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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第24巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 流転の涙
第1章 粉骨砕身
第2章 唖呍
第3章 波濤の夢
第4章 一島の女王
第2篇 南洋探島
第5章 蘇鉄の森
第6章 アンボイナ島
第7章 メラの滝
第8章 島に訣別
第3篇 危機一髪
第9章 神助の船
第10章 土人の歓迎
第11章 夢の王者
第12章 暴風一過
第4篇 蛮地宣伝
第13章 治安内教
第14章 タールス教
第15章 諏訪湖
第16章 慈愛の涙
霊の礎(一〇)
霊の礎(一一)
神諭
余白歌
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霊界物語
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如意宝珠(第13~24巻)
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第24巻(亥の巻)
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<<< 夢の王者
(B)
(N)
治安内教 >>>
第一二章
暴風
(
ぼうふう
)
一過
(
いつくわ
)
〔七四二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻
篇:
第3篇 危機一髪
よみ(新仮名遣い):
ききいっぱつ
章:
第12章 暴風一過
よみ(新仮名遣い):
ぼうふういっか
通し章番号:
742
口述日:
1922(大正11)年07月03日(旧閏05月09日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月10日
概要:
舞台:
地恩城
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫は、黒姫と高山彦に招かれて、宰相室で懐旧談に時を費やしていた。高姫は、玉を隠したのは言依別命の指図らしいと黒姫と高山彦に伝えた。
高姫はまた、自分の非を棚に上げて、玉能姫、初稚姫、玉治別らを悪しざまに告げた。黒姫と高山彦は怒って、宰相の権限で一同を捕らえようと城内を探させたが、どこにも見あたらなかった。
そのうち、三人は黄竜姫からお呼びがかかって姫の居間に通された。蜈蚣姫は、高姫の旅の途上の意地悪に皮肉を言うが、高姫は自分は世界を救う日の出神の御魂だから一つ島の女王より上だ、と言い放って上座に着いた。
高姫は、黄竜姫の玉座の下に秘密の扉があると聞いて、そこに玉が隠してあるのではないか、と疑っていたのであった。黄竜姫は不機嫌になり、これは黄竜の毒気を抑えているのだと注意をするが、高姫はますます疑いの念を強めて、蓋を開けて中を覗き込んでしまった。
高姫は、竜の毒気に当てられて、あっと叫んで倒れてしまった。高姫は、黒姫と高山彦に担がれて退出する。高姫は息を吹き返すと、黄竜姫に対して顔向けができないから、一緒に城を抜け出して玉能姫らを追っかけようと提案する。
黒姫が同意したところへ、高山彦の部下がやってきて、宣伝使らは城内に見当たらず、城外に逃げ出したと思われると報告に来た。高山彦と黒姫は、遂に重臣の地位を捨てて、タカの港から船を漕ぎ出して行ってしまった。
これを霊眼によって見届けた三五教の一行は、城内に戻ってきた。一行は黄竜姫から道中の援助を感謝され、饗応された。いよいよここに三五教を確立した。一行は梅子姫と宇豆姫と手分けをして全島に三五教の大道を宣伝した。そして自転倒島の聖地に凱旋することになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
タカの港(「タカ」の港) ニユージランド(ニュージーランド)
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-15 02:36:31
OBC :
rm2412
愛善世界社版:
193頁
八幡書店版:
第4輯 683頁
修補版:
校定版:
198頁
普及版:
90頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
は
高山彦
(
たかやまひこ
)
、
002
黒姫
(
くろひめ
)
に
誘
(
さそ
)
はれ、
003
広大
(
くわうだい
)
なる
宰相室
(
さいしやうしつ
)
に
導
(
みちび
)
かれ、
004
懐旧談
(
くわいきうだん
)
に
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
しける。
005
黒姫
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
006
ようまア、
007
はるばると
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
008
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
は
分
(
わか
)
りましたか。
009
妾
(
わたし
)
も
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
渡
(
わた
)
つて
宰相
(
さいしやう
)
の
妻
(
つま
)
となつたのを
幸
(
さいは
)
ひに、
010
国人
(
くにびと
)
を
使役
(
しえき
)
し、
011
此
(
この
)
広大
(
くわうだい
)
なる
島
(
しま
)
の
隅々
(
すみずみ
)
まで
探
(
さが
)
させましたなれど、
012
玉
(
たま
)
らしいものは
一
(
ひと
)
つもありませぬ。
013
定
(
さだ
)
めて
貴女
(
あなた
)
が
是
(
これ
)
へお
越
(
こ
)
し
遊
(
あそ
)
ばしたのは、
014
妾
(
わたし
)
に
安心
(
あんしん
)
させてやらうと
思召
(
おぼしめ
)
して、
015
お
出
(
い
)
で
下
(
くだ
)
さつたらうと
信
(
しん
)
じます』
016
高姫
『
誠
(
まこと
)
に
申
(
まを
)
し
訳
(
わけ
)
がありませぬ。
017
あの
玉
(
たま
)
の
隠
(
かく
)
し
人
(
びと
)
は、
018
正
(
まさ
)
しく
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
らしう
御座
(
ござ
)
います。
019
黄金
(
こがね
)
の
玉
(
たま
)
ばかりか、
020
妾
(
わたし
)
の
保管
(
ほくわん
)
して
居
(
を
)
つた
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
を
始
(
はじ
)
め、
021
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
まですつかり
抜
(
ぬ
)
き
取
(
と
)
られ、
022
妾
(
わたし
)
はそれが
為
(
た
)
め
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
艱難
(
かんなん
)
苦労
(
くらう
)
を
嘗
(
な
)
め、
023
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
す
内
(
うち
)
、
024
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
は
我々
(
われわれ
)
を
出
(
だ
)
し
抜
(
ぬ
)
き、
025
貴女
(
あなた
)
の
御存
(
ごぞん
)
じの
丹波村
(
たんばむら
)
のお
節
(
せつ
)
や、
026
杢助
(
もくすけ
)
の
娘
(
むすめ
)
のお
初
(
はつ
)
に、
027
玉
(
たま
)
を
何処
(
どこ
)
かへ
隠
(
かく
)
させて
仕舞
(
しま
)
つたのですよ。
028
それが
為
(
た
)
めにお
節
(
せつ
)
、
029
お
初
(
はつ
)
を
厳
(
きび
)
しく
訊問
(
じんもん
)
すれども、
030
三十万
(
さんじふまん
)
年
(
ねん
)
の
未来
(
みらい
)
でなければ
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げぬと
我
(
が
)
を
張
(
は
)
り、
031
大方
(
おほかた
)
此
(
この
)
島
(
しま
)
に
隠
(
かく
)
して
置
(
お
)
いたのではあるまいかと、
032
荒波
(
あらなみ
)
を
渡
(
わた
)
つて
此処
(
ここ
)
まで
参
(
まゐ
)
りました。
033
未
(
ま
)
だ
一
(
ひと
)
つも
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
は
妾
(
わたし
)
は
分
(
わか
)
らないのです』
034
黒姫
(
くろひめ
)
は
眉
(
まゆ
)
を
逆立
(
さかだ
)
て、
035
黒姫
『
不届
(
ふとど
)
き
至極
(
しごく
)
の
言依別
(
ことよりわけ
)
にお
節
(
せつ
)
にお
初
(
はつ
)
、
036
此
(
この
)
恨
(
うら
)
みを
晴
(
は
)
らさいで
措
(
お
)
きませうや』
037
と
拳
(
こぶし
)
を
握
(
にぎ
)
り、
038
思
(
おも
)
はず
卓
(
たく
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
叩
(
たた
)
いて
雄健
(
をたけ
)
びをする。
039
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
傍
(
そば
)
より、
040
高山彦
『
何時
(
いつ
)
までも
玉々
(
たまたま
)
と
云
(
い
)
ふには
及
(
およ
)
ばぬぢやないか。
041
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
がどうなさらうと、
042
神界
(
しんかい
)
のお
経綸
(
しぐみ
)
に
違
(
ちが
)
ひあるまい。
043
モウ
玉
(
たま
)
の
事
(
こと
)
は
断念
(
だんねん
)
して
貰
(
もら
)
ひたい。
044
黒姫
(
くろひめ
)
の
玉詮索
(
たませんさく
)
には
私
(
わたし
)
もモウウンザリしたよ。
045
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がな
寝言
(
ねごと
)
の
端
(
はし
)
にまで、
046
玉
(
たま
)
の
事
(
こと
)
ばかり、
047
タマ
つたものぢやない。
048
それに
又
(
また
)
高姫
(
たかひめ
)
さままでが、
049
玉
(
たま
)
を
盗
(
と
)
られたとか、
050
イヤもう、
051
うるさい
事
(
こと
)
で
コリ
コリしますワイ』
052
黒姫
『コレコレ
高山
(
たかやま
)
さま、
053
お
前
(
まへ
)
さまは
何
(
な
)
んと
云
(
い
)
ふ
冷淡
(
れいたん
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのだい。
054
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
御
(
おん
)
宝
(
たから
)
、
055
それを
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
として、
056
又
(
また
)
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
として
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れずして、
057
ドウして
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
が
救
(
すく
)
へませうか。
058
お
前
(
まへ
)
さま、
059
時々
(
ときどき
)
利己主義
(
われよし
)
を
発揮
(
はつき
)
するから
困
(
こま
)
る。
060
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
此
(
この
)
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
白状
(
はくじやう
)
させねば
措
(
お
)
くものか。
061
……
時
(
とき
)
に
高姫
(
たかひめ
)
さま、
062
其
(
その
)
お
節
(
せつ
)
にお
初
(
はつ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
どこ
)
に
居
(
を
)
りますか』
063
高姫
『ハイ、
064
たつた
今
(
いま
)
……
偉
(
えら
)
さうにニユージランドの
土人
(
どじん
)
のお
手車
(
てぐるま
)
に
乗
(
の
)
せられ、
065
此
(
この
)
玄関先
(
げんくわんさき
)
までやつて
来
(
き
)
ましたが、
066
大方
(
おほかた
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
奥殿
(
おくでん
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
067
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
で
自慢話
(
じまんばなし
)
でもやつて
居
(
を
)
りませうよ、
068
本当
(
ほんたう
)
に
劫腹
(
がふばら
)
の
立
(
た
)
つ……ニユージランドの
玉
(
たま
)
の
森
(
もり
)
で、
069
大変
(
たいへん
)
な、
070
妾
(
わたし
)
に
侮辱
(
ぶじよく
)
を
加
(
くは
)
へました。
071
元
(
もと
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
様
(
さま
)
を
誘拐
(
かどはか
)
した
友彦
(
ともひこ
)
や、
072
スマートボールに
田吾作
(
たごさく
)
の
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
073
それにお
節
(
せつ
)
にお
初
(
はつ
)
、
074
いやモウサンザンの
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はしよつた。
075
如何
(
いか
)
に……
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
ぢや、
076
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
せ……と
思
(
おも
)
つても、
077
口惜
(
くや
)
し
残念
(
ざんねん
)
をこばりつめようと
思
(
おも
)
つても、
078
是
(
これ
)
がどうして
耐
(
こば
)
らせませうかい。
079
大勢
(
おほぜい
)
の
人
(
ひと
)
の
中
(
なか
)
に
面
(
つら
)
を
晒
(
さら
)
され、
080
生
(
うま
)
れてからコンナ
残念
(
ざんねん
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされた
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬワイなア』
081
と
耐
(
こら
)
へ
耐
(
こら
)
へし
溜涙
(
ためなみだ
)
、
082
一度
(
いちど
)
に
堤防
(
ていばう
)
の
崩
(
くづ
)
れし
如
(
ごと
)
く
声
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つて
泣
(
な
)
き
立
(
た
)
てける。
083
黒姫
『お
節
(
せつ
)
にお
初
(
はつ
)
、
084
田吾作
(
たごさく
)
の
奴
(
やつ
)
、
085
屹度
(
きつと
)
当城内
(
たうじやうない
)
の
何処
(
どこ
)
かに
居
(
を
)
るに
違
(
ちが
)
ひない。
086
サア
是
(
こ
)
れから
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して、
087
締木
(
しめぎ
)
に
架
(
か
)
けても
白状
(
はくじやう
)
させねば
措
(
お
)
くものか。
088
……ヤア
家来
(
けらい
)
共
(
ども
)
、
089
最前
(
さいぜん
)
参
(
まゐ
)
りし
男女
(
だんぢよ
)
の
一同
(
いちどう
)
召捕
(
めしと
)
つて
此
(
この
)
場
(
ば
)
へ
連
(
つ
)
れ
来
(
きた
)
れよ』
090
との
黒姫
(
くろひめ
)
の
下知
(
げち
)
に
隣室
(
りんしつ
)
に
控
(
ひか
)
へ
居
(
ゐ
)
たる
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
下男
(
しもべ
)
は、
091
『ハイ』
092
と
答
(
こた
)
へて
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
、
093
襷十字
(
たすきじふじ
)
に
綾取
(
あやど
)
り、
094
突棒
(
つくぼう
)
、
095
刺股
(
さすまた
)
、
096
手槍
(
てやり
)
なぞを
提
(
ひつさ
)
げて、
097
城内
(
じやうない
)
隈
(
くま
)
なく
捜索
(
そうさく
)
し
始
(
はじ
)
めたり。
098
されど
裏山
(
うらやま
)
の
森林
(
しんりん
)
に
手早
(
てばや
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したる
玉能姫
(
たまのひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
は
山
(
やま
)
又
(
また
)
山
(
やま
)
を
越
(
こ
)
えて、
099
遥
(
はる
)
か
向
(
むか
)
ふの
山頂
(
さんちやう
)
に
避難
(
ひなん
)
し
時
(
とき
)
の
移
(
うつ
)
るを
待
(
ま
)
ち
居
(
ゐ
)
たりける。
100
かかる
所
(
ところ
)
へ
侍女
(
じぢよ
)
の
一人
(
ひとり
)
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
101
侍女
『
宰相
(
さいしやう
)
様
(
さま
)
、
102
其
(
その
)
他
(
た
)
の
御
(
お
)
客
(
きやく
)
様
(
さま
)
に、
103
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
がお
目
(
め
)
にかかりたいと
仰
(
あふ
)
せられます。
104
どうぞ
直様
(
すぐさま
)
お
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
されませ、
105
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しませう』
106
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つ。
107
ブランジー、
108
クロンバーの
後
(
あと
)
に
従
(
つ
)
いて
高姫
(
たかひめ
)
は、
109
首
(
くび
)
を
頻
(
しき
)
りに
振
(
ふ
)
りながら、
110
半
(
なかば
)
神懸
(
かむがかり
)
[
※
三版・御校正本・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑り」。
]
の
態
(
てい
)
にて
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
みつつ、
111
やうやう
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
通
(
とほ
)
されける。
112
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
に
向
(
むか
)
ひ
両手
(
りやうて
)
をつき、
113
高山彦
『
今日
(
こんにち
)
は
御
(
おん
)
母上
(
ははうへ
)
に
御
(
ご
)
対面
(
たいめん
)
遊
(
あそ
)
ばされ、
114
吾々
(
われわれ
)
も
共
(
とも
)
に
大慶
(
たいけい
)
至極
(
しごく
)
に
存
(
ぞん
)
じまする。
115
……
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
、
116
ようこそ、
117
御
(
ご
)
入来
(
じゆらい
)
下
(
くだ
)
さいました。
118
私
(
わたくし
)
は
当国
(
たうごく
)
の
宰相
(
さいしやう
)
を
承
(
うけたま
)
はる
高山彦
(
たかやまひこ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
、
119
ブランジーとは
仮
(
かり
)
の
名
(
な
)
、
120
又
(
また
)
此
(
この
)
クロンバーと
申
(
まを
)
すは
私
(
わたくし
)
の
妻
(
つま
)
、
121
本名
(
ほんみやう
)
は
黒姫
(
くろひめ
)
と
申
(
まを
)
すもの、
122
何卒
(
なにとぞ
)
御
(
お
)
見知
(
みし
)
り
置
(
お
)
かれまして
御
(
お
)
引立
(
ひきたて
)
の
段
(
だん
)
、
123
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
りまする』
124
蜈蚣姫
『コレハコレハ
高山彦
(
たかやまひこ
)
様
(
さま
)
、
125
黒姫
(
くろひめ
)
様
(
さま
)
とやら、
126
予
(
かね
)
て
高姫
(
たかひめ
)
さまより
承
(
うけたま
)
はつて
居
(
を
)
りました、
127
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しう
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
します。
128
……コレ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
129
貴女
(
あなた
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
意地悪
(
いぢわる
)
いお
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いましたなア、
130
ニユージランドの
玉
(
たま
)
の
森
(
もり
)
にては
貴女
(
あなた
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
お
困
(
こま
)
りでしたやうですワ』
131
高姫
『
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さま、
132
お
前
(
まへ
)
さまの
娘御
(
むすめご
)
が、
133
此
(
この
)
国
(
くに
)
の
女王
(
ぢよわう
)
になつたと
思
(
おも
)
つて
俄
(
にはか
)
に
偉
(
えら
)
い
御
(
ご
)
見識
(
けんしき
)
、
134
何程
(
なにほど
)
偉
(
えら
)
い
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
でも、
135
世界
(
せかい
)
統一
(
とういつ
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
、
136
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
御
(
おん
)
宝
(
たから
)
、
137
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
に
比
(
くら
)
ぶれば、
138
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
位
(
くらゐ
)
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つたとて、
139
アンマリ
立派
(
りつぱ
)
なお
手柄
(
てがら
)
でも
御座
(
ござ
)
いますまい。
140
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
に
二人
(
ふたり
)
とない
世
(
よ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しの
基礎
(
どだい
)
の
身魂
(
みたま
)
は、
141
……ヘン
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
いますワイ。
142
盲
(
めくら
)
千
(
せん
)
人
(
にん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
143
誠
(
まこと
)
の
者
(
もの
)
は
一寸
(
ちよつと
)
やそつとに
分
(
わか
)
りますまい。
144
此
(
この
)
黒姫
(
くろひめ
)
さまだとて、
145
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
幕下
(
ばくか
)
に
神妙
(
しんめう
)
に
仕
(
つか
)
へて
御座
(
ござ
)
るが、
146
実
(
じつ
)
の
素性
(
すじやう
)
を
申
(
まを
)
せば、
147
驚
(
おどろ
)
く
勿
(
なか
)
れ……
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
で
御座
(
ござ
)
るぞや。
148
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
夫顔
(
をつとがお
)
をして
偉
(
えら
)
さうにして
御座
(
ござ
)
るが、
149
実際
(
じつさい
)
の
身魂
(
みたま
)
を
云
(
い
)
へば、
150
青雲山
(
せいうんざん
)
に
棲
(
すま
)
ひを
致
(
いた
)
す
大天狗
(
だいてんぐ
)
の
身魂
(
みたま
)
、
151
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
高姫
(
たかひめ
)
、
152
黒姫
(
くろひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
が
居
(
を
)
らねば、
153
神国
(
しんこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
は……ヘン
致
(
いた
)
しませぬワイ。
154
人民
(
じんみん
)
に
対
(
たい
)
して
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
の
女王
(
ぢよわう
)
さまでも、
155
天地
(
てんち
)
根本
(
こつぽん
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
156
神界
(
しんかい
)
では
是
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
立派
(
りつぱ
)
な
権威
(
けんゐ
)
のある
身魂
(
みたま
)
はありますまい。
157
……
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
殿
(
どの
)
、
158
暫
(
しばら
)
く
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
に
席
(
せき
)
をお
譲
(
ゆづ
)
りめされ』
159
とツンツンし
乍
(
なが
)
ら、
160
上座
(
じやうざ
)
にドンと
坐
(
すわ
)
り
見
(
み
)
せたり。
161
蜈蚣姫
『
何
(
なん
)
とマア
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
い
執拗
(
しぶと
)
い
身魂
(
みたま
)
だらう。
162
仮令
(
たとへ
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
でも
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
でも、
163
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
は
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
の
権利
(
けんり
)
、
164
上座
(
じやうざ
)
に
坐
(
すわ
)
るのが
御
(
お
)
気
(
き
)
に
召
(
め
)
さねば、
165
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
貰
(
もら
)
ひませう』
166
高姫
『
別
(
べつ
)
に
妾
(
わたし
)
は
女王
(
ぢよわう
)
にならうと
云
(
い
)
ふのではない。
167
女王
(
ぢよわう
)
さまの
坐
(
すわ
)
つて
御座
(
ござ
)
る
尻
(
しり
)
の
下
(
した
)
が
一遍
(
いつぺん
)
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
たいのだ』
168
蜈蚣姫
『オホヽヽヽ、
169
疑
(
うたが
)
ひの
深
(
ふか
)
いお
方
(
かた
)
だ
事
(
こと
)
、
170
女王
(
ぢよわう
)
さまの
坐
(
すわ
)
つて
御座
(
ござ
)
る
床下
(
ゆかした
)
に、
171
三
(
みつ
)
つの
玉
(
たま
)
でも
隠
(
かく
)
してある
様
(
やう
)
に
疑
(
うたが
)
うていらつしやるのだな』
172
高姫
『
疑
(
うたが
)
ふも
疑
(
うたが
)
はぬもありますかい。
173
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
がチヤンと
天眼通
(
てんがんつう
)
で
調
(
しら
)
べてあるのだ、
174
お
前
(
まへ
)
さまが
意地張
(
いぢば
)
れば
意地張
(
いぢば
)
るほど、
175
此方
(
こちら
)
は
疑
(
うたが
)
はざるを
得
(
え
)
ませぬ。
176
黒姫
(
くろひめ
)
さまも
好
(
い
)
い
頓馬
(
とんま
)
だなア。
177
何
(
なん
)
の
為
(
た
)
めに
暫
(
しばら
)
く
宰相神
(
さいしやうがみ
)
に
化
(
ば
)
けて
御座
(
ござ
)
つたのだな。
178
サヽ
女王
(
ぢよわう
)
さま、
179
一寸
(
ちよつと
)
立
(
た
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
180
黄竜姫
『
苟
(
いやし
)
くも
一国
(
いつこく
)
の
女王
(
ぢよわう
)
たるもの、
181
仮令
(
たとへ
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
言葉
(
ことば
)
と
雖
(
いへど
)
も、
182
吾
(
わが
)
意
(
い
)
に
反
(
はん
)
して
一分
(
いちぶ
)
も
動
(
うご
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬぞ』
183
高姫
(
たかひめ
)
は
横手
(
よこて
)
を
拍
(
う
)
ちニヤリと
笑
(
わら
)
ひ、
184
高姫
『ソレソレ
矢張
(
やつぱり
)
隠
(
かく
)
し
終
(
お
)
ふせますまいがな。
185
此方
(
こちら
)
が
現
(
あらは
)
さぬ
内
(
うち
)
に
素直
(
すなほ
)
に
白状
(
はくじやう
)
なされ。
186
さうすれば
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
に
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
の
女王
(
ぢよわう
)
として、
187
驍名
(
げうめい
)
を
天下
(
てんか
)
に
輝
(
かがや
)
かす
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
る。
188
成
(
な
)
る
事
(
こと
)
なら
此
(
この
)
儘
(
まま
)
にして
蓋
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けずに
助
(
たす
)
けて
遣
(
や
)
りたいのが、
189
高姫
(
たかひめ
)
の
胸一杯
(
むねいつぱい
)
だ。
190
此
(
この
)
大
(
だい
)
慈悲心
(
じひしん
)
を
無
(
む
)
にして、
191
何処迄
(
どこまで
)
も
隠
(
かく
)
すのなら
隠
(
かく
)
してよからう。
192
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
と
親子
(
おやこ
)
心
(
こころ
)
を
合
(
あは
)
せ、
193
聖地
(
せいち
)
の
宝
(
たから
)
を
隠
(
かく
)
さうと
思
(
おも
)
うても、
194
隠
(
かく
)
し
終
(
お
)
ふせるものでは
御座
(
ござ
)
いませぬぞや』
195
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
稍
(
やや
)
不機嫌
(
ふきげん
)
の
態
(
てい
)
にて
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
此
(
この
)
場
(
ば
)
をツツと
立
(
た
)
ち、
196
風景
(
ふうけい
)
よき
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
りけり。
197
高姫
『オホヽヽヽ、
198
トウトウ
尻
(
しり
)
こそばゆなつて
座
(
ざ
)
を
立
(
た
)
つて、
199
お
脱
(
ぬ
)
け
遊
(
あそ
)
ばしたワイ。
200
……
高山彦
(
たかやまひこ
)
さま、
201
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
202
高姫
(
たかひめ
)
の
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
には
敵
(
かな
)
ひますまい。
203
サアサ
尻
(
しり
)
の
下
(
した
)
の
板
(
いた
)
をめくつて
調
(
しら
)
べて
御覧
(
ごらん
)
、
204
お
前
(
まへ
)
さまの
目
(
め
)
では
実物
(
じつぶつ
)
を
見
(
み
)
なければ
分
(
わか
)
るまい。
205
妾
(
わたし
)
はチヤンと
天眼通
(
てんがんつう
)
で
床板
(
ゆかいた
)
を
透
(
とう
)
して
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
るのだ。
206
……ヤレヤレ
愈
(
いよいよ
)
大願
(
たいぐわん
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
時
(
とき
)
到
(
いた
)
れりだ。
207
アーア
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
208
と
双手
(
もろて
)
を
合
(
あは
)
せ、
209
まだ
見
(
み
)
ぬ
先
(
さき
)
から
手
(
て
)
に
入
(
い
)
つたやうな
心持
(
こころもち
)
に、
210
感謝
(
かんしや
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
頻
(
しき
)
りに
奏上
(
そうじやう
)
する。
211
高山彦
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
212
此
(
この
)
床下
(
ゆかした
)
には
決
(
けつ
)
してソンナ
物
(
もの
)
はありませぬよ。
213
此
(
この
)
葢
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けるが
最後
(
さいご
)
、
214
蜿蜒
(
えんえん
)
たる
黄竜
(
わうりよう
)
が
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
を
)
りますから、
215
毒気
(
どくき
)
に
当
(
あ
)
てられては
大変
(
たいへん
)
な
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
はねばなりますまい。
216
開
(
あ
)
けるのなら、
217
お
前
(
まへ
)
さま
手
(
て
)
づから
開
(
あ
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
218
高姫
(
たかひめ
)
は………「
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふ、
219
高山彦
(
たかやまひこ
)
さまもお
人
(
ひと
)
がよいから、
220
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
に
誤魔化
(
ごまくわ
)
されて
居
(
を
)
るワイ」……と
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
な
顔付
(
かほつき
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
221
床板
(
ゆかいた
)
を
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
グツとめくり、
222
床下
(
ゆかした
)
の
深
(
ふか
)
い
穴
(
あな
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
み「アツ」と
云
(
い
)
つたきり、
223
蟹
(
かに
)
の
様
(
やう
)
な
泡
(
あわ
)
を
吹
(
ふ
)
き
目
(
め
)
をまはし
打
(
う
)
ち
倒
(
たふ
)
れけり。
224
黒姫
(
くろひめ
)
、
225
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
身体
(
からだ
)
を
引抱
(
ひつかか
)
へ、
226
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
担
(
かつ
)
ぎ
込
(
こ
)
み
水
(
みづ
)
よ
薬
(
くすり
)
よと
介抱
(
かいはう
)
し、
227
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
したるに、
228
漸
(
やうや
)
くにして
高姫
(
たかひめ
)
は
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
し、
229
高姫
『アーア、
230
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
も
全
(
まつた
)
く
疑
(
うたが
)
ひが
晴
(
は
)
れました。
231
かうなる
以上
(
いじやう
)
は
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
に
対
(
たい
)
し
恥
(
はづ
)
かしくて、
232
半時
(
はんとき
)
の
間
(
ま
)
も
居
(
を
)
られはしない。
233
高山彦
(
たかやまひこ
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
御
(
ご
)
所存
(
しよぞん
)
は
如何
(
いか
)
に、
234
妾
(
わたし
)
と
一緒
(
いつしよ
)
にお
節
(
せつ
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
し、
235
今度
(
こんど
)
は
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
に
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ようぢやないか』
236
高山彦
(
たかやまひこ
)
は
気
(
き
)
のりのせぬ
風
(
ふう
)
にて、
237
高山彦
『アマリ
急
(
いそ
)
ぐに
及
(
およ
)
びませぬワイ』
238
黒姫
『コレ
高山彦
(
たかやまひこ
)
さま、
239
何
(
なん
)
といふ
冷淡
(
れいたん
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
る。
240
天下
(
てんか
)
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
にどうしても
彼
(
あ
)
の
玉
(
たま
)
を
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れねばなりますまい』
241
高姫
『
黒姫
(
くろひめ
)
さま、
242
一
(
ひと
)
つ
覚悟
(
かくご
)
を
遊
(
あそ
)
ばさねばなりませぬぞ。
243
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
今
(
いま
)
申
(
まを
)
し
付
(
つ
)
ける』
244
黒姫
『
竜宮
(
りうぐう
)
の
乙姫
(
おとひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
245
確
(
たしか
)
に
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました』
246
かかる
所
(
ところ
)
へ
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
ドヤドヤと
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
247
男
『
宰相
(
さいしやう
)
様
(
さま
)
に
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます。
248
城内
(
じやうない
)
隈
(
くま
)
なく
探
(
さが
)
しましたが、
249
宣伝使
(
せんでんし
)
らしき
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
も
居
(
を
)
りませぬから、
250
屹度
(
きつと
)
裏門
(
うらもん
)
から
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つたに
相違
(
さうゐ
)
ありますまい。
251
一足
(
ひとあし
)
なりと
逃
(
に
)
げ
延
(
の
)
びぬ
内
(
うち
)
に、
252
サア
皆
(
みな
)
さま
捜索
(
そうさく
)
に
参
(
まゐ
)
りませう』
253
と
促
(
うなが
)
す。
254
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はツト
此
(
こ
)
の
城
(
しろ
)
を
立出
(
たちい
)
で、
255
傍
(
かたはら
)
の
山
(
やま
)
より
峰伝
(
みねづた
)
ひに、
256
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
257
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
258
玉治別
(
たまはるわけ
)
一行
(
いつかう
)
の
捜索
(
そうさく
)
に
立向
(
たちむか
)
ひける。
259
高山彦
(
たかやまひこ
)
も
終
(
つひ
)
に
顕要
(
けんえう
)
の
地位
(
ちゐ
)
を
棄
(
す
)
てて
高姫
(
たかひめ
)
、
260
黒姫
(
くろひめ
)
と
共
(
とも
)
に「タカ」の
港
(
みなと
)
に
現
(
あら
)
はれ、
261
一隻
(
いつせき
)
の
船
(
ふね
)
に
身
(
み
)
を
委
(
まか
)
せ、
262
浪
(
なみ
)
のまにまに
玉能姫
(
たまのひめ
)
一行
(
いつかう
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
はむと
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
したり。
263
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
264
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
265
玉治別
(
たまはるわけ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
一行
(
いつかう
)
は、
266
遥
(
はる
)
かの
山上
(
さんじやう
)
より
霊眼
(
れいがん
)
を
以
(
もつ
)
て
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
此
(
この
)
島
(
しま
)
を
後
(
あと
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
くのを
眺
(
なが
)
め、
267
ヤツト
胸
(
むね
)
撫
(
な
)
で
下
(
お
)
ろし、
268
再
(
ふたた
)
び
城内
(
じやうない
)
に
悠々
(
いういう
)
として
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たりぬ。
269
初稚姫
(
はつわかひめ
)
一行
(
いつかう
)
は、
270
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
のアンボイナ
島
(
たう
)
に
於
(
お
)
ける
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ふ
可
(
べ
)
く
船
(
ふね
)
を
与
(
あた
)
へたる
其
(
その
)
好意
(
かうい
)
を
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
より
感謝
(
かんしや
)
され、
271
山海
(
さんかい
)
の
珍味
(
ちんみ
)
を
饗応
(
もてな
)
され、
272
愈
(
いよいよ
)
茲
(
ここ
)
に
三五教
(
あななひけう
)
を
確立
(
かくりつ
)
し、
273
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
を
女王
(
ぢよわう
)
兼
(
けん
)
全島
(
ぜんたう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
と
定
(
さだ
)
め、
274
各自
(
めいめい
)
に
手分
(
てわ
)
けをなし、
275
梅子姫
(
うめこひめ
)
、
276
宇豆姫
(
うづひめ
)
諸共
(
もろとも
)
に、
277
全島
(
ぜんたう
)
隈
(
くま
)
なくあらゆる
生霊
(
せいれい
)
に
三五
(
あななひ
)
の
大道
(
たいだう
)
を
宣伝
(
せんでん
)
し、
278
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
聖地
(
せいち
)
に
向
(
むか
)
つて
凱旋
(
がいせん
)
する
事
(
こと
)
となりにける。
279
(
大正一一・七・三
旧閏五・九
谷村真友
録)
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(B)
(N)
治安内教 >>>
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