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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第24巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 流転の涙
第1章 粉骨砕身
第2章 唖呍
第3章 波濤の夢
第4章 一島の女王
第2篇 南洋探島
第5章 蘇鉄の森
第6章 アンボイナ島
第7章 メラの滝
第8章 島に訣別
第3篇 危機一髪
第9章 神助の船
第10章 土人の歓迎
第11章 夢の王者
第12章 暴風一過
第4篇 蛮地宣伝
第13章 治安内教
第14章 タールス教
第15章 諏訪湖
第16章 慈愛の涙
霊の礎(一〇)
霊の礎(一一)
神諭
余白歌
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第24巻(亥の巻)
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<<< タールス教
(B)
(N)
慈愛の涙 >>>
第一五章
諏訪湖
(
すはこ
)
〔七四五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻
篇:
第4篇 蛮地宣伝
よみ(新仮名遣い):
ばんちせんでん
章:
第15章 諏訪湖
よみ(新仮名遣い):
すわこ
通し章番号:
745
口述日:
1922(大正11)年07月05日(旧閏05月11日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
三人は、チルテルらに送られてイルナの郷の境界にやってきた。ここで三人は休息して、これまでの経緯を語り合った。玉能姫と初稚姫は、白狐に導かれて岩窟に隠れていたため、巨大な大蛇の谷川渡りの難を免れたのであった。
すると谷底より男女の悲鳴が聞こえてきた。大蛇がまさに二人を締め上げて飲み込もうとしていた。玉治別はその場に駆けつけると、天の数歌を数えて霊光を発射し、二人を救出した。
玉能姫と初稚姫が二人を介抱し、魂返しの業で息を吹き返した。二人は久助とお民であった。二人はやはりネルソン山より吹き煽られた顛末を語り、三人に感謝をした。
二人を呑もうとしていた二匹の大蛇も息を吹き返し、五人に向かって涙を流して謝罪するごとくであった。玉治別は神言を上げてあげようと言い、五人が繰り返し神言を奏上すると大蛇は白煙となって天に昇って行った。
五人はイルナの山中を宣伝せんと歩いていた。すると獰猛な男たちに囲まれてしまった。しかし男たちは玉治別の赤い鼻を見ると、態度を一変して尊崇の意を表した。
一行は男たちに案内されて、アンデオという原野の中の小都会にやってきた。現地の人々が崇める竜神の祠に案内され、祈願を籠めた。祠の後ろには、蓮の形の湖水が、眼も届かぬばかりに水をたたえていた。
祝詞を唱え終わった玉治別は、祠の前に佇立して、これまでの来し方を宣伝歌に歌った。初稚姫、玉能姫、久助、お民もまたこの諏訪の湖水に向かってこれまでのことを歌に歌った。
紺碧の湖面はたちまち十字に割れて、湖底には珊瑚の森の中に金殿玉楼が見えた。そこから女神を従えて、玉依姫命が五人の前に現れた。
玉依姫命は五人に、この湖に七日七夜の禊を修して、ネルソン山以西に宣伝をなし、竜宮島の国人からもその功績を認められるに至った暁には、竜宮の神宝を授けるので、それを言依別命教主に奉納するように、と申し渡した。
五人は感謝の涙にくれ、禊を修しておのおの竜宮島の宣伝に赴くこととなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-08-14 19:23:31
OBC :
rm2415
愛善世界社版:
251頁
八幡書店版:
第4輯 705頁
修補版:
校定版:
258頁
普及版:
118頁
初版:
ページ備考:
001
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
002
玉能姫
(
たまのひめ
)
と
共
(
とも
)
にアンナヒエールのタールス
郷
(
きやう
)
を
三五教
(
あななひけう
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
と
定
(
さだ
)
め、
003
黒
(
くろ
)
ン
坊
(
ぼう
)
を
残
(
のこ
)
らず
帰順
(
きじゆん
)
せしめ、
004
チルテル
以下
(
いか
)
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
に
送
(
おく
)
られて、
005
イルナの
郷
(
さと
)
の
入口
(
いりぐち
)
に
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ち『ウワーウワー』の
声
(
こゑ
)
と
共
(
とも
)
に
東西
(
とうざい
)
に
姿
(
すがた
)
を
消
(
け
)
したりける。
006
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
谷
(
たに
)
を
幾
(
いく
)
つとなく
越
(
こ
)
え、
007
森林
(
しんりん
)
の
中
(
なか
)
の
広
(
ひろ
)
き
平岩
(
ひらいは
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ち
掛
(
か
)
け、
008
休息
(
きうそく
)
し
乍
(
なが
)
ら
回顧談
(
くわいこだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つた。
009
玉治別
(
たまはるわけ
)
は、
010
ジヤンナの
谷底
(
たにそこ
)
にジヤンナイ
教
(
けう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
テールス
姫
(
ひめ
)
と
面会
(
めんくわい
)
せし
事
(
こと
)
や、
011
友彦
(
ともひこ
)
との
挑戯
(
からかひ
)
などを
面白
(
おもしろ
)
可笑
(
をか
)
しく
物語
(
ものがた
)
り、
012
次
(
つい
)
で
此処
(
ここ
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でアンナヒエールの
里
(
さと
)
に
到
(
いた
)
る
折
(
をり
)
しも、
013
両女
(
りやうぢよ
)
の
祝詞
(
のりと
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけ、
014
谷間
(
たにま
)
に
下
(
くだ
)
りて
其辺
(
そこら
)
一面
(
いちめん
)
に
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
を
探
(
たづ
)
ね
廻
(
まは
)
る
折
(
をり
)
しも
大蛇
(
をろち
)
に
出会
(
でつくは
)
し、
015
猩々
(
しやうじやう
)
の
群
(
むれ
)
に
救
(
すく
)
はれて
遂
(
つい
)
にアンナヒエールのタールス
教
(
けう
)
の
本山
(
ほんざん
)
に
担
(
かつ
)
ぎ
込
(
こ
)
まれ、
016
意外
(
いぐわい
)
の
待遇
(
もてなし
)
を
受
(
う
)
け
居
(
を
)
る
際
(
さい
)
、
017
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
018
玉能姫
(
たまのひめ
)
に
面会
(
めんくわい
)
せし
奇遇談
(
きぐうだん
)
を、
019
大略
(
あらまし
)
物語
(
ものがた
)
りけり。
020
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
静
(
しづか
)
に、
021
玉能姫
『
妾
(
わたし
)
は
或
(
ある
)
谷間
(
たにま
)
に
御禊
(
みそぎ
)
をなし
祝詞
(
のりと
)
を
上
(
あ
)
げて
居
(
ゐ
)
ました
処
(
ところ
)
、
022
傍
(
かたはら
)
の
岩穴
(
いはあな
)
より
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
は
白狐
(
びやくこ
)
の
月日
(
つきひ
)
、
023
旭
(
あさひ
)
と
共
(
とも
)
に
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ひ、
024
二人
(
ふたり
)
の
袖
(
そで
)
を
銜
(
くは
)
へて
穴
(
あな
)
の
底
(
そこ
)
に
引込
(
ひきこ
)
んで
下
(
くだ
)
さいました。
025
はて
不思議
(
ふしぎ
)
と
思
(
おも
)
ひながら
曳
(
ひ
)
かるる
儘
(
まま
)
に
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
身
(
み
)
を
没
(
ぼつ
)
し、
026
小声
(
こごゑ
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
唱
(
とな
)
へて
居
(
ゐ
)
ますと、
027
妾
(
わたし
)
の
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
ゐ
)
る
穴
(
あな
)
の
前
(
まへ
)
の
谷川
(
たにがは
)
の
向岸
(
むかふぎし
)
に
当
(
あた
)
つて
蜿蜒
(
えんえん
)
たる
大蛇
(
だいじや
)
が
現
(
あら
)
はれ、
028
三四
(
さんし
)
尺
(
しやく
)
もあらうと
思
(
おも
)
ふ
長
(
なが
)
い
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して
穴
(
あな
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
睨
(
にら
)
んで
居
(
ゐ
)
たが、
029
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
以下
(
いか
)
の
御
(
ご
)
威徳
(
いとく
)
に
畏
(
おそ
)
れ、
030
近
(
ちか
)
よりも
得
(
え
)
せず
暫
(
しばら
)
く
睨
(
にら
)
むで
居
(
を
)
りました。
031
其
(
その
)
とき
貴方
(
あなた
)
の
声
(
こゑ
)
として
妾
(
わたし
)
共
(
ども
)
の
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
んで
下
(
くだ
)
さいました。
032
何
(
ど
)
うしたことか
一言
(
ひとこと
)
も
声
(
こゑ
)
が
出
(
で
)
ず、
033
ええヂレツタイ
事
(
こと
)
だと
踠
(
もが
)
いて
居
(
を
)
りますうち、
034
山岳
(
さんがく
)
も
崩
(
くづ
)
るる
許
(
ばか
)
りの
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて、
035
胴
(
どう
)
の
周囲
(
まはり
)
三四丈
(
さんしじやう
)
もあらうかと
思
(
おも
)
はるる
長
(
なが
)
さ
数十間
(
すうじつけん
)
の
太刀膚
(
たちはだ
)
の
大蛇
(
をろち
)
、
036
尾
(
を
)
の
先
(
さき
)
に
鋭利
(
えいり
)
な
剣
(
つるぎ
)
を
光
(
ひか
)
らせ
乍
(
なが
)
ら、
037
夫婦
(
ふうふ
)
と
見
(
み
)
えて
二体
(
にたい
)
、
038
谷川
(
たにがは
)
を
一杯
(
いつぱい
)
になつて
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎた
時
(
とき
)
の
恐
(
おそ
)
ろしさ、
039
今
(
いま
)
思
(
おも
)
つても、
040
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
がよだつやうに
御座
(
ござ
)
います。
041
白狐
(
びやくこ
)
の
姿
(
すがた
)
は
忽
(
たちま
)
ち
消
(
き
)
えて
四辺
(
あたり
)
は
森閑
(
しんかん
)
としたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
042
貴方
(
あなた
)
に
遇
(
あ
)
はんと
岩窟
(
がんくつ
)
を
這
(
は
)
ひ
出
(
い
)
で
其辺
(
そこら
)
を
探
(
たづ
)
ねましたが、
043
些
(
ちつ
)
ともお
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えず、
044
あゝ
彼
(
あ
)
の
大蛇
(
をろち
)
に
何
(
ど
)
うかされなさつたのだらうかと
気
(
き
)
が
気
(
き
)
でならず、
045
もしや
其辺
(
そこら
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて
居
(
を
)
られるのではあるまいかと
思
(
おも
)
ひ、
046
態
(
わざ
)
と
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
声
(
こゑ
)
高
(
たか
)
く
歌
(
うた
)
つて
通
(
とほ
)
る
折
(
をり
)
しも、
047
タールス
教
(
けう
)
のチルテル
初
(
はじ
)
め
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
、
048
我々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
を
矢庭
(
やには
)
に
担
(
かつ
)
いであの
岩窟
(
がんくつ
)
に
連
(
つ
)
れ
参
(
まゐ
)
り、
049
貴方
(
あなた
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
の
対面
(
たいめん
)
をなし、
050
漸
(
やうや
)
く
危険
(
きけん
)
を
免
(
まぬ
)
がれ、
051
其
(
その
)
上
(
うへ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
の
宣伝
(
せんでん
)
をなし、
052
残
(
のこ
)
らず
帰順
(
きじゆん
)
させる
事
(
こと
)
の
出来
(
でき
)
ましたのも、
053
全
(
まつた
)
く
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
と
今更
(
いまさら
)
ながら
有難涙
(
ありがたなみだ
)
に
暮
(
く
)
れまする……アヽ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
054
と
合掌
(
がつしやう
)
すれば
初稚姫
(
はつわかひめ
)
も
小
(
ちひ
)
さき
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れ
居
(
ゐ
)
たり。
055
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しもキヤツと
息
(
いき
)
の
切
(
き
)
れるやうな
悲鳴
(
ひめい
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
056
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
思
(
おも
)
はず
腰
(
こし
)
を
上
(
あ
)
げ
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
まして
聞
(
き
)
き
居
(
を
)
れば、
057
谷底
(
たにそこ
)
に
当
(
あた
)
つて
蜿蜒
(
えんえん
)
たる
大蛇
(
をろち
)
、
058
二人
(
ふたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
をキリキリと
捲
(
ま
)
きながら
今
(
いま
)
や
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
呑
(
の
)
まんとする
真最中
(
まつさいちう
)
であつた。
059
玉治別
(
たまはるわけ
)
是
(
これ
)
を
見
(
み
)
るより
一目散
(
いちもくさん
)
に
夏草
(
なつくさ
)
の
生茂
(
おひしげ
)
る
灌木
(
くわんぼく
)
の
中
(
なか
)
を
駆
(
か
)
け
潜
(
くぐ
)
り、
060
近
(
ちか
)
づき
見
(
み
)
れば
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
、
061
直
(
ただち
)
に
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
口早
(
くちばや
)
に
奏上
(
そうじやう
)
し、
062
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
謡
(
うた
)
ひあげ、
063
ウンと
一声
(
ひとこゑ
)
指頭
(
しとう
)
を
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
し、
064
五色
(
ごしき
)
の
霊光
(
れいくわう
)
を
発射
(
はつしや
)
して
大蛇
(
をろち
)
に
放射
(
はうしや
)
した。
065
大蛇
(
をろち
)
は
忽
(
たちま
)
ちパラパラと
解
(
ほど
)
けて
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
材木
(
ざいもく
)
を
倒
(
こか
)
したやうにフン
伸
(
の
)
びて
仕舞
(
しま
)
つた。
066
二人
(
ふたり
)
は
最早
(
もはや
)
正気
(
しやうき
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
067
虫
(
むし
)
の
息
(
いき
)
にて
胸
(
むね
)
の
辺
(
あた
)
りをペコペコと
僅
(
わづ
)
かに
動悸
(
どうき
)
を
打
(
う
)
たせて
居
(
を
)
つた。
068
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
に
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
069
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
り、
070
三
(
さん
)
人
(
にん
)
力
(
ちから
)
を
合
(
あは
)
せ
谷水
(
たにみづ
)
を
汲
(
く
)
み
来
(
きた
)
りて
面部
(
めんぶ
)
に
吹
(
ふ
)
きかけ、
071
口
(
くち
)
に
喞
(
ふく
)
ませ、
072
いろいろと
介抱
(
かいほう
)
をなし、
073
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
謡
(
うた
)
ひ
上
(
あ
)
げて
魂返
(
たまがへ
)
しの
神業
(
かむわざ
)
を
修
(
しう
)
するや、
074
忽
(
たちま
)
ち
息
(
いき
)
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
し
二人
(
ふたり
)
は
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
075
両人
『
何
(
いづ
)
れの
方
(
かた
)
かは
存
(
ぞん
)
じませぬが、
076
危
(
あや
)
ふき
所
(
ところ
)
をよくも
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
077
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
は
死
(
し
)
んでも
忘
(
わす
)
れは
致
(
いた
)
しませぬ』
078
と
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
感謝
(
かんしや
)
しける。
079
玉治別
(
たまはるわけ
)
は、
080
玉治別
『ヤア、
081
貴方
(
あなた
)
は……
久助
(
きうすけ
)
さま、
082
お
民
(
たみ
)
さまぢや
御座
(
ござ
)
いませぬか、
083
危
(
あやふ
)
い
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いました』
084
と
頓狂
(
とんきやう
)
な
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
呼
(
よ
)
びかけたり。
085
夫婦
(
ふうふ
)
はハツと
顔
(
かほ
)
を
上
(
あ
)
げ、
086
久助
(
きうすけ
)
は、
087
久助
『ヤア、
088
貴方
(
あなた
)
は
玉治別
(
たまはるわけ
)
様
(
さま
)
、
089
玉能姫
(
たまのひめ
)
様
(
さま
)
、
090
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
、
091
よう
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
092
ネルソン
山
(
ざん
)
の
山頂
(
さんちやう
)
より
烈風
(
れつぷう
)
に
吹
(
ふ
)
き
散
(
ち
)
らされ、
093
各自
(
めいめい
)
四方
(
しはう
)
に
散乱
(
さんらん
)
し、
094
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
は
何
(
ど
)
うなつた
事
(
こと
)
かと、
095
今
(
いま
)
の
今
(
いま
)
まで
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました。
096
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
竜宮嶋
(
りうぐうじま
)
、
097
仮令
(
たとへ
)
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
や
五
(
ご
)
年
(
ねん
)
探
(
さが
)
しても
一旦
(
いつたん
)
別
(
わか
)
れたが
最後
(
さいご
)
、
098
面会
(
めんくわい
)
する
事
(
こと
)
は
到底
(
たうてい
)
出来
(
でき
)
ない
筈
(
はず
)
だのに、
099
折
(
をり
)
好
(
よ
)
くも
斯
(
こ
)
んな
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
に
懸
(
かか
)
るとは
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
引合
(
ひきあは
)
せ、
100
アヽ
有難
(
ありがた
)
や
勿体
(
もつたい
)
なや』
101
と
又
(
また
)
もや
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
五
(
ご
)
人
(
にん
)
一緒
(
いつしよ
)
に
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
奏上
(
そうじやう
)
した。
102
二匹
(
にひき
)
の
大蛇
(
をろち
)
も、
103
そろそろ
尾
(
を
)
の
方
(
はう
)
よりビクリビクリと
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
し、
104
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
元気
(
げんき
)
を
増
(
ま
)
し
鎌首
(
かまくび
)
を
上
(
あ
)
げ、
105
五
(
ご
)
人
(
にん
)
に
向
(
むか
)
つて
謝罪
(
しやざい
)
するものの
如
(
ごと
)
く、
106
両眼
(
りやうがん
)
より
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
居
(
ゐ
)
たり。
107
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
大蛇
(
をろち
)
に
向
(
むか
)
ひ、
108
玉治別
『オイオイ
大蛇
(
をろち
)
先生
(
せんせい
)
、
109
何
(
なん
)
の
因果
(
いんぐわ
)
でソンナ
姿
(
すがた
)
に
生
(
うま
)
れて
来
(
き
)
たのだ。
110
可憐
(
かはい
)
さうなものだ、
111
早
(
はや
)
く
人間
(
にんげん
)
に
生
(
うま
)
れ
代
(
かは
)
るやうに
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
してやらう』
112
大蛇
(
をろち
)
の
雌雄
(
しゆう
)
は
首
(
くび
)
を
揃
(
そろ
)
へて
幾度
(
いくたび
)
となく
首
(
かしら
)
を
下
(
さ
)
げ、
113
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
した。
114
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
幾回
(
いくくわい
)
となく
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
115
大蛇
(
をろち
)
は
忽
(
たちま
)
ち
白煙
(
はくえん
)
となり、
116
大空
(
おほぞら
)
目蒐
(
めが
)
けて
細長
(
ほそなが
)
く
蜿蜒
(
えんえん
)
として
雲
(
くも
)
となり
中空
(
ちうくう
)
に
消
(
き
)
えて
仕舞
(
しま
)
つた。
117
これ
全
(
まつた
)
く
誠心
(
せいしん
)
誠意
(
せいい
)
、
118
玉治別
(
たまはるわけ
)
一行
(
いつかう
)
が
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
したる
功徳
(
くどく
)
によつて、
119
大蛇
(
をろち
)
は
天上
(
てんじやう
)
に
救
(
すく
)
はれたるなり。
120
一行
(
いつかう
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
はイルナの
山中
(
さんちう
)
を
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
121
土人
(
どじん
)
の
住家
(
すみか
)
を
宣伝
(
せんでん
)
せむと
崎嶇
(
きく
)
たる
山道
(
やまみち
)
を
足
(
あし
)
を
痛
(
いた
)
めながら、
122
草鞋
(
わらぢ
)
を
破
(
やぶ
)
り
跣
(
はだし
)
となつて
進
(
すす
)
み
往
(
ゆ
)
く。
123
久助
(
きうすけ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
を
労
(
いたは
)
り
背
(
せな
)
に
負
(
お
)
ひ
最後
(
さいご
)
より
随
(
したが
)
ひ
往
(
ゆ
)
く。
124
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
より
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
一群
(
ひとむれ
)
の
荒
(
あら
)
くれ
男
(
をとこ
)
、
125
顔
(
かほ
)
一面
(
いちめん
)
に
嫌
(
いや
)
らしき
文身
(
いれずみ
)
をしながら
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あらは
)
れ
来
(
きた
)
り、
126
眼
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らせ
五
(
ご
)
人
(
にん
)
をバラバラと
取巻
(
とりま
)
いた。
127
左
(
ひだり
)
は
断崖
(
だんがい
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
、
128
千仭
(
せんじん
)
の
谷間
(
たにま
)
には
青々
(
あをあを
)
とした
激流
(
げきりう
)
泡
(
あわ
)
を
飛
(
と
)
ばして
流
(
なが
)
れ
居
(
ゐ
)
たり。
129
進退
(
しんたい
)
維谷
(
これきは
)
まりし
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
如何
(
いかが
)
はせむと
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
130
久助
(
きうすけ
)
の
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
はれたる
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は、
131
初稚姫
『
玉治別
(
たまはるわけ
)
殿
(
どの
)
、
132
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
たれよ』
133
と
云
(
い
)
ふ。
134
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
135
荒男
(
あらをとこ
)
の
前
(
まへ
)
につかつかと
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
る。
136
荒男
(
あらをとこ
)
の
名
(
な
)
はタマルと
云
(
い
)
ふ。
137
タマルは
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
赤
(
あか
)
き
鼻
(
はな
)
を
見
(
み
)
て
大
(
おほ
)
いに
驚
(
おどろ
)
き
俄
(
にはか
)
に
態度
(
たいど
)
を
一変
(
いつぺん
)
し、
138
凶器
(
きやうき
)
を
大地
(
だいち
)
に
抛
(
な
)
げ
捨
(
す
)
て、
139
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ
跪
(
ひざまづ
)
き、
140
タマル
『オーレンス、
141
サーチライス、
142
ウツポツポ ウツポツポ、
143
アツタツター アツタツター』
144
と
尊敬
(
そんけい
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
した。
145
更
(
あら
)
たまつたる
此
(
この
)
態度
(
たいど
)
に
一同
(
いちどう
)
は
柄物
(
えもの
)
を
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
て
大地
(
だいち
)
に
跪
(
ひざまづ
)
き、
146
異口
(
いく
)
同音
(
どうおん
)
に「オーレンス、
147
サーチライス」と
繰返
(
くりかへ
)
し、
148
尊敬
(
そんけい
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
したりけり。
149
玉治別
(
たまはるわけ
)
は、
150
玉治別
『アーメーアーメー、
151
自転倒
(
おのころ
)
嶋
(
じま
)
に
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけ
)
の
命
(
めい
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
152
此
(
この
)
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
に
神
(
かみ
)
の
福音
(
ふくいん
)
を
宣
(
の
)
べ
伝
(
つた
)
へむが
為
(
た
)
めに、
153
遥々
(
はるばる
)
渡
(
わた
)
り
来
(
きた
)
れるものぞ。
154
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
今
(
いま
)
より
我道
(
わがみち
)
を
信
(
しん
)
じ、
155
神
(
かみ
)
の
愛児
(
あいじ
)
となり、
156
霊肉
(
れいにく
)
共
(
とも
)
に
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
に
栄
(
さか
)
えよ。
157
天国
(
てんごく
)
の
門
(
もん
)
は
開
(
ひら
)
かれたり、
158
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
時
(
とき
)
は
到
(
いた
)
れり、
159
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めよ』
160
と
宣示
(
せんじ
)
したり。
161
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
はタマル
以下
(
いか
)
一同
(
いちどう
)
には
言語
(
げんご
)
の
通
(
つう
)
ぜざるため
何
(
なん
)
の
意味
(
いみ
)
かは
分
(
わか
)
らざりしが、
162
何分
(
なにぶん
)
尊
(
たふと
)
き
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
と
信
(
しん
)
じ
切
(
き
)
つたる
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
嬉
(
うれ
)
しげに
後
(
あと
)
に
随
(
したが
)
ひ、
163
険峻
(
けんしゆん
)
なる
道
(
みち
)
を
大男
(
おほをとこ
)
の
背
(
せ
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
を
負
(
お
)
ひながら、
164
大地
(
だいち
)
一面
(
いちめん
)
に
金砂
(
きんしや
)
の
散乱
(
さんらん
)
せる
大原野
(
だいげんや
)
に
導
(
みちび
)
きぬ。
165
此処
(
ここ
)
はアンデオと
云
(
い
)
ふ
広大
(
くわうだい
)
なる
原野
(
げんや
)
にして、
166
又
(
また
)
人家
(
じんか
)
らしきもの
数多
(
あまた
)
建
(
た
)
ち
並
(
なら
)
び、
167
小都会
(
せうとくわい
)
を
形成
(
けいせい
)
せり。
168
土人
(
どじん
)
の
祀
(
まつ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
竜神
(
りうじん
)
の
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
五
(
ご
)
人
(
にん
)
を
下
(
おろ
)
し、
169
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
喜
(
よろこ
)
び、
170
何事
(
なにごと
)
か
一同
(
いちどう
)
は
祈願
(
きぐわん
)
を
籠
(
こ
)
めたりけり。
171
社
(
やしろ
)
の
後
(
うしろ
)
には
目
(
め
)
も
届
(
とど
)
かぬ
許
(
ばか
)
りの
湖水
(
こすゐ
)
が
蓮
(
はちす
)
の
形
(
かたち
)
に
現
(
あら
)
はれ、
172
紺碧
(
こんぺき
)
の
浪
(
なみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
173
水鳥
(
みづどり
)
は
浮
(
う
)
きつ
沈
(
しづ
)
みつ
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
游泳
(
いうえい
)
し、
174
時々
(
ときどき
)
羽
(
は
)
ばたきしながら、
175
水面
(
すゐめん
)
に
立
(
た
)
ち
歩
(
あゆ
)
み
駆
(
か
)
け
狂
(
くる
)
うて
居
(
ゐ
)
る
面白
(
おもしろ
)
さ。
176
一同
(
いちどう
)
は
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
終
(
をは
)
り、
177
此
(
この
)
湖水
(
こすゐ
)
の
景色
(
けしき
)
に
見惚
(
みと
)
れ、
178
やや
暫
(
しば
)
し
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
179
玉治別
(
たまはるわけ
)
は
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
停立
(
ていりつ
)
し、
180
玉治別
『
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
181
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
へむと
182
南洋
(
なんやう
)
諸島
(
しよたう
)
を
駆
(
か
)
け
廻
(
まは
)
り
183
愈
(
いよいよ
)
ここに
竜宮
(
りうぐう
)
の
184
一
(
ひと
)
つの
島
(
しま
)
へと
到着
(
たうちやく
)
し
185
厳
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
城下
(
じやうか
)
まで
186
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
れる
折柄
(
をりから
)
に
187
蜈蚣
(
むかで
)
の
姫
(
ひめ
)
や
黄竜
(
わうりよう
)
の
188
姫
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
を
量
(
はか
)
り
兼
(
か
)
ね
189
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
か
白雲
(
しらくも
)
の
190
かかる
山辺
(
やまべ
)
を
十柱
(
とはしら
)
の
191
教
(
をしへ
)
の
御子
(
みこ
)
は
攀登
(
よぢのぼ
)
り
192
山
(
やま
)
の
尾上
(
をのへ
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
えて
193
ネルソン
山
(
ざん
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
に
194
佇
(
たたず
)
み
四方
(
よも
)
を
眺
(
なが
)
めつつ
195
雄渾
(
ゆうこん
)
の
気
(
き
)
に
打
(
う
)
たれ
居
(
ゐ
)
る
196
時
(
とき
)
しもあれや
山腹
(
さんぷく
)
より
197
昇
(
のぼ
)
り
来
(
きた
)
れる
黒雲
(
こくうん
)
に
198
一行
(
いつかう
)
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
包
(
つつ
)
まれて
199
咫尺
(
しせき
)
も
弁
(
べん
)
ぜず
当惑
(
たうわく
)
し
200
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
声
(
こゑ
)
限
(
かぎ
)
り
201
奏上
(
そうじやう
)
なせる
折
(
を
)
りもあれ
202
空前
(
くうぜん
)
絶後
(
ぜつご
)
の
強風
(
きやうふう
)
に
203
吹
(
ふ
)
き
捲
(
ま
)
くられて
各自
(
めいめい
)
は
204
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
如
(
ごと
)
く
中天
(
ちうてん
)
に
205
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げられて
名
(
な
)
も
知
(
し
)
らぬ
206
深
(
ふか
)
き
谷間
(
たにま
)
に
墜落
(
つゐらく
)
し
207
息
(
いき
)
も
絶
(
た
)
えむとしたりしに
208
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
209
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
に
霑
(
うるほ
)
ひて
210
漸
(
やうや
)
く
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
し
211
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
212
大蛇
(
をろち
)
の
群
(
むれ
)
を
悉
(
ことごと
)
く
213
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
の
太祝詞
(
ふとのりと
)
214
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
謡
(
うた
)
ひつつ
215
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
せ
漸
(
やうや
)
うに
216
数多
(
あまた
)
の
人
(
ひと
)
に
送
(
おく
)
られて
217
初
(
はじ
)
めて
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
218
瞳
(
ひとみ
)
も
届
(
とど
)
かぬ
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
219
千尋
(
ちひろ
)
の
底
(
そこ
)
の
弥
(
いや
)
深
(
ふか
)
き
220
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
現
(
あら
)
はれて
221
魚鱗
(
ぎよりん
)
の
波
(
なみ
)
は
金銀
(
きんぎん
)
の
222
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
如
(
ごと
)
き
眺
(
なが
)
めなり
223
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
224
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
を
蒙
(
かか
)
ぶりて
225
我
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
五
(
い
)
つ
身魂
(
みたま
)
226
これの
聖地
(
せいち
)
に
導
(
みちび
)
かれ
227
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
爽
(
さはや
)
かに
228
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
に
上
(
のぼ
)
る
如
(
ごと
)
229
嬉
(
うれ
)
し
楽
(
たの
)
しの
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
は
230
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
尊
(
たふと
)
さを
231
一層
(
いつそう
)
深
(
ふか
)
く
知
(
し
)
られけり
232
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
233
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
ける
234
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
235
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
236
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
237
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
せ
238
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
239
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
のり
)
240
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
へ
行
(
ゆ
)
く
楽
(
たの
)
しさは
241
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
242
是
(
これ
)
に
増
(
ま
)
したる
業
(
わざ
)
はなし
243
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
244
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
木
(
こ
)
の
花
(
はな
)
の
245
開
(
ひら
)
いて
散
(
ち
)
りて
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ
246
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
にけり
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
247
五弁
(
ごべん
)
の
梅
(
うめ
)
の
厳御霊
(
いづみたま
)
248
厳
(
いづ
)
の
教
(
をしへ
)
を
経
(
たて
)
となし
249
瑞
(
みづ
)
の
教
(
をしへ
)
を
緯
(
ぬき
)
として
250
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
に
現
(
あ
)
れませる
251
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
や
252
埴安彦
(
はにやすひこ
)
や
埴安姫
(
はにやすひめ
)
の
253
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
254
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
開
(
ひら
)
く
宣伝使
(
せんでんし
)
255
暗夜
(
やみよ
)
を
晴
(
は
)
らす
朝日子
(
あさひこ
)
の
256
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御
(
おん
)
守
(
まも
)
り
257
天教山
(
てんけうざん
)
に
現
(
あ
)
れませる
258
神
(
かむ
)
伊弉諾
(
いざなぎの
)
大神
(
おほかみ
)
や
259
地教
(
ちけう
)
の
山
(
やま
)
に
永久
(
とことは
)
に
260
鎮
(
しづ
)
まりまして
現世
(
うつしよ
)
を
261
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
に
守
(
まも
)
ります
262
神
(
かむ
)
伊弉冊
(
いざなみの
)
大神
(
おほかみ
)
や
263
高照姫
(
たかてるひめ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
264
慎
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
鹿児自
(
かごじ
)
物
(
もの
)
265
膝折
(
ひざを
)
り
伏
(
ふ
)
せて
願
(
ね
)
ぎまつる
266
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
267
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましまして
268
初稚姫
(
はつわかひめ
)
や
玉能姫
(
たまのひめ
)
269
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
270
久助
(
きうすけ
)
お
民
(
たみ
)
の
信徒
(
まめひと
)
が
271
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
後
(
のち
)
の
世
(
よ
)
も
272
神
(
かみ
)
の
経綸
(
しぐみ
)
に
漏
(
も
)
れ
落
(
お
)
ちず
273
太
(
ふと
)
しき
功績
(
いさを
)
を
建
(
た
)
てしめよ
274
神
(
かみ
)
は
我
(
われ
)
等
(
ら
)
を
守
(
まも
)
ります
275
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せし
此
(
この
)
身魂
(
みたま
)
276
天地
(
てんち
)
の
間
(
うち
)
に
生
(
い
)
けるもの
277
他人
(
たにん
)
もなければ
仇
(
あだ
)
もなし
278
父子
(
おやこ
)
兄弟
(
きやうだい
)
睦
(
むつま
)
じく
279
世界
(
せかい
)
桝
(
ます
)
かけ
引
(
ひ
)
きならし
280
貴賤
(
かみしも
)
揃
(
そろ
)
うて
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
の
281
楽
(
たの
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
るまで
282
神
(
かみ
)
に
受
(
う
)
けたる
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
283
命
(
いのち
)
を
長
(
なが
)
く
守
(
まも
)
りませ
284
三五教
(
あななひけう
)
の
御光
(
みひかり
)
を
285
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
に
隈
(
くま
)
もなく
286
照
(
て
)
らさせ
給
(
たま
)
へ
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
287
千尋
(
ちひろ
)
の
底
(
そこ
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
288
鎮
(
しづ
)
まりゐます
竜姫
(
たつひめ
)
の
289
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
よ
平
(
たひら
)
けく
290
いと
安
(
やす
)
らけく
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
291
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
にある
292
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
五
(
い
)
つ
柱
(
はしら
)
293
慎
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
294
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
295
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ
296
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
297
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
を
給
(
たま
)
へかし』
298
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るや、
299
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
又
(
また
)
もや
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
300
諏訪
(
すは
)
の
湖面
(
こめん
)
に
向
(
むか
)
つて
優
(
やさ
)
しき
蕾
(
つぼみ
)
の
唇
(
くちびる
)
を
開
(
ひら
)
き
祝歌
(
しゆくか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
301
初稚姫
『
私
(
わたし
)
の
父
(
ちち
)
は
三五
(
あななひ
)
の
302
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
303
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
とは
一時
(
いつとき
)
に
304
開
(
ひら
)
き
初
(
はじ
)
むる
時置師
(
ときおかし
)
305
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
杢助
(
もくすけ
)
ぞ
306
言依別
(
ことよりわけ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
307
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
308
高天原
(
たかあまはら
)
に
千木
(
ちぎ
)
高
(
たか
)
く
309
鎮
(
しづ
)
まりゐます
綾
(
あや
)
の
里
(
さと
)
310
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむつかさ
)
311
玉照彦
(
たまてるひこ
)
や
玉照姫
(
たまてるひめ
)
の
312
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
仰
(
あふ
)
せ
313
畏
(
かしこ
)
み
仕
(
つか
)
へまつりつつ
314
我
(
われ
)
は
幼
(
をさな
)
き
身
(
み
)
なれども
315
神
(
かみ
)
と
神
(
かみ
)
との
御教
(
みをしへ
)
を
316
うなじに
固
(
かた
)
く
蒙
(
かか
)
ぶりて
317
玉治別
(
たまはるわけ
)
や
玉能姫
(
たまのひめ
)
318
教司
(
をしへつかさ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
319
浪風
(
なみかぜ
)
猛
(
たけ
)
る
海原
(
うなばら
)
を
320
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
渡
(
わた
)
りつつ
321
黄金
(
こがね
)
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
竜宮
(
りうぐう
)
の
322
一
(
ひと
)
つの
島
(
しま
)
に
着
(
つ
)
きにけり
323
厳
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
にして
324
山野
(
さんや
)
を
渡
(
わた
)
りネルソンの
325
高山
(
かうざん
)
越
(
こ
)
えて
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
326
アンナヒエールの
里
(
さと
)
を
越
(
こ
)
え
327
山々
(
やまやま
)
谷々
(
たにだに
)
数
(
かず
)
越
(
こ
)
えて
328
漸
(
やうや
)
う
此処
(
ここ
)
に
皇神
(
すめかみ
)
の
329
社
(
やしろ
)
の
前
(
まへ
)
に
着
(
つ
)
きにけり
330
思
(
おも
)
へば
深
(
ふか
)
し
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
331
千尋
(
ちひろ
)
の
底
(
そこ
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
332
鎮
(
しづ
)
まりゐます
竜姫
(
たつひめ
)
よ
333
心
(
こころ
)
平
(
たひら
)
に
安
(
やす
)
らかに
334
我
(
わ
)
が
願
(
ね
)
ぎ
事
(
ごと
)
を
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
335
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すゐ
)
地
(
ち
)
と
結
(
むす
)
びたる
336
言霊
(
ことたま
)
まつる
五種
(
いつくさ
)
の
337
珍
(
うづ
)
の
御玉
(
みたま
)
を
賜
(
たま
)
へかし
338
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
御教
(
みをしへ
)
は
339
いよいよ
茲
(
ここ
)
に
完成
(
くわんせい
)
し
340
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
341
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
常磐木
(
ときはぎ
)
の
342
松
(
まつ
)
の
神世
(
かみよ
)
と
謳
(
うた
)
はれて
343
海
(
うみ
)
の
内外
(
うちと
)
の
民草
(
たみぐさ
)
は
344
老
(
おい
)
も
若
(
わか
)
きも
隔
(
へだ
)
てなく
345
うつしき
御代
(
みよ
)
を
楽
(
たの
)
しまむ
346
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
347
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましまして
348
十歳
(
とを
)
にも
足
(
た
)
らぬ
初稚
(
はつわか
)
が
349
万里
(
ばんり
)
の
波濤
(
はたう
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
350
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ふ
赤心
(
まごころ
)
に
351
曳
(
ひ
)
かれて
此処迄
(
ここまで
)
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
る
352
思
(
おも
)
ひの
露
(
つゆ
)
を
汲
(
く
)
めよかし
353
神
(
かみ
)
は
我
(
われ
)
等
(
ら
)
の
身辺
(
しんぺん
)
を
354
夜
(
よる
)
と
昼
(
ひる
)
との
別
(
わか
)
ちなく
355
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
ふと
聞
(
き
)
くからは
356
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
御
(
おん
)
宝
(
たから
)
357
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
のいち
早
(
はや
)
く
358
我
(
われ
)
等
(
ら
)
に
授
(
さづ
)
け
給
(
たま
)
へかし
359
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
360
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
361
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ
362
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
363
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
364
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
365
誠
(
まこと
)
は
神
(
かみ
)
に
通
(
かよ
)
ふべし
366
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
367
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
368
宣
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
を
悉
(
ことごと
)
く
369
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
370
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
371
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひし
我
(
あが
)
魂
(
たま
)
は
372
如何
(
いか
)
なる
艱難
(
なやみ
)
来
(
きた
)
るとも
373
ミロクの
世
(
よ
)
迄
(
まで
)
も
変
(
かは
)
らまじ
374
ミロクの
世
(
よ
)
迄
(
まで
)
もうつらまじ』
375
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り
拍手
(
はくしゆ
)
して
傍
(
かたはら
)
の
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ち
下
(
お
)
ろし
息
(
いき
)
をやすめた。
376
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
又
(
また
)
もや
立上
(
たちあが
)
り
湖面
(
こめん
)
に
向
(
むか
)
つて
歌
(
うた
)
ふ。
377
玉能姫
『
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
勅
(
みこと
)
もて
378
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
より
379
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
380
また
紫
(
むらさき
)
の
神宝
(
しんぱう
)
を
381
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
の
経綸地
(
けいりんち
)
382
隠
(
かく
)
し
納
(
をさ
)
むる
神業
(
しんげふ
)
を
383
仕
(
つか
)
へまつりし
玉能姫
(
たまのひめ
)
384
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
が
385
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
へむと
386
島
(
しま
)
の
八十島
(
やそしま
)
八十
(
やそ
)
の
国
(
くに
)
387
大海原
(
おほうなばら
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
388
暑
(
あつ
)
さ
寒
(
さむ
)
さの
厭
(
いと
)
ひなく
389
虎
(
とら
)
伏
(
ふ
)
す
野辺
(
のべ
)
も
狼
(
おほかみ
)
の
390
狂
(
くる
)
へる
深山
(
みやま
)
も
何
(
なん
)
のその
391
すこしも
厭
(
いと
)
はず
三五
(
あななひ
)
の
392
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
に
393
身
(
み
)
も
魂
(
たましひ
)
も
奉
(
ささ
)
げつつ
394
玉治別
(
たまはるわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
395
漸
(
やうや
)
う
此処
(
ここ
)
に
詣
(
まう
)
でけり
396
此
(
この
)
湖
(
みづうみ
)
に
遠津代
(
とほつよ
)
の
397
神代
(
かみよ
)
の
古
(
ふる
)
き
昔
(
むかし
)
より
398
鎮
(
しづ
)
まりゐます
竜姫
(
たつひめ
)
よ
399
御国
(
みくに
)
を
思
(
おも
)
ふ
一筋
(
ひとすぢ
)
の
400
妾
(
わらは
)
が
心
(
こころ
)
を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
らせ
401
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
402
岩
(
いは
)
より
堅
(
かた
)
く
搗
(
つ
)
き
固
(
かた
)
め
403
神界
(
かみのよ
)
幽界
(
かくりよ
)
現界
(
うつしよ
)
の
404
救
(
すく
)
ひの
為
(
ため
)
に
海底
(
うなそこ
)
に
405
隠
(
かく
)
し
給
(
たま
)
ひし
五
(
い
)
つみたま
406
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すゐ
)
地
(
ち
)
と
結
(
むす
)
びたる
407
大空
(
おほぞら
)
擬
(
まが
)
ふ
青
(
あを
)
き
玉
(
たま
)
408
紅葉色
(
もみぢいろ
)
なす
赤玉
(
あかだま
)
や
409
月
(
つき
)
の
顔
(
かんばせ
)
水
(
みづ
)
の
玉
(
たま
)
410
黄金色
(
こがねいろ
)
なす
黄色玉
(
きいろだま
)
411
四魂
(
しこん
)
を
結
(
むす
)
びし
紫
(
むらさき
)
の
412
五
(
い
)
つの
御玉
(
みたま
)
を
我々
(
われわれ
)
に
413
授
(
さづ
)
けたまへよ
矗々
(
すくすく
)
に
414
我
(
われ
)
は
疾
(
と
)
く
疾
(
と
)
く
立帰
(
たちかへ
)
り
415
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
が
416
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
神業
(
しんげふ
)
の
417
大御宝
(
おほみたから
)
と
奉
(
たてまつ
)
り
418
汝
(
なれ
)
が
御霊
(
みたま
)
の
功績
(
いさをし
)
を
419
千代
(
ちよ
)
に
八千代
(
やちよ
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
420
照
(
てら
)
しまつらむ
惟神
(
かむながら
)
421
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
を
賜
(
たま
)
はりて
422
我
(
われ
)
等
(
ら
)
の
願
(
ねが
)
ひをつばらかに
423
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
さへと
詔
(
の
)
り
奉
(
まつ
)
る
424
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
425
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
426
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
拍手
(
はくしゆ
)
し、
427
傍
(
かたはら
)
の
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めけり。
428
久助
(
きうすけ
)
は
又
(
また
)
もや
湖面
(
こめん
)
に
向
(
むか
)
つて、
429
久助
『
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
瀬戸
(
せと
)
の
海
(
うみ
)
430
誠
(
まこと
)
明石
(
あかし
)
の
磯
(
いそ
)
の
辺
(
べ
)
に
431
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
久助
(
きうすけ
)
は
432
三五教
(
あななひけう
)
に
入信
(
にふしん
)
し
433
玉治別
(
たまはるわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
434
其
(
その
)
他
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
の
神司
(
かむつかさ
)
435
導
(
みちび
)
き
給
(
たま
)
ふ
其
(
その
)
儘
(
まま
)
に
436
御跡
(
みあと
)
を
慕
(
した
)
ひ
神徳
(
しんとく
)
を
437
蒙
(
かうむ
)
りまつり
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
438
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
尽
(
つく
)
さむと
439
大海原
(
おほうなばら
)
を
遥々
(
はるばる
)
と
440
越
(
こ
)
えて
漸
(
やうや
)
う
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
441
大蛇
(
をろち
)
に
体
(
からだ
)
を
捲
(
ま
)
かれつつ
442
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
苦
(
くるし
)
みを
443
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
助
(
たす
)
けられ
444
漸
(
やうや
)
う
此処
(
ここ
)
に
来
(
きた
)
りけり
445
我
(
われ
)
は
信徒
(
まめひと
)
三五
(
あななひ
)
の
446
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
非
(
あら
)
ざれど
447
御国
(
みくに
)
を
思
(
おも
)
ひ
大神
(
おほかみ
)
に
448
仕
(
つか
)
ふる
道
(
みち
)
に
隔
(
へだ
)
てなし
449
諏訪
(
すは
)
の
湖底
(
こてい
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
450
鎮
(
しづ
)
まりゐます
皇神
(
すめかみ
)
よ
451
我
(
われ
)
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
452
憐
(
あはれ
)
み
給
(
たま
)
へ
何
(
なん
)
なりと
453
一
(
ひと
)
つの
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
あふ
)
せられ
454
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
御子
(
みこ
)
として
455
恥
(
はづ
)
かしからぬ
働
(
はたら
)
きを
456
尽
(
つく
)
させ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
457
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
村肝
(
むらきも
)
の
458
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
を
奉
(
たてまつ
)
り
459
慎
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
460
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
申
(
まを
)
す
461
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
462
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
463
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
同
(
おな
)
じく
芝生
(
しばふ
)
の
上
(
うへ
)
に
息
(
いき
)
をやすめたり。
464
お
民
(
たみ
)
は
又
(
また
)
もや
立上
(
たちあが
)
り
諏訪
(
すは
)
の
湖面
(
こめん
)
に
向
(
むか
)
つて
拍手
(
はくしゆ
)
し、
465
声
(
こゑ
)
淑
(
しと
)
やかに、
466
お民
『
尊
(
たふと
)
き
国
(
くに
)
の
礎
(
いしずゑ
)
や
467
百姓
(
おほみたから
)
の
名
(
な
)
に
負
(
お
)
ひし
468
君
(
きみ
)
と
神
(
かみ
)
とに
真心
(
まごころ
)
を
469
麻柱
(
あなな
)
ひ
奉
(
まつ
)
る
民子姫
(
たみこひめ
)
470
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
平伏
(
ひれふ
)
して
471
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
の
472
ミロク
神政
(
しんせい
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
473
仕
(
つか
)
へまつらむ
事
(
こと
)
のよし
474
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
し
475
誠
(
まこと
)
の
足
(
た
)
らぬ
我
(
われ
)
なれど
476
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
は
片時
(
かたとき
)
も
477
忘
(
わす
)
れたる
事
(
こと
)
更
(
さら
)
になし
478
守
(
まも
)
らざる
事
(
こと
)
片時
(
かたとき
)
も
479
無
(
な
)
きを
切
(
せ
)
めての
取得
(
とりえ
)
とし
480
この
湖底
(
うなそこ
)
に
昔
(
むかし
)
より
481
鎮
(
しづ
)
まりゐます
竜宮
(
りうぐう
)
の
482
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
よ
惟神
(
かむながら
)
483
大御心
(
おほみこころ
)
も
平
(
たひら
)
けく
484
いと
安
(
やす
)
らけく
思召
(
おぼしめ
)
し
485
足
(
た
)
らはぬ
我
(
われ
)
等
(
ら
)
が
願言
(
ねぎごと
)
を
486
見棄
(
みす
)
て
玉
(
たま
)
はず
諾
(
うべな
)
ひて
487
其
(
その
)
程々
(
ほどほど
)
の
功績
(
いさをし
)
を
488
立
(
た
)
てさせ
玉
(
たま
)
へ
諏訪
(
すは
)
の
湖
(
うみ
)
489
鎮
(
しづ
)
まりゐます
御
(
おん
)
神
(
かみ
)
の
490
御前
(
みまへ
)
に
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる
491
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
492
御霊
(
みたま
)
幸倍
(
さちはへ
)
ましませよ』
493
紺碧
(
こんぺき
)
の
湖面
(
こめん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
十字形
(
じふじけい
)
に
波
(
なみ
)
割
(
わ
)
れて、
494
湖底
(
うなそこ
)
は
判然
(
はつきり
)
と
現
(
あら
)
はれたり。
495
殆
(
ほとん
)
ど
黄金
(
こがね
)
の
板
(
いた
)
を
敷
(
し
)
き
詰
(
つ
)
めたる
如
(
ごと
)
く、
496
一塊
(
いつくわい
)
の
砂礫
(
されき
)
もなければ、
497
塵
(
ちり
)
芥
(
あくた
)
もなく、
498
藻草
(
もぐさ
)
もない。
499
恰
(
あたか
)
も
黄金
(
こがね
)
の
鍋
(
なべ
)
に
水
(
みづ
)
を
盛
(
も
)
りたる
如
(
ごと
)
き、
500
清潔
(
せいけつ
)
にして
燦爛
(
さんらん
)
たる
光輝
(
くわうき
)
を
放
(
はな
)
ち、
501
目
(
め
)
も
眩
(
くら
)
む
許
(
ばか
)
りの
荘厳
(
さうごん
)
麗媚
(
れいび
)
さなりき。
502
波
(
なみ
)
の
割
(
わ
)
れ
間
(
ま
)
より
幽
(
かす
)
かに
見
(
み
)
ゆる
金殿
(
きんでん
)
玉楼
(
ぎよくろう
)
の
棟
(
むね
)
実
(
じつ
)
に
床
(
ゆか
)
しく、
503
胸
(
むね
)
躍
(
をど
)
り
魂
(
こん
)
飛
(
と
)
び
魄
(
はく
)
散
(
ち
)
るが
如
(
ごと
)
く、
504
赤
(
あか
)
珊瑚樹
(
さんごじゆ
)
は
林
(
はやし
)
の
如
(
ごと
)
くにして
立並
(
たちなら
)
み
居
(
ゐ
)
る。
505
珊瑚樹
(
さんごじゆ
)
の
大木
(
たいぼく
)
の
下
(
した
)
を
潜
(
くぐ
)
つて、
506
静々
(
しづしづ
)
と
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
る
玉
(
たま
)
の
顔容
(
かんばせ
)
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
、
507
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
か
海棠
(
かいだう
)
か、
508
但
(
ただし
)
は
牡丹
(
ぼたん
)
の
咲
(
さ
)
き
初
(
そ
)
めし
婀娜
(
あだ
)
な
姿
(
すがた
)
に
擬
(
まが
)
ふべらなる
数多
(
あまた
)
の
女神
(
めがみ
)
、
509
黄金色
(
わうごんしよく
)
の
衣
(
きぬ
)
を
身
(
み
)
に
纒
(
まと
)
ひ、
510
黄金
(
こがね
)
造
(
づく
)
りの
竜
(
たつ
)
の
冠
(
かんむり
)
を
戴
(
いただ
)
き
乍
(
なが
)
ら、
511
長柄
(
ながえ
)
の
唐団扇
(
たううちわ
)
を
笏杖
(
しやくぢやう
)
の
代
(
かは
)
りに
左手
(
ゆんで
)
に
突
(
つ
)
きつつ、
512
右手
(
めて
)
に
玉盃
(
たまづき
)
を
抱
(
かか
)
え、
513
天
(
てん
)
火
(
くわ
)
水
(
すゐ
)
地
(
ち
)
結
(
けつ
)
の
五色
(
ごしき
)
の
玉
(
たま
)
を
各
(
おのおの
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
殊更
(
ことさら
)
崇高
(
すうかう
)
なる
女神
(
めがみ
)
に
抱
(
いだ
)
かせ
乍
(
なが
)
ら、
514
玉依姫
(
たまよりひめの
)
命
(
みこと
)
は
徐々
(
しづしづ
)
と
湖
(
みづうみ
)
を
上
(
あが
)
り
五
(
ご
)
人
(
にん
)
が
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
ひて、
515
言葉
(
ことば
)
静
(
しづ
)
かに
宣
(
の
)
り
玉
(
たま
)
ふ。
516
玉依姫命
『
汝
(
なんぢ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
517
玉能姫
(
たまのひめ
)
、
518
玉治別
(
たまはるわけ
)
、
519
信徒
(
しんと
)
の
久助
(
きうすけ
)
、
520
お
民
(
たみ
)
の
五柱
(
いつはしら
)
、
521
よくも
艱難
(
かんなん
)
を
凌
(
しの
)
ぎ
辛苦
(
しんく
)
に
堪
(
た
)
へ、
522
神国
(
しんこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
為
(
ため
)
に
遥々
(
はるばる
)
此処
(
ここ
)
に
来
(
きた
)
りしこと
感賞
(
かんしやう
)
するに
余
(
あま
)
りあり。
523
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
汝
(
なんぢ
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
大神
(
おほかみ
)
よりの
特別
(
とくべつ
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しを
以
(
もつ
)
て、
524
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
せしめられ、
525
又
(
また
)
玉能姫
(
たまのひめ
)
は
紫
(
むらさき
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
の
御用
(
ごよう
)
を
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
けられ、
526
今
(
いま
)
や
三五教
(
あななひけう
)
挙
(
こぞ
)
つて
羨望
(
せんぼう
)
の
的
(
まと
)
となり
居
(
を
)
れり。
527
玉治別
(
たまはるわけ
)
外
(
ほか
)
二人
(
ふたり
)
は
未
(
いま
)
だ
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
重大
(
ぢゆうだい
)
なる
神業
(
しんげふ
)
には
奉仕
(
ほうし
)
せざれども、
528
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
が
至誠
(
しせい
)
至実
(
しじつ
)
の
行
(
おこな
)
ひに
賞
(
め
)
で、
529
竜宮
(
りうぐう
)
の
神宝
(
しんぱう
)
たる
五種
(
いつくさ
)
の
宝
(
たから
)
を
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
に
授
(
さづ
)
くれば、
530
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
尚
(
なほ
)
も
此
(
この
)
上
(
うへ
)
に
心身
(
しんしん
)
を
清
(
きよ
)
らかにし、
531
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
に
捧持
(
ほうぢ
)
し
帰
(
かへ
)
り、
532
教主
(
けうしゆ
)
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
にお
渡
(
わた
)
し
申
(
まを
)
すべし。
533
今
(
いま
)
汝
(
なんぢ
)
に
授
(
さづ
)
くるは
易
(
やす
)
けれど、
534
未
(
いま
)
だ
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
の
宣伝
(
せんでん
)
を
終
(
を
)
へざれば、
535
暫
(
しばら
)
く
我
(
われ
)
等
(
ら
)
が
手
(
て
)
に
預
(
あづか
)
りおかむ。
536
華々
(
はなばな
)
しき
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
を
現
(
あら
)
はし、
537
重大
(
ぢゆうだい
)
なる
神業
(
しんげふ
)
を
神
(
かみ
)
より
命
(
めい
)
ぜらるるは
尤
(
もつと
)
もなりと、
538
一般人
(
いつぱんじん
)
より
承認
(
しようにん
)
さるる
迄
(
まで
)
誠
(
まこと
)
を
尽
(
つく
)
せ。
539
此
(
この
)
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
はネルソン
山
(
ざん
)
を
区域
(
くゐき
)
として
東西
(
とうざい
)
に
別
(
わか
)
れ、
540
東部
(
とうぶ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
守護
(
しゆご
)
し
居
(
を
)
れども、
541
未
(
いま
)
だ
西部
(
せいぶ
)
に
宣伝
(
せんでん
)
する
身魂
(
みたま
)
なし。
542
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
此処
(
ここ
)
に
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななや
)
の
御禊
(
みそぎ
)
を
修
(
しう
)
し、
543
此
(
この
)
島
(
しま
)
を
宣伝
(
せんでん
)
して
普
(
あまね
)
く
世人
(
よびと
)
を
救
(
すく
)
ひ、
544
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
みたま
)
を
善道
(
ぜんだう
)
に
蘇
(
よみが
)
へらせ、
545
且
(
かつ
)
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
、
546
梅子姫
(
うめこひめ
)
、
547
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
一同
(
いちどう
)
の
者
(
もの
)
を
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
汝
(
なんぢ
)
の
誠
(
まこと
)
に
帰順
(
きじゆん
)
せしめたる
上
(
うへ
)
にて
改
(
あらた
)
めて
汝
(
なんぢ
)
の
手
(
て
)
に
渡
(
わた
)
さむ。
548
初稚姫
(
はつわかひめ
)
には
紫
(
むらさき
)
の
玉
(
たま
)
、
549
玉治別
(
たまはるわけ
)
には
青色
(
せいしよく
)
の
玉
(
たま
)
、
550
玉能姫
(
たまのひめ
)
には
紅色
(
べにいろ
)
の
玉
(
たま
)
、
551
久助
(
きうすけ
)
には
水色
(
みづいろ
)
、
552
お
民
(
たみ
)
には
黄色
(
きいろ
)
の
玉
(
たま
)
を
相渡
(
あいわた
)
すべし。
553
されど
此
(
この
)
神業
(
しんげふ
)
を
仕損
(
しそん
)
じなば、
554
今
(
いま
)
の
妾
(
わらは
)
の
誓
(
ちか
)
ひは
取消
(
とりけ
)
すべければ、
555
忍耐
(
にんたい
)
に
忍耐
(
にんたい
)
を
重
(
かさ
)
ねて、
556
人群
(
じんぐん
)
万類
(
ばんるゐ
)
愛善
(
あいぜん
)
を
命
(
いのち
)
の
綱
(
つな
)
と
頼
(
たの
)
み、
557
苟且
(
かりそめ
)
にも
妬
(
ねた
)
み、
558
そねみ、
559
怒
(
いか
)
りの
心
(
こころ
)
を
発
(
はつ
)
するな。
560
妾
(
わらは
)
はこれにて
暫
(
しばら
)
く
竜
(
たつ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
に
帰
(
かへ
)
り
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
たむ。
561
いざさらば……』
562
と
言
(
い
)
ひ
残
(
のこ
)
し、
563
数多
(
あまた
)
の
侍女神
(
じぢよしん
)
を
随
(
したが
)
へ、
564
忽
(
たちま
)
ち
巨大
(
きよだい
)
なる
竜体
(
りうたい
)
となりて、
565
一度
(
いちど
)
にドツと
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み
玉
(
たま
)
へば、
566
十字形
(
じふじけい
)
に
割
(
わ
)
れたる
湖面
(
こめん
)
は
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
くに
治
(
をさ
)
まり、
567
山岳
(
さんがく
)
の
如
(
ごと
)
き
浪
(
なみ
)
は
立
(
た
)
ち
狂
(
くる
)
ひ、
568
巨大
(
きよだい
)
の
水柱
(
みづばしら
)
は
天
(
てん
)
に
沖
(
ちう
)
するかと
許
(
ばか
)
り
思
(
おも
)
はれた。
569
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
れつつも、
570
恭
(
うやうや
)
しく
拍手
(
はくしゆ
)
をなし、
571
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
や
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
572
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
十度
(
とたび
)
唱
(
とな
)
へ、
573
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
声
(
こゑ
)
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
574
再
(
ふたた
)
び
拍手
(
はくしゆ
)
し、
575
それより
七日
(
なぬか
)
七夜
(
ななや
)
湖水
(
こすゐ
)
に
御禊
(
みそぎ
)
を
修
(
しう
)
し、
576
諏訪
(
すは
)
の
湖面
(
こめん
)
に
向
(
むか
)
つて
合掌
(
がつしやう
)
し、
577
皇神
(
すめかみ
)
に
暇
(
いとま
)
を
請
(
こ
)
ひ、
578
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
579
荊棘
(
けいきよく
)
茂
(
しげ
)
れる
森林
(
しんりん
)
の、
580
大蛇
(
をろち
)
猛獣
(
まうじう
)
の
群
(
むれ
)
居
(
ゐ
)
る
中
(
なか
)
を
物
(
もの
)
ともせず、
581
神
(
かみ
)
を
力
(
ちから
)
に
誠
(
まこと
)
を
杖
(
つゑ
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
雄々
(
をを
)
しけれ。
582
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
583
玉依姫
(
たまよりひめ
)
は
空色
(
そらいろ
)
の
衣服
(
いふく
)
にて、
584
玉
(
たま
)
を
持
(
も
)
てる
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
女神
(
めがみ
)
の
後
(
あと
)
に
付添
(
つきそ
)
ひ
玉
(
たま
)
ひしと
聞
(
き
)
く。
585
(
大正一一・七・五
旧閏五・一一
加藤明子
録)
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(B)
(N)
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【第15章 諏訪湖|第24巻|如意宝珠|霊界物語|/rm2415】
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