霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 仁愛(じんあい)の真相(しんさう)〔一〇九〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻 篇:第2篇 寒梅照国 よみ(新仮名遣い):かんばいしょうこく
章:第6章 仁愛の真相 よみ(新仮名遣い):じんあいのしんそう 通し章番号:1090
口述日:1922(大正11)年11月01日(旧09月13日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
照国別は岩彦、照公、梅公を従えて西南の原野を跋渉し、ようやくライオン河の二三里手前のクルスの森に来て足を休め、神徳話にふけっていた。
五六七の神は万有一切の有相に現れて世人を救うと説く照国別に対し、照公は、まるで木の花姫神のようだと感想を漏らした。照国別は、木花姫神も五六七大神様の御活動であり、あらゆるものに変現して万有を済度したまうのが大神様の御真相であり、大和魂の根源だと答えた。
照国別は、大和魂とはすべての真・善・美を総合統一した身魂だと説き、仏教の菩提心だと説いた。真神は宇宙の本体、本霊、本力の合致した無限の勢力であり、仏は正覚者、大聖人、大偉人、大真人のことであると解説した。
さらに、大和魂は善の方に働く感情である慈悲心、理性、よき意志の三つが一致して大勇猛心を発揮したものであると説いた。
中でも、理性、知識、意志をよき方向に導くものとしての慈悲心がもっとも重要であり、三五教は慈悲心を柱にする感情教であるから、無抵抗主義もそこから出てくるのであると語り、そして敵を赦すことの重要性を説いた。
一同が神徳話にふけっていると、向こうから数十の騎馬隊がやってくるのが見えた。一同は茂みに身を隠した。彼らはライオン河を渡り、ウブスナ山のイソ館を襲おうと進撃する騎馬隊であった。
騎馬武者たちは森林に馬を乗り捨て、しばらく腰を下ろして雑談を始めた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-28 12:53:53 文字数:3620 OBC :rm4006
愛善世界社版:69頁 八幡書店版:第7輯 444頁 修補版: 校定版:73頁 普及版:34頁 初版: ページ備考:
001 照国別(てるくにわけ)は岩彦(いはひこ)、002照公(てるこう)、003梅公(うめこう)を従(したが)へ清春山(きよはるやま)の岩窟(がんくつ)を立出(たちい)でて、004西南(せいなん)の原野(げんや)を跋渉(ばつせふ)しながら漸(やうや)くにしてライオン河(がは)の二三(にさん)里(り)手前(てまへ)のクルスの森(もり)まで進(すす)み来(きた)り、005爰(ここ)に一行(いつかう)は足(あし)を休(やす)めながら神徳(しんとく)の話(はなし)に時(とき)を移(うつ)し、006照(てる)、007梅(うめ)二人(ふたり)の問(とひ)に答(こた)へむと身(み)を起(おこ)して厳(おごそ)かに至仁至愛(みろく)の真相(しんさう)を歌(うた)ひ始(はじ)めた。
008 その歌(うた)、
009照国別『三千(さんぜん)世界(せかい)の救世主(きうせいしゆ)
010五六七(みろくの)神(かみ)の真実(しんじつ)は
011大慈(だいじ)大悲(だいひ)の大聖者(だいせいじや)
012垢(く)なく染(せん)なく執着(しふちやく)の
013心(こころ)は卯(う)の毛(け)の露(つゆ)もなし
014天人(てんにん)象馬(しやうば)の調御師(てうぎよし)ぞ
015道風(だうふう)徳香(とくかう)万有(ばんいう)に
016薫(くん)じ渡(わた)りて隈(くま)もなし
017智慧(ちけい)恬(しづ)かに情(じやう)恬(しづ)か
018慮凝(りよぎよう)いよいよ静(しづか)なり
019意悪(いあく)は滅(めつ)し識(しき)亡(ばう)じ
020心(こころ)は清(きよ)く明(あきら)かに
021永(なが)く夢妄(むまう)の思想念(しさうねん)
022断(だん)じて水(みづ)の如(ごと)くなり。
023○
024身(み)は有(いう)に非(あら)ず無(む)に非(あら)ず
025因(いん)にもあらず縁(えん)ならず
026自他(じた)にもあらず方(はう)に非(あら)ず
027短長(たんちやう)に非(あら)ず円(ゑん)ならず
028出(しゆつ)にも非(あら)ず没(ぼつ)ならず
029生滅(しやうめつ)ならず造(ざう)ならず
030為作(ゐさ)にあらず起(き)に非(あら)ず
031坐(ざ)にしも非(あら)ず臥(ぐわ)にあらず
032行住(ぎやうぢゆう)に非(あら)ず動(どう)ならず
033閑静(かんせい)に非(あら)ず転(てん)に非(あら)ず
034進(しん)にも非(あら)ず退(たい)ならず
035安危(あんき)にあらず是(ぜ)にあらず
036非(ひ)にしもあらず得失(とくしつ)の
037境地(きやうち)に迷(まよ)ふ事(こと)もなし
038彼(ひ)にしもあらず此(し)にあらず
039去来(きよらい)にあらず青(せい)にあらず
040赤白(せきはく)ならず黄(わう)ならず
041紅色(こうしよく)ならず紫(し)にあらず
042種々色(くさぐさいろ)にもまた非(あら)ず
043水晶(すゐしやう)御魂(みたま)の精髄(せいずゐ)を
044具足(ぐそく)し給(たま)ひし更生主(かうせいしゆ)
045是(これ)ぞ弥勒(みろく)の顕現(けんげん)し
046世界(せかい)を照(て)らす御(ご)真相(しんさう)
047仰(あふ)ぐもたかき大神(おほかみ)の
048絶対(ぜつたい)無限(むげん)の御(ご)神徳(しんとく)
049蒙(かうむ)る神世(みよ)こそ楽(たの)しけれ
050○
051戒定(かいぢやう)慧解(ゑげ)の神力(しんりき)は
052知見(ちけん)の徳(とく)より生成(しやうじやう)し
053三昧(さんまい)六通(ろくつう)は道品(だうぼん)より
054慈悲(じひ)十方(じつぱう)無畏(むゐ)より起(おこ)る
055衆生(しゆじやう)は善業(ぜんごふ)の因(いん)より出(しゆつ)す
056之(これ)を示(しめ)して丈六(ぢやうろく)紫金(しこん)
057無限(むげん)の暉(ひかり)を放散(はうさん)し
058方整(はうせい)に照(て)らし輝(かがや)きて
059光明(くわうみやう)遠(とほ)く明徹(みやうてつ)す
060毫相(がうさう)月(つき)の形(かた)の如(ごと)
061旋(めぐ)りて項(うなじ)に日光(につくわう)あり
062旋髪(せんぱつ)色(いろ)は紺青(こんぜう)に
063項(うなじ)に肉髻(にくけい)湧出(ゆうしゆつ)し
064眼(まなこ)は浄(きよ)く明鏡(めいきやう)と
065輝(かがや)き上下(しやうか)にまじろぎつ
066眉毛(まゆげ)の色(いろ)は紺(こん)に舒(の)び
067口頬(こうけふ)端正(たんせい)唇舌(しんぜつ)は
068丹華(たんげ)の如(ごと)く赤(あか)く好(よ)く
069四十(しじふ)の歯並(はなみ)は白(しろ)くして
070珂雪(あせつ)の如(ごと)く潔(きよ)らけし
071額(ひたひ)は広(ひろ)く鼻脩(はななが)く
072面門(めんもん)開(ひら)けてその胸(むね)は
073万字(まんじ)を表(あら)はす師子(しし)の臆(むね)
074手足(てあし)は清(きよ)く柔(やはら)かく
075千輻(せんぷく)の相(さう)を具(そな)へまし
076腋(やく)と掌(しやう)とに合縵(がふまん)ありて
077内外(ないげ)に握(にぎ)り臂(ひぢ)脩(なが)く
078肘(かいな)も指(ゆび)も繊(ほそ)く長(なが)し
079皮膚(ひふ)細(こま)やかに軟(やはら)かく
080毛髪(まうはつ)何(いづ)れも右旋(いうせん)し
081踝膝(らしつ)露(あら)はに現(あら)はれて
082陰馬(いんめ)の如(ごと)くに蔵(かく)れたり
083細(ほそ)けき筋(すぢ)や銷(とぢ)の骨(ほね)
084鹿(しか)の膊腸(ふちやう)の如(ごと)くなり
085表裏(へうり)映徹(えいてつ)いと浄(きよ)く
086垢(あか)なく穢(ゑ)なく濁水(だくすゐ)に
087染(そ)まることなく塵(ちり)受(う)けず
088三十三(さんじふさん)相(さう)八十(はちじつ)種好(しゆかう)
089至厳(しげん)至聖(しせい)の霊相(れいさう)なり
090相(さう)や非相(ひさう)の色(いろ)もなく
091万有(ばんいう)一切(いつさい)有相(いうさう)の
092眼力(がんりき)対絶(たいぜつ)なしにけり
093五六七(みろく)は無相(むさう)の相(さう)にして
094而(しか)して有相(いうさう)の身(み)に坐(い)まし
095衆生(しゆじやう)の身相(しんさう)その如(ごと)く
096一切(いつさい)衆生(しゆじやう)の歓喜(くわんき)し礼(れい)し
097心(こころ)を投(とう)じ敬(うやま)ひを
098表(へう)して事(こと)を成(じやう)ぜしむ
099是(これ)ぞ即(すなは)ち自高(じかう)我慢(がまん)
100祓除(ばつぢよ)されたる結果(けつくわ)にて
101かくも尊(たふと)き妙色(めうしき)の
102躯(く)をこそ成就(じやうじゆ)し給(たま)ひぬ
103一切(いつさい)衆生(しゆじやう)悉(ことごと)く
104その神徳(しんとく)に敬服(けいふく)し
105帰命(きみやう)し信仰(しんかう)したてまつり
106無事(ぶじ)泰平(たいへい)の神政(しんせい)を
107歓喜(くわんき)し祝(いは)ひ舞(ま)ひ狂(くる)ひ
108千代(ちよ)も八千代(やちよ)も万代(よろづよ)も
109栄(さか)ゆる神世(かみよ)を仰(あふ)ぐなる
110原動力(げんどうりよく)の太柱(ふとばしら)
111仰(あふ)ぐも畏(かしこ)き限(かぎ)りなり
112三五教(あななひけう)は神(かみ)の道(みち)
113仏(ほとけ)の道(みち)の区別(くべつ)なく
114只々(ただただ)真理(しんり)を楯(たて)となし
115世人(よびと)を救(すく)ふ道(みち)なれば
116神(かみ)の教(をしへ)に表(あら)はれし
117弥勒(みろく)の神(かみ)の真実(しんじつ)を
118仏(ほとけ)の唱(とな)ふる法(のり)により
119爰(ここ)にあらあら述(の)べておく
120あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
121御霊(みたま)幸(さち)はひましまして
122三五教(あななひけう)の御教(みをしへ)は
123古今(ここん)を問(と)はず東西(とうざい)を
124区別(くべつ)せずして世(よ)の為(ため)に
125研(みが)き究(きは)めて神儒仏(しんじゆぶつ)
126その他(た)の宗教(しうけう)の真諦(しんたい)を
127覚(さと)りて世(よ)の為(ため)人(ひと)の為(ため)
128誠(まこと)を尽(つく)せ三五(あななひ)の
129教司(をしへつかさ)はいふも更(さら)
130信徒(まめひと)たちに至(いた)るまで
131あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
132御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ
133神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大御神(おほみかみ)
134厳(いづ)の御前(みまへ)に願(ね)ぎ奉(まつ)る』
135照公(てるこう)『宣伝使(せんでんし)様(さま)、136今(いま)の歌(うた)は五六七(みろくの)大神(おほかみ)様(さま)の御(ご)真相(しんさう)ぢやなくて木(こ)の花姫(はなひめ)の神(かみ)様(さま)の様(やう)ですなあ』
137照国(てるくに)『木花姫(このはなひめ)の神(かみ)様(さま)も矢張(やは)り五六七(みろくの)大神(おほかみ)様(さま)の一部(いちぶ)又(また)は全部(ぜんぶ)の御(ご)活動(くわつどう)を遊(あそ)ばすのだよ。138又(また)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)と顕現(けんげん)遊(あそ)ばすこともあり、139棚機姫(たなばたひめ)と現(あら)はれたり、140或(あるひ)は木花(このはな)咲耶姫(さくやひめ)と現(あら)はれたり、141観(くわん)自在天(じざいてん)となつたり、142観世音(くわんぜおん)菩薩(ぼさつ)となつたり、143或(あるひ)は蚊取別(かとりわけ)、144蚊々虎(かがとら)、145カール、146丹州(たんしう)等(など)と現(あら)はれ給(たま)ふ事(こと)もあり、147素盞嗚(すさのをの)尊(みこと)となる事(こと)もあり、148神(かみ)様(さま)は申(まを)すに及(およ)ばず、149人間(にんげん)にも獣(けだもの)にも、150虫族(むしけら)にも、151草木(くさき)にも変現(へんげん)して万有(ばんいう)を済度(さいど)し給(たま)ふのが五六七(みろくの)大神(おほかみ)様(さま)の御(ご)真相(しんさう)だ。152要(えう)するに五六七(みろくの)大神(おほかみ)は大和(やまと)魂(だましひ)の根源神(こんげんしん)とも云(い)ふべき神(かみ)様(さま)だ』
153照公『大和(やまと)魂(だましひ)とはどんな精神(せいしん)を云(い)ふのですか、154神心(かみごころ)ですか、155仏心(ほとけごころ)ですか』
156照国別『神心(かみごころ)よりも仏心(ほとけごころ)よりも、157もつともつと立派(りつぱ)な凡(すべ)ての真(しん)、158善(ぜん)、159美(び)を綜合(そうがふ)統一(とういつ)した身魂(みたま)を云(い)ふのだ。160これを細説(さいせつ)する時(とき)は際限(さいげん)がないが大和(やまと)魂(だましひ)と云(い)ふのは、161仏(ほとけ)の道(みち)で云(い)ふ菩提心(ぼだいしん)と云(い)ふ事(こと)だ』
162照公『神(かみ)と仏(ほとけ)との区別(くべつ)は何処(どこ)でつきますか』
163照国別『神(かみ)と云(い)ふのは宇宙(うちう)の本体(ほんたい)、164本霊(ほんれい)、165本力(ほんりよく)の合致(がつち)した無限(むげん)の勢力(せいりよく)を総称(そうしよう)して真神(かみ)と云(い)ふのだ。166仏(ほとけ)と云(い)ふのは正覚者(しやうかくしや)と云(い)ふ事(こと)で、167要(えう)するに大聖人(だいせいじん)、168大偉人(だいゐじん)、169大真人(だいしんじん)の別称(べつしよう)である』
170照公『大和(やまと)魂(だましひ)について大略(たいりやく)を聞(き)かして下(くだ)さい』
171照国別『大和(やまと)魂(だましひ)は仏(ほとけ)の道(みち)で云(い)ふ菩提心(ぼだいしん)の事(こと)だ。172此(この)菩提心(ぼだいしん)は三(みつ)つの心(こころ)が集(よ)つて出来(でき)たものだ。173其(その)第一(だいいち)は神心(かみごころ)、174仏心(ほとけごころ)又(また)は覚心(かくしん)と云(い)つて善(ぜん)の方(はう)へ働(はたら)く感情(かんじやう)を云(い)ふのだ。175要(えう)するに慈悲心(じひしん)とか、176同情心(どうじやうしん)とか云(い)ふものだ。177第二(だいに)は勝義心(しようぎしん)と云(い)つて即(すなは)ち理性(りせい)である。178理性(りせい)に消極(せうきよく)、179積極(せつきよく)、180各種(かくしゆ)の階級(かいきふ)のある事(こと)はもとよりである。181理性(りせい)の階級(かいきふ)については到底(たうてい)一朝(いつてう)一夕(いつせき)に云(い)ひ尽(つく)されるべきものでないから略(りやく)する事(こと)として、182第三(だいさん)は三摩地(さんまち)心(しん)と云(い)ふのだ。183三摩地(さんまち)心(しん)とは即(すなは)ち意志(いし)と云(い)ふ事(こと)である。184尚(なほ)よき感情(かんじやう)とよき意志(いし)とよき理性(りせい)と全然(ぜんぜん)一致(いつち)して不動(ふどう)金剛(こんがう)の大決心(だいけつしん)、185大(だい)勇猛心(ゆうまうしん)を発(はつ)したものが三摩地(さんまち)心(しん)であつて、186以上(いじやう)三者(さんしや)を合一(がふいつ)したものが菩提心(ぼだいしん)となり大和(やまと)魂(だましひ)ともなるのだ。187何程(なにほど)理性(りせい)が勝(すぐ)れてゐても知識(ちしき)に達(たつ)してゐても、188知識(ちしき)では一切(いつさい)の衆生(しゆじやう)を済度(さいど)する事(こと)は出来(でき)ない。189智識(ちしき)あるもの、190学力(がくりよく)ある者(もの)のみ之(これ)を解(かい)するもので、191一般(いつぱん)的(てき)に其(その)身魂(みたま)を救(すく)ふ事(こと)が出来(でき)ない。192これに反(はん)して正覚心(しやうかくしん)所謂(いはゆる)神心(かみごころ)、193仏心(ほとけごころ)は感情(かんじやう)であるから、194大(だい)慈悲心(じひしん)も起(おこ)り、195同情心(どうじやうしん)もよく働(はたら)く。196此(この)慈悲心(じひしん)、197同情心(どうじやうしん)は智者(ちしや)も学者(がくしや)も鳥獣(てうじう)に至(いた)るまで及(およ)ぼすことが出来(でき)る。198これ位(くらゐ)偉大(ゐだい)なものはない。199ウラル教(けう)は理智(りち)を主(しゆ)とし、200バラモン教(けう)は理性(りせい)を主(しゆ)とする教(をしへ)だ。201それだから如何(どう)しても一般人(いつぱんじん)を救(すく)ふ事(こと)は出来(でき)ないのだ。202三五教(あななひけう)は感情教(かんじやうけう)であるから、203一切(いつさい)万事(ばんじ)無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)を採(と)り、204四海(しかい)同胞(どうはう)博愛(はくあい)慈悲(じひ)の旗幟(はたじるし)を押立(おした)てて進(すす)むのであるから、205草(くさ)の片葉(かきは)に至(いた)るまで其(その)徳(とく)に懐(なつ)かぬものはない。206今日(こんにち)の如(ごと)く武力(ぶりよく)と学力(がくりよく)との盛(さか)んな世(よ)の中(なか)に慈悲心(じひしん)のみを以(もつ)て道(みち)を拓(ひら)いて行(ゆ)かうとするのは、207何(なん)だか薄弱(はくじやく)な頼(たよ)りないものの様(やう)に思(おも)はるるが、208決(けつ)してさうではない。209最後(さいご)の勝利(しようり)はよき感情(かんじやう)即(すなは)ち大(だい)慈悲心(じひしん)、210同情心(どうじやうしん)が艮(とどめ)をさすものだ。211それだから清春山(きよはるやま)の岩窟(がんくつ)に行(い)つた時(とき)もバラモン教(けう)の悪人(あくにん)どもを赦(ゆる)したのだ。212これから先(さき)へウラル教(けう)、213バラモン教(けう)の連中(れんちう)と幾度(いくたび)衝突(しようとつ)するか知(し)れないが、214決(けつ)して手荒(てあら)い事(こと)をしてはなりませぬぞ。215どちらの教派(けうは)も左手(ゆんで)に経文(きやうもん)を持(も)ち、216右手(めて)に剣(つるぎ)を持(も)つて武(ぶ)と教(をしへ)と相兼(あひか)ねて居(ゐ)るから、217余程(よほど)胆力(たんりよく)を据(す)ゑて居(を)らぬと、218無事(ぶじ)に此(この)目的(もくてき)は達成(たつせい)しないのだ』
219岩彦(いはひこ)『おい梅彦(うめひこ)、220オツトドツコイ照国別(てるくにわけ)様(さま)、221随分(ずゐぶん)醜(しこ)の岩窟(いはや)の探険(たんけん)時代(じだい)とは変(かは)りましたね。222言依別(ことよりわけ)様(さま)のお側(そば)近(ちか)くゐられたと見(み)えて、223実(じつ)に立派(りつぱ)なお話(はなし)が出来(でき)るやうになりましたなア。224序(ついで)に一(ひと)つお尋(たづ)ね申(まを)したいのは、225此(この)岩彦(いはひこ)が何時(いつ)も心(こころ)の中(なか)に往復(わうふく)してゐる疑問(ぎもん)がある。226それはバラモン宗(しう)と云(い)つたり、227時(とき)によつてはバラモン教(けう)と云(い)つたり、228或(あるひ)はバラモン蔵(ざう)とか、229乗(じやう)だとか部(ぶ)だとか云(い)ひますが、230此(この)区別(くべつ)はどう説(と)いたら宜(よ)いのですか』
231照国(てるくに)『教(けう)と云(い)ふのも、232宗(しう)と云(い)ふのも、233乗(じやう)と云(い)ふも、234蔵(ざう)と云(い)ふも、235部(ぶ)と云(い)ふも、236矢張(やは)り教(をしへ)と云(い)ふ意味(いみ)だ。237如何(どう)云(い)つても同(おな)じ事(こと)だ』
238岩彦『いや有難(ありがた)う。239それで諒解(りやうかい)しました。240然(しか)し乍(なが)ら仏教(ぶつけう)の教典(けうてん)を経文(きやうもん)と云(い)ひますが、241其(その)経文(きやうもん)の経(きやう)は教(をしへ)の教(けう)とは違(ちが)ひますか』
242照国別『それは少(すこ)しく意味(いみ)が違(ちが)ふ。243経(きやう)と云(い)ふ字(じ)は、244経糸(たていと)と云(い)ふ字(じ)だ。245今迄(いままで)の教(をしへ)は凡(すべ)て経糸(たていと)ばかりだ。246緯糸(よこいと)がなければ完全(くわんぜん)な錦(にしき)の機(はた)が織(お)れない。247それだから既成(きせい)宗教(しうけう)はどうしても社会(しやくわい)の役(やく)に立(た)たない。248経糸(たていと)ばかりでは自由(じいう)自在(じざい)に応用(おうよう)する事(こと)が出来(でき)ぬ。249三五教(あななひけう)は国治立(くにはるたちの)尊(みこと)様(さま)の霊系(れいけい)が経糸(たていと)となり、250豊国姫(とよくにひめの)尊(みこと)様(さま)の霊系(れいけい)が緯糸(よこいと)となり経緯(たてよこ)相揃(あひそろ)うて完全(くわんぜん)無欠(むけつ)の教(をしへ)を開(ひら)かれたのだから、251如何(どう)しても此(この)教(をしへ)でなくては社会(しやくわい)の物事(ものごと)は埒(らち)があかない。252要(えう)するに今迄(いままで)の凡(すべ)ての教(をしへ)は未成品(みせいひん)だ、253未成品(みせいひん)と云(い)つても宜(よ)い様(やう)なものだ。254故(ゆゑ)に三五教(あななひけう)では教典(けうてん)を経文(きやうもん)ともコーランとも云(い)はず、255神諭(おさとし)と称(とな)へられてゐるのだ』
256岩彦『やあ、257それで胸(むね)の雲(くも)がサラリと晴(は)れ渡(わた)つて、258真如(しんによ)の日月(じつげつ)が身辺(しんぺん)に照(て)り輝(かがや)く様(やう)な気分(きぶん)となつて来(き)ました。259流石(さすが)は照国別(てるくにわけ)と云(い)ふお名前(なまへ)を頂(いただ)かれた丈(だけ)あつて変(かは)つたものですな』
260 斯(か)く話(はな)す折(をり)しも、261向(むか)ふの方(はう)より数十騎(すうじつき)の人馬(じんば)の物影(ものかげ)、262此方(こなた)に向(むか)つて蹄(ひづめ)の音(おと)勇(いさ)ましく一目散(いちもくさん)に駆来(かけきた)るのであつた。263照国別(てるくにわけ)は三(さん)人(にん)に目配(めくば)せし、264木(き)の茂(しげ)みへ姿(すがた)を隠(かく)し、265乗馬隊(じやうばたい)の何者(なにもの)なるかを調(しら)べむと、266息(いき)を凝(こ)らして窺(うかが)ひゐる。267先鋒(せんぽう)に立(た)つた馬上(ばじやう)の将軍(しやうぐん)はバラモン教(けう)にて可(か)なり名(な)の聞(きこ)えた片彦(かたひこ)であつた。268彼(かれ)等(ら)の一隊(いつたい)は今(いま)やライオン河(がは)の激流(げきりう)を渡(わた)り、269急速力(きふそくりよく)を以(もつ)てウブスナ山(やま)のイソ館(やかた)へ進撃(しんげき)せむとする途中(とちう)であつた。270躰(からだ)の疲(つか)れを休(やす)めむと四(よ)人(にん)が潜(ひそ)む此(この)森林(しんりん)に馬(うま)を乗(の)り捨(す)て、271暫(しば)し腰(こし)を卸(おろ)して雑談(ざつだん)に耽(ふけ)つてゐる。
272(大正一一・一一・一 旧九・一三 北村隆光録)
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