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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第19巻(午の巻)
序
凡例
総説三十三魂
第1篇 神慮洪遠
第1章 高熊山
第2章 鶍の嘴
第3章 千騎一騎
第4章 善か悪か
第2篇 意外の意外
第5章 零敗の苦
第6章 和合と謝罪
第7章 牛飲馬食
第8章 大悟徹底
第3篇 至誠通神
第9章 身魂の浄化
第10章 馬鹿正直
第11章 変態動物
第12章 言照姫
第4篇 地異天変
第13章 混線
第14章 声の在所
第15章 山神の滝
第16章 玉照彦
第17章 言霊車
霊の礎(五)
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(B)
(N)
鶍の嘴 >>>
第一章
高熊山
(
たかくまやま
)
(謡曲調)〔六四六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第19巻 如意宝珠 午の巻
篇:
第1篇 神慮洪遠
よみ(新仮名遣い):
しんりょこうえん
章:
第1章 高熊山
よみ(新仮名遣い):
たかくまやま
通し章番号:
646
口述日:
1922(大正11)年05月06日(旧04月10日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年2月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
梅咲き匂う春の夜半に、牛飼う男子の枕辺に忽然として異様な輝きが現れた。五色の玉が賎が伏屋の中を飛び回り、男子の身体に飛び込んだ。
男子は心機一転し、筆を取ると床の間の壁に天地大本大御神と書き下ろした。この世に神無きものと思いつめた青年が、恭敬礼拝神号を唱えつつ、我が身の罪を詫びた。折りしも、門の戸を叩いて訪れる者がある。
天教山の木花姫命の使い、松岡と名乗る神使は、男子を迎えに来たと言う。屋内に微妙の音楽が聞こえ、梅の花びらが男子に降りかかると、男子たちまち紫の衣に包まれた。
残し書きを置いて、神使に連れられて雲に乗り、山の口までやって来た。それまで洋服姿であった松岡神使は異様の白髪神人と化し、男子の手をとって千丈の岩谷の前に連れて来た。
高天原の移写という高熊山の岩窟には、四十八個の宝座があり、神々が神集うという。神使は、ここで男子に、現世の衣を脱いで瑞の御魂の真人となるようにと言い渡して去っていった。
男子はたちまち須弥仙山の上に立っていた。そこで出あったのは、小幡明神であった。小幡明神は、男子は五六七神世出現にあたり、丹州としてこの世に現れた御魂であるという。
気がつくと男子は、岩窟の前に端座していた。たちまち虚空に音楽が聞こえると、岩窟は壮麗な大宮殿となっていた。宮殿より、「瑞月」と呼ぶ声がする。黄金の霊鳥たちに導かれて、黄金の扉が開かれると、中より女神が現れた。
女神は、三千年の昔に国治立大神と共に、中津御国を後にして根底の国に至ったが、今、西王母の園の桃の実が実るときが来て、皇大神に奉るのだ、と語った。すると女神の姿は消えてしまった。
小幡明神に送られて、宇宙の外の世界を眺めて、地上を指して下り来る。見ると、以前の宝座の前であった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-03-29 17:57:38
OBC :
rm1901
愛善世界社版:
13頁
八幡書店版:
第4輯 33頁
修補版:
校定版:
13頁
普及版:
4頁
初版:
ページ備考:
001
梅
(
うめ
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
春
(
はる
)
の
夜半
(
よは
)
、
002
牛
(
うし
)
飼
(
か
)
ふ
男子
(
をのこ
)
の
枕辺
(
まくらべ
)
に、
003
忽然
(
こつぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
異様
(
いやう
)
の
輝
(
かがや
)
き、
004
眼
(
まなこ
)
を
睜
(
みは
)
り
眺
(
なが
)
むれば、
005
世人
(
せじん
)
の
無情
(
むじやう
)
残酷
(
ざんこく
)
を、
006
うら
紫
(
むらさき
)
や
青黄色
(
あをきいろ
)
、
007
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
も
白玉
(
しらたま
)
や、
008
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
の
五色
(
ごしき
)
の
玉
(
たま
)
は、
009
賤
(
しづ
)
が
伏屋
(
ふせや
)
の
室内
(
しつない
)
を、
010
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
飛
(
と
)
び
交
(
か
)
ひて、
011
何時
(
いつ
)
とはなしに
男子
(
をのこ
)
の
身体
(
しんたい
)
目蒐
(
めが
)
けて、
012
或
(
あるひ
)
は
胸
(
むね
)
に、
013
或
(
あるひ
)
は
腹
(
はら
)
に、
014
肩
(
かた
)
に
背中
(
せなか
)
に
滲
(
にじ
)
み
込
(
こ
)
み、
015
男子
(
をのこ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
して、
016
三十路
(
みそぢ
)
に
近
(
ちか
)
き
現身
(
うつそみ
)
の、
017
命毛
(
いのちげ
)
の
筆
(
ふで
)
執
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
018
苦労
(
くらう
)
する
墨硯
(
すみすずり
)
の
海
(
うみ
)
に、
019
うつす
誠
(
まこと
)
の
月照
(
つきてる
)
の、
020
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
照
(
て
)
らされて、
021
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
近
(
ちか
)
く
立寄
(
たちよ
)
りつ、
022
壁
(
かべ
)
にさらさら
書
(
か
)
き
下
(
お
)
ろす、
023
天地
(
あめつち
)
大本
(
おほもと
)
大御神
(
おほみかみ
)
、
024
今日
(
けふ
)
は
昨日
(
きのふ
)
に
引替
(
ひきか
)
へて、
025
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
神
(
かみ
)
なきものをぞと、
026
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
めたる
青年
(
わかもの
)
が、
027
恭敬
(
きようけい
)
礼拝
(
らいはい
)
神号
(
しんがう
)
を
唱
(
とな
)
へつつ、
028
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
罪
(
つみ
)
を
詫
(
わ
)
ぶる
折
(
をり
)
しも、
029
門
(
かど
)
の
戸
(
と
)
を
叩
(
たた
)
き
訪
(
おとの
)
ふ
者
(
もの
)
あり。
030
神使
(
しんし
)
『
吾
(
われ
)
こそは、
031
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
の
御
(
おん
)
使
(
つかひ
)
、
032
弥勒
(
みろく
)
の
御代
(
みよ
)
を
松岡
(
まつをか
)
の、
033
梅花
(
ばいくわ
)
も
開
(
ひら
)
く
蓮葉
(
はちすば
)
の、
034
台
(
うてな
)
の
国
(
くに
)
に
導
(
みちび
)
かむ。
035
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
門
(
かど
)
あけさせ
給
(
たま
)
へ』
036
若男
(
わかいをとこ
)
『あら
訝
(
いぶ
)
かしや、
037
此
(
この
)
真夜中
(
まよなか
)
に
金門
(
かなど
)
を
敲
(
たた
)
く
人
(
ひと
)
の
有
(
あ
)
りとは。
038
風
(
かぜ
)
も
静
(
しづ
)
まり
水
(
みづ
)
さへも、
039
子
(
ね
)
の
正刻
(
しやうこく
)
に
候
(
さふら
)
へば、
040
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
くるを
待
(
ま
)
つて
訪
(
おとづ
)
れ
給
(
たま
)
へ』
041
松岡
(
まつをか
)
神使
(
しんし
)
は
詞
(
ことば
)
も
終
(
をは
)
らぬに、
042
戸
(
と
)
をさらりと
引
(
ひ
)
き
開
(
あ
)
け、
043
悠々
(
いういう
)
として
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
044
神使
(
しんし
)
『
吾
(
われ
)
は
天教山
(
てんけうざん
)
の
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
使
(
つかひ
)
なり。
045
抑
(
そもそ
)
も
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめの
)
命
(
みこと
)
、
046
蓮華
(
はちす
)
の
山
(
やま
)
に
立
(
た
)
たせ
給
(
たま
)
ひて、
047
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
高
(
たか
)
く
望
(
のぞ
)
ませ
給
(
たま
)
へば、
048
瑞雲
(
ずゐうん
)
棚引
(
たなび
)
き、
049
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
奇
(
くし
)
く
照
(
てら
)
させ
給
(
たま
)
へば、
050
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
の
真人
(
しんじん
)
の
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
瑞祥
(
ずゐしやう
)
ならむ。
051
汝
(
なんぢ
)
迅
(
と
)
く
迅
(
と
)
く
我
(
わが
)
神言
(
みこと
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
052
雲井
(
くもゐ
)
の
空
(
そら
)
を
翔
(
かけ
)
つけて、
053
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
押開
(
おしひら
)
き、
054
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
丹波
(
あかなみ
)
の、
055
青垣山
(
あをがきやま
)
を
繞
(
めぐ
)
らせる、
056
穴太
(
あなを
)
の
郷
(
さと
)
に
出立
(
いでた
)
ちて、
057
我
(
わが
)
神言
(
みこと
)
を
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
へ、
058
迎
(
むか
)
へ
帰
(
かへ
)
れとの
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
なり。
059
早々
(
はやはや
)
吾
(
われ
)
に
続
(
つづ
)
かせ、
060
天教山
(
てんけうざん
)
に
参上
(
まゐのぼ
)
り
給
(
たま
)
へ』
061
男子
(
をのこ
)
は
益々
(
ますます
)
訝
(
いぶ
)
かりつ、
062
松岡
(
まつをか
)
神使
(
しんし
)
の
顔
(
かほ
)
を
打眺
(
うちなが
)
め、
063
暫
(
しば
)
し
茫然
(
ばうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
たりけり。
064
時
(
とき
)
しもあれや
一陣
(
いちぢん
)
の
春風
(
しゆんぷう
)
烈
(
はげ
)
しく、
065
梅
(
うめ
)
の
花片
(
はなびら
)
を
撒
(
ま
)
いて、
066
家
(
いへ
)
の
外面
(
そとも
)
を
亘
(
わた
)
りゆく。
067
忽
(
たちま
)
ち
屋内
(
をくない
)
に
美妙
(
びめう
)
の
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え、
068
梅
(
うめ
)
の
花片
(
はなびら
)
チラチラと、
069
男子
(
をのこ
)
が
頭
(
かしら
)
に
降
(
ふり
)
かかるよと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
070
紫
(
むらさき
)
の
被衣
(
かづき
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
071
あと
白雲
(
しらくも
)
となりにける。
072
若男
(
わかいをとこ
)
『
嗚呼
(
あゝ
)
吾
(
われ
)
は
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
鳥
(
とり
)
なれや。
073
遥
(
はるか
)
に
高
(
たか
)
き
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
り、
074
地上
(
ちじやう
)
の
人
(
ひと
)
が
各自
(
めいめい
)
に、
075
喜怒
(
きど
)
哀楽
(
あいらく
)
に
捉
(
とら
)
はれて、
076
手振
(
てぶ
)
り
足振
(
あしぶ
)
りする
様
(
さま
)
を、
077
吾
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れて
眺
(
なが
)
むなり。
078
実
(
げ
)
に
面白
(
おもしろ
)
の
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
や。
079
然
(
さ
)
れども
余
(
あま
)
り
興
(
きよう
)
に
乗
(
の
)
り、
080
地上
(
ちじやう
)
に
落
(
お
)
つる
事
(
こと
)
もがな。
081
嗟
(
あゝ
)
、
082
大神
(
おほかみ
)
よ
大神
(
おほかみ
)
よ、
083
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へかし』
084
と
唯
(
ただ
)
一筆
(
ひとふで
)
の
落
(
おと
)
し
書
(
がき
)
、
085
賤
(
しづ
)
が
伏家
(
ふせや
)
に
遺
(
のこ
)
し
置
(
お
)
き、
086
松樹
(
しようじゆ
)
茂
(
しげ
)
れる
山
(
やま
)
の
口
(
くち
)
、
087
洋服姿
(
やうふくすがた
)
の
松岡
(
まつをか
)
神使
(
しんし
)
、
088
俄
(
にはか
)
に
白髪
(
はくはつ
)
異様
(
いやう
)
の
神人
(
しんじん
)
と
変化
(
へんげ
)
し、
089
男子
(
をのこ
)
が
手
(
て
)
を
把
(
と
)
り、
090
林
(
はやし
)
の
茂
(
しげ
)
みをイソイソと、
091
進
(
すす
)
むで
此処
(
ここ
)
に
如月
(
きさらぎ
)
の、
092
九日
(
ここのか
)
の
月
(
つき
)
西山
(
せいざん
)
に
傾
(
かたむ
)
きて、
093
再
(
ふたた
)
び
閉
(
と
)
ざす
闇
(
やみ
)
の
幕
(
まく
)
、
094
千丈
(
せんぢやう
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
前
(
まへ
)
に
着
(
つ
)
きにけり。
095
松岡
(
まつをか
)
神使
(
しんし
)
は
男子
(
をのこ
)
に
一礼
(
いちれい
)
し、
096
神使
(
しんし
)
『
此処
(
ここ
)
は
名
(
な
)
におふ、
097
高天原
(
たかあまはら
)
の
移写
(
いしや
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
高熊山
(
たかくまやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
にて
候
(
さふらふ
)
、
098
天地
(
あめつち
)
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
たちの、
099
時
(
とき
)
有
(
あ
)
つて
神集
(
かむつど
)
ひに
集
(
つど
)
ひ
給
(
たま
)
ふ、
100
四十八
(
しじふはち
)
個
(
こ
)
の
宝座
(
ほうざ
)
あり。
101
吾
(
われ
)
はこれにて
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
たむ。
102
汝
(
なんぢ
)
は
此処
(
ここ
)
に
現世
(
うつしよ
)
の
粗
(
あら
)
き
衣
(
きぬ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ、
103
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
真人
(
しんじん
)
として、
104
五六七
(
みろく
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
せよ。
105
さらばさらば』
106
と
云
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば、
107
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えて
白雲
(
しらくも
)
の、
108
彼方
(
あなた
)
の
空
(
そら
)
に
幽
(
かす
)
かに
靉
(
たなび
)
く
訝
(
いぶ
)
かしさ。
109
男子
(
をのこ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
身体
(
しんたい
)
硬化
(
かうくわ
)
し、
110
時間
(
じかん
)
空間
(
くうかん
)
を
超越
(
てうゑつ
)
し、
111
寒暑
(
かんしよ
)
の
外
(
ほか
)
に
立
(
た
)
ちて、
112
何時
(
いつ
)
とはなしに
身変定
(
みかへる
)
の、
113
今
(
いま
)
の
姿
(
すがた
)
と
白装束
(
しらしやうぞく
)
、
114
黄金
(
こがね
)
の
翼
(
つばさ
)
身
(
み
)
に
備
(
そな
)
へ、
115
一道
(
いちだう
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
光
(
ひかり
)
の
架橋
(
かけはし
)
、
116
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
る
如
(
ごと
)
く
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
切
(
き
)
り
抜
(
ぬ
)
けて、
117
須弥仙
(
しゆみせん
)
山
(
ざん
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に、
118
早
(
はや
)
くも
其
(
その
)
身
(
み
)
は
立
(
た
)
ちにける。
119
白馬
(
はくば
)
に
跨
(
またが
)
り、
120
白雲
(
はくうん
)
別
(
わ
)
けて
駆来
(
かけきた
)
る
一人
(
ひとり
)
の
神人
(
しんじん
)
、
121
男子
(
をのこ
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれ、
122
馬
(
うま
)
を
乗
(
の
)
り
棄
(
す
)
てツカツカと
立寄
(
たちよ
)
り、
123
男子
(
をのこ
)
の
左手
(
ゆんで
)
をシツカと
握
(
にぎ
)
り、
124
明神
(
みやうじん
)
『われは
小幡
(
をばた
)
大明神
(
だいみやうじん
)
なり。
125
此
(
この
)
度
(
たび
)
五六七
(
みろく
)
の
神世
(
しんせい
)
出現
(
しゆつげん
)
に
際
(
さい
)
し、
126
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしのまにまに、
127
暫時
(
しばらく
)
丹州
(
たんしう
)
と
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
汝
(
なんぢ
)
が
御霊
(
みたま
)
、
128
現幽神
(
げんいうしん
)
三界
(
さんかい
)
の
探険
(
たんけん
)
を
命
(
めい
)
じ、
129
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
せしめよとの
神勅
(
しんちよく
)
なれば、
130
三十五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
の
昔
(
むかし
)
より、
131
木
(
こ
)
の
花姫
(
はなひめ
)
と
語
(
かた
)
らひて、
132
汝
(
なれ
)
が
御霊
(
みたま
)
を
拝領
(
はいりやう
)
し、
133
我
(
わ
)
が
氏
(
うぢ
)
の
子
(
こ
)
として
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でしめたり。
134
ゆめゆめ
疑
(
うたが
)
ふ
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ』
135
男子
(
をのこ
)
は
驚
(
おどろ
)
き『ハイ』と
一声
(
ひとこゑ
)
、
136
さし
俯
(
うつむ
)
き、
137
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
るる
折
(
をり
)
しもあれ、
138
松
(
まつ
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
に
覚
(
さま
)
されて、
139
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば
此
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に、
140
処
(
ところ
)
はシカと
分
(
わか
)
らねど、
141
何処
(
どこ
)
とはなしに
見覚
(
みおぼ
)
えの、
142
有難
(
ありがた
)
や、
143
清
(
きよ
)
き
岩窟
(
がんくつ
)
の
前
(
まへ
)
に
端坐
(
たんざ
)
し
居
(
を
)
るこそ
不思議
(
ふしぎ
)
なれ。
144
男子
(
をのこ
)
は
首
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
145
若男
(
わかいをとこ
)
『
人里
(
ひとざと
)
離
(
はな
)
れし
此
(
この
)
深山
(
みやま
)
の
奥
(
おく
)
、
146
何処
(
いづこ
)
の
山
(
やま
)
かは
知
(
し
)
らねども、
147
何
(
なん
)
とはなしに、
148
心
(
こころ
)
勇
(
いさ
)
ましき
所
(
ところ
)
かな。
149
牛
(
うし
)
飼
(
か
)
ふ
男子
(
をのこ
)
の
昨日
(
きのふ
)
まで、
150
賤
(
しづ
)
の
職業
(
みわざ
)
に
励精
(
いそし
)
みし
身
(
み
)
の、
151
四辺
(
あたり
)
に
輝
(
かがや
)
く
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
服装
(
ふくさう
)
、
152
紫
(
むらさき
)
青
(
あを
)
赤
(
あか
)
白
(
しろ
)
黄色
(
きいろ
)
、
153
白地
(
しろぢ
)
に
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
は
散
(
ち
)
り、
154
裳裾
(
もすそ
)
に
松葉
(
まつば
)
の
模様
(
もやう
)
、
155
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかは
更衣
(
きさらぎ
)
や、
156
忽
(
たちま
)
ち
変
(
かは
)
る
女神
(
めがみ
)
の
姿
(
すがた
)
、
157
心
(
こころ
)
も
凪
(
な
)
ぎて
春風
(
はるかぜ
)
の、
158
木々
(
きぎ
)
の
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
撫
(
な
)
で
渡
(
わた
)
る、
159
いとも
長閑
(
のどか
)
な
思
(
おも
)
ひなり』
160
忽
(
たちま
)
ち
虚空
(
こくう
)
に
音楽
(
おんがく
)
聞
(
きこ
)
え、
161
今迄
(
いままで
)
岩窟
(
がんくつ
)
と
見
(
み
)
えしは、
162
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
幻
(
まぼろし
)
か、
163
際限
(
さいげん
)
もなく
四方
(
よも
)
に
展開
(
てんかい
)
せる、
164
荘厳
(
さうごん
)
無比
(
むひ
)
の
大宮殿
(
だいきうでん
)
、
165
黄金
(
こがね
)
の
甍
(
いらか
)
旭
(
あさひ
)
に
輝
(
かがや
)
き、
166
眼下
(
がんか
)
の
渓間
(
たにま
)
を
眺
(
なが
)
むれば、
167
緑
(
みどり
)
漂
(
ただよ
)
ふ
池
(
いけ
)
の
面
(
も
)
に、
168
鴛鴦
(
をし
)
の
比翼
(
つがひ
)
の
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
、
169
時
(
とき
)
ならぬ
菖蒲
(
あやめ
)
の
花
(
はな
)
も
咲
(
さ
)
きみだれ、
170
百鳥
(
ももとり
)
の
唄
(
うた
)
ふ
声
(
こゑ
)
、
171
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
も
斯
(
か
)
くやあらむと
思
(
おも
)
はるる
許
(
ばか
)
りなり。
172
嗚呼
(
ああ
)
訝
(
いぶ
)
かしや
訝
(
いぶ
)
かしやと、
173
首
(
かうべ
)
を
傾
(
かた
)
げ
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
るる
時
(
とき
)
しもあれ、
174
宮殿
(
きうでん
)
の
彼方
(
あなた
)
に
声
(
こゑ
)
ありて、
175
『
瑞月
(
ずゐげつ
)
、
176
瑞月
(
ずゐげつ
)
』
177
と
呼
(
よ
)
ばせ
給
(
たま
)
ふ。
178
男子
(
をのこ
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
ませ、
179
若男
(
わかいをとこ
)
『
瑞月
(
ずゐげつ
)
とは
誰人
(
たれびと
)
なるか、
180
われより
外
(
ほか
)
に
人
(
ひと
)
も
無
(
な
)
し。
181
怪
(
あや
)
しき
事
(
こと
)
よ』
182
と
佇
(
たたず
)
む
折
(
をり
)
しも、
183
黄金
(
こがね
)
の
翼
(
つばさ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
し、
184
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
向
(
むか
)
つて
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る、
185
黄金
(
こがね
)
の
鵄
(
とび
)
を
先頭
(
せんとう
)
に、
186
孔雀
(
くじやく
)
、
187
鳳凰
(
ほうわう
)
、
188
迦陵
(
かりよう
)
頻伽
(
びんが
)
、
189
八咫烏
(
やあたがらす
)
、
190
何時
(
いつ
)
とはなしに
王仁
(
おに
)
の
身
(
み
)
は、
191
又
(
また
)
もや
月
(
つき
)
の
付近
(
まぢか
)
まで
進
(
すす
)
み
居
(
ゐ
)
るよと
見
(
み
)
る
中
(
うち
)
に、
192
黄金
(
こがね
)
の
扉
(
とびら
)
は
開
(
ひら
)
かれて、
193
中
(
なか
)
より
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
梅花
(
ばいくわ
)
の
如
(
ごと
)
き
女神
(
めがみ
)
の
姿
(
すがた
)
、
194
二人
(
ふたり
)
の
侍女
(
じぢよ
)
に
松梅
(
まつうめ
)
の
小枝
(
こえだ
)
を
持
(
も
)
たせ、
195
御
(
おん
)
手
(
て
)
に
玉
(
たま
)
を
携
(
たづさ
)
へて、
196
言葉
(
ことば
)
静
(
しづ
)
かに
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ふ。
197
女神
(
めがみ
)
『われこそは
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
、
198
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
と
共
(
とも
)
に、
199
中津
(
なかつ
)
御国
(
みくに
)
の
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にして、
200
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
到
(
いた
)
りしが、
201
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅花
(
ばいくわ
)
の
時
(
とき
)
を
得
(
え
)
て、
202
再
(
ふたた
)
び
天
(
てん
)
に
舞
(
ま
)
ひ
昇
(
のぼ
)
り、
203
今
(
いま
)
は
西王母
(
せいわうぼ
)
が
園
(
その
)
の
桃
(
もも
)
、
204
花
(
はな
)
散
(
ち
)
り
実
(
み
)
のる
時
(
とき
)
ぞ
来
(
き
)
て、
205
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
に
奉
(
たてまつ
)
らむ。
206
時
(
とき
)
遅
(
おく
)
れては
一大事
(
いちだいじ
)
、
207
小幡
(
をばた
)
明神
(
みやうじん
)
の
承諾
(
うべなひ
)
に
依
(
よ
)
りて、
208
今
(
いま
)
より
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
体
(
たい
)
を
借
(
か
)
らむ』
209
と
言
(
い
)
ふかと
見
(
み
)
れば、
210
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
えて
白煙
(
しらけむり
)
、
211
忽
(
たちま
)
ち
其
(
その
)
身
(
み
)
は
天馬
(
てんば
)
に
跨
(
またが
)
り、
212
小幡
(
をばた
)
明神
(
みやうじん
)
に
送
(
おく
)
られて、
213
宇宙
(
うちう
)
の
外
(
そと
)
の
世界
(
せかい
)
を
眺
(
なが
)
め、
214
地上
(
ちじやう
)
を
指
(
さ
)
して
降
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る。
215
此処
(
ここ
)
は
何処
(
いづく
)
ぞ、
216
以前
(
いぜん
)
の
宝座
(
ほうざ
)
の
前
(
まへ
)
、
217
不思議
(
ふしぎ
)
なりける
次第
(
しだい
)
なり。
218
(
大正一一・五・六
旧四・一〇
松村真澄
録)
219
○
220
本章
(
ほんしやう
)
は、
221
謡曲
(
えうきよく
)
まがひに
口述
(
こうじゆつ
)
してありますから、
222
専門
(
せんもん
)
の
方々
(
かたがた
)
は
言葉
(
ことば
)
の
長短
(
ちやうたん
)
を
補
(
おぎな
)
ひ
又
(
また
)
は
削
(
けづ
)
り
謡
(
うた
)
ひよく
直
(
なほ
)
して
見
(
み
)
て
下
(
くだ
)
さい。
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