんな
奴
(
やつ
)
に
与
(
や
)
る
金
(
かね
)
があつたら
乞食
(
こじき
)
におやりなさい。
257
ますます
此奴
(
こいつ
)
を
地獄
(
ぢごく
)
の
底
(
そこ
)
へ
堕
(
おと
)
す
様
(
やう
)
なものですからな』
258
求道
(
きうだう
)
『
如何
(
いか
)
にもお
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りだ。
259
こんな
者
(
もの
)
に
金
(
かね
)
を
持
(
も
)
たしたら
狂人
(
きちがひ
)
に
松明
(
たいまつ
)
を
持
(
も
)
たすも
同然
(
どうぜん
)
だ。
260
まア
止
(
や
)
めて
置
(
お
)
かうかい』
261
ベル『こりやヘル、
262
貴様
(
きさま
)
の
懐
(
ふところ
)
がヘルのでもないのに
横合
(
よこあひ
)
から
何
(
なに
)
をしやベルのだ。
263
人
(
ひと
)
の
商売
(
しやうばい
)
の
妨害
(
ばうがい
)
をさらしやがつて、
264
もう
量見
(
れうけん
)
ならぬ。
265
これから
貴様
(
きさま
)
と
命
(
いのち
)
の
奪合
(
とりあ
)
ひをして、
266
勝
(
か
)
つた
方
(
はう
)
がケリナを
女房
(
にようばう
)
にするのだ。
267
さア
来
(
こ
)
い、
268
勝負
(
しようぶ
)
だ』
269
と
手
(
て
)
に
唾
(
つばき
)
をつけ
挑戦
(
てうせん
)
する。
270
ヘル『ハハハハハ、
271
そりや
何
(
なあん
)
さらしてるのだ。
272
そんな
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて
芝居
(
しばゐ
)
をしたつて
恐
(
こは
)
がる
奴
(
やつ
)
は
一人
(
ひとり
)
もありやせないぞ。
273
なあケリナ、
274
本当
(
ほんたう
)
に
下劣
(
げれつ
)
な
男
(
をとこ
)
ぢやないか。
275
下劣
(
げれつ
)
ばかりならまだしもだが、
276
無智
(
むち
)
暗愚
(
あんぐ
)
極悪
(
ごくあく
)
無道
(
ぶだう
)
、
277
所在
(
あらゆる
)
罪悪
(
ざいあく
)
を
具備
(
ぐび
)
して
居
(
ゐ
)
るモンスターだから
困
(
こま
)
つた
者
(
もの
)
ですわい。
278
併
(
しか
)
しケリナ、
279
お
怪我
(
けが
)
があつてはならぬから、
280
先生
(
せんせい
)
のお
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れないやうにして
下
(
くだ
)
さい。
281
之
(
これ
)
から
此
(
この
)
悪人
(
あくにん
)
と
奮闘
(
ふんとう
)
して
懲
(
こら
)
しめてやるから』
282
ケリナ『ホホホホホ
何程
(
なにほど
)
ベルが
凄
(
すご
)
い
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べて
威張
(
ゐば
)
つた
所
(
ところ
)
で
誰
(
たれ
)
も
驚
(
おどろ
)
くものはないわ。
283
そして
妾
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
鎌彦
(
かまひこ
)
さまを
殺
(
ころ
)
したのも
此奴
(
こいつ
)
だから、
284
謂
(
ゐ
)
はば
夫
(
をつと
)
の
敵
(
かたき
)
、
285
見逃
(
みのが
)
しは
致
(
いた
)
さぬ。
286
お
前
(
まへ
)
、
287
そこに
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
なさい。
288
妾
(
わたし
)
が
美事
(
みごと
)
ベルを
平
(
たひら
)
げてお
目
(
め
)
にかけませう。
289
そしてお
前
(
まへ
)
も
矢張
(
やつぱ
)
り
夫
(
をつと
)
を
殺
(
ころ
)
した
仲間
(
なかま
)
だから
此
(
この
)
次
(
つ
)
ぎはヘルだから
楽
(
たの
)
しんで
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
なさい』
290
ヘル『いや、
291
此奴
(
こいつ
)
あチツと
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
いわい』
292
ベル『ワツハハハハ、
293
態
(
ざま
)
ア
見
(
み
)
ろ。
294
ケリナに
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かしやがつて
既
(
すで
)
に
亭主
(
ていす
)
になつた
気取
(
きど
)
りで
居
(
を
)
つたが、
295
今
(
いま
)
の
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
だい。
296
大
(
おほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
奴
(
め
)
、
297
先見
(
せんけん
)
の
明
(
めい
)
が
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
つても
余
(
あんま
)
りぢやないか、
298
ウツフフフフ』
299
ヘルは
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
300
ヘル『
何
(
なに
)
、
301
猪口才
(
ちよこざい
)
な、
302
俺
(
おれ
)
も
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
悪人
(
あくにん
)
だつたが
最早
(
もはや
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされた
善人
(
ぜんにん
)
だ。
303
貴様
(
きさま
)
のやうな
悪事
(
あくじ
)
はせない。
304
一
(
ひと
)
つ
目
(
め
)
に
物
(
もの
)
見
(
み
)
せてやるから
覚悟
(
かくご
)
をせい』
305
と
矢庭
(
やには
)
にベルに
跳
(
と
)
びついて
行
(
ゆ
)
く。
306
ベルは『
何
(
なに
)
、
307
猪口才
(
ちよこざい
)
な』
308
と
側
(
そば
)
に
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
た
棒片
(
ぼうちぎれ
)
を
手
(
て
)
に
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く
真向
(
まつかう
)
に
振
(
ふ
)
り
翳
(
かざ
)
し、
309
木端
(
こつぱ
)
微塵
(
みぢん
)
になれよとばかり
打下
(
うちお
)
ろした
途端
(
とたん
)
に、
310
ヘルの
肩
(
かた
)
を
強
(
したた
)
か
打
(
う
)
つた。
311
ヘルは
怒
(
いか
)
り
心頭
(
しんとう
)
に
達
(
たつ
)
し、
312
矢庭
(
やには
)
にベルの
髻
(
たぶさ
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み
引摺
(
ひきず
)
り
初
(
はじ
)
めた。
313
ベルは
痛
(
いた
)
さに
堪
(
こら
)
へ
兼
(
か
)
ね、
314
悲鳴
(
ひめい
)
をあげて
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
した。
315
ヘルは
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
憐
(
あは
)
れさを
催
(
もよほ
)
し、
316
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
した。
317
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
呪文
(
じゆもん
)
を
唱
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
318
隙
(
すき
)
を
狙
(
ねら
)
つてベルは
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
草野
(
くさの
)
ケ
原
(
はら
)
に
四這
(
よつばひ
)
となり、
319
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだまま
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せなかつた。
320
ヘル『アハハハハ、
321
口
(
くち
)
程
(
ほど
)
にも
無
(
な
)
い
奴
(
やつ
)
だ。
322
到頭
(
たうとう
)
遁走
(
とんそう
)
しやがつたな。
323
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
陰険
(
いんけん
)
な
奴
(
やつ
)
だから
何処
(
どこ
)
に
隠
(
かく
)
れて
何
(
なに
)
をしよるか
分
(
わか
)
つたものではない。
324
ケリナさまには
大変
(
たいへん
)
な
怨
(
うら
)
みを
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
るけれども、
325
私
(
わたし
)
の
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしのために
先生
(
せんせい
)
と
前後
(
あとさき
)
になつて、
326
ケリナさまを
親許
(
おやもと
)
まで
届
(
とど
)
けさして
貰
(
もら
)
ひませう。
327
なア
先生
(
せんせい
)
、
328
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さるでせうな』
329
求道
(
きうだう
)
『お
前
(
まへ
)
の
改心
(
かいしん
)
は
確
(
たしか
)
だから
成
(
な
)
るべくは
親許
(
おやもと
)
まで
届
(
とど
)
けて、
330
両親
(
りやうしん
)
にお
詫
(
わび
)
をしたが
宜
(
よ
)
からう。
331
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らケリナさまの
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
は
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
るか
分
(
わか
)
らない。
332
ケリナさま、
333
如何
(
どう
)
しますか』
334
ケリナ『ハイ、
335
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
を
申
(
まを
)
せば
妾
(
わたし
)
の
兄
(
あに
)
を
殺
(
ころ
)
した
鎌彦
(
かまひこ
)
を
殺
(
ころ
)
して
呉
(
く
)
れた
方
(
かた
)
だから、
336
別
(
べつ
)
に
怨
(
うら
)
んでは
居
(
を
)
りませぬ。
337
送
(
おく
)
つて
下
(
くだ
)
さらば
結構
(
けつこう
)
で
厶
(
ござ
)
います』
338
ヘル『サンキューサンキュー、
339
何処
(
どこ
)
までも
送
(
おく
)
らして
頂
(
いただ
)
きます。
340
もし、
341
思召
(
おぼしめし
)
に
叶
(
かな
)
ひましたら、
342
どんな
御用
(
ごよう
)
でも
致
(
いた
)
しますから』
343
求道
(
きうだう
)
『アハハハハ、
344
要
(
い
)
らぬ
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
はないでも
宜
(
い
)
い。
345
それよりも
十字
(
じふじ
)
の
秘法
(
ひはふ
)
を
唱
(
とな
)
へて、
346
さア
行
(
ゆ
)
かう。
347
テルモン
山
(
ざん
)
迄
(
まで
)
はまだ
十
(
じふ
)
里
(
り
)
位
(
ぐらゐ
)
もあるからグヅグヅして
居
(
を
)
れば
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れる。
348
途中
(
とちう
)
で
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れると
又
(
また
)
悪者
(
わるもの
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
すと
面倒
(
めんだう
)
だからな』
349
ヘル『
先生
(
せんせい
)
、
350
その
時
(
とき
)
には
一
(
ひと
)
、
351
二
(
ふた
)
、
352
三
(
み
)
、
353
四
(
よ
)
……と
唱
(
とな
)
へるのですな。
354
それでいかなければ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
ですわい』
355
求道
(
きうだう
)
『うん、
356
さうださうだ。
357
それさへ
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
れば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
358
おい、
359
ヘル、
360
お
前
(
まへ
)
は
先
(
さき
)
に
行
(
ゆ
)
くのだ。
361
そしてケリナさまを
真中
(
まんなか
)
にして
俺
(
おれ
)
が
殿
(
しんがり
)
を
勤
(
つと
)
めてやる』
362
ヘル『はい、
363
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こた
)
あ
厶
(
ござ
)
いませぬが、
364
そこが
何
(
なん
)
だか
一寸
(
ちよつと
)
……で
厶
(
ござ
)
いますな。
365
先生
(
せんせい
)
が
先
(
さき
)
へお
出
(
いで
)
になるが
順当
(
じゆんたう
)
でせう。
366
お
伴
(
とも
)
が
先
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
ふ
道理
(
だうり
)
が
厶
(
ござ
)
いませぬから』
367
求道
(
きうだう
)
『ハハハハハ
矢張
(
やつぱ
)
り
恐
(
こは
)
いのだな。
368
よしそんなら
思召
(
おぼしめし
)
に
従
(
したが
)
ひ
先陣
(
せんぢん
)
を
勤
(
つと
)
めやう。
369
さあケリナさま、
370
続
(
つづ
)
いておいでなさい』
371
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ、
372
夏草
(
なつぐさ
)
茂
(
しげ
)
る
青野
(
あをの
)
ケ
原
(
はら
)
をスタスタと
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
373
(
大正一二・三・一六
旧一・二九
於竜宮館二階
北村隆光
録)
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