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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第36巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天意か人意か
第1章 二教対立
第2章 川辺の館
第3章 反間苦肉
第4章 無法人
第5章 バリーの館
第6章 意外な答
第7章 蒙塵
第8章 悪現霊
第2篇 松浦の岩窟
第9章 濃霧の途
第10章 岩隠れ
第11章 泥酔
第12章 無住居士
第13章 恵の花
第14章 歎願
第3篇 神地の暗雲
第15章 眩代思潮
第16章 門雀
第17章 一目翁
第18章 心の天国
第19章 紅蓮の舌
第4篇 言霊神軍
第20章 岩窟の邂逅
第21章 火の洗礼
第22章 春の雪
第23章 雪達磨
第24章 三六合
余白歌
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霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
>
第36巻(亥の巻)
> 第1篇 天意か人意か > 第7章 蒙塵
<<< 意外な答
(B)
(N)
悪現霊 >>>
第七章
蒙塵
(
もうぢん
)
〔九九五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
篇:
第1篇 天意か人意か
よみ(新仮名遣い):
てんいかじんいか
章:
第7章 蒙塵
よみ(新仮名遣い):
もうじん
通し章番号:
995
口述日:
1922(大正11)年09月21日(旧08月1日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
サガレン王は発狂者として厳重な監視付きで一室に閉じ込められていた。王は一弦琴を取り出して声も静かに歌いだした。
サガレン王の父・大国別はイホの都でバラモン教を開いたが、三五教に追われて顕恩郷に逃げた。大国別がその地でなくなると、バラモン教の棟梁となった鬼雲別は自分を疎んじ、そのため自分はシロの島までやってきて教えを開き、王となった半生を歌に歌った。
そしてウラル教の竜雲がやってきてケールス姫を籠絡し、今の境遇に至ったことを嘆き、大自在天に自分とシロの国民たちの救いを請い願った。
テーリスはサガレン王の部屋の外にやってきて、あたりに人がないのを幸い、アナン一派が王を救うべく計画を実行していることを歌に託して歌った。サガレン王はこの歌を聞いて自分を助けるべく臣下が活動していることを知り、大いに勇気づけられた。
竜雲はケールス姫を伴い、王を監禁した部屋の前に現れ、声高々とウラル教への改心を迫る歌を歌った。竜雲は自分こそがシロを治めるのにふさわしいと勝手な理屈を歌い、譲位を迫る言霊を臆面もなく発射している。
サガレン王はただうつむいているだけだった。そこへ、城の外に爆竹の音が響いた。竜雲とケールス姫は青くなってこの場を出て行った。竜雲は部下に下知して防戦の指揮を取った。アナンの軍は城門を破り、城内に乱入してきた。
エームスとテーリスはこの混乱に乗じてサガレン王を部屋から救いだし、裏門から人目を忍んで逃げ出した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-06 09:18:28
OBC :
rm3607
愛善世界社版:
60頁
八幡書店版:
第6輯 605頁
修補版:
校定版:
61頁
普及版:
27頁
初版:
ページ備考:
001
サガレン
王
(
わう
)
は
一室
(
いつしつ
)
に
取込
(
とりこ
)
められ、
002
発狂者
(
はつきやうしや
)
と
誣
(
し
)
いられ、
003
厳重
(
げんぢゆう
)
なる
監視人
(
かんしにん
)
付
(
づ
)
きにて
昼夜
(
ちうや
)
の
別
(
べつ
)
なく
見張
(
みは
)
られてゐた。
004
サガレン
王
(
わう
)
は
一絃琴
(
いちげんきん
)
を
取出
(
とりいだ
)
し、
005
声
(
こゑ
)
も
静
(
しづ
)
かに
歌
(
うた
)
ふ。
006
サガレン王
『
父
(
ちち
)
は
大国別
(
おほくにわけ
)
の
神
(
かみ
)
007
イホの
都
(
みやこ
)
に
現
(
あ
)
れまして
008
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
き
玉
(
たま
)
ひしが
009
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
010
夏山彦
(
なつやまひこ
)
や
祝姫
(
はふりひめ
)
011
其
(
その
)
他
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
神人
(
かみびと
)
に
012
追
(
お
)
ひ
払
(
はら
)
はれて
顕恩
(
けんおん
)
の
013
郷
(
さと
)
に
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
を
伴
(
つ
)
れ
014
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
き
玉
(
たま
)
ひしが
015
間
(
ま
)
もなく
父
(
ちち
)
は
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
りて
016
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
はバラモンの
017
教司
(
をしへつかさ
)
となり
終
(
を
)
ほせ
018
われを
見
(
み
)
すてて
顧
(
かへり
)
みず
019
やむなく
吾
(
われ
)
はシロの
島
(
しま
)
020
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
に
現
(
あら
)
はれて
021
漸
(
やうや
)
く
教
(
をしへ
)
を
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
022
布
(
し
)
き
拡
(
ひろ
)
めつつ
国民
(
くにたみ
)
を
023
教
(
をし
)
へ
導
(
みちび
)
き
王
(
わう
)
となり
024
これの
国地
(
くぬち
)
は
穏
(
おだや
)
かに
025
治
(
をさ
)
まりゐたる
折
(
をり
)
もあれ
026
ウラルの
道
(
みち
)
の
竜雲
(
りううん
)
が
027
何処
(
いづこ
)
ともなく
現
(
あら
)
はれて
028
ケールス
姫
(
ひめ
)
を
籠絡
(
ろうらく
)
し
029
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
勢力
(
せいりよく
)
扶植
(
ふしよく
)
して
030
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
の
彼
(
かれ
)
が
業
(
わざ
)
031
此
(
この
)
神城
(
かみしろ
)
を
奪
(
うば
)
はむと
032
善
(
よ
)
からぬことを
企
(
くはだ
)
てつ
033
心
(
こころ
)
の
狂
(
くる
)
ひしわれなりと
034
今
(
いま
)
は
無残
(
むざん
)
に
籠
(
かご
)
の
鳥
(
とり
)
035
詮術
(
せんすべ
)
なさに
泣
(
な
)
く
涙
(
なみだ
)
036
止
(
とど
)
むる
由
(
よし
)
も
荒浪
(
あらなみ
)
の
037
海
(
うみ
)
に
漂
(
ただよ
)
ふ
如
(
ごと
)
くなり
038
危険
(
きけん
)
刻々
(
こくこく
)
身
(
み
)
に
迫
(
せま
)
り
039
明日
(
あす
)
をも
知
(
し
)
れぬ
吾
(
わが
)
生命
(
いのち
)
040
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
のましまさば
041
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
曲神
(
まがかみ
)
を
042
きため
玉
(
たま
)
ひて
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
043
われをば
再
(
ふたた
)
び
王
(
わう
)
となし
044
忠誠
(
ちうせい
)
無比
(
むひ
)
のタールチン
045
キングス
姫
(
ひめ
)
やエームスや
046
ユーズ、サールにゼム、エール
047
シルレングをば
救
(
すく
)
ひませ
048
名利
(
めいり
)
に
狂
(
くる
)
ふ
曲神
(
まがかみ
)
の
049
われの
恩顧
(
おんこ
)
を
打忘
(
うちわす
)
れ
050
心
(
こころ
)
汚
(
きたな
)
き
竜雲
(
りううん
)
が
051
前
(
まへ
)
に
腰
(
こし
)
をば
屈
(
かが
)
めつつ
052
髭
(
ひげ
)
の
塵
(
ちり
)
をば
払
(
はら
)
ふ
奴
(
やつ
)
053
館
(
やかた
)
の
内外
(
うちと
)
に
充満
(
じうまん
)
し
054
正義
(
せいぎ
)
は
亡
(
ほろ
)
び
邪
(
じや
)
は
栄
(
さか
)
え
055
世
(
よ
)
は
常闇
(
とこやみ
)
と
成
(
な
)
り
果
(
は
)
てて
056
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
は
村雲
(
むらくも
)
に
057
包
(
つつ
)
まれ
了
(
を
)
へぬ
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
058
晴
(
は
)
らさむ
由
(
よし
)
も
泣
(
な
)
く
計
(
ばか
)
り
059
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
060
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
はひて
061
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
片時
(
かたとき
)
も
062
此
(
この
)
苦
(
くるし
)
みを
除
(
のぞ
)
かせよ
063
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
倶
(
とも
)
にます
064
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
叶
(
かな
)
ひなば
065
いかなることか
成
(
な
)
らざらむ
066
善
(
ぜん
)
をば
助
(
たす
)
け
曲神
(
まがかみ
)
を
067
亡
(
ほろぼ
)
し
給
(
たま
)
ふ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
068
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
に
069
照
(
て
)
らさせ
玉
(
たま
)
へ
自在天
(
じざいてん
)
070
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
071
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる
072
旭
(
あさひ
)
は
照
(
てる
)
とも
曇
(
くも
)
るとも
073
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
074
魔神
(
まがみ
)
は
如何
(
いか
)
に
荒
(
すさ
)
ぶとも
075
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
のある
限
(
かぎ
)
り
076
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
をひたすらに
077
守
(
まも
)
る
真人
(
まびと
)
を
如何
(
いか
)
にして
078
守
(
まも
)
らで
居
(
ゐ
)
ます
事
(
こと
)
あらむ
079
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
080
神
(
かみ
)
よ
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
憐
(
あはれ
)
みて
081
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
救
(
すく
)
ひませ
082
吾
(
わが
)
身
(
み
)
一
(
ひと
)
つの
為
(
ため
)
ならず
083
シロの
島根
(
しまね
)
に
生
(
お
)
ひ
立
(
た
)
てる
084
青人草
(
あをひとぐさ
)
を
救
(
すく
)
う
為
(
ため
)
085
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎまつる
086
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
087
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
088
と
心
(
こころ
)
静
(
しづ
)
かに、
089
琴
(
こと
)
の
音
(
ね
)
に
合
(
あは
)
せて、
090
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
ひつつありぬ。
091
テーリスは
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
092
あたりに
人
(
ひと
)
無
(
な
)
きを
幸
(
さいは
)
ひ、
093
室
(
しつ
)
の
外
(
そと
)
より
声
(
こゑ
)
も
静
(
しづか
)
に
歌
(
うた
)
ひてサガレン
王
(
わう
)
に、
094
アナンの
一派
(
いつぱ
)
が
君
(
きみ
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
すべく
計画
(
けいくわく
)
しつつありとの
事
(
こと
)
を、
095
歌
(
うた
)
に
装
(
よそほ
)
ひて
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
てたり。
096
其
(
その
)
歌
(
うた
)
。
097
テーリス
『シロの
島根
(
しまね
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
や
098
青垣山
(
あをがきやま
)
の
頂
(
いただ
)
きに
099
そそり
立
(
た
)
ちたる
常磐木
(
ときはぎ
)
の
100
色
(
いろ
)
も
青々
(
あをあを
)
若緑
(
わかみどり
)
101
枝葉
(
えだは
)
も
茂
(
しげ
)
る
勢
(
いきほひ
)
に
102
醜
(
しこ
)
の
魔風
(
まかぜ
)
の
吹
(
ふ
)
きすさび
103
其
(
その
)
大木
(
たいぼく
)
を
倒
(
たふ
)
さむと
104
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
計
(
はか
)
らひつ
105
心
(
こころ
)
も
猛
(
たけ
)
き
竜
巻
(
たつまき
)
の
106
雲
(
くも
)
の
勢
(
いきほひ
)
強
(
つよ
)
くして
107
一度
(
いちど
)
は
峰
(
みね
)
を
包
(
つつ
)
め
共
(
ども
)
108
神
(
かみ
)
の
御息
(
みいき
)
に
吹
(
ふ
)
きうつる
109
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
はいつまでも
110
吹
(
ふ
)
かずにあるべき
惟神
(
かむながら
)
111
神
(
かみ
)
に
御心
(
みこころ
)
任
(
まか
)
せつつ
112
八重雲
(
やへくも
)
四方
(
よも
)
に
吹
(
ふ
)
き
分
(
わ
)
くる
113
強
(
つよ
)
き
力
(
ちから
)
の
時津風
(
ときつかぜ
)
114
今
(
いま
)
吹
(
ふ
)
かむとすサガレンの
115
君
(
きみ
)
の
命
(
みこと
)
よ
今
(
いま
)
暫
(
しば
)
し
116
待
(
ま
)
たせ
玉
(
たま
)
へよ
汝
(
な
)
が
上
(
うへ
)
に
117
清
(
きよ
)
き
月日
(
つきひ
)
はテーリスや
118
アナン、サールを
始
(
はじ
)
めとし
119
セール、ウインチ、エームスの
120
清
(
きよ
)
き
身魂
(
みたま
)
は
雨
(
あめ
)
となり
121
風
(
かぜ
)
ともなりて
君
(
きみ
)
の
辺
(
べ
)
を
122
洗
(
あら
)
ひ
清
(
きよ
)
めむ
待
(
ま
)
て
暫
(
しば
)
し
123
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
はひて
124
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
や
醜狐
(
しこぎつね
)
125
巣
(
す
)
ぐふ
身魂
(
みたま
)
をサラサラに
126
払
(
はら
)
ひ
除
(
のぞ
)
くる
喜
(
よろこ
)
びは
127
有明月
(
ありあけづき
)
の
真夜中
(
まよなか
)
頃
(
ごろ
)
128
水
(
みづ
)
も
眠
(
ねむ
)
れる
丑満
(
うしみつ
)
の
129
時
(
とき
)
を
伺
(
うかが
)
ひ
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
130
救
(
すく
)
ひまつりて
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
131
此
(
この
)
神国
(
かみくに
)
にサヤサヤに
132
御稜威
(
みいづ
)
輝
(
かがや
)
き
国人
(
くにびと
)
の
133
大
(
だい
)
主師親
(
しゆししん
)
と
仰
(
あふ
)
がれて
134
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
其
(
その
)
光
(
ひか
)
り
135
競
(
きそ
)
ひ
玉
(
たま
)
ふも
目
(
ま
)
のあたり
136
心
(
こころ
)
平
(
たひら
)
に
安
(
やす
)
らかに
137
月日
(
つきひ
)
を
待
(
ま
)
たせ
玉
(
たま
)
へかし
138
エームス、テーリス
両人
(
りやうにん
)
は
139
君
(
きみ
)
の
御側
(
みそば
)
を
伺
(
うかが
)
ひつ
140
如何
(
いか
)
なる
曲
(
まが
)
の
猛
(
たけ
)
びをも
141
一指
(
ひとゆび
)
だにもさえさせず
142
心
(
こころ
)
の
限
(
かぎ
)
り
身
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
り
143
守
(
まも
)
りまつらむ
心安
(
うらやす
)
く
144
思召
(
おぼしめ
)
されよテーリスが
145
ひそかにひそかに
村肝
(
むらきも
)
の
146
心
(
こころ
)
を
明
(
あ
)
かし
奉
(
たてまつ
)
る
147
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
148
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
149
わが
大君
(
おほきみ
)
はすこやかに
150
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
身魂
(
みたま
)
清
(
きよ
)
らけく
151
すごさせ
玉
(
たま
)
へ
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
152
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
153
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎまつる』
154
サガレン
王
(
わう
)
はテーリスの
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いて、
155
アナン
以下
(
いか
)
忠誠
(
ちうせい
)
の
臣
(
しん
)
が、
156
やがて
吾
(
われ
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
すべき
時
(
とき
)
の
来
(
きた
)
る
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
り、
157
大
(
おほい
)
に
心
(
こころ
)
を
強
(
つよ
)
くし
其
(
その
)
日
(
ひ
)
を
待
(
ま
)
てり。
158
竜雲
(
りううん
)
はケールス
姫
(
ひめ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
159
王
(
わう
)
を
監禁
(
かんきん
)
せる
居間
(
ゐま
)
の
前
(
まへ
)
に
儼然
(
げんぜん
)
として
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
160
窓
(
まど
)
よりソツと
室内
(
しつない
)
を
眺
(
なが
)
め
声
(
こゑ
)
高々
(
たかだか
)
と
歌
(
うた
)
ふ。
161
竜雲
『サガレン
王
(
わう
)
よ
聞
(
き
)
こし
召
(
め
)
せ
162
ウラルの
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
なる
163
神徳
(
しんとく
)
強
(
つよ
)
き
竜雲
(
りううん
)
が
164
汝
(
なれ
)
に
一言
(
ひとこと
)
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
165
此
(
この
)
シロ
島
(
しま
)
はサガレン
王
(
わう
)
の
166
君
(
きみ
)
の
治
(
し
)
らする
国
(
くに
)
ならず
167
常世
(
とこよ
)
神王
(
しんわう
)
の
末裔
(
まつえい
)
と
168
名乗
(
なの
)
りて
世人
(
よびと
)
を
迷
(
まよ
)
はせし
169
其
(
その
)
天罰
(
てんばつ
)
は
目
(
ま
)
のあたり
170
神
(
かみ
)
より
受
(
う
)
けし
生霊
(
いくたま
)
は
171
今
(
いま
)
や
狂
(
くる
)
ひて
憐
(
あは
)
れにも
172
前後
(
ぜんご
)
不覚
(
ふかく
)
の
発狂者
(
はつきやうしや
)
173
さはさり
乍
(
なが
)
ら
汝
(
なれ
)
も
亦
(
また
)
174
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
より
175
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
者
(
もの
)
なれば
176
如何
(
いか
)
に
暴悪
(
ばうあく
)
無道
(
むだう
)
とて
177
殺
(
ころ
)
しすつるに
忍
(
しの
)
びむや
178
これより
汝
(
なれ
)
は
村肝
(
むらきも
)
の
179
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め
真心
(
まごころ
)
に
180
省
(
かへり
)
み
直
(
なほ
)
して
一日
(
いちじつ
)
も
181
とく
速
(
すむ
)
やけく
汝
(
な
)
が
位
(
くらゐ
)
182
退
(
しりぞ
)
き
吾
(
わ
)
れに
譲
(
ゆづ
)
れかし
183
さすれば
吾
(
わ
)
れは
汝
(
なれ
)
をして
184
安
(
やす
)
く
楽
(
たの
)
しく
永久
(
とこしへ
)
に
185
生命
(
いのち
)
を
保
(
たも
)
たせ
参
(
まゐ
)
らせむ
186
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
の
霊
(
たま
)
の
裔
(
すゑ
)
187
ウラルの
彦
(
ひこ
)
の
系統
(
けいとう
)
と
188
其
(
その
)
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
竜雲
(
りううん
)
が
189
ケールス
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
190
神地
(
かうぢ
)
の
城
(
しろ
)
に
現
(
あら
)
はれて
191
数多
(
あまた
)
の
国民
(
くにたみ
)
悉
(
ことごと
)
く
192
いと
平
(
たひら
)
けく
安
(
やす
)
らけく
193
神代
(
かみよ
)
の
姿
(
すがた
)
に
導
(
みちび
)
きて
194
世
(
よ
)
を
永久
(
とこしへ
)
に
守
(
まも
)
るべし
195
もしも
否
(
いな
)
ませ
玉
(
たま
)
ひなば
196
われにも
深
(
ふか
)
き
仕組
(
しぐみ
)
あり
197
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
御命
(
みいのち
)
は
198
嵐
(
あらし
)
の
前
(
まへ
)
の
灯火
(
ともしび
)
と
199
消
(
き
)
えて
失
(
う
)
せむは
目
(
ま
)
のあたり
200
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
201
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
省
(
かへり
)
みて
202
わが
言霊
(
ことたま
)
を
神直日
(
かむなほひ
)
203
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
く
大直日
(
おほなほひ
)
204
よく
見直
(
みなほ
)
せよ
聞直
(
ききなほ
)
せ
205
最早
(
もはや
)
運命
(
うんめい
)
つきし
汝
(
なれ
)
206
いかに
心
(
こころ
)
を
砕
(
くだ
)
くとも
207
此
(
この
)
大勢
(
たいせい
)
を
如何
(
いか
)
にして
208
挽回
(
ばんくわい
)
すべき
時
(
とき
)
あらむ
209
人
(
ひと
)
は
心
(
こころ
)
が
第一
(
だいいち
)
よ
210
心
(
こころ
)
一
(
ひと
)
つの
持様
(
もちやう
)
で
211
今日
(
けふ
)
より
気楽
(
きらく
)
に
暮
(
くら
)
さうと
212
苦
(
くるし
)
み
悶
(
もだ
)
え
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
213
命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てて
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
や
214
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
なる
苦
(
くる
)
しみを
215
なめ
味
(
あぢ
)
はふも
汝
(
な
)
が
心
(
こころ
)
216
たつた
一
(
ひと
)
つの
使
(
つか
)
ひ
方
(
かた
)
217
否
(
いな
)
か
応
(
おう
)
かの
返
(
かへ
)
り
言
(
ごと
)
218
早
(
はや
)
く
聞
(
き
)
かさせ
玉
(
たま
)
へかし
219
ケールス
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
220
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
決心
(
けつしん
)
を
221
促
(
うなが
)
しまつる
竜雲
(
りううん
)
が
222
慈愛
(
じあい
)
の
心
(
こころ
)
を
諒解
(
りやうかい
)
し
223
今
(
いま
)
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
で
御位
(
みくらゐ
)
を
224
われに
譲
(
ゆづ
)
ると
一言
(
ひとこと
)
の
225
玉
(
たま
)
の
御声
(
みこゑ
)
を
賜
(
たま
)
へかし
226
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
227
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
竜雲
(
りううん
)
が
228
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ
229
答
(
いら
)
へを
糺
(
ただ
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
230
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
231
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
232
と
勝手
(
かつて
)
な
理屈
(
りくつ
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
233
サガレン
王
(
わう
)
を
密室
(
みつしつ
)
に
監禁
(
かんきん
)
し、
234
自由
(
じいう
)
を
束縛
(
そくばく
)
し、
235
無理
(
むり
)
往生
(
わうじやう
)
に
譲位
(
じやうゐ
)
せしめむと、
236
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
むだう
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
臆面
(
おくめん
)
もなく
発射
(
はつしや
)
してゐる。
237
王
(
わう
)
は
余
(
あま
)
りの
竜雲
(
りううん
)
の
暴言
(
ばうげん
)
に
呆
(
あき
)
れ
返
(
かへ
)
り、
238
黙然
(
もくねん
)
として
俯
(
うつむ
)
いたまま、
239
何
(
なん
)
の
応
(
いら
)
へもなく
竜雲
(
りううん
)
の
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
つめゐたり。
240
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
城
(
しろ
)
の
外面
(
そとも
)
に
爆竹
(
ばくちく
)
の
声
(
こゑ
)
響
(
ひび
)
くと
共
(
とも
)
に『ワアワア』と
数百
(
すうひやく
)
人
(
にん
)
の
人
(
ひと
)
の
叫声
(
さけびごゑ
)
、
241
只事
(
ただごと
)
ならじと
竜雲
(
りううん
)
を
始
(
はじ
)
めケールス
姫
(
ひめ
)
は、
242
蒼皇
(
さうくわう
)
として
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立出
(
たちい
)
で、
243
竜雲
(
りううん
)
『
正
(
まさ
)
しく、
244
アナン
一派
(
いつぱ
)
の
敵
(
てき
)
の
襲来
(
しふらい
)
ならむ、
245
早
(
はや
)
く
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
なせ』
246
とケリヤ、
247
ハルマの
臨時
(
りんじ
)
左守
(
さもり
)
、
248
右守
(
うもり
)
の
神
(
かみ
)
に
向
(
むか
)
つて
下知
(
げち
)
を
下
(
くだ
)
せば、
249
両人
(
りやうにん
)
は
城内
(
じやうない
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
集
(
あつ
)
め
俄
(
にはか
)
に
武装
(
ぶさう
)
せしめ、
250
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
へと
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
しながら、
251
防戦
(
ばうせん
)
の
準備
(
じゆんび
)
にさしかかりたるに、
252
早
(
はや
)
くもアナンの
一軍
(
いちぐん
)
は
表門
(
おもてもん
)
を
打破
(
うちやぶ
)
り、
253
城内
(
じやうない
)
深
(
ふか
)
く
鬨
(
とき
)
を
作
(
つく
)
つて
乱入
(
らんにふ
)
し
来
(
く
)
る。
254
エームス、
255
テーリスの
両人
(
りやうにん
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
勢
(
いきほひ
)
を
得
(
え
)
て
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち、
256
竜雲
(
りううん
)
、
257
ケールス
姫
(
ひめ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
一同
(
いちどう
)
が
防戦
(
ばうせん
)
の
用意
(
ようい
)
に
精神
(
せいしん
)
を
奪
(
うば
)
はれゐる
隙
(
すき
)
を
伺
(
うかが
)
ひ、
258
サガレン
王
(
わう
)
を
抱
(
かか
)
へ、
259
裏門
(
うらもん
)
より
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
びて、
260
いづくともなく
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しにける。
261
(
大正一一・九・二一
旧八・一
松村真澄
録)
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