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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第24巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 流転の涙
第1章 粉骨砕身
第2章 唖呍
第3章 波濤の夢
第4章 一島の女王
第2篇 南洋探島
第5章 蘇鉄の森
第6章 アンボイナ島
第7章 メラの滝
第8章 島に訣別
第3篇 危機一髪
第9章 神助の船
第10章 土人の歓迎
第11章 夢の王者
第12章 暴風一過
第4篇 蛮地宣伝
第13章 治安内教
第14章 タールス教
第15章 諏訪湖
第16章 慈愛の涙
霊の礎(一〇)
霊の礎(一一)
神諭
余白歌
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第24巻(亥の巻)
> 第1篇 流転の涙 > 第1章 粉骨砕身
<<< 総説
(B)
(N)
唖呍 >>>
第一章
粉骨
(
ふんこつ
)
砕身
(
さいしん
)
〔七三一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻
篇:
第1篇 流転の涙
よみ(新仮名遣い):
るてんのなみだ
章:
第1章 粉骨砕身
よみ(新仮名遣い):
ふんこつさいしん
通し章番号:
731
口述日:
1922(大正11)年06月14日(旧05月19日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
バラモン教が顕恩郷を支配していたとき、バラモン教幹部の鬼熊別・蜈蚣姫夫婦の間に小糸姫という一人娘があった。
また部下の雉子という男、世才に長けてうまく鬼熊別夫婦に取り入り、宣伝使に取り立てられて友彦という名を賜った。しかし友彦は、なんとかして小糸姫を自分のものにして、鬼熊別の後継となろうという野心を持っていた。
あるとき鬼熊別一家は部下を連れてエデン河に船を浮かべて酒宴を催した。しかし酔った鬼熊別の鉄拳を避けようと逃げる従臣によって船が傾き、小糸姫が激流に飲まれてしまった。
水練に長けた友彦は、小糸姫を助けて蘇生せしめ、無事に館に連れ帰った。喜ぶ鬼熊別夫婦を前にして、友彦は現幹部の不甲斐なさを讒言して取り入る。
小糸姫の無事を祝ってバラモン教の祝典が開かれた。バラモン教棟梁の鬼雲彦は挨拶に立ち、小糸姫の遭難に対して幹部連が何の力にもならなかったことを引き合いに出して、バラモン教の教勢の衰えを嘆き、一同に奮起を促した。
友彦はこれに力を得て登壇し、現幹部の無力を非難して暗に己を売り込んだ。祭典の場は友彦への賛否で騒然となったが、鬼熊別一家とともに友彦はゆうゆうと引き上げた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-07-12 19:17:11
OBC :
rm2401
愛善世界社版:
7頁
八幡書店版:
第4輯 613頁
修補版:
校定版:
7頁
普及版:
3頁
初版:
ページ備考:
001
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
002
埃及国
(
エジプトこく
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
003
イホの
都
(
みやこ
)
に
現
(
あら
)
はれし
004
バラモン
教
(
けう
)
の
大棟梁
(
だいとうりやう
)
005
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
片腕
(
かたうで
)
と
006
頼
(
たの
)
む
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
007
イホの
館
(
やかた
)
の
没落
(
ぼつらく
)
に
008
後
(
あと
)
晦
(
くら
)
まして
瑞穂国
(
みづほくに
)
009
メソポタミヤの
顕恩城
(
けんおんじやう
)
に
010
教
(
をしへ
)
の
射場
(
いば
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
011
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
るバラモンの
012
勢
(
いきほひ
)
旭
(
あさひ
)
の
昇
(
のぼ
)
る
如
(
ごと
)
013
教
(
をしへ
)
は
四方
(
よも
)
に
輝
(
かがや
)
きて
014
天地
(
てんち
)
自然
(
しぜん
)
の
楽園
(
らくゑん
)
に
015
光
(
ひかり
)
を
添
(
そ
)
ふる
芽出度
(
めでた
)
さよ
016
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
と
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
017
二人
(
ふたり
)
の
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れたる
018
十五
(
じふご
)
の
春
(
はる
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
019
一粒種
(
ひとつぶだね
)
の
初愛娘
(
はつまなご
)
020
蝶
(
てふ
)
よ
花
(
はな
)
よと
育
(
はぐ
)
くみて
021
隙間
(
すきま
)
の
風
(
かぜ
)
も
アテド
なく
022
寵愛
(
ちようあい
)
過
(
す
)
ぎて
気儘者
(
きままもの
)
023
父
(
ちち
)
と
母
(
はは
)
との
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
024
尻
(
しり
)
に
聞
(
き
)
かして
小娘
(
こむすめ
)
が
025
年
(
とし
)
に
似合
(
にあ
)
はぬ
悪行
(
いたづら
)
も
026
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
027
又
(
また
)
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
目
(
め
)
の
中
(
なか
)
に
028
飛
(
と
)
び
入
(
い
)
るとても
痛
(
いた
)
からず
029
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
両親
(
ふたおや
)
も
030
我
(
わが
)
児
(
こ
)
の
愛
(
あい
)
にひかされて
031
眼
(
まなこ
)
は
晦
(
くら
)
み
耳
(
みみ
)
は
聾
(
し
)
へ
032
鼻
(
はな
)
も
無
(
な
)
ければ
口
(
くち
)
もなし
033
恋
(
こひ
)
に
溺
(
おぼ
)
れてお
転婆
(
てんば
)
の
034
あらぬ
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
したる
035
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
の
身
(
み
)
の
果
(
は
)
ては
036
初
(
はじ
)
めて
知
(
し
)
つた
初恋
(
はつこひ
)
の
037
胸
(
むね
)
の
焔
(
ほのほ
)
に
焦
(
こが
)
されて
038
人
(
ひと
)
も
有
(
あ
)
らうに
出歯
(
でば
)
男
(
をとこ
)
039
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
の
鼻曲
(
はなまが
)
り
040
鼻頭
(
びとう
)
に
印
(
しる
)
した
赤痣
(
あかあざ
)
は
041
慕
(
した
)
うた
女
(
をんな
)
の
眼
(
まなこ
)
より
042
見
(
み
)
れば
牡丹
(
ぼたん
)
か
桜花
(
さくらばな
)
043
大
(
おほ
)
きな
口
(
くち
)
を
打開
(
うちひら
)
き
044
笑
(
わら
)
ふ
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
めては
045
男
(
をとこ
)
の
中
(
なか
)
の
男
(
をとこ
)
ぞと
046
思
(
おも
)
ひ
初
(
そ
)
めたが
病付
(
やみつき
)
で
047
親
(
おや
)
の
許
(
ゆる
)
さぬ
縁
(
えにし
)
をば
048
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
び
結
(
むす
)
び
昆布
(
こぶ
)
049
濡
(
ぬ
)
れてほとびてグニヤグニヤと
050
寝屋
(
ねや
)
の
衾
(
ふすま
)
の
友彦
(
ともひこ
)
を
051
此上
(
こよ
)
なき
者
(
もの
)
と
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
め
052
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
両親
(
りやうしん
)
が
053
館
(
やかた
)
を
脱
(
ぬ
)
け
出
(
い
)
でエデン
川
(
がは
)
054
人目
(
ひとめ
)
の
関
(
せき
)
や
涙川
(
なみだがは
)
055
流
(
なが
)
し
渡
(
わた
)
りて
波斯
(
フサ
)
の
国
(
くに
)
056
水火
(
いき
)
を
合
(
あ
)
はして
遠近
(
をちこち
)
と
057
三十
(
さんじふ
)
男
(
をとこ
)
に
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
かれ
058
蜜
(
みつ
)
より
甘
(
あま
)
き
囁
(
ささや
)
きに
059
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
魂
(
たましひ
)
を
060
抜
(
ぬ
)
かれて
笑壺
(
ゑつぼ
)
に
入
(
い
)
り
乍
(
なが
)
ら
061
廻
(
めぐ
)
り
廻
(
めぐ
)
りて
印度
(
ツキ
)
の
国
(
くに
)
062
錫蘭島
(
セイロンたう
)
に
打渡
(
うちわた
)
り
063
小
(
ちひ
)
さき
庵
(
いほり
)
を
結
(
むす
)
びつつ
064
お
前
(
まへ
)
と
私
(
わし
)
との
其
(
その
)
仲
(
なか
)
は
065
仮令
(
たとへ
)
天地
(
てんち
)
は
覆
(
かへ
)
るとも
066
月日
(
つきひ
)
は
西
(
にし
)
より
昇
(
のぼ
)
るとも
067
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
068
ミロクの
世
(
よ
)
までも
変
(
かは
)
るまい
069
竹
(
たけ
)
の
柱
(
はしら
)
に
茅
(
かや
)
の
屋根
(
やね
)
070
手鍋
(
てなべ
)
提
(
さ
)
げても
厭
(
いと
)
やせぬ
071
ゾツコン
惚
(
ほ
)
れた
二人仲
(
ふたりなか
)
072
天地
(
てんち
)
の
愛
(
あい
)
を
一身
(
いつしん
)
に
073
独占
(
どくせん
)
したる
面色
(
おももち
)
に
074
二月
(
ふたつき
)
三月
(
みつき
)
と
暮
(
くら
)
す
内
(
うち
)
075
小糸
(
こいと
)
の
姫
(
ひめ
)
は
漸
(
やうや
)
うに
076
男
(
をとこ
)
の
臭気
(
にほひ
)
が
鼻
(
はな
)
につき
077
熱
(
あつ
)
き
恋路
(
こひぢ
)
も
日
(
ひ
)
を
追
(
お
)
うて
078
薄
(
うす
)
れ
冷
(
つめ
)
たき
あき
風
(
かぜ
)
に
079
吹
(
ふ
)
かれて
変
(
かは
)
る
冬
(
ふゆ
)
の
空
(
そら
)
080
雪
(
ゆき
)
にも
擬
(
まが
)
ふ
玉
(
たま
)
の
肌
(
はだ
)
081
冷
(
ひ
)
えては
最早
(
もはや
)
熱
(
ねつ
)
もなく
082
隙
(
すき
)
さへあらば
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
083
理想
(
りさう
)
の
夫
(
をつと
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
084
社交
(
しやかう
)
の
花
(
はな
)
と
謳
(
うた
)
はれつ
085
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
るも
女子
(
をみなご
)
の
086
誇
(
ほこ
)
りと
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
し
087
うるさくなつた
友彦
(
ともひこ
)
の
088
酩酊
(
よひ
)
を
幸
(
さいは
)
ひ
一通
(
いつつう
)
の
089
三行半
(
みくだりはん
)
を
遺
(
のこ
)
し
置
(
お
)
き
090
あとは
野
(
の
)
となれ
山
(
やま
)
となれ
091
男旱魃
(
をとこひでり
)
もなき
世界
(
せかい
)
092
如何
(
どう
)
なり
行
(
ゆ
)
ことママの
川
(
かは
)
093
浮
(
う
)
いた
心
(
こころ
)
の
捨小舟
(
すてをぶね
)
094
恋
(
こひ
)
のイロハの
意気
(
いき
)
を
棄
(
す
)
て
095
櫓
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
りて
印度洋
(
いんどやう
)
096
浪
(
なみ
)
のまにまに
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
せば
097
何
(
なん
)
の
容赦
(
ようしや
)
も
荒海
(
あらうみ
)
の
098
忽
(
たちま
)
ち
船
(
ふね
)
は
暗礁
(
あんせう
)
に
099
正面
(
しやうめん
)
衝突
(
しようとつ
)
メキメキと
100
砕
(
くだ
)
けて
魂
(
たま
)
は
中天
(
ちうてん
)
に
101
飛
(
と
)
んで
出
(
い
)
でたる
居
(
を
)
りもあれ
102
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
103
五十子
(
いそこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
神船
(
かみぶね
)
に
104
ヤツと
救
(
すく
)
はれ
太平
(
たいへい
)
の
105
洋
(
うみ
)
の
真中
(
まなか
)
に
泛
(
うか
)
びたる
106
竜宮島
(
りうぐうじま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し
107
人気
(
ひとげ
)
の
荒
(
あら
)
き
島人
(
しまびと
)
に
108
日頃
(
ひごろ
)
のおキヤンを
応用
(
おうよう
)
し
109
鰻上
(
うなぎのぼ
)
りに
島国
(
しまぐに
)
の
110
女王
(
ぢよわう
)
と
仰
(
あふ
)
がれ
三五
(
あななひ
)
の
111
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
帰順
(
きじゆん
)
して
112
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
伝
(
つた
)
へたる
113
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
物語
(
ものがたり
)
114
褥
(
しとね
)
の
船
(
ふね
)
にウキウキと
115
身
(
み
)
を
横
(
よこ
)
たへて
太平
(
たいへい
)
の
116
洋
(
うみ
)
をばここに
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
117
男波
(
をなみ
)
女波
(
めなみ
)
を
照
(
てら
)
しつつ
118
天涯
(
てんがい
)
万里
(
ばんり
)
の
物語
(
ものがたり
)
119
心
(
こころ
)
の
色
(
いろ
)
は
真澄
空
(
ますみぞら
)
120
北極
(
ほつきよく
)
星座
(
せいざ
)
に
安臥
(
あんぐわ
)
して
121
北斗
(
ほくと
)
の
星
(
ほし
)
に
取巻
(
とりま
)
かれ
122
七剣星
(
しちけんせい
)
に
酷似
(
こくじ
)
せる
123
鉛
(
なまり
)
の
筆
(
ふで
)
で
研
(
と
)
ぎすまし
124
千代
(
ちよ
)
に
伝
(
つた
)
ふる
万年筆
(
まんねんひつ
)
の
125
ペンペンだらりと
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
つる
126
手具脛
(
てぐすね
)
引
(
ひ
)
いて
松村
(
まつむら
)
氏
(
し
)
127
唯
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
も
漏
(
も
)
らさじと
128
耳
(
みみ
)
を
欹
(
そばだ
)
て
息
(
いき
)
こらし
129
神
(
かみ
)
のまにまに
誌
(
しる
)
し
行
(
ゆ
)
く
130
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
131
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
132
二十四
(
にじふし
)
巻
(
くわん
)
の
物語
(
ものがたり
)
133
いと
速
(
すむ
)
やかに
編
(
あ
)
み
終
(
をは
)
せ
134
世人
(
よびと
)
を
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほみち
)
に
135
救
(
すく
)
ふ
栞
(
しをり
)
とならせかし
136
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
137
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る。
138
海中
(
わだなか
)
に
浮
(
う
)
かべる
錫蘭島
(
セイロンたう
)
は、
139
昔
(
むかし
)
はシロの
島
(
しま
)
と
云
(
い
)
ひけり。
140
バラモン
教
(
けう
)
の
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
が
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へし
雉子
(
きぎす
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
、
141
世才
(
せさい
)
に
長
(
た
)
けた
所
(
ところ
)
より、
142
巧言
(
かうげん
)
令色
(
れいしよく
)
の
限
(
かぎ
)
りを
尽
(
つく
)
し、
143
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
巧
(
うま
)
く
取
(
と
)
り
入
(
い
)
り、
144
夫婦
(
ふうふ
)
の
覚
(
おぼ
)
え
芽出度
(
めでた
)
く、
145
遂
(
つい
)
には
抜擢
(
ばつてき
)
されてバラモン
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
となり、
146
名
(
な
)
も
友彦
(
ともひこ
)
と
改
(
あらた
)
められたり。
147
得意
(
とくい
)
の
時
(
とき
)
に
図
(
づ
)
に
乗
(
の
)
るは
小人
(
せうじん
)
の
常
(
つね
)
、
148
友彦
(
ともひこ
)
は
何時
(
いつ
)
しか
野心
(
やしん
)
の
芽
(
め
)
を
吹
(
ふ
)
き
出
(
い
)
だし、
149
追々
(
おひおひ
)
露骨
(
ろこつ
)
となりて、
150
夫婦
(
ふうふ
)
が
掌中
(
しやうちう
)
の
玉
(
たま
)
と
愛
(
め
)
で
慈
(
いつくし
)
む
一人娘
(
ひとりむすめ
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
に
目
(
め
)
をつけたり。
151
友彦
(
ともひこ
)
の
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
は、
152
夫婦
(
ふうふ
)
が
最愛
(
さいあい
)
の
娘
(
むすめ
)
さへ
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
入
(
い
)
らば、
153
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
後
(
あと
)
を
襲
(
おそ
)
ひ、
154
天晴
(
あつぱ
)
れバラモン
教
(
けう
)
の
副棟梁
(
ふくとうりやう
)
、
155
あわよくば
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
地位
(
ちゐ
)
を
奪
(
うば
)
ひ、
156
野心
(
やしん
)
を
充
(
みた
)
さむと
昼夜
(
ちうや
)
間断
(
かんだん
)
なく
心慮
(
しんりよ
)
をめぐらし
居
(
ゐ
)
たりける。
157
○
158
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
はエデン
河
(
がは
)
を
渡
(
わた
)
り、
159
対岸
(
たいがん
)
の
小高
(
こだか
)
き
丘
(
をか
)
に
登
(
のぼ
)
り、
160
数多
(
あまた
)
の
従臣
(
じうしん
)
と
共
(
とも
)
に
花見
(
はなみ
)
の
宴
(
えん
)
を
催
(
もよほ
)
し、
161
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ
潰
(
つぶ
)
れ、
162
舌
(
した
)
も
廻
(
まは
)
らぬ
千鳥足
(
ちどりあし
)
、
163
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ひつ
天下
(
てんか
)
の
春
(
はる
)
を
独占
(
どくせん
)
せし
心地
(
ここち
)
して、
164
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
と、
165
再
(
ふたた
)
びエデンの
河
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
り
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る。
166
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
は
酩酊
(
めいてい
)
甚
(
はなは
)
だしく、
167
船中
(
せんちう
)
にて
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
足
(
あし
)
踏
(
ふ
)
みならし
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ふ
悪酒
(
わるざけ
)
の、
168
無暗
(
むやみ
)
に
鉄拳
(
てつけん
)
振廻
(
ふりまは
)
し、
169
あたり
構
(
かま
)
はず
従臣
(
じうしん
)
を
擲
(
なぐ
)
りつけて
興
(
きよう
)
がり
居
(
ゐ
)
たりしが、
170
一人
(
ひとり
)
の
従臣
(
じうしん
)
は
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
鉄拳
(
てつけん
)
を
避
(
さ
)
けむと、
171
周章
(
あわて
)
狼狽
(
ふため
)
き
逃
(
に
)
げ
廻
(
まは
)
る
機
(
はづ
)
みに、
172
船端
(
ふなばた
)
に
立
(
た
)
てる
今年
(
こんねん
)
十五
(
じふご
)
才
(
さい
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
身体
(
からだ
)
に
衝突
(
しようとつ
)
せし
途端
(
とたん
)
、
173
小糸姫
(
こいとひめ
)
は『アツ』と
一声
(
ひとこゑ
)
、
174
渦巻
(
うづま
)
く
波
(
なみ
)
に
落
(
お
)
ち
込
(
こ
)
み、
175
後白波
(
あとしらなみ
)
となりにける。
176
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
を
初
(
はじ
)
め
船中
(
せんちう
)
の
人々
(
ひとびと
)
は、
177
初
(
はじ
)
めて
酔
(
ゑひ
)
も
醒
(
さ
)
め『アレヨアレヨ』と
立騒
(
たちさわ
)
げども、
178
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えず、
179
狭
(
せま
)
き
船中
(
せんちう
)
を
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
狼狽
(
うろた
)
へまはる。
180
此
(
この
)
時
(
とき
)
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして
赤裸
(
まつぱだか
)
の
儘
(
まま
)
、
181
河中
(
かちう
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んだ
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
あり。
182
一人
(
ひとり
)
は
小糸姫
(
こいとひめ
)
に
衝突
(
しようとつ
)
した
三助
(
さんすけ
)
、
183
一人
(
ひとり
)
は
友彦
(
ともひこ
)
なりき。
184
友彦
(
ともひこ
)
は
水練
(
すゐれん
)
に
妙
(
めう
)
を
得
(
え
)
、
185
浮
(
う
)
きつ
沈
(
しづ
)
みつ、
186
姫
(
ひめ
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
足
(
あし
)
もて
探
(
さぐ
)
り
探
(
さぐ
)
り、
187
立泳
(
たちおよ
)
ぎしながら
流
(
なが
)
れ
行
(
ゆ
)
く。
188
漸
(
やうや
)
く
姫
(
ひめ
)
の
姿
(
すがた
)
をみとめたる
時
(
とき
)
は、
189
既
(
すで
)
に
十数丁
(
じふすうちやう
)
の
下流
(
しもて
)
なりき。
190
友彦
(
ともひこ
)
は
小糸姫
(
こいとひめ
)
を
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へ
込
(
こ
)
み、
191
河辺
(
かはべり
)
を
辛
(
から
)
うじて
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
り、
192
水
(
みづ
)
を
吐
(
は
)
かせ、
193
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
と
手
(
て
)
を
尽
(
つく
)
し、
194
漸
(
やうや
)
くにして
蘇生
(
そせい
)
せしめ、
195
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
が
館
(
やかた
)
に
立帰
(
たちかへ
)
りたり。
196
是
(
こ
)
れより
先
(
さき
)
、
197
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
数多
(
あまた
)
の
人数
(
にんず
)
を
召
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
め、
198
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
陥
(
おちい
)
りし
河
(
かは
)
の
辺
(
べ
)
を
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
捜索
(
そうさく
)
し、
199
到底
(
たうてい
)
絶望
(
ぜつばう
)
と
諦
(
あきら
)
め、
200
我
(
わが
)
家
(
や
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
201
夫婦
(
ふうふ
)
互
(
たがひ
)
に
我
(
わが
)
子
(
こ
)
の
不運
(
ふうん
)
を
歎
(
なげ
)
き
悲
(
かな
)
しみ、
202
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
るる
折
(
をり
)
しも、
203
友彦
(
ともひこ
)
は
小糸姫
(
こいとひめ
)
を
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひ、
204
門番
(
もんばん
)
に
送
(
おく
)
られ、
205
得意
(
とくい
)
の
色
(
いろ
)
を
満面
(
まんめん
)
に
漂
(
ただよ
)
はし、
206
揚々
(
やうやう
)
として
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る。
207
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
驚喜
(
きやうき
)
し、
208
鬼熊別
『ヤア
小糸姫
(
こいとひめ
)
、
209
無事
(
ぶじ
)
なりしか、
210
如何
(
どう
)
してマアあの
激流
(
げきりう
)
に
生命
(
いのち
)
が
助
(
たす
)
かりしか』
211
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は、
212
蜈蚣姫
『アヽ
娘
(
むすめ
)
、
213
よく
帰
(
かへ
)
つて
呉
(
く
)
れた。
214
是
(
こ
)
れと
云
(
い
)
ふも、
215
全
(
まつた
)
く
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
のお
恵
(
めぐみ
)
だ。
216
アヽ
有難
(
ありがた
)
い
有難
(
ありがた
)
い。
217
………おやぢさま、
218
どうぞモウ
此
(
こ
)
れからは
妾
(
わたし
)
が
何時
(
いつ
)
も
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
219
大酒
(
ふかざけ
)
は
廃
(
や
)
めて
下
(
くだ
)
さい。
220
酒
(
さけ
)
の
祟
(
たた
)
りでコンナ
心配
(
しんぱい
)
をしたのも、
221
全
(
まつた
)
く
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
のお
気付
(
きづ
)
けであらう……
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
……』
222
と
泣
(
な
)
き
沈
(
しづ
)
む。
223
友彦
(
ともひこ
)
は
怪訝
(
けげん
)
な
顔付
(
かほつ
)
きにて、
224
友彦
『モシモシお
嬢
(
ぢやう
)
さま、
225
チツト
貴女
(
あなた
)
何
(
なん
)
とか
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
226
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だが
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
は
誰
(
たれ
)
で
御座
(
ござ
)
いましたかなア』
227
小糸姫
『お
父
(
とう
)
さま、
228
お
母
(
かあ
)
さま、
229
妾
(
わたし
)
既
(
すで
)
に
縡切
(
ことぎ
)
れて
居
(
を
)
りましたのよ。
230
そこへ
此
(
この
)
友彦
(
ともひこ
)
が
生命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
にして
妾
(
わたし
)
を
救
(
すく
)
つて
呉
(
く
)
れました。
231
沢山
(
たくさん
)
な
家来
(
けらい
)
はあつても、
232
妾
(
わたし
)
を
生命
(
いのち
)
がけになつて
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れた
者
(
もの
)
は
友彦
(
ともひこ
)
一人
(
ひとり
)
、
233
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
は
友彦
(
ともひこ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
234
どうぞ
褒
(
ほ
)
めてやつて
下
(
くだ
)
さいませ』
235
夫婦
(
ふうふ
)
は
一度
(
いちど
)
に
友彦
(
ともひこ
)
の
顔
(
かほ
)
を
眺
(
ながめ
)
、
236
顔色
(
がんしよく
)
を
和
(
やは
)
らげ、
237
鬼熊別
『ヤアお
前
(
まへ
)
は
常々
(
つねづね
)
から
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
男
(
をとこ
)
だと
思
(
おも
)
つて
抜擢
(
ばつてき
)
して
宣伝使
(
せんでんし
)
に
命
(
めい
)
じたが、
238
わしの
眼
(
め
)
で
睨
(
にら
)
んだ
事
(
こと
)
はチツトも
違
(
ちが
)
はぬ。
239
お
前
(
まへ
)
ばつかりだよ。
240
これだけ
沢山
(
たくさん
)
に
居
(
を
)
つてもマサカの
時
(
とき
)
に
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
一人
(
ひとり
)
も
有
(
あ
)
りはせぬ。
241
ようマア
働
(
はたら
)
いて
呉
(
く
)
れた。
242
第一番
(
だいいちばん
)
の
手柄者
(
てがらもの
)
だ』
243
友彦
(
ともひこ
)
は
志
(
し
)
たり
顔
(
がほ
)
、
244
友彦
『これしきの
事
(
こと
)
にお
褒
(
ほ
)
めの
言葉
(
ことば
)
を
頂
(
いただ
)
きまして
実
(
じつ
)
に
汗顔
(
かんがん
)
の
至
(
いた
)
りで
御座
(
ござ
)
います。
245
今
(
いま
)
承
(
うけたま
)
はれば
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
は、
246
これだけ
沢山
(
たくさん
)
の
家来
(
けらい
)
があつても、
247
マサカの
時
(
とき
)
に
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
無
(
な
)
いと
仰
(
あふ
)
せられましたが、
248
第一
(
だいいち
)
バラモン
教
(
けう
)
の
幹部
(
かんぶ
)
の
役員
(
やくゐん
)
が
分
(
わか
)
らぬからで
御座
(
ござ
)
いますよ。
249
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
は
看板
(
かんばん
)
、
250
自分
(
じぶん
)
の
出世
(
しゆつせ
)
することのみを
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
る
連中
(
れんちう
)
ばかりで、
251
自分
(
じぶん
)
より
優
(
まさ
)
つた
者
(
もの
)
が
現
(
あら
)
はれると、
252
何
(
なん
)
とか
彼
(
かん
)
とか
申
(
まを
)
して
物言
(
ものい
)
ひを
付
(
つ
)
け、
253
頭
(
あたま
)
を
押
(
おさ
)
へようとするものですから
何程
(
なにほど
)
立派
(
りつぱ
)
なバラモン
教
(
けう
)
でも、
254
誠
(
まこと
)
の
神柱
(
かむばしら
)
は
皆
(
みな
)
逃
(
に
)
げて
了
(
しま
)
ひます。
255
何時
(
いつ
)
までも
世
(
よ
)
は
持切
(
もちき
)
りにさせぬと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰
(
あふ
)
せられるのに、
256
今
(
いま
)
の
幹部
(
かんぶ
)
は
何時
(
いつ
)
までも
高
(
たか
)
い
所
(
ところ
)
へ
上
(
あが
)
つて
権利
(
けんり
)
を
掌握
(
しやうあく
)
しようと
思
(
おも
)
ふ
卑劣
(
けち
)
な
心
(
こころ
)
がありますから、
257
至誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
や
少
(
すこ
)
し
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ひさうな
人物
(
じんぶつ
)
は
皆
(
みんな
)
圧迫
(
あつぱく
)
を
加
(
くは
)
へ
排斥
(
はいせき
)
を
致
(
いた
)
します
故
(
ゆゑ
)
、
258
何時
(
いつ
)
まで
経
(
た
)
つても
幹部
(
かんぶ
)
の
改造
(
かいざう
)
をするか、
259
幹部
(
かんぶ
)
連
(
れん
)
がモウ
些
(
ちつ
)
と
神心
(
かみごころ
)
になり、
260
心
(
こころ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しを
行
(
や
)
つて
呉
(
く
)
れぬ
事
(
こと
)
には
駄目
(
だめ
)
です。
261
何程
(
なにほど
)
天
(
てん
)
に
日月
(
じつげつ
)
輝
(
かがや
)
くとも、
262
途中
(
とちう
)
の
黒雲
(
くろくも
)
の
為
(
ため
)
に
光
(
ひかり
)
は
地上
(
ちじやう
)
に
届
(
とど
)
きませぬ。
263
私
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
立派
(
りつぱ
)
な
至誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
が
隠
(
かく
)
れて
居
(
を
)
つても、
264
人格
(
じんかく
)
を
認
(
みと
)
める
目
(
め
)
もなし、
265
又
(
また
)
認
(
みと
)
めても
自分
(
じぶん
)
の
地位
(
ちゐ
)
を
守
(
まも
)
る
為
(
ため
)
に
却
(
かへつ
)
て
排斥
(
はいせき
)
を
致
(
いた
)
すのですから
立派
(
りつぱ
)
な
者
(
もの
)
は
皆
(
みんな
)
隠
(
かく
)
れて
了
(
しま
)
ひ、
266
粕
(
かす
)
ばかりが
浮上
(
うきあが
)
つて
居
(
を
)
るのです。
267
石混
(
いしまぜ
)
りの
塵芥
(
ごもく
)
を
水溜
(
みづたま
)
りへ
一掴
(
ひとつか
)
み
放
(
ほ
)
かして
見
(
み
)
ると、
268
重
(
おも
)
みのある
充実
(
じうじつ
)
した
石
(
いし
)
は
忽
(
たちま
)
ち
水
(
みづ
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
み、
269
落着
(
おちつ
)
き
払
(
はら
)
つて
居
(
を
)
りますが、
270
塵芥
(
ごもく
)
はパツと
上
(
うへ
)
に
浮
(
う
)
いて、
271
風
(
かぜ
)
のまにまに
浮動
(
ふどう
)
して
居
(
を
)
る
様
(
やう
)
なものです。
272
稲
(
いね
)
の
穂
(
ほ
)
の
稔
(
みの
)
るに
従
(
したが
)
ひ
頭
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ
俯
(
うつ
)
むく
様
(
やう
)
に、
273
充実
(
じうじつ
)
した
至誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
は
皆
(
みな
)
謙遜
(
けんそん
)
の
徳
(
とく
)
を
守
(
まも
)
り、
274
実
(
み
)
の
入
(
い
)
らぬ
稲穂
(
いなほ
)
はツンとして
空
(
そら
)
を
向
(
む
)
いて
居
(
を
)
る
様
(
やう
)
なもの、
275
是
(
こ
)
れでは
到底
(
たうてい
)
バラモン
教
(
けう
)
も
発達
(
はつたつ
)
は
致
(
いた
)
しますまい。
276
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
277
貴方
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
賢明
(
けんめい
)
なお
方
(
かた
)
で、
278
この
友彦
(
ともひこ
)
が
実力
(
じつりよく
)
をお
認
(
みと
)
め
遊
(
あそ
)
ばし、
279
土塊
(
どくわい
)
の
如
(
ごと
)
く
幹部
(
かんぶ
)
より
取扱
(
とりあつか
)
はれて
居
(
ゐ
)
た
雉子
(
きぎす
)
を
重用
(
ぢゆうよう
)
して
宣伝使
(
せんでんし
)
にして
下
(
くだ
)
さつたのは、
280
実
(
じつ
)
に
天晴
(
あつぱ
)
れな
御
(
ご
)
鑑識
(
かんしき
)
、
281
友彦
(
ともひこ
)
も……あゝ
私
(
わし
)
は
何
(
なん
)
とした
立派
(
りつぱ
)
な
主人
(
しゆじん
)
を
持
(
も
)
つただらう。
282
私
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
幸福者
(
かうふくもの
)
は
又
(
また
)
と
世界
(
せかい
)
にあるまい……と
存
(
ぞん
)
じます。
283
聖人
(
せいじん
)
野
(
や
)
にありとか
申
(
まを
)
しまして、
284
誠
(
まこと
)
の
貴方
(
あなた
)
の
御
(
お
)
力
(
ちから
)
になり、
285
教
(
をしへ
)
の
後
(
あと
)
を
継
(
つ
)
ぐ
様
(
やう
)
な
人物
(
じんぶつ
)
……
言
(
い
)
はば
御
(
ご
)
養子
(
やうし
)
になると
云
(
い
)
ふ
人物
(
じんぶつ
)
は、
286
幹部
(
かんぶ
)
に
是
(
こ
)
れだけ
沢山
(
たくさん
)
、
287
表面
(
へうめん
)
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
はあつても、
288
滅多
(
めつた
)
に
御座
(
ござ
)
いますまい。
289
余程
(
よほど
)
御
(
ご
)
養子
(
やうし
)
の
御
(
ご
)
選択
(
せんたく
)
は……
如才
(
じよさい
)
は
御座
(
ござ
)
いますまいが……
御
(
ご
)
注意
(
ちゆうい
)
を
払
(
はら
)
つて
頂
(
いただ
)
きたいもので
御座
(
ござ
)
います。
290
何程
(
なにほど
)
容貌
(
きれう
)
は
悪
(
わる
)
くても
魂
(
たましひ
)
さへ
立派
(
りつぱ
)
であれば
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
副棟梁
(
ふくとうりやう
)
様
(
さま
)
の
後
(
あと
)
が
継
(
つ
)
げまする』
291
と
調子
(
てうし
)
に
乗
(
の
)
つて
勝手
(
かつて
)
な
理屈
(
りくつ
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
得意
(
とくい
)
がつて
居
(
ゐ
)
る。
292
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
はニコニコし
乍
(
なが
)
ら、
293
鬼熊別
『オイ
友彦
(
ともひこ
)
……お
前
(
まへ
)
は
顔
(
かほ
)
にも
似合
(
にあ
)
はぬ
高遠
(
かうゑん
)
な
理想
(
りさう
)
を
抱
(
いだ
)
いて
居
(
を
)
る
者
(
もの
)
だ。
294
吾々
(
われわれ
)
とても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、
295
中々
(
なかなか
)
棟梁
(
とうりやう
)
の
家来
(
けらい
)
は
得
(
え
)
られないものだ。
296
たまたま
力
(
ちから
)
にならうと
思
(
おも
)
ふ
人物
(
じんぶつ
)
が
現
(
あら
)
はれると、
297
忽
(
たちま
)
ち
雲
(
くも
)
が
邪魔
(
じやま
)
して
光
(
ひかり
)
を
隠
(
かく
)
さうとする。
298
今
(
いま
)
の
幹部
(
かんぶ
)
だつて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだ。
299
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
に
照
(
てら
)
して
見
(
み
)
れば、
300
一人
(
ひとり
)
として
及第
(
きふだい
)
する
者
(
もの
)
はあるまい。
301
耳
(
みみ
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ、
302
目
(
め
)
を
閉
(
ふさ
)
ぎ、
303
口
(
くち
)
をつまへて、
304
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
して
居
(
を
)
ればこそ、
305
得意
(
とくい
)
になつて
幹部面
(
かんぶづら
)
をさらして
居
(
ゐ
)
るのだが……アヽ
是
(
こ
)
れを
思
(
おも
)
へば
人
(
ひと
)
を
使
(
つか
)
ふと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
難事中
(
なんじちう
)
の
最大
(
さいだい
)
難事
(
なんじ
)
だ。
306
肩
(
かた
)
も
腕
(
かいな
)
もメキメキする
様
(
やう
)
だ。
307
どうしてこれだけ
身勝手
(
みがつて
)
な
没分暁漢
(
わからずや
)
ばかりが、
308
バラモン
教
(
けう
)
の
幹部
(
かんぶ
)
には
集
(
あつま
)
つて
来
(
く
)
るのだろうなア』
309
と
吐息
(
といき
)
を
漏
(
も
)
らすを
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は、
310
蜈蚣姫
『
屍
(
しかばね
)
の
在
(
あ
)
る
所
(
ところ
)
には
鷲
(
わし
)
集
(
あつ
)
まり、
311
美味
(
びみ
)
の
果物
(
くだもの
)
には
害虫
(
がいちう
)
密集
(
みつしふ
)
するとやら、
312
蟻
(
あり
)
の
甘
(
あま
)
きに
集
(
つど
)
ふ
如
(
ごと
)
く、
313
良
(
い
)
い
所
(
ところ
)
へは
悪
(
わる
)
い
者
(
もの
)
が
来集
(
たか
)
つて
来
(
く
)
るものです。
314
これからは
今迄
(
いままで
)
の
様
(
やう
)
な
和光
(
わくわう
)
同塵
(
どうぢん
)
式
(
しき
)
は
根本
(
こんぽん
)
革正
(
かくせい
)
して、
315
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
的
(
てき
)
にパキパキと
率直
(
そつちよく
)
に、
316
厳粛
(
げんしゆく
)
にやらねば、
317
何時
(
いつ
)
まで
経
(
た
)
つてもバラモン
教
(
けう
)
は
駄目
(
だめ
)
で
御座
(
ござ
)
いますよ。
318
それだから
妾
(
わたし
)
も
貴方
(
あなた
)
に
推薦
(
すいせん
)
して
雉子
(
きぎす
)
を
宣伝使
(
せんでんし
)
にしたのぢやありませぬか。
319
妾
(
わたし
)
が
雉子
(
きぎす
)
を
推薦
(
すいせん
)
した
時
(
とき
)
、
320
貴方
(
あなた
)
は
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
はれました。
321
「
彼奴
(
あいつ
)
は
見
(
み
)
かけによらぬ
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
ふ
男
(
をとこ
)
だが、
322
アンナ
男
(
をとこ
)
を
推薦
(
すいせん
)
すると
幹部
(
かんぶ
)
の
連中
(
れんちう
)
の
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬから、
323
雉子
(
きぎす
)
の
人物
(
じんぶつ
)
は
認
(
みと
)
めてゐるが、
324
どうも
仕方
(
しかた
)
がない」……と
優柔
(
いうじう
)
不断
(
ふだん
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
つたぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか。
325
あの
時
(
とき
)
に
御
(
ご
)
採用
(
さいよう
)
になつたればこそ、
326
幹部
(
かんぶ
)
として
今日
(
けふ
)
の
花見
(
はなみ
)
の
宴
(
えん
)
に
同行
(
どうかう
)
致
(
いた
)
したお
蔭
(
かげ
)
で、
327
一人娘
(
ひとりむすめ
)
が
生命
(
いのち
)
を
拾
(
ひろ
)
うたではありませぬか、
328
雉子
(
きぎす
)
を
雉子
(
きぎす
)
の
儘
(
まま
)
に
置
(
お
)
いてあつたなれば、
329
どうして
今日
(
けふ
)
の
花見
(
はなみ
)
の
供
(
とも
)
が
出来
(
でき
)
ませう。
330
さうすれば
忠義
(
ちうぎ
)
を
発揮
(
はつき
)
する
機会
(
きくわい
)
もなし、
331
見
(
み
)
す
見
(
み
)
す
可愛
(
かあい
)
い
娘
(
むすめ
)
を
見殺
(
みごろ
)
しにせねばならなかつたでは
有
(
あ
)
りませぬか。
332
チト
是
(
これ
)
から
確
(
しつ
)
かりやつて
下
(
くだ
)
さらぬと
駄目
(
だめ
)
ですよ』
333
鬼熊別
『さうだなア、
334
副棟梁
(
ふくとうりやう
)
の
為
(
ため
)
には
何時
(
なんどき
)
でも
生命
(
いのち
)
をあげますとか
粉骨
(
ふんこつ
)
砕身
(
さいしん
)
犬馬
(
けんば
)
の
労
(
らう
)
を
惜
(
をし
)
まぬとか
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
た
幹部
(
かんぶ
)
の
連中
(
れんちう
)
のあの
態
(
ざま
)
、
335
俺
(
おれ
)
も
実
(
じつ
)
は
呆
(
あき
)
れて
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
はれないのだ』
336
友彦
(
ともひこ
)
は
得意顔
(
とくいがほ
)
にて、
337
友彦
『「
伸
(
の
)
びる
程
(
ほど
)
土
(
つち
)
に
手
(
て
)
をつく
柳
(
やなぎ
)
かな」……とか
言
(
い
)
ひまして、
338
地
(
ち
)
に
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
るもの
程
(
ほど
)
立派
(
りつぱ
)
な
者
(
もの
)
が
御座
(
ござ
)
いまする。
339
立派
(
りつぱ
)
な
人格者
(
じんかくしや
)
が
御座
(
ござ
)
います。
340
「
気
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
風
(
かぜ
)
もあらうに
柳
(
やなぎ
)
かな」……といふ……
幹部
(
かんぶ
)
が………
精神
(
せいしん
)
になりさへすれば、
341
バラモン
教
(
けう
)
は
旭日
(
きよくじつ
)
昇天
(
しようてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
天下
(
てんか
)
無敵
(
むてき
)
の
勢力
(
せいりよく
)
が
加
(
くは
)
はりまする。
342
されど
利己主義
(
われよし
)
の
猜疑心
(
さいぎしん
)
の
深
(
ふか
)
い
頭
(
あたま
)
抑
(
おさ
)
への
連中
(
れんちう
)
計
(
ばか
)
りが
幹部
(
かんぶ
)
を
組織
(
そしき
)
して
居
(
を
)
つては、
343
到底
(
たうてい
)
発展
(
はつてん
)
の
見込
(
みこ
)
みは
有
(
あ
)
りませぬ。
344
現状
(
げんじやう
)
維持
(
ゐぢ
)
が
出来
(
でき
)
ればまだしも
上等
(
じやうとう
)
、
345
日向
(
ひなた
)
に
氷
(
こほり
)
の
様
(
やう
)
に、
346
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
衰
(
おとろ
)
へるは
明瞭
(
めいれう
)
なる
事実
(
じじつ
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
347
どうぞ
副棟梁
(
ふくとうりやう
)
様
(
さま
)
、
348
今後
(
こんご
)
は
情実
(
じやうじつ
)
に
絡
(
からま
)
れず、
349
適材
(
てきざい
)
を
適所
(
てきしよ
)
に
抜擢
(
ばつてき
)
して、
350
神業
(
しんげふ
)
第一
(
だいいち
)
と
御
(
お
)
心得
(
こころえ
)
遊
(
あそ
)
ばして
忌憚
(
きたん
)
なく
正邪
(
せいじや
)
賢愚
(
けんぐ
)
を
御
(
お
)
立別
(
たてわ
)
けの
上
(
うへ
)
、
351
御
(
ご
)
採用
(
さいよう
)
あらむ
事
(
こと
)
を
懇願
(
こんぐわん
)
致
(
いた
)
します』
352
小糸姫
(
こいとひめ
)
は、
353
小糸姫
『お
父
(
とう
)
さま、
354
妾
(
わたし
)
は
大勢
(
おほぜい
)
の
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
の
中
(
なか
)
でも、
355
本当
(
ほんたう
)
に
偉
(
えら
)
いのは
友彦
(
ともひこ
)
一人
(
ひとり
)
だと
思
(
おも
)
ひますワ』
356
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は、
357
蜈蚣姫
『オホヽヽヽ、
358
子供
(
こども
)
と
云
(
い
)
ふものは
正直
(
しやうぢき
)
なものだナア。
359
実際
(
じつさい
)
の
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
うたのは
友彦
(
ともひこ
)
だけだワ。
360
ナアモシ
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
様
(
さま
)
』
361
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
は
俯
(
うつ
)
むいて
当
(
あた
)
り
障
(
さはり
)
のない
様
(
やう
)
な
返辞
(
へんじ
)
で『ウウン』と
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
る。
362
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
夫
(
をつと
)
に
向
(
むか
)
ひ、
363
蜈蚣姫
『
今日
(
けふ
)
は
花見
(
はなみ
)
の
宴
(
えん
)
で
沢山
(
たくさん
)
なお
酒
(
さけ
)
を
幹部
(
かんぶ
)
一同
(
いちどう
)
戴
(
いただ
)
き、
364
まだ
充分
(
じうぶん
)
の
酔
(
ゑひ
)
も
醒
(
さ
)
めず、
365
此
(
この
)
上
(
うへ
)
悦
(
よろこ
)
びの
酒宴
(
しゆえん
)
を
催
(
もよほ
)
すのは
妙
(
めう
)
なものだが、
366
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
大切
(
たいせつ
)
な
娘
(
むすめ
)
の
生命
(
いのち
)
を
拾
(
ひろ
)
つたのだから、
367
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
礼
(
れい
)
のお
祭
(
まつり
)
をなし、
368
手軽
(
てがる
)
い
直会
(
なほらひ
)
の
宴
(
えん
)
でも
開
(
ひら
)
いて、
369
友彦
(
ともひこ
)
の
表彰会
(
へうしやうくわい
)
を
行
(
おこな
)
はねばなりますまい。
370
どうお
考
(
かんが
)
へなさいますか』
371
と
夫
(
をつと
)
の
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
む。
372
鬼熊別
『アヽさうだナア。
373
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
礼
(
れい
)
の
祭典
(
さいてん
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
374
次
(
つぎ
)
に
友彦
(
ともひこ
)
の
手柄
(
てがら
)
を
表彰
(
へうしやう
)
せなくてはなるまい。
375
賞罰
(
しやうばつ
)
を
明
(
あきら
)
かにせないと、
376
今後
(
こんご
)
の
為
(
ため
)
にならぬから……ヤア
片彦
(
かたひこ
)
、
377
釘彦
(
くぎひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
378
祭典
(
さいてん
)
の
用意
(
ようい
)
に
取
(
とり
)
かかり、
379
次
(
つい
)
で
直会
(
なほらひ
)
の
宴
(
えん
)
を
開
(
ひら
)
くべく
準備
(
じゆんび
)
して
呉
(
く
)
れ。
380
そして
今日
(
けふ
)
は
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
在住
(
ざいぢゆう
)
の
信徒
(
しんと
)
、
381
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
を
問
(
と
)
はず、
382
残
(
のこ
)
らず
八尋殿
(
やひろどの
)
に
集
(
あつ
)
めて
酒宴
(
しゆえん
)
の
席
(
せき
)
に
列
(
れつ
)
せしめるのだから……』
383
片
(
かた
)
、
384
釘
(
くぎ
)
の
両
(
りやう
)
幹部
(
かんぶ
)
は
此
(
この
)
一言
(
ひとこと
)
に、
385
又
(
また
)
も
酒
(
さけ
)
かと
雀躍
(
こをど
)
りし
乍
(
なが
)
ら『ハイハイ』と
二
(
ふた
)
つ
返事
(
へんじ
)
で
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立出
(
たちい
)
で、
386
部下
(
ぶか
)
一般
(
いつぱん
)
に
通達
(
つうたつ
)
したりけり。
387
祭典
(
さいてん
)
は
命
(
めい
)
の
如
(
ごと
)
く
行
(
おこな
)
はれたり。
388
御
(
お
)
祝
(
いは
)
ひを
兼
(
か
)
ね、
389
信者
(
しんじや
)
は
立錐
(
りつすゐ
)
の
余地
(
よち
)
なきまでに、
390
八尋殿
(
やひろどの
)
に
溢
(
あふ
)
れ
出
(
だ
)
した。
391
祭典
(
さいてん
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
済
(
す
)
み、
392
直会
(
なほらひ
)
の
神酒
(
みき
)
は
子供
(
こども
)
の
端
(
はし
)
に
至
(
いた
)
るまで
万遍
(
まんべん
)
なく
配
(
くば
)
られたり。
393
小糸姫
(
こいとひめ
)
が
無事
(
ぶじ
)
安全
(
あんぜん
)
を
祝
(
いは
)
ふ
声
(
こゑ
)
、
394
殿内
(
でんない
)
も
揺
(
ゆる
)
ぐ
許
(
ばか
)
りなりき。
395
小高
(
こだか
)
き
壇上
(
だんじやう
)
に
現
(
あら
)
はれたのは
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
棟梁
(
とうりやう
)
なり。
396
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
は
一同
(
いちどう
)
を
見廻
(
みまは
)
し、
397
鬼雲彦
『バラモン
教
(
けう
)
の
幹部
(
かんぶ
)
を
初
(
はじ
)
め
信者
(
しんじや
)
一同
(
いちどう
)
と
共
(
とも
)
に
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
無事
(
ぶじ
)
安全
(
あんぜん
)
を
祝
(
しゆく
)
し
奉
(
たてまつ
)
り、
398
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
御
(
ご
)
幸運
(
かううん
)
をお
悦
(
よろこ
)
び
致
(
いた
)
します。
399
つきましては
私
(
わたくし
)
として
少
(
すこ
)
し
感想
(
かんさう
)
を
述
(
の
)
べたいと
思
(
おも
)
ひます。
400
大勢
(
おほぜい
)
の
中
(
なか
)
には
少
(
すこ
)
し
耳障
(
みみざは
)
りの
方
(
かた
)
もお
有
(
あ
)
りなさるかも
知
(
し
)
れませぬが、
401
バラモン
教
(
けう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
兼
(
けん
)
棟梁
(
とうりやう
)
としては
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ない
立場
(
たちば
)
で
御座
(
ござ
)
いまするから、
402
其処
(
そこ
)
の
所
(
ところ
)
は
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
諒解
(
りやうかい
)
を
願
(
ねが
)
つて
置
(
お
)
きます。
403
抑
(
そもそ
)
も
多士
(
たし
)
済々
(
さいさい
)
たる
本教
(
ほんけう
)
は、
404
開設
(
かいせつ
)
以来
(
いらい
)
旭日
(
きよくじつ
)
昇天
(
しようてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
405
これと
云
(
い
)
ふのも
全
(
まつた
)
く
幹部
(
かんぶ
)
を
始
(
はじ
)
め
信者
(
しんじや
)
一同
(
いちどう
)
が、
406
有
(
あ
)
るに
有
(
あ
)
られぬ
困難
(
こんなん
)
と
戦
(
たたか
)
ひ、
407
所在
(
あらゆる
)
困苦
(
こんく
)
をなして、
408
忍
(
しの
)
びに
忍
(
しの
)
びて
心魂
(
しんこん
)
を
鍛
(
きた
)
へて
来
(
き
)
た
結果
(
けつくわ
)
と
私
(
わたくし
)
は
信
(
しん
)
じます。
409
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
より
渡来
(
とらい
)
して、
410
埃及
(
エジプト
)
のイホの
都
(
みやこ
)
に
始
(
はじ
)
めて
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
いた
時
(
とき
)
、
411
コーカス
山
(
ざん
)
に
根拠
(
こんきよ
)
を
構
(
かま
)
へたる
三五教
(
あななひけう
)
の
為
(
ため
)
に
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
妨害
(
ばうがい
)
を
受
(
う
)
け、
412
一
(
いち
)
時
(
じ
)
は
孤城
(
こじやう
)
落日
(
らくじつ
)
の
破目
(
はめ
)
に
陥
(
おちい
)
つた
所
(
ところ
)
、
413
皆様
(
みなさま
)
はよく
耐忍
(
たへしの
)
び、
414
漸
(
やうや
)
くにしてバラモン
教
(
けう
)
は
再
(
ふたた
)
び
以前
(
いぜん
)
に
勝
(
まさ
)
る
隆盛
(
りうせい
)
の
域
(
ゐき
)
に
達
(
たつ
)
しました。
415
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
艱難
(
かんなん
)
の
極度
(
きよくど
)
に
達
(
たつ
)
した
時
(
とき
)
は
栄
(
さか
)
えの
種
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
くものです。
416
今日
(
こんにち
)
のバラモン
教
(
けう
)
は
稍
(
やや
)
小康
(
せうかう
)
を
得
(
え
)
、
417
日々
(
にちにち
)
隆盛
(
りうせい
)
に
趣
(
おもむ
)
くに
連
(
つ
)
れて
人心
(
じんしん
)
弛緩
(
ちくわん
)
し、
418
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずの
間
(
ま
)
に
倦怠
(
けんたい
)
の
心
(
こころ
)
を
生
(
しやう
)
じ、
419
今日
(
こんにち
)
では
最初
(
さいしよ
)
の
熱烈
(
ねつれつ
)
なる
忠誠
(
ちうせい
)
なる
皆様
(
みなさま
)
の
精神
(
せいしん
)
は
何処
(
どこ
)
へやら
喪失
(
さうしつ
)
し、
420
幹部
(
かんぶ
)
は
自己
(
じこ
)
を
守
(
まも
)
る
為
(
ため
)
に
高遠
(
かうゑん
)
達識
(
たつしき
)
の
士
(
し
)
を
排除
(
はいじよ
)
し、
421
阿諛
(
あゆ
)
諂侫
(
てんねい
)
の
徒
(
と
)
を
重用
(
ぢゆうよう
)
し、
422
各自
(
めいめい
)
競
(
きそ
)
うて
部下
(
ぶか
)
を
作
(
つく
)
り、
423
互
(
たがひ
)
に
権力
(
けんりよく
)
を
争
(
あらそ
)
ふ
如
(
ごと
)
き
傾向
(
けいかう
)
が
仄見
(
ほのみ
)
えて
参
(
まゐ
)
りましたのは、
424
本教
(
ほんけう
)
の
為
(
ため
)
に
誠
(
まこと
)
に
悲
(
かな
)
しむべき
現象
(
げんしやう
)
と
言
(
い
)
はねばなりませぬ。
425
現
(
げん
)
に
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
様
(
さま
)
の
娘子
(
むすめご
)
小糸姫
(
こいとひめ
)
様
(
さま
)
の
遭難
(
さうなん
)
に
対
(
たい
)
しても、
426
肝腎
(
かんじん
)
の
幹部
(
かんぶ
)
は
袖手
(
しうしゆ
)
傍観
(
ばうくわん
)
手
(
て
)
を
下
(
くだ
)
すの
術
(
すべ
)
を
知
(
し
)
らず、
427
実
(
じつ
)
に
無誠意
(
むせいい
)
、
428
無能力
(
むのうりよく
)
を
極端
(
きよくたん
)
に
発揮
(
はつき
)
したでは
有
(
あ
)
りませぬか、
429
斯様
(
かやう
)
な
事
(
こと
)
で
如何
(
どう
)
して
神聖
(
しんせい
)
なる
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませう。
430
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るにあらずして、
431
利己心
(
りこしん
)
といふ
欲心
(
よくしん
)
に
奉仕
(
ほうし
)
するのだと
云
(
い
)
はれても、
432
弁解
(
べんかい
)
の
辞
(
じ
)
はありますまい。
433
今日
(
こんにち
)
はバラモン
教
(
けう
)
に
対
(
たい
)
して
国家
(
こくか
)
興亡
(
こうばう
)
の
境
(
さかひ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
434
教主
(
けうしゆ
)
として
私
(
わたくし
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
が
肯定
(
こうてい
)
出来
(
でき
)
ない
方々
(
かたがた
)
は
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
に
及
(
およ
)
びませぬ。
435
ドシドシと
脱会
(
だつくわい
)
下
(
くだ
)
さつても、
436
少
(
すこ
)
しも
痛痒
(
つうよう
)
は
感
(
かん
)
じませぬ。
437
否
(
いな
)
寧
(
むし
)
ろ
好都合
(
かうつがふ
)
だと
確信
(
かくしん
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
438
本当
(
ほんたう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
が
分
(
わか
)
つた
方
(
かた
)
が
一二
(
いちに
)
人
(
にん
)
あれば
沢山
(
たくさん
)
です。
439
それを
種
(
たね
)
として
立派
(
りつぱ
)
に
教
(
をしへ
)
が
行
(
おこな
)
はれませう。
440
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
肝腎
(
かんじん
)
の
幹部
(
かんぶ
)
たる
者
(
もの
)
、
441
神意
(
しんい
)
を
誤解
(
ごかい
)
し、
442
利己
(
りこ
)
主義
(
しゆぎ
)
を
強持
(
きやうぢ
)
するに
於
(
おい
)
ては、
443
一匹
(
いつぴき
)
の
馬
(
うま
)
が
狂
(
くる
)
へば
千匹
(
せんびき
)
の
馬
(
うま
)
が
狂
(
くる
)
ふ
譬
(
たとへ
)
の
如
(
ごと
)
く、
444
総崩
(
そうくづ
)
れになつて
了
(
しま
)
ふものです。
445
それだから
幹部
(
かんぶ
)
の
改心
(
かいしん
)
が
先
(
ま
)
づ
第一等
(
だいいつとう
)
であります。
446
源
(
みなもと
)
濁
(
にご
)
つて
下流
(
かりう
)
澄
(
す
)
むと
云
(
い
)
ふ
道理
(
だうり
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
447
どうぞ
此
(
この
)
際
(
さい
)
皆
(
みな
)
さまは
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
448
幹部
(
かんぶ
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
在
(
あ
)
る
方々
(
かたがた
)
から
誠心
(
せいしん
)
誠意
(
せいい
)
、
449
神業
(
しんげふ
)
の
為
(
ため
)
寛容
(
くわんよう
)
の
徳
(
とく
)
を
養
(
やしな
)
ひ、
450
清濁
(
せいだく
)
併
(
あは
)
せ
呑
(
の
)
み
己
(
おのれ
)
を
責
(
せ
)
め
人
(
ひと
)
を
赦
(
ゆる
)
す
大人
(
たいじん
)
の
態度
(
たいど
)
になつて
頂
(
いただ
)
きたいものです』
451
と
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
鋭鋒
(
えいほう
)
を
幹部
(
かんぶ
)
の
面々
(
めんめん
)
に
指
(
さ
)
し
向
(
む
)
けたり。
452
幹部
(
かんぶ
)
の
連中
(
れんちう
)
は
教主
(
けうしゆ
)
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
此
(
この
)
教示
(
けうじ
)
に
対
(
たい
)
し、
453
余
(
あま
)
り
快
(
こころよ
)
く
感
(
かん
)
ぜざれども、
454
一々
(
いちいち
)
胸
(
むね
)
を
刺
(
さ
)
さるる
此
(
この
)
箴言
(
しんげん
)
に、
455
返
(
かへ
)
す
言葉
(
ことば
)
もなく
唯
(
ただ
)
冷然
(
れいぜん
)
として、
456
空
(
そら
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
と
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
し
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
も
少
(
すくな
)
くなかりける。
457
此
(
この
)
時
(
とき
)
得意
(
とくい
)
の
鼻
(
はな
)
を
蠢
(
うごめ
)
かして
壇上
(
だんじやう
)
に
大手
(
おほて
)
を
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
458
眼
(
め
)
をキヨロキヨロ
廻転
(
くわいてん
)
させ、
459
一同
(
いちどう
)
の
顔
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めつつ
現
(
あら
)
はれた
一人
(
ひとり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は、
460
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
生命
(
いのち
)
を
救
(
すく
)
うた
友彦
(
ともひこ
)
なりき。
461
拍手
(
はくしゆ
)
の
声
(
こゑ
)
急霰
(
きふさん
)
の
如
(
ごと
)
く、
462
場
(
ぢやう
)
の
四隅
(
しぐう
)
より
響
(
ひび
)
き
亘
(
わた
)
りぬ。
463
友彦
(
ともひこ
)
は
満場
(
まんぢやう
)
に
向
(
むか
)
ひ
軽
(
かる
)
く
一礼
(
いちれい
)
し、
464
稍
(
やや
)
反
(
そ
)
り
身
(
み
)
になりて
赤
(
あか
)
い
鼻
(
はな
)
をピコヅかせ
乍
(
なが
)
ら、
465
無細工
(
ぶさいく
)
な
欠
(
か
)
げた
出歯
(
でば
)
をニユツと
噛
(
か
)
み
出
(
だ
)
し、
466
厭
(
いや
)
らしき
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
握拳
(
にぎりこぶし
)
を
固
(
かた
)
め、
467
卓
(
テーブル
)
を
一
(
ひと
)
つトンと
打
(
う
)
ち、
468
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
き
蛮声
(
ばんせい
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げ『
皆
(
みな
)
さま』と
一喝
(
いつかつ
)
し、
469
友彦
『
私
(
わたくし
)
は
只今
(
ただいま
)
の
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
演説
(
えんぜつ
)
につき
感慨
(
かんがい
)
無量
(
むりやう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
470
皆様
(
みなさま
)
の
大多数
(
だいたすう
)
に
置
(
お
)
かせられましても、
471
敬神
(
けいしん
)
、
472
愛教
(
あいけう
)
、
473
愛民
(
あいみん
)
の
教主
(
けうしゆ
)
の
御
(
ご
)
心中
(
しんちう
)
に、
474
嘸
(
さぞ
)
嗚咽
(
をえつ
)
感激
(
かんげき
)
遊
(
あそ
)
ばした
事
(
こと
)
と
確信
(
かくしん
)
致
(
いた
)
します。
475
我々
(
われわれ
)
は
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
申
(
まを
)
すも
更
(
さら
)
なり、
476
教主
(
けうしゆ
)
様
(
さま
)
の
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
に
酬
(
むく
)
い
奉
(
たてまつ
)
り、
477
副教主
(
ふくけうしゆ
)
として、
478
重任
(
ぢゆうにん
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
着
(
つ
)
かせ
給
(
たま
)
ふ
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
を
思
(
おも
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
御
(
ご
)
熱情
(
ねつじやう
)
に
対
(
たい
)
し、
479
どこ
迄
(
まで
)
も
粉骨
(
ふんこつ
)
砕身
(
さいしん?
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(N)
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