霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二四章 三六合(みろくがふ)〔一〇一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第4篇 言霊神軍 よみ(新仮名遣い):ことたましんぐん
章:第24章 三六合 よみ(新仮名遣い):みろくごう 通し章番号:1012
口述日:1922(大正11)年09月24日(旧08月4日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
続いて、サガレン王の左守タールチンの妻・キングス姫はこれまでの経緯を述懐する祝歌を歌った。またエームスも顕恩郷をサガレン王と共に出立してから、竜雲に牢獄に捉われていたこと、牢獄を脱出して王と松浦の里に逃げ、そこで天の目一つの神に出会って改心したこと等、これまでのいきさつを祝歌に歌った。
サガレン王は天の目一つの神の媒酌によって君子姫をめとって妃となし、シロの島に君臨した。エームスは清子姫をめとり、サガレン王の右守となって仕えた。
ケールス姫は天の目一つの神の弟子となり、ついに宣伝使となって天下四方の国々を巡教した。
竜雲はシロの島を放逐されたが、インド本土に帰って心を改め、神の大道の宣伝に従事したという。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-15 13:01:07 文字数:3354 OBC :rm3624
愛善世界社版:269頁 八幡書店版:第6輯 678頁 修補版: 校定版:281頁 普及版:117頁 初版: ページ備考:
001 キングス姫(ひめ)は立上(たちあが)り、002銀扇(ぎんせん)を拡(ひろ)げて歌(うた)ひ舞(ま)ふ。
003キングス姫『白雲山(はくうんざん)の山麓(さんろく)に
004そそり立(た)ちたる神館(かむやかた)
005天地(てんち)を包(つつ)みし黒雲(くろくも)も
006今(いま)や全(まつた)く晴(は)れわたり
007正義(せいぎ)の光(ひかり)は日月(じつげつ)の
008輝(かがや)く御代(みよ)となりにけり
009タールチンの吾(わが)夫(つま)は
010サガレン王(わう)に見出(みいだ)され
011左守(さもり)の神(かみ)と任(ま)けられて
012朝(あさ)な夕(ゆふ)なに真心(まごころ)を
013尽(つく)して仕(つか)へゐたりしが
014何処(いづこ)ともなく降(くだ)り来(く)る
015曲(まが)の司(つかさ)の竜雲(りううん)が
016舌(した)の剣(つるぎ)に貫(つらぬ)かれ
017其(その)身(み)も危(あやふ)くなりければ
018バラモン教(けう)の大神(おほかみ)に
019朝(あさ)な夕(ゆふ)なに真心(まごころ)を
020捧(ささ)げて祈(いの)りし時(とき)もあれ
021心(こころ)傲(たか)ぶる竜雲(りううん)が
022妾(わらは)に向(むか)つて恐(おそ)ろしや
023天地(てんち)許(ゆる)さぬ恋雲(こひぐも)の
024心(こころ)汚(きたな)き其(その)艶書(えんしよ)
025吾(わが)背(せ)の君(きみ)の目(め)を忍(しの)び
026いらへをなせと迫(せま)り来(く)る
027余(あま)りの無道(むだう)に呆(あき)れ果(は)て
028天地(てんち)に神(かみ)はなきものか
029誠(まこと)の神(かみ)のいますなら
030此(この)黒雲(くろくも)を逸早(いちはや)く
031晴(は)らさせ玉(たま)へと祈(いの)る折(をり)
032吾(わが)背(せ)の君(きみ)は側(そば)近(ちか)く
033進(すす)ませ玉(たま)ひて竜雲(りううん)が
034艶書(えんしよ)を見(み)せよと恥(はづ)かしや
035迫(せま)りますこそ是非(ぜひ)なけれ
036顔(かほ)赤(あか)らめて竜雲(りううん)が
037心(こころ)乱(みだ)れし艶書(つやぶみ)を
038吾(わが)背(せ)の君(きみ)に相渡(あひわた)し
039夫婦(ふうふ)和合(わがふ)の謀計(はかりごと)
040茲(ここ)に返書(へんしよ)を認(したた)めて
041恋(こひ)に迷(まよ)ひし竜雲(りううん)を
042夏風(なつかぜ)涼(すず)しき藤(ふぢ)の森(もり)
043大木(おほき)の下(もと)に誘(いざな)ひつ
044企(たく)みも深(ふか)き陥穽(おとしあな)
045道(みち)の真中(まなか)に相穿(あひうが)ち
046今(いま)や遅(おそ)しと待(ま)つ内(うち)に
047神(かみ)ならぬ身(み)の竜雲(りううん)は
048かかる企(たく)みのある事(こと)を
049夢(ゆめ)にも知(し)らず夜(よ)に紛(まぎ)れ
050館(やかた)を一人(ひとり)立出(たちい)でて
051恋(こひ)しき女(をんな)の只(ただ)一人(ひとり)
052空(そら)を眺(なが)めてわれ待(ま)つと
053思(おも)ひ詰(つ)めたる愚(おろか)さよ
054竜雲(りううん)忽(たちま)ち坂路(さかみち)に
055吾(わが)背(せ)の君(きみ)の穿(うが)ちたる
056無残(むざん)や穴(あな)におち込(こ)めば
057木蔭(こかげ)に潜(ひそ)みしタールチン
058君(きみ)の仇(あだ)をば滅(ほろぼ)すは
059今(いま)此(この)時(とき)と勇(いさ)み立(た)ち
060かねて用意(ようい)の鍬(くは)をもち
061苦(くる)しみ悶(もだ)ゆる竜雲(りううん)の
062頭(あたま)の上(うへ)よりバラバラと
063岩石(がんせき)交(まじ)りの土塊(つちくれ)を
064蔽(おほ)ひかぶせて何気(なにげ)なく
065吾(わが)家(や)をさして帰(かへ)りけり
066悪運(あくうん)尽(つ)きざる竜雲(りううん)は
067思(おも)ひ掛(がけ)なくエームスの
068神(かみ)の司(つかさ)に助(たす)けられ
069命(いのち)カラガラ城内(じやうない)に
070慄(ふる)ひ慄(ふる)ひて立帰(たちかへ)り
071あくるを待(ま)つてエームスを
072吾(わが)側(そば)近(ちか)く呼(よ)び出(いだ)し
073汝(なんぢ)はわれの危難(きなん)をば
074救(すく)ひし功績(いさを)はよみすれど
075タールチンやテーリスと
076心(こころ)を協(あは)せて吾(わが)身(み)をば
077ベツトせむとの企(たく)みなり
078かくなる上(うへ)は一時(ひととき)も
079容赦(ようしや)はならぬと言(い)ひ放(はな)ち
080情容赦(なさけようしや)も荒縄(あらなは)に
081手足(てあし)を縛(しば)りて牢獄(らうごく)に
082投込(なげこ)みけるぞ無残(むざん)なれ
083あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
084神(かみ)の御霊(みたま)の幸(さち)はひて
085吾(われ)等(ら)夫婦(ふうふ)は牢獄(らうごく)に
086捕(とら)へられたる身(み)乍(なが)らも
087少(すこ)しの苦痛(くつう)も感(かん)じなく
088神(かみ)の賜(たま)ひし吾(わが)魂(たま)は
089天地(てんち)を広(ひろ)く逍遥(せうえう)し
090東雲(しののめ)近(ちか)く旭(あさひ)かげ
091昇(のぼ)らせ玉(たま)ひて六合(りくがふ)を
092照(て)らさむ時(とき)を待(ま)つ内(うち)に
093アナン、ユーズの神司(かむつかさ)
094義兵(ぎへい)を起(おこ)して城内(じやうない)に
095鬨(とき)を作(つく)つて攻(せ)め来(きた)る
096其(その)勢(いきほひ)ぞ勇(いさ)ましき
097吾(われ)等(ら)夫婦(ふうふ)は忠勇(ちうゆう)の
098神(かみ)の司(つかさ)に助(たす)けられ
099サガレン王(わう)の隠(かく)れます
100小糸(こいと)の里(さと)の岩窟(がんくつ)に
101暫(しば)しかくれて竜雲(りううん)を
102誅伐(ちうばつ)せむと謀計(はかりごと)
103めぐらす折(をり)しも三五(あななひ)の
104神(かみ)の司(つかさ)の宣伝使(せんでんし)
105北光(きたてる)神(かみ)の現(あ)れまして
106神(かみ)の誠(まこと)の御心(みこころ)を
107完美(うまら)に委曲(つばら)に説(と)き諭(さと)し
108心(こころ)にかかりし村雲(むらくも)を
109洗(あら)ひ玉(たま)ひし嬉(うれ)しさよ
110サガレン王(わう)を始(はじ)めとし
111君子(きみこ)の姫(ひめ)や清子姫(きよこひめ)
112吾(わが)背(せ)の君(きみ)やエームスや
113テーリス、ウインチ、ゼム、エール
114百(もも)の司(つかさ)と諸共(もろとも)に
115言霊軍(ことたまぐん)を編成(へんせい)し
116風(かぜ)に旗(はた)をば翻(ひるがへ)し
117旗鼓(きこ)堂々(だうだう)と山路(やまみち)を
118単縦陣(たんじうぢん)をはり乍(なが)ら
119攻(せ)めよせ来(きた)りし勇(いさ)ましさ
120又(また)もや北光彦(きたてるひこの)神(かみ)
121ここに現(あら)はれましまして
122善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)の道(みち)を説(と)き
123敵(てき)と味方(みかた)の隔(へだ)てなく
124心(こころ)の空(そら)の村雲(むらくも)を
125伊吹(いぶき)払(はら)ひて救(すく)ひまし
126神人(しんじん)和楽(わらく)の瑞祥(ずゐしやう)を
127八尋(やひろ)の殿(との)に集(あつ)まりて
128祝(ことほ)ぎまつるぞ嬉(うれ)しけれ
129あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
130御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ
131朝日(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
132月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
133仮令(たとへ)命(いのち)はすつるとも
134神(かみ)の御(おん)為(ため)国(くに)の為(ため)
135心(こころ)尽(つく)しの大丈夫(ますらを)が
136神(かみ)と君(きみ)とに捧(ささ)げたる
137其(その)真心(まごころ)は永久(とこしへ)に
138千引(ちびき)の岩(いは)のいや固(かた)く
139千代(ちよ)も八千代(やちよ)も動(うご)かざれ
140神(かみ)は吾(われ)等(ら)を守(まも)ります
141吾(われ)等(ら)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
142神(かみ)に等(ひと)しき行(おこな)ひを
143現(あら)はしまつり世(よ)の人(ひと)を
144神(かみ)の大道(おほぢ)に導(みちび)くは
145神(かみ)の司(つかさ)と任(ま)けられし
146吾(われ)等(ら)の尊(たふと)き務(つと)めなり
147国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)や
148塩長彦(しほながひこの)大御神(おほみかみ)
149大国彦(おほくにひこ)の御(おん)前(まへ)に
150真心(まごころ)捧(ささ)げて願(ね)ぎまつる
151あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
152御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
153 エームスは立上(たちあが)り祝歌(しゆくか)を謡(うた)ふ。
154エームス『常世(とこよ)の国(くに)の自在天(じざいてん)
155大国彦(おほくにひこ)を祀(まつ)りたる
156バラモン教(けう)の神館(かむやかた)
157顕恩城(けんおんじやう)にあれませし
158大国別(おほくにわけ)の貴(うづ)の御子(みこ)
159国別彦(くにわけひこ)の吾(わが)君(きみ)は
160心(こころ)汚(きたな)き曲神(まがかみ)に
161虐(しひた)げられて聖地(せいち)をば
162後(あと)に見(み)すててはるばると
163百(もも)の悩(なや)みに堪(た)へながら
164大海原(おほうなばら)を乗越(のりこ)えて
165波(なみ)に浮(うか)べるシロの島(しま)
166珍(うづ)の御国(みくに)に着(つ)き玉(たま)ひ
167バラモン教(けう)の大道(おほみち)を
168心(こころ)をつくして遠近(をちこち)に
169開(ひら)かせ玉(たま)ふ有難(ありがた)さ
170セイロン島(たう)の国人(くにびと)は
171君(きみ)の御徳(みとく)を慕(した)ひつつ
172遠(とほ)き近(ちか)きの隔(へだ)てなく
173集(あつ)まり来(きた)りて大神(おほかみ)の
174恵(めぐみ)に浴(よく)し吾(わが)君(きみ)の
175其(その)仁徳(じんとく)に感激(かんげき)し
176遂(つひ)には君(きみ)を王(わう)となし
177大峡(おほがひ)小峡(をがひ)の木(き)を伐(き)りて
178珍(うづ)の館(やかた)を建設(けんせつ)し
179サガレン王(わう)と奉称(ほうしよう)し
180主師親(しゆししん)三徳(さんとく)兼備(けんび)せる
181神(かみ)の司(つかさ)よ大君(おほぎみ)と
182上下(しやうか)一般(いつぱん)喜(よろこ)びて
183仕(つか)へまつれる時(とき)もあれ
184醜(しこ)の魔風(まかぜ)のふきすさび
185隙(ひま)行(ゆ)く駒(こま)の恐(おそ)ろしく
186城内(じやうない)深(ふか)く侵入(しんにふ)し
187ケールス姫(ひめ)を手(て)に入(い)れて
188ウラルの教(をしへ)を隈(くま)もなく
189此(この)国内(こくない)に拡(ひろ)めむと
190企(たく)みし曲津(まがつ)の竜雲(りううん)が
191天運(てんうん)ここに相(あひ)尽(つ)きて
192今(いま)は全(まつた)く旧悪(きうあく)を
193吾(わが)大君(おほぎみ)の御(おん)前(まへ)に
194つつまずかくさず言上(ごんじやう)し
195救(すく)ひを求(もと)むる世(よ)となりぬ
196思(おも)へば思(おも)へば過(す)ぎし夜半(よは)
197月見(つきみ)をせむと藤(ふぢ)の森(もり)
198峰(みね)に上(のぼ)りて吹(ふ)き来(きた)る
199夜風(よかぜ)に汗(あせ)を拭(ぬぐ)ひつつ
200月(つき)の光(ひかり)をほめながら
201坂道(さかみち)下(くだ)る折柄(をりから)に
202辷(すべ)り落(お)ちたる陥穽(おとしあな)
203訝(いぶか)しさよと窺(うかが)へば
204思(おも)ひもかけぬ人(ひと)の声(こゑ)
205こは何者(なにもの)の悪業(あくげふ)か
206おちたる人(ひと)は何人(なにびと)と
207供(とも)を家路(いへぢ)に走(はし)らせて
208鋤(すき)や鍬(くは)をば数多(かずおほ)く
209使(つか)ひて漸(やうや)く救(すく)ひ上(あ)げ
210月(つき)にすかして眺(なが)むれば
211豈計(あにはか)らむや朝夕(あさゆふ)に
212君(きみ)に仇(あだ)する曲津(まがつ)神(かみ)
213心(こころ)汚(きたな)き竜雲(りううん)と
214悟(さと)りし時(とき)の残念(ざんねん)さ
215斯(か)うなる上(うへ)は是非(ぜひ)もなし
216天地(てんち)の神(かみ)の御心(みこころ)に
217任(まか)さむものと断念(だんねん)し
218家路(いへぢ)に帰(かへ)り一夜(ひとよ)さを
219明(あ)かす間(ま)もなく竜雲(りううん)が
220捕手(とりて)の奴(やつ)に捕(とら)へられ
221案(あん)に相違(さうゐ)の牢獄(らうごく)に
222投込(なげこ)まれたる無念(むねん)さよ
223あゝさり乍(なが)らさり乍(なが)ら
224神(かみ)は至愛(しあい)にましませば
225いかでか悪魔(あくま)の竜雲(りううん)を
226見(み)のがし玉(たま)ふ事(こと)やある
227あゝ待(ま)て暫(しば)し待(ま)て暫(しば)し
228心(こころ)を清(きよ)め身(み)を清(きよ)め
229尊(たふと)き神(かみ)の御救(みすく)ひに
230これの牢獄(ひとや)をぬけ出(いだ)し
231サガレン王(わう)の御(おん)為(ため)に
232八岐(やまた)大蛇(をろち)の宿(やど)りたる
233醜神(しこがみ)たちを悉(ことごと)く
234神(かみ)の伊吹(いぶき)に吹(ふ)き払(はら)ひ
235清明(せいめい)無垢(むく)の聖場(せいぢやう)と
236立直(たてなほ)さむは目(ま)のあたり
237あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
238大国彦(おほくにひこ)の御(おん)神(かみ)よ
239われらが尽(つく)す誠忠(せいちう)を
240憐(あはれ)み玉(たま)へと祈(いの)る折(をり)
241アナン、セールやウインチや
242ゼムの司(つかさ)が時(とき)を得(え)て
243義勇(ぎゆう)の軍(いくさ)を編成(へんせい)し
244進(すす)み来(きた)りて吾々(われわれ)を
245救(すく)ひ玉(たま)ひし嬉(うれ)しさよ
246勇気(ゆうき)はここに百倍(ひやくばい)し
247勢(いきほひ)込(こ)んで竜雲(りううん)が
248居室(きよしつ)をさして進(すす)み行(ゆ)く
249あはれやユーズを始(はじ)めとし
250アナン、セールやシルレング
251誠(まこと)の司(つかさ)は室内(しつない)の
252俄作(にはかづく)りの陥穽(おとしあな)に
253おち入(い)り玉(たま)へば諸人(もろびと)は
254曲(まが)の巣(す)くへる此(この)館(やかた)
255深入(ふかい)りするは虞(おそれ)あり
256一先(ひとま)づここを引返(ひきかへ)し
257再(ふたた)び軍備(ぐんび)をととのへて
258彼(かれ)竜雲(りううん)が輩(ともがら)を
259剣(つるぎ)の威徳(ゐとく)に斬(き)りはふり
260殲滅(せんめつ)せむといひ乍(なが)ら
261軍(いくさ)を返(かへ)すもどかしさ
262あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
263神(かみ)の此(この)世(よ)にましまさば
264悪(あく)を退(しりぞ)け善神(ぜんしん)を
265何故(なにゆゑ)助(たす)け玉(たま)はざる
266などと愚痴(ぐち)をばこぼしつつ
267思(おも)ひ思(おも)ひに一同(いちどう)は
268一先(ひとま)づ姿(すがた)をかくしける
269サガレン王(わう)はテーリスや
270エームス二人(ふたり)に助(たす)けられ
271河森川(かうもりがは)の坂道(さかみち)を
272下(くだ)りて時(とき)を松浦(まつうら)の
273小糸(こいと)の里(さと)に至(いた)りまし
274正義(せいぎ)の勇士(ゆうし)を駆(か)り集(あつ)め
275再(ふたた)び竜雲(りううん)誅伐(ちうばつ)の
276準備(じゆんび)をすすませ玉(たま)ふ折(をり)
277北光彦(きたてるひこ)の神司(かむつかさ)
278鳩(はと)の如(ごと)くに降(くだ)りまし
279続(つづ)いていでます君子姫(きみこひめ)
280清子(きよこ)の姫(ひめ)の宣伝使(せんでんし)
281吾(わが)大君(おほぎみ)と諸共(もろとも)に
282心(こころ)を協(あは)せ御力(みちから)を
283一(ひと)つになして宣伝歌(せんでんか)
284歌(うた)ひて進(すす)む勇(いさ)ましさ
285神(かみ)の恵(めぐみ)の幸(さち)はひて
286今日(けふ)の喜(よろこ)び松(まつ)の世(よ)の
287堅磐(かきは)常磐(ときは)の礎(いしずゑ)を
288築(きづ)き玉(たま)ひて永久(とこしへ)に
289白雲山(はくうんざん)の雲(くも)もはれ
290神地(かうぢ)の都(みやこ)の庭(には)固(かた)く
291千引(ちびき)の岩(いは)の其(その)上(うへ)に
292千代(ちよ)の住処(すみか)を固(かた)めつつ
293神(かみ)を敬(うやま)ひ民(たみ)を撫(な)で
294治(をさ)め玉(たま)はむ今日(けふ)の日(ひ)は
295五六七(みろく)の御代(みよ)の開(ひら)け口(ぐち)
296一度(いちど)に開(ひら)く木(こ)の花(はな)の
297咲耶(さくや)の姫(ひめ)の御(おん)姿(すがた)
298蓮(はちす)の花(はな)の一時(ひととき)に
299匂(にほ)ひ出(い)でたる目出度(めでた)さよ
300あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
301御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
302 此(こ)の外(ほか)数多(あまた)の神司(かむつかさ)の祝歌(しゆくか)は沢山(たくさん)あれども、303紙面(しめん)の都合(つがふ)に依(よ)りて省略(しやうりやく)したり。
304 因(ちなみ)にサガレン王(わう)は天(あめ)の目一(まひと)つの神(かみ)の媒酌(ばいしやく)に依(よ)り、305君子姫(きみこひめ)を娶(めと)つて妃(ひ)となし、306シロの島(しま)に永久(とこしへ)に君臨(くんりん)する事(こと)となりぬ。307又(また)エームスは目一(まひと)つの神(かみ)の媒酌(ばいしやく)にて清子姫(きよこひめ)を娶(めと)り、308サガレン王(わう)が側(そば)近(ちか)く右守神(うもりがみ)となつて、309顕幽(けんいう)一致(いつち)の神政(しんせい)に奉仕(ほうし)し、310ケールス姫(ひめ)は悔(く)い改(あらた)め、311天(あめ)の目一(まひと)つの神(かみ)の弟子(でし)となり、312宣伝使(せんでんし)を許(ゆる)されて天(あめ)の下(した)四方(よも)の国々(くにぐに)を巡教(じゆんけう)し、313竜雲(りううん)は此(この)島(しま)を放逐(はうちく)され、314本国(ほんごく)印度(いんど)に帰(かへ)り、315心(こころ)を改(あらた)めて大道(おほぢ)の宣伝(せんでん)に従事(じうじ)せしといふ。316惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
317(大正一一・九・二四 旧八・四 松村真澄録)
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