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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第40巻(卯の巻)
序文に代へて
緒言
総説
第1篇 恋雲魔風
第1章 大雲山
第2章 出陣
第3章 落橋
第4章 珍客
第5章 忍ぶ恋
第2篇 寒梅照国
第6章 仁愛の真相
第7章 文珠
第8章 使者
第9章 雁使
第3篇 霊魂の遊行
第10章 衝突
第11章 三途館
第12章 心の反映
第13章 試の果実
第14章 空川
第4篇 関風沼月
第15章 氷嚢
第16章 春駒
第17章 天幽窟
第18章 沼の月
第19章 月会
第20章 入那の森
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第40巻(卯の巻)
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<<< 三途館
(B)
(N)
試の果実 >>>
第一二章
心
(
こころ
)
の
反映
(
はんえい
)
〔一〇九六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
篇:
第3篇 霊魂の遊行
よみ(新仮名遣い):
れいこんのゆうこう
章:
第12章 心の反映
よみ(新仮名遣い):
こころのはんえい
通し章番号:
1096
口述日:
1922(大正11)年11月03日(旧09月15日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
二人は着衣のまま、広い川を意外にも無事に渡った。見れば美しい花が咲き匂っている花園が見えた。二人は神界へ来たのかと舞い上がったが、カルは自分の身を省みれば、決してこのような結構なところに来られる道理はないといぶかった。
いつの間にか二人が立っていた地面は持ち上がり、両側の低いところには大道が通じ、種々雑多な人や獣が往来していた。前方から悲鳴が聞こえてきた。二人が駆け寄ると、一人の男が血刀を持ち、四五才ばかりの童子の胸を突き刺そうとしているところであった。
レーブとカルは男に飛び掛かったが、びくともしない。男は童子を突き殺してしまった。カルとレーブは男を非難したが、男は自分はお前たちの心の反映だと言い、生前には童子にひとしい青人草の生血を吸い、修羅の戦場に身を置いた罪がここに顕現しているのだと嘲笑った。
レーブは、幽界旅行がさびしくて道連れがほしくてカルと打ち解けたが、その実はこのような悪人はいつかは地獄道へ突き落さなければと思っていたことを懺悔した。カルは殺された童子は自分のレーブへの恐怖心だったと悟った。
二人はお互いに自分の心を開きあい、両手を合わせて天地に祈願した。しばらくして目を開けば、あたりは紅の花が咲き匂い、美しい蝶が舞い遊んでいる。両人は初めて心の迷いをさまし、天津祝詞を奏上しながら北へと仲良く手をつないで進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-01 11:21:04
OBC :
rm4012
愛善世界社版:
158頁
八幡書店版:
第7輯 476頁
修補版:
校定版:
164頁
普及版:
73頁
初版:
ページ備考:
001
秋風
(
あきかぜ
)
切
(
しき
)
りに
吹
(
ふ
)
きすさぶ
002
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
谷間
(
たにあひ
)
で
003
バラモン
教
(
けう
)
の
大棟梁
(
だいとうりやう
)
004
イソの
館
(
やかた
)
の
征討
(
せいたう
)
に
005
上
(
のぼ
)
りしランチ
将軍
(
しやうぐん
)
の
006
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
へしカル
司
(
つかさ
)
007
鬼熊別
(
おにくまわけ
)
の
家
(
いへ
)
の
子
(
こ
)
と
008
仕
(
つか
)
へて
名高
(
なだか
)
きレーブ
等
(
ら
)
と
009
衡突
(
しようとつ
)
したる
其
(
その
)
結果
(
けつくわ
)
010
互
(
たがひ
)
に
谷間
(
たにま
)
に
墜落
(
つゐらく
)
し
011
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
りて
012
いつとはなしに
幽界
(
いうかい
)
の
013
枯野
(
かれの
)
ケ
原
(
はら
)
を
歩
(
あゆ
)
みつつ
014
野中
(
のなか
)
の
巌
(
いはほ
)
に
休
(
やす
)
む
折
(
をり
)
015
カルの
部下
(
ぶか
)
なる
八
(
はち
)
人
(
にん
)
は
016
赤黒
(
あかくろ
)
二人
(
ふたり
)
の
鬼
(
おに
)
共
(
ども
)
に
017
引
(
ひ
)
つ
立
(
た
)
てられて
枯草
(
かれくさ
)
の
018
莽々
(
ばうばう
)
茂
(
しげ
)
る
野原
(
のはら
)
をば
019
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
を
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く
020
レーブとカルの
両人
(
りやうにん
)
は
021
青
(
あを
)
き
鬼
(
おに
)
奴
(
め
)
に
誘
(
いざな
)
はれ
022
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
渡場
(
わたしば
)
に
023
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
り
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
024
果
(
はて
)
しも
知
(
し
)
らぬ
広
(
ひろ
)
い
川
(
かは
)
025
清
(
きよ
)
き
流
(
なが
)
れは
滔々
(
たうたう
)
と
026
白
(
しろ
)
き
泡
(
あわ
)
をば
吐
(
は
)
きながら
027
大蛇
(
をろち
)
のうねる
如
(
ごと
)
くなり
028
川
(
かは
)
の
畔
(
ほとり
)
の
一
(
ひと
)
つ
家
(
や
)
は
029
金光
(
こんくわう
)
きらめく
玉楼
(
ぎよくろう
)
の
030
眼
(
まなこ
)
まばゆきばかりなり
031
金門
(
かなど
)
をあけて
青鬼
(
あをおに
)
は
032
館
(
やかた
)
の
中
(
なか
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し
033
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
をやうやうと
034
ここ
迄
(
まで
)
誘
(
さそ
)
ひ
参
(
まゐ
)
りしぞ
035
受取
(
うけと
)
りめされと
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
の
036
聞
(
きこ
)
えて
暫
(
しば
)
し
経
(
た
)
つ
間
(
うち
)
に
037
以前
(
いぜん
)
の
鬼
(
おに
)
は
会釈
(
ゑしやく
)
して
038
何処
(
どこ
)
ともなしに
消
(
き
)
えにける
039
二人
(
ふたり
)
は
川辺
(
かはべ
)
に
佇
(
たたず
)
みて
040
思
(
おも
)
はぬ
美
(
うつ
)
しき
此
(
この
)
家
(
いへ
)
は
041
土地
(
とち
)
に
似合
(
にあ
)
はぬ
不思議
(
ふしぎ
)
さと
042
囁
(
ささや
)
く
折
(
をり
)
しも
金鈴
(
きんれい
)
を
043
振
(
ふ
)
るよな
清
(
きよ
)
き
女声
(
をんなごゑ
)
044
早
(
はや
)
く
来
(
きた
)
れと
呼
(
よ
)
びかくる
045
不思議
(
ふしぎ
)
の
眼
(
まなこ
)
をみはりつつ
046
近
(
ちか
)
づき
見
(
み
)
れば
鬼婆
(
おにばば
)
と
047
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
は
間違
(
まちがひ
)
か
048
花
(
はな
)
も
恥
(
はぢ
)
らふ
優姿
(
やさすがた
)
049
年
(
とし
)
は
二八
(
にはち
)
か
二九
(
にく
)
からぬ
050
神妙
(
しんめう
)
無比
(
むひ
)
の
光美人
(
くわうびじん
)
051
いとニコニコと
笑
(
わら
)
ひ
居
(
を
)
る
052
二人
(
ふたり
)
は
驚
(
おどろ
)
き
川端
(
かはばた
)
の
053
女
(
をんな
)
と
暫
(
しば
)
し
掛合
(
かけあ
)
ひつ
054
一間
(
ひとま
)
を
奥
(
おく
)
へと
入
(
い
)
りみれば
055
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
は
草野原
(
くさのはら
)
056
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
滔々
(
たうたう
)
と
057
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
く
鳴
(
な
)
りゐたり
058
水晶館
(
すゐしやうやかた
)
に
導
(
みちび
)
かれ
059
鏡
(
かがみ
)
の
如
(
ごと
)
く
透
(
す
)
きとほる
060
館
(
やかた
)
の
中
(
なか
)
で
出口
(
でぐち
)
をば
061
失
(
うしな
)
ひ
互
(
たがひ
)
に
辟易
(
へきえき
)
し
062
千言
(
せんげん
)
万語
(
ばんご
)
を
並
(
なら
)
べつつ
063
救
(
すく
)
ひを
乞
(
こ
)
へば
川端
(
かはばた
)
の
064
美人
(
びじん
)
は
二人
(
ふたり
)
の
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
065
醜
(
しこ
)
けき
小屋
(
こや
)
の
其
(
その
)
前
(
まへ
)
に
066
立
(
た
)
ちあらはれて
言
(
い
)
ひけらく
067
今迄
(
いままで
)
汝
(
なんぢ
)
の
立入
(
たちい
)
りし
068
家屋
(
かをく
)
は
娑婆
(
しやば
)
と
神界
(
しんかい
)
の
069
住居
(
すまゐ
)
の
姿
(
すがた
)
の
模型
(
もけい
)
ぞや
070
此
(
この
)
茅屋
(
あばらや
)
は
鬼婆
(
おにばば
)
の
071
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
鎮
(
しづ
)
まりて
072
娑婆
(
しやば
)
にて
重
(
おも
)
き
罪
(
つみ
)
かさね
073
十万
(
じふまん
)
億土
(
おくど
)
の
旅立
(
たびだち
)
を
074
致
(
いた
)
す
亡者
(
まうじや
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
は
)
ぐ
075
脱衣婆
(
だついば
)
さまの
関所
(
せきしよ
)
ぞと
076
いふより
早
(
はや
)
く
忽
(
たちま
)
ちに
077
娘
(
むすめ
)
は
醜
(
みにく
)
き
婆
(
ばば
)
となり
078
痩
(
や
)
せからびたる
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
べて
079
二人
(
ふたり
)
の
素
(
そ
)
ツ
首
(
くび
)
引
(
ひ
)
つ
掴
(
つか
)
む
080
其
(
その
)
いやらしさ
冷
(
つめ
)
たさに
081
三途
(
せうづ
)
の
川
(
かは
)
の
中
(
なか
)
つ
瀬
(
せ
)
に
082
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして
両人
(
りやうにん
)
は
083
ザンブとばかり
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
084
抜手
(
ぬきて
)
を
切
(
き
)
つて
向
(
むか
)
ふ
岸
(
きし
)
085
やうやう
渡
(
わた
)
り
着
(
つ
)
きにけり。
086
二人
(
ふたり
)
は
着衣
(
ちやくい
)
の
儘
(
まま
)
、
087
際限
(
さいげん
)
もなき
広
(
ひろ
)
い
川
(
かは
)
を、
088
意外
(
いぐわい
)
にも
易々
(
やすやす
)
と
無事
(
ぶじ
)
に
渡
(
わた
)
つたのを、
089
非常
(
ひじやう
)
な
大手柄
(
おほてがら
)
をしたよな
気分
(
きぶん
)
になり、
090
爽快
(
さうくわい
)
の
念
(
ねん
)
に
堪
(
た
)
へられず、
091
川
(
かは
)
の
面
(
おも
)
を
眺
(
なが
)
めて、
092
紺青
(
こんぜう
)
の
波
(
なみ
)
を
見入
(
みい
)
つてゐた。
093
レーブ『
鬼婆
(
おにば
)
アさまに
首筋
(
くびすぢ
)
を
掴
(
つか
)
まれ、
094
生命
(
いのち
)
カラガラ
此
(
この
)
川
(
かは
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んだものの、
095
これだけ
広
(
ひろ
)
い
川
(
かは
)
、
096
到底
(
たうてい
)
無事
(
ぶじ
)
には
渡
(
わた
)
れまいと
真中
(
まんなか
)
程
(
ほど
)
で
思
(
おも
)
うたが、
097
此
(
この
)
激流
(
げきりう
)
にも
似合
(
にあ
)
はず、
098
弓
(
ゆみ
)
の
矢
(
や
)
が
通
(
とほ
)
つたやうに、
099
一直線
(
いつちよくせん
)
に
易々
(
やすやす
)
と、
100
而
(
しか
)
も
匆急
(
さうきふ
)
に
渡
(
わた
)
られたのは
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
不思議
(
ふしぎ
)
ぢやないか』
101
カル『そこが
現界
(
げんかい
)
と
神界
(
しんかい
)
との
異
(
ことな
)
る
点
(
てん
)
だ。
102
ヤアあれを
見
(
み
)
よ。
103
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
川
(
かは
)
はどつかへ
沈没
(
ちんぼつ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
104
美
(
うる
)
はしい
花
(
はな
)
が
百花
(
ひやくくわ
)
爛漫
(
らんまん
)
と
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
うてるぢやないか。
105
アヽ
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
芳香
(
はうかう
)
が
鼻
(
はな
)
をついて
来
(
く
)
る。
106
あれ
見
(
み
)
よ。
107
川
(
かは
)
ぢやないぞ。
108
エデンの
花園
(
はなぞの
)
みたいだ』
109
レーブ
『ヤアほんにほんに、
110
何
(
なん
)
とマア
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
ぢやないか。
111
ようよう
白梅
(
しらうめ
)
の
花
(
はな
)
が
大
(
おほ
)
きな
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
所々
(
ところどころ
)
に
咲
(
さ
)
いてゐる。
112
バラの
花
(
はな
)
に
牡丹
(
ぼたん
)
の
花
(
はな
)
、
113
紫雲英
(
げんげ
)
に
白連華
(
しろれんげ
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
いろいろの
草花
(
くさばな
)
が
所
(
ところ
)
せき
迄
(
まで
)
咲
(
さ
)
いて
来
(
き
)
た。
114
ヤツパリ
天国
(
てんごく
)
の
様子
(
やうす
)
は
違
(
ちが
)
つたものだ。
115
モウこんな
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
た
以上
(
いじやう
)
は
虚偽
(
きよぎ
)
ばかりの
生活
(
せいくわつ
)
をつづけてゐる
現界
(
げんかい
)
へは、
116
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
帰
(
かへ
)
りたくないワイ。
117
なあカル
公
(
こう
)
、
118
お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
とは、
119
少
(
すこ
)
しばかりの
意地
(
いぢ
)
から、
120
忠義
(
ちうぎ
)
だとか
義務
(
ぎむ
)
だとかいつて
主人
(
しゆじん
)
の
為
(
ため
)
に
互
(
たがひ
)
に
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
り、
121
名誉
(
めいよ
)
を
誇
(
ほこ
)
らうと
思
(
おも
)
つて、
122
猟師
(
れふし
)
にケシをかけられた
尨犬
(
むくいぬ
)
の
様
(
やう
)
に
いが
み
合
(
あ
)
ひ、
123
恨
(
うらみ
)
も
何
(
なに
)
もない
者
(
もの
)
同士
(
どうし
)
が、
124
命
(
いのち
)
の
取
(
と
)
りやりをやつてゐたが、
125
竜虎
(
りうこ
)
互
(
たがひ
)
に
勢
(
いきほひ
)
全
(
まつた
)
からず、
126
とうとう
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
谷底
(
たにそこ
)
で
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
急転
(
きふてん
)
直下
(
ちよくか
)
、
127
神界
(
しんかい
)
の
旅立
(
たびだち
)
となつたのだ。
128
が
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
現界
(
げんかい
)
の
奴
(
やつ
)
位
(
くらゐ
)
可哀相
(
かあいさう
)
な
者
(
もの
)
はないのう』
129
カル
『
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
130
お
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
と
偽善
(
ぎぜん
)
の
行
(
や
)
り
比
(
くら
)
べをやつたおかげに、
131
互
(
たがひ
)
に
娑婆
(
しやば
)
の
苦
(
く
)
を
逃
(
のが
)
れ、
132
こんな
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
へ
来
(
こ
)
られるやうになつたのだから、
133
何
(
なに
)
が
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
になるとも
分
(
わか
)
らぬぢやないか。
134
昨日
(
きのふ
)
の
敵
(
てき
)
は
今日
(
けふ
)
の
味方
(
みかた
)
、
135
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
も
極楽
(
ごくらく
)
の
花園
(
はなぞの
)
を
渡
(
わた
)
る
花
(
はな
)
の
薫風
(
くんぷう
)
となりにけりだ。
136
モウ
斯
(
か
)
うして
神界
(
しんかい
)
へ
来
(
き
)
た
以上
(
いじやう
)
は、
137
名位
(
めいゐ
)
寿福
(
じゆふく
)
の
必要
(
ひつえう
)
もなければ
互
(
たがひ
)
に
争
(
あらそ
)
ふ
余地
(
よち
)
もない。
138
勝手
(
かつて
)
に
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
な
花園
(
はなぞの
)
を
逍遥
(
せうえう
)
し、
139
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
取
(
と
)
つて
食
(
く
)
ひ、
140
一切
(
いつさい
)
の
系累
(
けいるゐ
)
を
捨
(
す
)
てて
単身
(
たんしん
)
天国
(
てんごく
)
の
旅
(
たび
)
をするのだから、
141
これ
位
(
くらゐ
)
愉快
(
ゆくわい
)
な
事
(
こと
)
はないぢやないか。
142
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
善因
(
ぜんいん
)
善果
(
ぜんぐわ
)
、
143
悪因
(
あくいん
)
悪果
(
あくくわ
)
といふからは、
144
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
へ
来
(
こ
)
られる
様
(
やう
)
になるのは
余程
(
よほど
)
現界
(
げんかい
)
に
於
(
おい
)
て
善
(
ぜん
)
を
尽
(
つく
)
したものでなければならぬ
筈
(
はず
)
だ。
145
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
過去
(
くわこ
)
を
追懐
(
つゐくわい
)
すれば、
146
決
(
けつ
)
してかやうな
所
(
ところ
)
へやつて
来
(
こ
)
られる
道理
(
だうり
)
はない。
147
ヒヨツとしたら、
148
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
人違
(
ひとちがひ
)
を
遊
(
あそ
)
ばしたか、
149
感違
(
かんちがひ
)
をなさつたかも
知
(
し
)
れぬぞ。
150
モシそんな
事
(
こと
)
であつたなら、
151
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
大変
(
たいへん
)
だ。
152
此
(
この
)
美
(
うる
)
はしき
楽
(
たの
)
しき
境遇
(
きやうぐう
)
が
忽
(
たちま
)
ち
一変
(
いつぺん
)
して、
153
至醜
(
ししう
)
至苦
(
しく
)
の
地獄道
(
ぢごくだう
)
へ
落
(
おと
)
されるかも
知
(
し
)
れない。
154
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へばヤツパリ
執着心
(
しふちやくしん
)
が
起
(
おこ
)
つて
来
(
く
)
る。
155
何程
(
なにほど
)
執着心
(
しふちやくしん
)
をとれと
云
(
い
)
つても、
156
此
(
この
)
天国
(
てんごく
)
に
執着
(
しふちやく
)
が
残
(
のこ
)
らいでたまらうか。
157
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
158
どうぞ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
159
夢
(
ゆめ
)
でも
構
(
かま
)
ひませぬから、
160
どこ
迄
(
まで
)
も
此
(
この
)
境地
(
きやうち
)
において
下
(
くだ
)
さいますやうに』
161
と
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
して
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
天地
(
てんち
)
を
拝
(
をが
)
んでゐる。
162
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
163
二人
(
ふたり
)
の
立
(
た
)
つてゐた
地面
(
ぢめん
)
は
二十間
(
にじつけん
)
ばかり
持上
(
もちあが
)
り、
164
左右
(
さいう
)
の
低
(
ひく
)
い
所
(
ところ
)
に
坦々
(
たんたん
)
たる
大道
(
だいだう
)
が
通
(
つう
)
じて、
165
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
の
人物
(
じんぶつ
)
や
禽獣
(
きんじう
)
が
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
往来
(
わうらい
)
してゐるのが
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
た。
166
レーブ『ヤア
俄
(
にはか
)
に
又
(
また
)
様子
(
やうす
)
が
変
(
かは
)
つて
来
(
き
)
たぞ。
167
オイ、
168
カル、
169
気
(
き
)
をつけないと、
170
どんな
事
(
こと
)
になるか
知
(
し
)
れぬぞ、
171
チツとも
油断
(
ゆだん
)
は
出来
(
でき
)
ないからな』
172
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも、
173
二三丁
(
にさんちやう
)
前方
(
ぜんぱう
)
に
当
(
あた
)
つて
猿
(
さる
)
をしめる
様
(
やう
)
な
悲鳴
(
ひめい
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
174
二人
(
ふたり
)
は
物
(
もの
)
をも
言
(
い
)
はず、
175
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
何人
(
なんびと
)
か
悪魔
(
あくま
)
に
迫害
(
はくがい
)
され
居
(
を
)
るならむ、
176
救
(
すく
)
うてやらねばなるまいと、
177
無言
(
むごん
)
のまま
駆出
(
かけだ
)
した。
178
近
(
ちか
)
よつて
見
(
み
)
れば、
179
白衣
(
びやくい
)
をダラリと
着流
(
きなが
)
した
丸
(
まる
)
ポチヤの
青白
(
あをじろ
)
い
顔
(
かほ
)
をした
男
(
をとこ
)
が、
180
右手
(
めて
)
に
血刀
(
ちがたな
)
を
持
(
も
)
ち、
181
左手
(
ゆんで
)
に
四五
(
しご
)
才
(
さい
)
ばかりの
美
(
うる
)
はしき
童子
(
どうじ
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
を
引掴
(
ひつつか
)
み、
182
今
(
いま
)
や
胸先
(
むなさき
)
へ
短刀
(
たんたう
)
を
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
さむとする
間際
(
まぎは
)
であつた。
183
レーブ、
184
カルの
二人
(
ふたり
)
は
吾
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れて、
185
其
(
その
)
男
(
をとこ
)
に
飛
(
と
)
びかかり、
186
血刀
(
ちがたな
)
を
引
(
ひ
)
つたくり、
187
童子
(
どうじ
)
を
助
(
たす
)
けむと、
188
力限
(
ちからかぎ
)
りにもがけども、
189
白衣
(
びやくい
)
の
男
(
をとこ
)
は
地
(
ち
)
から
生
(
は
)
えた
岩
(
いは
)
のやうに、
190
押
(
お
)
せども
突
(
つ
)
けどもビクとも
動
(
うご
)
かぬ。
191
みるみる
間
(
うち
)
に
其
(
その
)
童子
(
どうじ
)
を
無残
(
むざん
)
にも
突
(
つ
)
き
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
つた。
192
レーブ『コリヤ
悪魔
(
あくま
)
奴
(
め
)
、
193
此処
(
ここ
)
は
何処
(
どこ
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐる、
194
勿体
(
もつたい
)
なくもかかる
尊
(
たふと
)
き
天国
(
てんごく
)
に
於
(
おい
)
て、
195
左様
(
さやう
)
な
兇行
(
きやうかう
)
を
演
(
えん
)
ずるといふ
事
(
こと
)
があるか』
196
男
(
をとこ
)
『アハヽヽヽ
阿呆
(
あはう
)
らしいワイ。
197
悪魔
(
あくま
)
の
容物
(
いれもの
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
198
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
悪魔
(
あくま
)
呼
(
よ
)
ばはりするとは
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だ。
199
糞虫
(
くそむし
)
は
糞
(
くそ
)
の
臭気
(
しうき
)
を
知
(
し
)
らぬとは
貴様
(
きさま
)
の
事
(
こと
)
だ。
200
サアこれから
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
番
(
ばん
)
だ、
201
そこ
動
(
うご
)
くな。
202
イヒヽヽヽ、
203
なんとマアいぢらしいものだなア、
204
いかさま
野郎
(
やらう
)
のインチキ
亡者
(
まうじや
)
奴
(
め
)
、
205
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
に
依
(
よ
)
つて、
206
此
(
この
)
天来
(
てんらい
)
菩薩
(
ぼさつ
)
が
之
(
これ
)
から
汝
(
なんぢ
)
を
制敗
(
せいばい
)
致
(
いた
)
すから、
207
喜
(
よろこ
)
んで
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
刃
(
やいば
)
を
受
(
う
)
けたがよからうぞ』
208
レーブ『アハヽヽヽ
天来
(
てんらい
)
菩薩
(
ぼさつ
)
とはソラ
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かす、
209
苟
(
いやし
)
くも
菩薩
(
ぼさつ
)
たる
者
(
もの
)
が
凶器
(
きやうき
)
をふりまはし、
210
天国
(
てんごく
)
の
街道
(
かいだう
)
に
於
(
おい
)
て
殺生
(
せつしやう
)
をするといふ
事
(
こと
)
があるか。
211
況
(
ま
)
して
罪
(
つみ
)
のない
童子
(
どうじ
)
を
殺害
(
さつがい
)
するとは、
212
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
の
代物
(
しろもの
)
だ。
213
コリヤ
悪魔
(
あくま
)
、
214
イヤ
天来
(
てんらい
)
、
215
よつく
聞
(
き
)
け、
216
此
(
この
)
方
(
はう
)
こそはバラモン
教
(
けう
)
にて
英雄
(
えいゆう
)
豪傑
(
がうけつ
)
と
世
(
よ
)
に
謳
(
うた
)
はれた
武術
(
ぶじゆつ
)
の
達人
(
たつじん
)
、
217
カル、
218
レーブの
両人
(
りやうにん
)
だ。
219
汝
(
なんぢ
)
の
如
(
ごと
)
き
小童
(
こわつぱ
)
共
(
ども
)
、
220
仮令
(
たとへ
)
幾
(
いく
)
百万
(
ひやくまん
)
人
(
にん
)
一団
(
いちだん
)
となつて
武者
(
むしや
)
ぶりつくとも、
221
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
に
蚊軍
(
ぶんぐん
)
の
襲撃
(
しふげき
)
した
様
(
やう
)
なものだ。
222
サア
今
(
いま
)
に
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
武勇
(
ぶゆう
)
を
現
(
あら
)
はし、
223
汝
(
なんぢ
)
が
剣
(
つるぎ
)
をボツたくり、
224
寸断
(
すんだん
)
にしてくれむ、
225
覚悟
(
かくご
)
を
致
(
いた
)
したがよからうぞ。
226
神界
(
しんかい
)
の
名残
(
なごり
)
に
神文
(
しんもん
)
でも
称
(
とな
)
へたがよからう』
227
男
(
をとこ
)
『ウツフヽヽヽうろたへ
者
(
もの
)
奴
(
め
)
が、
228
神界
(
しんかい
)
の
法則
(
はふそく
)
に
依
(
よ
)
つて、
229
此
(
この
)
方
(
はう
)
が
使命
(
しめい
)
を
全
(
まつた
)
くする
為
(
ため
)
、
230
此
(
この
)
童子
(
どうじ
)
を
制敗
(
せいばい
)
してゐるのだ。
231
汝
(
なんぢ
)
はいつも
現界
(
げんかい
)
でホザいて
居
(
を
)
るだらう、
232
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて、
233
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける、
234
神
(
かみ
)
でなくて、
235
身魂
(
みたま
)
の
善悪
(
ぜんあく
)
が
分
(
わか
)
るものか。
236
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
の
容喙
(
ようかい
)
すべき
限
(
かぎり
)
でない、
237
人間
(
にんげん
)
は
人間
(
にんげん
)
らしく
黙
(
だま
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
行
(
ゆ
)
くべき
所
(
ところ
)
へ
行
(
ゆ
)
けばいいのだ。
238
訳
(
わけ
)
も
知
(
し
)
らずに
安
(
やす
)
つぽい
慈悲心
(
じひしん
)
だとか、
239
義侠心
(
ぎけふしん
)
を
発揮
(
はつき
)
しようと
思
(
おも
)
つても、
240
そんな
事
(
こと
)
は、
241
鏡
(
かがみ
)
の
如
(
ごと
)
き
明
(
あきら
)
かな
神界
(
しんかい
)
に
於
(
おい
)
ては
通用
(
つうよう
)
致
(
いた
)
さぬぞ』
242
レーブ『
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
童子
(
どうじ
)
に
如何
(
いか
)
なる
罪
(
つみ
)
があらうとも、
243
神界
(
しんかい
)
に
於
(
おい
)
ては
何事
(
なにごと
)
も
善意
(
ぜんい
)
に
解
(
かい
)
し、
244
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
宣直
(
のりなほ
)
し
給
(
たま
)
ふのが
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
恵
(
めぐみ
)
だ。
245
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
使命
(
しめい
)
だと
申
(
まを
)
すが、
246
娑婆
(
しやば
)
地獄
(
ぢごく
)
ならば
知
(
し
)
らぬこと、
247
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
分霊
(
ぶんれい
)
たる
人間
(
にんげん
)
を
自
(
みづか
)
ら
手
(
て
)
を
下
(
くだ
)
して
制敗
(
せいばい
)
するといふ
道理
(
だうり
)
があるか』
248
男
(
をとこ
)
『エヘヽヽヽぬかしたりな ぬかしたりな、
249
それ
程
(
ほど
)
よく
理屈
(
りくつ
)
の
分
(
わか
)
つた
其
(
その
)
方
(
はう
)
なれば、
250
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
宣直
(
のりなほ
)
さぬか。
251
娑婆
(
しやば
)
で
少
(
すこ
)
しく
覚
(
おぼ
)
えた
武勇
(
ぶゆう
)
を
鼻
(
はな
)
にかけ、
252
吾々
(
われわれ
)
を
悪魔
(
あくま
)
呼
(
よ
)
ばはりになし、
253
此
(
この
)
方
(
はう
)
の
刀
(
かたな
)
を
掠奪
(
りやくだつ
)
して
盗賊
(
たうぞく
)
の
罪
(
つみ
)
を
重
(
かさ
)
ね、
254
又
(
また
)
此
(
この
)
方
(
はう
)
を
寸断
(
すんだん
)
せむとは
自家
(
じか
)
撞着
(
どうちやく
)
も
甚
(
はなは
)
だしいではないか。
255
そんな
事
(
こと
)
で
如何
(
どう
)
して
神界
(
しんかい
)
の
旅
(
たび
)
が
出来
(
でき
)
るか。
256
テもさても
分
(
わか
)
らぬ
奴
(
やつ
)
だな。
257
オツホヽヽヽ
鬼
(
おに
)
の
上前
(
うはまへ
)
を
貴様
(
きさま
)
は
はね
ようと
致
(
いた
)
すのか、
258
何
(
なん
)
と
恐
(
おそ
)
ろしい
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
い
代物
(
しろもの
)
だなア』
259
カル『コリヤ
悪魔
(
あくま
)
、
260
ここは
神界
(
しんかい
)
だぞ、
261
貴様
(
きさま
)
の
居
(
を
)
る
世界
(
せかい
)
は
幽界
(
いうかい
)
だらう。
262
かやうな
所
(
ところ
)
へやつて
来
(
く
)
るといふ
事
(
こと
)
があるか、
263
早
(
はや
)
く
立去
(
たちさ
)
れ。
264
グヅグヅ
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ると、
265
神界
(
しんかい
)
幽界
(
いうかい
)
の
国際
(
こくさい
)
談判
(
だんぱん
)
が
始
(
はじ
)
まり、
266
遂
(
つひ
)
には
談判
(
だんぱん
)
破裂
(
はれつ
)
して、
267
地獄
(
ぢごく
)
征伐
(
せいばつ
)
の
宣示
(
せんじ
)
が
渙発
(
くわんぱつ
)
されるやうになるかも
知
(
し
)
れぬぞ』
268
男
(
をとこ
)
『イツヒヽヽヽ
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
現界
(
げんかい
)
に
於
(
おい
)
て
一
(
ひと
)
つの
善事
(
ぜんじ
)
もなさず、
269
まぐれ
当
(
あた
)
りに
神界
(
しんかい
)
へふみ
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
よつて、
270
一角
(
ひとかど
)
善人面
(
ぜんにんづら
)
をさらして、
271
ツベコベと
理屈
(
りくつ
)
を
囀
(
さへづ
)
つてゐやがるが、
272
此
(
この
)
悪魔
(
あくま
)
も
此
(
この
)
血刀
(
ちがたな
)
も、
273
皆
(
みな
)
貴様
(
きさま
)
の
心
(
こころ
)
の
反映
(
はんえい
)
だ。
274
貴様
(
きさま
)
は
八岐
(
やまたの
)
大蛇
(
をろち
)
の
悪魔
(
あくま
)
の
憑
(
つ
)
いた
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
部下
(
ぶか
)
に
仕
(
つか
)
ふる
鬼春別
(
おにはるわけ
)
の
乾児
(
こぶん
)
の
乾児
(
こぶん
)
の
其
(
その
)
乾児
(
こぶん
)
たる
小悪人
(
せうあくにん
)
で
居
(
ゐ
)
ながら、
275
三
(
さん
)
才
(
さい
)
の
童子
(
どうじ
)
に
等
(
ひと
)
しき
天
(
あめ
)
の
下
(
した
)
の
青人草
(
あをひとぐさ
)
の
生血
(
いきち
)
を
吸
(
す
)
ひ、
276
少
(
すこ
)
しの
武勇
(
ぶゆう
)
を
鼻
(
はな
)
にかけ、
277
修羅
(
しゆら
)
の
戦場
(
せんぢやう
)
に
疾駆
(
しつく
)
した
其
(
その
)
罪
(
つみ
)
が
今
(
いま
)
ここに
顕現
(
けんげん
)
してゐるのだ。
278
要
(
えう
)
するに
此
(
この
)
方
(
はう
)
は
貴様
(
きさま
)
の
罪
(
つみ
)
が
生
(
う
)
んだ
悪魔
(
あくま
)
だから、
279
貴様
(
きさま
)
が
本当
(
ほんたう
)
に
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
宣直
(
のりなほ
)
し、
280
発
(
ほつ
)
ごん
と
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
したならば、
281
かかる
尊
(
たふと
)
き
神界
(
しんかい
)
の
大道
(
だいだう
)
に
如何
(
どう
)
して
俺
(
おれ
)
が
現
(
あら
)
はれる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ようか。
282
俺
(
おれ
)
が
亡
(
ほろ
)
ぼしたくば、
283
貴様
(
きさま
)
の
心
(
こころ
)
から
改心
(
かいしん
)
したがよからう。
284
人
(
ひと
)
が
悪魔
(
あくま
)
だと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
れば、
285
みんな
自分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
だぞ。
286
コリヤ、
287
レーブ、
288
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
今
(
いま
)
の
先
(
さき
)
黄金姫
(
わうごんひめ
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
289
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
を
聞
(
き
)
いたであらう。
290
人
(
ひと
)
が
悪
(
わる
)
いと
思
(
おも
)
うてゐると
皆
(
みな
)
われの
事
(
こと
)
ぢやぞよ………と
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
岩蔭
(
いはかげ
)
で
聞
(
き
)
かされたぢやないか』
291
レーブ『
成程
(
なるほど
)
さうすると、
292
お
前
(
まへ
)
は
俺
(
おれ
)
の
言
(
い
)
はば
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
だなア。
293
何
(
なん
)
と
悪
(
わる
)
い
副守
(
ふくしゆ
)
が
居
(
ゐ
)
やがつたものだなア』
294
男
(
をとこ
)
『アハヽヽヽ
都合
(
つがふ
)
のよい
勝手
(
かつて
)
な
事
(
こと
)
をいふな。
295
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
所
(
どころ
)
か、
296
貴様
(
きさま
)
の
本
(
ほん
)
守護神
(
しゆごじん
)
の
断片
(
だんぺん
)
だ。
297
トコトン
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
さぬと、
298
まだまだ
此
(
この
)
先
(
さき
)
で
貴様
(
きさま
)
の
生
(
う
)
んだ
鬼
(
おに
)
が
貴様
(
きさま
)
に
肉迫
(
にくはく
)
して、
299
どんな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はすか
知
(
し
)
れぬぞ。
300
己
(
おの
)
が
刀
(
かたな
)
で
己
(
おの
)
が
首切
(
くびき
)
るやうなことが
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
すから、
301
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
したがよからう。
302
レーブばかりでない、
303
カルも
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りだ、
304
此
(
この
)
童子
(
どうじ
)
はヤツパリ、
305
カルの
身魂
(
みたま
)
の
化身
(
けしん
)
だ。
306
どうだ
判
(
わか
)
つたか』
307
レーブ『ヤア
判
(
わか
)
つた、
308
斯
(
か
)
うして
二人
(
ふたり
)
仲
(
なか
)
よくして
神界
(
しんかい
)
の
旅行
(
りよかう
)
をやつてゐるものの、
309
本当
(
ほんたう
)
のことを
言
(
い
)
へば、
310
おれも
淋
(
さび
)
しくて
仕方
(
しかた
)
がないから、
311
道伴
(
みちづ
)
れにしようと
思
(
おも
)
ひ、
312
表面
(
へうめん
)
こそ
親切
(
しんせつ
)
に
打解
(
うちと
)
けたらしくしてゐるものの、
313
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
まで
行
(
い
)
つたならば
斯様
(
かやう
)
な
悪人
(
あくにん
)
は
此
(
この
)
下
(
した
)
に
見
(
み
)
ゆる
地獄道
(
ぢごくだう
)
へつき
落
(
おと
)
してやらうと、
314
心
(
こころ
)
の
端
(
はし
)
に
思
(
おも
)
うてゐたのだ。
315
ヤア
悪
(
わる
)
かつた、
316
オイ、
317
カル
公
(
こう
)
、
318
俺
(
おれ
)
は
本当
(
ほんたう
)
に
済
(
す
)
まなかつた。
319
心
(
こころ
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
してくれ』
320
カル『あゝさうか、
321
おれも
実
(
じつ
)
はお
前
(
まへ
)
と
打解
(
うちと
)
けて
歩
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
るものの、
322
何時
(
いつ
)
お
前
(
まへ
)
が
俺
(
おれ
)
の
素首
(
そつくび
)
を
引抜
(
ひきぬ
)
くか
知
(
し
)
れぬと
思
(
おも
)
うて、
323
戦々
(
せんせん
)
兢々
(
きやうきやう
)
と
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
でしてゐたのだ。
324
さうするとあの
童子
(
どうじ
)
は
俺
(
おれ
)
の
恐怖心
(
きようふしん
)
が
塊
(
かたま
)
つて
現
(
あら
)
はれたのだな。
325
お
前
(
まへ
)
がさう
改心
(
かいしん
)
してくれる
以上
(
いじやう
)
は、
326
最早
(
もはや
)
お
前
(
まへ
)
も
恐
(
おそ
)
れはせぬ。
327
互
(
たがひ
)
に
打解
(
うちと
)
けて
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
仲
(
なか
)
よくして、
328
此
(
この
)
天国
(
てんごく
)
を
遊行
(
いうかう
)
しようぢやないか。
329
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
330
と
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
331
両人
(
りやうにん
)
は
目
(
め
)
をとぢて
天地
(
てんち
)
に
祈願
(
きぐわん
)
をこめた。
332
暫
(
しばら
)
くあつて、
333
目
(
め
)
を
開
(
ひら
)
きあたりを
見
(
み
)
れば、
334
男
(
をとこ
)
の
影
(
かげ
)
も
童子
(
どうじ
)
の
影
(
かげ
)
もなく、
335
大地
(
だいち
)
に
流
(
なが
)
れた
血潮
(
ちしほ
)
と
見
(
み
)
えしは
紅
(
くれなゐ
)
の
花
(
はな
)
、
336
紛々
(
ふんぷん
)
と
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひ、
337
白
(
しろ
)
黄
(
き
)
紫
(
むらさき
)
青
(
あを
)
などの
美
(
うる
)
はしき
羽
(
はね
)
の
蝶
(
てふ
)
翩翻
(
へんぽん
)
と
花
(
はな
)
を
目
(
め
)
がけて
舞
(
ま
)
ひ
遊
(
あそ
)
んでゐる。
338
両人
(
りやうにん
)
は
初
(
はじ
)
めて
心
(
こころ
)
の
迷
(
まよ
)
ひを
醒
(
さ
)
まし、
339
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
しながら、
340
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
手
(
て
)
をつなぎつつ、
341
いと
睦
(
むつま
)
じげに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
342
(
大正一一・一一・三
旧九・一五
松村真澄
録)
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