霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第六章 和合(わがふ)と謝罪(しやざい)〔六五一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第19巻 如意宝珠 午の巻 篇:第2篇 意外の意外 よみ(新仮名遣い):いがいのいがい
章:第6章 和合と謝罪 よみ(新仮名遣い):わごうとしゃざい 通し章番号:651
口述日:1922(大正11)年05月07日(旧04月11日) 口述場所: 筆録者:藤津久子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年2月28日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
高姫、黒姫、高山彦は、ウラナイ教の凋落を話し合っている。蠑螈別も本山を去ってどこかに行ってしまったという。そのうちに高姫と黒姫は、言い争いになってしまう。高姫は怒って部屋に閉じこもってしまった。
高山彦は黒姫をたしなめるが、逆に黒姫の怒りに触れてしまう。しかし高山彦の言霊で逆に機嫌を直し、高山彦は高姫と黒姫の仲を取り持つ役を担うことになった。
高山彦は、またもや巧みな言説で高姫の機嫌を取ると、黒姫の居間に戻ってきた。黒姫は高姫のところに行って、仲直りをした。
そして、今のうちに魔窟ケ原を引き払って本山に迎え取ろうと画策した。そのために鶴公と亀公を魔窟ケ原に遣わした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-04-02 17:58:45 文字数:5268 OBC :rm1906
愛善世界社版:88頁 八幡書店版:第4輯 62頁 修補版: 校定版:91頁 普及版:40頁 初版: ページ備考:
001 一葉(いちえふ)落(お)ちて天下(てんか)の秋(あき)を知(し)るとかや。002神(かみ)の教(をしへ)も不相応(ふさは)ぬフサの国(くに)、003北山村(きたやまむら)の本山(ほんざん)ウラナイ教(けう)の頭株(あたまかぶ)、004心(こころ)も驕(おご)る高姫(たかひめ)が、005執着心(しふちやくしん)の胸(むね)の闇(やみ)、006鼻高(はなたか)山彦(やまひこ)や黒姫(くろひめ)は、007奥(おく)の一間(ひとま)に差(さ)し籠(こ)もり、008ウラナイ教(けう)の前途(ぜんと)に就(つ)いて、009コソコソ協議(けふぎ)を凝(こ)らし居(を)る。
010高姫(たかひめ)『栄枯(ゑいこ)盛衰(せいすゐ)、011会者(ゑしや)定離(ぢやうり)は人生(じんせい)の常(つね)とは云(い)ひ乍(なが)ら、012よくも是(これ)だけウラナイ教(けう)は、013庭先(にはさき)の紅葉(もみぢ)の風(かぜ)に散(ち)る如(ごと)く凋落(てうらく)したものだ。014彼(あ)れ程(ほど)熱心(ねつしん)に活動(くわつどう)して居(を)つた蠑螈別(いもりわけ)は煙(けぶり)の如(ごと)く此(この)本山(ほんざん)から消(き)えて了(しま)ひ、015数多(あまた)の部下(ぶか)や信徒(しんと)は四方(しはう)に散乱(さんらん)し、016全(まる)で蟹(かに)の手足(てあし)をもがれた様(やう)な敗残(はいざん)のウラナイ教(けう)、017何(なん)とか回復(くわいふく)の道(みち)を講(かう)ぜねばなりますまいよ』
018黒姫(くろひめ)『日(ひ)の出神(でのかみ)さまも此(この)際(さい)、019ちつとどうかして居(ゐ)らつしやるのではありますまいかなア』
020高姫(たかひめ)『日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)は外国(ぐわいこく)での御(ご)守護(しゆご)、021世界(せかい)の隅々(すみずみ)迄(まで)も調(しら)べに往(い)つて御座(ござ)るのだから今(いま)はお留守(るす)だ。022何(いづ)れお帰(かへ)りになれば、023日(ひ)の出(で)の守護(しゆご)になるのは定(きま)つて居(を)りますが、024さうだと云(い)つて此(この)儘(まま)放任(はうにん)して置(お)けば此(この)本山(ほんざん)は、025孤城(こじやう)落日(らくじつ)、026土崩(どほう)瓦解(ぐわかい)の憂目(うきめ)に会(あは)ねばなりませぬワ。027それよりも黒姫(くろひめ)さま、028竜宮(りうぐう)の乙姫(おとひめ)様(さま)は此(この)頃(ごろ)はどうして御座(ござ)るのでせう。029随分(ずゐぶん)気(き)の利(き)かぬ神(かみ)様(さま)ですねエ。030コンナ時(とき)に御(ご)活動(くわつどう)下(くだ)されば宜(よろ)しいのに』
031黒姫(くろひめ)『竜宮(りうぐう)の乙姫(おとひめ)様(さま)は貴方(あなた)もお筆先(ふでさき)で御存(ごぞん)じの通(とほ)り、032日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)に引添(ひつそ)うて一所(いつしよ)に外国(ぐわいこく)で御(ご)守護(しゆご)して居(を)られるに定(きま)つて居(を)るぢやありませぬか。033高姫(たかひめ)様(さま)は、034玉照姫(たまてるひめ)の一件(いつけん)から何処(どこ)ともなしに、035ボーとなさいましたなア』
036高姫(たかひめ)『黒姫(くろひめ)さまも御(ご)同様(どうやう)ぢやありませぬか。037貴女(あなた)は、038高山彦(たかやまひこ)さまが、039あちらにお出(い)でになつてから、040日増(ひまし)に、041ボンヤリなされましたさうですよ。042御(ご)自分(じぶん)の事(こと)は御(ご)自分(じぶん)には分(わか)りますまいが、043寅若(とらわか)がそう云(い)つてましたぞえ』
044黒姫(くろひめ)『何(なに)を仰有(おつしや)います。045そう人(ひと)を見損(みそこ)なつて貰(もら)つては困(こま)ります。046高山(たかやま)さまがお出(い)でになつて以来(いらい)といふものは、047層一層(そういつそう)活動(くわつどう)しました。048それよりも高姫(たかひめ)さま、049斯(こ)う云(い)うとお気(き)に障(さは)るか知(し)れませぬが、050蠑螈別(いもりわけ)さまが此(この)本山(ほんざん)から姿(すがた)を隠(かく)されてより、051層一層(そういつそう)気抜(きぬ)けがなさつた様(やう)な、052燗(かん)ざましの酒(さけ)を十日(とほか)も放(ほ)つて置(お)いて飲(の)みた様(やう)な塩梅(あんばい)式(しき)ですよ。053お互(たがひ)に気(き)を取直(とりなほ)して確(しつか)りと仕様(しやう)ではありませぬか。054あの三五教(あななひけう)を御覧(ごらん)なさい。055旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)の勢(いきほひ)、056まるでウラナイ教(けう)なぞとは比較物(くらべもの)になりませぬワ』
057高姫(たかひめ)『憎(にく)まれ子(ご)世(よ)に覇張(はば)る、058と云(い)つて、059悪(あく)が栄(さか)える世(よ)の中(なか)だ、060その悪(あく)の世(よ)に栄(さか)ゆる教(をしへ)だから大概(たいがい)分(わか)つて居(を)りますよ。061併(しか)し九分(くぶ)九厘(くりん)迄(まで)悪(あく)の身魂(みたま)は世(よ)に覇張(はば)る、062善(ぜん)の身魂(みたま)は落(お)ちて居(ゐ)ても一厘(いちりん)でグレンと覆(かへ)ると日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)が仰有(おつしや)る。063三五教(あななひけう)は何程(なにほど)沢山(たくさん)集(あつ)まつて居(ゐ)ても烏合(うがふ)の衆(しう)ですよ。064何(いづ)れ内裏(うちうら)から内閣(ないかく)瓦解(ぐわかい)の運命(うんめい)が萌(きざ)しかけて居(を)ります。065ウラナイ教(けう)は少数(せうすう)でも、066善一筋(ぜんひとすぢ)の誠(まこと)生粋(きつすゐ)の大和(やまと)魂(だましひ)の堅実(けんじつ)な信仰(しんかう)の団体(だんたい)だ。067万卒(ばんそつ)は得易(えやす)く一将(いつしやう)は得難(えがた)しと云(い)つてな、068少数(せうすう)なのは結構(けつこう)ですよ。069余(あんま)り瓦落多(がらくた)人足(にんそく)がガラガラ寄(よ)つて居(を)ると、070遂(つひ)に虫(むし)がわきまして水晶(すゐしやう)の水(みづ)が臭(くさ)くなり、071孑孑(ぼうふり)がわいて鼻持(はなも)ちならぬ臭(にほひ)がし出(だ)し、072終局(しまひ)には此(この)孑孑(ぼうふり)に羽(はね)が生(は)えて飛散(ひさん)し、073遂(つひ)には人(ひと)の頭(あたま)に留(と)まつて生血(いきち)を絞(しぼ)る様(やう)になります哩(わい)。074必(かなら)ず必(かなら)ず御(ご)心配(しんぱい)なさいますな。075日(ひ)の出(で)の守護(しゆご)になれば一度(いちど)にグレンと覆(かへ)るお仕組(しぐみ)がして御座(ござ)います』
076黒姫(くろひめ)『さうすると善(ぜん)許(ばか)り選(よ)り抜(ぬ)いて、077身魂(みたま)の曇(くも)つた者(もの)は一人(ひとり)も寄(よ)せないと云(い)ふ神(かみ)様(さま)の御(ご)方針(はうしん)ですかな』
078高姫(たかひめ)『其処(そこ)は惟神(かむながら)ですよ。079無理(むり)に引張(ひつぱり)に行(い)つた処(ところ)で寄(よ)らなきや仕方(しかた)がありませぬワ。080又(また)何程(なにほど)引留(ひきと)めたつて綱(つな)を付(つ)けて縛(しば)つて置(お)く訳(わけ)にもゆかず、081脱退(だつたい)する者(もの)は是(これ)も惟神(かむながら)に任(まか)して、082自由(じいう)行動(かうどう)を取(と)らして置(お)くのですな。083来(きた)る者(もの)は拒(こば)まず、084去(さ)る者(もの)は追(お)はずと云(い)ふのが神(かみ)様(さま)の思召(おぼしめし)だ。085無理(むり)に引張(ひつぱ)りに行(い)つて下(くだ)さるなよ、086時節(じせつ)参(まゐ)りたら神(かみ)が誠(まこと)の者(もの)を引寄(ひきよ)せて誠(まこと)の御用(ごよう)をさすぞよ。087と仰有(おつしや)るのだから、088そうヤキモキ心配(しんぱい)するには及(およ)びませぬ哩(わい)』
089黒姫(くろひめ)『それでも玉照姫(たまてるひめ)さまを無理(むり)に引張(ひつぱつ)て来(こ)いと御(ご)命令(めいれい)をなさつたぢやありませぬか』
090高姫(たかひめ)『それはあなたの量見違(りやうけんちがひ)だ。091無理(むり)に引(ひ)つぱらうとするから、092取(と)り逃(にが)したのだ。093向(むか)うの方(はう)から何卒(どうぞ)玉照姫(たまてるひめ)様(さま)をお預(あづか)り下(くだ)さいと云(い)つて来(く)る様(やう)に、094上手(じやうず)に仕向(しむ)けぬから、095そンな事(こと)にかけては抜目(ぬけめ)のない素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)は甘(うま)い事(こと)をやつたぢやないか。096お前(まへ)さまも随分(ずゐぶん)賢(かしこ)いお方(かた)ぢやが、097千慮(せんりよ)の一失(いつしつ)とか云(い)つて、098此(この)度(たび)あの件(けん)に限(かぎ)つては黒姫(くろひめ)さまの失敗(しつぱい)でしたよ』
099黒姫(くろひめ)『そうだと云(い)つて、100愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して居(を)れば三五教(あななひけう)に八九分(はちくぶ)取(と)られて了(しま)ふ様(やう)になつて居(ゐ)たのだから、101ソンナ廻(まは)り遠(どほ)い事(こと)をして居(を)つては、102六菖(ろくしやう)十菊(じつきく)の悔(く)いを残(のこ)さねばならぬと思(おも)つたから非常(ひじやう)手段(しゆだん)をやつただけの事(こと)です。103勝敗(しようはい)は時(とき)の運(うん)、104今(いま)になつて死(し)ンだ児(こ)の年(とし)を数(かぞ)へたつて仕方(しかた)がありませぬワ。105貴方(あなた)も余程(よほど)愚痴(ぐち)つぽくなつて、106取返(とりかへ)しのつかぬ愚痴(ぐち)な事(こと)を言(い)ひなさいますな』
107 高姫(たかひめ)は眉(まゆ)をキリリとつり上(あ)げ、108ドシンと四股(しこ)を踏(ふ)み、109畳(たたみ)を鳴(な)らしプリンと尻(しり)を向(む)け、110次(つぎ)の間(ま)に姿(すがた)を隠(かく)したり。
111高山彦(たかやまひこ)『コレコレ黒姫(くろひめ)さま、112お前(まへ)は何(なん)と云(い)ふ御(ご)無礼(ぶれい)な事(こと)を仰有(おつしや)るのだい。113大将(たいしやう)や師匠(ししやう)は無理(むり)を云(い)ふものだと思(おも)へと何時(いつ)も部下(ぶか)の者(もの)に云(い)つて聞(き)かせて居(ゐ)乍(なが)ら、114何故(なぜ)一(ひと)つ一(ひと)つ口答(くちごた)へをしたり、115言(い)ひ込(こ)めたりなさるのだ。116仲(なか)に立(た)つた柱(はしら)の私(わたし)は何(なん)とも挨拶(あいさつ)の仕様(しやう)が無(な)いではないか』
117 黒姫(くろひめ)は目(め)に角(かど)立(た)てて、
118黒姫『コレお前(まへ)さま、119以前(いぜん)由良(ゆら)の川(かは)を渡(わた)つた時(とき)に、120何(なん)でも彼(か)でも絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)すると云(い)つたぢやないか、121草履取(ざうりとり)にでもして呉(く)れと云(い)つたではないか。122今(いま)良(よ)い亭主面(ていしゆづら)をして竜宮(りうぐう)の乙姫(おとひめ)様(さま)の生宮(いきみや)の云(い)ふ事(こと)に一々(いちいち)干渉(かんせう)なさるのか。123黙(だま)つて引込(ひつこ)みて居(ゐ)なさい、124お前(まへ)さまが首(くび)を突(つ)き出(だ)して出(で)しやばる幕(まく)ぢやないのだ。125余(あま)り差出口(さしでぐち)をしなさると箝口令(かんこうれい)を励行(れいかう)しますぞ』
126高山彦(たかやまひこ)『ハイハイ竜宮(りうぐう)様(さま)の御(ご)逆鱗(げきりん)、127もう是(こ)れからは沈黙(ちんもく)を守(まも)りますワイ』
128黒姫(くろひめ)『何程(なにほど)黒姫(くろひめ)が砲弾(はうだん)を発射(はつしや)しても、129高山(たかやま)砲台(はうだい)は沈黙(ちんもく)を守(まも)つて決(けつ)して応戦(おうせん)してはなりませぬぞや。130二〇三(にひやくさん)高地(かうち)の性念場(しやうねんば)になつて居(を)るのに傍(はた)から敵(てき)の援軍(ゑんぐん)が来(き)て堪(たま)るものか』
131高山彦(たかやまひこ)『ハイハイ仕方(しかた)がありませぬ。132どつか、133渤海湾(ぼつかいわん)の海底(かいてい)にでも伏艇(ふくてい)して形勢(けいせい)観望(くわんばう)と出(で)かけませう。134併(しか)し乍(なが)ら黒船(くろぶね)が敵弾(てきだん)を受(う)けて苦戦(くせん)の最中(さいちう)を見(み)て居(を)る私(わたし)は、135どうしても中立(ちうりつ)的(てき)態度(たいど)は取(と)れませぬワ。136何(なん)とか応援(おうゑん)を致(いた)し度(た)い様(やう)な気(き)が致(いた)します』
137 黒姫(くろひめ)は稍(やや)機嫌(きげん)を直(なほ)し、
138黒姫『アヽさうかいなア、139それが真心(まごころ)の現(あら)はれと云(い)ふものだ。140矢張(やつぱ)り気(き)になるかいなア、141夫婦(ふうふ)となれば気(き)にかかると見(み)える。142矢張(やつぱり)黒姫(くろひめ)のハズバンドとして相当(さうたう)の資格(しかく)を保有(ほいう)して御座(ござ)る。143元(もと)は赤(あか)の他人(たにん)でも夫婦(ふうふ)の愛情(あいじやう)と云(い)ふものは又(また)格別(かくべつ)なものだ』
144と又(また)ニコニコ笑(わら)ひ出(だ)すおかしさよ。
145 一天(いつてん)黒雲(くろくも)漲(みなぎ)り暴風(ばうふう)吹(ふ)き起(おこ)り雷鳴(らいめい)轟(とどろ)くかと思(おも)ひきや、146高山彦(たかやまひこ)の円滑(ゑんくわつ)なる言霊(ことたま)の伊吹(いぶき)によつて黒雲(こくうん)忽(たちま)ち四方(しはう)に飛散(ひさん)し、147明皎々(めいかうかう)たる満月(まんげつ)の光(ひかり)、148中天(ちうてん)に綺羅星(きらぼし)の現(あら)はれたる如(ごと)き天候(てんこう)と一変(いつぺん)したりける。
149黒姫(くろひめ)『コレコレ高山彦(たかやまひこ)さま、150お前(まへ)さまは見掛(みか)けに依(よ)らぬ親切(しんせつ)な人(ひと)だつた。151其(その)親切(しんせつ)を吐露(とろ)して高姫(たかひめ)さまの御(ご)機嫌(きげん)を直(なほ)して来(き)て下(くだ)さい。152併(しか)し親切(しんせつ)を尽(つ)くすと云(い)つても程度(ていど)がありますよ』
153高山彦(たかやまひこ)『随分(ずゐぶん)難(むつ)かしい御(ご)註文(ちうもん)ですなア。154其(その)程度(ていど)が一寸(ちよつと)分(わか)りませぬ、155何処迄(どこまで)と云(い)ふ制限(せいげん)を与(あた)へて下(くだ)さいな』
156黒姫(くろひめ)『エヽ不粋(ぶすゐ)な人(ひと)だなア。157そこはそれ、158不離(ふり)不即(ふそく)の間(あひだ)に立(た)つて円満(ゑんまん)解決(かいけつ)を計(はか)るのだ。159電波(でんぱ)を送(おく)るなぞは絶対(ぜつたい)に禁物(きんもつ)ですからな』
160高山彦(たかやまひこ)『誰(たれ)がアンナ婆(ば)アさまに電波(でんぱ)を送(おく)つて堪(たま)るものか、161安心(あんしん)なさい』
162黒姫(くろひめ)『婆(ば)アさまに電波(でんぱ)を送(おく)らぬと仰有(おつしや)つたが、163高姫(たかひめ)さまが婆(ば)アさまなら、164私(わたし)はもう一(ひと)つ婆(ば)アさまだ、165そうするとお前(まへ)は余程(よほど)険呑(けんのん)な人(ひと)だナア。166これだから折角(せつかく)出(で)て来(き)たお民(たみ)を、167巧(うま)い事(こと)を云(い)つて高城山(たかしろやま)迄(まで)放(はう)り出(だ)したのだ。168コレ高山(たかやま)さま、169ソンナ事(こと)に抜(ぬ)け目(め)のある様(やう)な、170素人(しろうと)とは違(ちが)ひますよ。171此(この)道(みち)にかけたら、172世界一(せかいいち)の経験者(けいけんしや)だから、173お前(まへ)の様(やう)な雛子(ひよつこ)とは違(ちが)ひますよ、174確(しつか)りとやつて来(き)なさい。175これからは婆(ば)アと云(い)ふ事(こと)は云(い)つて貰(もら)ひますまい。176年(とし)は取(と)つても心(こころ)は二八(にはち)の花盛(はなざか)り、177霊主(れいしゆ)体従(たいじう)の仕組(しぐみ)と云(い)つて心(こころ)に重(おも)きを置(お)くのだよ』
178高山彦(たかやまひこ)『同(おな)じ、179婆(ば)アどつこい、180昔(むかし)の娘(むすめ)でも貴方(あなた)は又(また)格別(かくべつ)ぢや、181どことは無(な)しに、182良(い)い処(ところ)があります哩(わい)』
183黒姫(くろひめ)『それはそうだらう、184七(しち)尺(しやく)の男子(だんし)を手鞠(てまり)の様(やう)に飜弄(ほんろう)すると云(い)ふ黒姫(くろひめ)の腕前(うでまへ)だから、185何程(なにほど)高山(たかやま)さまが、186地団太(ぢだんだ)踏(ふ)んだつて、187足許(あしもと)へも寄(よ)り付(つ)けるものか。188然(しか)し乍(なが)ら、189良(よ)く気(き)を付(つ)けて、190昔(むかし)の娘(むすめ)の高姫(たかひめ)さまに旨(うま)く取(と)り入(い)つて御(ご)機嫌(きげん)を回復(くわいふく)して来(く)るのだ。191呉(く)れ呉(ぐ)れも送(おく)つてはなりませぬぞや』
192 高山彦(たかやまひこ)は迷惑相(めいわくさう)な顔付(かほつき)で高姫(たかひめ)の居間(ゐま)を訪(おとづ)れた。193高姫(たかひめ)は、194夜着(よぎ)を頭(あたま)迄(まで)グツスリ被(かぶ)つて、195捨鉢(すてばち)気味(ぎみ)になつて横(よこ)たはつて居(ゐ)る。
196高山彦(たかやまひこ)『モシモシ高姫(たかひめ)さま、197高山(たかやま)で御座(ござ)います』
198高姫(たかひめ)『コレお前(まへ)さま、199戸惑(とまど)ひをして居(を)るのかな、200私(わたし)は黒姫(くろひめ)さまぢやありませぬよ。201貴方(あなた)のお出(い)でになる処(ところ)は方角違(はうがくちがひ)ですよ。202サアサア トツトとあつちへ往(い)つて下(くだ)さい、203黒姫(くろひめ)さまに痛(いた)くも無(な)い腹(はら)を探(さぐ)られちやお互(たがひ)の迷惑(めいわく)だからなア』
204高山彦(たかやまひこ)『イエイエ決(けつ)して決(けつ)して御(ご)心配(しんぱい)下(くだ)さいますな。205山(やま)の神(かみ)様(さま)の公然(こうぜん)認可(にんか)を得(え)て参(まゐ)りました。206実(じつ)の処(ところ)、207黒姫(くろひめ)がお詫(わび)に参(まゐ)りますので御座(ござ)いますが、208どうも余(あま)り失礼(しつれい)な事(こと)を物(もの)の機(はづみ)で申上(まをしあ)げ、209貴方(あなた)に合(あは)す顔(かほ)がないところから、210私(わたし)に代(かは)つて旨(うま)く御(ご)機嫌(きげん)をドツコイ、211十分(じふぶん)に御(ご)得心(とくしん)の往(ゆ)く様(やう)にお詫(わび)をして来(こ)いと仰有(おつしや)いました。212何卒(どうぞ)黒姫(くろひめ)さまの脱線振(だつせんぶ)りは、213神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)に見直(みなほ)し聞直(ききなほ)し不調法(ぶてうはふ)は宣(の)り直(なほ)して上(あ)げて下(くだ)さいませ』
214高姫(たかひめ)『コレコレお前(まへ)さまは、215何時(いつ)の間(ま)にやら下鶏(したどり)になつて了(しま)つた。216何故(なぜ)それ程(ほど)主人(しゆじん)のクセに奥様(おくさま)に敬語(けいご)を使(つか)ふのだい』
217高山彦(たかやまひこ)『ハイハイこれには、218曰(いは)く因縁(いんねん)が御座(ござ)います』
219高姫(たかひめ)『因縁(いんねん)があるか何(なん)だか知(し)らぬが、220貴方(あなた)がさう御(ご)丁寧(ていねい)な言霊(ことたま)を使(つか)ひなさると、221自然(しぜん)に夫婦仲(ふうふなか)が良(よ)くなつてお目出度(めでた)い。222それだから嬶(かかあ)大明神(だいみやうじん)で、223高山彦(たかやまひこ)さまはお目出度(めでた)いと人(ひと)が云(い)ひますよ。224ホヽヽヽヽ』
225高山彦(たかやまひこ)『何(なん)でも結構(けつこう)です。226何卒(どうぞ)貴方(あなた)も御(ご)機嫌(きげん)を直(なほ)して下(くだ)さい。227さうすれば此(この)お目出度(めでた)い男(をとこ)が尚(なほ)お目出度(めでた)くなりますから、228和合(わがふ)して下(くだ)さい』
229高姫(たかひめ)『和合(わがふ)して下(くだ)さいとはそれは何(なに)を云(い)ひなさる。230一方(いつぱう)の大将(たいしやう)と大将(たいしやう)の争(いさか)ひを平和(へいわ)にするのは和合(わがふ)だが、231何(なん)と云(い)つても、232私(わたし)と黒姫(くろひめ)さまとは師弟(してい)の間柄(あひだがら)ぢやないか。233師匠(ししやう)の私(わたし)に和合(わがふ)して呉(く)れなぞとチツと僣越(せんえつ)ぢやありませぬか。234今迄(いままで)のお気(き)に障(さは)つた処(ところ)は何卒(どうぞ)お許(ゆる)し下(くだ)さいませと謝罪(しやざい)するのが当然(たうぜん)だ、235それをソンナ傲慢(ごうまん)不遜(ふそん)の態度(たいど)では、236高姫(たかひめ)の腹(はら)の虫(むし)が容易(ようい)にチヤキチヤキと承諾(しようだく)致(いた)しませぬよ』
237高山彦(たかやまひこ)『御(お)説(せつ)御尤(ごもつと)も、238夫婦(ふうふ)の仲(なか)と師弟(してい)の間(あひだ)を混同(こんどう)して居(ゐ)ました。239これは黒姫(くろひめ)と私(わたくし)との間(あひだ)に用(もち)ゆる言葉(ことば)で御座(ござ)います。240高姫(たかひめ)のチヤチヤ様(さま)、241何卒(なにとぞ)黒姫(くろひめ)の御(ご)無礼(ぶれい)、242寛大(くわんだい)な大御心(おほみこころ)に見直(みなほ)し聞直(ききなほ)し許(ゆる)してやつて下(くだ)さいませ』
243高姫(たかひめ)『アヽさうかいな、244さう物(もの)が分(わ)かれば、245元(もと)より根(ね)のない喧嘩(けんくわ)だ。246どちらも神(かみ)を思(おも)ひお道(みち)を思(おも)うての争(いさか)ひなのだから、247私人(しじん)としての恨(うら)みはチツとも無(な)いのだ。248どうぞ黒姫(くろひめ)さまに早(はや)く此処(ここ)に来(き)て貰(もら)つて下(くだ)さい』
249高山彦(たかやまひこ)『承知(しようち)致(いた)しました。250黒姫(くろひめ)さまも嘸(さぞ)お喜(よろこ)びになる事(こと)で御座(ござ)いませう』
251高姫(たかひめ)『ソレ又々(またまた)、252貴方(あなた)は奥(おく)さまに対(たい)して敬語(けいご)を使(つか)ひなさる。253余(あま)り見(み)つともよくない、254慎(つつし)みなさいや』
255高山彦(たかやまひこ)『ハイハイ以後(いご)は慎(つつし)みます』
256と此(この)場(ば)を立(た)ち、
257高山彦『アヽ敬語(けいご)を使(つか)はねば、258黒姫(くろひめ)さまには叱(しか)られるなり、259困(こま)つた事(こと)だ』
260と呟(つぶや)きつつ黒姫(くろひめ)の居間(ゐま)に帰(かへ)り来(きた)り、261高山彦(たかやまひこ)は怖(こわ)さうに、262襖(ふすま)をスーツと開(ひら)き、263半分(はんぶん)逃(に)げ腰(ごし)になつて、264顔(かほ)許(ばか)り突出(つきだ)し、265形勢(けいせい)観望(くわんばう)の態度(たいど)を取(と)つて居(ゐ)る。266黒姫(くろひめ)は目敏(めざと)くこれを眺(なが)めて、
267黒姫『コレコレお前(まへ)は高山(たかやま)さまぢやないか。268其(その)態度(たいど)は一体(いつたい)どうしたのだい』
269と震(ふる)ひ声(ごゑ)で呶鳴(どな)り付(つ)けた。
270高山彦『ハイ、271ドドドーモ致(いた)しませぬ』
272と云(い)ひつつびつくりして閾(しきゐ)の外(そと)にドスンと尻餅(しりもち)を搗(つ)きアイタヽヽヽ、
273黒姫(くろひめ)『コレ高山(たかやま)さま、274何(なに)をしとるのだい。275這入(はい)つて来(き)て早(はや)く注進(ちうしん)なさらぬかい』
276 高山彦(たかやまひこ)はもぢもぢし乍(なが)ら、277云(い)ひ難(にく)さうに、
278高山彦『高姫(たかひめ)さまがそれはそれは御(ご)機嫌(きげん)麗(うる)はしく、279和合(わがふ)は和合(わがふ)、280謝罪(しやざい)は謝罪(しやざい)、281そこで和謝(わしや)何(なに)も彼(か)も中立(ちうりつ)と合罪(がふざい)』
282黒姫『何(なん)だか歯切(はぎ)れのせぬ返事(へんじ)だな。283何(なに)は兎(と)もあれ、284高姫(たかひめ)さまのお居間(ゐま)にお伺(うかが)ひしよう、285何時迄(いつまで)兄弟(けいてい)牆(かき)に鬩(せめ)ぐ様(やう)な内輪(うちわ)喧嘩(げんくわ)を継続(けいぞく)して居(ゐ)ても、286お互(たがひ)の不利益(ふりえき)だ。287どれ、288これから和合(わがふ)して来(き)ませう』
289高山彦(たかやまひこ)『モシモシ黒姫(くろひめ)さま、290和合(わがふ)はいけませぬよ』
291黒姫『何(なに)、292和合(わがふ)が不可(いかん)と、293喧嘩(けんくわ)をせいと云(い)ひなさるのか』
294 高山彦(たかやまひこ)は周章(あわて)気味(ぎみ)で、
295高山彦『イエ高姫(たかひめ)さまが、296喧嘩(けんくわ)株式(かぶしき)会社(くわいしや)を創立(さうりつ)なさつて、297株券(かぶけん)を募集(ぼしふ)したり、298社債(しやさい)(謝罪(しやざい))を起(おこ)したりするとか何(なん)とか云(い)つてましたよ。299何(なん)でも些細(ささい)な間違(まちが)ひで、300いつ迄(まで)も蝸牛(くわぎう)角上(かくじやう)の争闘(そうとう)を続(つづ)けて居(を)るのは、301国家(こくか)の内乱(ないらん)も同様(どうやう)だから可成(なるべ)く平和(へいわ)の解決(かいけつ)を致(いた)します』
302 黒姫(くろひめ)は委細(ゐさい)かまはず、303ドスンドスンと床(ゆか)を響(ひび)かせ乍(なが)ら、304高姫(たかひめ)の居間(ゐま)をさして進(すす)み入(い)り、
305黒姫『高姫(たかひめ)様(さま)、306御(ご)機嫌(きげん)は如何(いかが)で御座(ござ)います。307御(ご)無礼(ぶれい)の段(だん)は平(ひら)にお詫(わび)を致(いた)します』
308高姫『イヤ御(ご)無礼(ぶれい)はお互(たがひ)様(さま)で、309何卒(どうぞ)これからは感情(かんじやう)の衝突(しようとつ)は一掃(いつさう)し車(くるま)の両輪(りやうりん)となつて、310神国(しんこく)成就(じやうじゆ)の為(た)めに活動(くわつどう)致(いた)さうぢやありませぬか』
311黒姫『有難(ありがた)う御座(ござ)います。312何分(なにぶん)宜(よろ)しく御(お)願(ねが)ひ致(いた)します』
313高姫『時(とき)に黒姫(くろひめ)さま、314自転倒(おのころ)島(じま)の魔窟(まくつ)ケ原(はら)に残(のこ)してある梅公(うめこう)、315其(その)他(た)の宣伝使(せんでんし)の方々(かたがた)は、316愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して居(を)ると、317又(また)もや三五教(あななひけう)に、318青彦(あをひこ)や常彦(つねひこ)、319夏彦(なつひこ)の様(やう)に沈没(ちんぼつ)すると困(こま)りますから、320今(いま)の内(うち)に本山(ほんざん)に迎(むか)へ取(と)つたらどうでせうか』
321黒姫『ハア御(ご)意見(いけん)通(どほ)り、322黒姫(くろひめ)も賛成(さんせい)致(いた)します。323飛行船(ひかうせん)を二艘(にそう)許(ばか)り、324鶴(つる)、325亀(かめ)の両人(りやうにん)に操縦(さうじう)さして迎(むか)へて帰(かへ)つてはどうでせうか』
326高姫『それは至極(しごく)適任(てきにん)でせう。327コレコレ鶴公(つるこう)、328亀公(かめこう)』
329と高姫(たかひめ)は金切声(かなきりごゑ)を出(だ)して呼(よ)び立(た)て居(ゐ)る。330軈(やが)て鶴(つる)、331亀(かめ)の二人(ふたり)は、332二艘(にそう)の飛行船(ひかうせん)を操縦(さうじう)して四五(しご)の随員(ずゐゐん)と共(とも)に天空(てんくう)を轟(とどろ)かして進(すす)み行(ゆ)く。
333(大正一一・五・七 旧四・一一 藤津久子録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→