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第75巻(寅の巻)
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第24巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 流転の涙
01 粉骨砕身
〔731〕
02 唖呍
〔732〕
03 波濤の夢
〔733〕
04 一洲の女王
〔734〕
第2篇 南洋探島
05 蘇鉄の森
〔735〕
06 アンボイナ島
〔736〕
07 メラの滝
〔737〕
08 島に訣別
〔738〕
第3篇 危機一髪
09 神助の船
〔739〕
10 土人の歓迎
〔740〕
11 夢の王者
〔741〕
12 暴風一過
〔742〕
第4篇 蛮地宣伝
13 治安内教
〔743〕
14 タールス教
〔744〕
15 諏訪湖
〔745〕
16 慈愛の涙
〔746〕
霊の礎(一〇)
霊の礎(一一)
神諭
余白歌
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第24巻
> 第2篇 南洋探島 > 第5章 蘇鉄の森
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(B)
(N)
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第五章
蘇鉄
(
そてつ
)
の
森
(
もり
)
〔七三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻
篇:
第2篇 南洋探島
よみ(新仮名遣い):
なんようたんとう
章:
第5章 蘇鉄の森
よみ(新仮名遣い):
そてつのもり
通し章番号:
735
口述日:
1922(大正11)年07月02日(旧閏05月08日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一方、娘の黄竜姫に会うために蜈蚣姫一行は、部下を引き連れて船に乗って竜宮島に向かっていた。船には蜈蚣姫に表面上心を合わせた高姫が乗っていた。
大島に着いた一行は、水を求めて島内に進み入った。しかし数々の怪異に妨げられ、高姫は意識を失った蜈蚣姫らに責められて苦悶を味わう。そのさなかに真正の日の出神が現れて、高姫は戒めを受けた。
空中より巨大な光玉が現れて高姫の面前に轟然として落下した。ふと眼を覚ますと、蘇鉄の木の下に一同は倒れていた。蜈蚣姫らバラモン教の一行は、息も絶え絶えになって苦しんでいる。
高姫は思わず貫州を呼んだ。貫州は一人、水を見つけて瓢箪に汲んで戻ってきた。高姫は日の出神の訓戒も忘れて、バラモン教徒たちを置き去りにして、自分たちだけで竜宮島に渡ろうと貫州に持ちかけるが、貫州は高姫を諌めバラモン教徒たちに水を含ませて蘇生させた。
蘇生した蜈蚣姫やスマートボールは高姫を暗に非難するが、高姫はバラモン教徒たちの守護神が自分に懸って言ったのだ、と気にも留めない。高姫と蜈蚣姫はひとしきり、口合戦をやっている。
一同は貫州に水のありかを教えられ、ありったけの器に水を入れてまた船に戻り、西南に向けて出港した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm2405
愛善世界社版:
73頁
八幡書店版:
第4輯 638頁
修補版:
校定版:
75頁
普及版:
34頁
初版:
ページ備考:
001
生命
(
いのち
)
の
綱
(
つな
)
と
頼
(
たの
)
みてし
002
三
(
み
)
つの
神宝
(
しんぱう
)
の
所在
(
ありか
)
をば
003
執念深
(
しふねんぶか
)
く
何処
(
どこ
)
までも
004
探
(
さが
)
さにや
置
(
お
)
かぬと
高姫
(
たかひめ
)
が
005
夜叉
(
やしや
)
の
如
(
ごと
)
くに
狂
(
くる
)
ひ
立
(
た
)
ち
006
積
(
つも
)
る
思
(
おも
)
ひの
明石潟
(
あかしがた
)
007
浪
(
なみ
)
の
淡路
(
あはぢ
)
の
島影
(
しまかげ
)
に
008
船
(
ふね
)
打
(
う
)
ち
当
(
あ
)
てて
沈没
(
ちんぼつ
)
し
009
九死一生
(
きうしいつしやう
)
の
大難
(
だいなん
)
を
010
玉能
(
たまの
)
の
姫
(
ひめ
)
に
助
(
たす
)
けられ
011
感謝
(
かんしや
)
するかと
思
(
おも
)
ひきや
012
心
(
こころ
)
の
奥
(
おく
)
に
潜
(
ひそ
)
むなる
013
自尊
(
じそん
)
の
悪魔
(
あくま
)
に
遮
(
さへぎ
)
られ
014
生命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
をさまざまに
015
罵
(
ののし
)
り
嘲
(
あざけ
)
り
東助
(
とうすけ
)
が
016
操
(
あやつ
)
る
船
(
ふね
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
017
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
は
家島
(
えじま
)
ぞと
018
心
(
こころ
)
を
焦
(
いら
)
ちて
到着
(
たうちやく
)
し
019
イロイロ
雑多
(
ざつた
)
と
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
020
心
(
こころ
)
砕
(
くだ
)
きし
其
(
その
)
揚句
(
あげく
)
021
絶望
(
ぜつばう
)
の
淵
(
ふち
)
に
身
(
み
)
を
沈
(
しづ
)
め
022
如何
(
いかが
)
はせむと とつおいつ
023
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
るる
折柄
(
をりから
)
に
024
浜辺
(
はまべ
)
に
繋
(
つな
)
げる
新調
(
しんてう
)
の
025
小舟
(
こぶね
)
に
身
(
み
)
をば
任
(
まか
)
せつつ
026
貫州
(
くわんしう
)
従
(
したが
)
へ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
027
生命
(
いのち
)
の
瀬戸
(
せと
)
の
海面
(
かいめん
)
を
028
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
いだ
)
し
029
小豆ケ島
(
せうどがしま
)
へ
漂着
(
へうちやく
)
し
030
又
(
また
)
もや
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
をば
031
探
(
さぐ
)
らんものと
国城
(
くにしろ
)
の
032
山
(
やま
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
駆登
(
かけのぼ
)
り
033
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
にてバラモンの
034
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
035
館
(
やかた
)
に
思
(
おも
)
はず
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
み
036
早速
(
さそく
)
の
頓智
(
とんち
)
高姫
(
たかひめ
)
は
037
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
が
心
(
こころ
)
汲
(
く
)
み
038
表面
(
うはつら
)
ばかり
親善
(
しんぜん
)
の
039
姿
(
すがた
)
装
(
よそほ
)
ひ
漸
(
やうや
)
うに
040
敵
(
てき
)
の
毒手
(
どくしゆ
)
を
逃
(
のが
)
れつつ
041
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
を
利用
(
りよう
)
して
042
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
らむと
043
再
(
ふたた
)
び
船
(
ふね
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ
044
一行
(
いつかう
)
数人
(
すうにん
)
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
045
馬関海峡
(
ばくわんかいけふ
)
打過
(
うちよ
)
ぎり
046
西
(
にし
)
へ
南
(
みなみ
)
へ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
047
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
は
第一
(
だいいち
)
に
048
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
索
(
もと
)
めつつ
049
恋
(
こひ
)
しき
娘
(
むすめ
)
の
所在
(
ありか
)
をば
050
探
(
さぐ
)
らむ
為
(
ため
)
の
二
(
ふた
)
つ
玉
(
だま
)
051
愛
(
あい
)
と
欲
(
よく
)
とに
搦
(
から
)
まれて
052
スマートボール
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
053
供
(
とも
)
を
従
(
したが
)
へ
高姫
(
たかひめ
)
が
054
船
(
ふね
)
に
棹
(
さを
)
さし
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
055
心
(
こころ
)
そぐはぬ
敵味方
(
てきみかた
)
056
さしもに
広
(
ひろ
)
き
海原
(
うなばら
)
の
057
波
(
なみ
)
は
凪
(
な
)
げども
村肝
(
むらきも
)
の
058
心
(
こころ
)
の
海
(
うみ
)
に
立
(
た
)
つ
波
(
なみ
)
は
059
穏
(
おだや
)
かならぬ
風情
(
ふぜい
)
なり。
060
焦
(
こげ
)
つく
様
(
やう
)
な
暑
(
あつ
)
い
日光
(
につくわう
)
を
浴
(
あ
)
びた
一行
(
いつかう
)
は、
061
汗
(
あせ
)
を
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くに
搾
(
しぼ
)
り
出
(
だ
)
し、
062
渇
(
かつ
)
を
感
(
かん
)
じ
水
(
みづ
)
を
需
(
もと
)
めむと、
063
やうやうにして
海中
(
わだなか
)
に
泛
(
うか
)
べる
大島
(
おほしま
)
の
磯端
(
いそばた
)
に
船
(
ふね
)
を
横
(
よこ
)
たへ、
064
彼方此方
(
あなたこなた
)
と
淡水
(
たんすゐ
)
を
求
(
もと
)
めつつ
草木
(
くさき
)
を
別
(
わ
)
けて
互
(
たがひ
)
に『オーイオイ』と
声
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
け、
065
連絡
(
れんらく
)
を
保
(
たも
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
066
島内
(
たうない
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
067
渇
(
かわ
)
き
切
(
き
)
つたる
喉
(
のど
)
よりは
最早
(
もはや
)
皺嗄
(
しわが
)
れ
声
(
ごゑ
)
も
出
(
で
)
なくなりにけり。
068
高姫
(
たかひめ
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
蘇鉄
(
そてつ
)
の
森
(
もり
)
に
着
(
つ
)
きぬ。
069
一丈
(
いちぢやう
)
許
(
ばか
)
りの
蘇鉄
(
そてつ
)
の
幹
(
みき
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
突立
(
つつた
)
つて
雨傘
(
あまがさ
)
を
拡
(
ひろ
)
げた
如
(
ごと
)
く、
070
所
(
ところ
)
狭
(
せ
)
き
迄
(
まで
)
立並
(
たちなら
)
ぶ。
071
蘇鉄
(
そてつ
)
のマラを
眺
(
なが
)
めて
矢庭
(
やには
)
に
貫州
(
くわんしう
)
に
命
(
めい
)
じ、
072
むしり
取
(
と
)
らしめてしがみ
始
(
はじ
)
めたるに、
073
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
甘露
(
かんろ
)
の
如
(
ごと
)
き
甘
(
あま
)
き
汁
(
しる
)
、
074
噛
(
か
)
むに
従
(
したが
)
つて
滲
(
にじ
)
み
出
(
い
)
で、
075
漸
(
やうや
)
く
蘇生
(
そせい
)
の
思
(
おも
)
ひをなせり。
076
………
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
一行
(
いつかう
)
も
漸
(
やうや
)
くにして
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ、
077
高姫
(
たかひめ
)
が
むしり
取
(
と
)
つたるマラに
目
(
め
)
を
注
(
そそ
)
ぎ
渇
(
かつ
)
を
医
(
い
)
する
為
(
ため
)
に、
078
餓鬼
(
がき
)
の
如
(
ごと
)
く
喰
(
くら
)
ひ
付
(
つ
)
かんとする
一刹那
(
いちせつな
)
、
079
マラの
実
(
み
)
は
忽
(
たちま
)
ち
延長
(
えんちやう
)
し
一丈
(
いちぢやう
)
許
(
ばか
)
りの
大蜈蚣
(
おほむかで
)
となつてノロノロと
這
(
は
)
ひ
出
(
だ
)
し、
080
其
(
その
)
儘
(
まま
)
蘇鉄
(
そてつ
)
の
幹
(
みき
)
にのぼり、
081
次
(
つぎ
)
から
次
(
つぎ
)
へと
条虫
(
さなだむし
)
の
如
(
ごと
)
く
延長
(
えんちやう
)
して
蘇鉄
(
そてつ
)
の
幹
(
みき
)
を
残
(
のこ
)
らず
巻
(
ま
)
き、
082
一指
(
いつし
)
をも
添
(
そ
)
へざらしめむとせり。
083
蜈蚣
(
むかで
)
は
長
(
なが
)
さと
太
(
ふと
)
さを
時々刻々
(
じじこくこく
)
に
増
(
ま
)
し、
084
一時
(
いつとき
)
程
(
ほど
)
の
間
(
うち
)
に
此
(
この
)
大島
(
おほしま
)
全体
(
ぜんたい
)
を
巻
(
ま
)
き
尽
(
つく
)
したりける。
085
高姫
(
たかひめ
)
、
086
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
一行
(
いつかう
)
は、
087
樹木
(
じゆもく
)
と
共
(
とも
)
に
蜈蚣
(
むかで
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
088
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
えに
天津祝詞
(
あまつのりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
089
バラモン
教
(
けう
)
の
経文
(
きやうもん
)
を
唱
(
とな
)
へ、
090
只管
(
ひたすら
)
身
(
み
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
祈
(
いの
)
る
事
(
こと
)
のみに
余念
(
よねん
)
なかりけり。
091
マラの
変化
(
へんげ
)
より
成出
(
なりい
)
でたる
蜈蚣
(
むかで
)
は、
092
大島
(
おほしま
)
を
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
に
巻
(
ま
)
き、
093
四面
(
しめん
)
暗澹
(
あんたん
)
として
暗
(
くら
)
く、
094
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれぬ
不快
(
ふくわい
)
の
空気
(
くうき
)
に、
095
呼吸器
(
こきふき
)
の
働
(
はたら
)
きも
停止
(
ていし
)
せむ
許
(
ばか
)
りとなりき。
096
九死一生
(
きうしいつしやう
)
の
破目
(
はめ
)
に
陥
(
おちい
)
りたる
高姫
(
たかひめ
)
は、
097
最早
(
もはや
)
是
(
これ
)
までなりと
総
(
すべ
)
ての
執着心
(
しふちやくしん
)
に
離
(
はな
)
れ、
098
運命
(
うんめい
)
を
惟神
(
かむながら
)
に
任
(
まか
)
せ、
099
観念
(
かんねん
)
の
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
ぢ
死
(
し
)
を
待
(
ま
)
ちつつありける。
100
忽
(
たちま
)
ち
頭上
(
づじやう
)
より
熱湯
(
ねつたう
)
を
浴
(
あ
)
びせかけた
如
(
ごと
)
き
焦頭爛額
(
せうとうらんがく
)
の
苦
(
くるし
)
みを
感
(
かん
)
ずると
共
(
とも
)
に、
101
紫磨
(
しま
)
黄金
(
わうごん
)
の
肌
(
はだへ
)
を
露
(
あら
)
はしたる
巨大
(
きよだい
)
の
神人
(
しんじん
)
、
102
忽然
(
こつぜん
)
として
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
103
『
汝
(
なんぢ
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
称
(
しよう
)
する
高姫
(
たかひめ
)
、
104
今
(
いま
)
茲
(
ここ
)
に
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めずば
汝
(
なんじ
)
は
永遠
(
ゑいゑん
)
に
今
(
いま
)
の
苦
(
くるし
)
みを
味
(
あぢ
)
はひ、
105
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
の
消
(
き
)
えぬ
火
(
ひ
)
に
焼
(
やか
)
るべし』
106
と
云
(
い
)
つた
儘
(
まま
)
姿
(
すがた
)
は
消
(
き
)
へたり。
107
一方
(
いつぱう
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は、
108
頭上
(
づじやう
)
より
氷
(
こほり
)
の
刃
(
やいば
)
を
以
(
もつ
)
て
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
されし
如
(
ごと
)
き
大苦痛
(
だいくつう
)
を
感
(
かん
)
じ、
109
七転八倒
(
しちてんばつたふ
)
身
(
み
)
を
踠
(
もが
)
く
折
(
をり
)
しも、
110
墨
(
すみ
)
の
如
(
ごと
)
き
黒
(
くろ
)
き
巨顔
(
きよがん
)
を
現
(
あら
)
はし、
111
眼球
(
がんきう
)
は
紅
(
べに
)
の
如
(
ごと
)
く
輝
(
かがや
)
きたる
異様
(
いやう
)
の
怪物
(
くわいぶつ
)
、
112
首
(
くび
)
から
上
(
うへ
)
許
(
ばか
)
りを
暗黒
(
あんこく
)
の
中
(
なか
)
にも
殊更
(
ことさら
)
黒
(
くろ
)
き
輪廓
(
りんくわく
)
を
現
(
あら
)
はし
乍
(
なが
)
ら、
113
長
(
なが
)
き
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
頭部
(
とうぶ
)
面部
(
めんぶ
)
を
舐
(
な
)
めた
其
(
その
)
恐
(
おそ
)
ろしさ、
114
流石
(
さすが
)
気丈
(
きぢやう
)
の
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
も
其
(
その
)
厭
(
いや
)
らしさに
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
もよだち、
115
何
(
なん
)
の
応答
(
いらへ
)
も
泣
(
な
)
く
許
(
ばか
)
り、
116
怪物
(
くわいぶつ
)
の
舌
(
した
)
の
先
(
さき
)
よりは
無数
(
むすう
)
の
小
(
ちひ
)
さき
蜈蚣
(
むかで
)
、
117
雨
(
あめ
)
の
如
(
ごと
)
くに
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
118
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
身体
(
からだ
)
を
空地
(
あきち
)
もなく
包
(
つつ
)
み、
119
所
(
ところ
)
構
(
かま
)
はず
無数
(
むすう
)
の
鋭
(
するど
)
き
舌剣
(
ぜつけん
)
を
以
(
もつ
)
て
咬
(
か
)
みつける
其
(
その
)
苦
(
くる
)
しさ『キヤツ』と
叫
(
さけ
)
んで
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れ、
120
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
転
(
ころ
)
げ
廻
(
まは
)
る。
121
此
(
この
)
時
(
とき
)
高姫
(
たかひめ
)
は
漸
(
やうや
)
く
正気
(
しやうき
)
に
復
(
ふく
)
し
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば、
122
酷熱
(
こくねつ
)
の
太陽
(
たいやう
)
は
晃々
(
くわうくわう
)
と
輝
(
かがや
)
き
亘
(
わた
)
り、
123
数多
(
あまた
)
の
樹木
(
じゆもく
)
青々
(
あをあを
)
として、
124
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
海風
(
うなかぜ
)
に
無心
(
むしん
)
の
舞踏
(
ぶたう
)
をなし
居
(
ゐ
)
たり。
125
高姫
(
たかひめ
)
は、
126
『アヽ
夢
(
ゆめ
)
であつたかイナア。
127
それにしても
此
(
この
)
怪
(
あや
)
しき
蘇鉄
(
そてつ
)
、
128
斯
(
か
)
かる
怪異
(
くわいい
)
の
続出
(
ぞくしゆつ
)
する
島
(
しま
)
に
長居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れ、
129
一時
(
いちじ
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
島
(
しま
)
を
離
(
はな
)
れ、
130
宝
(
たから
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さぐ
)
らむ。
131
貫州
(
くわんしう
)
来
(
きた
)
れツ』
132
と
四辺
(
あたり
)
を
見
(
み
)
れば、
133
貫州
(
くわんしう
)
はドツカと
坐
(
ざ
)
し、
134
瞑目
(
めいもく
)
した
儘
(
まま
)
腕
(
うで
)
を
組
(
く
)
み、
135
石像
(
せきざう
)
の
如
(
ごと
)
くに
固
(
かた
)
まり
居
(
ゐ
)
る。
136
高姫
(
たかひめ
)
は
一生懸命
(
いつしやうけんめい
)
に
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
137
頬
(
ほほ
)
を
抓
(
つめ
)
り、
138
鼻
(
はな
)
を
摘
(
つま
)
み、
139
イロイロ
介抱
(
かいほう
)
をすること
半時
(
はんとき
)
ばかりを
費
(
つひや
)
したり。
140
されど
貫州
(
くわんしう
)
は
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
の
通
(
かよ
)
はざる
石像
(
せきざう
)
の
様
(
やう
)
に、
141
何処
(
どこ
)
を
撫
(
な
)
でても
少
(
すこ
)
しの
温
(
あたた
)
か
味
(
み
)
も
無
(
な
)
くなり
居
(
ゐ
)
る。
142
高姫
(
たかひめ
)
は
何
(
なん
)
となく
寂
(
さび
)
しさに
襲
(
おそ
)
はれ、
143
泣
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
まぜりになつて、
144
『コレ
貫州
(
くわんしう
)
、
145
今
(
いま
)
お
前
(
まへ
)
に
斯
(
こ
)
んな
所
(
ところ
)
で
死
(
し
)
なれて、
146
どうなるものか、
147
……チツト
確
(
しつ
)
かりしてお
呉
(
く
)
れ』
148
と
泣
(
な
)
き
口説
(
くど
)
く。
149
貫州
(
くわんしう
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
左
(
ひだり
)
の
目
(
め
)
をパツチリ
開
(
あ
)
けた。
150
されど
黒球
(
くろたま
)
はどこへか
隠
(
かく
)
れ、
151
白眼
(
しろめ
)
計
(
ばか
)
り
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
し、
152
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
の
様
(
やう
)
な
筋
(
すぢ
)
に
赤
(
あか
)
き
血
(
ち
)
を
漲
(
みなぎ
)
らし、
153
赤
(
あか
)
き
珊瑚樹
(
さんごじゆ
)
の
枝
(
えだ
)
の
様
(
やう
)
に
顔面
(
がんめん
)
が
見
(
み
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
154
高姫
(
たかひめ
)
は
一生懸命
(
いつしやうけんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らす。
155
此
(
この
)
時
(
とき
)
今迄
(
いままで
)
大地
(
だいち
)
に
打
(
ぶ
)
つ
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
た
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
無言
(
むごん
)
の
儘
(
まま
)
ムクムクと
立上
(
たちあが
)
り、
156
高姫
(
たかひめ
)
の
前
(
まへ
)
にヌツと
現
(
あら
)
はれ、
157
怒
(
いか
)
りの
形相
(
ぎやうさう
)
凄
(
すさま
)
じく、
158
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
め、
159
平家蟹
(
へいけがに
)
の
様
(
やう
)
な
面
(
つら
)
をさらして
睨付
(
ねめつ
)
け
出
(
だ
)
した。
160
又
(
また
)
もやスマートボールむくむくと
立上
(
たちあが
)
り、
161
白玉
(
しろたま
)
計
(
ばか
)
りの
両眼
(
りやうがん
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
だ
)
し、
162
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らせ、
163
蟷螂
(
かまきり
)
の
様
(
やう
)
な
手付
(
てつき
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
164
鶴嘴
(
つるはし
)
を
以
(
もつ
)
て
土方
(
どかた
)
が
大地
(
だいち
)
を
掘
(
ほ
)
る
様
(
やう
)
に、
165
高姫
(
たかひめ
)
の
頭上
(
づじやう
)
目蒐
(
めが
)
けてコツンコツンと
機械的
(
きかいてき
)
に
打
(
う
)
ち
始
(
はじ
)
めた。
166
其
(
その
)
手
(
て
)
は
鉄
(
てつ
)
の
如
(
ごと
)
く
固
(
かた
)
くなつて
居
(
ゐ
)
る。
167
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
この
)
鋭鋩
(
えいばう
)
を
避
(
さ
)
くる
為
(
ため
)
、
168
身
(
み
)
をかはさむと
焦
(
あせ
)
れども、
169
土中
(
どちう
)
より
生
(
は
)
えたる
木
(
き
)
の
如
(
ごと
)
く、
170
一寸
(
ちよつと
)
も
身動
(
みうご
)
きならず、
171
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
同
(
おな
)
じ
箇所
(
かしよ
)
を
幾回
(
いくくわい
)
となく、
172
拳
(
こぶし
)
の
鶴嘴
(
つるはし
)
につつかれて
居
(
を
)
るより
仕方
(
しかた
)
なかりけり。
173
此
(
この
)
時
(
とき
)
天上
(
てんじやう
)
の
雲
(
くも
)
を
押
(
お
)
し
開
(
ひら
)
き、
174
天馬
(
てんば
)
に
跨
(
またが
)
り
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
る
勇壮
(
ゆうさう
)
なる
神人
(
しんじん
)
あり。
175
数百人
(
すうひやくにん
)
の
騎馬
(
きば
)
の
従卒
(
じうそつ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
176
鈴
(
すず
)
の
音
(
おと
)
シヤンシヤンと
一歩
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
空中
(
くうちう
)
を
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
り
大音声
(
だいおんじやう
)
にて、
177
『
汝
(
なんじ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
ならずや。
178
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
自称
(
じしよう
)
する
汝
(
なんじ
)
が
守護神
(
しゆごじん
)
は、
179
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
のロツキー
山
(
ざん
)
に
発生
(
はつせい
)
したる
銀毛八尾
(
ぎんまうはちび
)
の
悪狐
(
あくこ
)
なるぞ。
180
只今
(
ただいま
)
汝
(
なんぢ
)
が
霊縛
(
れいばく
)
を
解
(
と
)
かむ。
181
今日
(
こんにち
)
限
(
かぎ
)
り
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
め、
182
仮
(
か
)
りにも
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
などと
名乗
(
なのり
)
る
可
(
べか
)
らず。
183
我
(
われ
)
こそは
真正
(
しんせい
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
なり。
184
一先
(
ひとま
)
づ
此
(
この
)
場
(
ば
)
は
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
開
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し、
185
汝
(
なんぢ
)
が
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
すべし。
186
是
(
こ
)
れより
汝
(
なんじ
)
は
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
と
共
(
とも
)
に
南洋
(
なんやう
)
に
渡
(
わた
)
り、
187
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
到
(
いた
)
りて、
188
黒姫
(
くろひめ
)
を
救
(
すく
)
へ。
189
ゆめゆめ
疑
(
うたが
)
ふな』
190
と
云
(
い
)
ひ
棄
(
す
)
てて
馬首
(
ばしゆ
)
を
転
(
てん
)
じ、
191
数多
(
あまた
)
の
従神
(
じうしん
)
と
共
(
とも
)
に、
192
轡
(
くつわ
)
を
並
(
なら
)
べて
天上
(
てんじやう
)
高
(
たか
)
く
昇
(
のぼ
)
らせ
玉
(
たま
)
ひぬ。
193
此
(
この
)
時
(
とき
)
何処
(
いづく
)
ともなく
空中
(
くうちう
)
より
大
(
だい
)
なる
光玉
(
くわうぎよく
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
194
高姫
(
たかひめ
)
が
面前
(
めんぜん
)
に
轟然
(
がうぜん
)
たる
響
(
ひびき
)
と
共
(
とも
)
に
落下
(
らくか
)
し、
195
火
(
ひ
)
は
四辺
(
しへん
)
に
爆発
(
ばくはつ
)
飛散
(
ひさん
)
し、
196
高姫
(
たかひめ
)
一行
(
いつかう
)
の
身
(
み
)
は
粉砕
(
ふんさい
)
せしかと
思
(
おも
)
ふ
途端
(
とたん
)
に
目
(
め
)
を
醒
(
さま
)
せば、
197
大蘇鉄
(
だいそてつ
)
の
下
(
もと
)
にマラをしがみながら
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
198
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
は、
199
炎天
(
えんてん
)
の
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
頭
(
あたま
)
の
巨大
(
きよだい
)
なる
虻蠅
(
あぶはへ
)
などに、
200
或
(
あるひ
)
は
刺
(
さ
)
され、
201
或
(
あるひ
)
は
舐
(
な
)
められ
乍
(
なが
)
ら、
202
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
え
絶
(
だ
)
えに
倒
(
たふ
)
れ
居
(
ゐ
)
たり。
203
貫州
(
くわんしう
)
はと
見
(
み
)
れば、
204
そこらに
影
(
かげ
)
もない。
205
高姫
(
たかひめ
)
は
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに、
206
『オイ、
207
オーイ、
208
貫州
(
くわんしう
)
々々
(
くわんしう
)
』
209
と
叫
(
さけ
)
び
始
(
はじ
)
めたるに、
210
あたりの
森林
(
しんりん
)
の
雑草
(
ざつさう
)
を
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
けて、
211
大
(
だい
)
なる
瓢箪
(
ふくべ
)
に
水
(
みづ
)
を
盛
(
も
)
り、
212
ニコニコとして
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
男
(
をとこ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
れば、
213
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
なき
貫州
(
くわんしう
)
なり。
214
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
215
お
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
きましたか。
216
サア
此
(
この
)
水
(
みづ
)
をおあがり
下
(
くだ
)
さいませ』
217
と
自
(
みづか
)
ら
手
(
て
)
に
掬
(
すく
)
うて
高姫
(
たかひめ
)
に
啣
(
ふく
)
ませた。
218
高姫
(
たかひめ
)
は
初
(
はじ
)
めて
心神
(
しんしん
)
爽快
(
さうくわい
)
を
覚
(
おぼ
)
え、
219
『アヽ
持
(
も
)
つべき
者
(
もの
)
は
家来
(
けらい
)
なりけり、
220
お
前
(
まへ
)
がなかつたら
妾
(
わたし
)
は
如何
(
どう
)
なつたか
分
(
わか
)
らない。
221
就
(
つい
)
ては
幸
(
さいは
)
ひ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
連中
(
れんちう
)
は
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
昏倒
(
くたば
)
つて
居
(
を
)
れば、
222
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
にお
前
(
まへ
)
と
二人
(
ふたり
)
、
223
あの
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
竜宮島
(
りうぐうじま
)
へ
渡
(
わた
)
り、
224
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
さうぢやないか』
225
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
稍
(
やや
)
首
(
くび
)
を
傾
(
かた
)
げ
笑
(
ゑ
)
みを
湛
(
たた
)
へて
貫州
(
くわんしう
)
の
顔
(
かほ
)
を
覗
(
のぞ
)
き
込
(
こ
)
み、
226
貫州
(
くわんしう
)
の
返辞
(
へんじ
)
を
もどかし
げに
待
(
ま
)
ちわび
居
(
ゐ
)
る。
227
貫州
(
くわんしう
)
は
高姫
(
たかひめ
)
にむかい、
228
『それだから
貴女
(
あなた
)
は
不可
(
いか
)
ないのです。
229
仮令
(
たとへ
)
敵
(
てき
)
でも
味方
(
みかた
)
でも
助
(
たす
)
くるのが
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
、
230
此
(
この
)
島
(
しま
)
へ
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
弱
(
よわ
)
り
切
(
き
)
つた
人々
(
ひとびと
)
を
残
(
のこ
)
し、
231
我々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
が
船
(
ふね
)
を
操
(
あやつ
)
り
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
るなどと、
232
左様
(
さやう
)
な
残酷
(
ざんこく
)
な
事
(
こと
)
がどうして
出来
(
でき
)
ませうか。
233
貴女
(
あなた
)
はまだ
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
ないのですなア』
234
『
大功
(
たいこう
)
は
細瑾
(
さいきん
)
を
顧
(
かへり
)
みず、
235
天下
(
てんか
)
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
には
少々
(
せうせう
)
の
犠牲
(
ぎせい
)
を
払
(
はら
)
はなければならぬぢやないか。
236
お
前
(
まへ
)
はそれだから
困
(
こま
)
るのだよ。
237
まるで
女
(
をんな
)
の
腐
(
くさ
)
つた
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
男
(
をとこ
)
だから……サア
貫州
(
くわんしう
)
、
238
妾
(
わたし
)
に
従
(
つ
)
いておいで、
239
是
(
こ
)
れから
二人
(
ふたり
)
が
出世
(
しゆつせ
)
の
仕放題
(
しはうだい
)
、
240
こんな
奴
(
やつ
)
を
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
かうものなら
足手纏
(
あしてまと
)
ひになるばかりか、
241
大変
(
たいへん
)
な
邪魔者
(
じやまもの
)
だ。
242
サア
行
(
ゆ
)
かう』
243
と
元気
(
げんき
)
恢復
(
くわいふく
)
したのを
幸
(
さいは
)
ひに、
244
夢
(
ゆめ
)
の
裡
(
うち
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
訓戒
(
くんかい
)
を
忘
(
わす
)
れ、
245
功名心
(
こうみやうしん
)
に
駆
(
か
)
られスタスタと
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ちて
磯辺
(
いそべ
)
に
進
(
すす
)
まうとする。
246
貫州
(
くわんしう
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
心
(
こころ
)
無
(
な
)
げに
見遣
(
みや
)
り
乍
(
なが
)
ら、
247
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
らざるものの
如
(
ごと
)
く
装
(
よそほ
)
ひ、
248
瓢箪
(
ふくべ
)
の
清水
(
しみづ
)
を
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
口
(
くち
)
に
啣
(
ふく
)
ませた。
249
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
初
(
はじ
)
めて
生
(
い
)
来
(
きた
)
る
心地
(
ここち
)
し
乍
(
なが
)
ら
起
(
お
)
きあがり、
250
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せて
貫州
(
くわんしう
)
に
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
する。
251
貫州
(
くわんしう
)
は
是
(
こ
)
れに
力
(
ちから
)
を
得
(
え
)
てスマートボールを
初
(
はじ
)
め、
252
其
(
その
)
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
に
水
(
みづ
)
を
与
(
あた
)
へたり。
253
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て
目
(
め
)
を
釣
(
つ
)
り
上
(
あ
)
げ、
254
面
(
つら
)
をふくらせ
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
255
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
立
(
たち
)
あがり、
256
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
御指図
(
おさしづ
)
に
依
(
よ
)
つて、
257
貫州
(
くわんしう
)
様
(
さま
)
は
厭々
(
いやいや
)
乍
(
なが
)
ら、
258
主人
(
しゆじん
)
の
命
(
めい
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
259
私
(
わたくし
)
達
(
たち
)
に
結構
(
けつこう
)
な
水
(
みづ
)
をドツサリ
与
(
あた
)
へて
元気
(
げんき
)
を
恢復
(
くわいふく
)
させて
下
(
くだ
)
さいました。
260
お
陰
(
かげ
)
で
私
(
わたくし
)
の
身内
(
みうち
)
の
者
(
もの
)
も
皆
(
みな
)
助
(
たす
)
かりました。
261
主人
(
しゆじん
)
の
心
(
こころ
)
下僕
(
しもべ
)
知
(
し
)
らずとやら、
262
仁慈無限
(
じんじむげん
)
の
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
の
大御心
(
おほみこころ
)
に
反抗
(
はんかう
)
する
貫州
(
くわんしう
)
さまは、
263
余程
(
よつぽど
)
可愛
(
かあい
)
い
人
(
ひと
)
です。
264
貴女
(
あなた
)
等
(
がた
)
主従
(
しゆじう
)
の
御争論
(
おいさかひ
)
を、
265
妾
(
わたし
)
は
一伍一什
(
いちぶしじふ
)
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
きました。
266
……
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
267
御親切
(
ごしんせつ
)
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
268
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
はキツトお
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
します。
269
オホヽヽヽ』
270
と
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
り、
271
厭
(
いや
)
らしさうに
笑
(
わら
)
ふ。
272
スマートボールは
立
(
たち
)
あがり、
273
『コリヤ
貫州
(
くわんしう
)
、
274
……
貴様
(
きさま
)
は
余程
(
よつぽど
)
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
ぢや……
無
(
な
)
いワイ。
275
よう
俺
(
おれ
)
を
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れやがつた。
276
キツト
御礼
(
おれい
)
を
申
(
まを
)
すから、
277
さう
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
れ。
278
……モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
279
貴女
(
あなた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
に
反旗
(
はんき
)
を
掲
(
かか
)
げて、
280
ウラナイ
教
(
けう
)
を
創立
(
さうりつ
)
なさつた
様
(
やう
)
な
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
偽宮
(
にせみや
)
だから、
281
流石
(
さすが
)
は
仁慈
(
じんじ
)
に
富
(
と
)
み、
282
申分
(
まをしぶん
)
の
無
(
な
)
い
善人
(
ぜんにん
)
ぢや……
無
(
な
)
い。
283
よう
我々
(
われわれ
)
を
助
(
たす
)
けてやらうと
思
(
おも
)
ひくさらなんだ。
284
アツクアツク
御礼
(
おれい
)
申
(
まを
)
しますぞ』
285
『オツホヽヽヽ、
286
皆
(
みな
)
さまの
態
(
てい
)
のよい
当
(
あ
)
てこすりワイの。
287
こりや
決
(
けつ
)
して
高姫
(
たかひめ
)
の
精神
(
せいしん
)
から
言
(
い
)
つたのぢやない。
288
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
やお
前達
(
まへたち
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
が
高姫
(
たかひめ
)
の
体内
(
たいない
)
を
藉
(
か
)
つて
言
(
い
)
つたのだ。
289
高姫
(
たかひめ
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
は
臨時
(
りんじ
)
貫州
(
くわんしう
)
に
憑
(
うつ
)
つたのだよ。
290
それだから
昔
(
むかし
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
が
分
(
わか
)
らぬと、
291
善
(
ぜん
)
が
悪
(
あく
)
に
見
(
み
)
えたり、
292
悪
(
あく
)
が
善
(
ぜん
)
に
見
(
み
)
えたり
致
(
いた
)
しますぞや。
293
神様
(
かみさま
)
のイロイロとして
心
(
こころ
)
をお
引
(
ひ
)
き
遊
(
あそ
)
ばす
引
(
ひ
)
つかけ
戻
(
もど
)
しのお
仕組
(
しぐみ
)
だから、
294
人
(
ひと
)
が
悪
(
あく
)
に
見
(
み
)
えたら、
295
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こころ
)
を
省
(
かへり
)
みて
改心
(
かいしん
)
なされ。
296
人
(
ひと
)
の
悪
(
わる
)
いのは
皆
(
みな
)
我
(
われ
)
が
悪
(
わる
)
いのだ。
297
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
水晶玉
(
すいしやうだま
)
の
世界
(
せかい
)
の
鑑
(
かがみ
)
、
298
皆
(
みな
)
の
心
(
こころ
)
の
姿
(
すがた
)
が
映
(
うつ
)
るのだから、
299
キツト
取違
(
とりちが
)
ひをしては
可
(
い
)
けませぬぞや。
300
アーア
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
も
余程
(
よほど
)
身魂
(
みたま
)
の
研
(
みが
)
けたお
方
(
かた
)
ぢやと
思
(
おも
)
うたが、
301
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
前
(
まへ
)
に
出
(
で
)
て
来
(
く
)
ると、
302
まだまだ
完全
(
くわんぜん
)
な
所
(
ところ
)
へは
往
(
ゆ
)
けませぬワイ』
303
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
し、
304
『オホヽヽヽ』
305
一同
(
いちどう
)
は、
306
『アハヽヽヽ』
307
と
共笑
(
きようせう
)
する。
308
貫州
(
くわんしう
)
は、
309
『アー
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか、
310
サツパリ
見当
(
けんたう
)
が
取
(
と
)
れなくなつて
来
(
き
)
たワイ』
311
高姫
(
たかひめ
)
は
腮
(
あご
)
をシヤクリ、
312
『きまつた
事
(
こと
)
だよ。
313
見当
(
けんたう
)
の
取
(
と
)
れぬお
仕組
(
しぐみ
)
と、
314
変性男子
(
へんじやうなんし
)
が
仰有
(
おつしや
)
つたぢやないか。
315
此
(
この
)
事
(
こと
)
分
(
わか
)
りて
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
は
世界
(
せかい
)
に
一人
(
ひとり
)
よりない……とお
筆
(
ふで
)
に
現
(
あら
)
はされて
居
(
ゐ
)
るだらう。
316
お
前達
(
まへたち
)
に
誠
(
まこと
)
の
仕組
(
しぐみ
)
が
分
(
わか
)
りたら、
317
途中
(
とちう
)
に
邪魔
(
じやま
)
が
這入
(
はい
)
りて、
318
物事
(
ものごと
)
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
さぬぞよ。
319
オホヽヽヽ』
320
と
大
(
おほ
)
きう
肩
(
かた
)
を
揺
(
ゆす
)
つて
雄叫
(
をたけ
)
びする。
321
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
眉毛
(
まゆげ
)
にそつと
唾
(
つばき
)
をつけて
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
……
322
『モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
323
貴女
(
あなた
)
は
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御眷族
(
ごけんぞく
)
の
生宮
(
いきみや
)
だと
仰有
(
おつしや
)
るかと
思
(
おも
)
へば、
324
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
とも
仰有
(
おつしや
)
る
様
(
やう
)
だし、
325
実際
(
じつさい
)
の
事
(
こと
)
は
何方
(
どちら
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
がお
懸
(
かか
)
りなのですか』
326
『
変幻出没
(
へんげんしゆつぼつ
)
千変万化
(
せんぺんばんくわ
)
、
327
自由自在
(
じいうじざい
)
の
活動
(
くわつどう
)
を
遊
(
あそ
)
ばす
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
の
御守護神
(
ごしゆごじん
)
だから、
328
時
(
とき
)
あつて
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
現
(
あら
)
はれ、
329
又
(
また
)
大国別命
(
おほくにわけのみこと
)
の
眷族
(
けんぞく
)
……
実際
(
じつさい
)
の
所
(
ところ
)
は
大黒主命
(
おほくろぬしのみこと
)
の
御守護
(
ごしゆご
)
が
主
(
おも
)
なるものです』
330
『
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
と
大
(
おほ
)
クロ
と………
大変
(
たいへん
)
な
懸隔
(
けんかく
)
ですなア。
331
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
には、
332
善悪
(
ぜんあく
)
の
区別
(
くべつ
)
が
全
(
まつた
)
く
裏表
(
うらおもて
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
へますワ』
333
『お
前
(
まへ
)
さまにも
似合
(
にあ
)
はぬ
愚問
(
ぐもん
)
を
発
(
はつ
)
する
方
(
かた
)
ですなア。
334
顕幽一致
(
けんいういつち
)
、
335
善悪
(
ぜんあく
)
不二
(
ふじ
)
、
336
裏
(
うら
)
があれば
表
(
おもて
)
があり、
337
表
(
おもて
)
があれば
裏
(
うら
)
がある。
338
表裏反覆
(
へうりはんぷく
)
常
(
つね
)
なき
微妙
(
びめう
)
の
大活動
(
だいくわつどう
)
を
遊
(
あそ
)
ばすのが
真
(
まこと
)
の
神様
(
かみさま
)
ぢや。
339
馬車馬的
(
ばしやうまてき
)
の
行動
(
かうどう
)
を
取
(
と
)
る
神
(
かみ
)
は、
340
畢竟
(
つまり
)
人
(
ひと
)
を
指揮
(
しき
)
する
資格
(
しかく
)
の
無
(
な
)
いもの、
341
妾
(
わたし
)
等
(
たち
)
は
大黒主命
(
おほくろぬしのみこと
)
の
生宮
(
いきみや
)
たる
以上
(
いじやう
)
は、
342
すべての
神人
(
しんじん
)
を、
343
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
に
代
(
かは
)
つて、
344
指揮
(
しき
)
命令
(
めいれい
)
する
特権
(
とくけん
)
を
惟神
(
かむながら
)
に
具備
(
ぐび
)
して
居
(
ゐ
)
る。
345
所謂
(
いはゆる
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
岩戸
(
いはと
)
開
(
びら
)
きの
生宮
(
いきみや
)
で
御座
(
ござ
)
る。
346
神
(
かみ
)
はイロイロとして
心
(
こころ
)
を
曳
(
ひ
)
くから
引掛戻
(
ひつかけもど
)
しに
懸
(
かか
)
らぬ
様
(
やう
)
に
御用心
(
ごようじん
)
をなされませ』
347
『
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら、
348
貴女
(
あなた
)
も
顕恩城
(
けんおんじやう
)
の
信者
(
しんじや
)
に
化
(
ば
)
け
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
られた
時
(
とき
)
とは、
349
口車
(
くちぐるま
)
が
余程
(
よほど
)
運転
(
うんてん
)
する
様
(
やう
)
になりましたなア。
350
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
も
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しましたよ』
351
『
化
(
ば
)
け
込
(
こ
)
んだとはソラ
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
る。
352
誠正直
(
まことしやうじき
)
生粋
(
きつすゐ
)
の
日本魂
(
やまとだましひ
)
で
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
を
信仰
(
しんかう
)
して
居
(
を
)
りました。
353
ウラナイ
教
(
けう
)
と
謂
(
い
)
つても、
354
三五教
(
あななひけう
)
と
言
(
い
)
つてもバラモンでもジアンナイ
教
(
けう
)
でも、
355
元
(
もと
)
は
一株
(
ひとかぶ
)
、
356
天地
(
てんち
)
根本
(
こつぽん
)
の
大神様
(
おほかみさま
)
に
変
(
かは
)
りはない。
357
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今日
(
こんにち
)
の
所
(
ところ
)
ではお
前
(
まへ
)
さまの
奉
(
ほう
)
ずるバラモン
教
(
けう
)
の
行方
(
やりかた
)
が
一番
(
いちばん
)
峻酷
(
しゆんこく
)
で、
358
不言実行
(
ふげんじつかう
)
で、
359
荒行
(
あらぎやう
)
をなさるのが
御神慮
(
ごしんりよ
)
に
叶
(
かな
)
ふと
思
(
おも
)
つたから、
360
国城山
(
くにしろやま
)
でお
目
(
め
)
に
掛
(
かか
)
つてより、
361
層一層
(
そういつそう
)
バラモンが
好
(
すき
)
になつたのですよ。
362
サアサア
斯
(
か
)
うなれば
姉妹
(
きやうだい
)
も
同様
(
どうやう
)
、
363
一時
(
いちじ
)
も
早
(
はや
)
く
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
しに
参
(
まゐ
)
りませう』
364
『
私
(
わたし
)
は
最早
(
もはや
)
玉
(
たま
)
なんかに
執着心
(
しふちやくしん
)
はありませぬ。
365
それよりも
心
(
こころ
)
の
玉
(
たま
)
を
研
(
みが
)
くのが
肝腎
(
かんじん
)
だと
気
(
き
)
がつきました』
366
『ホヽヽヽヽ、
367
重宝
(
ちようはう
)
なお
口
(
くち
)
だこと。
368
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にも
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
の
小糸姫
(
こいとひめ
)
様
(
さま
)
の
所在
(
ありか
)
が
分
(
わか
)
りかけたものだから、
369
玉
(
たま
)
所
(
どころ
)
の
騒
(
さわ
)
ぎではない。
370
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
小糸姫
(
こいとひめ
)
さんに
遇
(
あ
)
ひたいと
云
(
い
)
ふのが
貴女
(
あなた
)
の
一念
(
いちねん
)
らしい。
371
それは
無理
(
むり
)
もありませぬ。
372
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
目
(
め
)
の
中
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
つても
痛
(
いた
)
くない
一人娘
(
ひとりむすめ
)
の
事
(
こと
)
だから、
373
国家
(
こくか
)
興亡
(
こうばう
)
よりも
自分
(
じぶん
)
の
娘
(
むすめ
)
が
大切
(
たいせつ
)
なのは、
374
そりや
人情
(
にんじやう
)
ですワ』
375
と
嘲
(
あざけ
)
る
様
(
やう
)
に
云
(
い
)
ふ。
376
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
にムツとしたが、
377
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うても
唯
(
ただ
)
一艘
(
いつそう
)
の
船
(
ふね
)
、
378
高姫
(
たかひめ
)
の
機嫌
(
きげん
)
を
取
(
と
)
らねば
目的地
(
もくてきち
)
へ
達
(
たつ
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないと
思
(
おも
)
つて、
379
ワザと
機嫌
(
きげん
)
よげに、
380
『ホヽヽヽヽ、
381
これはこれは
高姫
(
たかひめ
)
さまの
御教訓
(
ごけうくん
)
、
382
感
(
かん
)
じ
入
(
い
)
りました。
383
つい
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
愛
(
あい
)
に
溺
(
おぼ
)
れ、
384
大事
(
だいじ
)
を
誤
(
あやま
)
りました
私
(
わたし
)
の
不覚
(
ふかく
)
、
385
はした
ない
女
(
をんな
)
とお
笑
(
わら
)
ひ
下
(
くだ
)
さいますな。
386
そんなら
此
(
こ
)
れより
神
(
かみ
)
第一
(
だいいち
)
、
387
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
第二
(
だいに
)
と
致
(
いた
)
しませう』
388
高姫
(
たかひめ
)
『
第三
(
だいさん
)
に
玉
(
たま
)
ですか、
389
あなたのお
説
(
せつ
)
の
通
(
とほ
)
り、
390
そこまで
研
(
みが
)
けた
以上
(
いじやう
)
は、
391
有形的
(
いうけいてき
)
の
玉
(
たま
)
よりも、
392
貴女
(
あなた
)
は
小糸姫
(
こいとひめ
)
様
(
さま
)
に
会
(
あ
)
ひさへすれば
結構
(
けつこう
)
なのでせう。
393
モウ
玉
(
たま
)
なんかに
執着心
(
しふちやくしん
)
を
持
(
も
)
たぬ
様
(
やう
)
になされませ。
394
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
妾
(
わたし
)
は
其
(
その
)
玉
(
たま
)
を
発見
(
はつけん
)
次第
(
しだい
)
御預
(
おあづか
)
り
致
(
いた
)
し、
395
妾
(
わたし
)
の
手
(
て
)
より
大自在天
(
だいじざいてん
)
様
(
さま
)
に
御渡
(
おわた
)
し
申
(
まを
)
しませう。
396
宜
(
よろ
)
しいか。
397
一旦
(
いつたん
)
貴女
(
あなた
)
のお
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
たこと、
398
吐
(
は
)
いた
唾液
(
つば
)
を
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
む
訳
(
わけ
)
にもいきますまい』
399
と
目
(
め
)
を
据
(
す
)
ゑて
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
る。
400
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
はワザとに
顔
(
かほ
)
を
背
(
そむ
)
け、
401
何喰
(
なにく
)
はぬ
顔
(
かほ
)
にて、
402
『
何事
(
なにごと
)
も
貴女
(
あなた
)
に
任
(
まか
)
せませう』
403
『モシモシ
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
様
(
さま
)
、
404
そりや
目的
(
もくてき
)
が
違
(
ちが
)
ひませう。
405
貴女
(
あなた
)
も
魔谷ケ岳
(
まやがだけ
)
に
永
(
なが
)
らく
御苦労
(
ごくらう
)
なさつたのも、
406
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
さむ
為
(
ため
)
でせう。
407
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
408
仮令
(
たとへ
)
高姫
(
たかひめ
)
さまが
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても、
409
スマートが
承知
(
しようち
)
しませぬぞ』
410
『
何事
(
なにごと
)
も
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
に
有
(
あ
)
るのだから
黙
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
なさい』
411
『
胸
(
むね
)
に
有
(
あ
)
るとは、
412
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さま、
413
何
(
なに
)
があるのですか。
414
余程
(
よほど
)
陰険
(
いんけん
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るぢやありませぬか。
415
さうすると
今
(
いま
)
妾
(
わたし
)
に
仰有
(
おつしや
)
つた
事
(
こと
)
は
詐
(
いつは
)
りでせう』
416
『
仮
(
かり
)
にも
神様
(
かみさま
)
に
仕
(
つか
)
へる
妾
(
わたし
)
、
417
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
女房
(
にようばう
)
、
418
どうして
嘘
(
うそ
)
偽
(
いつは
)
りを
言
(
い
)
ひませう。
419
あまり
軽蔑
(
けいべつ
)
なさると、
420
此
(
この
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
だつて
此
(
この
)
儘
(
まま
)
には
置
(
お
)
きませぬぞ』
421
と
肩
(
かた
)
を
怒
(
いか
)
らし
口
(
くち
)
をへの
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
んで
歯
(
は
)
ぎりし
乍
(
なが
)
ら、
422
形相
(
ぎやうさう
)
凄
(
すさま
)
じく
高姫
(
たかひめ
)
の
顔
(
かほ
)
を
睨
(
にら
)
みつけたり。
423
『ホヽヽヽヽ、
424
平家蟹
(
へいけがに
)
が
陀羅助
(
だらすけ
)
を
喰
(
く
)
つた
様
(
やう
)
なお
顔
(
かほ
)
をなされますな。
425
貴女
(
あなた
)
もヤツパリ
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ちますか。
426
忍耐
(
にんたい
)
と
云
(
い
)
ふ
宝
(
たから
)
を
如何
(
どう
)
なさいました』
427
『それは
貴女
(
あなた
)
のお
見違
(
みちが
)
ひ、
428
妾
(
わたし
)
は
腹
(
はら
)
が
俄
(
にはか
)
に
痛
(
いた
)
くなつて
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
えた
結果
(
けつくわ
)
、
429
顔付
(
かほつき
)
が
怖
(
こは
)
くなつたのです。
430
アヽお
陰
(
かげ
)
様
(
さま
)
で
大分
(
だいぶん
)
に
緩
(
ゆる
)
んで
来
(
き
)
ました。
431
サアサア
皆
(
みな
)
さま、
432
仲
(
なか
)
ようして
一
(
ひと
)
つの
船
(
ふね
)
でこの
荒波
(
あらなみ
)
を
渡
(
わた
)
りませう。
433
十分
(
じふぶん
)
お
水
(
みづ
)
の
用意
(
ようい
)
をして………』
434
と
各自
(
めいめい
)
に
器
(
うつは
)
の
有
(
あ
)
り
丈
(
だけ
)
を
引抱
(
ひつかか
)
へ、
435
檳榔樹
(
びんらうじゆ
)
の
生
(
は
)
え
茂
(
しげ
)
る
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
を
潜
(
くぐ
)
り、
436
貫州
(
くわんしう
)
に
導
(
みちび
)
かれて、
437
谷間
(
たにま
)
の
水溜
(
みづたま
)
りを
求
(
もと
)
め、
438
辛
(
から
)
うじて
水
(
みづ
)
を
充
(
み
)
たせ、
439
漸
(
やうや
)
く
船
(
ふね
)
に
積
(
つ
)
み
込
(
こ
)
み、
440
月明
(
げつめい
)
の
夜
(
よ
)
を
幸
(
さいは
)
ひ、
441
折
(
をり
)
からの
順風
(
じゆんぷう
)
に
帆
(
ほ
)
を
上
(
あ
)
げ
西南
(
せいなん
)
に
舵
(
かぢ
)
を
取
(
と
)
り、
442
海上
(
かいじやう
)
に
起伏
(
きふく
)
する
小島
(
こじま
)
を
縫
(
ぬ
)
うて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
443
(
大正一一・七・二
旧閏五・八
松村真澄
録)
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【
飯塚弘明.com
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「霊界物語スーパーメールマガジン」に昨年から連載している三鏡の解説を、加筆訂正してブログに順次掲載して行きます。「
三鏡解説 目次
」
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(飯塚弘明)
【05 蘇鉄の森|第24巻(亥の巻)|霊界物語/rm2405】
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