霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 四天王(してんわう)〔一七六〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第69巻 山河草木 申の巻 篇:第3篇 神柱国礎 よみ(新仮名遣い):しんちゅうこくそ
章:第15章 四天王 よみ(新仮名遣い):してんおう 通し章番号:1760
口述日:1924(大正13)年01月24日(旧12月19日) 口述場所:伊予 山口氏邸 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1927(昭和2)年10月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国州、浅州の二人は、アリナの滝の懸橋御殿にたどり着き、月次祭に参列し、滝の禊に行く。
すると、信者風の男たち十四五人に囲まれ、取り押さえられてしまう。国照別は息を整えて跳ね起き、たちまち四五人を取って投げ、啖呵を切る。
この勢いに、男たちの中の大将・駒治は平伏し、自分たちは伊佐彦老中の手下の捕り手で、世継である国照別を連れ戻しにやってきた者たちである、と白状する。
国照別はあべこべに、自分の子分となって珍の国の立て直しに協力するよう、捕り手たちに呼びかける。駒治、市公、馬公の三人だけが十手を捨てて国照別に従い、他の捕り手は一目散に逃げていった。
一行五人は捕り手たちは捨て置き、名にし負う霊跡、鏡の池へ禊に向かっていく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-05-07 05:30:20 OBC :rm6915
愛善世界社版:214頁 八幡書店版:第12輯 351頁 修補版: 校定版:224頁 普及版:66頁 初版: ページ備考:
001 国州(くにしう)002浅州(あさしう)両人(りやうにん)午前(ごぜん)十時頃(じふじごろ)(から)うじて、003国玉依別(くにたまよりわけの)(みこと)主管(しゆくわん)してゐるアリナの(たき)懸橋(かけはし)御殿(ごてん)大広前(おほひろまへ)辿(たど)りついた。004国玉依別(くにたまよりわけ)005玉竜姫(たまたつひめ)夫婦(ふうふ)祭服(さいふく)(ちやく)し、006数多(あまた)信徒(しんと)(とも)に、0061月例(つきなみ)祭典(さいてん)(をは)り、007宣伝歌(せんでんか)奏上(そうじやう)してゐる。
008国玉依(くにたまより)『アリナの(たき)(みづ)(きよ)
009(この)谷間(たにあひ)のいや(ふか)
010(かみ)(めぐみ)(つつ)まれて
011懸橋(かけはし)御殿(ごてん)朝夕(あさゆふ)
012真心(まごころ)ささげ(つか)へゆく
013(われ)国玉依別(くにたまよりわけ)
014(かみ)(つか)ふる宣伝使(せんでんし)
015玉竜姫(たまたつひめ)諸共(もろとも)
016(すめ)大神(おほかみ)御教(みをしへ)
017アリナの(やま)(そら)(たか)
018テルの荒野(あらの)のいや(ひろ)
019(うみ)(そと)(まで)(つた)へゆく
020あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
021()常暗(とこやみ)となりつれど
022(とほ)神代(かみよ)(むかし)より
023(かみ)(めぐみ)(かは)りなく
024四方(よも)民草(たみぐさ)(めぐ)みまし
025()荒風(あらかぜ)醜雨(しこあめ)
026(しの)ぎて(やす)()をわたる
027テルの(くに)こそめでたけれ
028(あさひ)(きよ)くテルの(くに)
029夕日(ゆふひ)(きよ)くテルの(くに)
030(つき)御空(みそら)(あざや)かに
031天伝(あまつた)ひつつテルの(くに)
032(はま)真砂(まさご)(かず)(おほ)
033御空(みそら)(ほし)もテルの(くに)
034月照彦(つきてるひこ)皇神(すめかみ)
035(あら)はれ(たま)ひし鏡池(かがみいけ)
036常夜(とこよ)(やみ)()らしつつ
037稜威(みいづ)(かがや)くテルの(くに)
038天照(あまてる)(かみ)(めぐみ)にて
039野山(のやま)(あを)(みづ)(きよ)
040大海原(おほうなばら)より(うち)よする
041(なみ)(しづか)(すなど)りの
042わざも(ゆたか)国原(くにはら)
043(いね)(むぎ)(まめ)(あは)よく(みの)
044地上(ちじやう)()ふる人草(ひとぐさ)
045(あさ)(ゆふ)なに(うれ)しみて
046(かみ)(うやま)はぬ(もの)ぞなし
047げに高砂(たかさご)()()へる
048底津(そこつ)岩根(いはね)のテルの(くに)
049領有(うしはぎ)(たま)国魂(くにたま)
050(きよ)御前(みまへ)鹿児自(かごじ)(もの)
051(ひざ)()りふせて大稜威(おほみいづ)
052神嘉(かみほ)(つか)(たてまつ)
053あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
054身魂(みたま)恩頼(ふゆ)(しや)(まつ)
055(ひと)(ふた)()()(いつ)()
056(なな)()(ここの)(とを)たらり
057(もも)()(よろづ)国人(くにびと)
058(あさ)(ゆふ)なに大前(おほまへ)
059()りつどひて御恵(みめぐみ)
060千重(ちへ)一重(ひとへ)(むく)いむと
061三五(さんご)(つき)()(わた)
062今日(けふ)生日(いくひ)月例(つきなみ)
063御祭(みまつり)(つか)(たてまつ)
064海川(うみかは)山野(やまぬ)くさぐさの
065うまし(もの)をば横山(よこやま)
066いとさわさわに置足(おきたら)
067真心(まごころ)(ささ)(つか)へゆく
068(あさひ)()るとも(くも)るとも
069(つき)()つとも()くるとも
070大西洋(たいせいやう)はあするとも
071アリナの(やま)(くづ)るとも
072(たき)(ながれ)()るとても
073千代(ちよ)()きせぬ神恩(みめぐみ)
074(つゆ)(うるほ)民草(たみぐさ)
075(こころ)(いろ)(うる)はしき
076(こころ)(はな)(うるは)しき
077(この)()(つく)(たま)ひたる
078無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)
079神徳(しんとく)(つよ)(くに)(おや)
080国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
081世人(よびと)(あまね)(すく)ひます
082(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
083(うづ)御前(みまへ)(かしこ)みて
084天津(あまつ)祝詞(のりと)太祝詞(ふとのりと)
085たたへまつるぞ(うれ)しけれ
086あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
087御霊(みたま)恩頼(ふゆ)(しや)しまつる』
088(うた)(をは)り、089四拍手(しはくしゆ)して神前(みまへ)退(しりぞ)き、090二柱(ふたはしら)数多(あまた)信徒(しんと)(ゑみ)(たた)へて目礼(もくれい)(なが)ら、091(おの)居間(ゐま)へと(すす)()る。
092 (くに)093(あさ)両人(りやうにん)信徒(しんと)(なか)(まじ)はりて(この)祭典(さいてん)(れつ)してゐた。094浅州(あさしう)国照別(くにてるわけ)(みみ)(くち)()せ、
095(なん)荘厳(さうごん)宣伝歌(せんでんか)だありませぬか。096そして此処(ここ)神司(かむづかさ)随分(ずいぶん)老耄(おいぼれ)(やう)だが、097(その)言霊(ことたま)十七八(じふしちはち)若者(わかもの)(やう)(すず)しい(きよ)らかな(こゑ)()すだありませぬか。098あの(こゑ)()くと(わたし)はふるひ()(ほど)(すき)になりました』
099(くに)(こころ)さへ清浄(しやうじやう)潔白(けつぱく)にあれば、100言霊(ことたま)(にご)らないから、101あゝいふ(うつく)しい(こゑ)()るのだ。102(おれ)(たち)(これ)からは(みたま)(きよ)めて(こゑ)(とし)がよらないやうにしたいものだ。103ここは(むかし)(おれ)親爺(おやぢ)から()いてゐるが、104親爺(おやぢ)友達(ともだち)竜国別(たつくにわけ)といふ宣伝使(せんでんし)が、105自分(じぶん)母親(ははおや)弟子(でし)(ども)(とも)に、106(たま)よせの芝居(しばゐ)をやつた(ところ)ださうな。107(その)(とき)竜国別(たつくにわけ)母子(おやこ)がソツト黄金(こがね)(たま)失敬(しつけい)して108アリナ(やま)遙々(はるばる)()(うづ)原野(げんや)(まで)いつた(ところ)109(かみ)(さま)(いましめ)()うて()(あらた)め、110(その)(つぎ)高姫(たかひめ)といふ()(つよ)宣伝使(せんでんし)がやつて()て、111(また)(その)(たま)(ため)(かみ)(さま)(あぶら)(しぼ)られ112改心(かいしん)したといふ歴史(れきし)(のこ)つてゐるお宮様(みやさま)だ。113竜国別(たつくにわけ)中途(ちうと)(かみ)(さま)取上(とりあ)げられた黄金(こがね)(たま)()神体(しんたい)となつて、114(この)(やしろ)(まつ)つてあるといふ(こと)だから、115(おれ)(たち)三五教(あななひけう)信者(しんじや)たる以上(いじやう)は、116満更(まんざら)(えん)のない(もの)でもない。117どうだ、118今晩(こんばん)此処(ここ)でお通夜(つうや)でもやつて()神徳(しんとく)(いただ)き、119アリナの(たき)()をうたれ、120それからボツボツ目的地(もくてきち)()かうぢやないか』
121(あさ)『それは(まこと)至極(しごく)結構(けつこう)でせう。122(なん)なら親分(おやぶん)123ヒルの(くに)なんて、124山河(さんか)数百(すうひやく)()(へだ)てた遠国(ゑんごく)()くよりも、125(やま)(ひと)()ゆれば、126自分(じぶん)(うま)れた(くに)だから、127一層(いつそ)(こと)128此処(ここ)(しばら)(しり)()ゑたら()うでせう。129(べつ)にヒルの(くに)(まで)()かなくても、130侠客(けふかく)にはなれますよ』
131(くに)一旦(いつたん)男子(だんし)(おもひ)()つた(こと)中途(ちうと)にやめる(わけ)には()かない。132絶壁(ぜつぺき)(まへ)(あた)るとも、133白刃(はくじん)頭上(づじやう)(ひらめ)くとも、134一旦(いつたん)(こと)あげした(こと)実行(じつかう)せなくちや(をとこ)とはいはれない。135まして(をとこ)(なか)(をとこ)一匹(いつぴき)と、136世間(せけん)()てはやされ、137仁侠(にんけふ)(もつ)()(すく)大望(たいまう)(いだ)いた吾々(われわれ)138そんな(こし)(よわ)(こと)出来(でき)ようか。139(まへ)(いや)なら(いや)()いから、140此処(ここ)何時(いつ)(まで)固着(こちやく)してゐるが()からう、141(おれ)一人(ひとり)でやつて()るからのう』
142(あさ)『どこ(まで)もお(とも)(いた)します。143(しか)三日(みつか)四日(よつか)はお骨休(ほねやす)め、144足休(あしやす)めの(ため)145此処(ここ)でお(こも)りしたら()うでせうか』
146(くに)()二三(にさん)(にち)(たき)()たれて、147(からだ)(きよ)め、148(かがみ)(いけ)(かみ)(さま)神勅(しんちよく)をうけ、149そしてボツボツ()(こと)にせう』
150(あさ)『ヤ、151それで安心(あんしん)しました。152そんなら(これ)からお(たき)(まゐ)りませうか』
153(くに)『ヨーシ、154()第一(だいいち)身禊(みそぎ)をやつて()う』
155といひ(なが)ら、156拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)し、157(くち)(おく)(あま)数歌(かずうた)(とな)へてゐると、158信者(しんじや)(ふう)をした十四五(じふしご)(にん)(をとこ)159前後(ぜんご)左右(さいう)よりバラバラと取囲(とりかこ)み、160両人(りやうにん)首筋(くびすぢ)をグツと(にぎ)り、161剛力(がうりき)(まか)して(おさ)へつけた。162浅公(あさこう)(おどろ)いて、
163『アイタヽヽヽ、164ナヽ(なに)をさらすのだ。165コリヤお(まへ)(たち)ア、166(かみ)(さま)信心(しんじん)してる信者(しんじや)ぢやないか。167(ひと)首筋(くびすぢ)(おさ)へて()うするつもりだ。168イイ(いた)いワイ、169(なん)ぢやい。170(ひと)()(うしろ)(まは)しやがつて……(なに)(おれ)(わる)(こと)したか……モシ親分(おやぶん)171タヽ(たす)けて(くだ)さいな』
172 国照別(くにてるわけ)剛力(がうりき)(おさ)へられ、173俯向(うつむ)いた(まま)174阿呍(あうん)(いき)()らし、175(すき)をねらつてゐた。176(いき)調子(てうし)(はか)つて、177パツとはね()き、178矢庭(やには)(だい)(をとこ)四五(しご)(にん)()つて()げた。179浅公(あさこう)(おさ)へてゐた大男(おほをとこ)吃驚(びつくり)して()(はな)した。180浅公(あさこう)矢庭(やには)座敷(ざしき)真中(まんなか)につつ(たち)(あが)り、181大手(おほて)をひろげ、182()(つばき)(なが)ら、
183『サー()い、184(うづ)(みやこ)(おい)(かく)れなき白浪(しらなみ)(をとこ)浅公(あさこう)さまとは、185こなはんのことだ。186いらざるちよつかい()して後悔(こうくわい)(いた)すな。187乾児(こぶん)(おれ)でさへも(この)(とほり)だ、188(おれ)親分(おやぶん)(なん)心得(こころえ)てゐるか、189(うづ)一国(いつこく)(くに)(はしら)(くに)さまだぞ』
190 (この)(なか)(もつと)大将(たいしやう)らしき(やつ)191行儀(ぎやうぎ)よく(たたみ)(うへ)にキチンと(すわ)両手(りやうて)をついて、
192(をとこ)(まこと)失礼(しつれい)をいたしました。193(わたし)伊佐彦(いさひこ)老中(らうぢう)部下(ぶか)(つか)ふる、194はした役人(やくにん)(ども)(ござ)いまするが、195国照別(くにてるわけ)世子(せいし)(さま)が、196(うづ)(みやこ)()をおとして、197(しの)びになつたといふ(こと)城下(じやうか)一般(いつぱん)にひろがり、198それから大勢(おほぜい)(もの)手配(てくば)りを(いた)しましたが、199どうしても()行衛(ゆくへ)()れぬので、200ヒヨツとしたら他国(たこく)逐電(ちくでん)されるかも()れないと、201十数(じふすう)(にん)手下(てした)(ひき)つれ、202一方口(いつばうぐち)(この)(やかた)信者(しんじや)化込(ばけこ)み、203様子(やうす)(かんが)へてゐた(ところ)204今日(けふ)(はか)らずも、205世子(せいし)(さま)のお()で、206(まこと)(おそ)(おほ)(こと)(ござ)いますが、207吾々(われわれ)がお(とも)(いた)しますから、208どうぞ(くに)へお(かへ)(くだ)さいませ』
209(くに)『お(まへ)(たち)(まこと)()苦労(くらう)(やく)だ。210(ねがひ)によつて(かへ)つてやるのは(やす)(こと)だが、211(おれ)最早(もはや)決心(けつしん)した以上(いじやう)は、212一歩(いつぽ)(あと)(かへ)(こと)出来(でき)ない、213(あきら)めて(かへ)つてくれ。214(いづ)永遠(えいゑん)(うづ)(くに)()すてるのではない。215(おれ)には(おれ)(かんが)へがあつての(こと)だから、216素直(すなほ)(かへ)つたが()からう』
217(をとこ)(わたくし)深溝(ふかみぞ)役所(やくしよ)目付(めつけ)(ござ)いまして、218駒治(こまはる)といふ(もの)(ござ)います。219左様(さやう)(こと)(おほ)せられずに、220一先(ひとま)()(かへ)(くだ)さいませ。221(うづ)城下(じやうか)大変(たいへん)(さわぎ)(ござ)いますから、222一度(いちど)(かへ)つて(いただ)かねば、223衆生(しゆじやう)塗炭(とたん)(くるし)みに(おちい)ります。224衆生(しゆじやう)(あい)(くだ)さる真心(まごころ)があるなら、225どうぞ(わたくし)がお(とも)(いた)しますから、226(この)()より()(かへ)りを(ねが)ひます。227貴方(あなた)()(かへ)(くだ)さらねば、228吾々(われわれ)(ふたた)(みやこ)(かへ)(わけ)には(まゐ)りませぬ』
229(くに)(べつ)(みやこ)(かへ)必要(ひつえう)はないぢやないか。230生活(せいくわつ)保証(ほしよう)(おれ)がしてやるから、231どうだ。232(おれ)国州(くにしう)といふ侠客(けふかく)還俗(げんぞく)したのだから、233(きさま)()(おれ)乾児(こぶん)となり、234天下(てんか)男伊達(をとこだて)()()つたらどうだ。235そして(うで)(みが)いた(うへ)236(おれ)故国(ここく)(かへ)(くに)真柱(まはしら)となる(つも)りだ。237(その)(とき)はお(まへ)抜擢(ばつてき)して、238大取締(おほとりしまり)(ぐらゐ)使(つか)つてやるが、239ここは(ひと)思案(しあん)仕所(しどころ)だ、240どうだ、241(おれ)のいふ(こと)合点(がてん)がいたら、242否応(いやおう)なしにすぐに(その)十手(じつて)をこの谷川(たにがは)()てて(しま)へ』
243 駒治(こまはる)(こころ)(なか)にて……一層(いつそ)(こと)244侠客(けふかく)にならうかなア、245(なん)といつても、246(うづ)一国(いつこく)()世子(せいし)だ。247(その)(かた)()うして()をおとし、248白浪(しらなみ)(をとこ)になつて()(なか)(すく)はうとなさるのだから、249何時(いつ)(まで)役人(やくにん)(はし)(くは)はつて()つても、250(さき)()えてゐる。251一層(いつそ)(いさぎ)よく降参(かうさん)せうかな……と(はや)くも決心(けつしん)して(しま)つた。252(しか)(なが)大勢(おほぜい)部下(ぶか)(たい)し、253(ただ)ちに服従(ふくじゆう)する(わけ)にも()かず、254部下(ぶか)顔色(かほいろ)をソツと(うかが)つてゐる。
255(くに)『オイ一同(いちどう)(もの)(ども)256今日(けふ)から(おれ)乾児(こぶん)だ。257侠客(けふかく)でなくつても、258高砂城(たかさごじやう)未来(みらい)国司(こくし)だ。259さうすりやお(まへ)たちは(みな)(おれ)乾児(こぶん)だ。260どうだ否応(いやおう)あるまい。261(その)ペラペラした十手(じつて)をねぢ()つて谷川(たにがは)()()はないか』
262駒治(こまはる)何卒(なにとぞ)(わたくし)貴方(あなた)直参(ぢきさん)乾児(こぶん)にして(くだ)さいませ。263如何(いか)なる(こと)でも()命令(めいれい)服従(ふくじゆう)(いた)します。264証拠(せうこ)(この)(とほり)(ござ)います』
265十手(じつて)を、266眼下(がんか)谷底(たにぞこ)(なげ)()んで(しま)つた。267()捕手(とりて)連中(れんちう)去就(きよしう)(まよ)ひ、268()白黒(しろくろ)させて駒治(こまはる)(かほ)()つめてゐたが、269市公(いちこう)270馬公(うまこう)両人(りやうにん)(のぞ)(ほか)271十手(じつて)()をかけたまま、272(れつ)をつくり、273駆足(かけあし)姿勢(しせい)で、274(こは)さうに(やかた)()()しアリナ(やま)()して()(かへ)りゆく。275(あと)見送(みおく)つて国照別(くにてるわけ)は、
276『ハヽヽヽヽ駒治(こまはる)277(いち)(うま)278(まこと)(もの)(さん)(にん)になるかも()れぬぞよ……とはよく()つた(こと)だ、279(さん)(にん)()(もと)結構(けつこう)々々(けつこう)だ。280(まへ)(たち)新帰順(しんきじゆん)新侠客(しんけふかく)(さん)(にん)281(おれ)(たち)二人(ふたり)(あは)すれば()(にん)となる、282(いづ)御霊(みたま)だ。283三五(さんご)明月(めいげつ)だ。284ヤ、285目出(めで)たい目出(めで)たい、286サア(これ)から(かみ)(さま)()(れい)(まをし)()げやう』
287駒治(こまはる)()世子(せいし)(さま)288そんなら今日(けふ)から、289(まこと)にすみませぬが、290貴方(あなた)親分(おやぶん)(まを)しても(よろ)しう(ござ)いますか』
291(くに)『きまつた(こと)だ、292親分(おやぶん)国州(くにしう)さまと()つてくれ。293(いち)(うま)(その)(とほり)だぞ。294窮屈(きうくつ)取締(とりしまり)をやめて(すね)一本(いつぽん)295沼矛(ぬぼこ)一本(いつぽん)(をとこ)一匹(いつぴき)になるのは男子(だんし)本懐(ほんくわい)だ。296(きさま)(これ)(すく)はれたのだ。297ヤツパリ(みたま)がいいとみえて、298(おれ)(こころ)(わか)つたと()えるワイ、299アツハヽヽヽヽ』
300駒治(こまはる)『エー、301親分(おやぶん)(まをし)()げますが、302(はや)(この)()立去(たちさ)らないと、303(いま)(かへ)つた十三(じふさん)(にん)(やつ)304(みやこ)(かへ)り、305伊佐彦(いさひこ)老中(らうぢう)報告(はうこく)するに間違(まちが)ひありませぬ。306さうすりや捕手(とりて)がやつて()る、307険呑(けんのん)ですから、308(なん)とか身隠(みがく)しをせななりますまい』
309(くに)『ナアニ、310心配(しんぱい)するな、311(この)急阪(きふはん)(のぼ)(くだ)りして、312それから(ひろ)()(わた)り、313(みやこ)(かへ)るにも五日(いつか)六日(むいか)はかかる。314それからやつて()(ところ)で、315(また)五日(いつか)六日(むいか)時日(じじつ)()る。316マアここ十日(とをか)(ぐらゐ)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。317ゆつくり身禊(みそぎ)でもして神勅(しんちよく)()け、318それから自分(じぶん)方針(はうしん)徹底(てつてい)(てき)にきめるのだ。319そんな(こと)齷齪(あくせく)して(あたま)(いた)めてゐるやうな(こと)では320到底(たうてい)侠客(けふかく)にはなれないぞ。321面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、322(おれ)(しめ)乾児(こぶん)()(にん)出来(でき)たか、323四天王(してんわう)勇士(ゆうし)324しつかり(たの)むよ』
325(あさ)『モシモシ親分(おやぶん)さま、326()(にん)(なか)順序(じゆんじよ)()てておかねばなりませぬが、327(たれ)(この)(なか)では一番(いちばん)兄貴(あにき)になるのですか、328キツと(わたし)でせうね』
329(くに)時間(じかん)(おい)てはお(まへ)兄貴(あにき)だ。330(しか)(なが)胆力(たんりよく)腕力(わんりよく)(おい)ては(あや)しいものだなア。331(なに)()もあれ、332(たき)身禊(みそぎ)()(こと)にせう、333(いち)()(さん)()
334()(なが)懸橋(かけはし)御殿(ごてん)(あと)に、335水音(みなおと)轟々(ぐわうぐわう)として(ひび)きわたる瀑布(ばくふ)(かたはら)一行(いつかう)()(にん)辿(たど)りついた。336無心(むしん)滝水(たきみづ)(なに)(かた)るか。337囂々(がうがう)鼕々(たうとう)として()をゆるがせ、338無数(むすう)飛沫(ひまつ)には日光(につくわう)(えい)じて、339えも()はれぬ宝玉(ほうぎよく)(あめ)()らしてゐる。
340大正一三・一・二四 旧一二・一二・一九 伊予 於山口氏邸、松村真澄録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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