霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一七章 一目翁(ひとつめをう)〔一〇〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第3篇 神地の暗雲 よみ(新仮名遣い):こうじのあんうん
章:第17章 一目翁 よみ(新仮名遣い):ひとつめおう 通し章番号:1005
口述日:1922(大正11)年09月23日(旧08月3日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
門番のシールは、ベスの帰りと報告を待っていた。ベスは戻ってきたが、シールの問いかけにはぐらかして答え、さっぱり要領を得ない。シールはベスに酒を勧める。
シールの思惑通りベスは酒に酔って、竜雲やケールス姫に口止めされていたにもかかわらず、テールがサガレン王軍襲来の夢を見てから騒ぎをやらかしたことをしゃべってしまった。
シールとベスは酔ってかみ合わない雑談を続けている。その中でシールは竜雲たち上層部の悪逆無道を憂いベスに問いかけるが、ベスは気楽に仕えていればよいとはぐらかす。
すると門前に宣伝歌が聞こえてきた。宣伝歌は神の正道は永遠に変わらないと歌い、一時の欲に踏み迷い、今は勢いの強い竜雲の勢いもたちまち色あせて滅びは近いと予言し、心の立て直しを説いていた。
シールとベスは酔って朦朧としながらも宣伝歌の声に胸も刺さる心地がして門を開くと、白髪異様の老人が左手に太い杖をつき、右手に扇を握って厳然と仁王立ちになっていた。
シールは老人の片目の異様な姿に驚きながらも、竜雲を諫めようとしても無駄だから、帰ったがよかろうと洒落を交えて声をかけた。老人はシールの問いかけに大笑いし、門番にしてこれほどの粋人ならば、竜雲の城はさぞかし上下一致しているだろうと感心した。そして、飲めよ騒げよ一寸先は闇よ、とウラル教の宣伝歌の一節を歌った。
ベスは面白い老人がやってきたと、奥に通して城内の空気を払ってもらおうと注進に行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-11 13:43:59 OBC :rm3617
愛善世界社版:176頁 八幡書店版:第6輯 645頁 修補版: 校定版:182頁 普及版:77頁 初版: ページ備考:
001 神地(かうぢ)(しろ)表門(おもてもん)番人(ばんにん)シールは、002(ただ)一人(ひとり)チビリチビリと(さけ)(かたむ)けながら、003奥殿(おくでん)(すす)()つたるベスの(かへ)りを(いま)(おそ)しと()()たり。004かかる(ところ)へニコニコとして()(かへ)(きた)りしベスの(かほ)()るより()みつく(やう)(いそが)しく、
005シール『オイ、006ベス、007如何(どう)だつたい。008大奥(おほおく)首尾(しゆび)はイヤ様子(やうす)は……』
009ベス大山(たいざん)鳴動(めいどう)して鼠一匹(ねずみいつぴき)だ。010何事(なにごと)ならむと()をかため、011(おそ)()もなく竜雲王(りううんわう)奥殿(おくでん)(しの)()り、012ケールス(ひめ)(さま)のあの()様子(やうす)にては何事(なにごと)大事変(だいじへん)突発(とつぱつ)せしかと(うかが)()れば、013(あに)(はか)らむや、014平穏(へいおん)無事(ぶじ)015天下(てんか)太平(たいへい)016国土(こくど)成就(じやうじゆ)017四民(しみん)安堵(あんど)018瑞祥(ずゐしやう)()殿内(でんない)(みなぎ)(わた)り、019(とこ)(かざ)られた福禄寿(げほう)置物(おきもの)が……ベスさまお(はや)う……と(こし)(かが)めて挨拶(あいさつ)をして()ると()長閑(のどか)さだつたよ。020(はや)(この)(うへ)一言(いちごん)口外(こうぐわい)出来(でき)ない。021()づこれが(おれ)使命(しめい)だ。022アハヽヽヽ』
023シール『そんな(こと)如何(どう)して全権(ぜんけん)公使(こうし)(つと)まるか。024(すこ)戦況(せんきやう)詳細(しやうさい)報告(はうこく)(いた)さぬかい』
025ベス報告(はうこく)しようにも(じつ)(ところ)仕方(しかた)がないのだ。026サツパリアフン(ちう)(まよ)つて(しま)つた。027驚異(きやうい)面相(めんさう)遺憾(ゐかん)なく陳列(ちんれつ)してある羅漢堂(らかんだう)(のぞ)いて()(やう)なものだつた。028されども明智(めいち)(それがし)029黒雲(こくうん)(ふか)(つつ)みたる不可解(ふかかい)事実(じじつ)も、030遺憾(ゐかん)なく道破(だうは)して()たのだから(えら)いものだらう。031(なん)()つても明敏(めいびん)頭脳(づなう)()(ぬし)だから、032(すべ)ての事実(じじつ)核心(かくしん)()れるのは(この)ベスに(かぎ)つて()るワイ、033ウフヽヽヽフツフ。034アヽ、035小便(せうべん)(だい)タンクが(あふ)れて腎臓(じんざう)破裂(はれつ)しさうだ』
036()(なが)ら、037エチエチと(あや)しき足許(あしもと)にて便所(べんじよ)姿(すがた)(かく)す。038シールは(うで)()独語(ひとりごと)
039シール『マア、040(なん)(わけ)(わか)らぬ(こと)出来(でき)たのだらう。041ベスの(やつ)042一向(いつかう)不得(ふとく)要領(えうりやう)返答(へんたふ)ばかりを(なら)()肝腎(かんじん)問題(もんだい)(はづ)さうとつとめて()よる。043これには(なに)(ふか)(わけ)がなくてはならぬ。044(ひと)(うま)(さけ)(すす)めて()(つぶ)し、045(どろ)()かしてやらなくちや、046一通(ひととほ)りの料理(れうり)では駄目(だめ)だ。047背骨(せぼね)()()り、048(はら)(なか)(まで)(ひら)きにして、049鰌鍋(どぜうなべ)(やう)(なに)もかも暴露(ばくろ)させてやらうかナ』
050(つぶや)(なが)()つて()る。051ベスは(やうや)小用(こよう)()ませ(かへ)(きた)るを、
052シール『オイ、053チツと(さけ)でも(きこ)()したら如何(どう)だい。054()四辺(しへん)暗雲(あんうん)(つつ)まれ、055()(あつ)無風(むふう)地帯(ちたい)にあつては、056やり()れないぢやないか。057ドツと奮発(ふんぱつ)して鯨飲(げいいん)馬食(ばしよく)洒落(しやれ)て、058(あつ)さを(しの)がうぢやないか。059ウラル(けう)(ふる)(をしへ)にも……()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、060(やみ)(あと)には(つき)()る……と()つてあるからにや、061(さけ)さへ()めば屹度(きつと)()神慮(しんりよ)(かな)つて、062大空(おほぞら)陰鬱(いんうつ)(くも)()れ、063涼風(りやうふう)颯々(さつさつ)として(おもて)()き、064(てん)(あを)()(きよ)く、065(あま)岩戸(いはと)(びら)きが出来(でき)るであらうよ。066(さけ)なくて(なん)(おのれ)がナイスかなだ。067何程(なにほど)立派(りつぱ)なナイスの給仕(きふじ)でも、068(めし)ばつかりでは(はづ)まないからな。069(さけ)百薬(ひやくやく)(ちやう)だ、070(さけ)やつこすだ。071薬師(やくし)如来(によらい)だ、072般若湯(はんにやたう)だ、073甘露水(かんろすゐ)だ、074釈迦(しやか)だ、075イエスだ。076(われ)()天国(てんごく)(すく)(だい)救世主(きうせいしゆ)盤古(ばんこ)神王(しんわう)でもなければ常世(とこよ)神王(しんわう)でもない。077()めば(ただち)(こころ)()()ち、078天国(てんごく)自由(じいう)自在(じざい)逍遥(せうえう)せしめ(たま)(くし)(かみ)(さま)だ。079現実(げんじつ)天国(てんごく)(すく)(くだ)さる(かみ)(さま)(わが)(まへ)出現(しゆつげん)ましますぞよ』
080ベス『あまり(くし)(かみ)()厄介(やくかい)になると、081門番(もんばん)(やく)(おろ)そかになつて、082(めん)()(しよく)()頂戴(ちやうだい)せなくては、083ならなくなつて(しま)ふぞ。084チツと心得(こころえ)ねばなるまい』
085シール(さけ)用意(ようい)はもう()い。086これで沢山(たくさん)だ。087(この)(うへ)一滴(いつてき)()めない。088アヽえらく()うた……と()()した(とき)本当(ほんたう)(さけ)興味(きようみ)(おぼ)えた(とき)だ。089()ひられない(さけ)()めぬと()ふから、090(この)シールさまが()うしてお(まへ)(さけ)シールのだ。091アハヽヽヽ』
092 ベスは(のど)(むし)がキユーキユーと催促(さいそく)をして()る。093到頭(たうとう)(たま)らなくなつてシールの言葉(ことば)(したが)ひ、094度胸(どきよう)()ゑてグイグイと()(はじ)めた。095(たちま)(した)(もつ)()し、096(ちか)くに()つてさへ(その)言霊(ことたま)()()(がた)(まで)()つぱらつて(しま)つた。097()へば如何(いか)なる秘密(ひみつ)(しやべ)()てるは小人(せうじん)(つね)だ。
098 シールはベスを一寸(ちよつと)むかつかせ、099(その)(いきほひ)一切(いつさい)秘密(ひみつ)()かしてやらうと、100(やや)(こゑ)(たか)めて、
101シール『オイ、102ハベルの(たふ)103貴様(きさま)何時(いつ)までも(この)門番(もんばん)(つか)ハベル名物(めいぶつ)(をとこ)で、104()つてもよい(こと)はチツとも()はず、105()はいでも()(ひと)蔭口(かげぐち)()くハベル……オツトドツコイ(しやべ)代物(しろもの)だから、106今日(けふ)(なに)もかも(おれ)(まへ)白状(はくじやう)するのだ。107サア、108最前(さいぜん)復命(ふくめい)(つぶ)さに(わが)(まへ)陳列(ちんれつ)するのだぞ』
109ベス『あんまり馬鹿(ばか)らしくて、110(はな)すだけの(じつ)価値(かち)がないのだよ。111テールの青二才(あをにさい)()112サガレン(わう)(さま)数多(あまた)軍勢(ぐんぜい)引率(ひきつ)れ、113(この)(やかた)()()(きた)(たま)ひし(ゆめ)()よつて、114竜雲(りううん)(さま)やケールス(ひめ)(あは)てて報告(はうこく)しよつたのが(もと)で、115あの(やう)空騒(からさわ)ぎがオツ(ぱじ)まつたのだ。116あまり馬鹿(ばか)らしいから(たれ)にもこんな(こと)口外(こうぐわい)してはならないぞと、117ケールス(ひめ)(さま)から箝口令(かんこうれい)()かれて(しま)つたのだ。118(しか)秘密(ひみつ)何処迄(どこまで)秘密(ひみつ)だから、119天機(てんき)()らすべからず、120(この)(さき)諸君(しよくん)()推量(すゐりやう)(まか)すより仕方(しかた)がないのだ。121アハヽヽヽ』
122シール『オイ、123(おれ)一人(ひとり)(むか)つて、124諸君(しよくん)とは(なん)だ。125チト脱線(だつせん)ぢやないか』
126ベス脱線(だつせん)するのも当然(たうぜん)だよ。127脱線(だつせん)(はじ)まつて脱線(だつせん)(をは)つたのだからな。128こんな(こと)(たれ)()いても(みな)唖然(あぜん)として(わら)ふにも(わら)はれない(こと)になる。129共鳴(きようめい)するものは(もり)(からす)(くらゐ)なものだ。130ケールス(ひめ)(さま)があの(うつく)しき身体(からだ)満艦飾(まんかんしよく)(ほどこ)して、131甲斐(かひ)々々(がひ)しくも薙刀(なぎなた)小脇(こわき)にかい()み、132(あか)(すそ)をべらつかせ、133(しろ)(すね)(あら)はして……強敵(きやうてき)御座(ござ)んなれ……と立現(たちあら)はれ(たま)ひし(とき)(その)健気(けなげ)さ、134凛々(りり)しさ。135一目(ひとめ)(をが)んでも、136(むね)清涼水(せいりやうすゐ)注入(ちゆうにふ)した(やう)(かん)じがするぢやないか』
137シール『テールの近侍(きんじ)はそんな馬鹿(ばか)(こと)(まを)()げた以上(いじやう)は、138竜雲(りううん)(さま)(いか)りに()れ、139屹度(きつと)手打(てう)ちになるだらうなア』
140ベス『ならいでかい、141毎日(まいにち)日日(ひにち)手打(てう)ちを得意(とくい)になつて、142(ひめ)(さま)とケラケラ()(なが)続行(ぞくかう)して()られるではないか』
143シール(なん)(おれ)(いま)まで()らなかつた。144三十万(さんじふまん)(ねん)未来(みらい)(いん)紂王(ちうわう)姐己(だつき)(やう)悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(よろこ)んで(あそ)ばすのか。145そんな暴君(ばうくん)(こころ)(やす)んじて(つか)へて()(こと)はチツと(かんが)へねばなるまいぞ。146(ひと)風向(かざなみ)(わる)ければ、147(すぐ)にお手打(てう)ちとやられちや(たま)らないからな。148オイ、149ベス、150それ(だけ)毎日(まいにち)手打(てう)ちをして(あと)如何(どう)(かた)づけて仕舞(しま)はれるのだらう。151()つから(この)(もん)(くぐ)つたお手打者(てうちもの)()(やう)だがのう』
152ベス(なに)造作(ざうさ)があるものか、153(みな)雪隠(せつちん)(おと)して(しま)はれるのだ』
154シール雪隠(せついん)(なか)随分(ずゐぶん)沢山(たくさん)亡者(まうじや)だらうなア』
155ベス(なん)()つても、156竜雲(りううん)(さま)(ひめ)(さま)(はし)(さき)にひつかけて、157ツルツルと(くち)から()()んで(しま)はれるのだから(らち)()いものだ、158近侍(きんじ)(やつ)()()三角(さんかく)にして、159そばから(ゆび)をくはへて()()るさうだが、160(なん)()()かぬウドン代物(しろもの)ぢやないか』
161シール(なん)だい、162手打(てうち)とは蕎麦(そば)(こと)だつたか。163()らぬ(こと)(きつ)()()ましよつた、164ウフヽヽヽ。165(しか)しベスよ、166よく(かんが)へて()ると()(なか)()加減(かげん)なものだな。167(かみ)さま(かみ)さまと(あさ)から(ばん)まで、168下手(へた)調髪師(てうはつし)(やう)()つて御座(ござ)つたサガレン(わう)(さま)は、169大自在天(だいじざいてん)(さま)()保護(ほご)もなく、170あんな(みぢ)めな()にお()ひなされ、171(いま)行方(ゆくへ)判然(はんぜん)せず、172何処(どこ)かの山野(さんや)()ちぶれて逍遥(さまよ)うて御座(ござ)るであらうが、173それに引換(ひきか)へ、174あんな没義道(もぎだう)(こと)をやつた竜雲(りううん)が、175ヌツケリコと(わう)(さま)気取(きど)りになつて、176(ひめ)(さま)相対(あひたい)し、177(あさ)から(ばん)まで手打(てうち)をしたり、178()()()うたり、179抱擁(はうよう)接吻(キツス)したり、180所在(あらゆる)体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(かぎ)りを(つく)して脂下(やにさが)つて御座(ござ)るのは、181コレは(また)(なん)とした()(なか)矛盾(むじゆん)であらうか。182(おれ)ヤもうこれを(おも)へば(この)()(なか)大自在天(だいじざいてん)もなければ、183盤古(ばんこ)神王(しんわう)()のみあつて、184(その)(じつ)なきものと断定(だんてい)せざるを()なくなつて()たよ。185本当(ほんたう)無明(むみやう)暗黒(あんこく)()(なか)だ。186如何(どう)したらこれが(まこと)()(なか)になるだらうかな』
187ベス『オイ門番(もんばん)分際(ぶんざい)としてそんな(だい)それた(こと)(さへづ)つて、188()しも竜雲(りううん)(さま)のお(みみ)(たつ)したら如何(どう)する(つも)りだい。189チツと(たしな)まないか。190何程(なにほど)貴様(きさま)(こころ)(いら)ち、191忙殺(ばうさつ)(てき)足踏(あしぶ)みをして藻掻(もが)いた(ところ)で、192(けつ)して(その)意志(いし)万分一(まんぶんいち)貫徹(くわんてつ)するものでない。193門番(もんばん)門番(もんばん)らしく(うへ)(かた)評定(ひやうぢやう)をやめて、194おとなしく(あさ)から(ばん)まで此処(ここ)沈澱(ちんでん)するのが、195それが第一(だいいち)安全弁(あんぜんべん)だよ』
196シール『オイ、197ベス、198(まへ)竜雲(りううん)(さま)将来(しやうらい)如何(どう)なると(かんが)へるか』
199ベス(おれ)(たち)がそんな(こと)干渉(かんせう)する()けの権能(けんのう)()い。200()(かく)喉元(のどもと)這入(はい)つて、201(ひげ)(ちり)さへ(はら)つて()れば()いぢやないか。202(そで)(した)からも(まは)()可愛(かあい)いと()ふことがあるよ。203テールの(やつ)204(ちから)(なに)もない(くせ)(すば)しこく(まは)りよつて、205アレあの(とほ)り、206竜雲(りううん)(さま)(まる)懐刀(ふところがたな)(やう)地位(ちゐ)()ち、207羽振(はぶ)りを()かして()よるぢやないか。208(くだ)らぬ道徳論(だうとくろん)(とら)へられて理窟(りくつ)(しやべ)つて()ると、209彼奴(あいつ)(あたま)(ふる)い、210時代遅(じだいおく)れだ、211(ひと)頭脳(づなう)のキルクを()いて(ふる)()をぬき()り、212(あたら)しく()()へて(いま)一度(いちど)(きた)()げてやらねば、213こんな寝息(ねいき)ものは夜店(よみせ)()した(ところ)で、214乞食(こじき)()つて()れないと()つて、215親切(しんせつ)頭脳(づなう)解剖(かいばう)をやられて(しま)ふよ。216()(かく)217人間(にんげん)自己(じこ)生活(せいくわつ)安全(あんぜん)にするのが第一(だいいち)だ。218(みち)()め、219(きみ)()め、220()()め、221(ひと)()(など)(うま)雅号(ががう)(おもて)使(つか)つて、222何奴(どいつ)此奴(こいつ)羊頭(やうとう)(かか)げて狗肉(くにく)()つてるのだから、223()(なか)()堕落(だらく)して(しま)つちや、224到底(たうてい)昔気質(むかしかたぎ)馬鹿(ばか)正直(しやうぢき)では、225牛馬(ぎうば)にだつて()(ころ)されて(しま)ふよ。226チツとシツカリせないと社会(しやくわい)無用物(むようぶつ)となつて(しま)はねばならぬからなア。227アハヽヽヽ』
228 ()(はな)(をり)しも、229何処(いづこ)ともなく門前(もんぜん)(ちか)くに宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)(きた)る。
230(天の目一つの神)(かみ)(おもて)(あら)はれて
231善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)()()ける
232(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
233(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
234(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
235直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
236()(あやま)ちは()(なほ)
237(たふと)(かみ)(おん)(をしへ)
238仮令(たとへ)天地(てんち)(かは)るとも
239(まこと)(ひと)つの正道(まさみち)
240ミロクの御世(みよ)(すゑ)(まで)
241堅磐(かきは)常磐(ときは)(かは)らまじ
242(いち)()(よく)()(まよ)
243()()()びて(くさ)るてふ
244(かたち)(うへ)御宝(みたから)
245(てん)より()けたる分霊(ぶんれい)
246(こころ)(くも)らせ()(けが)
247()らず()らずに()(くに)
248(そこ)(くに)へと()()きて
249(われ)(わが)()(くる)しめる
250世人(よびと)(なや)みを(すく)はむと
251天津(あまつ)御神(みかみ)国津(くにつ)(かみ)
252(この)()(すく)生神(いきがみ)
253(をしへ)をもちて四方(よも)(くに)
254(みちび)(さと)宣伝使(せんでんし)
255此処(ここ)(あら)はれ(きた)りけり
256(いきほ)(つよ)竜雲(りううん)
257(いま)(さくら)花盛(はなざか)
258常世(とこよ)(はる)(たの)しみて
259不義(ふぎ)快楽(けらく)(ふけ)(をり)
260天津(あまつ)御空(みそら)(たちま)ちに
261黒雲(くろくも)(おこ)りて無残(むざん)にも
262(あらし)となりて()()らす
263明日(あす)明後日(あさつて)来年(らいねん)
264(ひやく)(ねん)(せん)(ねん)(さき)(まで)
265(この)(まま)(さか)()くべしと
266(おも)(こころ)徒桜(あだざくら)
267(たちま)(つよ)夜嵐(よあらし)
268()ちたたかれて諸人(もろびと)
269もて(はや)されし(さくら)さへ
270(あらし)()りて老若(らうにやく)
271(あし)()まれる()(なら)
272因果(いんぐわ)応報(おうはう)(たちま)ちに
273(めぐ)浮世(うきよ)有様(ありさま)
274()らず()らずに()(おく)
275曲津(まがつ)(わざ)(かな)しけれ
276あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
277御霊(みたま)(さち)はひましまして
278一日(ひとひ)(はや)竜雲(りううん)
279(こころ)()める曲神(まがかみ)
280(かみ)御水火(みいき)弥高(いやたか)
281(はら)はせ(たま)へケールス(ひめ)
282(きみ)(みこと)(まよ)ひをば
283科戸(しなど)(かぜ)のいと(きよ)
284(はら)(きよ)めて(もと)(ごと)
285(あか)(こころ)となさしめよ
286朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
287(つき)()つとも()くるとも
288仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
289(まこと)(ちから)()(すく)
290(まこと)(この)()(たから)ぞや
291(あく)身魂(みたま)一時(ひととき)
292(しげ)(さか)ゆる(こと)あるも
293天地(てんち)(かみ)(さと)()
294如何(いか)でか()れむ(まが)(つみ)
295(ほろ)ぼされむは()(あたり)
296(はや)(こころ)()(なほ)
297さすれば(かみ)(なんぢ)()
298(こころ)(ひそ)曲鬼(まがおに)
299(きた)(たま)ひて天地(あめつち)
300(かみ)御霊(みたま)になりませる
301(きよ)御霊(みたま)(さづ)けまし
302(この)()(たから)となさしめむ
303神世(かみよ)(はしら)となさしめむ
304あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
305御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
306(うた)(をは)ると(とも)に、307(はや)くも(うた)(ぬし)門前(もんぜん)姿(すがた)(あら)はしにけり。
308 シール、309ベスの両人(りやうにん)酔眼(すゐがん)朦朧(もうろう)としながら、310(この)宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(むね)()さるる(ごと)心地(ここち)して、311(おそ)(おそ)表門(おもてもん)をパツと(ひら)()れば、312白髪(はくはつ)異様(いやう)老人(らうじん)313左手(ゆんで)(ふと)(つゑ)をつき、314右手(めて)(あふぎ)(かた)(にぎ)り、315儼然(げんぜん)として仁王立(にわうだ)ちになつて()る。316シールは老人(らうじん)異様(いやう)姿(すがた)(おどろ)いて(した)(もつ)らしながら、
317シール『お(まへ)何処(どこ)(ぢい)さまか()らぬが、318今日(けふ)(この)(しろ)(やかた)公休日(こうきうび)だから(かへ)つて(くだ)され。319明日(あす)(また)日曜(にちえう)320明後日(あさつて)国際日(こくさいび)321(その)翌日(よくじつ)(わう)(さま)のお(とう)(さま)()命日(めいにち)322(その)(また)翌日(よくじつ)()誕生日(たんじやうび)323(その)(また)翌日(よくじつ)はお(ひめ)(さま)()誕生日(たんじやうび)だ。324さうして(その)(さき)役人(やくにん)(ども)誕生日(たんじやうび)両親(りやうしん)命日(めいにち)(つづ)くのだから、325何卒(どうぞ)(その)()(のぞ)いて()(くだ)され。326これ(だけ)機嫌(きげん)()般若湯(はんにやたう)(くら)()うて()(ところ)へ、327殺風景(さつぷうけい)独眼爺(ひとつめぢい)さまがやつて()ちや面白(おもしろ)くない。328(なん)とか竜雲(りううん)(さま)悪心(あくしん)(なほ)してやらうと(おも)うて()()れたのだらうが到底(たうてい)駄目(だめ)だ。329そんな老爺心(らうやしん)(たれ)()くものはないから、330可惜口(あつたらぐち)(かぜ)()かすよりもトツトと(かへ)つた(はう)が、331(まへ)()めにお(とく)だ。332(もの)()へば(くちびる)(さむ)(あき)(かぜ)333サアサア()んだり()んだり』
334老人(天の目一つの神)『アハヽヽヽ(なん)面白(おもしろ)門番(もんばん)もあつたものだな。335門番(もんばん)にしてこれ()けの粋人(すゐじん)()以上(いじやう)は、336随分(ずゐぶん)大奥(おほおく)百花(ひやくくわ)爛漫(らんまん)たる天国(てんごく)光景(くわうけい)展開(てんかい)されて()るだらう。337和気(わき)靄々(あいあい)として上下(しやうか)一致(いつち)338(その)(たの)しみを(とも)にする竜雲(りううん)のやり(かた)339(まこと)(もつ)感服(かんぷく)(いた)りだ。340イヤもう(ひと)()うなくては(かな)はぬ。341()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ、342(やみ)(あと)には(つき)()る。343アハヽヽヽ』
344ベス『やア此奴(こいつ)面白(おもしろ)死損(しにぞこな)ひだ。345あまり大奥(おほおく)何々(なになに)だから、346(ひと)竜雲(りううん)(さま)(まを)()げて、347城内(じやうない)空気(くうき)一洗(いつせん)して(もら)(こと)取計(とりはか)らふて()ませう。348これこれ老爺(おやぢ)どの、349其処(そこ)(しばら)()つて()ておくれ』
350老人(天の目一つの神)『アハヽヽヽ(べつ)竜雲(りううん)返答(へんたふ)()つまでもなく、351(この)独眼(ひとつめ)老爺(おやぢ)がどしどしと侵入(しんにふ)するであらう』
352ベス『アもしもし、353そんな(こと)をして(もら)つてはタヽヽ大変(たいへん)です。354(この)門番(もんばん)(たちま)今日(けふ)から足袋屋(たびや)看板(かんばん)足上(あしあが)りになつちや(たま)りませぬ、355愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()れば(くび)()びます。356何卒(どうぞ)大奥(おほおく)のお返事(へんじ)()いて()(まで)暫時(ざんじ)猶予(いうよ)(ねが)ひます。357門番(もんばん)門番(もんばん)としての職務(しよくむ)(かた)(まも)らねばなりませぬからな』
358老人(天の目一つの神)『アハヽヽヽ、359(まへ)(たち)はそれだから現代(げんだい)()れられないのだ。360あまり(つつし)んで門番(もんばん)(つと)めるものだから、361到頭(たうとう)大将(たいしやう)に……彼奴(あいつ)門番(もんばん)には(もつと)適当(てきたう)人物(じんぶつ)だ……と鑑定(かんてい)されて(しま)ひ、362一生(いつしやう)一代(いちだい)(いや)しき門番(もんばん)(つと)めて()らねばならないのだ。363常世(とこよ)(くに)常世城(とこよじやう)門番(もんばん)は、364失敗(しつぱい)結果(けつくわ)抜擢(ばつてき)されて右守(うもり)(かみ)昇進(しようしん)したことがあるぞよ。365(この)()(なか)にお(まへ)(やう)馬鹿(ばか)正直(しやうぢき)(もの)が、366如何(どう)して生活(せいくわつ)完全(くわんぜん)(つづ)けて()(こと)出来(でき)るか。367さてもさても可憐相(かはいさう)腰抜(こしぬけ)(をとこ)だなア。368アハヽヽヽ』
369(かた)(ゆす)つて(おほ)きく(わら)ふ。
370シール『ヤア此奴(こいつ)中々(なかなか)(はな)せる(ぢい)さまだ。371一々(いちいち)肯綮(こうけい)(あた)名論(めいろん)卓説(たくせつ)()きよる。372オイ、373ベス、374仲々(なかなか)前途(ぜんと)有望(いうばう)だ。375(はや)大奥(おほおく)報告(はうこく)して()い。376屹度(きつと)ウラル(けう)だぞ……()めよ(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)(やみ)よ……と()つたらう』
377ベス『オウさうだ。378此奴(こいつ)面白(おもしろ)い!』
379とベスは(あわただ)しく大奥(おほおく)さして(すす)()る。
380大正一一・九・二三 旧八・三 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki