霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 迎酒(むかへざけ)〔一七五四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻 篇:第2篇 愛国の至情 よみ:あいこくのしじょう
章:第9章 迎酒 よみ:むかえざけ 通し章番号:1754
口述日:1924(大正13)年01月23日(旧12月18日) 口述場所:伊予 山口氏邸 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1927(昭和2)年10月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
愛州の子分たちは春乃姫の約束にしたがって、親分が帰ってくるのを待っていた。
すでに約束の十日目になっており、痺れを切らした子分たちが、牢獄へ押し寄せて腕ずくで愛州を取り戻そうと、出陣の酒盛りの準備を始める。そこへ、ひょっこりと愛州が戻ってくる。
出陣の酒盛りは、そのまま祝いの酒盛りとなり、愛州の館には万歳の声が響く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6909
愛善世界社版:133頁 八幡書店版:第12輯 322頁 修補版: 校定版:139頁 普及版:66頁 初版: ページ備考:
001 横小路(よここうぢ)侠客(けふかく)愛州(あいしう)留守宅(るすたく)には、002源州(げんしう)003平州(へいしう)004藤州(とうしう)005橘公(きちこう)006三州(さんしう)007泉州(せんしう)008相州(さうしう)009杢州(もくしう)兄分株(あにぶんかぶ)数百人(すうひやくにん)乾児共(こぶんども)(あつ)めて、010親分(おやぶん)(かへ)(きた)るの(おそ)きに(やや)不安(ふあん)(ねん)(おこ)し、011冷酒(ひやざけ)(あふ)(なが)善後策(ぜんごさく)(つい)協議(けふぎ)()らしてゐる。
012(へい)『オイ源州(げんしう)兄貴(あにき)013親分(おやぶん)(つか)まつてから今日(けふ)十日目(とをかめ)になるが、014()だニヤンが()こいたとも便(たよ)りがないぢやねいか。015吾々(われわれ)乾児(こぶん)として(この)(まま)坐視(ざし)するこたア出来(でき)まい。016(なん)とか(すく)()工夫(くふう)はあるめえかな』
017(げん)『まア今日(けふ)一日(いちにち)()つたが()からうぞ。018(おそ)(おほ)くも高砂城(たかさごじやう)春乃姫(はるのひめ)(さま)仲裁(ちうさい)(あそ)ばし、019……(いま)(すぐ)にと()(わけ)にも()かぬが、020十日(とをか)(あひだ)にはキツト(すく)()してやらう……と大勢(おほぜい)(まへ)立派(りつぱ)仰有(おつしや)つたのだから、021滅多(めつた)間違(まちが)ひはあるめえ。022(おれ)(たち)(ひめ)(さま)(たふと)いお言葉(ことば)(しん)じ、023おとなしく()つてるのだ。024()(かは)今日中(けふぢう)()つて親分(おやぶん)()えれねえとすれば、025吾々(われわれ)安閑(あんかん)としては()られねえ。026味方(みかた)一人(ひとり)(のこ)らず(あつ)め、027非常手段(ひじやうしゆだん)()かける(つも)りだ。028まア少時(しばらく)(ところ)(おれ)(めん)じて()つて()れ』
029(へい)『ウンそれもさうだが、030あんな(こと)()つて一時(いちじ)(のが)れに(おれ)(たち)胡魔(ごま)かしたのぢやあるめいかな。031それならそれで(おれ)(たち)にも覚悟(かくご)があるからなア』
032 岩公(いはこう)(そば)より、
033(いは)『オイ兄貴(あにき)心配(しんぱい)するな。034高砂城(たかさごじやう)春乃姫(はるのひめ)(さま)()つたら、035仁慈(じんじ)(ふか)い、036そして時代(じだい)(かい)した、037立派(りつぱ)思想(しさう)()つた、038人類愛(じんるゐあい)主義(しゆぎ)女神様(めがみさま)だ。039仮令(たとへ)一日(いちにち)二日(ふつか)(おく)れても、040キツト仰有(おつしや)つた(こと)は、041(いのち)()へても履行(りかう)して(くだ)さるから、042(ここ)はおとなしく()つて()るが()からうぞ』
043(へい)老耄(おいぼれ)末席(まつせき)分際(ぶんざい)として(えら)(さう)なこと()ふない。044ナニ(きさま)がそんな(こと)(わか)らうかい。045春乃姫(はるのひめ)(さま)なんて、046(をが)んだ(こと)もない(くせ)に、047()つたかぶりを(ほざ)くない。048こんな(ところ)へチヨツカイを()(きさま)(まく)ぢやない。049あつちへ()つて便所(べんじよ)掃除(さうぢ)でもやつて()い』
050(いは)『ソリヤ、051兄貴(あにき)()ふことに(そむ)(わけ)にや()かぬから、052便所(べんじよ)掃除(さうぢ)もせぬことは()いが、053今日(けふ)()るか()るかの肝心要(かんじんかなめ)評定(ひやうじやう)場合(ばあひ)ぢやないか。054如何(いか)末輩(まつぱい)(おれ)だつて、055大親分(おほおやぶん)身内(みうち)(ちが)ひない。056親分(おやぶん)(おも)赤心(まごころ)兄貴(あにき)だつて、057末輩(まつぱい)だつて、058チツとも(かは)りはないぞ。059(ほか)問題(もんだい)ならば順序(じゆんじよ)(まも)り、060こんな(ところ)へツン()意見(いけん)()べないが、061親分(おやぶん)一身上(いつしんじやう)(くわん)する大問題(だいもんだい)だから、062わつちの意見(いけん)()はして()(たま)へ』
063(へい)老耄爺(おいぼれぢい)(ふる)(あたま)で、064()うして重要(ぢうえう)問題(もんだい)解決(かいけつ)()くものか。065チヨン猪口才(ちよこざい)な、066そつちへ()つて()れつたら……本当(ほんたう)五月蠅(うるさい)(やつ)だな。067(この)(へい)さまはな、068(きさま)(なん)(おも)つてるか()らぬが、069背水会(はいすいくわい)創立者(さうりつしや)だぞ。070源州(げんしう)兄貴(あにき)両人(ふたり)が、071伊佐彦(いさひこ)老中(らうぢう)(たの)まれて、072背水会(はいすいくわい)(もと)(つく)つたのだ。073大親分(おほおやぶん)愛州(あいしう)さまは(おれ)(たち)(かしら)(いただ)いてるものの、074背水会(はいすいくわい)創立者(さうりつしや)矢張(やつぱ)(おれ)(たち)だからな。075いはば侠客(けふかく)神様(かみさま)だ。076侠客(けふかく)には侠客(けふかく)(はふ)があるのだから、077(きさま)(たち)順序(じゆんじよ)(まも)つて、078すつ()んで()れ』
079(とう)『オイ平州(へいしう)兄貴(あにき)080さう没義道(もぎだう)にこき()ろすものぢやない。081(この)岩州(いはしう)だつて、082普通(ふつう)乾児(こぶん)とは、083ちつたア(ちが)つた(とこ)があるよ。084()ふいふ大切(だいじ)場合(ばあひ)には、085(たれ)意見(いけん)でも参考(さんかう)(ため)()いてみる必要(ひつえう)があらうぞ』
086(へい)『さうかも()れねえが、087(なん)だか(むし)()かねえ(つら)をしやがつて、088横合(よこあひ)から茶々(ちやちや)()れやがると、089ムカついて(たま)らねえのだ。090(この)岩州(いはしう)はヒヨツとしたら寒犬(かんけん)かも()れないよ。091(なん)だか目付(めつき)(あや)しうて仕方(しかた)がねえ。092(しか)しながら親分(おやぶん)何時(いつ)も「岩々(いはいは)」と()つて、0921腰巾着(こしぎんちやく)(やう)にどつこへ()くにも荷持(にもち)()れて()くのだから、093親分(おやぶん)にどんなお(かんが)へがあるか()れぬと(おも)つて、094(おれ)(たち)見逃(みのが)してるのだが、095(じつ)(しやく)(さは)(やつ)だ。096高砂城(たかさごじやう)老中(らうぢう)()(やう)根性魂(こんじやうだま)()げてゐやがるのだからな』
097(とう)『エライ(ところ)(また)舌鋒(ぜつぽう)脱線(だつせん)したものだな。098そんな(はなし)よりも焦眉(せうび)(きふ)(えう)する問題(もんだい)親分(おやぶん)一身上(いつしんじやう)(くわん)する(こと)だ。099源州(げんしう)()(とほ)今晩(こんばん)十二時(じふにじ)(まで)()つて()て、100親方(おやかた)(かほ)()えないとすれば、101いよいよ足装束(あししやうぞく)(ととの)へ、102非常手段(ひじやうしゆだん)をオツ(ぱじ)めるのだなア』
103(へい)『そんならさうに()めておかう。104オイ兄弟(きやうだい)105乾児連中(こぶんれんぢう)に、106何時(いつ)でも発足(はつそく)出来(でき)(やう)準備(じゆんび)(めい)じて()れ。107そして酒樽(さかだる)(かがみ)()いて、108(いま)出立(しゆつたつ)()(とき)()んで()(やう)準備(じゆんび)をして()くのだなア』
109 三州(さんしう)110泉州(せんしう)111相州(さうしう)112杢州(もくしう)幹部連(かんぶれん)は、1121(うら)大部屋(おほべや)(あつ)まつてる数百人(すうひやくにん)乾児(こぶん)(むか)つて(みぎ)(おもむき)(つた)へ、113用意(ようい)にかからしめた。
114 源州(げんしう)115平州(へいしう)116藤州(とうしう)117橘公(きちこう)幹部連(かんぶれん)元気(げんき)をつける(ため)118(さけ)(かん)(なが)(かず)()(さかな)でチヨビリチヨビリと()(はじ)めた。119段々(だんだん)(よひ)(まは)つて()(たがひ)気焔(きえん)()()した。
120 橘公(きちこう)(まは)らぬ(した)で、
121『アーア、122(おも)へば(おも)へば侠客(けふかく)なんて、123つまらねえもなアありやしねえワ。124なア兄弟(きやうだい)125よく(かんが)へてみろ。126喧嘩(けんくわ)して()られても(いた)いと()(わけ)にや()かず、127(ころ)されても(にげ)(わけ)にや()かねえし、128本当(ほんたう)引合(ひきあ)はぬ商売(しやうばい)ぢやねえか。129()卑怯(ひけふ)言葉(ことば)でも()して()よ、130彼奴(あいつ)なきがらだと()つて、131仲間(なかま)(やつ)から擯斥(ひんせき)され、132先代(せんだい)親分(おやぶん)()まで(けが)し、133(また)乾児(こぶん)(つら)(どろ)()らねばならぬ。134さうすりや、135乾児(こぶん)(はば)()かなくなつて(しま)ふ。136彼奴(あいつ)親分(おやぶん)()られて(いた)がつたとか、137()にがけに()えたとか(うた)つたとか()はれて、138なきがらなきがら(けな)され、139乾児(こぶん)渡世(とせい)出来(でき)ねえ(やう)になつて(しま)ふ。140それを(おも)へば喧嘩(けんくわ)して(うで)一本(いつぽん)(くらゐ)(おと)されても、141(いた)さを(こら)へて無理(むり)笑顔(ゑがほ)(つく)り、142劫託(ごふたく)(なら)べて胡魔(ごま)かさねばならず、143本当(ほんたう)()(なか)()(くらゐ)つまらねえ商売(しやうばい)はねえぢやねえか』
144 平州(へいしう)ヅブ(ろく)()(なが)ら、
145『さうとも さうとも、146(きち)()(とほ)り、147本当(ほんたう)(つま)らねえな。148伊佐彦(いさひこ)(やつ)149対命舎(たいめいしや)投槍派(なげやりは)(おそ)ろしくなつたものだから、150(おれ)(たち)(うま)()()みやがつて……国家(こくか)保護(ほご)(にん)ずる(もの)151腐敗堕落(ふはいだらく)今日(こんにち)()(なか)に、152侠客(けふかく)をおいて()()し……(など)(おだ)()げ、153背水会(はいすいくわい)組織(そしき)して()れたら充分(じゆうぶん)保護(ほご)(あた)へ、154(すべ)ての便宜(べんぎ)(あた)へてやると()かしやがつたものだから、155(うづ)(くに)大親分(おほおやぶん)六十余人(ろくじふよにん)(げき)()ばし、156……伊佐彦老中(いさひこらうぢう)請求(せいきう)だから、157一度(いちど)(うづ)城下(じやうか)(あつ)まつて、158背水会(はいすいくわい)組織(そしき)をして()れまいか……と()つた(ところ)159どの親分(おやぶん)(ふた)返事(へんじ)賛成(さんせい)をして()れたのだ。160侠客(けふかく)()(もの)161(とき)権威者(けんゐしや)(はな)(ぱしら)打挫(うちくじ)くのが天職(てんしよく)だから、162ヨモヤ老中(らうぢう)走狗(そうく)にならうと()親分(おやぶん)一人(ひとり)もなからうと(しん)じてゐたのに、163エーエ、164(あに)(はか)らむや妹計(いもうとはか)らむやだ。165(いま)侠客(けふかく)ア、166(たましひ)()けてゐるから、167伊佐彦(いさひこ)老中(らうぢう)のお(こゑ)がかりだと()いて、168欣喜雀躍(きんきじやくやく)して(うづ)(みやこ)のスカタン・ホテルへ、169(あり)(あま)きに(つど)(ごと)くやつて()たのだ。170(その)(とき)親分衆(おやぶんしう)(いきほひ)つたら素晴(すば)らしいものだつた。171()(だけ)(もの)協心戮力(けふしんりくりよく)して(あた)らうものなら、172どんな(こと)でも成功(せいこう)(うたが)()173(おも)はれたよ』
174(げん)最前(さいぜん)から()いて()れば、175自分(じぶん)一人(ひとり)背水会(はいすいくわい)組織(そしき)したやうに()つてるが、176(その)(しよう)(あた)つた(もの)(きさま)(ばか)りぢやねえ、177(おれ)先頭(せんとう)ぢやねえか』
178(へい)『ウーン、179それもさうだ。180サア(これ)から兄貴(あにき)(ばん)だ。181(さけ)(さかな)(ひと)兄弟(きやうだい)(まへ)で、182背水会(はいすいくわい)組織(そしき)顛末(てんまつ)()かしてやつて()れ、183オイ兄弟(きやうだい)184随分(ずいぶん)面白(おもしろ)いぞ』
185(げん)(のぞ)みとあらば()つてやらぬ(こと)()い。186(おれ)(たち)勇気(ゆうき)()ふものは(たい)したものだぞ。187エー(じつ)(ところ)(この)源州(げんしう)(ところ)へ、188伊佐彦(いさひこ)老中(らうぢう)(ところ)から(たの)みに()たのだ。189それで平州(へいしう)相談(さうだん)した(うへ)190(うづ)全国(ぜんこく)親分株(おやぶんかぶ)(あつ)め、191スカタン・ホテルへ()つて、192それから老中(らうぢう)電話(でんわ)をかけ、193横波局長(よこなみきよくちやう)照会(せうくわい)した(ところ)194横波(よこなみ)(やつ)195吃驚(びつくり)しやがつて、196……(けつ)して(うへ)(はう)から侠客(けふかく)なんか依頼(いらい)したこたアない。197其方(そちら)(はう)(よう)があるなら、198老中局(らうぢうきよく)へやつて()い……なんて、199()(はな)(こす)つた(やう)挨拶(あいさつ)をしやがるのだ。200(おれ)(たち)二人(ふたり)六十余人(ろくじふよにん)親分(おやぶん)(たい)横波(よこなみ)がそんなこと()つたと、201()うして()はれうか。202切腹(せつぷく)でもして言訳(いひわけ)しなくちや(をとこ)(かほ)()たねえ。203そこで(この)平州(へいしう)引連(ひきつ)れ、204(おれ)はドスを(こし)にブラ()げ、205平州(へいしう)はピストルを(ふところ)にして、206老中局(らうぢうきよく)玄関(げんくわん)にあばれ()み……横波局長(よこなみきよくちやう)此所(ここ)(ひき)ずり()せツ……と呶鳴(どな)つた(ところ)207横波(よこなみ)(やつ)吃驚(びつくり)しやがつて、208チツとも(つら)()しやがらぬ。209受付(うけつけ)(しな)びた(ぢい)一疋(いつぴき)けつかつて、210……マアマア何用(なによう)()りませぬが(わたし)(うけたま)はりませう……と()ひやがる。211……エー薬鑵親爺(やくわんおやぢ)()212愚図(ぐづ)々々(ぐづ)さらしてると、2121(ひね)りつぶしてやる……と、213平州(へいしう)がやつた(ところ)214親爺(おやぢ)()(ちぢ)(あが)りやがつて、215……(わたし)大泡吹造(おほあわふくざう)(まを)します……と()ひやがつて、216大泡吹造(おほあわふくざう)とは醜偽院(しうぎゐん)偽長(ぎちやう)もやつてゐた(やつ)だなアと(おも)()し、217……そんなら親爺(おやぢ)218横波(よこなみ)(おれ)()()用件(ようけん)をトツクリと(はな)して、219侠客(けふかく)(つら)()てる(やう)にするか、220でなくちやこつちにも覚悟(かくご)がある……と(やり)一本(いつぽん)()れて、221スカタン・ホテルへ(かへ)つて()ると、222老中局(らうぢうきよく)から十数台(じふすうだい)自動車(じどうしや)()つて、223(おれ)(たち)一行(いつかう)(むか)へに()やがつたのだ。224それから(はじ)めて、225局内(きよくない)評定所(ひやうぢやうしよ)這入(はい)つて()ると、226(うま)れてから()(こと)()いやうな(うつく)しい毛氈(まうせん)()き、227真白(まつしろ)(あたま)をしたブルケーとかブルカーとか()(やつ)がやつて()やがつて、228挨拶(あいさつ)をしやがる。229(あと)から(かんが)へて()ると、230此奴(こいつ)松若彦(まつわかひこ)命令(めいれい)()つて、231(うづ)(くに)政権(せいけん)(にぎ)つてる白頭翁(はくとうをう)だと(わか)つたので……(なん)老中(らうぢう)()(もの)はこんなものかい……と(やや)軽悔(けいぶ)(ねん)咄嗟(とつさ)()いて()た。232そこへ横波(よこなみ)(おそ)(おそ)るやつて()て、233米搗(こめつき)バツタの(やう)にペコペコ(あたま)()げ……(みな)さま遠方(ゑんぱう)御苦労(ごくらう)(さま)(ござ)います。234先刻(せんこく)はエライかけ(ちが)ひで失礼(しつれい)(いた)しました……と挨拶(あいさつ)さらすものだから、235一国(いつこく)大老(たいらう)老中(らうぢう)(たの)むからと(おも)ひ、236ヤツと(むし)(ころ)して背水会(はいすいくわい)組織(そしき)する(こと)になつたのだ。237(なん)(えら)(もの)だらう』
238(とう)『それ(だけ)(うへ)(やつ)から背水会(はいすいくわい)(ちから)にしてる以上(いじやう)は、239吾々(われわれ)(たい)しても余程(よほど)便宜(べんぎ)とか特典(とくてん)とか(あた)へて()(さう)なものだのに、240博奕(ばくち)()てば矢張(やはり)人並(ひとなみ)牢獄(らうごく)へブチ()みやがるなり、241喧嘩(けんくわ)して(ひと)()れば、242刑法(けいはふ)だとか(なん)とか()つて刑場(けいぢやう)へやられるなり、243自分(じぶん)都合(つがふ)()(とき)背水会(はいすいくわい)背水会(はいすいくわい)()つて、244無茶苦茶(むちやくちや)()使(つか)はれ、245本当(ほんたう)彼奴等(あいつら)機械(きかい)使(つか)はれてる(やう)なものぢやないか。246今度(こんど)親分(おやぶん)だつて、247背水会(はいすいくわい)大頭(おほあたま)たる以上(いじやう)は、248チツとは大目(おほめ)()さうなものだのに、249牢獄(らうごく)へブチ()みやがつて馬鹿(ばか)にしてる。250こんな(こと)ならモウ背水会(はいすいくわい)(たた)(つぶ)し、251(むかし)(まま)侠客(けふかく)でやつて()かうぢやないか。252本当(ほんたう)(つま)らねえからなア』
253(げん)『さうだ、254(おれ)同感(どうかん)だ。255なア平州(へいしう)256三州(さんしう)257泉州(せんしう)258相州(さうしう)259杢州(もくしう)賛成(さんせい)だらう』
260(もつと)(もつと)も、261賛成(さんせい)262々々(さんせい)
263()()つて(むか)へた。
264(へい)『ウエー、265大分(だいぶ)(よひ)(まは)つたが、266最早(もう)()(こく)だ。267親分(おやぶん)がいよいよ(かへ)らねえとすると、268全体(ぜんたい)()()れて、269非常手段(ひじやうしゆだん)()かけようぢやないか。270そして(ついで)(おれ)(たち)(いつは)りやがつた春乃姫(はるのひめ)血祭(ちまつり)にして()うぢやないか。271それ(ぐらゐ)勇気(ゆうき)()くては侠客(けふかく)()はれないワ』
272(しき)りにメートルを()げて()る。
273(げん)『さう(いそ)ぐには(およ)ばぬぢやないか。274半日(はんにち)一日(いちにち)(おく)れたつて、275()()御都合(ごつがふ)があるか()れないワ。276()何時(なんどき)でも、277出動準備(しゆつどうじゆんび)出来(でき)てるのだから、278勢揃(せいぞろ)ひの(うへ)(まん)()して(かんが)へねばなるまいぞ。279一旦(いつたん)(つる)(はな)れた()(ふたた)(かへ)らないからの。280猪突主義(ちよとつしゆぎ)結構(けつこう)だが、281(かへつ)親分(おやぶん)迷惑(めいわく)(およ)ぼす(やう)(こと)があつては、282乾児(こぶん)としての(みち)()たないからのう』
283(へい)卑怯(ひけふ)なことを()ふない。284最早(もはや)戦闘準備(せんとうじゆんび)(ととの)うた(うへ)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)してゐられない。285士気(しき)沮喪(そさう)する(おそれ)がある。286サア(これ)から(かがみ)()いて乾児(こぶん)(ども)元気(げんき)をつけ、287暴虎馮河(ばうこひようが)(いきほひ)出陣(しゆつぢん)することにしようかい』
288 源州(げんしう)()むを()ず、289平州(へいしう)舌剣(ぜつけん)(きり)まくられ、290不承(ふしよう)不承(ぶしょう)賛成(さんせい)をしたので、291(いよいよ)出陣(しゆつぢん)準備(じゆんび)として四斗樽(しとだる)(つめ)()き、292乾児(こぶん)(おのおの)(しやく)(すく)うては()(すく)うては()み、293部屋(へや)(なか)山岳(さんがく)()()ばす(てい)活気(くわつき)(みなぎ)つて()た。294其所(そこ)表戸(おもてど)(たた)(もの)がある。295岩公(いはこう)()入口(いりぐち)神妙(しんめう)(ばん)をしてゐたが、296足音(あしおと)()(たたき)(かた)()つて大親分(おほおやぶん)(かへ)つて()(こと)(さと)り、297(ぢやう)をはづして、298表戸(おもてど)をガラリと引開(ひきあ)け、
299(いは)『ヤ、300親分(おやぶん)301(かへ)つて()たか、302(まち)()ねたよ』
303小声(こごゑ)()ふ。304愛州(あいしう)は、
305(いは)『ヤ、306失礼(しつれい)しました。307(やうや)くの(こと)で、308春乃姫(はるのひめ)(さま)(はか)らひで(かへ)(こと)出来(でき)ました。309随分(ずいぶん)(おく)(にぎは)しい(やう)ですな』
310(いは)(じつ)(とこ)は、311親分(おやぶん)今日(けふ)十二時(じふにじ)(かへ)らなかつたら、312乾児(こぶん)一同(いちどう)()()れ、313非常手段(ひじやうしゆだん)をやると()ふので出陣(しゆつぢん)用意(ようい)をしてるのです。314マア危機一発(ききいつぱつ)(ところ)(かへ)つて(いただ)(たがひ)結構(けつこう)です』
315(ささや)(なが)らズツト(おく)()り、
316(いは)『オイ兄貴連(あにきれん)317(よろこ)(たま)へ。318親分(おやぶん)無事(ぶじ)(かへ)つて()られたぞ』
319 源州(げんしう)(はじ)一同(いちどう)(もの)は、
320『ナニ、321親分(おやぶん)がお(かへ)りと()ふのか、322ソラ有難(ありがた)い。323門出(かどで)(さけ)歓迎(くわんげい)(さけ)となつたのか、324(なん)とマア(うれ)しい(こと)出来(でき)()たものだなア。325あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
326(うれ)しさの(あま)り、327(つね)には神仏(しんぶつ)()(あは)さなんだ侠客連(けふかくれん)(おも)はず()らず合掌(がつしやう)した。328少時(しばらく)すると愛州(あいしう)(やかた)山岳(さんがく)(くづ)るる(ばか)329万歳(ばんざい)』の(こゑ)(らい)(ごと)くに(ひび)(わた)つた。
330大正一三・一・二三 旧一二・一二・一八 伊予 於山口氏邸、松村真澄録)
   
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