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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第19巻(午の巻)
序
凡例
総説三十三魂
第1篇 神慮洪遠
第1章 高熊山
第2章 鶍の嘴
第3章 千騎一騎
第4章 善か悪か
第2篇 意外の意外
第5章 零敗の苦
第6章 和合と謝罪
第7章 牛飲馬食
第8章 大悟徹底
第3篇 至誠通神
第9章 身魂の浄化
第10章 馬鹿正直
第11章 変態動物
第12章 言照姫
第4篇 地異天変
第13章 混線
第14章 声の在所
第15章 山神の滝
第16章 玉照彦
第17章 言霊車
霊の礎(五)
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霊界物語
>
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第19巻(午の巻)
> 第2篇 意外の意外 > 第6章 和合と謝罪
<<< 零敗の苦
(B)
(N)
牛飲馬食 >>>
第六章
和合
(
わがふ
)
と
謝罪
(
しやざい
)
〔六五一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第19巻 如意宝珠 午の巻
篇:
第2篇 意外の意外
よみ(新仮名遣い):
いがいのいがい
章:
第6章 和合と謝罪
よみ(新仮名遣い):
わごうとしゃざい
通し章番号:
651
口述日:
1922(大正11)年05月07日(旧04月11日)
口述場所:
筆録者:
藤津久子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年2月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫、黒姫、高山彦は、ウラナイ教の凋落を話し合っている。蠑螈別も本山を去ってどこかに行ってしまったという。そのうちに高姫と黒姫は、言い争いになってしまう。高姫は怒って部屋に閉じこもってしまった。
高山彦は黒姫をたしなめるが、逆に黒姫の怒りに触れてしまう。しかし高山彦の言霊で逆に機嫌を直し、高山彦は高姫と黒姫の仲を取り持つ役を担うことになった。
高山彦は、またもや巧みな言説で高姫の機嫌を取ると、黒姫の居間に戻ってきた。黒姫は高姫のところに行って、仲直りをした。
そして、今のうちに魔窟ケ原を引き払って本山に迎え取ろうと画策した。そのために鶴公と亀公を魔窟ケ原に遣わした。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-04-02 17:58:45
OBC :
rm1906
愛善世界社版:
88頁
八幡書店版:
第4輯 62頁
修補版:
校定版:
91頁
普及版:
40頁
初版:
ページ備考:
001
一葉
(
いちえふ
)
落
(
お
)
ちて
天下
(
てんか
)
の
秋
(
あき
)
を
知
(
し
)
るとかや。
002
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
も
不相応
(
ふさは
)
ぬフサの
国
(
くに
)
、
003
北山村
(
きたやまむら
)
の
本山
(
ほんざん
)
ウラナイ
教
(
けう
)
の
頭株
(
あたまかぶ
)
、
004
心
(
こころ
)
も
驕
(
おご
)
る
高姫
(
たかひめ
)
が、
005
執着心
(
しふちやくしん
)
の
胸
(
むね
)
の
闇
(
やみ
)
、
006
鼻高
(
はなたか
)
山彦
(
やまひこ
)
や
黒姫
(
くろひめ
)
は、
007
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
に
差
(
さ
)
し
籠
(
こ
)
もり、
008
ウラナイ
教
(
けう
)
の
前途
(
ぜんと
)
に
就
(
つ
)
いて、
009
コソコソ
協議
(
けふぎ
)
を
凝
(
こ
)
らし
居
(
を
)
る。
010
高姫
(
たかひめ
)
『
栄枯
(
ゑいこ
)
盛衰
(
せいすゐ
)
、
011
会者
(
ゑしや
)
定離
(
ぢやうり
)
は
人生
(
じんせい
)
の
常
(
つね
)
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
012
よくも
是
(
これ
)
だけウラナイ
教
(
けう
)
は、
013
庭先
(
にはさき
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
の
風
(
かぜ
)
に
散
(
ち
)
る
如
(
ごと
)
く
凋落
(
てうらく
)
したものだ。
014
彼
(
あ
)
れ
程
(
ほど
)
熱心
(
ねつしん
)
に
活動
(
くわつどう
)
して
居
(
を
)
つた
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
煙
(
けぶり
)
の
如
(
ごと
)
く
此
(
この
)
本山
(
ほんざん
)
から
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
ひ、
015
数多
(
あまた
)
の
部下
(
ぶか
)
や
信徒
(
しんと
)
は
四方
(
しはう
)
に
散乱
(
さんらん
)
し、
016
全
(
まる
)
で
蟹
(
かに
)
の
手足
(
てあし
)
を
もが
れた
様
(
やう
)
な
敗残
(
はいざん
)
のウラナイ
教
(
けう
)
、
017
何
(
なん
)
とか
回復
(
くわいふく
)
の
道
(
みち
)
を
講
(
かう
)
ぜねばなりますまいよ』
018
黒姫
(
くろひめ
)
『
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまも
此
(
この
)
際
(
さい
)
、
019
ちつとどうかして
居
(
ゐ
)
らつしやるのではありますまいかなア』
020
高姫
(
たかひめ
)
『
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
は
外国
(
ぐわいこく
)
での
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
、
021
世界
(
せかい
)
の
隅々
(
すみずみ
)
迄
(
まで
)
も
調
(
しら
)
べに
往
(
い
)
つて
御座
(
ござ
)
るのだから
今
(
いま
)
はお
留守
(
るす
)
だ。
022
何
(
いづ
)
れお
帰
(
かへ
)
りになれば、
023
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守護
(
しゆご
)
になるのは
定
(
きま
)
つて
居
(
を
)
りますが、
024
さうだと
云
(
い
)
つて
此
(
この
)
儘
(
まま
)
放任
(
はうにん
)
して
置
(
お
)
けば
此
(
この
)
本山
(
ほんざん
)
は、
025
孤城
(
こじやう
)
落日
(
らくじつ
)
、
026
土崩
(
どほう
)
瓦解
(
ぐわかい
)
の
憂目
(
うきめ
)
に
会
(
あは
)
ねばなりませぬワ。
027
それよりも
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
028
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
は
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
はどうして
御座
(
ござ
)
るのでせう。
029
随分
(
ずゐぶん
)
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ですねエ。
030
コンナ
時
(
とき
)
に
御
(
ご
)
活動
(
くわつどう
)
下
(
くだ
)
されば
宜
(
よろ
)
しいのに』
031
黒姫
(
くろひめ
)
『
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
は
貴方
(
あなた
)
もお
筆先
(
ふでさき
)
で
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り、
032
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
に
引添
(
ひつそ
)
うて
一所
(
いつしよ
)
に
外国
(
ぐわいこく
)
で
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
して
居
(
を
)
られるに
定
(
きま
)
つて
居
(
を
)
るぢやありませぬか。
033
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
は、
034
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
一件
(
いつけん
)
から
何処
(
どこ
)
ともなしに、
035
ボーとなさいましたなア』
036
高姫
(
たかひめ
)
『
黒姫
(
くろひめ
)
さまも
御
(
ご
)
同様
(
どうやう
)
ぢやありませぬか。
037
貴女
(
あなた
)
は、
038
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまが、
039
あちらにお
出
(
い
)
でになつてから、
040
日増
(
ひまし
)
に、
041
ボンヤリなされましたさうですよ。
042
御
(
ご
)
自分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
は
御
(
ご
)
自分
(
じぶん
)
には
分
(
わか
)
りますまいが、
043
寅若
(
とらわか
)
がそう
云
(
い
)
つてましたぞえ』
044
黒姫
(
くろひめ
)
『
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
います。
045
そう
人
(
ひと
)
を
見損
(
みそこ
)
なつて
貰
(
もら
)
つては
困
(
こま
)
ります。
046
高山
(
たかやま
)
さまがお
出
(
い
)
でになつて
以来
(
いらい
)
といふものは、
047
層一層
(
そういつそう
)
活動
(
くわつどう
)
しました。
048
それよりも
高姫
(
たかひめ
)
さま、
049
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
うとお
気
(
き
)
に
障
(
さは
)
るか
知
(
し
)
れませぬが、
050
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまが
此
(
この
)
本山
(
ほんざん
)
から
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
されてより、
051
層一層
(
そういつそう
)
気抜
(
きぬ
)
けがなさつた
様
(
やう
)
な、
052
燗
(
かん
)
ざましの
酒
(
さけ
)
を
十日
(
とほか
)
も
放
(
ほ
)
つて
置
(
お
)
いて
飲
(
の
)
みた
様
(
やう
)
な
塩梅
(
あんばい
)
式
(
しき
)
ですよ。
053
お
互
(
たがひ
)
に
気
(
き
)
を
取直
(
とりなほ
)
して
確
(
しつか
)
りと
仕様
(
しやう
)
ではありませぬか。
054
あの
三五教
(
あななひけう
)
を
御覧
(
ごらん
)
なさい。
055
旭日
(
きよくじつ
)
昇天
(
しようてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
、
056
まるでウラナイ
教
(
けう
)
なぞとは
比較物
(
くらべもの
)
になりませぬワ』
057
高姫
(
たかひめ
)
『
憎
(
にく
)
まれ
子
(
ご
)
世
(
よ
)
に
覇張
(
はば
)
る、
058
と
云
(
い
)
つて、
059
悪
(
あく
)
が
栄
(
さか
)
える
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ、
060
その
悪
(
あく
)
の
世
(
よ
)
に
栄
(
さか
)
ゆる
教
(
をしへ
)
だから
大概
(
たいがい
)
分
(
わか
)
つて
居
(
を
)
りますよ。
061
併
(
しか
)
し
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
迄
(
まで
)
悪
(
あく
)
の
身魂
(
みたま
)
は
世
(
よ
)
に
覇張
(
はば
)
る、
062
善
(
ぜん
)
の
身魂
(
みたま
)
は
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
ても
一厘
(
いちりん
)
でグレンと
覆
(
かへ
)
ると
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
る。
063
三五教
(
あななひけう
)
は
何程
(
なにほど
)
沢山
(
たくさん
)
集
(
あつ
)
まつて
居
(
ゐ
)
ても
烏合
(
うがふ
)
の
衆
(
しう
)
ですよ。
064
何
(
いづ
)
れ
内裏
(
うちうら
)
から
内閣
(
ないかく
)
瓦解
(
ぐわかい
)
の
運命
(
うんめい
)
が
萌
(
きざ
)
しかけて
居
(
を
)
ります。
065
ウラナイ
教
(
けう
)
は
少数
(
せうすう
)
でも、
066
善一筋
(
ぜんひとすぢ
)
の
誠
(
まこと
)
生粋
(
きつすゐ
)
の
大和
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
堅実
(
けんじつ
)
な
信仰
(
しんかう
)
の
団体
(
だんたい
)
だ。
067
万卒
(
ばんそつ
)
は
得易
(
えやす
)
く
一将
(
いつしやう
)
は
得難
(
えがた
)
しと
云
(
い
)
つてな、
068
少数
(
せうすう
)
なのは
結構
(
けつこう
)
ですよ。
069
余
(
あんま
)
り
瓦落多
(
がらくた
)
人足
(
にんそく
)
がガラガラ
寄
(
よ
)
つて
居
(
を
)
ると、
070
遂
(
つひ
)
に
虫
(
むし
)
が
わき
まして
水晶
(
すゐしやう
)
の
水
(
みづ
)
が
臭
(
くさ
)
くなり、
071
孑孑
(
ぼうふり
)
が
わい
て
鼻持
(
はなも
)
ちならぬ
臭
(
にほひ
)
がし
出
(
だ
)
し、
072
終局
(
しまひ
)
には
此
(
この
)
孑孑
(
ぼうふり
)
に
羽
(
はね
)
が
生
(
は
)
えて
飛散
(
ひさん
)
し、
073
遂
(
つひ
)
には
人
(
ひと
)
の
頭
(
あたま
)
に
留
(
と
)
まつて
生血
(
いきち
)
を
絞
(
しぼ
)
る
様
(
やう
)
になります
哩
(
わい
)
。
074
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
075
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守護
(
しゆご
)
になれば
一度
(
いちど
)
にグレンと
覆
(
かへ
)
るお
仕組
(
しぐみ
)
がして
御座
(
ござ
)
います』
076
黒姫
(
くろひめ
)
『さうすると
善
(
ぜん
)
許
(
ばか
)
り
選
(
よ
)
り
抜
(
ぬ
)
いて、
077
身魂
(
みたま
)
の
曇
(
くも
)
つた
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
も
寄
(
よ
)
せないと
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
方針
(
はうしん
)
ですかな』
078
高姫
(
たかひめ
)
『
其処
(
そこ
)
は
惟神
(
かむながら
)
ですよ。
079
無理
(
むり
)
に
引張
(
ひつぱり
)
に
行
(
い
)
つた
処
(
ところ
)
で
寄
(
よ
)
らなきや
仕方
(
しかた
)
がありませぬワ。
080
又
(
また
)
何程
(
なにほど
)
引留
(
ひきと
)
めたつて
綱
(
つな
)
を
付
(
つ
)
けて
縛
(
しば
)
つて
置
(
お
)
く
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
081
脱退
(
だつたい
)
する
者
(
もの
)
は
是
(
これ
)
も
惟神
(
かむながら
)
に
任
(
まか
)
して、
082
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
を
取
(
と
)
らして
置
(
お
)
くのですな。
083
来
(
きた
)
る
者
(
もの
)
は
拒
(
こば
)
まず、
084
去
(
さ
)
る
者
(
もの
)
は
追
(
お
)
はずと
云
(
い
)
ふのが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
思召
(
おぼしめし
)
だ。
085
無理
(
むり
)
に
引張
(
ひつぱ
)
りに
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さるなよ、
086
時節
(
じせつ
)
参
(
まゐ
)
りたら
神
(
かみ
)
が
誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて
誠
(
まこと
)
の
御用
(
ごよう
)
をさすぞよ。
087
と
仰有
(
おつしや
)
るのだから、
088
そうヤキモキ
心配
(
しんぱい
)
するには
及
(
およ
)
びませぬ
哩
(
わい
)
』
089
黒姫
(
くろひめ
)
『それでも
玉照姫
(
たまてるひめ
)
さまを
無理
(
むり
)
に
引張
(
ひつぱつ
)
て
来
(
こ
)
いと
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
をなさつたぢやありませぬか』
090
高姫
(
たかひめ
)
『それはあなたの
量見違
(
りやうけんちがひ
)
だ。
091
無理
(
むり
)
に
引
(
ひ
)
つぱらうとするから、
092
取
(
と
)
り
逃
(
にが
)
したのだ。
093
向
(
むか
)
うの
方
(
はう
)
から
何卒
(
どうぞ
)
玉照姫
(
たまてるひめ
)
様
(
さま
)
をお
預
(
あづか
)
り
下
(
くだ
)
さいと
云
(
い
)
つて
来
(
く
)
る
様
(
やう
)
に、
094
上手
(
じやうず
)
に
仕向
(
しむ
)
けぬから、
095
そンな
事
(
こと
)
にかけては
抜目
(
ぬけめ
)
のない
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
は
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
をやつたぢやないか。
096
お
前
(
まへ
)
さまも
随分
(
ずゐぶん
)
賢
(
かしこ
)
いお
方
(
かた
)
ぢやが、
097
千慮
(
せんりよ
)
の
一失
(
いつしつ
)
とか
云
(
い
)
つて、
098
此
(
この
)
度
(
たび
)
あの
件
(
けん
)
に
限
(
かぎ
)
つては
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
失敗
(
しつぱい
)
でしたよ』
099
黒姫
(
くろひめ
)
『そうだと
云
(
い
)
つて、
100
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
を
)
れば
三五教
(
あななひけう
)
に
八九分
(
はちくぶ
)
取
(
と
)
られて
了
(
しま
)
ふ
様
(
やう
)
になつて
居
(
ゐ
)
たのだから、
101
ソンナ
廻
(
まは
)
り
遠
(
どほ
)
い
事
(
こと
)
をして
居
(
を
)
つては、
102
六菖
(
ろくしやう
)
十菊
(
じつきく
)
の
悔
(
く
)
いを
残
(
のこ
)
さねばならぬと
思
(
おも
)
つたから
非常
(
ひじやう
)
手段
(
しゆだん
)
をやつただけの
事
(
こと
)
です。
103
勝敗
(
しようはい
)
は
時
(
とき
)
の
運
(
うん
)
、
104
今
(
いま
)
になつて
死
(
し
)
ンだ
児
(
こ
)
の
年
(
とし
)
を
数
(
かぞ
)
へたつて
仕方
(
しかた
)
がありませぬワ。
105
貴方
(
あなた
)
も
余程
(
よほど
)
愚痴
(
ぐち
)
つぽくなつて、
106
取返
(
とりかへ
)
しのつかぬ
愚痴
(
ぐち
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひなさいますな』
107
高姫
(
たかひめ
)
は
眉
(
まゆ
)
をキリリとつり
上
(
あ
)
げ、
108
ドシンと
四股
(
しこ
)
を
踏
(
ふ
)
み、
109
畳
(
たたみ
)
を
鳴
(
な
)
らしプリンと
尻
(
しり
)
を
向
(
む
)
け、
110
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したり。
111
高山彦
(
たかやまひこ
)
『コレコレ
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
112
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのだい。
113
大将
(
たいしやう
)
や
師匠
(
ししやう
)
は
無理
(
むり
)
を
云
(
い
)
ふものだと
思
(
おも
)
へと
何時
(
いつ
)
も
部下
(
ぶか
)
の
者
(
もの
)
に
云
(
い
)
つて
聞
(
き
)
かせて
居
(
ゐ
)
乍
(
なが
)
ら、
114
何故
(
なぜ
)
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ
口答
(
くちごた
)
へをしたり、
115
言
(
い
)
ひ
込
(
こ
)
めたりなさるのだ。
116
仲
(
なか
)
に
立
(
た
)
つた
柱
(
はしら
)
の
私
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
とも
挨拶
(
あいさつ
)
の
仕様
(
しやう
)
が
無
(
な
)
いではないか』
117
黒姫
(
くろひめ
)
は
目
(
め
)
に
角
(
かど
)
立
(
た
)
てて、
118
黒姫
『コレお
前
(
まへ
)
さま、
119
以前
(
いぜん
)
由良
(
ゆら
)
の
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
つた
時
(
とき
)
に、
120
何
(
なん
)
でも
彼
(
か
)
でも
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
すると
云
(
い
)
つたぢやないか、
121
草履取
(
ざうりとり
)
にでもして
呉
(
く
)
れと
云
(
い
)
つたではないか。
122
今
(
いま
)
良
(
よ
)
い
亭主面
(
ていしゆづら
)
をして
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
に
一々
(
いちいち
)
干渉
(
かんせう
)
なさるのか。
123
黙
(
だま
)
つて
引込
(
ひつこ
)
みて
居
(
ゐ
)
なさい、
124
お
前
(
まへ
)
さまが
首
(
くび
)
を
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
して
出
(
で
)
しやばる
幕
(
まく
)
ぢやないのだ。
125
余
(
あま
)
り
差出口
(
さしでぐち
)
をしなさると
箝口令
(
かんこうれい
)
を
励行
(
れいかう
)
しますぞ』
126
高山彦
(
たかやまひこ
)
『ハイハイ
竜宮
(
りうぐう
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
逆鱗
(
げきりん
)
、
127
もう
是
(
こ
)
れからは
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
りますワイ』
128
黒姫
(
くろひめ
)
『
何程
(
なにほど
)
黒姫
(
くろひめ
)
が
砲弾
(
はうだん
)
を
発射
(
はつしや
)
しても、
129
高山
(
たかやま
)
砲台
(
はうだい
)
は
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
つて
決
(
けつ
)
して
応戦
(
おうせん
)
してはなりませぬぞや。
130
二〇三
(
にひやくさん
)
高地
(
かうち
)
の
性念場
(
しやうねんば
)
になつて
居
(
を
)
るのに
傍
(
はた
)
から
敵
(
てき
)
の
援軍
(
ゑんぐん
)
が
来
(
き
)
て
堪
(
たま
)
るものか』
131
高山彦
(
たかやまひこ
)
『ハイハイ
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
132
どつか、
133
渤海湾
(
ぼつかいわん
)
の
海底
(
かいてい
)
にでも
伏艇
(
ふくてい
)
して
形勢
(
けいせい
)
観望
(
くわんばう
)
と
出
(
で
)
かけませう。
134
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
黒船
(
くろぶね
)
が
敵弾
(
てきだん
)
を
受
(
う
)
けて
苦戦
(
くせん
)
の
最中
(
さいちう
)
を
見
(
み
)
て
居
(
を
)
る
私
(
わたし
)
は、
135
どうしても
中立
(
ちうりつ
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
は
取
(
と
)
れませぬワ。
136
何
(
なん
)
とか
応援
(
おうゑん
)
を
致
(
いた
)
し
度
(
た
)
い
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
が
致
(
いた
)
します』
137
黒姫
(
くろひめ
)
は
稍
(
やや
)
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
し、
138
黒姫
『アヽさうかいなア、
139
それが
真心
(
まごころ
)
の
現
(
あら
)
はれと
云
(
い
)
ふものだ。
140
矢張
(
やつぱ
)
り
気
(
き
)
になるかいなア、
141
夫婦
(
ふうふ
)
となれば
気
(
き
)
にかかると
見
(
み
)
える。
142
矢張
(
やつぱり
)
黒姫
(
くろひめ
)
のハズバンドとして
相当
(
さうたう
)
の
資格
(
しかく
)
を
保有
(
ほいう
)
して
御座
(
ござ
)
る。
143
元
(
もと
)
は
赤
(
あか
)
の
他人
(
たにん
)
でも
夫婦
(
ふうふ
)
の
愛情
(
あいじやう
)
と
云
(
い
)
ふものは
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
なものだ』
144
と
又
(
また
)
ニコニコ
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
すおかしさよ。
145
一天
(
いつてん
)
黒雲
(
くろくも
)
漲
(
みなぎ
)
り
暴風
(
ばうふう
)
吹
(
ふ
)
き
起
(
おこ
)
り
雷鳴
(
らいめい
)
轟
(
とどろ
)
くかと
思
(
おも
)
ひきや、
146
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
円滑
(
ゑんくわつ
)
なる
言霊
(
ことたま
)
の
伊吹
(
いぶき
)
によつて
黒雲
(
こくうん
)
忽
(
たちま
)
ち
四方
(
しはう
)
に
飛散
(
ひさん
)
し、
147
明皎々
(
めいかうかう
)
たる
満月
(
まんげつ
)
の
光
(
ひかり
)
、
148
中天
(
ちうてん
)
に
綺羅星
(
きらぼし
)
の
現
(
あら
)
はれたる
如
(
ごと
)
き
天候
(
てんこう
)
と
一変
(
いつぺん
)
したりける。
149
黒姫
(
くろひめ
)
『コレコレ
高山彦
(
たかやまひこ
)
さま、
150
お
前
(
まへ
)
さまは
見掛
(
みか
)
けに
依
(
よ
)
らぬ
親切
(
しんせつ
)
な
人
(
ひと
)
だつた。
151
其
(
その
)
親切
(
しんせつ
)
を
吐露
(
とろ
)
して
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
して
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい。
152
併
(
しか
)
し
親切
(
しんせつ
)
を
尽
(
つ
)
くすと
云
(
い
)
つても
程度
(
ていど
)
がありますよ』
153
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
随分
(
ずゐぶん
)
難
(
むつ
)
かしい
御
(
ご
)
註文
(
ちうもん
)
ですなア。
154
其
(
その
)
程度
(
ていど
)
が
一寸
(
ちよつと
)
分
(
わか
)
りませぬ、
155
何処迄
(
どこまで
)
と
云
(
い
)
ふ
制限
(
せいげん
)
を
与
(
あた
)
へて
下
(
くだ
)
さいな』
156
黒姫
(
くろひめ
)
『エヽ
不粋
(
ぶすゐ
)
な
人
(
ひと
)
だなア。
157
そこはそれ、
158
不離
(
ふり
)
不即
(
ふそく
)
の
間
(
あひだ
)
に
立
(
た
)
つて
円満
(
ゑんまん
)
解決
(
かいけつ
)
を
計
(
はか
)
るのだ。
159
電波
(
でんぱ
)
を
送
(
おく
)
るなぞは
絶対
(
ぜつたい
)
に
禁物
(
きんもつ
)
ですからな』
160
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
誰
(
たれ
)
がアンナ
婆
(
ば
)
アさまに
電波
(
でんぱ
)
を
送
(
おく
)
つて
堪
(
たま
)
るものか、
161
安心
(
あんしん
)
なさい』
162
黒姫
(
くろひめ
)
『
婆
(
ば
)
アさまに
電波
(
でんぱ
)
を
送
(
おく
)
らぬと
仰有
(
おつしや
)
つたが、
163
高姫
(
たかひめ
)
さまが
婆
(
ば
)
アさまなら、
164
私
(
わたし
)
はもう
一
(
ひと
)
つ
婆
(
ば
)
アさまだ、
165
そうするとお
前
(
まへ
)
は
余程
(
よほど
)
険呑
(
けんのん
)
な
人
(
ひと
)
だナア。
166
これだから
折角
(
せつかく
)
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たお
民
(
たみ
)
を、
167
巧
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
高城山
(
たかしろやま
)
迄
(
まで
)
放
(
はう
)
り
出
(
だ
)
したのだ。
168
コレ
高山
(
たかやま
)
さま、
169
ソンナ
事
(
こと
)
に
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のある
様
(
やう
)
な、
170
素人
(
しろうと
)
とは
違
(
ちが
)
ひますよ。
171
此
(
この
)
道
(
みち
)
にかけたら、
172
世界一
(
せかいいち
)
の
経験者
(
けいけんしや
)
だから、
173
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
雛子
(
ひよつこ
)
とは
違
(
ちが
)
ひますよ、
174
確
(
しつか
)
りとやつて
来
(
き
)
なさい。
175
これからは
婆
(
ば
)
アと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
ひますまい。
176
年
(
とし
)
は
取
(
と
)
つても
心
(
こころ
)
は
二八
(
にはち
)
の
花盛
(
はなざか
)
り、
177
霊主
(
れいしゆ
)
体従
(
たいじう
)
の
仕組
(
しぐみ
)
と
云
(
い
)
つて
心
(
こころ
)
に
重
(
おも
)
きを
置
(
お
)
くのだよ』
178
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
同
(
おな
)
じ、
179
婆
(
ば
)
アどつこい、
180
昔
(
むかし
)
の
娘
(
むすめ
)
でも
貴方
(
あなた
)
は
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
ぢや、
181
どことは
無
(
な
)
しに、
182
良
(
い
)
い
処
(
ところ
)
があります
哩
(
わい
)
』
183
黒姫
(
くろひめ
)
『それはそうだらう、
184
七
(
しち
)
尺
(
しやく
)
の
男子
(
だんし
)
を
手鞠
(
てまり
)
の
様
(
やう
)
に
飜弄
(
ほんろう
)
すると
云
(
い
)
ふ
黒姫
(
くろひめ
)
の
腕前
(
うでまへ
)
だから、
185
何程
(
なにほど
)
高山
(
たかやま
)
さまが、
186
地団太
(
ぢだんだ
)
踏
(
ふ
)
んだつて、
187
足許
(
あしもと
)
へも
寄
(
よ
)
り
付
(
つ
)
けるものか。
188
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
189
良
(
よ
)
く
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて、
190
昔
(
むかし
)
の
娘
(
むすめ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまに
旨
(
うま
)
く
取
(
と
)
り
入
(
い
)
つて
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
回復
(
くわいふく
)
して
来
(
く
)
るのだ。
191
呉
(
く
)
れ
呉
(
ぐ
)
れも
送
(
おく
)
つてはなりませぬぞや』
192
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
迷惑相
(
めいわくさう
)
な
顔付
(
かほつき
)
で
高姫
(
たかひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
を
訪
(
おとづ
)
れた。
193
高姫
(
たかひめ
)
は、
194
夜着
(
よぎ
)
を
頭
(
あたま
)
迄
(
まで
)
グツスリ
被
(
かぶ
)
つて、
195
捨鉢
(
すてばち
)
気味
(
ぎみ
)
になつて
横
(
よこ
)
たはつて
居
(
ゐ
)
る。
196
高山彦
(
たかやまひこ
)
『モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
197
高山
(
たかやま
)
で
御座
(
ござ
)
います』
198
高姫
(
たかひめ
)
『コレお
前
(
まへ
)
さま、
199
戸惑
(
とまど
)
ひをして
居
(
を
)
るのかな、
200
私
(
わたし
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
さまぢやありませぬよ。
201
貴方
(
あなた
)
のお
出
(
い
)
でになる
処
(
ところ
)
は
方角違
(
はうがくちがひ
)
ですよ。
202
サアサア トツトとあつちへ
往
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
203
黒姫
(
くろひめ
)
さまに
痛
(
いた
)
くも
無
(
な
)
い
腹
(
はら
)
を
探
(
さぐ
)
られちやお
互
(
たがひ
)
の
迷惑
(
めいわく
)
だからなア』
204
高山彦
(
たかやまひこ
)
『イエイエ
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな。
205
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
公然
(
こうぜん
)
認可
(
にんか
)
を
得
(
え
)
て
参
(
まゐ
)
りました。
206
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
、
207
黒姫
(
くろひめ
)
がお
詫
(
わび
)
に
参
(
まゐ
)
りますので
御座
(
ござ
)
いますが、
208
どうも
余
(
あま
)
り
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
物
(
もの
)
の
機
(
はづみ
)
で
申上
(
まをしあ
)
げ、
209
貴方
(
あなた
)
に
合
(
あは
)
す
顔
(
かほ
)
がないところから、
210
私
(
わたし
)
に
代
(
かは
)
つて
旨
(
うま
)
く
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
をドツコイ、
211
十分
(
じふぶん
)
に
御
(
ご
)
得心
(
とくしん
)
の
往
(
ゆ
)
く
様
(
やう
)
にお
詫
(
わび
)
をして
来
(
こ
)
いと
仰有
(
おつしや
)
いました。
212
何卒
(
どうぞ
)
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
脱線振
(
だつせんぶ
)
りは、
213
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
不調法
(
ぶてうはふ
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
して
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さいませ』
214
高姫
(
たかひめ
)
『コレコレお
前
(
まへ
)
さまは、
215
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
下鶏
(
したどり
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
216
何故
(
なぜ
)
それ
程
(
ほど
)
主人
(
しゆじん
)
のクセに
奥様
(
おくさま
)
に
敬語
(
けいご
)
を
使
(
つか
)
ふのだい』
217
高山彦
(
たかやまひこ
)
『ハイハイこれには、
218
曰
(
いは
)
く
因縁
(
いんねん
)
が
御座
(
ござ
)
います』
219
高姫
(
たかひめ
)
『
因縁
(
いんねん
)
があるか
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが、
220
貴方
(
あなた
)
がさう
御
(
ご
)
丁寧
(
ていねい
)
な
言霊
(
ことたま
)
を
使
(
つか
)
ひなさると、
221
自然
(
しぜん
)
に
夫婦仲
(
ふうふなか
)
が
良
(
よ
)
くなつてお
目出度
(
めでた
)
い。
222
それだから
嬶
(
かかあ
)
大明神
(
だいみやうじん
)
で、
223
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまはお
目出度
(
めでた
)
いと
人
(
ひと
)
が
云
(
い
)
ひますよ。
224
ホヽヽヽヽ』
225
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
何
(
なん
)
でも
結構
(
けつこう
)
です。
226
何卒
(
どうぞ
)
貴方
(
あなた
)
も
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
して
下
(
くだ
)
さい。
227
さうすれば
此
(
この
)
お
目出度
(
めでた
)
い
男
(
をとこ
)
が
尚
(
なほ
)
お
目出度
(
めでた
)
くなりますから、
228
和合
(
わがふ
)
して
下
(
くだ
)
さい』
229
高姫
(
たかひめ
)
『
和合
(
わがふ
)
して
下
(
くだ
)
さいとはそれは
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ひなさる。
230
一方
(
いつぱう
)
の
大将
(
たいしやう
)
と
大将
(
たいしやう
)
の
争
(
いさか
)
ひを
平和
(
へいわ
)
にするのは
和合
(
わがふ
)
だが、
231
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
232
私
(
わたし
)
と
黒姫
(
くろひめ
)
さまとは
師弟
(
してい
)
の
間柄
(
あひだがら
)
ぢやないか。
233
師匠
(
ししやう
)
の
私
(
わたし
)
に
和合
(
わがふ
)
して
呉
(
く
)
れなぞとチツと
僣越
(
せんえつ
)
ぢやありませぬか。
234
今迄
(
いままで
)
のお
気
(
き
)
に
障
(
さは
)
つた
処
(
ところ
)
は
何卒
(
どうぞ
)
お
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませと
謝罪
(
しやざい
)
するのが
当然
(
たうぜん
)
だ、
235
それをソンナ
傲慢
(
ごうまん
)
不遜
(
ふそん
)
の
態度
(
たいど
)
では、
236
高姫
(
たかひめ
)
の
腹
(
はら
)
の
虫
(
むし
)
が
容易
(
ようい
)
にチヤキチヤキと
承諾
(
しようだく
)
致
(
いた
)
しませぬよ』
237
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
御
(
お
)
説
(
せつ
)
御尤
(
ごもつと
)
も、
238
夫婦
(
ふうふ
)
の
仲
(
なか
)
と
師弟
(
してい
)
の
間
(
あひだ
)
を
混同
(
こんどう
)
して
居
(
ゐ
)
ました。
239
これは
黒姫
(
くろひめ
)
と
私
(
わたくし
)
との
間
(
あひだ
)
に
用
(
もち
)
ゆる
言葉
(
ことば
)
で
御座
(
ござ
)
います。
240
高姫
(
たかひめ
)
のチヤチヤ
様
(
さま
)
、
241
何卒
(
なにとぞ
)
黒姫
(
くろひめ
)
の
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
、
242
寛大
(
くわんだい
)
な
大御心
(
おほみこころ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
許
(
ゆる
)
してやつて
下
(
くだ
)
さいませ』
243
高姫
(
たかひめ
)
『アヽさうかいな、
244
さう
物
(
もの
)
が
分
(
わ
)
かれば、
245
元
(
もと
)
より
根
(
ね
)
のない
喧嘩
(
けんくわ
)
だ。
246
どちらも
神
(
かみ
)
を
思
(
おも
)
ひお
道
(
みち
)
を
思
(
おも
)
うての
争
(
いさか
)
ひなのだから、
247
私人
(
しじん
)
としての
恨
(
うら
)
みはチツとも
無
(
な
)
いのだ。
248
どうぞ
黒姫
(
くろひめ
)
さまに
早
(
はや
)
く
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
249
高山彦
(
たかやまひこ
)
『
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
250
黒姫
(
くろひめ
)
さまも
嘸
(
さぞ
)
お
喜
(
よろこ
)
びになる
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
251
高姫
(
たかひめ
)
『ソレ
又々
(
またまた
)
、
252
貴方
(
あなた
)
は
奥
(
おく
)
さまに
対
(
たい
)
して
敬語
(
けいご
)
を
使
(
つか
)
ひなさる。
253
余
(
あま
)
り
見
(
み
)
つともよくない、
254
慎
(
つつし
)
みなさいや』
255
高山彦
(
たかやまひこ
)
『ハイハイ
以後
(
いご
)
は
慎
(
つつし
)
みます』
256
と
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち、
257
高山彦
『アヽ
敬語
(
けいご
)
を
使
(
つか
)
はねば、
258
黒姫
(
くろひめ
)
さまには
叱
(
しか
)
られるなり、
259
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
だ』
260
と
呟
(
つぶや
)
きつつ
黒姫
(
くろひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
261
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
怖
(
こわ
)
さうに、
262
襖
(
ふすま
)
をスーツと
開
(
ひら
)
き、
263
半分
(
はんぶん
)
逃
(
に
)
げ
腰
(
ごし
)
になつて、
264
顔
(
かほ
)
許
(
ばか
)
り
突出
(
つきだ
)
し、
265
形勢
(
けいせい
)
観望
(
くわんばう
)
の
態度
(
たいど
)
を
取
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
266
黒姫
(
くろひめ
)
は
目敏
(
めざと
)
くこれを
眺
(
なが
)
めて、
267
黒姫
『コレコレお
前
(
まへ
)
は
高山
(
たかやま
)
さまぢやないか。
268
其
(
その
)
態度
(
たいど
)
は
一体
(
いつたい
)
どうしたのだい』
269
と
震
(
ふる
)
ひ
声
(
ごゑ
)
で
呶鳴
(
どな
)
り
付
(
つ
)
けた。
270
高山彦
『ハイ、
271
ドドドーモ
致
(
いた
)
しませぬ』
272
と
云
(
い
)
ひつつびつくりして
閾
(
しきゐ
)
の
外
(
そと
)
にドスンと
尻餅
(
しりもち
)
を
搗
(
つ
)
きアイタヽヽヽ、
273
黒姫
(
くろひめ
)
『コレ
高山
(
たかやま
)
さま、
274
何
(
なに
)
をしとるのだい。
275
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
て
早
(
はや
)
く
注進
(
ちうしん
)
なさらぬかい』
276
高山彦
(
たかやまひこ
)
はもぢもぢし
乍
(
なが
)
ら、
277
云
(
い
)
ひ
難
(
にく
)
さうに、
278
高山彦
『
高姫
(
たかひめ
)
さまがそれはそれは
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
麗
(
うる
)
はしく、
279
和合
(
わがふ
)
は
和合
(
わがふ
)
、
280
謝罪
(
しやざい
)
は
謝罪
(
しやざい
)
、
281
そこで
和謝
(
わしや
)
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
中立
(
ちうりつ
)
と
合罪
(
がふざい
)
』
282
黒姫
『
何
(
なん
)
だか
歯切
(
はぎ
)
れのせぬ
返事
(
へんじ
)
だな。
283
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
284
高姫
(
たかひめ
)
さまのお
居間
(
ゐま
)
にお
伺
(
うかが
)
ひしよう、
285
何時迄
(
いつまで
)
兄弟
(
けいてい
)
牆
(
かき
)
に
鬩
(
せめ
)
ぐ
様
(
やう
)
な
内輪
(
うちわ
)
喧嘩
(
げんくわ
)
を
継続
(
けいぞく
)
して
居
(
ゐ
)
ても、
286
お
互
(
たがひ
)
の
不利益
(
ふりえき
)
だ。
287
どれ、
288
これから
和合
(
わがふ
)
して
来
(
き
)
ませう』
289
高山彦
(
たかやまひこ
)
『モシモシ
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
290
和合
(
わがふ
)
はいけませぬよ』
291
黒姫
『
何
(
なに
)
、
292
和合
(
わがふ
)
が
不可
(
いかん
)
と、
293
喧嘩
(
けんくわ
)
をせいと
云
(
い
)
ひなさるのか』
294
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
周章
(
あわて
)
気味
(
ぎみ
)
で、
295
高山彦
『イエ
高姫
(
たかひめ
)
さまが、
296
喧嘩
(
けんくわ
)
株式
(
かぶしき
)
会社
(
くわいしや
)
を
創立
(
さうりつ
)
なさつて、
297
株券
(
かぶけん
)
を
募集
(
ぼしふ
)
したり、
298
社債
(
しやさい
)
(
謝罪
(
しやざい
)
)を
起
(
おこ
)
したりするとか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つてましたよ。
299
何
(
なん
)
でも
些細
(
ささい
)
な
間違
(
まちが
)
ひで、
300
いつ
迄
(
まで
)
も
蝸牛
(
くわぎう
)
角上
(
かくじやう
)
の
争闘
(
そうとう
)
を
続
(
つづ
)
けて
居
(
を
)
るのは、
301
国家
(
こくか
)
の
内乱
(
ないらん
)
も
同様
(
どうやう
)
だから
可成
(
なるべ
)
く
平和
(
へいわ
)
の
解決
(
かいけつ
)
を
致
(
いた
)
します』
302
黒姫
(
くろひめ
)
は
委細
(
ゐさい
)
かまはず、
303
ドスンドスンと
床
(
ゆか
)
を
響
(
ひび
)
かせ
乍
(
なが
)
ら、
304
高姫
(
たかひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
をさして
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
305
黒姫
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
306
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
は
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
います。
307
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
の
段
(
だん
)
は
平
(
ひら
)
にお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
します』
308
高姫
『イヤ
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
はお
互
(
たがひ
)
様
(
さま
)
で、
309
何卒
(
どうぞ
)
これからは
感情
(
かんじやう
)
の
衝突
(
しようとつ
)
は
一掃
(
いつさう
)
し
車
(
くるま
)
の
両輪
(
りやうりん
)
となつて、
310
神国
(
しんこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
為
(
た
)
めに
活動
(
くわつどう
)
致
(
いた
)
さうぢやありませぬか』
311
黒姫
『
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
312
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します』
313
高姫
『
時
(
とき
)
に
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
314
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
魔窟
(
まくつ
)
ケ
原
(
はら
)
に
残
(
のこ
)
してある
梅公
(
うめこう
)
、
315
其
(
その
)
他
(
た
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
方々
(
かたがた
)
は、
316
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
を
)
ると、
317
又
(
また
)
もや
三五教
(
あななひけう
)
に、
318
青彦
(
あをひこ
)
や
常彦
(
つねひこ
)
、
319
夏彦
(
なつひこ
)
の
様
(
やう
)
に
沈没
(
ちんぼつ
)
すると
困
(
こま
)
りますから、
320
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
に
本山
(
ほんざん
)
に
迎
(
むか
)
へ
取
(
と
)
つたらどうでせうか』
321
黒姫
『ハア
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
通
(
どほ
)
り、
322
黒姫
(
くろひめ
)
も
賛成
(
さんせい
)
致
(
いた
)
します。
323
飛行船
(
ひかうせん
)
を
二艘
(
にそう
)
許
(
ばか
)
り、
324
鶴
(
つる
)
、
325
亀
(
かめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
に
操縦
(
さうじう
)
さして
迎
(
むか
)
へて
帰
(
かへ
)
つてはどうでせうか』
326
高姫
『それは
至極
(
しごく
)
適任
(
てきにん
)
でせう。
327
コレコレ
鶴公
(
つるこう
)
、
328
亀公
(
かめこう
)
』
329
と
高姫
(
たかひめ
)
は
金切声
(
かなきりごゑ
)
を
出
(
だ
)
して
呼
(
よ
)
び
立
(
た
)
て
居
(
ゐ
)
る。
330
軈
(
やが
)
て
鶴
(
つる
)
、
331
亀
(
かめ
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
332
二艘
(
にそう
)
の
飛行船
(
ひかうせん
)
を
操縦
(
さうじう
)
して
四五
(
しご
)
の
随員
(
ずゐゐん
)
と
共
(
とも
)
に
天空
(
てんくう
)
を
轟
(
とどろ
)
かして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
333
(
大正一一・五・七
旧四・一一
藤津久子
録)
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