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第四章 珍客(ちんきやく)〔一〇八八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻 篇:第1篇 恋雲魔風 よみ(新仮名遣い):れんうんまふう
章:第4章 珍客 よみ(新仮名遣い):ちんきゃく 通し章番号:1088
口述日:1922(大正11)年11月01日(旧09月13日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
午前の五つ時、鬼熊別の館の前に石生能姫が現れて門番に門を開けるよう急き立てた。門番の注進によりやってきた熊彦は、一目見てそれが石生能姫であることを認めた。そして慌てて鬼熊別の奥殿に通した。
鬼熊別は、熊彦に伴われて石生能姫がやってきたことに驚きを隠せなかった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-12-12 21:59:07 OBC :rm4004
愛善世界社版:44頁 八幡書店版:第7輯 434頁 修補版: 校定版:45頁 普及版:21頁 初版: ページ備考:
001 鬼熊別(おにくまわけ)(やかた)午前(ごぜん)(いつ)(どき)朝8時頃002妙齢(めうれい)美人(びじん)深編笠(ふかあみがさ)(かぶ)り、003(おもて)(つつ)門前(もんぜん)(あら)はれた。004これは読者(どくしや)(みみ)には(あら)たなる石生能(いその)(ひめ)たることは間違(まちが)ひのない事実(じじつ)である。005石生能(いその)(ひめ)(すず)しき(ほそ)(ごゑ)にて、
006『もしもし門番(もんばん)さま、007一寸(ちよつと)(この)(もん)をあけて(くだ)さい。008(はや)(はや)く』
009とせき()てる。010門番(もんばん)朝寝坊(あさねばう)(やうや)()(あが)り、011まだ手水(てうづ)もつかはず、012()ぶた()(こす)つてゐた(ところ)であつた。
013『エー(なん)だ。014やもめ()主人(しゆじん)(いへ)へ、015なまめかしい(をんな)(こゑ)で「もしもし門番(もんばん)さま、016(この)(もん)をあけて(くだ)さい。017(はや)(はや)く」なんて馬鹿(ばか)にしてけつからア』
018()ひながら(もん)節孔(ふしあな)から一寸(ちよつと)(そと)(のぞ)き、
019『やあ(なん)だ。020深編笠(ふかあみがさ)(かぶ)つてゐるから、021どんな()面相(めんさう)拝見(はいけん)する(こと)出来(でき)ないが、022あの姿(すがた)のいい(こと)023花顔(くわがん)柳腰(りうえう)とは(この)(こと)024窈窕(えうてう)嬋娟(せんけん)たる美人(びじん)(もん)(たた)いて(こひ)しの(きみ)()ふ」と()(まく)だな。025(うち)主人(しゆじん)余程(よほど)堅造(かたざう)だと(おも)つたが、026こんな代物(しろもの)(たづ)ねて()るとは油断(ゆだん)のならぬものだ。027三五教(あななひけう)()(かは)るとか(なん)とか()つてるが、028本当(ほんたう)に、029こんな(こと)があると()(かは)るかも()れない。030どれどれ()けてやらうか』
031()(あが)らうとする。032一人(ひとり)門番(もんばん)()そばつたまま、
033『オイ捨公(すてこう)034無暗(むやみ)(この)(もん)をあけちやならないぞ。035夜前(やぜん)036(おそ)家老職(からうしよく)熊彦(くまひこ)(さま)(おれ)()んで、037(この)(もん)()ずに警戒(けいかい)して()れ。038まして(この)二三(にさん)(にち)(とく)注意(ちうい)しろと()(わた)した。039トツクリ調(しら)べてからでないと無暗(むやみ)()けてはならないぞ。040捨公(すてこう)041すてておけ』
042捨公(すてこう)『それでも(ごん)さま、043あんな立派(りつぱ)なシヤンが(すず)(やう)(こゑ)(たの)んで()るのだもの、044これが()けずにをれようかい。045(をとこ)なら(また)剣呑(けんのん)()(あん)じも()るが、046あんな繊弱(かよわ)(をんな)一人(ひとり)(くらゐ)047(もん)(とほ)してやつた(ところ)剣呑(けんのん)(こと)があるものか。048あまり取越(とりこし)苦労(くらう)をせないでも(おれ)はもう(たま)らぬ(やう)になつた。049()けてやるわ』
050権公(ごんこう)()てと()つたら()たぬかい。051上官(じやうくわん)命令(めいれい)服従(ふくじゆう)せぬか』
052上燗(じやうかん)(めい)服従(ふくじゆう)して昨夜(ゆふべ)余程(よほど)酔払(よつぱら)つたぢやないか。053(まへ)は、054あれほどの上燗(じやうかん)を「こりや、055一寸(ちよつと)熱燗(あつかん)だ」なんて、056(ひと)(かん)させやがつて、057あつかましい叱言(こごと)ほざきやがつて、058二日酔(ふつかゑひ)肝腎(かんじん)使命(しめい)(わす)れやがつて(あたま)(あが)らぬ(くせ)に、059何俺(なにおれ)職権(しよくけん)干渉(かんせう)するのだ。060(おれ)(おれ)特権(とくけん)(もつ)開門(かいもん)するのだ』
061とふりきつて()かうとするのを、062権公(ごんこう)はグツと()(もど)し、
063()()て、064(おれ)(ひと)調(しら)べてやらう』
065『こりや着物(きもの)(やぶ)れるぢやないか。066(まへ)()(やう)(あら)くれ(をとこ)(そで)()()られても、067()つから()つから勘定(かんぢやう)()ひませぬわい。068(おな)()かれるならあのシヤンに()()つて(やぶ)つて(もら)ふわい……ヘヽヽヽやア、069ぼろいぼろいぼろけつぢや。070これだから門番(もんばん)()められぬと()ふのだよ。071あのスタイルでは随分(ずゐぶん)美人(びじん)だらう。072あの風体(ふうてい)高尚(かうしやう)073言辞(げんじ)(つく)すべき(かぎ)りに(あら)ずと()代物(しろもの)だ。074エヘヽヽヽ』
075 権公(ごんこう)委細(ゐさい)(かま)はず門戸(もんこ)節孔(ふしあな)から(そと)(なが)め、
076『ヤア此奴(こいつ)大変(たいへん)だ。077ウツカリ()ける(こと)出来(でき)ない。078どうも合点(がつてん)()かぬ風体(ふうてい)だ。079そしてどこかに見覚(みおぼ)えのある風体(ふうてい)だ。080()(かく)081()家老(からう)(さま)(うかが)つて()(まで)此処(ここ)()つて()てくれ。082それまで(けつ)して何程(なにほど)(そと)から請求(せいきう)しても(ひら)けちやならないぞ』
083()ひすてて(おく)をさして権公(ごんこう)()()した。084(もん)(そと)より、
085『もしもし門番(もんばん)さまエ、086ジレツタイ、087(はや)()けて(くだ)さい。088鬼熊別(おにくまわけ)(さま)折入(をりい)つて(いそ)ぎの(よう)があるのだ。089サア(はや)(はや)う、090(ひと)()られちや大変(たいへん)だから』
091捨公(すてこう)(なに)092(ひと)()られちや大変(たいへん)だと、093(いよいよ)(もつ)(あや)しいわい。094(しか)無理(むり)はない。095(うち)()主人(しゆじん)奥様(おくさま)行衛(ゆくゑ)()れず、096たつた一人(ひとり)のお嬢様(ぢやうさま)(なが)らく何処(どこ)へお()(あそ)ばしたか行衛(ゆくゑ)()れず、097こんな立派(りつぱ)なお()(うへ)になつても(ただ)一人(ひとり)空閨(くうけい)(まも)つてゐらつしやるのだから、098感心(かんしん)なお(かた)だ……と(おも)うてゐたが、099矢張(やつぱり)何処(どこ)かへあんなものが(かこ)うてあつたものと()えるわい。100油断(ゆだん)のならぬ()主人(しゆじん)だ。101磁石(じしやく)(てつ)をひきつける(やう)(なん)()つても(をとこ)(をんな)とは(とほ)いやうで(ちか)いものだな。102エヘヽヽヽ、103もしお女中(ぢよちう)さま、104あなたの腕前(うでまへ)(たい)したものですな。105(わたし)木石漢(ぼくせきかん)ではありませぬよ。106チツとは(こひ)(かた)資格(しかく)のある(をとこ)107そんな(すゐ)()かぬ、108(わたし)ぢや(ござ)いませぬわい。109当家(たうけ)家老(からう)熊彦(くまひこ)といふ不粋(ぶすゐ)(をとこ)権助(ごんすけ)門番(もんばん)()無茶(むちや)苦茶(くちや)糊付物(のりつけもの)(やう)(かた)ばりやがつて「(この)(もん)(ゆる)しがなけりや勝手(かつて)にあけちやならないぞ」なんて(ぬか)しやがるのですよ。110()主人(しゆじん)だつてお(まへ)さまのやうなシヤントコセシヤンがおいでになつても、111(こころ)(うち)ではお(よろこ)びでも表向(おもてむき)故意(わざ)(しち)むつかしい(かほ)して「当家(たうけ)主人(しゆじん)一人暮(ひとりぐら)しだから(をんな)(よう)はない、112(いち)()(はや)()(はら)へよ」なんて(くち)(こころ)正反対(せいはんたい)(こと)仰有(おつしや)(こと)はキマつた生粋(きつすゐ)だ。113そこを()主人(しゆじん)(さま)とお(まへ)のために(すゐ)()かしてやるのが、114(いへ)(すみ)にも()てておけぬ(この)(すて)さまだ。115()てる(かみ)さまもあれば(ひろ)(かみ)もあると()()(なか)に、116(ひろ)ふばかりで一寸(ちよつと)()てぬと()(すて)さまだ。117すつて(こと)(この)(すて)さまが()らなかつたならば権公(ごんこう)(やつ)が、118ゴーンと肱鉄砲(ひぢでつぱう)をかまし、119(にべ)杓子(しやくし)もなく(えのき)(はな)(こす)つた(やう)(むご)挨拶(あいさつ)でおつ()()しでもされようものなら、120それこそステテコテンのテンツクテンだ。121さうなれば折角(せつかく)(まへ)さまも「山野(やまの)()えて遥々(はるばる)(たづ)ねて()()てられようとは()らなんだ。122エーもう捨鉢(すてばち)だ、123()てて甲斐(かひ)ある(わが)(いのち)だ」と自暴自棄(やけ)(おこ)し、124スツテに自害(じがい)()えけるが「アイヤ(しばら)()たれよ。125()一旦(いつたん)にして(やす)し、126()にたくば何時(いつ)でも()ねる、127()んで花実(はなみ)()くものか」と(はな)(した)(なが)(をとこ)()んで()(まく)だが、128(この)(すて)さまは捨身(しやしん)になつて、129(しよく)()してもお(まへ)さまを通過(つうくわ)さしてあげませう。130あまり()てた(をとこ)ではありませぬぞや』
131捨台詞(すてぜりふ)()りまきながらガラガラと(もん)(ひら)いた。132石生能(いその)(ひめ)会釈(ゑしやく)もせず、133ツツと(もん)(また)げるや(いな)や、134捨公(すてこう)小袖(こそで)をグツと引掴(ひつつか)み、
135『まゝゝゝ()つて(くだ)さい。136(まへ)さま、137何処(どこ)女郎衆(ぢよろしう)()らぬが、138門番(もんばん)にこれだけ厄介(やくかい)をかけて心配(しんぱい)をさせながら目礼(もくれい)もせず、139()苦労(くらう)だとも()はず這入(はい)らうとはあまり無躾(ぶしつけ)ぢや(ござ)いませぬか。140(いや)しい門番(もんばん)だと(おも)つて軽蔑(けいべつ)なさるのか()らぬが、141(かみ)(さま)のお()から()れば人間(にんげん)として貴賤(きせん)(べつ)御座(ござ)りませぬぞや』
142『ヤアこれは門番(もんばん)さま、143()まなかつた。144まア(ゆる)して頂戴(ちやうだい)145さア(はや)鬼熊別(おにくまわけ)のお(そば)案内(あんない)しや』
146案内(あんない)申上(まをしあ)げたいは山々(やまやま)なれど、147(わたし)には(この)(もん)(まも)るだけの(やく)で、148大奥(おほおく)まで()案内(あんない)する権限(けんげん)(ござ)りませぬ』
149(なん)とまア、150人種(じんしゆ)平等(べうどう)(とな)へられる()(なか)頑迷(ぐわんめい)固陋(ころう)()家風(かふう)だこと……』
151『これこれ女中(ぢよちう)さま、152(なに)仰有(おつしや)います。153()無礼千万(ぶれいせんばん)にも門口(もんぐち)這入(はい)るや(いな)()家風(かふう)までゴテゴテ()(こと)(ござ)いますか。154サア サア トツトと自由(じいう)(おく)()かつしやい。155熊彦(くまひこ)家老(からう)屹度(きつと)()りませうから、156それと交渉(かうせふ)をした(うへ)157()主人(しゆじん)(さま)にトツクリと(つも)海山(うみやま)(はなし)(あそ)ばし、158(ひさ)()りに()満足(たんのう)をなさいませや』
159『これ門番(もんばん)(すて)とやら、160(まへ)(なん)()(いや)らしい(こと)をいふのだい。161チと心得(こころえ)なされや』
162『チヨツコと仰有(おつしや)いますわい。163ヘン』
164(はな)(さき)(わら)つてゐる。165そこへ羽織袴(はおりはかま)(いか)めしくバサバサと(はかま)(おと)をさせながら権助(ごんすけ)(ともな)ひやつて()たのは熊彦(くまひこ)であつた。166熊彦(くまひこ)一目(ひとめ)()るより(こし)をかがめ叮嚀(ていねい)会釈(ゑしやく)し、
167『あゝ貴女(あなた)はイ……』
168()ひかけて、
169何処(どこ)()女中(ぢよちう)()りませぬが、170何卒(どうぞ)(おく)()(とほ)(くだ)さいませ。171さア(わたし)()案内(あんない)(いた)しませう。172オイ権助(ごんすけ)173捨造(すてざう)174門番(もんばん)(しつ)かり(いた)せよ。175さア()案内(あんない)(いた)しませう。176失礼(しつれい)ながらお(さき)(まゐ)ります。177(わたし)(あと)について()()(くだ)さい。178主人(しゆじん)もさぞお(よろこ)びで(ござ)りませう』
179といそいそとして石生能(いその)(ひめ)(ともな)ひ、180(やかた)(おく)(ふか)姿(すがた)をかくした。
181捨公(すてこう)『オイ(ごん)182(ごん)さま、183一体(いつたい)ありや(なん)だい。184(うち)のレコぢやあるまいかな』
185親指(おやゆび)子指(こゆび)とを()して()せる。
186権公(ごんこう)『ウン』
187捨公(すてこう)『(熊彦(くまひこ)声色(こわいろ))これはこれはハイ、188貴女(あなた)はイ……いやお女中(ぢよちう)さま、189さぞさぞ()主人(しゆじん)(さま)がお(よろこ)びで(ござ)りませう。190サア(わたし)()案内(あんない)(いた)しますから失礼(しつれい)ながらお(さき)へ……なんて(ぬか)しやがつて、191(かまど)不動(ふどう)焼木杭(やけぼくくひ)でたたかれた(やう)(かほ)をしてゐる熊彦(くまひこ)さまの(かほ)(ひも)がサツパリ(ほど)けて(しま)ひ、192(おく)這入(はい)りやがつた(とき)(ざま)()られたものぢやないな。193(をとこ)ばつかりの(この)(やかた)(たま)(をんな)()()ると(さわ)がしいものだ。194万緑(ばんりよく)叢中(そうちう)紅一点(こういつてん)だから、195(この)(やかた)もチツとは(はる)めき(わた)るだろう。196今迄(いままで)はあまり陰気(いんき)なものだから、197(この)屋敷(やしき)(うめ)まで(なん)となく陰気(いんき)()き、198(うぐひす)までがド拍子(びやうし)のぬけた()(ごゑ)をしやがると(おも)つてゐたが、199これからは天国(てんごく)浄土(じやうど)出現(しゆつげん)するだらうよ。200アーア(おれ)(にはか)女房(にようばう)()しくなつて()たわい』
201『ウフヽヽヽ馬鹿(ばか)だなア』
202馬鹿(ばか)貴様(きさま)(こと)だよ。203あんなナイスを()てニツコリともせぬ(やつ)何処(どこ)にあるかい。204無情(むじやう)無血漢(むけつかん)()205(こひ)(あぢ)()らぬ人情(にんじやう)(かい)せぬ(やつ)だ。206あゝ(こま)つた(やつ)(おな)門番(もんばん)をさせられたものだな。207(あさ)から(ばん)まで(さけ)ばつかり(くら)つて、208(まへ)(もん)(ひら)くことと(さけ)(くら)ふことより(げい)がないないア』
209とまだ昨夜(ゆふべ)(さけ)(のこ)りが(たた)つて無性(むしやう)矢鱈(やたら)(ほざ)いてゐる。210権助(ごんすけ)(もの)()はず拳骨(げんこつ)(かた)めて(すて)(あたま)()()つカツンカツンと(なぐ)りつけ、211悠々(いういう)として(もん)(かたへ)番所(ばんしよ)(かへ)()く。
212 (やかた)大奥(おほおく)には宣伝歌(せんでんか)(きこ)えて()た。
213『バラモン(けう)御教(みをしへ)
214(ひら)(たま)ひし常世国(とこよくに)
215大国別(おほくにわけ)(かみ)(さま)
216(あまね)世人(よびと)(すく)はむと
217(こころ)(つく)()(つく)
218(とほ)海原(うなばら)()()えて
219筑紫(つくし)(しま)やイホの(くに)
220埃及都(エヂプトみやこ)()れまして
221(をしへ)(ひら)(たま)ひしが
222三五教(あななひけう)言霊(ことたま)
223()ちはじかれて顕恩(けんおん)
224(さと)数多(あまた)郎党(らうたう)
225(ひき)ゐて()をば(しの)びまし
226(をしへ)基礎(きそ)(ひら)(をり)
227フトした(こと)より幽界(かくりよ)
228(かみ)とはならせ(たま)ひけり
229教司(をしへつかさ)(はじ)めとし
230信徒(まめひと)(たち)(かな)しみて
231(うへ)(した)へと(さわ)ぎしが
232鬼雲彦(おにくもひこ)神司(かむづかさ)
233(やうや)(これ)(しづ)めまし
234(みづか)(かは)つて(あと)をつぎ
235大棟梁(だいとうりやう)自称(じしよう)して
236大国彦(おほくにひこ)神霊(しんれい)
237(つか)()たりし(をり)もあれ
238(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
239()ませる八人(やたり)乙女(をとめ)(たち)
240太玉神(ふとだまがみ)(つかさ)()
241(また)もや(あら)はれ(きた)りまし
242生言霊(いくことたま)発射(はつしや)して
243きため(たま)へば大棟梁(だいとうりやう)
244鬼雲彦(おにくもひこ)(はじ)めとし
245一同(いちどう)此処(ここ)()(のが)
246天ケ下(あめがした)をば遠近(をちこち)
247彷徨(さまよ)(めぐ)りし(かな)しさよ
248鬼雲彦(おにくもひこ)吾々(われわれ)
249(こころ)(あは)(ちから)をば
250(ひと)つになしてバラモンの
251再起(さいき)(はか)りし甲斐(かひ)ありて
252(そら)()(わた)(つき)(くに)
253(はな)()くハルナの(みやこ)にて
254(ふたた)(ひら)くバラモン(けう)
255七千(しちせん)余国(よこく)大半(たいはん)
256(のこ)らず(をしへ)帰順(きじゆん)して
257(やや)安心(あんしん)(おも)(をり)
258油断(ゆだん)()すまし曲津(まがつ)(かみ)
259大黒主(おほくろぬし)(たい)()
260(かみ)(つかさ)にあるまじき
261悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)振舞(ふるまひ)
262()()(すす)(たま)ひつつ
263(みち)(けが)すぞうたてけれ
264(そば)(つか)ふる悪神(わるがみ)
265(やから)(もの)(さへぎ)られ
266二人(ふたり)(なか)溝渠(こうきよ)をば
267穿(うが)たれたるぞ(うた)てけれ
268あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
269バラモン(けう)厳霊(いづみたま)
270(さち)はひまして逸早(いちはや)
271大黒主(おほくろぬし)身魂(みたま)をば
272(はら)(きよ)めて真心(まごころ)
273かへらせ(たま)惟神(かむながら)
274(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる』
275一絃琴(いちげんきん)()きながら(こゑ)(しづ)かに(うた)ひゐるのは、276(この)()主人(しゆじん)鬼熊別(おにくまわけ)であつた。277かかる(ところ)熊彦(くまひこ)案内(あんない)につれて(はづ)かしげに静々(しづしづ)()(きた)(をんな)石生能(いその)(ひめ)である(こと)()ふまでもない。
278 熊彦(くまひこ)(ふすま)押開(おしあ)両手(りやうて)(つか)へ、
279旦那(だんな)(さま)280遥々(はるばる)石生能(いその)(ひめ)(さま)(ただ)一人(ひとり)()訪問(はうもん)になりました。281何事(なにごと)(おこ)つたのでは御座(ござ)いますまいか。282何卒(なにとぞ)(くは)しくお(はなし)をお()(くだ)さいませ』
283()ひながら(わが)居間(ゐま)(さが)る。284鬼熊別(おにくまわけ)一目(ひとめ)()るより(おどろ)いて、
285『よう、286貴方(あなた)石生能(いその)(ひめ)(さま)287どうして(また)一人(ひとり)288拙宅(せつたく)をお(たづ)(くだ)さいましたか。289(なに)()もあれ、290そこは端近(はしぢか)291()()づこれへお(なほ)りを(ねが)ひます』
292『ハイ、293突然(とつぜん)邪魔(じやま)(いた)しまして申訳(まをしわけ)御座(ござ)りませぬ。294左様(さやう)なれば御免(ごめん)(かうむ)りまして(とほ)らして(いただ)きませう』
295大正一一・一一・一 旧九・一三 北村隆光録)
 

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5/15【霊界物語ネット】加藤明子「をりをり物語」を掲載しました。
5/5霊界物語音読霊界物語朗読日記」を始めました。声のブログです。
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