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霊界物語
如意宝珠(第13~24巻)
第24巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 流転の涙
第1章 粉骨砕身
第2章 唖呍
第3章 波濤の夢
第4章 一島の女王
第2篇 南洋探島
第5章 蘇鉄の森
第6章 アンボイナ島
第7章 メラの滝
第8章 島に訣別
第3篇 危機一髪
第9章 神助の船
第10章 土人の歓迎
第11章 夢の王者
第12章 暴風一過
第4篇 蛮地宣伝
第13章 治安内教
第14章 タールス教
第15章 諏訪湖
第16章 慈愛の涙
霊の礎(一〇)
霊の礎(一一)
神諭
余白歌
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霊界物語
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如意宝珠(第13~24巻)
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第24巻(亥の巻)
> 第2篇 南洋探島 > 第6章 アンボイナ島
<<< 蘇鉄の森
(B)
(N)
メラの滝 >>>
第六章 アンボイナ
島
(
たう
)
〔七三六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第24巻 如意宝珠 亥の巻
篇:
第2篇 南洋探島
よみ(新仮名遣い):
なんようたんとう
章:
第6章 アンボイナ島
よみ(新仮名遣い):
あんぼいなとう
通し章番号:
736
口述日:
1922(大正11)年07月02日(旧閏05月08日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年5月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
船は無数の島嶼を縫って進んでいたが、にわかに深い霧に包まれて、船中の一同は当惑し始めた。
寂寥の気に満たされて、体内を何ものかがかき乱すような感覚に襲われ、頭部には警鐘乱打の声が聞こえだし、一同は少しの風にも身もだえして苦しんだ。
どこからともなく、嫌らしい声が頭上に響いた。声は天の八衢彦命と名乗り、蜈蚣姫と高姫に、善悪混淆で悪が足りないから大悪になり、大悪すなわち大善になれとを叱りつけた。
変性男子の系統を振りかざし、日の出神の生き宮を名乗っておきながら、肝心のときに神力を発揮できない高姫に耳の痛い説諭をする天の八衢彦命に対して、高姫はいちいち憎まれ口を言い返した。
天の八衢彦命は蜈蚣姫にも厳しい説教を垂れ、言霊を使って高姫・蜈蚣姫をやりこめる。そしてアンボイナ島の聖地に渡って再び教訓を受けよ、と告げた。
高姫と蜈蚣姫はすっかりやり込められたが、片意地を張って黙って俯いている。すると濃霧は晴れて、船はいつの間にかアンボイナの港に着いていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-07-30 20:40:08
OBC :
rm2406
愛善世界社版:
90頁
八幡書店版:
第4輯 644頁
修補版:
校定版:
92頁
普及版:
42頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
、
002
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
を
乗
(
の
)
せたる
船
(
ふね
)
は、
003
波
(
なみ
)
のまにまに
大小
(
だいせう
)
無数
(
むすう
)
の
嶋嶼
(
たうしよ
)
を
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
潜
(
くぐ
)
りつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
004
俄
(
にはか
)
に
包
(
つつ
)
む
濃霧
(
のうむ
)
に
咫尺
(
しせき
)
を
弁
(
べん
)
ぜず、
005
此
(
この
)
儘
(
まま
)
航海
(
かうかい
)
を
続
(
つづ
)
けむか、
006
何時
(
なんどき
)
船
(
ふね
)
を
岩石
(
がんせき
)
に
衝
(
つ
)
き
当
(
あ
)
て
破壊
(
はくわい
)
沈没
(
ちんぼつ
)
の
厄
(
やく
)
に
会
(
あ
)
ふも
知
(
し
)
れざる
破目
(
はめ
)
になつて
来
(
き
)
た。
007
流石
(
さすが
)
の
両婆
(
りやうばば
)
アも
船中
(
せんちう
)
の
一同
(
いちどう
)
も
はた
と
当惑
(
たうわく
)
し、
008
何
(
なん
)
となく
寂寥
(
せきれう
)
の
気
(
き
)
に
充
(
み
)
たされ、
009
臍
(
へそ
)
の
辺
(
あた
)
りより
喉元
(
のどもと
)
さして
舞
(
ま
)
ひ
上
(
あが
)
る
熱
(
あつ
)
き
凝固
(
かたまり
)
は、
010
螺旋状
(
らせんじやう
)
を
為
(
な
)
して
体内
(
たいない
)
を
掻
(
か
)
き
乱
(
みだ
)
すが
如
(
ごと
)
く、
011
頭部
(
とうぶ
)
は
警鐘
(
けいしよう
)
乱打
(
らんだ
)
の
声
(
こゑ
)
聞
(
きこ
)
え、
012
天変
(
てんぺん
)
地妖
(
ちえう
)
身
(
み
)
の
置
(
お
)
き
処
(
どころ
)
も
知
(
し
)
らぬ
思
(
おも
)
ひに
悩
(
なや
)
まされた。
013
何
(
なん
)
ともなく
嫌
(
いや
)
らしき
物音
(
ものおと
)
、
014
鬼哭
(
きこく
)
啾々
(
しうしう
)
として
肌
(
はだへ
)
に
粟
(
あは
)
を
生
(
しやう
)
じ
心胆
(
しんたん
)
糸
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
く
細
(
ほそ
)
り、
015
此
(
この
)
上
(
うへ
)
少
(
すこ
)
しの
風
(
かぜ
)
にも、
016
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
糸
(
いと
)
の
断絶
(
だんぜつ
)
せむ
許
(
ばか
)
りになり
来
(
き
)
たり。
017
何処
(
いづく
)
ともなく
嫌
(
いや
)
らしき
声
(
こゑ
)
、
018
頭上
(
づじやう
)
に
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
りぬ。
019
声
『アヽヽ
飽迄
(
あ
くまで
)
我
(
が
)
を
立
(
た
)
て
徹
(
とほ
)
す
高姫
(
たかひめ
)
、
020
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
021
天
(
あ
め
)
の
八衢彦
(
やちまたひこの
)
命
(
みこと
)
の
言葉
(
ことば
)
を
耳
(
みみ
)
を
浚
(
さら
)
へてよつく
聞
(
き
)
け。
022
汝
(
なんぢ
)
は
悪
(
あ
く
)
がまだ
足
(
た
)
らぬ。
023
悪
(
あ
く
)
ならば
悪
(
あ
く
)
でよいから
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
の
大悪
(
だい
あ
く
)
になれ。
024
大悪
(
だい
あ
く
)
は
即
(
すなは
)
ち
大善
(
だいぜん
)
だ。
025
汝
(
なんぢ
)
の
如
(
ごと
)
き
善悪
(
ぜん
あ
く
)
混淆
(
こんかう
)
、
026
反覆
(
はんぷく
)
表裏
(
へうり
)
常
(
つね
)
なき
改慢心
(
かいまんしん
)
の
大化物
(
おほばけもの
)
、
027
是
(
これ
)
こそ
真
(
しん
)
の
悪
(
あ
く
)
であるぞよ。
028
悪
(
あ
く
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
万事
(
ばんじ
)
万端
(
ばんたん
)
、
029
神界
(
しんかい
)
の
為
(
た
)
めに
埒
(
らち
)
が
あく
働
(
はたら
)
きを
言
(
い
)
ふのだ。
030
イヽヽ
嫌
(
い
や
)
らしい
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
かされて
慄
(
ふる
)
ひ
上
(
あが
)
り、
031
意気
(
い
き
)
銷沈
(
せうちん
)
の
意気地
(
い
くぢ
)
無
(
な
)
し。
032
今
(
い
ま
)
此処
(
ここ
)
で
慣用
(
くわんよう
)
手段
(
しゆだん
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
を
何故
(
なぜ
)
現
(
あらは
)
さぬか。
033
大黒主
(
おほくろぬしの
)
命
(
みこと
)
は
如何
(
どう
)
したのだ。
034
因循
(
い
んじゆん
)
姑息
(
こそく
)
、
035
悪魔
(
あくま
)
の
我
(
わが
)
言
(
げん
)
に
唯々
(
ゐ
ゐ
)
諾々
(
だくだく
)
として
畏服
(
ゐ
ふく
)
致
(
いた
)
す
イ
カサマ
宣伝使
(
せんでんし
)
。
036
ても
い
げち
無
(
な
)
い
可憐
(
いぢ
)
らしい
者
(
もの
)
だなア』
037
高姫
(
たかひめ
)
は
直
(
ただ
)
ちに、
038
高姫
『
何
(
いづ
)
れの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か
存
(
ぞん
)
じませぬが、
039
アヽヽ
悪
(
あ
く
)
をやるなら
大悪
(
だいあく
)
をせいとはチツトと
聞
(
きこ
)
えませぬ。
040
善一筋
(
ぜんひとすぢ
)
の
日本
(
やまと
)
魂
(
だましひ
)
の
生粋
(
きつすゐ
)
を
立
(
た
)
て
貫
(
ぬ
)
く
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
。
041
イヽヽ
い
つかないつかな、
042
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
的
(
てき
)
貴女
(
あなた
)
の
言葉
(
ことば
)
には
賛成
(
さんせい
)
出来
(
でき
)
ませぬ。
043
なア
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
さま、
044
お
前
(
まへ
)
さまもチツト、
045
アフンとして
い
ぢけて
居
(
を
)
らずに、
046
アヽヽイヽヽ
アイ
共
(
とも
)
に
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せ、
047
相槌
(
あいづち
)
を
打
(
う
)
つたら
如何
(
どう
)
だい。
048
斯
(
こ
)
んな
時
(
とき
)
こそ
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
を
現
(
あら
)
はさいで
何時
(
いつ
)
現
(
あら
)
はすのだ、
049
アヽヽ、
050
イヽヽ
意気地
(
い
くぢ
)
のない
人
(
ひと
)
だなア』
051
空中
(
くうちう
)
より
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
、
052
声
『ウヽヽ、
053
煩
(
う
る
)
さい
代物
(
しろもの
)
だ。
054
何処
(
どこ
)
までも
粘着性
(
ねんちやくせい
)
の
強
(
つよ
)
い
高姫
(
たかひめ
)
の
執着
(
しふちやく
)
、
055
有為
(
う
ゐ
)
転変
(
てんぺん
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
056
今
(
いま
)
に
逆
(
さか
)
とんぼり
を
打
(
う
)
たねばならぬぞよ。
057
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
に
反抗
(
はんかう
)
致
(
いた
)
した
酬
(
むく
)
い、
058
眼
(
まなこ
)
は
眩
(
くら
)
み
波
(
なみ
)
にとられた
沖
(
おき
)
の
船
(
ふね
)
、
059
何処
(
どこ
)
にとりつく
島
(
しま
)
もなく、
060
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
此
(
この
)
場合
(
ばあひ
)
に
立
(
た
)
ち
到
(
いた
)
つて、
061
まだ
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ぬか。
062
エヽヽ
偉相
(
え
らさう
)
に
我
(
われ
)
程
(
ほど
)
の
者
(
もの
)
なき
様
(
やう
)
に
申
(
まを
)
して
世界中
(
せかいぢう
)
を
股
(
また
)
にかけ
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
き
捲
(
まく
)
り、
063
誠
(
まこと
)
の
人間
(
にんげん
)
を
迷
(
まよ
)
はす
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
、
064
鼻
(
はな
)
ばかりの
高姫
(
たかひめ
)
が
今日
(
けふ
)
は
断末魔
(
だんまつま
)
、
065
扨
(
さ
)
ても
扨
(
さ
)
ても
可憐想
(
かはいさう
)
な
者
(
もの
)
だ。
066
浮世
(
うきよ
)
に
望
(
のぞ
)
みはないと
口癖
(
くちぐせ
)
の
様
(
やう
)
に
申
(
まを
)
し
乍
(
なが
)
ら、
067
其
(
その
)
実
(
じつ
)
、
068
浮世
(
うきよ
)
に
執着心
(
しふちやくしん
)
最
(
もつと
)
も
深
(
ふか
)
く、
069
偉相
(
え
らさう
)
に
肩臂
(
かたひぢ
)
怒
(
いか
)
らし
大声
(
おほごゑ
)
で
嚇
(
おど
)
す
夏
(
なつ
)
の
雷鳴婆
(
かみなりばば
)
ア……。
070
オヽヽ
鬼
(
お
に
)
とも
蛇
(
じや
)
とも
悪魔
(
あくま
)
とも
知
(
し
)
れぬ
性来
(
しやうらい
)
に
成
(
な
)
りきりて
居
(
を
)
りても
未
(
ま
)
だ
気
(
き
)
がつかぬか。
071
恐
(
お
そ
)
ろしい
執着心
(
しふちやくしん
)
の
鬼
(
お
に
)
が
角
(
つの
)
を
生
(
は
)
やして
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つ
掛
(
か
)
け
来
(
きた
)
り、
072
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
往生
(
わ
うじやう
)
させる
大神
(
お
ほかみ
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
、
073
尾
(
を
)
を
捲
(
ま
)
いて
改心
(
かいしん
)
するのは
今
(
いま
)
であらう。
074
返答
(
へんたふ
)
は
如何
(
どう
)
だ』
075
高姫
(
たかひめ
)
は
負
(
ま
)
けず、
076
又
(
また
)
もや、
077
高姫
『ウヽヽ
煩
(
う
る
)
さい
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るな。
078
エヽヽえたいの
知
(
し
)
れぬ
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
079
オヽヽ
嚇
(
お
ど
)
さうと
思
(
おも
)
つても
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
はいつかな いつかな、
080
ソンナチヨツコイ
事
(
こと
)
に
往生
(
わ
うじやう
)
は
致
(
いた
)
しませぬぞ。
081
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
の
女王
(
ぢよ
わ
う
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
黄竜姫
(
わ
うりようひめ
)
を、
082
お
産
(
う
)
み
遊
(
あそ
)
ばした
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
姉妹分
(
きやうだいぶん
)
とも
言
(
い
)
はれたる
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
、
083
何
(
いづ
)
れの
神
(
かみ
)
か
曲津
(
まがつ
)
か
知
(
し
)
らねども、
084
チツトは
物
(
もの
)
の
分別
(
ふんべつ
)
を
弁
(
わきま
)
へたが
宜
(
よ
)
からうぞ』
085
空中
(
くうちう
)
より、
086
声
『カヽヽ
重
(
か
さ
)
ねて
言
(
い
)
ふな、
087
聞
(
き
)
く
耳
(
みみ
)
持
(
も
)
たぬ。
088
蛙
(
か
はづ
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ず、
089
此
(
この
)
先
(
さき
)
には
山岳
(
さんがく
)
の
如
(
ごと
)
き
巨大
(
きよだい
)
な
蛙
(
か
はづ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
090
奸智
(
か
んち
)
に
長
(
た
)
けたる
汝
(
なんぢ
)
が
身
(
み
)
も
魂
(
たましひ
)
も、
091
只
(
ただ
)
一口
(
ひとくち
)
に
噛
(
か
)
み
砕
(
くだ
)
き
亡
(
ほろ
)
ぼして
呉
(
く
)
れる
仕組
(
しぐみ
)
がしてあるぞ。
092
叶
(
か
な
)
はん
時
(
とき
)
の
神頼
(
か
みだの
)
みと
言
(
い
)
つても、
093
モウ
斯
(
か
)
うなつては
駄目
(
だめ
)
だ。
094
神
(
か
み
)
は
聞
(
き
)
きは
致
(
いた
)
さぬから
左様
(
さやう
)
心得
(
こころえ
)
たが
宜
(
よ
)
からう。
095
キヽヽ
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
、
096
機略
(
き
りやく
)
縦横
(
じうわう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
も
最早
(
もはや
)
手
(
て
)
の
下
(
くだ
)
し
様
(
やう
)
もあるまい。
097
気違
(
き
ちが
)
ひじみた
気焔
(
き
えん
)
を
吐
(
は
)
いた
其
(
その
)
酬
(
むく
)
い、
098
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだ。
099
聞
(
き
)
かねば
聞
(
き
)
く
様
(
やう
)
にして
聞
(
き
)
かすと
申
(
まを
)
すのは
此
(
この
)
事
(
こと
)
であるぞよ。
100
クヽヽ
黒姫
(
く
ろひめ
)
と
腹
(
はら
)
を
合
(
あは
)
せ、
101
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
系統
(
ひつぱう
)
を
真向
(
まつかう
)
に
振
(
ふ
)
り
翳
(
かざ
)
し、
102
神界
(
しんかい
)
の
経綸
(
けいりん
)
を
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
く
ちや
)
に
致
(
いた
)
した
曲者
(
く
せもの
)
、
103
苦労
(
く
らう
)
の
凝
(
かたま
)
りの
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
くと
何時
(
いつ
)
も
申
(
まを
)
して
居
(
を
)
るが、
104
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
砕
(
く
だ
)
く
苦労
(
く
らう
)
の
凝
(
かたま
)
りの
花
(
はな
)
は
今
(
いま
)
愈
(
いよいよ
)
咲
(
さ
)
きかけたぞよ。
105
ケヽヽ
見当
(
け
んたう
)
のとれぬ
仕組
(
しぐみ
)
だと
申
(
まを
)
して
遁辞
(
とんじ
)
を
設
(
まう
)
け、
106
誤魔化
(
ごまくわ
)
して
来
(
き
)
た
其
(
その
)
酬
(
むく
)
い。
107
コヽヽ
堪
(
こ
ら
)
へ
袋
(
ぶくろ
)
の
緒
(
を
)
がきれかけたぞよ。
108
聖地
(
せいち
)
の
神々
(
かみがみ
)
を
困
(
こま
)
らしぬいた
狡猾
(
か
うくわつ
)
至極
(
しごく
)
の
汝
(
なんぢ
)
高姫
(
たかひめ
)
、
109
我
(
われ
)
と
我
(
わが
)
心
(
こころ
)
に
問
(
と
)
うて
見
(
み
)
よ。
110
心
(
こ
ころ
)
一
(
ひと
)
つの
持
(
も
)
ち
様
(
やう
)
で
善
(
ぜん
)
にも
悪
(
あく
)
にもなるぞよ。
111
サヽヽ
探女
(
さ
ぐめ
)
醜女
(
しこめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
112
よくも
揃
(
そろ
)
うたものだ。
113
サ
ア
是
(
これ
)
からは
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
番
(
ばん
)
だ。
114
逆様事
(
さ
かさまごと
)
ばかりふれ
廻
(
まは
)
り
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
を
苦
(
くる
)
しめた
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
一派
(
いつぱ
)
。
115
シヽヽ
思案
(
し
あん
)
をして
見
(
み
)
よ。
116
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
言葉
(
ことば
)
に
少
(
すこ
)
しの
無理
(
むり
)
もないぞよ。
117
皺苦茶
(
し
わくちや
)
婆
(
ばば
)
アになつてから、
118
娑婆
(
し
やば
)
に
執着心
(
し
ふちやくしん
)
を
発揮
(
はつき
)
し、
119
死後
(
し
ご
)
の
安住所
(
あんぢうしよ
)
を
忘
(
わす
)
れ、
120
獅子
(
し
し
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
勢
(
いきほひ
)
を
以
(
もつ
)
て
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
悪計
(
あくけい
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
乍
(
なが
)
ら、
121
至善
(
し
ぜん
)
至美
(
し
び
)
至真
(
し
しん
)
の
行動
(
かうどう
)
と
誤解
(
ごかい
)
する
痴者
(
たわけもの
)
。
122
スヽヽ
少
(
す
こ
)
しは
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てて
見
(
み
)
よ。
123
素盞嗚
(
す
さのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
精神
(
せいしん
)
を
諒解
(
りやうかい
)
せぬ
間
(
うち
)
は、
124
何程
(
なにほど
)
汝
(
なんぢ
)
が
焦慮
(
あせ
)
るとも
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
で
物事
(
ものごと
)
成就
(
じやうじゆ
)
は
致
(
いた
)
さぬぞよ。
125
セヽヽ
背中
(
せ
なか
)
に
腹
(
はら
)
が
代
(
か
)
へられぬ
様
(
やう
)
な
此
(
この
)
場
(
ば
)
の
仕儀
(
しぎ
)
、
126
それでも
未
(
ま
)
だ
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ぬか。
127
雪隠虫
(
せ
つちんむし
)
の
高上
(
たかあが
)
り、
128
世間
(
せ
けん
)
知
(
し
)
らずの
大
(
おほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
。
129
ソヽヽ
其
(
その
)
方
(
はう
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
が
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
さぬと、
130
総
(
すべ
)
ての
者
(
もの
)
が
総損
(
そ
うぞこな
)
ひになつて、
131
まだまだ
大騒動
(
おほ
さ
うどう
)
が
起
(
おこ
)
るぞよ。
132
早々
(
さ
うさう
)
改心
(
かいしん
)
の
実
(
じつ
)
を
示
(
しめ
)
せ。
133
そ
うでなければ
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
ソ
グり
立
(
た
)
ててやらうか』
134
蜈蚣姫
『ソヽヽ
そ
れは、
135
マア
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
136
そ
れ
程
(
ほど
)
妾
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へが
違
(
ちが
)
つて
居
(
ゐ
)
ますか。
137
此
(
この
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
明
(
あ
)
けても
暮
(
く
)
れても、
138
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
た
)
め、
139
世界
(
せかい
)
の
為
(
た
)
め、
140
人民
(
じんみん
)
を
助
(
たす
)
ける
為
(
た
)
めに、
141
苦労
(
くらう
)
艱難
(
かんなん
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
る
善
(
ぜん
)
の
鑑
(
かがみ
)
と
堅
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じて
居
(
を
)
ります。
142
そ
れが
妾
(
わたし
)
の
生命
(
せいめい
)
だ。
143
何
(
いづ
)
れの
神
(
かみ
)
か
悪魔
(
あくま
)
か
知
(
し
)
らねども、
144
我々
(
われわれ
)
の
心
(
こころ
)
が
分
(
わか
)
らぬとは
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
至極
(
しごく
)
だ。
145
粗忽
(
そ
そつか
)
しい、
146
観察
(
くわんさつ
)
をせずに、
147
もうチツト
真面目
(
まじめ
)
に
妾
(
わたし
)
の
腹
(
はら
)
の
底
(
そ
こ
)
を
調
(
しら
)
べて
下
(
くだ
)
さい』
148
空中
(
くうちう
)
より、
149
声
『タヽヽ
叩
(
た
た
)
くな
叩
(
たた
)
くな、
150
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
をタヽヽ
断
(
た
)
ち
割
(
わ
)
つて
調
(
しら
)
べてやらうか。
151
高姫
(
た
かひめ
)
も
同様
(
どうやう
)
だぞ、
152
汝
(
なんぢ
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
は
千
(
せん
)
里
(
り
)
奥山
(
おくやま
)
古狸
(
ふるだぬき
)
の
棲処
(
すみか
)
となつて
居
(
ゐ
)
る。
153
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
名乗
(
なの
)
る
奴
(
やつ
)
は
銀毛
(
ぎんまう
)
八尾
(
はちび
)
の
古狐
(
ふるぎつね
)
の
眷族
(
けんぞく
)
だ。
154
大黒主
(
おほくろぬし
)
と
名乗
(
なの
)
る
奴
(
やつ
)
は
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
劫
(
がふ
)
を
経
(
へ
)
たる
白毛
(
はくまう
)
の
古狸
(
ふるだぬき
)
だ。
155
又
(
また
)
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
の
腹中
(
ふくちう
)
に
潜
(
ひそ
)
む
魔神
(
まがみ
)
はアダム、
156
エバの
悪霊
(
あくれい
)
の
裔
(
すえ
)
なる
大蛇
(
をろち
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
だ。
157
チヽヽ
違
(
ち
が
)
ふと
思
(
おも
)
ふなら、
158
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はさうか。
159
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
せむと、
160
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
の
体内
(
たいない
)
を
借
(
か
)
つて
仕組
(
しぐ
)
んで
居
(
を
)
るのだ。
161
汝
(
なんぢ
)
はそれも
知
(
し
)
らずに
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つと
思
(
おも
)
ひつめ、
162
自分
(
じぶん
)
の
身魂
(
みたま
)
に
自惚
(
うぬぼれ
)
し、
163
最善
(
さいぜん
)
と
感
(
かん
)
じつつ
最悪
(
さいあく
)
の
行動
(
かうどう
)
を
敢
(
あ
)
へてする、
164
天下
(
てんか
)
の
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
となつて
居
(
を
)
るのに
気
(
き
)
がつかぬか。
165
ツヽヽ
つ
まらぬ
妨
(
さまた
)
げを
致
(
いた
)
すより、
166
月
(
つ
き
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
心
(
こころ
)
になり、
167
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
悔悟
(
くわいご
)
して。
168
テヽヽ
天地
(
て
んち
)
の
神
(
かみ
)
にお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
せ。
169
トヽヽ
ト
ンボ
返
(
がへ
)
りを
打
(
う
)
たぬうち、
170
トツクリと
思案
(
しあん
)
を
致
(
いた
)
し、
171
ト
コトン
身魂
(
みたま
)
の
洗濯
(
せんたく
)
を
励
(
はげ
)
むが
肝腎
(
かんじん
)
だぞよ。
172
ナヽヽ
何
(
な
ん
)
と
申
(
まを
)
しても
其
(
その
)
方
(
はう
)
等
(
ら
)
は
曲津
(
まがつ
)
の
容器
(
いれもの
)
。
173
弥勒
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
は
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に、
174
神世
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より
定
(
さだ
)
められた
身魂
(
みたま
)
が
儼然
(
げんぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ。
175
何
(
な
に
)
程
(
ほど
)
其
(
そ
)
の
方
(
はう
)
が
焦慮
(
あせ
)
つても、
176
もう
駄目
(
だめ
)
だ。
177
ニヽヽ
二階
(
に
かい
)
から
目薬
(
めぐすり
)
をさす
様
(
やう
)
な
頼
(
たよ
)
りのない
法螺
(
ほら
)
を
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
るより、
178
生
(
うま
)
れ
赤子
(
あかご
)
の
心
(
こころ
)
になつて
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
の
仰
(
あふ
)
せを
守
(
まも
)
れ。
179
ヌヽヽ
ヌ
ーボー
式
(
しき
)
の
言依別
(
ことよりわけ
)
だと
何時
(
いつ
)
も
悪口
(
わるくち
)
を
申
(
まを
)
すが、
180
其
(
その
)
方
(
はう
)
こそは
言依別
(
ことよりわけ
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
横奪
(
わうだつ
)
せむとする、
181
ヌ
ースー
式
(
しき
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
だ。
182
ネヽヽ
熱心
(
ね
つしん
)
な
信者
(
しんじや
)
を
誤魔化
(
ごまくわ
)
し、
183
蛇
(
へび
)
が
蛙
(
かへる
)
を
狙
(
ね
ら
)
ふ
様
(
やう
)
に
熱烈
(
ね
つれつ
)
なる
破壊
(
はくわい
)
運動
(
うんどう
)
を
致
(
いた
)
す
侫人輩
(
ね
いじんばら
)
。
184
ノヽヽ
野天狗
(
の
てんぐ
)
、
185
野狐
(
の
ぎつね
)
、
186
野狸
(
の
だぬき
)
の
様
(
やう
)
な
野太
(
の
ぶと
)
い
代物
(
しろもの
)
。
187
喉
(
の
ど
)
から
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
きもつて、
188
折角
(
せつかく
)
作
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げた
誠
(
まこと
)
の
魂
(
たましひ
)
を
攪乱
(
かくらん
)
致
(
いた
)
す
野太
(
の
ぶと
)
い
代物
(
しろもの
)
。
189
下
(
くだ
)
らぬ
望
(
の
ぞ
)
みを
起
(
おこ
)
すよりも
良
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
往生
(
わうじやう
)
致
(
いた
)
したら
如何
(
どう
)
だ』
190
高姫
(
たかひめ
)
は、
191
高姫
『もうもう
十分
(
じふぶん
)
です。
192
ハヽヽ
ハ
ラハラします。
193
腹
(
は
ら
)
が
立
(
た
)
つて
歯
(
は
)
がガチガチしだした。
194
早
(
は
や
)
くしようも
無
(
な
)
い
事
(
こと
)
は、
195
もうきりあげて
下
(
くだ
)
さい。
196
ヒヽヽ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
堪忍袋
(
かんにんぶくろ
)
の
緒
(
を
)
を
切
(
き
)
らしたら、
197
何程
(
なにほど
)
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
でも
堪
(
たま
)
りませぬぞ。
198
フヽヽ
不都合
(
ふ
つがふ
)
千万
(
せんばん
)
な、
199
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
行動
(
かうどう
)
を
非難
(
ひなん
)
するとは
何
(
いづ
)
れの
神
(
かみ
)
だ。
200
ヘヽヽ
屁
(
へ
)
でもない
理屈
(
りくつ
)
を
並
(
なら
)
べて
閉口
(
へ
いこう
)
さそうと
思
(
おも
)
うても……
ン
……
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
さまは
一寸
(
ちよつと
)
お
手
(
て
)
には
合
(
あ
)
ひませぬワイ。
201
ホヽヽ
ほ
んに
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
廻
(
まは
)
しものだ。
202
斯
(
こ
)
んな
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
へ
我々
(
われわれ
)
を
引張
(
ひつぱ
)
り
出
(
だ
)
し、
203
一寸先
(
いつすんさき
)
も
見
(
み
)
えぬ
様
(
やう
)
な
濃霧
(
のうむ
)
に
包
(
つつ
)
んで
置
(
お
)
いて、
204
暗
(
くら
)
がりに
鶏
(
にはとり
)
の
頸
(
くび
)
を
捻
(
ね
)
ぢる
様
(
やう
)
な
卑怯
(
ひけふ
)
な
計略
(
けいりやく
)
、
205
其
(
その
)
手
(
て
)
は
喰
(
く
)
はぬぞ。
206
マヽヽ
曲津
(
ま
がつ
)
の
張本
(
ちやうほん
)
。
207
ミヽヽ
身
(
み
)
の
程
(
ほど
)
知
(
し
)
らずの
盲目神
(
めくらがみ
)
。
208
ムヽヽ
蜈蚣姫
(
む
かでひめ
)
と
高姫
(
たかひめ
)
が。
209
メヽヽ
各自
(
め
いめい
)
に
神力
(
しんりき
)
のあらむ
限
(
かぎ
)
りを
発揮
(
はつき
)
して。
210
モヽヽ
耄碌神
(
も
うろくがみ
)
の
其
(
その
)
方
(
はう
)
を
脆
(
もろ
)
くも
退治
(
たいぢ
)
して
見
(
み
)
せよう。
211
ヤヽヽ
八岐
(
や
また
)
大蛇
(
をろち
)
だの、
212
狐
(
きつね
)
だの、
213
狸
(
たぬき
)
だのとは
何
(
なん
)
たる
暴言
(
ばうげん
)
ぞ。
214
イヽヽ
意地気根
(
い
ぢくね
)
の
悪
(
わる
)
い。
215
ユヽヽ
油断
(
ゆ
だん
)
のならぬ
胡散
(
うさん
)
な
痴呆
(
うつけ
)
もの。
216
エヽヽ
え
ー
邪魔臭
(
じやまくさ
)
い。
217
ヨヽヽ
よ
くも、
218
ヨ
タリスクを
並
(
なら
)
べよつたな、
219
よ
うも
悪魔
(
あくま
)
の
変化
(
へんげ
)
奴
(
め
)
。
220
ラヽヽ
乱臣
(
ら
んしん
)
賊子
(
ぞくし
)
、
221
サア
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はせ、
222
勇気
(
ゆうき
)
凛々
(
りんりん
)
たる
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
223
大自在天
(
だいじざいてん
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
、
224
グヅグヅ
吐
(
ぬか
)
すと
貴様
(
きさま
)
の
素首
(
そつくび
)
を
引
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
いて
ラ
リルレロとトンボリ
返
(
がへ
)
しを
打
(
う
)
たしてやらうか』
225
空中
(
くうちう
)
より
一層
(
いつそう
)
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
226
声
『ワヽヽ
笑
(
わ
ら
)
はせやがるワイ。
227
我
(
わ
が
)
身
(
み
)
知
(
し
)
らずの
馬鹿者
(
ばかもの
)
共
(
ども
)
、
228
手
(
て
)
のつけ
様
(
やう
)
のない
困
(
こま
)
つた
代物
(
しろもの
)
だ。
229
ヰヽヽ
何程
(
い
くら
)
言
(
い
)
うても
合点
(
がてん
)
の
往
(
ゆ
)
かぬ
歪
(
い
が
)
み
根性
(
こんじやう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
、
230
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
。
231
ウヽヽ
煩
(
う
る
)
さくなつて
来
(
き
)
たワイ。
232
艮
(
う
しとら
)
の
金神
(
こんじん
)
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
我
(
われ
)
は
是
(
これ
)
より
奏上
(
そうじやう
)
せむ。
233
ヱヽヽ
襟
(
え
り
)
を
正
(
ただ
)
して
謹聴
(
きんちやう
)
して
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
らう。
234
やがて
御
(
ご
)
沙汰
(
さた
)
が
下
(
くだ
)
るであらう。
235
ヲヽヽ
臆病風
(
お
くびやうかぜ
)
に
誘
(
さそ
)
はれて
ヲ
ドヲドし
乍
(
なが
)
ら、
236
まだ。
237
ガヽヽ
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
い。
238
ギヽヽ
ぎ
りぎりになる
迄
(
まで
)
。
239
グヽヽ
愚図
(
ぐ
づ
)
々々
(
ぐづ
)
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ると。
240
ゲヽヽ
現界
(
げ
んかい
)
は
愚
(
おろ
)
か。
241
ゴヽヽ
後生
(
ご
しやう
)
の
為
(
た
)
めに
成
(
な
)
らないぞ。
242
ザヽヽ
態
(
ざ
ま
)
さらされて。
243
ジヽヽ
ジ
タバタするよりも。
244
ズヽヽ
図々
(
づ
うづう
)
しい
態度
(
たいど
)
を
改
(
あらた
)
め。
245
ゼヽヽ
前非
(
ぜ
んぴ
)
を
悔
(
く
)
い
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
して。
246
ゾヽヽ
造次
(
ざ
うじ
)
にも
顛沛
(
てんぱい
)
にもお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
せ。
247
ダヽヽ
騙
(
だ
ま
)
し
歩
(
ある
)
いた。
248
ヂヽヽ
自身
(
じ
しん
)
の
罪
(
つみ
)
を。
249
ヅヽヽ
津々
(
づ
づ
)
浦々
(
うらうら
)
まで
白状
(
はくじやう
)
致
(
いた
)
して
廻
(
まは
)
り、
250
玉
(
たま
)
に
対
(
たい
)
する
執着心
(
しふちやくしん
)
を
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
此
(
この
)
海
(
うみ
)
に
流
(
なが
)
して
仕舞
(
しま
)
へ。
251
さうして
仕舞
(
しま
)
へば
又
(
また
)
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
に
使
(
つか
)
つてやるまいものでもない。
252
デヽヽ
デ
ンデン
虫
(
むし
)
の
角突
(
つのつ
)
き
合
(
あ
)
ひの
様
(
やう
)
な
小
(
ちひ
)
さな
喧嘩
(
けんくわ
)
を
致
(
いた
)
し。
253
ドヽヽ
如何
(
ど
う
)
してそんな
事
(
こと
)
で
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
が
勤
(
つと
)
まると
思
(
おも
)
ふか。
254
バヽヽ
婆
(
ば
ば
)
の
癖
(
くせ
)
に
馬鹿
(
ばか
)
な
真似
(
まね
)
を
致
(
いた
)
すと
終
(
つひ
)
には
糞垂
(
ば
ばた
)
れるぞよ。
255
ビヽヽ
貧乏
(
び
んばふ
)
揺
(
ゆる
)
ぎもならぬ
様
(
やう
)
になりてから。
256
ブヽヽ
ブ
ツブツと
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
に
屁
(
へ
)
を
放
(
こ
)
いた
様
(
やう
)
な
小言
(
こごと
)
を
申
(
まを
)
しても。
257
ベヽヽ
弁舌
(
べ
んぜつ
)
を
何程
(
なにほど
)
巧
(
たくみ
)
に
致
(
いた
)
しても。
258
ボヽヽ
木瓜
(
ぼ
け
)
の
花
(
はな
)
だ、
259
誰
(
たれ
)
も
相手
(
あひて
)
になる
者
(
もの
)
はないぞよ。
260
パヽヽ
パ
チクリと
目
(
め
)
を
白黒
(
しろくろ
)
致
(
いた
)
して。
261
ピヽヽ
ピ
ンピン
跳
(
は
)
ねても、
262
キリキリ
舞
(
ま
)
ひを
致
(
いた
)
しても。
263
プヽヽ
プ
ンと
放
(
こ
)
いた
屁
(
へ
)
ほどの
効力
(
かうりよく
)
も
無
(
な
)
いぞよ。
264
ペヽヽ
ペ
ンペン
跳
(
は
)
ねても。
265
ポヽヽ
ポ
ンポン
言
(
い
)
つても、
266
もう
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
も
通用
(
つうよう
)
致
(
いた
)
さぬから
覚悟
(
かくご
)
をしたが
宜
(
よ
)
からう。
267
汝
(
なんぢ
)
果
(
は
)
たして
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
ならば、
268
此
(
この
)
濃霧
(
のうむ
)
を
霽
(
は
)
らし、
269
天日
(
てんじつ
)
の
光
(
ひかり
)
を
自
(
みづか
)
ら
浴
(
あ
)
びて
船
(
ふね
)
の
方向
(
はうかう
)
を
定
(
さだ
)
め、
270
アンボイナの
聖地
(
せいち
)
に
渡
(
わた
)
れ。
271
其
(
その
)
時
(
とき
)
又
(
また
)
結構
(
けつこう
)
な
教訓
(
けうくん
)
を
授
(
さづ
)
けてやらう』
272
高姫
(
たかひめ
)
、
273
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
は
返
(
かへ
)
す
言葉
(
ことば
)
も
無
(
な
)
く、
274
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
に
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
275
負
(
ま
)
けぬ
気
(
き
)
の
鬼
(
おに
)
に
妨
(
さまた
)
げられて
謝罪
(
あやま
)
り
言葉
(
ことば
)
も
出
(
だ
)
さず、
276
俯向
(
うつむ
)
いて
謝罪
(
しやざい
)
と
片意地
(
かたいぢ
)
との
中間
(
ちうかん
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
を
執
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
277
何時
(
いつ
)
しか
濃霧
(
のうむ
)
は
霽
(
は
)
れた。
278
よくよく
見
(
み
)
れば
船
(
ふね
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
南洋一
(
なんやういち
)
の
聖地
(
せいち
)
、
279
竜宮島
(
りうぐうじま
)
と
聞
(
きこ
)
えたるアンボイナの
港
(
みなと
)
に
横着
(
よこづ
)
けになり
居
(
ゐ
)
たりける。
280
(
大正一一・七・二
旧閏五・八
北村隆光
録)
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