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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第36巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天意か人意か
第1章 二教対立
第2章 川辺の館
第3章 反間苦肉
第4章 無法人
第5章 バリーの館
第6章 意外な答
第7章 蒙塵
第8章 悪現霊
第2篇 松浦の岩窟
第9章 濃霧の途
第10章 岩隠れ
第11章 泥酔
第12章 無住居士
第13章 恵の花
第14章 歎願
第3篇 神地の暗雲
第15章 眩代思潮
第16章 門雀
第17章 一目翁
第18章 心の天国
第19章 紅蓮の舌
第4篇 言霊神軍
第20章 岩窟の邂逅
第21章 火の洗礼
第22章 春の雪
第23章 雪達磨
第24章 三六合
余白歌
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第36巻(亥の巻)
> 第4篇 言霊神軍 > 第21章 火の洗礼
<<< 岩窟の邂逅
(B)
(N)
春の雪 >>>
第二一章
火
(
ひ
)
の
洗礼
(
せんれい
)
〔一〇〇九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
篇:
第4篇 言霊神軍
よみ(新仮名遣い):
ことたましんぐん
章:
第21章 火の洗礼
よみ(新仮名遣い):
ひのせんれい
通し章番号:
1009
口述日:
1922(大正11)年09月24日(旧08月4日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
突然吹き荒れた山おろしに城下は破壊され、城からは出火し火炎に包まれた。竜雲やケールス姫も館の中で黒煙に巻かれてしまった。人々が救いを求めて叫ぶ声の中、宣伝歌の勇ましい言霊が聞こえてきた。
それはサガレン王一行の宣伝歌であった。サガレン王は炎と黒煙の中、宣伝歌を歌いながら数多の部下を指揮し、城内の人々を救うべく努力している。君子姫と清子姫は奥殿深く猛火の中に進み入り、竜雲とケールス姫を救いだし、城の広場に運んできた。
どこからともなく、天の目一つの神(北光神)の宣伝歌が聞こえてきた。そして、この日の洗礼によって城内に立てこもっていた曲津神の眷属たちは逃げ去ったと告げた。そして竜雲やケールス姫も改心した今、竜雲に仕えて体主霊従を行っていた人々は、皇大神にその罪を謝罪するようにと促した。
天の目一つの神は杖をつきながら、人々が非難する広場に微笑を浮かべて現れた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-13 11:38:42
OBC :
rm3621
愛善世界社版:
234頁
八幡書店版:
第6輯 666頁
修補版:
校定版:
243頁
普及版:
104頁
初版:
ページ備考:
001
サガレン
王
(
わう
)
に
真心
(
まごころ
)
を
002
捧
(
ささ
)
げて
仕
(
つか
)
へまつりたる
003
誠忠
(
せいちう
)
無比
(
むひ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
004
アナン、セールを
始
(
はじ
)
めとし
005
ユーズの
司
(
つかさ
)
シルレング
006
数多
(
あまた
)
の
同志
(
どうし
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
007
義勇
(
ぎゆう
)
の
軍
(
ぐん
)
を
召集
(
せうしふ
)
し
008
夜陰
(
やいん
)
に
乗
(
じやう
)
じて
竜雲
(
りううん
)
が
009
秘
(
ひそ
)
む
神地
(
かうぢ
)
の
城塞
(
じやうさい
)
に
010
破竹
(
はちく
)
の
勢
(
いきほひ
)
凄
(
すさま
)
じく
011
侵入
(
しんにふ
)
するや
竜雲
(
りううん
)
が
012
深
(
ふか
)
き
企
(
たく
)
みの
陥穽
(
おとしあな
)
013
ありとも
知
(
し
)
らず
軽進
(
けいしん
)
し
014
思
(
おも
)
はぬ
奇禍
(
きくわ
)
に
陥
(
おちい
)
りて
015
高手
(
たかて
)
や
小手
(
こて
)
に
縛
(
ばく
)
せられ
016
無残
(
むざん
)
や
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
牢獄
(
らうごく
)
に
017
投入
(
なげい
)
れられて
朝夕
(
あさゆふ
)
に
018
サガレン
王
(
わう
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
019
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ひまちまちの
020
噂
(
うはさ
)
をなして
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
る
021
時
(
とき
)
しもあれや
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
022
牢番頭
(
らうばんがしら
)
のベール
奴
(
め
)
が
023
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
024
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
りて
朝夕
(
あさゆふ
)
に
025
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
司
(
つかさ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
を
026
監視
(
かんし
)
するこそ
恐
(
おそ
)
ろしき
027
如何
(
いかが
)
はしけむ
竜雲
(
りううん
)
は
028
俄
(
にはか
)
に
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
し
029
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
司
(
つかさ
)
を
牢獄
(
ひとや
)
より
030
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
解放
(
かいはう
)
し
031
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
せよと
下知
(
げち
)
すれば
032
醜
(
しこ
)
のベールはブツブツと
033
小言
(
こごと
)
タラタラ
面
(
おもて
)
をば
034
南瓜
(
かぼちや
)
の
如
(
ごと
)
くふくらせて
035
スタスタ
来
(
きた
)
る
牢
(
らう
)
の
前
(
まへ
)
036
いろいろ
雑多
(
ざつた
)
と
押問答
(
おしもんだふ
)
037
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
一同
(
いちどう
)
口
(
くち
)
揃
(
そろ
)
へ
038
竜雲
(
りううん
)
如
(
ごと
)
き
悪神
(
あくがみ
)
の
039
指図
(
さしづ
)
をうけて
吾々
(
われわれ
)
は
040
いかで
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
動
(
うご
)
かむや
041
それより
汝
(
なんぢ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
042
曲津
(
まがつ
)
の
憑
(
かか
)
りし
竜雲
(
りううん
)
が
043
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
悔悟
(
くわいご
)
して
044
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
表白
(
へうはく
)
し
045
尻尾
(
しつぽ
)
を
下
(
さ
)
げて
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
046
来
(
く
)
るにあらずば
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
047
出獄
(
しゆつごく
)
ばかりは
拒絶
(
きよぜつ
)
すと
048
やり
返
(
かや
)
したる
健
(
けな
)
げさよ
049
ベール
司
(
つかさ
)
は
怪
(
あや
)
しがり
050
固
(
かた
)
き
鉄扉
(
かなど
)
を
引
(
ひき
)
あけて
051
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
り
052
一言
(
ひとこと
)
二言
(
ふたこと
)
言霊
(
ことたま
)
の
053
征矢
(
そや
)
を
放
(
はな
)
ちし
間
(
ま
)
もあらず
054
無残
(
むざん
)
やベールはアナン
等
(
ら
)
が
055
同士
(
どうし
)
に
拳固
(
げんこ
)
の
雨霰
(
あめあられ
)
056
所
(
ところ
)
構
(
かま
)
はず
打撲
(
だぼく
)
され
057
悲鳴
(
ひめい
)
をあげて
救
(
すく
)
ひをば
058
求
(
もと
)
むる
折
(
をり
)
しも
牢獄
(
らうごく
)
を
059
見
(
み
)
まはり
来
(
きた
)
りし
獄卒
(
ごくそつ
)
の
060
敏
(
さと
)
くも
耳
(
みみ
)
に
轟
(
とどろ
)
きて
061
靴音
(
くつおと
)
高
(
たか
)
く
駆来
(
かけきた
)
る
062
ヤツトは
驚
(
おどろ
)
きベールをば
063
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
さむと
戸
(
と
)
を
開
(
ひら
)
き
064
一足
(
ひとあし
)
二足
(
ふたあし
)
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
065
あたり
見
(
み
)
まはす
折
(
をり
)
もあれ
066
アナン、セールやシルレング
067
ユーズの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
二人
(
ふたり
)
をば
068
高手
(
たかて
)
や
小手
(
こて
)
に
縛
(
いま
)
しめて
069
悠々
(
いういう
)
牢獄
(
ひとや
)
を
立出
(
たちい
)
でぬ
070
二人
(
ふたり
)
は
歯
(
は
)
がみをなしながら
071
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
口
(
くち
)
を
尖
(
とが
)
らして
072
曲者
(
くせもの
)
今
(
いま
)
や
逃
(
のが
)
れたり
073
数多
(
あまた
)
の
獄卒
(
ごくそつ
)
逸早
(
いちはや
)
く
074
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
縛
(
ばく
)
せよと
075
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
呼
(
よ
)
ばはれど
076
何
(
なん
)
の
響
(
ひびき
)
もなくばかり
077
吠
(
ほ
)
え
面
(
づら
)
かわくを
一同
(
いちどう
)
は
078
尻
(
しり
)
目
(
め
)
にかけて
嘲笑
(
あざわら
)
ひ
079
悪
(
あく
)
の
報
(
むく
)
いは
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
080
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
現
(
あら
)
はせと
081
言葉
(
ことば
)
を
残
(
のこ
)
してどことなく
082
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひに
城内
(
じやうない
)
の
083
あなたこなたに
隠
(
かく
)
れける
084
俄
(
にはか
)
に
吹来
(
ふきく
)
る
山颪
(
やまおろし
)
085
大木
(
おほき
)
を
倒
(
たふ
)
し
枝
(
えだ
)
を
裂
(
さ
)
き
086
無残
(
むざん
)
に
家屋
(
やね
)
を
滅茶
(
めちや
)
々々
(
めちや
)
に
087
吹飛
(
ふきと
)
ばすこそ
物凄
(
ものすご
)
き
088
風
(
かぜ
)
の
力
(
ちから
)
に
城内
(
じやうない
)
の
089
建築物
(
けんちくぶつ
)
の
中
(
なか
)
よりは
090
炎々
(
えんえん
)
濛々
(
もうもう
)
噴
(
ふ
)
き
出
(
いだ
)
す
091
煙
(
けむり
)
の
中
(
なか
)
よりペロペロと
092
紅蓮
(
ぐれん
)
の
舌
(
した
)
をばはき
出
(
だ
)
して
093
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に
館
(
やかた
)
をば
094
将棋倒
(
しやうぎだふ
)
しに
嘗
(
な
)
めつくす
095
数多
(
あまた
)
の
男女
(
なんによ
)
は
右左
(
みぎひだり
)
096
うろたへ
廻
(
まは
)
りて
泣
(
な
)
き
叫
(
さけ
)
ぶ
097
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
地獄道
(
ぢごくだう
)
098
見
(
み
)
るも
無残
(
むざん
)
の
次第
(
しだい
)
なり
099
○
100
ケールス
姫
(
ひめ
)
や
竜雲
(
りううん
)
は
101
火焔
(
くわえん
)
の
舌
(
した
)
に
包
(
つつ
)
まれて
102
息
(
いき
)
もふさがり
闇雲
(
やみくも
)
に
103
うろたへ
騒
(
さわ
)
ぎ
息
(
いき
)
の
根
(
ね
)
の
104
今
(
いま
)
や
切
(
き
)
れむとする
所
(
ところ
)
105
忽
(
たちま
)
ち
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
106
ゴウゴウ ガラガラ バタバタと
107
館
(
やかた
)
の
棟
(
むね
)
のおつる
音
(
おと
)
108
勢
(
いきほひ
)
猛
(
たけ
)
き
風
(
かぜ
)
の
鳴
(
な
)
り
109
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
声
(
こゑ
)
限
(
かぎ
)
り
110
救
(
すく
)
ひを
叫
(
さけ
)
ぶ
叫喚
(
けうくわん
)
の
111
声
(
こゑ
)
を
圧
(
あつ
)
して
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
112
其
(
その
)
言霊
(
ことたま
)
の
勇
(
いさ
)
ましさ
113
甦
(
よみがへ
)
りたる
心地
(
ここち
)
して
114
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御救
(
みすく
)
ひと
115
仰
(
あふ
)
ぎ
喜
(
よろこ
)
ぶ
胸
(
むね
)
の
内
(
うち
)
116
咫尺
(
しせき
)
弁
(
べん
)
ぜぬ
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
117
煙
(
けむり
)
に
包
(
つつ
)
まれ
苦
(
くる
)
しみし
118
ケールス
姫
(
ひめ
)
は
意外
(
いぐわい
)
にも
119
俄
(
にはか
)
に
心
(
こころ
)
をおちつけて
120
館
(
やかた
)
の
棟
(
むね
)
のバチバチと
121
燃
(
も
)
え
行
(
ゆ
)
くさまを
打眺
(
うちなが
)
め
122
覚悟
(
かくご
)
をきはめ
居
(
ゐ
)
たりしが
123
之
(
これ
)
に
反
(
はん
)
して
竜雲
(
りううん
)
は
124
あわてふためき
右左
(
みぎひだり
)
125
前
(
まへ
)
や
後
(
うしろ
)
とかけめぐり
126
柱
(
はしら
)
に
頭
(
あたま
)
を
打
(
うち
)
つけて
127
アイタヽヽツタあゝ
苦
(
くる
)
しい
128
息
(
いき
)
はふさがる
血
(
ち
)
は
滲
(
にじ
)
む
129
誰
(
たれ
)
か
忠義
(
ちうぎ
)
の
人
(
ひと
)
が
来
(
き
)
て
130
われをば
救
(
すく
)
ひ
出
(
いだ
)
せよと
131
もがき
苦
(
くる
)
しむ
憐
(
あは
)
れさよ。
132
○
133
間近
(
まぢか
)
く
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
134
其
(
その
)
言霊
(
ことたま
)
を
調
(
しら
)
ぶれば
135
サガレン
王
(
わう
)
を
始
(
はじ
)
めとし
136
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
君子姫
(
きみこひめ
)
137
タールチン
司
(
つかさ
)
や
清子姫
(
きよこひめ
)
138
キングス
姫
(
ひめ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
139
エームス、テーリス、ゼム、ルーズ
140
ヨール、レツトやターレンの
141
涼
(
すず
)
しき
声
(
こゑ
)
と
聞
(
きこ
)
えたり。
142
(サガレン王たち一同)
『あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
143
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
144
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
を
立
(
た
)
て
別
(
わ
)
ける
145
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
146
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
147
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
148
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
149
竜雲司
(
りううんつかさ
)
の
過
(
あやま
)
ちは
150
只今
(
ただいま
)
ここで
焼
(
や
)
き
直
(
なほ
)
す
151
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンの
152
教
(
をしへ
)
に
仕
(
つか
)
ふる
宣伝使
(
せんでんし
)
153
吾
(
われ
)
は
君子
(
きみこ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
154
吾
(
われ
)
は
国別彦
(
くにわけひこ
)
の
神
(
かみ
)
155
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けて
156
神地
(
かうぢ
)
の
城
(
しろ
)
に
立
(
た
)
て
籠
(
こも
)
る
157
曲津
(
まがつ
)
の
魂
(
みたま
)
を
焼
(
や
)
き
直
(
なほ
)
し
158
火
(
ひ
)
の
洗礼
(
せんれい
)
を
施
(
ほどこ
)
して
159
すべての
汚
(
けが
)
れを
焼
(
や
)
き
清
(
きよ
)
め
160
焦熱
(
せうねつ
)
地獄
(
ぢごく
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
161
高天原
(
たかあまはら
)
と
一変
(
いつぺん
)
し
162
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
163
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
へ
仁政
(
じんせい
)
を
164
布
(
し
)
き
施
(
ほどこ
)
して
国民
(
くにたみ
)
を
165
安
(
やす
)
きに
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けむと
166
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
はここに
向
(
むか
)
うたり
167
曲
(
まが
)
のかかれる
竜雲
(
りううん
)
や
168
ケールス
姫
(
ひめ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
169
テール、ハルマや
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
170
醜
(
しこ
)
の
醜人
(
しこびと
)
悉
(
ことごと
)
く
171
汝
(
なんぢ
)
が
胸
(
むね
)
に
秘
(
ひそ
)
みたる
172
八十
(
やそ
)
の
曲津
(
まがつ
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
いだ
)
し
173
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
帰
(
かへ
)
れよや
174
神
(
かみ
)
は
至愛
(
しあい
)
にましませば
175
いかに
心
(
こころ
)
の
曲
(
まが
)
りたる
176
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
なりとて
徒
(
いたづら
)
に
177
命
(
いのち
)
は
取
(
と
)
らせ
玉
(
たま
)
ふまじ
178
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
179
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
尊
(
たふと
)
みて
180
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
村肝
(
むらきも
)
の
181
心
(
こころ
)
を
直
(
なほ
)
せ
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め
182
元
(
もと
)
つ
身魂
(
みたま
)
になれよかし
183
神地
(
かうぢ
)
の
城
(
しろ
)
は
今日
(
けふ
)
よりは
184
サガレン
王
(
わう
)
のしろしめす
185
珍
(
うづ
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
となりにけり
186
牢獄
(
ひとや
)
の
中
(
なか
)
に
繋
(
つな
)
がれし
187
アナン、セールやシルレング
188
ユーズの
司
(
つかさ
)
は
今
(
いま
)
何処
(
いづこ
)
189
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれて
190
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
曲津
(
まがつ
)
の
逃
(
に
)
げまどひ
191
苦
(
くる
)
しみ
悩
(
なや
)
む
友輩
(
ともがら
)
を
192
煙
(
けむり
)
の
中
(
なか
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
193
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
せ
194
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
守
(
まも
)
りまし
195
尊
(
たふと
)
き
清
(
きよ
)
き
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
を
196
厚
(
あつ
)
く
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
ふらむ
197
進
(
すす
)
めよ
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
198
紅蓮
(
ぐれん
)
の
舌
(
した
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
いだ
)
す
199
火焔
(
くわえん
)
の
中
(
なか
)
も
何
(
なん
)
のその
200
神
(
かみ
)
に
叶
(
かな
)
へる
吾々
(
われわれ
)
は
201
火
(
ひ
)
にさへ
焼
(
や
)
けず
水
(
みづ
)
にさへ
202
溺
(
おぼ
)
るる
事
(
こと
)
なき
強者
(
つはもの
)
ぞ
203
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
204
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
205
サガレン
王
(
わう
)
は
黒焔
(
こくえん
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つて、
206
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
207
数多
(
あまた
)
の
部下
(
ぶか
)
を
指揮
(
しき
)
し、
208
城内
(
じやうない
)
の
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
さしめむと
努力
(
どりよく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
209
君子姫
(
きみこひめ
)
、
210
清子姫
(
きよこひめ
)
は
奥殿
(
おくでん
)
深
(
ふか
)
く
猛火
(
まうくわ
)
の
中
(
なか
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
211
死
(
し
)
を
決
(
けつ
)
し、
212
観念
(
かんねん
)
の
臍
(
ほぞ
)
を
固
(
かた
)
めて、
213
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
たるケールス
姫
(
ひめ
)
を
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へ
城
(
しろ
)
の
馬場
(
ばば
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
し、
214
清子姫
(
きよこひめ
)
は
甲斐
(
かひ
)
々々
(
がひ
)
しく、
215
度
(
ど
)
を
失
(
うしな
)
うて
狂
(
くる
)
ひ
居
(
を
)
る
悪魔
(
あくま
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
竜雲
(
りううん
)
を
引抱
(
ひきかか
)
へ、
216
君子姫
(
きみこひめ
)
に
従
(
したが
)
ひて、
217
城
(
しろ
)
の
広場
(
ひろば
)
に
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
しぬ。
218
其
(
その
)
外
(
ほか
)
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず、
219
サガレン
王
(
わう
)
の
率
(
ひき
)
ゐ
来
(
きた
)
れる
至誠
(
しせい
)
の
勇士
(
ゆうし
)
、
220
煙
(
けむり
)
の
中
(
なか
)
をかけ
巡
(
めぐ
)
り、
221
無事
(
ぶじ
)
に
人命
(
じんめい
)
を
救
(
すく
)
ひたるこそ、
222
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
の
御助
(
みたす
)
けと
知
(
し
)
られける。
223
どこともなしに
又
(
また
)
もや
聞
(
きこ
)
ゆる
宣伝歌
(
せんでんか
)
、
224
敵
(
てき
)
と
味方
(
みかた
)
の
区別
(
くべつ
)
なくいと
殊勝
(
しゆしよう
)
げに
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
る。
225
(天の目一つの神)
『
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めたる
226
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
が
現
(
あら
)
はれて
227
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
を
立別
(
たてわ
)
ける
228
われは
北光
(
きたてる
)
神司
(
かむつかさ
)
229
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
230
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
斎苑
(
いそ
)
館
(
やかた
)
231
後
(
あと
)
に
眺
(
なが
)
めてはるばると
232
フサの
国原
(
くにはら
)
横断
(
わうだん
)
し
233
月
(
つき
)
の
国中
(
くになか
)
南行
(
なんかう
)
し
234
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
りてシロの
島
(
しま
)
235
サガレン
王
(
わう
)
や
君子姫
(
きみこひめ
)
236
竜雲司
(
りううんつかさ
)
やケールスの
237
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
を
助
(
たす
)
けむと
238
雲路
(
くもぢ
)
を
分
(
わ
)
けて
下
(
くだ
)
り
来
(
こ
)
し
239
天
(
あめ
)
の
目一
(
まひと
)
つ
神
(
かみ
)
なるぞ
240
火
(
ひ
)
の
洗礼
(
せんれい
)
は
恙
(
つつが
)
なく
241
神
(
かみ
)
のまにまに
終
(
をは
)
りけり
242
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
に
立籠
(
たてこも
)
る
243
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
や
醜狐
(
しこぎつね
)
244
曲鬼
(
まがおに
)
共
(
ども
)
の
眷族
(
けんぞく
)
は
245
火
(
ひ
)
の
洗礼
(
せんれい
)
に
怖
(
お
)
ぢおそれ
246
黒雲
(
くろくも
)
起
(
おこ
)
し
雨
(
あめ
)
を
呼
(
よ
)
び
247
風
(
かぜ
)
のまにまに
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
りぬ
248
今
(
いま
)
や
神地
(
かうぢ
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
は
249
汚
(
けが
)
れも
曲
(
まが
)
も
払拭
(
ふつしき
)
し
250
水晶
(
すゐしやう
)
の
如
(
ごと
)
く
清
(
きよ
)
まりぬ
251
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
252
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
を
授
(
さづ
)
かりて
253
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
る
254
万
(
よろづ
)
の
物
(
もの
)
の
霊長
(
れいちやう
)
と
255
称
(
たた
)
へられたる
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
256
神
(
かみ
)
に
等
(
ひと
)
しきものなれば
257
いかでか
曲
(
まが
)
のあるべきぞ
258
名位
(
めいゐ
)
寿富
(
じゆふう
)
の
正欲
(
せいよく
)
に
259
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
まされ
260
遂
(
つひ
)
には
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
の
261
悪魔
(
あくま
)
の
風
(
かぜ
)
にそそられて
262
利己
(
りこ
)
一辺
(
いつぺん
)
の
魂
(
たま
)
となり
263
清
(
きよ
)
き
身魂
(
みたま
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
264
そこなひ
破
(
やぶ
)
れ
汚
(
けが
)
れはて
265
曲
(
まが
)
の
棲処
(
すみか
)
となるものぞ
266
曲津
(
まがつ
)
の
巣
(
す
)
くふ
竜雲
(
りううん
)
も
267
心
(
こころ
)
に
悔悟
(
くわいご
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
きて
268
今
(
いま
)
は
罪
(
つみ
)
なき
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
269
汚
(
けが
)
れも
咎
(
とが
)
めも
更
(
さら
)
になし
270
ケールス
姫
(
ひめ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
271
竜雲司
(
りううんつかさ
)
に
諂
(
へつら
)
ひて
272
体主
(
たいしゆ
)
霊従
(
れいじう
)
をきはめたる
273
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
や
下人
(
しもびと
)
よ
274
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
嫌
(
きら
)
ひなく
275
心
(
こころ
)
を
安
(
やす
)
らに
平
(
たひら
)
かに
276
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれて
277
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
犯
(
おか
)
せし
過
(
あやま
)
ちを
278
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
279
早
(
はや
)
く
謝罪
(
しやざい
)
し
奉
(
たてまつ
)
れ
280
大恩
(
たいおん
)
受
(
う
)
けしサガレン
王
(
わう
)
の
281
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
今
(
いま
)
ここに
282
魂
(
たま
)
の
光
(
ひか
)
りを
現
(
あら
)
はして
283
清
(
きよ
)
く
現
(
あら
)
はれ
玉
(
たま
)
ひけり
284
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
285
八人
(
やたり
)
乙女
(
をとめ
)
の
其
(
その
)
中
(
なか
)
に
286
目立
(
めだ
)
ちて
健
(
けな
)
げな
君子姫
(
きみこひめ
)
287
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
ふる
清子姫
(
きよこひめ
)
288
タールチン
司
(
つかさ
)
やキングス
姫
(
ひめ
)
の
289
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
やエームスの
290
清
(
きよ
)
き
司
(
つかさ
)
も
今
(
いま
)
ここに
291
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
百
(
もも
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
292
救
(
すく
)
はむ
為
(
ため
)
に
現
(
あ
)
れましぬ
293
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
294
かくなる
上
(
うへ
)
は
天ケ下
(
あめがした
)
295
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
には
仇
(
あだ
)
もなく
296
曇
(
くも
)
りも
汚
(
けが
)
れもなきものぞ
297
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
隔
(
へだ
)
てなく
298
上
(
うへ
)
と
下
(
した
)
との
分
(
わか
)
ちなく
299
城
(
しろ
)
の
馬場
(
ばんば
)
のいや
広
(
ひろ
)
く
300
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
めて
一所
(
ひととこ
)
に
301
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
れよ
惟神
(
かむながら
)
302
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
目一
(
まひと
)
つの
303
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
が
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
304
汝
(
なんぢ
)
の
為
(
ため
)
に
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
305
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
306
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
307
と
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
ると
共
(
とも
)
に、
308
天
(
あめ
)
の
目一
(
まひと
)
つの
神
(
かみ
)
は
煙
(
けむり
)
を
分
(
わ
)
けて、
309
コツコツと
杖
(
つゑ
)
をつき
乍
(
なが
)
ら、
310
一同
(
いちどう
)
が
避難
(
ひなん
)
の
場
(
ば
)
に
微笑
(
びせう
)
を
浮
(
うか
)
べつつ
現
(
あら
)
はれにける。
311
(
大正一一・九・二四
旧八・四
松村真澄
録)
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