霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 岩窟(がんくつ)の邂逅(かいこう)〔一〇〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第4篇 言霊神軍 よみ(新仮名遣い):ことたましんぐん
章:第20章 岩窟の邂逅 よみ(新仮名遣い):がんくつのかいこう 通し章番号:1008
口述日:1922(大正11)年09月23日(旧08月3日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
一方、松浦の里のサガレン王が隠れ住む岩窟の前に聞こえてきた女宣伝使の宣伝歌は、神素盞嗚大神の娘・君子姫であった。思わず宣伝歌に引きつけられて出迎えたエームスに、君子姫と侍女の清子姫は一礼し、ここに隠れているサガレン王とは、顕恩郷で二人が仕えていた国別彦ではないかと問い、面会を申し出た。
サガレン王はバラモン教教主の息子として、顕恩郷で君子姫、清子姫に面識があった。王は君子姫に、父の死後バラモン教の教主となった鬼雲彦に疎んぜられて顕恩郷を出て以来、このシロの島にやってきてバラモン教を広め王となったが、竜雲に后と国を奪われた経緯を歌で明かした。
そしてこの岩窟に現れて自分たちに大神の教えを思い起こさせてくれた老人は、三五教の天の目一つの神ではないかと問い、君子姫に対して、心をあわせてシロの島に大神の教えを広め、竜雲やケールス姫を改心させたい旨を歌で訴えた。
君子姫は、鬼雲彦一派に海に流されてここにたどり着いたのは、サガレン王を救うためであると答え、何々教といった小さな隔てを撤回し、神の心ひとつとなってシロの島にわだかまる曲津を言向け和そうと歌った。
サガレン王は君子姫たちと協力し、神地の都の人々を言向け和すべく、王を先頭に旗鼓堂々として宣伝歌を歌いながら都を指して進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-13 10:30:08 文字数:3405 OBC :rm3620
愛善世界社版:221頁 八幡書店版:第6輯 662頁 修補版: 校定版:229頁 普及版:100頁 初版: ページ備考:
001 松浦(まつうら)の里(さと)の天然(てんねん)の岩窟(がんくつ)の前(まへ)に聞(きこ)えて来(き)た女(をんな)の宣伝歌(せんでんか)。
002(君子姫)『神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
003善(ぜん)と悪(あく)とを立(た)て別(わ)ける
004此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
005心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
006只(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
007直日(なほひ)に見直(みなほ)せ聞(き)き直(なほ)せ
008身(み)の過(あやま)ちは宣(の)り直(なほ)す
009三五教(あななひけう)の神(かみ)の道(みち)
010抑(そもそ)も起(おこ)りを尋(たづ)ぬれば
011国(くに)の御祖(みおや)と現(あ)れませる
012国治立(くにはるたちの)大御神(おほみかみ)
013豊国姫(とよくにひめの)大御神(おほみかみ)
014厳(いづ)と瑞(みづ)との二柱(ふたはしら)
015塩長彦(しほながひこ)や大国彦(おほくにひこ)の
016神(かみ)の命(みこと)の枉業(まがわざ)に
017虐(しひた)げられて一度(ひとたび)は
018根底(ねそこ)の国(くに)に下(くだ)りまし
019百(もも)の艱(なや)みを受(う)けさせて
020下津(したつ)岩根(いはね)の底(そこ)深(ふか)く
021隠(かく)れ給(たま)ひつ神人(かみびと)を
022恵(めぐ)ませ給(たま)ふ御心(みこころ)は
023天津空(あまつそら)より尚(なほ)高(たか)く
024竜宮海(りうぐうかい)より尚(なほ)深(ふか)し
025野立(のだち)の彦(ひこ)や野立姫(のだちひめ)
026救(すく)ひの神(かみ)と現(あ)れまして
027厳(いづ)の霊(みたま)を分(わ)け給(たま)ひ
028埴安彦(はにやすひこ)や埴安姫(はにやすひめ)の
029神(かみ)の命(みこと)の分霊(わけみたま)
030神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
031瑞(みづ)の御霊(みたま)と諸共(もろとも)に
032至厳(しげん)至重(しちやう)の神界(しんかい)の
033清(きよ)き大智(だいち)を世(よ)に照(て)らし
034天地(あめつち)四方(よも)の神人(かみびと)の
035身魂(みたま)を四方(よも)に生(う)ませつつ
036教司(をしへつかさ)を遠近(をちこち)に
037配(くば)らせ給(たま)ふ尊(たふと)さよ
038神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
039御子(みこ)と生(うま)れし君子(きみこ)われは
040父(ちち)の御言(みこと)を畏(かしこ)みて
041メソポタミヤの顕恩郷(けんおんきやう)
042バラモン教(けう)の神館(かむやかた)
043鬼雲彦(おにくもひこ)の側(そば)近(ちか)く
044仕(つか)へ奉(まつ)りて三五(あななひ)の
045清(きよ)き教(をしへ)を伝(つた)へむと
046思(おも)ひそめしも束(つか)の間(ま)の
047今(いま)は夢(ゆめ)とぞなりにけり
048吾(われ)等(ら)姉妹(おとどい)八(はち)人(にん)は
049顕恩郷(けんおんきやう)を後(あと)にして
050各自(おのも)々々(おのも)に宣伝歌(せんでんか)
051謡(うた)ひて進(すす)む折柄(をりから)に
052バラモン教(けう)の釘彦(くぎひこ)が
053一派(いつぱ)のものに捕(とら)へられ
054悲(かな)しや姉妹(おとどい)五人(ごにん)連(づ)れ
055おのもおのもに棚(たな)なしの
056破(やぶ)れ小船(をぶね)に乗(の)せられて
057波(なみ)のまにまに捨(す)てられぬ
058神(かみ)の恵(めぐ)みを受(う)け乍(なが)ら
059千波(せんぱ)万波(ばんぱ)を乗(の)り越(こ)えて
060大海中(おほわだなか)に漂(ただよ)へる
061眺(なが)めも清(きよ)きシロの島(しま)
062ドンドラ岬(みさき)に安着(あんちやく)し
063夜(よ)を日(ひ)についで大神(おほかみ)の
064大道(おほぢ)を伝(つた)へ宣(の)べながら
065漸(やうや)く此処(ここ)に来(きた)りけり
066あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
067御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
068小糸(こいと)の館(やかた)にあれませる
069シロの神島(みしま)の神国(かみくに)に
070サガレン王(わう)の神司(かむつかさ)
071タールチン司(つかさ)やキングス姫(ひめ)の
072貴(うづ)の命(みこと)を始(はじ)めとし
073テーリス、エームス、ゼム、エール
074其(その)外(ほか)百(もも)の司(つかさ)達(たち)
075恵(めぐ)みの露(つゆ)に霑(うるほ)ひて
076心(こころ)汚(きたな)き竜雲(りううん)が
077醜(しこ)の企(たく)みを根底(ねそこ)より
078顛覆(てんぷく)させて元(もと)の如(ごと)
079王位(わうゐ)に復(ふく)させ給(たま)へかし
080さはさりながら大神(おほかみ)の
081仁慈(じんじ)無限(むげん)の御心(みこころ)は
082決(けつ)して人(ひと)をば傷(きず)つけず
083生命(いのち)をとらず麻柱(あななひ)の
084仁慈(じんじ)無限(むげん)の正道(まさみち)を
085心(こころ)の空(そら)に照(て)り明(あ)かし
086救(すく)ひ助(たす)くる思召(おぼしめし)
087必(かなら)ず大事(だいじ)を過(あやま)らず
088瑞(みづ)の御霊(みたま)の貴(うづ)の子(こ)と
089生(うま)れ出(い)でたる君子(きみこ)われ
090御供(みとも)に仕(つか)ふる清子姫(きよこひめ)
091只今(ただいま)此処(ここ)に現(あら)はれて
092バラモン教(けう)の人々(ひとびと)に
093誠(まこと)の心(こころ)を打(う)ち明(あ)けて
094進(すす)め参(まゐ)らす言霊(ことたま)を
095完美(うまら)に委曲(つばら)に聞(きこ)し召(め)せ
096朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
097月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
098竜雲(りううん)如何(いか)に強(つよ)くとも
099誠(まこと)の神(かみ)の現(あら)はれて
100誠(まこと)一(ひと)つの言霊(ことたま)を
101射放(いはな)ち給(たま)へば曲神(まがかみ)も
102忽(たちま)ち神威(しんゐ)に相(あひ)うたれ
103雲(くも)を霞(かすみ)と消(き)え失(う)せむ
104あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
105御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
106と足拍子(あしびやうし)を取(と)つて勇(いさ)ましく謡(うた)ひ乍(なが)ら館(やかた)の前(まへ)に進(すす)み来(きた)る。
107 エームスは知(し)らず知(し)らずに此(この)宣伝歌(せんでんか)に引(ひ)きつけられ、108二人(ふたり)の宣伝使(せんでんし)の前(まへ)に進(すす)み寄(よ)り丁寧(ていねい)に礼(れい)をなせば二人(ふたり)も恭(うやうや)しく答礼(たふれい)し、
109君子姫『妾(わらは)は三五教(あななひけう)の若(わか)き女(をんな)の宣伝使(せんでんし)で御座(ござ)います。110今(いま)此処(ここ)に伴(ともな)つて居(を)りますのは清子姫(きよこひめ)と云(い)ふこれも宣伝使(せんでんし)で御座(ござ)います。111妾(わらは)は或(ある)事情(じじやう)の為(た)め、112鬼雲彦(おにくもひこ)様(さま)の部下(ぶか)に捕(とら)へられ、113此処(ここ)まで流(なが)されて漸(やうや)く漂着(へうちやく)して来(き)た者(もの)で御座(ござ)います。114サガレン王(わう)様(さま)と申(まを)すのは、115大国別(おほくにわけの)神(かみ)様(さま)の御(ご)子息(しそく)国別彦(くにわけひこ)様(さま)では御座(ござ)いますまいか。116お差支(さしつかへ)なくば、117何卒(どうぞ)拝顔(はいがん)が致(いた)したいもので御座(ござ)います』
118エームス『ハイ左様(さやう)ならば暫(しばら)くお待(ま)ち下(くだ)さいませ。119エームスこれより奥(おく)へ参(まゐ)り伺(うかが)つて来(き)ます。120何卒(どうぞ)それ迄(まで)お腰(こし)を卸(おろ)してお休(やす)みを願(ねが)ひます』
121君子姫『早速(さつそく)の御(ご)承知(しようち)、122有難(ありがた)う厶(ござ)います。123左様(さやう)なれば清子姫(きよこひめ)様(さま)、124暫(しばら)く休息(きうそく)さして頂(いただ)きませう』
125 暫(しばら)くあつてエームスは恭(うやうや)しく出(い)で来(きた)り、126君子姫(きみこひめ)、127清子姫(きよこひめ)の先(さき)に立(た)ち、128サガレン王(わう)の潜(ひそ)みたる岩窟(いはや)に進(すす)み入(い)る。129サガレン王(わう)は君子姫(きみこひめ)の姿(すがた)を見(み)るより今更(いまさら)の如(ごと)く打(う)ち驚(おどろ)きぬ。130其(その)故(ゆゑ)はメソポタミヤの顕恩郷(けんおんきやう)に於(おい)て常(つね)に顔(かほ)を合(あは)して居(ゐ)た為(ため)に、131見覚(みおぼ)えが何処(どこ)ともなくあつたからである。132サガレン王(わう)は歌(うた)ふ。
133サガレン王『思(おも)へば高(たか)し神(かみ)の恩(おん)
134計(はか)り知(し)られぬ顕恩(けんおん)の
135郷(さと)に潜(ひそ)みてバラモンの
136教(をしへ)をきはむる折柄(をりから)に
137神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
138御子(みこ)と生(うま)れし君子姫(きみこひめ)
139朝(あさ)な夕(ゆふ)なに健(まめ)やかに
140鬼雲彦(おにくもひこ)の側(そば)近(ちか)く
141仕(つか)へ給(たま)ひし神姿(みすがた)を
142それとはなしに朝夕(あさゆふ)に
143眺(なが)めて暮(くら)し居(ゐ)たりける
144吾(われ)は大国別(おほくにわけの)神(かみ)
145教司(をしへつかさ)の貴(うづ)の御子(みこ)
146国別彦(くにわけひこの)命(みこと)なり
147鬼雲彦(おにくもひこ)が暴虐(ばうぎやく)の
148醜(しこ)の魔風(まかぜ)に煽(あふ)られて
149已(や)むなくお城(しろ)を脱出(だつしゆつ)し
150エデンの川(かは)を打渡(うちわた)り
151フサの海原(うなばら)横断(わうだん)し
152波(なみ)に漂(ただよ)ひ印度洋(いんどやう)
153千波(せんぱ)万波(ばんぱ)をかき分(わ)けて
154漸(やうや)くシロの島影(しまかげ)を
155認(みと)めし時(とき)の嬉(うれ)しさよ
156神(かみ)の恵(めぐみ)に抱(いだ)かれて
157漸(やうや)く神地(かうぢ)の都路(みやこぢ)に
158進(すす)みて教(をしへ)を宣(の)りつるが
159心(こころ)正(ただ)しき国人(くにびと)は
160一人(ひとり)残(のこ)らず吾(わが)道(みち)に
161服(まつろ)ひ来(きた)りて神館(かむやかた)
162瞬(またた)く間(うち)に建(た)て終(をは)り
163要害(えうがい)堅固(けんご)の絶勝(ぜつしよう)をば
164選(えら)みて此処(ここ)に城(しろ)造(つく)り
165吾(われ)は推(お)されてシロの島(しま)
166神地(かうぢ)の都(みやこ)の王(わう)となり
167神(かみ)を敬(うやま)ひ民(たみ)を撫(な)で
168世(よ)は平(たひら)けく安(やす)らけく
169治(をさ)まりかへつて四海波(しかいなみ)
170静(しづか)にそよぐ折(をり)もあれ
171岩井(いはゐ)の里(さと)の酋長(しうちやう)が
172娘(むすめ)と生(うま)れしケールス姫(ひめ)の
173君(きみ)の命(みこと)を発見(はつけん)し
174愈(いよいよ)此処(ここ)に妻(つま)となし
175厳(いづ)と瑞(みづ)とは相並(あひなら)び
176顕幽(けんいう)一致(いつち)の政体(せいたい)を
177開(ひら)く折(をり)しも腹(はら)黒(くろ)き
178醜(しこ)の曲津(まがつ)の竜雲(りううん)が
179何処(いづこ)ともなく入(い)り来(きた)り
180忽(たちま)ち館(やかた)を蹂躙(じうりん)し
181悪逆(あくぎやく)日々(ひび)に募(つの)りつつ
182遂(つひ)には吾(われ)を追(お)ひ出(いだ)し
183今(いま)や暴威(ばうゐ)を揮(ふる)ひつつ
184世(よ)を乱(みだ)すこそ悲(かな)しけれ
185あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
186神(かみ)の御霊(みたま)の幸(さち)はひて
187三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
188天(あめ)の目一(まひと)つ神(かみ)様(さま)は
189此処(ここ)に現(あら)はれ来(きた)りまし
190顕幽(けんいう)一致(いつち)の真諦(しんたい)を
191完美(うまら)に委曲(つばら)に説(と)き給(たま)ひ
192喜(よろこ)ぶ間(ま)もなく素盞嗚(すさのを)の
193神(かみ)の命(みこと)の御裔(みすゑ)なる
194汝(なれ)の命(みこと)は今(いま)此処(ここ)に
195現(あら)はれ給(たま)ひし雄々(をを)しさよ
196君子(きみこ)の姫(ひめ)よ清子姫(きよこひめ)
197吾(われ)は尊(たふと)きバラモンの
198教(をしへ)を奉(ほう)ずる身(み)なれども
199皇(すめ)大神(おほかみ)の御心(みこころ)に
200もとより変(かは)りはあるまじく
201思(おも)へば思(おも)へば有難(ありがた)し
202汝(なれ)と吾(われ)とは今(いま)よりは
203心(こころ)を協(あは)せ力(ちから)をば
204一(ひと)つになしてシロの島(しま)
205四方(よも)の国人(くにびと)悉(ことごと)く
206尊(たふと)き神(かみ)の御(おん)道(みち)に
207服(まつろ)へ和(やは)し竜雲(りううん)が
208心(こころ)に潜(ひそ)む曲神(まがかみ)を
209千(せん)里(り)の外(そと)に追(お)ひ払(はら)ひ
210迷(まよ)ひきつたるケールス姫(ひめ)の
211君(きみ)の命(みこと)を善道(ぜんだう)に
212導(みちび)き救(すく)ひ麻柱(あななひ)の
213誠(まこと)の道(みち)を永久(とこしへ)に
214経(たて)と緯(よこ)との機(はた)を織(お)り
215治(をさ)めて行(ゆ)かむ惟神(かむながら)
216神(かみ)に誓(ちか)ひて真心(まごころ)を
217ここに披瀝(ひれき)し奉(たてまつ)る
218あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
219御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
220と謡(うた)へば、221君子姫(きみこひめ)はこれに答(こた)へて、
222君子姫『あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
223尊(たふと)き神(かみ)の御(おん)裔(すゑ)と
224生(あ)れ出(い)でませる国別彦(くにわけひこ)の
225神(かみ)の命(みこと)の言霊(ことたま)よ
226天教山(てんけうざん)に現(あ)れませる
227日(ひ)の出神(でのかみ)や木花(このはな)の
228咲耶(さくや)の姫(ひめ)の神言(みこと)もて
229父(ちち)大神(おほかみ)に従(したが)ひて
230三五教(あななひけう)を天ケ下(あめがした)
231豊葦原(とよあしはら)の国々(くにぐに)に
232開(ひら)き伝(つた)ふる宣伝使(せんでんし)
233吾(われ)は君子(きみこ)の姫(ひめ)なるぞ
234父(ちち)の御言(みこと)を畏(かしこ)みて
235バラモン教(けう)の大棟梁(だいとうりやう)
236鬼雲彦(おにくもひこ)の側(そば)近(ちか)く
237仕(つか)へまつりて三五(あななひ)の
238誠(まこと)の道(みち)を諭(さと)さむと
239心(こころ)を尽(つく)し身(み)を竭(つく)し
240千々(ちぢ)に説(と)けども諭(さと)せども
241霊(たま)の曇(くも)りし神司(かむつかさ)
242千言(せんげん)万語(ばんご)の言(こと)の葉(は)も
243豆腐(とうふ)に鎹(かすがひ)糠(ぬか)に釘(くぎ)
244寄(よ)り処(どころ)なき悲(かな)しさに
245あらぬ月日(つきひ)を送(おく)る内(うち)
246太玉神(ふとたまがみ)の現(あら)はれて
247厳(いづ)の言霊(ことたま)打(う)ち出(いだ)し
248雄健(をたけ)び給(たま)へば鬼雲彦(おにくもひこ)の
249神(かみ)の司(つかさ)は逸早(いちはや)く
250見(み)るも恐(おそ)ろし其(その)姿(すがた)
251大蛇(をろち)となりて黒雲(くろくも)の
252中(なか)に姿(すがた)を隠(かく)しける
253妾(わらは)姉妹(おとどい)八(はち)人(にん)は
254右(みぎ)や左(ひだり)に相別(あひわか)れ
255流(なが)れも清(きよ)きエデン川(がは)
256後(あと)に見捨(みす)ててエルサレム
257フサの国(くに)をば遠近(をちこち)と
258彷徨(さまよ)ひ巡(めぐ)りて御教(みをしへ)を
259伝(つた)ふる折(をり)しもバラモンの
260神(かみ)の司(つかさ)の釘彦(くぎひこ)が
261手下(てした)の者(もの)に捕(とら)へられ
262無残(むざん)や五(ご)人(にん)の姉妹(おとどい)は
263見(み)るも危(あやふ)き捨小舟(すてをぶね)
264艪櫂(ろかい)もなしに海原(うなばら)に
265つき出(いだ)されし恐(おそ)ろしさ
266神(かみ)を力(ちから)に三五(あななひ)の
267誠(まこと)を杖(つゑ)に両人(りやうにん)は
268潮(しほ)の八百路(やほぢ)を打渡(うちわた)り
269波(なみ)のまにまに漂(ただよ)ひて
270大海中(おほわだなか)に浮(うか)びたる
271木草(きぐさ)も茂(しげ)るシロの島(しま)
272ドンドラ岬(みさき)に上陸(じやうりく)し
273夜(よ)を日(ひ)に次(つ)いで今(いま)此処(ここ)に
274サガレン王(わう)が行末(ゆくすゑ)を
275救(すく)はむ為(た)めに来(きた)りけり
276人(ひと)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
277慈愛(じあい)の深(ふか)き大神(おほかみ)の
278其(その)懐(ふところ)に抱(いだ)かれて
279誠(まこと)一(ひと)つに進(すす)みなば
280如何(いか)なる曲(まが)の猛(たけ)ぶとも
281何(なに)か恐(おそ)れむ神心(かみごころ)
282いざ之(これ)よりは汝(な)が命(みこと)
283バラモン教(けう)や三五(あななひ)の
284神(かみ)の教(をしへ)と云(い)ふ様(やう)な
285小(ちひ)さき隔(へだ)てを撤回(てつくわい)し
286互(たがひ)に手(て)を執(と)り助(たす)け合(あ)ひ
287此(この)シロ島(しま)に蟠(わだか)まる
288八岐(やまた)大蛇(をろち)や醜狐(しこぎつね)
289曲鬼(まがおに)どもを言向(ことむ)けて
290昔(むかし)の儘(まま)の神国(かみくに)に
291完美(うまら)に委曲(つばら)に樹(た)て直(なほ)し
292ミロクの御世(みよ)を永久(とこしへ)に
293開(ひら)き仕(つか)へむ惟神(かむながら)
294神(かみ)の御前(みまへ)に君子姫(きみこひめ)
295謹(つつし)み敬(ゐやま)ひ祈(ね)ぎ奉(まつ)る
296あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
297御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
298と謡(うた)ひ終(をは)り、299茲(ここ)にサガレン王(わう)、300君子姫(きみこひめ)は胸襟(きようきん)を開(ひら)いて久濶(きうくわつ)を叙(じよ)し、301相提携(あひていけい)して、302竜雲(りううん)始(はじ)めケールス姫(ひめ)其(その)他(た)の神司(かむつかさ)達(たち)に憑依(ひようい)せる曲津(まがつ)神(かみ)を打払(うちはら)ひ、303本然(ほんぜん)の心(こころ)に立(た)ち帰(かへ)らしめ、304再(ふたた)びシロの島(しま)の神地(かうぢ)の都(みやこ)をして至治(しぢ)太平(たいへい)の楽園(らくゑん)と復(かへ)すべく、305王(わう)を先頭(せんとう)にタールチン、306キングス姫(ひめ)、307テーリス、308エームス其(その)他(た)の幹部(かんぶ)を始(はじ)め、309数多(あまた)の至誠(しせい)の男女(だんぢよ)を引率(いんそつ)し、310旗鼓(きこ)堂々(だうだう)として宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)ひながら、311馬(うま)に跨(またが)り都(みやこ)を指(さ)して進(すす)み行(ゆ)く。312惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
313(大正一一・九・二三 旧八・三 北村隆光録)
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