霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一二章 (こころ)反映(はんえい)〔一〇九六〕

インフォメーション
著者: 巻: 篇: よみ(新仮名遣い):
章: よみ(新仮名遣い): 通し章番号:
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4012
愛善世界社版: 八幡書店版: 修補版: 校定版: 普及版: 初版: ページ備考:
001秋風(あきかぜ)(しき)りに()きすさぶ
002玉山峠(たまやまたうげ)谷間(たにあひ)
003バラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)
004イソの(やかた)征討(せいたう)
005(のぼ)りしランチ将軍(しやうぐん)
006部下(ぶか)(つか)へしカル(つかさ)
007鬼熊別(おにくまわけ)(いへ)()
008(つか)へて名高(なだか)きレーブ()
009衡突(しようとつ)したる(その)結果(けつくわ)
010(たがひ)谷間(たにま)墜落(つゐらく)
011人事(じんじ)不省(ふせい)(おちい)りて
012いつとはなしに幽界(いうかい)
013枯野(かれの)(はら)(あゆ)みつつ
014野中(のなか)(いはほ)(やす)(をり)
015カルの部下(ぶか)なる(はち)(にん)
016赤黒(あかくろ)二人(ふたり)(おに)(ども)
017()()てられて枯草(かれくさ)
018莽々(ばうばう)(しげ)野原(のはら)をば
019一途(いちづ)(かは)()して()
020レーブとカルの両人(りやうにん)
021(あを)(おに)()(いざな)はれ
022三途(せうづ)(かは)渡場(わたしば)
023(やうや)辿(たど)()()れば
024(はて)しも()らぬ(ひろ)(かは)
025(きよ)(なが)れは滔々(たうたう)
026(しろ)(あわ)をば()きながら
027大蛇(をろち)のうねる(ごと)くなり
028(かは)(ほとり)(ひと)()
029金光(こんくわう)きらめく玉楼(ぎよくろう)
030(まなこ)まばゆきばかりなり
031金門(かなど)をあけて青鬼(あをおに)
032(やかた)(なか)()(かく)
033二人(ふたり)(をとこ)をやうやうと
034ここ(まで)(さそ)(まゐ)りしぞ
035受取(うけと)りめされと()(こゑ)
036(きこ)えて(しば)()(うち)
037以前(いぜん)(おに)会釈(ゑしやく)して
038何処(どこ)ともなしに()えにける
039二人(ふたり)川辺(かはべ)(たたず)みて
040(おも)はぬ(うつ)しき(この)(いへ)
041土地(とち)似合(にあ)はぬ不思議(ふしぎ)さと
042(ささや)(をり)しも金鈴(きんれい)
043()るよな(きよ)女声(をんなごゑ)
044(はや)(きた)れと()びかくる
045不思議(ふしぎ)(まなこ)をみはりつつ
046(ちか)づき()れば鬼婆(おにばば)
047(おも)うた(こと)間違(まちがひ)
048(はな)(はぢ)らふ優姿(やさすがた)
049(とし)二八(にはち)二九(にく)からぬ
050神妙(しんめう)無比(むひ)光美人(くわうびじん)
051いとニコニコと(わら)()
052二人(ふたり)(おどろ)川端(かはばた)
053(をんな)(しば)掛合(かけあ)ひつ
054一間(ひとま)(おく)へと()りみれば
055(おく)一間(ひとま)草野原(くさのはら)
056三途(せうづ)(かは)滔々(たうたう)
057以前(いぜん)(ごと)()りゐたり
058水晶館(すゐしやうやかた)(みちび)かれ
059(かがみ)(ごと)()きとほる
060(やかた)(なか)出口(でぐち)をば
061(うしな)(たがひ)辟易(へきえき)
062千言(せんげん)万語(ばんご)(なら)べつつ
063(すく)ひを()へば川端(かはばた)
064美人(びじん)二人(ふたり)()()つて
065(しこ)けき小屋(こや)(その)(まへ)
066()ちあらはれて()ひけらく
067今迄(いままで)(なんぢ)立入(たちい)りし
068家屋(かをく)娑婆(しやば)神界(しんかい)
069住居(すまゐ)姿(すがた)模型(もけい)ぞや
070(この)茅屋(あばらや)鬼婆(おにばば)
071(いや)永久(とこしへ)(しづ)まりて
072娑婆(しやば)にて(おも)(つみ)かさね
073十万(じふまん)億土(おくど)旅立(たびだち)
074(いた)亡者(まうじや)(かは)()
075脱衣婆(だついば)さまの関所(せきしよ)ぞと
076いふより(はや)(たちま)ちに
077(むすめ)(みにく)(ばば)となり
078()せからびたる()()べて
079二人(ふたり)()(くび)()(つか)
080(その)いやらしさ(つめ)たさに
081三途(せうづ)(かは)(なか)()
082()(をど)らして両人(りやうにん)
083ザンブとばかり()()んで
084抜手(ぬきて)()つて(むか)(きし)
085やうやう(わた)()きにけり。
086 二人(ふたり)着衣(ちやくい)(まま)087際限(さいげん)もなき(ひろ)(かは)を、088意外(いぐわい)にも易々(やすやす)無事(ぶじ)(わた)つたのを、089非常(ひじやう)大手柄(おほてがら)をしたよな気分(きぶん)になり、090爽快(さうくわい)(ねん)()へられず、091(かは)(おも)(なが)めて、092紺青(こんぜう)(なみ)見入(みい)つてゐた。
093レーブ『鬼婆(おにば)アさまに首筋(くびすぢ)(つか)まれ、094生命(いのち)カラガラ(この)(かは)飛込(とびこ)んだものの、095これだけ(ひろ)(かは)096到底(たうてい)無事(ぶじ)には(わた)れまいと真中(まんなか)(ほど)(おも)うたが、097(この)激流(げきりう)にも似合(にあ)はず、098(ゆみ)()(とほ)つたやうに、099一直線(いつちよくせん)易々(やすやす)と、100(しか)匆急(さうきふ)(わた)られたのは(なん)とも()れぬ不思議(ふしぎ)ぢやないか』
101カル『そこが現界(げんかい)神界(しんかい)との(ことな)(てん)だ。102ヤアあれを()よ。103何時(いつ)()にか(かは)はどつかへ沈没(ちんぼつ)して(しま)ひ、104(うる)はしい(はな)百花(ひやくくわ)爛漫(らんまん)()(にほ)うてるぢやないか。105アヽ(なん)とも()れぬ芳香(はうかう)(はな)をついて()る。106あれ()よ。107(かは)ぢやないぞ。108エデンの花園(はなぞの)みたいだ』
109レーブ『ヤアほんにほんに、110(なん)とマア不思議(ふしぎ)(こと)ぢやないか。111ようよう白梅(しらうめ)(はな)(おほ)きな()(えだ)所々(ところどころ)()いてゐる。112バラの(はな)牡丹(ぼたん)(はな)113紫雲英(げんげ)白連華(しろれんげ)(その)(ほか)いろいろの草花(くさばな)(ところ)せき(まで)()いて()た。114ヤツパリ天国(てんごく)様子(やうす)(ちが)つたものだ。115モウこんな(ところ)()以上(いじやう)虚偽(きよぎ)ばかりの生活(せいくわつ)をつづけてゐる現界(げんかい)へは、116万劫(まんごふ)末代(まつだい)(かへ)りたくないワイ。117なあカル(こう)118(まへ)(おれ)とは、119(すこ)しばかりの意地(いぢ)から、120忠義(ちうぎ)だとか義務(ぎむ)だとかいつて主人(しゆじん)(ため)(たがひ)(しのぎ)(けづ)り、121名誉(めいよ)(ほこ)らうと(おも)つて、122猟師(れふし)にケシをかけられた尨犬(むくいぬ)(やう)いが()ひ、123(うらみ)(なに)もない(もの)同士(どうし)が、124(いのち)()りやりをやつてゐたが、125竜虎(りうこ)(たがひ)(いきほひ)(まつた)からず、126とうとう玉山峠(たまやまたうげ)谷底(たにそこ)寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)急転(きふてん)直下(ちよくか)127神界(しんかい)旅立(たびだち)となつたのだ。128(これ)(おも)へば現界(げんかい)(やつ)(くらゐ)可哀相(かあいさう)(もの)はないのう』
129カル(しか)(なが)ら、130(まへ)(おれ)偽善(ぎぜん)()(くら)べをやつたおかげに、131(たがひ)娑婆(しやば)()(のが)れ、132こんな天国(てんごく)浄土(じやうど)()られるやうになつたのだから、133(なに)()都合(つがふ)になるとも(わか)らぬぢやないか。134昨日(きのふ)(てき)今日(けふ)味方(みかた)135(とら)(おほかみ)(うな)(ごゑ)極楽(ごくらく)花園(はなぞの)(わた)(はな)薫風(くんぷう)となりにけりだ。136モウ()うして神界(しんかい)()以上(いじやう)は、137名位(めいゐ)寿福(じゆふく)必要(ひつえう)もなければ(たがひ)(あらそ)余地(よち)もない。138勝手(かつて)広大(くわうだい)無辺(むへん)花園(はなぞの)逍遥(せうえう)し、139自由(じいう)自在(じざい)()()()つて()ひ、140一切(いつさい)系累(けいるゐ)()てて単身(たんしん)天国(てんごく)(たび)をするのだから、141これ(くらゐ)愉快(ゆくわい)(こと)はないぢやないか。142(しか)(なが)善因(ぜんいん)善果(ぜんぐわ)143悪因(あくいん)悪果(あくくわ)といふからは、144斯様(かやう)(ところ)()られる(やう)になるのは余程(よほど)現界(げんかい)(おい)(ぜん)(つく)したものでなければならぬ(はず)だ。145(おれ)(たち)過去(くわこ)追懐(つゐくわい)すれば、146(けつ)してかやうな(ところ)へやつて()られる道理(だうり)はない。147ヒヨツとしたら、148(かみ)(さま)人違(ひとちがひ)(あそ)ばしたか、149感違(かんちがひ)をなさつたかも()れぬぞ。150モシそんな(こと)であつたなら、151(おれ)(たち)大変(たいへん)だ。152(この)(うる)はしき(たの)しき境遇(きやうぐう)(たちま)一変(いつぺん)して、153至醜(ししう)至苦(しく)地獄道(ぢごくだう)(おと)されるかも()れない。154(これ)(おも)へばヤツパリ執着心(しふちやくしん)(おこ)つて()る。155何程(なにほど)執着心(しふちやくしん)をとれと()つても、156(この)天国(てんごく)執着(しふちやく)(のこ)らいでたまらうか。157あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)158どうぞ(かみ)(さま)159(ゆめ)でも(かま)ひませぬから、160どこ(まで)(この)境地(きやうち)において(くだ)さいますやうに』
161()(あは)して一生(いつしやう)懸命(けんめい)天地(てんち)(をが)んでゐる。162何時(いつ)()にか、163二人(ふたり)()つてゐた地面(ぢめん)二十間(にじつけん)ばかり持上(もちあが)り、164左右(さいう)(ひく)(ところ)坦々(たんたん)たる大道(だいだう)(つう)じて、165種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)人物(じんぶつ)禽獣(きんじう)右往(うわう)左往(さわう)往来(わうらい)してゐるのが()えて()た。
166レーブ『ヤア(にはか)(また)様子(やうす)(かは)つて()たぞ。167オイ、168カル、169()をつけないと、170どんな(こと)になるか()れぬぞ、171チツとも油断(ゆだん)出来(でき)ないからな』
172 かく(はな)(をり)しも、173二三丁(にさんちやう)前方(ぜんぱう)(あた)つて(さる)をしめる(やう)悲鳴(ひめい)(きこ)えて()た。174二人(ふたり)(もの)をも()はず、175(その)(こゑ)(たづ)ねて何人(なんびと)悪魔(あくま)迫害(はくがい)され()るならむ、176(すく)うてやらねばなるまいと、177無言(むごん)のまま駆出(かけだ)した。178(ちか)よつて()れば、179白衣(びやくい)をダラリと着流(きなが)した(まる)ポチヤの青白(あをじろ)(かほ)をした(をとこ)が、180右手(めて)血刀(ちがたな)()ち、181左手(ゆんで)四五(しご)(さい)ばかりの(うる)はしき童子(どうじ)首筋(くびすぢ)引掴(ひつつか)み、182(いま)胸先(むなさき)短刀(たんたう)()()さむとする間際(まぎは)であつた。
183 レーブ、184カルの二人(ふたり)(われ)(わす)れて、185(その)(をとこ)()びかかり、186血刀(ちがたな)()つたくり、187童子(どうじ)(たす)けむと、188力限(ちからかぎ)りにもがけども、189白衣(びやくい)(をとこ)()から()えた(いは)のやうに、190()せども()けどもビクとも(うご)かぬ。191みるみる(うち)(その)童子(どうじ)無残(むざん)にも()(ころ)して(しま)つた。
192レーブ『コリヤ悪魔(あくま)()193此処(ここ)何処(どこ)心得(こころえ)てゐる、194勿体(もつたい)なくもかかる(たふと)天国(てんごく)(おい)て、195左様(さやう)兇行(きやうかう)(えん)ずるといふ(こと)があるか』
196(をとこ)『アハヽヽヽ阿呆(あはう)らしいワイ。197悪魔(あくま)容物(いれもの)分際(ぶんざい)として、198(この)(はう)悪魔(あくま)()ばはりするとは(なん)(こと)だ。199糞虫(くそむし)(くそ)臭気(しうき)()らぬとは貴様(きさま)(こと)だ。200サアこれから(その)(はう)(ばん)だ、201そこ(うご)くな。202イヒヽヽヽ、203なんとマアいぢらしいものだなア、204いかさま野郎(やらう)のインチキ亡者(まうじや)()205身魂(みたま)因縁(いんねん)()つて、206(この)天来(てんらい)菩薩(ぼさつ)(これ)から(なんぢ)制敗(せいばい)(いた)すから、207(よろこ)んで(この)(はう)(やいば)()けたがよからうぞ』
208レーブ『アハヽヽヽ天来(てんらい)菩薩(ぼさつ)とはソラ(なに)()かす、209(いやし)くも菩薩(ぼさつ)たる(もの)凶器(きやうき)をふりまはし、210天国(てんごく)街道(かいだう)(おい)殺生(せつしやう)をするといふ(こと)があるか。211()して(つみ)のない童子(どうじ)殺害(さつがい)するとは、212(もつ)ての(ほか)代物(しろもの)だ。213コリヤ悪魔(あくま)214イヤ天来(てんらい)215よつく()け、216(この)(はう)こそはバラモン(けう)にて英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)()(うた)はれた武術(ぶじゆつ)達人(たつじん)217カル、218レーブの両人(りやうにん)だ。219(なんぢ)(ごと)小童(こわつぱ)(ども)220仮令(たとへ)(いく)百万(ひやくまん)(にん)一団(いちだん)となつて武者(むしや)ぶりつくとも、221千引(ちびき)(いは)蚊軍(ぶんぐん)襲撃(しふげき)した(やう)なものだ。222サア(いま)(この)(はう)武勇(ぶゆう)(あら)はし、223(なんぢ)(つるぎ)をボツたくり、224寸断(すんだん)にしてくれむ、225覚悟(かくご)(いた)したがよからうぞ。226神界(しんかい)名残(なごり)神文(しんもん)でも(とな)へたがよからう』
227(をとこ)『ウツフヽヽヽうろたへ(もの)()が、228神界(しんかい)法則(はふそく)()つて、229(この)(はう)使命(しめい)(まつた)くする(ため)230(この)童子(どうじ)制敗(せいばい)してゐるのだ。231(なんぢ)はいつも現界(げんかい)でホザいて()るだらう、232(かみ)(おもて)(あら)はれて、233(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける、234(かみ)でなくて、235身魂(みたま)善悪(ぜんあく)(わか)るものか。236貴様(きさま)(たち)容喙(ようかい)すべき(かぎり)でない、237人間(にんげん)人間(にんげん)らしく(だま)つて自分(じぶん)()くべき(ところ)()けばいいのだ。238(わけ)()らずに(やす)つぽい慈悲心(じひしん)だとか、239義侠心(ぎけふしん)発揮(はつき)しようと(おも)つても、240そんな(こと)は、241(かがみ)(ごと)(あきら)かな神界(しんかい)(おい)ては通用(つうよう)(いた)さぬぞ』
242レーブ『仮令(たとへ)(この)童子(どうじ)如何(いか)なる(つみ)があらうとも、243神界(しんかい)(おい)ては何事(なにごと)善意(ぜんい)(かい)し、244神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)()(なほ)宣直(のりなほ)(たま)ふのが大慈(だいじ)大悲(だいひ)(かみ)(さま)()(めぐみ)だ。245(その)(はう)使命(しめい)だと(まを)すが、246娑婆(しやば)地獄(ぢごく)ならば()らぬこと、247天地(てんち)(かみ)分霊(ぶんれい)たる人間(にんげん)(みづか)()(くだ)して制敗(せいばい)するといふ道理(だうり)があるか』
248(をとこ)『エヘヽヽヽぬかしたりな ぬかしたりな、249それ(ほど)よく理屈(りくつ)(わか)つた(その)(はう)なれば、250(この)(はう)神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)()(なほ)宣直(のりなほ)さぬか。251娑婆(しやば)(すこ)しく(おぼ)えた武勇(ぶゆう)(はな)にかけ、252吾々(われわれ)悪魔(あくま)()ばはりになし、253(この)(はう)(かたな)掠奪(りやくだつ)して盗賊(たうぞく)(つみ)(かさ)ね、254(また)(この)(はう)寸断(すんだん)せむとは自家(じか)撞着(どうちやく)(はなは)だしいではないか。255そんな(こと)如何(どう)して神界(しんかい)(たび)出来(でき)るか。256テもさても(わか)らぬ(やつ)だな。257オツホヽヽヽ(おに)上前(うはまへ)貴様(きさま)はねようと(いた)すのか、258(なん)(おそ)ろしい()(つよ)代物(しろもの)だなア』
259カル『コリヤ悪魔(あくま)260ここは神界(しんかい)だぞ、261貴様(きさま)()世界(せかい)幽界(いうかい)だらう。262かやうな(ところ)へやつて()るといふ(こと)があるか、263(はや)立去(たちさ)れ。264グヅグヅ(いた)して()ると、265神界(しんかい)幽界(いうかい)国際(こくさい)談判(だんぱん)(はじ)まり、266(つひ)には談判(だんぱん)破裂(はれつ)して、267地獄(ぢごく)征伐(せいばつ)宣示(せんじ)渙発(くわんぱつ)されるやうになるかも()れぬぞ』
268(をとこ)『イツヒヽヽヽ(その)(はう)現界(げんかい)(おい)(ひと)つの善事(ぜんじ)もなさず、269まぐれ(あた)りに神界(しんかい)へふみ(まよ)うて()よつて、270一角(ひとかど)善人面(ぜんにんづら)をさらして、271ツベコベと理屈(りくつ)(さへづ)つてゐやがるが、272(この)悪魔(あくま)(この)血刀(ちがたな)も、273(みな)貴様(きさま)(こころ)反映(はんえい)だ。274貴様(きさま)八岐(やまたの)大蛇(をろち)悪魔(あくま)()いた大黒主(おほくろぬし)部下(ぶか)(つか)ふる鬼春別(おにはるわけ)乾児(こぶん)乾児(こぶん)(その)乾児(こぶん)たる小悪人(せうあくにん)()ながら、275(さん)(さい)童子(どうじ)(ひと)しき(あめ)(した)青人草(あをひとぐさ)生血(いきち)()ひ、276(すこ)しの武勇(ぶゆう)(はな)にかけ、277修羅(しゆら)戦場(せんぢやう)疾駆(しつく)した(その)(つみ)(いま)ここに顕現(けんげん)してゐるのだ。278(えう)するに(この)(はう)貴様(きさま)(つみ)()んだ悪魔(あくま)だから、279貴様(きさま)本当(ほんたう)神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)宣直(のりなほ)し、280(ほつ)ごん改心(かいしん)(いた)したならば、281かかる(たふと)神界(しんかい)大道(だいだう)如何(どう)して(おれ)(あら)はれる(こと)出来(でき)ようか。282(おれ)(ほろ)ぼしたくば、283貴様(きさま)(こころ)から改心(かいしん)したがよからう。284(ひと)悪魔(あくま)だと(おも)うて()れば、285みんな自分(じぶん)(こと)だぞ。286コリヤ、287レーブ、288(その)(はう)(いま)(さき)黄金姫(わうごんひめ)出会(であ)ひ、289三五教(あななひけう)教理(けうり)()いたであらう。290(ひと)(わる)いと(おも)うてゐると(みな)われの(こと)ぢやぞよ………と玉山峠(たまやまたうげ)岩蔭(いはかげ)()かされたぢやないか』
291レーブ『成程(なるほど)さうすると、292(まへ)(おれ)()はば(ふく)守護神(しゆごじん)だなア。293(なん)(わる)副守(ふくしゆ)()やがつたものだなア』
294(をとこ)『アハヽヽヽ都合(つがふ)のよい勝手(かつて)(こと)をいふな。295(ふく)守護神(しゆごじん)(どころ)か、296貴様(きさま)(ほん)守護神(しゆごじん)断片(だんぺん)だ。297トコトン改心(かいしん)(いた)さぬと、298まだまだ(この)(さき)貴様(きさま)()んだ(おに)貴様(きさま)肉迫(にくはく)して、299どんな()()はすか()れぬぞ。300(おの)(かたな)(おの)首切(くびき)るやうなことが出来(しゆつたい)(いた)すから、301(はや)改心(かいしん)(いた)したがよからう。302レーブばかりでない、303カルも(その)(とほ)りだ、304(この)童子(どうじ)はヤツパリ、305カルの身魂(みたま)化身(けしん)だ。306どうだ(わか)つたか』
307レーブ『ヤア(わか)つた、308()うして二人(ふたり)(なか)よくして神界(しんかい)旅行(りよかう)をやつてゐるものの、309本当(ほんたう)のことを()へば、310おれも(さび)しくて仕方(しかた)がないから、311道伴(みちづ)れにしようと(おも)ひ、312表面(へうめん)こそ親切(しんせつ)打解(うちと)けたらしくしてゐるものの、313()(ところ)まで()つたならば斯様(かやう)悪人(あくにん)(この)(した)()ゆる地獄道(ぢごくだう)へつき(おと)してやらうと、314(こころ)(はし)(おも)うてゐたのだ。315ヤア(わる)かつた、316オイ、317カル(こう)318(おれ)本当(ほんたう)()まなかつた。319(こころ)(つみ)(ゆる)してくれ』
320カル『あゝさうか、321おれも(じつ)はお(まへ)打解(うちと)けて(ある)いて()るものの、322何時(いつ)(まへ)(おれ)素首(そつくび)引抜(ひきぬ)くか()れぬと(おも)うて、323戦々(せんせん)兢々(きやうきやう)(こころ)(そこ)でしてゐたのだ。324さうするとあの童子(どうじ)(おれ)恐怖心(きようふしん)(かたま)つて(あら)はれたのだな。325(まへ)がさう改心(かいしん)してくれる以上(いじやう)は、326最早(もはや)(まへ)(おそ)れはせぬ。327(たがひ)打解(うちと)けて(こころ)(そこ)から(なか)よくして、328(この)天国(てんごく)遊行(いうかう)しようぢやないか。329あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
330両手(りやうて)(あは)せ、331両人(りやうにん)()をとぢて天地(てんち)祈願(きぐわん)をこめた。332(しばら)くあつて、333()(ひら)きあたりを()れば、334(をとこ)(かげ)童子(どうじ)(かげ)もなく、335大地(だいち)(なが)れた血潮(ちしほ)()えしは(くれなゐ)(はな)336紛々(ふんぷん)()(にほ)ひ、337(しろ)()(むらさき)(あを)などの(うる)はしき(はね)(てふ)翩翻(へんぽん)(はな)()がけて()(あそ)んでゐる。338両人(りやうにん)(はじ)めて(こころ)(まよ)ひを()まし、339天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)しながら、340(きた)(きた)へと()をつなぎつつ、341いと(むつま)じげに(すす)()く。
342大正一一・一一・三 旧九・一五 松村真澄録)
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