霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 方岩(はこいは)〔一四四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第56巻 真善美愛 未の巻 篇:第3篇 月照荒野 よみ(新仮名遣い):げっしょうこうや
章:第14章 方岩 よみ(新仮名遣い):はこいわ 通し章番号:1444
口述日:1923(大正12)年03月17日(旧02月1日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ヘルはベルを介抱し、目を覚まさせた。二人はデビスが死んだものと思って、宝石を残らずはぎとってしまった。するとベルとヘルは、分け前を巡ってその場で争い始めた。激しい格闘の末、二人ともその場に倒れてしまった。
そこへ宣伝歌を歌いながら求道居士とケリナがやってきた。求道とケリナは倒れている三人を見つけ、ケリナは一人が姉のデビスであることを認めた。求道はデビス姫を方岩の上に運び、介抱した。
デビスは目をさまし、修験者が自分を助けてくれたこと、妹のケリナも一緒にいることを知った。そして二人に、こんなところに荒行に来て、盗賊二人に襲われたいきさつを話した。
求道は、倒れている盗賊が自分を殺そうとしたベルとヘルだと認めながら、神様はこの両人を使って我々に苦集滅道の真諦をお示しになったのかもしれないと宣し直し、水をくんで介抱した。
ヘルは気が付いて、涙を流して求道に謝罪した。そしてデビスから奪った宝石を懐から出して、返そうと差し出した。ベルはそれを横合いから奪い取り、足をチガチガさせながら長く伸びた草丈のなかに身を隠して消えてしまった。
求道はヘルにデビスを背負わせ、神言を奏上しながら月夜の道をテルモン山の神館指して進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-06-09 11:55:54 OBC :rm5614
愛善世界社版:197頁 八幡書店版:第10輯 219頁 修補版: 校定版:208頁 普及版:94頁 初版: ページ備考:
001 ヘルは月影(つきかげ)にベルの姿(すがた)をよくよく()れば、002()(まか)してゐる。003(さいは)(かたはら)(ちひ)さい(みづ)だまりがあつてそれに(つき)(ひか)つてるのを(みと)め、004(くち)(みづ)(ふく)(きた)り、005ベルの(かほ)(くち)などに幾回(いくくわい)となく(ふく)ませた。006(やうや)くにして(いき)吹返(ふきかへ)し、007四辺(あたり)をキヨロキヨロ見廻(みまは)(なが)ら、
008ベル『あーー、009一体(いつたい)此処(ここ)はどこだ。010エライ(ところ)()つて()た』
011不思議(ふしぎ)(さう)にヘルの(かほ)(のぞ)()んでゐる。012ヘルは(こゑ)(はげ)まして、
013ヘル『オイ、014ベル、015(しつか)りせぬか、016(きさま)(いま)017ナイスに(のど)()められ、018()(まか)してゐやがつたのだ。019(おれ)(いま)いろいろと介抱(かいはう)して(たす)けてやつたのだ。020サア、021(はや)()たぬか、022何時(なんどき)追手(おつて)()るか()れないぞ。023此処(ここ)(よる)とはいへど通道(とほりみち)だ、024サア、025(しつか)りした(しつか)りした』
026背中(せなか)をポンポン(たた)いてゐる。
027ベル『ああ矢張(やつぱ)(ゆめ)だつたか、028エライ(ところ)(おれ)()つて()つた。029沢山(たくさん)(あか)(あを)(おに)鉄棒(かなぽう)()つて四方(しはう)八方(はつぱう)より(おれ)(おつ)かけて()(その)(くる)しさ、030まア(ゆめ)でよかつた。031(しか)しあのナイスは()うなつたか、032取逃(とりにが)しただらうな』
033ヘル『ナニ、034(きさま)(のど)()められヂタバタやつてるのを()るに()かねて、035(うしろ)から棒千切(ぼうちぎ)れでポンとやつた(ところ)036(もろ)くも(たふ)れよつたのだ。037それみよ、038そこに(たふ)れてるだないか』
039 ベルはダイヤモンドの(ひかり)()るより(はや)く、
040『ヤツ』
041()つたきり、042猿臂(ゑんぴ)()ばして(あたま)(かざ)をむしり()り、043矢庭(やには)(ふところ)捻込(ねぢこ)むだ。044ヘルは、
045『エー、046(どく)をくはば(さら)までだ。047人殺(ひとごろし)大罪(だいざい)(おか)したのだから宝石(はうせき)(ぬす)んでも矢張(やつぱ)(おな)(こと)だ。048(おな)(つみ)になるのなら、049(これ)でも()つて(ふと)(みじか)(くら)さうかい』
050悪胴(わるどう)をすゑ、051デビスのコルプス英語で死体のこと。corpse(さぐ)つて、052(ひか)つた(もの)(のこ)らず()()つて(しま)つた。
053ベル『アハハハハ、054(もろ)いものだな、055(しか)(これ)(だけ)沢山(たくさん)宝石(はうせき)(からだ)につけやがつて、056(じつ)贅沢(ぜいたく)(もの)ぢやないか、057今日(こんにち)貴族(きぞく)生活(せいくわつ)をしてる(やつ)(みな)(これ)だからのう、058(した)人間(にんげん)(くるし)むのも無理(むり)はないワイ。059(おれ)(たち)(この)宝石(はうせき)をどつかの(まち)()つて()つて(うり)とばし、060罪亡(つみほろ)ぼしに天下(てんか)貧民(ひんみん)(あた)(かぎ)(たす)けてやらうぢやないか。061そすりや(ひと)一人(ひとり)(ぐらゐ)(ころ)したつて万民(ばんみん)(たす)けるのだから、062大罪(だいざい)(どころ)(かへつ)(てん)から()褒美(ほうび)(いただ)くかも()れないぞ』
063ヘル『(てん)から()褒美(ほうび)(いただ)くことは到底(たうてい)(のぞ)まれないとしても、064せめて(つみ)(かる)うしてもらふ(こと)出来(でき)るだらう。065()(かく)(きさま)()つてゐる宝石(はうせき)(みな)(おれ)(わた)せ、066(きさま)()たしておくと(また)愛我心(あいがしん)(おこ)しよつて、067貧民(ひんみん)救済(きうさい)(もち)ゐないかも()れない。068(おれ)()たしておけば(この)(たから)善用(ぜんよう)して、069(きさま)(つみ)(かる)くなり(おれ)(つみ)(かる)くなるやうにしてやるからなア』
070ベル『馬鹿(ばか)()ふな、071(きさま)のやうな(かぜ)()いても(ふる)うてるやうな人間(にんげん)()たしておくのは険呑(けんのん)だ、072剛胆(がうたん)不敵(ふてき)(おれ)のやうな人間(にんげん)(ふところ)()つてをれば、073如何(いか)なる悪魔(あくま)(ねら)ふこた出来(でき)ない、074サア、075スツパリこちらへ(わた)せ』
076ヘル『馬鹿(ばか)()ふない、077(おれ)(たす)けてやらなかつたら(きさま)(この)()()きてるこた出来(でき)ぬのだ。078そんな執着心(しふちやくしん)はやめて、079(みな)(おれ)(わた)すのだ』
080ベル『(きさま)はそんな(てい)のよい(こと)をいつて、081(おれ)から宝石(はうせき)(うば)()り、082一人(ひとり)猫婆(ねこばば)をきめこむ(つも)りだらう。083今日(こんにち)(やつ)慈善会(じぜんくわい)だとか、084(あるひ)孤児院(こじゐん)だとかぬかして(かね)(あつ)め、085(みな)自分(じぶん)懐中(ふところ)(こや)(やつ)(ばか)りだ。086一旦(いつたん)泥坊(どろばう)()(さが)つた人足(にんそく)が、087慈善(じぜん)なんか(ゆめ)にもあり(さう)(こと)はないワイ。088そんな偽善者(きぜんしや)(たから)()たしておくと、089天下(てんか)(たから)悪用(あくよう)するから、090スツパリ(おれ)(わた)せ』
091ヘル『(なに)(ぬか)しやがるのだい、092(きさま)泥坊(どろばう)ぢやないか、093(おれ)(わた)すのが険呑(けんのん)なら、094(きさま)(わた)すのも険呑(けんのん)だ。095サア、096(はや)()さぬかい』
097ベル『ヘン、098一旦(いつたん)(ふところ)()()んだ以上(いじやう)はメツタに(わた)さないぞ。099第一(だいいち)黄金(こがね)宝石(はうせき)(この)ベルのテースト(ぶつ)だから、100仮令(たとへ)(いのち)()くなつても(わた)気遣(きづか)ひがないワ。101グヅグヅぬかすと、102(きさま)(いのち)()つてやらうか、103さすれば全部(ぜんぶ)(おれ)(ふところ)這入(はい)るのだからなア』
104ヘル『(なに)猪口才(ちよこざい)な、105美事(みごと)()るなら()つてみよ、106(おれ)(きさま)(いのち)()つて、107(この)宝石(はうせき)全部(ぜんぶ)私有物(しいうぶつ)となし、108ハルナの(みやこ)(かへ)つて、109天晴(あつぱ)紳士(しんし)となる(つもり)だ。110そして多額(たがく)納税(なふぜい)議員(ぎゐん)にでもなつて(はば)()かす(つもり)だ。111台泥(だいどろ)でさへも衆議院(しうぎゐん)議員(ぎゐん)当選(たうせん)した(ためし)があるぢやないか。112(かつ)しても盗泉(たうせん)(みづ)()まずとは、113(むかし)(やつ)のほざく言葉(ことば)だ。114(おれ)(これ)から逐鹿(ちくろく)場裡(ぢやうり)()つて、115(この)(かね)()()らし、116社会(しやくわい)優者(いうしや)となる(かんが)へだから、117(その)第一(だいいち)着手(ちやくしゆ)として、118(きさま)所持品(しよぢひん)をスツカリ()つてやるのだ。119(きさま)(もの)()つた(ところ)(べつ)(つみ)にもなるまい。120(また)(いのち)()つた(ところ)元々(もともと)だ。121(きさま)()んでる(ところ)(たす)けたのだから……』
122ベル『コラ、123(きさま)(たから)をみると(にはか)(はしや)ぎやがるのだ。124(きさま)(すで)改心(かいしん)したと()つたぢやないか』
125ヘル『きまつた(こと)だい、126つまらぬ(とき)には(たれ)だつて改心(かいしん)するが、127(たから)()改心(かいしん)する(やつ)があるかい。128サア(うで)づくで(これ)から()(あひ)だ』
129ベル『ヨーシ、130面白(おもしろ)い、131見事(みごと)()つてみせう』
132両方(りやうはう)から四股(しこ)()み、133()(つばき)(なが)ら、134辻相撲(つじずまう)()るやうな調子(てうし)で、135()つにからみ、136()んづ()まれつ(ころ)(まは)る。137(たがひ)(かた)(つめ)()をひつかく、138(はな)(けづ)る、139()(あし)(つら)血達磨(ちだるま)(やう)になつて格闘(かくとう)(はじ)双方(さうはう)(とも)140グニヤグニヤになり半死(はんし)半生(はんしやう)(てい)で、141(その)()にドツカと(たふ)れて(しま)つた。
142 宣伝歌(せんでんか)(こゑ)夜嵐(よあらし)につれて、143千切(ちぎ)千切(ちぎ)れに(とほ)(きこ)えて()る、144(これ)求道(きうだう)居士(こじ)145ケリナ(ひめ)夜道(よみち)(いそ)此方(こなた)(むか)つて行進(かうしん)しつつ(うた)(こゑ)であつた。
146求道(きうだう)(かみ)(おもて)(あら)はれて
147善神(ぜんしん)邪神(じやしん)立分(たてわ)ける
148(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
149(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
150(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
151直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
152()(あやまち)()(なほ)
153ここは()()ふフサの(くに)
154御空(みそら)(たか)月照彦(つきてるひこ)
155(かみ)(みこと)はキラキラと
156(かがや)(たま)吾々(われわれ)
157(さび)しき野路(のぢ)(かへ)りゆく
158行手(ゆくて)()らさせ(たま)ふなり
159ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
160三五教(あななひけう)(まも)ります
161高天原(たかあまはら)霊国(れいごく)
162(うづ)(つかさ)()れませる
163稜威(みいづ)(こと)大八洲(おほやしま)(ひこ)
164(かみ)(みこと)()神徳(しんとく)
165(たちま)(くだ)(きた)りまし
166(われ)()二人(ふたり)危難(きなん)をば
167(すく)はせ(たま)久方(ひさかた)
168(あま)御空(みそら)(かがや)きつ
169(かへ)(たま)ひし(たふと)さよ
170バラモン(けう)のカーネルと
171(えら)ばれハルナを立出(たちい)でて
172鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)
173両将軍(りやうしやうぐん)(したが)ひつ
174山野(さんや)(わた)(かは)()
175(あめ)には(よく)荒風(あらかぜ)
176(かみ)(くしけ)ずりやうやくに
177河鹿(かじか)(たうげ)(ふもと)まで
178旗鼓(きこ)堂々(だうだう)(すす)()
179至善(しぜん)至愛(しあい)大神(おほかみ)
180(ぜん)をば(たす)悪神(あくがみ)
181(こらし)(たま)ふか吾々(われわれ)
182(ひき)ゆる(いくさ)(ことごと)
183治国別(はるくにわけ)言霊(ことたま)
184打亡(うちほろ)ぼされ這々(はふはふ)
185(てい)にて(もろ)くも敗走(はいそう)
186浮木(うきき)(もり)やビクトリヤ
187猪倉山(ゐのくらやま)にチクチクと
188予定(よてい)退却(たいきやく)(はじ)()
189三千(さんぜん)()()(したが)へて
190堅磐(かきは)常磐(ときは)岩窟(がんくつ)
191千代(ちよ)(かた)めと立籠(たてこ)もる
192(また)もや(きた)宣伝使(せんでんし)
193治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)
194(まこと)(みち)(さと)されて
195(くも)りし(むね)(やうや)くに
196黎明(れいめい)()ぐる(とり)(こゑ)
197(あさひ)豊栄(とよさか)(のぼ)(ごと)
198(みたま)もあかくなりにけり
199鬼春別(おにはるわけ)(はじめ)とし
200久米彦(くめひこ)スパール両司(りやうつかさ)
201()もなく(かみ)正道(まさみち)
202帰順(きじゆん)されたる不思議(ふしぎ)さに
203(われ)(こころ)(ひるがへ)
204バラモン(けう)御教(みをしへ)
205げに(うる)はしき(みち)なれど
206不言(ふげん)実行(じつかう)()りしより
207すまぬ(こと)とは()(なが)
208()(うら)(かへ)藤堂(とうだう)(しき)
209(たちま)味方(みかた)軍隊(ぐんたい)
210(ほこ)()けたる果敢(はか)なさよ
211さはさり(なが)天地(あめつち)
212(まこと)(てき)する(こと)()
213大黒主(おほくろぬし)(かみ)(さま)
214()(わけ)()たずと()(けつ)
215三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
216たるを(はばか)中間(ちうかん)
217法螺(ほら)吹立(ふきた)てる修験者(しゆげんじや)
218(すみ)(ころも)()(まと)
219(あたま)(まる)()りこぼち
220(もも)(つみ)をば消滅(せうめつ)
221天地(てんち)(かみ)三五(あななひ)
222(まこと)(つく)(まつ)らむと
223照国山(てるくにやま)谷間(たにあひ)
224百日(ももか)百夜(ももよ)荒行(あらぎやう)
225(つと)めて(つひ)にビクトルの
226(やま)にまします大神(おほかみ)
227(あさ)(ゆふ)なに(つか)へつつ
228ゼネラル(さま)(ゆる)しをば
229(かうむ)(ここ)宣伝(せんでん)
230(やうや)旅路(たびぢ)につきにけり
231エルシナ(がは)(ほとり)(まで)
232スタスタ(きた)谷底(たにそこ)
233見下(みおろ)途端(とたん)(いぶ)かしや
234(うづ)まく(ふち)(うか)びゐる
235()(にん)のコルプス()るよりも
236見逃(みのが)しならぬ修験者(しゆげんじや)
237(かみ)(いの)りて(たす)けむと
238(あやふ)(みち)谷底(たにそこ)
239(くだ)りてやうやう(さん)(にん)
240(いのち)(たす)(よろこ)びて
241荒野(あらの)(はら)(うち)わたり
242ここ(まで)(すす)(きた)りけり
243(みち)行手(ゆくて)諸々(もろもろ)
244(なや)みに()ひて(たま)()
245(いのち)(あやふ)(ところ)をば
246(つき)(ひかり)(たす)けられ
247ケリナの(ひめ)諸共(もろとも)
248(こころ)(いさ)みてテルモンの
249(やま)()れます大神(おほかみ)
250宮居(みやゐ)をさして(すす)みゆく
251(わが)()(うへ)ぞたのもしき
252ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
253(かみ)(めぐ)みのいや(ふか)
254(をしへ)(つゆ)何処(どこ)までも
255青人草(あをひとぐさ)()(うへ)
256()らさせ(たま)月照(つきてる)
257(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
258赤心(まごころ)()めて()ぎまつる
259ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
260御霊幸(みたまさきは)ひましませよ』
261 ケリナ(ひめ)(やさ)しき(こゑ)張上(はりあ)げて(また)もや(うた)ひつつ(すす)()る。
262ケリナ『天津(あまつ)()かげは西山(せいざん)
263(かたむ)(たま)(ひむがし)
264草野(くさの)()けて(のぼ)ります
265月照彦(つきてるひこ)御光(みひかり)
266草葉(くさば)(つゆ)(ことごと)
267宿(やど)らせ(たま)ひて吾々(われわれ)
268行手(ゆくて)(みち)(まも)ります
269野山(のやま)(たけ)(けだもの)
270いと(おそ)ろしき毒虫(どくむし)
271(かみ)(めぐみ)(いだ)かれし
272(わが)()(そこな)(こと)ならず
273(さき)(あらそ)()(いだ)
274(われ)()無事(ぶじ)にテルモンの
275(ちち)(やかた)久々(ひさびさ)
276(かへ)りゆく()となりにけり
277(わが)足乳根(たらちね)父母(ちちはは)
278(かは)らせ(たま)(こと)もなく
279(かみ)御前(みまへ)朝夕(あさゆふ)
280いと忠実(まめやか)(つか)へますか
281(こひ)しき(あね)のデビス(ひめ)
282いかに(この)()果敢(はかな)みて
283(くら)させ(たま)ふことならむ
284(わらは)今宵(こよひ)(かへ)りなば
285(ちち)(はは)とはいふも(さら)
286(こひ)しき(あね)(きみ)(まで)
287(かなら)(よろこ)(むか)()
288(わが)生命(せいめい)(すく)ひたる
289エミシの(きみ)(たふと)みて
290(あつ)待遇(もてな)(たま)ふべし
291(おも)へば(おも)へば有難(ありがた)
292(こひ)(まよ)ひの(ゆめ)()
293(こころ)(つき)()らしつつ
294(なつ)夜路(よみち)(かへ)りゆく
295(わが)()(うへ)(たの)しけれ
296ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
297御霊幸(みたまさきは)ひましませよ
298(あさひ)()るとも(くも)るとも
299(つき)()(とも)()くる(とも)
300仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)(とも)
301(ほし)(そら)より()つる(とも)
302(わが)()(すく)(たま)ひたる
303三五教(あななひけう)大御神(おほみかみ)
304求道(きうだう)居士(こじ)()(きみ)
305(めぐみ)はいかで(わす)るまじ
306(いのち)(おや)()(きみ)
307()(たづさ)へて()野路(のぢ)
308如何(いか)なる(まが)(あら)はれて
309行手(ゆくて)にさやる(こと)あるも
310いかでか(おそ)れむ惟神(かむながら)
311(たふと)(かみ)御守(みまも)りに
312いと安々(やすやす)(かへ)りゆく
313ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
314御霊幸(みたまさきは)(たま)へかし』
315(うた)ひつつ、316方岩(はこいは)間近(まぢか)(かへ)つて()た。
317 求道(きうだう)居士(こじ)はケリナ(ひめ)(とも)(やうや)方岩(はこいは)(かたはら)()いた。318(くさ)(なか)にウンウンと(あや)しい(こゑ)(きこ)えて()るのでツと立止(たちど)まり、319よくよく()れば何者(なにもの)半死(はんし)半生(はんしやう)(てい)呻吟(うめ)いてゐる。
320求道(きうだう)『ハテナ、321二三(にさん)(にん)人間(にんげん)斯様(かやう)(ところ)(たふ)れてゐるやうだ。322大方(おほかた)最前(さいぜん)のベル、323ヘル(ごと)悪人(あくにん)(かね)(うば)はれた(うへ)324()られて(くるし)んでゐるのだらう、325(なに)()もあれ、326(この)(まま)見逃(みのが)して(とほ)(わけ)には()かぬ。327ケリナさま、328貴女(あなた)(この)(いは)(こし)かけて()つてゐて(くだ)さい、329一寸(ちよつと)(しら)べてみますから……』
330ケリナ『ハイ、331(わたし)(なん)だか、332()にかかつてなりませぬワ、333(わたし)(ねえ)さまぢや(ござ)いますまいかな。334()第一(だいいち)(をんな)(はう)から(しら)べて(くだ)さいませ。335(この)衣類(いるゐ)から(かんが)へますれば(をんな)らしう(ござ)います』
336 求道(きうだう)(つき)にピカピカ(ひか)つてゐる衣装(いしやう)目当(めあて)(ちか)よつて()れば、337(みみ)から多量(たりやう)血糊(ちのり)()し、338妙齢(めうれい)(をんな)(たふ)れてゐた。
339求道(きうだう)『ああこれはどこかの貴婦人(きふじん)だ。340一通(ひととほり)(いへ)(むすめ)ではないやうだ。341コレ、342ケリナさま、343一寸(ちよつと)()御覧(ごらん)344(この)衣装(いしやう)()ひ、345どうも浄行(じやうぎやう)(ぢやう)さまらしう(ござ)いますよ』
346 ケリナはハツと(むね)(とどろ)かし(なが)ら、347(そば)(ちか)寄添(よりそ)ひ、348よくよく(かほ)をみれば、349(まが)(かた)なき(あね)のデビスであつた。350ケリナは()るよりアツと(ばか)りに仰天(ぎやうてん)し、351(その)()(たふ)れて(しま)つた。352求道(きうだう)居士(こじ)(おどろ)いて、353四辺(あたり)(ひか)(みづ)(すく)ひ、354()第一(だいいち)にケリナの面部(めんぶ)(そそ)(やうや)くにして呼生(よびい)け、355ヘタヘタになつてゐる(ひめ)方岩(はこいは)(うへ)(はこ)びおき、356自分(じぶん)(みの)()いて、357(その)(うへ)()させ、358デビスの介抱(かいはう)にかかつた。359デビスはウンと(いき)吹返(ふきかへ)し、360四辺(あたり)()まはし(なが)修験者(しゆげんじや)姿(すがた)を、361不思議(ふしぎ)(さう)凝視(みつめ)てゐる。362求道(きうだう)はヤツと安心(あんしん)して、
363求道(きうだう)『モシモシ、364貴女(あなた)はテルモン(ざん)神館(かむやかた)()します小国別(をくにわけ)(さま)のお(ぢやう)さまぢや(ござ)いませぬか。365拙者(せつしや)三五教(あななひけう)修験者(しゆげんじや)エミシで(ござ)います。366(けつ)して(わる)(もの)ぢや(ござ)いませぬから、367()安心(あんしん)なさいませ』
368 デビスは(この)言葉(ことば)()いて安心(あんしん)し、369頭部(とうぶ)(いた)みを(おさ)(なが)ら、
370デビス『どうも(あやふ)(ところ)をお(たす)(くだ)さいまして、371(この)御恩(ごおん)海山(うみやま)にも(たと)(がた)(ぞん)じます。372悪者(わるもの)出会(でつくは)し、373頭部(とうぶ)(なぐ)りつけられ、374()(とほ)くなつて()りました。375貴方(あなた)(さま)がお(とほ)(くだ)さらなかつたら、376(わらは)最早(もはや)千秋(せんしう)(うらみ)()んで(この)()()つたに(ちが)ひありませぬ、377どうも有難(ありがた)(ござ)いました。378ああバラモン大神(おほかみ)(さま)379よくマア(たす)けて(くだ)さいました。380惟神(かむながら)(たま)()はひませ』
381合掌(がつしやう)してゐる。382ケリナ(ひめ)(あね)のデビスと()いて(うれ)しさに()へず、383方岩(はこいは)から(くだ)(きた)つて、384デビスの()()り、385(なみだ)(こゑ)(しぼ)(なが)ら、
386ケリナ『姉上(あねうへ)(さま)387(なつか)しう(ぞん)じます、388(わたし)(いもうと)のケリナで(ござ)います。389()両親(りやうしん)(さま)姉上(あねうへ)(さま)()心配(しんぱい)をかけまして(まこと)申訳(まをしわけ)(ござ)いませぬ。390何卒(どうぞ)(ゆる)(くだ)さいませ。391そして()両親(りやうしん)()無事(ぶじ)でゐられますかな』
392(たた)みかけて()ひかけた。393デビス(ひめ)(かしら)がフラフラとしてややもすれば()(とほ)くなり()くのをキツと()()りつめて、394(いもうと)()(にぎ)り、
395デビス『ああ(こひ)しき(いもうと)であつたか、396不思議(ふしぎ)(ところ)()ひました。397ようマア無事(ぶじ)でゐて(くだ)さいました。398モウ(これ)(わたし)(いのち)()くなつても、399あなたの(かほ)さへ()れば得心(とくしん)(ござ)います』
400ケリナ『お姉様(あねえさま)401()(たしか)()つて(くだ)さいませ。402そんな心細(こころぼそ)(こと)()はない(やう)(たの)みます。403さぞエライお怪我(けが)でお(くる)しう(ござ)いませうが(これ)から(わたし)(やかた)(かへ)り、404(こころ)(かぎ)りの()介抱(かいはう)申上(まをしあ)げますから()安心(あんしん)なさいませ。405キツと(かみ)(さま)()神徳(しんとく)()全快(ぜんくわい)なさいますからな。406貴方(あなた)(いま)(この)修験者(しゆげんじや)(たす)けられたのですよ。407(わたし)(この)(かた)(いのち)(たす)けられ、408今送(いまおく)つて(いただ)いて、409()両親(りやうしん)(やかた)(かへ)途中(とちう)(ござ)います。410どうしてマアこんな惨酷(むごたら)しい()にお()ひなさつたので(ござ)いますか』
411デビス『(じつ)(ところ)大黒主(おほくろぬし)(さま)のお(たから)412如意(によい)宝珠(ほつしゆ)神宝(しんぱう)紛失(ふんしつ)(いた)しまして、413それが(ため)父上(ちちうへ)大変(たいへん)()心配(しんぱい)(あそ)ばし、414病気(びやうき)()りつかれ、415()老体(らうたい)(こと)とて、416()()(やまひ)(おも)(ばか)り、417そこへあなたの行方(ゆくへ)(わか)らなくなつたものですから、418益々(ますます)()心配(しんぱい)(あそ)ばし……(わし)はとても(いのち)長持(ながも)てはせないが、419せめて生前(せいぜん)にケリナに一目(ひとめ)()うて()にたいものだ……とお(なげ)(あそ)ばすので、420(わたし)()つてもゐてもをれなくなり、421今日(けふ)三七(さんしち)廿一(にじふいち)(にち)(あひだ)422国人(くにびと)(おそ)れて(ひる)さへも、423よう(ちか)づかない、424()(やま)(とな)へられてるスガの(やま)森林(しんりん)(かよ)ひ、425アン・ブラツクの(たき)にかかつて、426荒行(あらぎやう)をすませ、427今日(けふ)(ぎやう)のあがりで、428此処(ここ)(まで)やつと(かへ)り、429方岩(はこいは)(うへ)満願(まんぐわん)()(れい)祈願(きぐわん)()めてゐる最中(さいちう)430二人(ふたり)悪者(わるもの)(あら)はれて、431こんな()にあはしたので(ござ)いますよ。432ああ修験者(しゆげんじや)(さま)のお(かげ)433(いもうと)(たす)けられ、434(わたし)(まで)(たす)けられたとは、435(なん)たる(ふか)因縁(いんねん)(ござ)いませう。436修験者(しゆげんじや)(さま)(まこと)有難(ありがた)(ござ)います。437茅屋(あばらや)なれど、438(わが)(やかた)へお()(くだ)さいまして、439(ゆつく)()逗留(とうりう)(くだ)さいませ。440(さだ)めて両親(りやうしん)(まを)すに(およ)ばず、441数多(あまた)役員(やくゐん)信者(しんじや)(よろこ)ぶことで(ござ)いませう』
442求道(きうだう)『ハイ有難(ありがた)(ござ)います、443申上(まをしあ)げたい(こと)海山(うみやま)(ござ)いますが、444貴女(あなた)大変(たいへん)()負傷(ふしやう)をしてゐられますから、445()()ませ、446種々(いろいろ)(こと)()かせては、447(かへ)つてお(さはり)になりますから()全快(ぜんくわい)(のち)(ゆつく)りと申上(まをしあ)げます。448何卒(どうぞ)()(ゆつく)りと落着(おちつ)けて(くだ)さいませ』
449デビス『ハイ有難(ありがた)(ござ)います、450何分(なにぶん)(よろ)しうお(ねがひ)(まを)します』
451ケリナ『お(あねえ)さま、452あなたを(くるし)めた(やつ)此処(ここ)(たふ)れてゐる両人(りやうにん)では(ござ)いませぬか』
453 (この)言葉(ことば)にデビス(ひめ)(あと)振返(ふりかへ)りみれば、454以前(いぜん)悪者(わるもの)二人(ふたり)(だい)()になつて(うな)つてゐる。
455デビス『ああ(この)(ぞく)(ござ)います。456鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)だと法螺(ほら)()いて()りましたが、457どうで(ろく)(やつ)ぢや(ござ)いますまい』
458 (この)言葉(ことば)求道(きうだう)居士(こじ)はハツと(むね)(をど)らせ、459真青(まつさを)(かほ)をし(なが)ら、
460求道(きうだう)『ハテさて(あさ)ましい(こと)だ、461ゼネラル(さま)(また)もや邪道(じやだう)逆転(ぎやくてん)(あそ)ばしたのかなア。462(どう)した悪魔(あくま)魅入(みい)れたのだらう。463(なに)()もあれ、464実否(じつぴ)(しら)べてみよう』
465(こころ)(ささや)(なが)ら、466よくよく()れば、467以前(いぜん)のベル、468ヘルの両人(りやうにん)であつた。
469求道(きうだう)『ああ此奴(こいつ)は、470ケリナさま、471最前(さいぜん)吾々(われわれ)(ころ)さうとしたベル、472ヘルの両人(りやうにん)です。473テもさても(こま)つた(やつ)ですなア』
474ケリナ『(なん)(あき)れた(もの)ですなア。475(しか)何程(なにほど)悪人(あくにん)だとて、476(この)(まま)()つておけば()んで(しま)ひますから、477(たす)けておやりなさいますでせうなア』
478求道(きうだう)(もつと)もです、479何程(なにほど)悪人(あくにん)でも見捨(みす)てて()(わけ)には()きませぬ。480吾々(われわれ)悪人(あくにん)か、481(この)(をとこ)悪人(あくにん)か、482到底(たうてい)人間(にんげん)では(わか)りませぬ。483仁慈(じんじ)(かみ)(さま)吾々(われわれ)(こころ)矯直(ためなほ)さむと、484(これ)()両人(りやうにん)をお使(つか)(あそ)ばし、485(まへ)(こころ)(この)やうなものだとお(しめ)しになつてるのかも()れませぬ。486(これ)()両人(りやうにん)使(つか)つて、487吾々(われわれ)苦集(くしふ)滅道(めつだう)真諦(しんたい)をお(しめ)しになつたのかも()れませぬ。488さうすれば(この)両人(りやうにん)吾々(われわれ)絶好(ぜつかう)唯一(ゆゐいつ)のお師匠(ししやう)(さま)(おも)はねばなりませぬ。489ああ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
490(みづ)をくくんで、491両人(りやうにん)介抱(かいはう)懇切(こんせつ)にやつてゐる。492(やうや)くにして二人(ふたり)()がついて()(あが)り、493()みどろの(からだ)(さら)して、494求道(きうだう)(まへ)両手(りやうて)()自分(じぶん)不都合(ふつがふ)(なみだ)(とも)謝罪(しやざい)した。495求道(きうだう)二人(ふたり)(こころ)(あは)れみ、496(ちから)(かぎ)りに祈願(きぐわん)()め、497(ふところ)より、498照国山(てるくにやま)渓間(たにま)にて採取(さいしゆ)したる石綿(いしわた)この石綿はアスベストのことではなくオニフスベというキノコだと思われる。止血作用がある取出(とりいだ)し、499血糊(ちのり)(ぬぐ)()(あま)数歌(かずうた)二三回(にさんくわい)繰返(くりかへ)した。500ヘルは(なみだ)(なが)(なが)ら、
501ヘル『貴方(あなた)求道(きうだう)(さま)(ござ)いましたか。502(いのち)(たす)けて(いただ)(なが)ら、503自我心(じがしん)(よく)にからまれ、504こんな不心得(ふこころえ)(こと)(いた)しました。505(これ)(ひめ)(さま)衣装(いしやう)からぼつたくつた宝玉(はうぎよく)(ござ)います。506スツパリお(かへ)(まを)します。507何卒(どうぞ)(これ)をお受取(うけと)(くだ)さいませ』
508(ふところ)から差出(さしだ)すを、509ベルは目敏(めざと)(なが)め、510横合(よこあひ)からグツと(うば)()(ふところ)()()み、511(あし)をチガチガさせ、512丈余(ぢやうよ)()びた(くさ)(なか)()(かく)し、513何処(いづく)ともなく()えて(しま)つた。514求道(きうだう)居士(こじ)はヘルの背中(せなか)にデビス(ひめ)()はせ、515神言(かみごと)奏上(そうじやう)(なが)らケリナと(とも)後先(あとさき)になつて、516月夜(つきよ)露路(つゆみち)()()け、517テルモン(ざん)神館(かむやかた)()して(かへ)()(こと)となつた。
518大正一二・三・一七 旧二・一 於竜宮館 松村真澄録)

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