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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第40巻(卯の巻)
序文に代へて
緒言
総説
第1篇 恋雲魔風
第1章 大雲山
第2章 出陣
第3章 落橋
第4章 珍客
第5章 忍ぶ恋
第2篇 寒梅照国
第6章 仁愛の真相
第7章 文珠
第8章 使者
第9章 雁使
第3篇 霊魂の遊行
第10章 衝突
第11章 三途館
第12章 心の反映
第13章 試の果実
第14章 空川
第4篇 関風沼月
第15章 氷嚢
第16章 春駒
第17章 天幽窟
第18章 沼の月
第19章 月会
第20章 入那の森
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第40巻(卯の巻)
> 第4篇 関風沼月 > 第17章 天幽窟
<<< 春駒
(B)
(N)
沼の月 >>>
第一七章
天幽窟
(
てんいうくつ
)
〔一一〇一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
篇:
第4篇 関風沼月
よみ(新仮名遣い):
かんぷうしょうげつ
章:
第17章 天幽窟
よみ(新仮名遣い):
てんゆうくつ
通し章番号:
1101
口述日:
1922(大正11)年11月04日(旧09月16日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
テームス峠を下った一行はライオン川の川辺に着いた。春公は、川をしばらく下ったところに人に知られていない浅瀬があるのでそこを渡ろうと提案した。浅瀬に向かう途中、一頭の馬を見つけ、春公は宣伝使一行にならって馬に乗ることにした。
川を渡ると、春公は兄の岩彦がヤッコスという名でバラモン教に潜入していたころに聞いた評判話を始めた。ヤッコスというバラモン教の新入りが、ライオン川で溺れていた唐獅子の子を助け、それ以来ヤッコスが危難に陥るたびに獅子が現れて助けるという。
春公は、テームス峠を獅子に乗った文殊菩薩が走り抜けたという噂も語り、自分の兄の岩彦は文殊菩薩のようだと感嘆した。
一行が玉山峠の頂上近くにさしかかると、狼の群れが現れ、その中の大きな一頭が春公の裾を加えて引き留めた。照国別は、狼は義獣だから何か変事を知らせてくれるのだろうと、着いていくことにした。
狼は一行を谷川に案内した。そこには十人ばかりの人間が人事不省になって横たわっていた。照国別は従者たちに介抱を命じると、天津祝詞を奏上して魂呼びを始めた。
カル、レーブを始めバラモン教徒たちは息を吹き返し、宣伝使たちに感謝した。そして照国別の一行に加わって大原野を行くことになった。行き当たった沼(葵の沼)で一夜を明かすことになる。
一行が眠りに就くと、スガル、チルという二人の男は宣伝使一行とレーブとカルを縄で縛ってしまった。バラモン教の鬼春別将軍に差し出し、手柄を立てようという魂胆でひそひそと相談を始めた。
しかし照国別はレーブとカル以外は心から三五教に改心したわけではなかったことを見抜いており、先手を打っていたレーブが縄を引っ張ると、逆にバラモン教の八人が縛られてしまった。
照国別がレーブに命じて八人の縄を解くと、八人は沼に転がり落ちながら一生懸命に逃げ出してしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-04 12:04:31
OBC :
rm4017
愛善世界社版:
223頁
八幡書店版:
第7輯 499頁
修補版:
校定版:
231頁
普及版:
102頁
初版:
ページ備考:
001
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
くにしてテームス
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
り、
002
ライオン
川
(
がは
)
の
川辺
(
かはべ
)
に
着
(
つ
)
いた。
003
春公
(
はるこう
)
『
大分
(
だいぶ
)
に
足
(
あし
)
も
疲
(
つか
)
れました。
004
この
儘
(
まま
)
川中
(
かはなか
)
を
渡
(
わた
)
ると
層一層
(
そういつそう
)
足
(
あし
)
が
疲
(
くたび
)
れるものです。
005
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
馬
(
うま
)
があるから
差支
(
さしつかへ
)
ないと
云
(
い
)
ふやうなものの、
006
矢張
(
やはり
)
馬
(
うま
)
だつて
疲
(
つか
)
れてゐませう。
007
私
(
わたし
)
が
最前
(
さいぜん
)
歌
(
うた
)
つた
通
(
とほ
)
り、
008
少
(
すこ
)
し
廻
(
まは
)
り
道
(
みち
)
になりますが、
009
これから
十四五
(
じふしご
)
丁
(
ちやう
)
下
(
しも
)
へ
下
(
くだ
)
ると
川幅
(
かははば
)
の
広
(
ひろ
)
い
瀬
(
せ
)
の
緩
(
ゆる
)
い
浅瀬
(
あさせ
)
が
厶
(
ござ
)
います。
010
それはバラモン
教
(
けう
)
の
連中
(
れんちう
)
でもあまり
知
(
し
)
らない
秘密
(
ひみつ
)
場所
(
ばしよ
)
です。
011
如何
(
どう
)
でせう、
012
それから
渡
(
わた
)
れば
大変
(
たいへん
)
に
無難
(
ぶなん
)
ですが』
013
照国
(
てるくに
)
『さうだのう、
014
安全
(
あんぜん
)
な
渡
(
わた
)
り
場
(
ば
)
があるのに
危険
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して
急流
(
きふりう
)
を
渡
(
わた
)
る
必要
(
ひつえう
)
もあるまい。
015
それなら
少
(
すこ
)
し
迂回
(
うくわい
)
でも
下流
(
かりう
)
を
渡
(
わた
)
りませう』
016
かく
話
(
はな
)
す
処
(
ところ
)
へ、
017
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
が
乗
(
の
)
り
棄
(
す
)
てた
一匹
(
いつぴき
)
の
馬
(
うま
)
、
018
道端
(
みちばた
)
の
草
(
くさ
)
を
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
いで
むし
りながら、
019
ノソリノソリとやつて
来
(
く
)
る。
020
春公
(
はるこう
)
『ヤア
何
(
なん
)
と
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
と
云
(
い
)
ふお
方
(
かた
)
は
親切
(
しんせつ
)
なものだなア。
021
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
駒
(
こま
)
、
022
自分
(
じぶん
)
は
親譲
(
おやゆづ
)
りの
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
で
てく
つてお
供
(
とも
)
をして
来
(
き
)
たが、
023
折
(
をり
)
よく
一匹
(
いつぴき
)
の
駒
(
こま
)
が
落
(
お
)
ちてゐる。
024
これで
愈
(
いよいよ
)
四馬
(
しめ
)
に
跨
(
また
)
がると
云
(
い
)
ふものだ。
025
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
026
乗
(
の
)
つても
宜
(
よろ
)
しいか』
027
照国
(
てるくに
)
『
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
る
馬
(
うま
)
だから
別
(
べつ
)
に
盗
(
ぬす
)
んだものにもなるまい。
028
もし
落
(
おと
)
し
主
(
ぬし
)
が
分
(
わか
)
つたら
其
(
その
)
時
(
とき
)
返
(
かへ
)
してやればよいから
遠慮
(
ゑんりよ
)
なしに
乗
(
の
)
つたがよからう』
029
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
に
春公
(
はるこう
)
は
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち、
030
馬
(
うま
)
の
側
(
そば
)
に
近
(
ちか
)
づき
首筋
(
くびすぢ
)
を
撫
(
な
)
でながら、
031
春公
『オイ
馬公
(
うまこう
)
、
032
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
頼
(
たの
)
むよ。
033
今日
(
けふ
)
から
俺
(
おれ
)
がお
前
(
まへ
)
の
仮
(
かり
)
の
主人
(
しゆじん
)
だ』
034
と
云
(
い
)
ひながらヒラリと
飛
(
と
)
び
乗
(
の
)
つた。
035
比較
(
ひかく
)
的
(
てき
)
おとなしき
馬
(
うま
)
で
稀代
(
きだい
)
の
尤物
(
いうぶつ
)
である。
036
これはバラモン
教
(
けう
)
の
釘彦
(
くぎひこ
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
た
名馬
(
めいば
)
であつた。
037
いかなる
激流
(
げきりう
)
も
大海
(
たいかい
)
も
少
(
すこ
)
しも
屈
(
くつ
)
せず
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
である。
038
ここに
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
轡
(
くつわ
)
を
並
(
なら
)
べシヤンコ シヤンコと
足並
(
あしなみ
)
揃
(
そろ
)
へて
下流
(
かりう
)
の
浅瀬
(
あさせ
)
に
到着
(
たうちやく
)
した。
039
水
(
みづ
)
の
深
(
ふか
)
さは
四五寸
(
しごすん
)
から
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
迄
(
まで
)
位
(
くらゐ
)
な
浅瀬
(
あさせ
)
である。
040
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
川幅
(
かははば
)
は
外
(
ほか
)
の
場所
(
ばしよ
)
に
比
(
くら
)
べて
三倍
(
さんばい
)
ばかりも
展開
(
てんかい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
041
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
悠々
(
いういう
)
として
四方山
(
よもやま
)
の
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
りながら
四馬
(
しめ
)
の
首
(
くび
)
を
一緒
(
いつしよ
)
に
並
(
なら
)
べて
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
く。
042
春公
(
はるこう
)
『
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
043
バラモン
教
(
けう
)
の
清春山
(
きよはるやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
たヤツコスと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
が
私
(
わたし
)
の
兄
(
あに
)
の
岩彦
(
いはひこ
)
だと
聞
(
き
)
きましたが、
044
此
(
この
)
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
るについて
此
(
この
)
ヤツコスに
関
(
くわん
)
し
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
が
厶
(
ござ
)
いますから
話
(
はな
)
して
見
(
み
)
ませうか』
045
照国
(
てるくに
)
『
何卒
(
どうぞ
)
話
(
はな
)
して
下
(
くだ
)
さい。
046
随分
(
ずゐぶん
)
珍談
(
ちんだん
)
が……あの
男
(
をとこ
)
の
事
(
こと
)
だからあるだらうなア』
047
春公
『
私
(
わたし
)
もヤツコスが
兄
(
あに
)
ぢやと
聞
(
き
)
いて
此
(
この
)
川
(
かは
)
が
一入
(
ひとしほ
)
床
(
ゆか
)
しうなつて
来
(
き
)
ました。
048
此
(
この
)
川
(
かは
)
にライオン
川
(
がは
)
と
名
(
な
)
のついたのは
此
(
この
)
川上
(
かはかみ
)
に
天幽窟
(
てんいうくつ
)
と
云
(
い
)
ふ
樹木
(
じゆもく
)
の
茂
(
しげ
)
つた
人間
(
にんげん
)
の
寄
(
よ
)
りつかれない
大
(
だい
)
秘密境
(
ひみつきやう
)
があつて、
049
そこにはライオンが
幾百千
(
いくひやくせん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなく
棲居
(
すまゐ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
ります。
050
それでその
天幽窟
(
てんいうくつ
)
を
一名
(
いちめい
)
ライオン
窟
(
くつ
)
とも
称
(
とな
)
へ、
051
従
(
したが
)
つて
此
(
この
)
川
(
かは
)
をライオン
川
(
がは
)
と
名付
(
なづ
)
けられたさうです。
052
昨年
(
さくねん
)
の
春
(
はる
)
の
頃
(
ころ
)
、
053
ヤツコスと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
が
此
(
この
)
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
る
時
(
とき
)
、
054
川上
(
かはかみ
)
に
居
(
を
)
つた
唐獅子
(
からじし
)
の
子
(
こ
)
が
二匹
(
にひき
)
川
(
かは
)
へ
遊
(
あそ
)
びに
来
(
き
)
て、
055
誤
(
あやま
)
つて
激流
(
げきりう
)
に
落
(
お
)
ち
入
(
い
)
りブカブカと
流
(
なが
)
れて
来
(
き
)
ました。
056
そこをヤツコスが
通
(
とほ
)
りかかり、
057
溺
(
おぼ
)
れ
死
(
し
)
なむとする
獅子
(
しし
)
の
子
(
こ
)
を
二匹
(
にひき
)
ながら
取掴
(
とつつか
)
まへて
川堤
(
かはどて
)
へ
救
(
すく
)
ひあげ、
058
色々
(
いろいろ
)
と
介抱
(
かいほう
)
して
水
(
みづ
)
を
吐
(
は
)
かせ、
059
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うて
天幽窟
(
てんいうくつ
)
まで
大胆
(
だいたん
)
至極
(
しごく
)
に
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
み、
060
獅子
(
しし
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
へ
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けてやつたと
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
で
厶
(
ござ
)
います。
061
それから
其
(
その
)
ヤツコスには
獅子
(
しし
)
が
守護
(
しゆご
)
をしてヤツコスの
身
(
み
)
に
危難
(
きなん
)
の
迫
(
せま
)
つた
時
(
とき
)
は、
062
何処
(
どこ
)
ともなしにライオンが
沢山
(
たくさん
)
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
て、
063
危急
(
ききふ
)
を
救
(
すく
)
ふと
云
(
い
)
ふ
専
(
もつぱ
)
ら
評判
(
ひやうばん
)
……いや
事実
(
じじつ
)
ださうで
厶
(
ござ
)
います。
064
それを
聞
(
き
)
きこんで、
065
清春山
(
きよはるやま
)
の
大足別
(
おほだるわけ
)
がこんな
男
(
をとこ
)
を
抱
(
かか
)
へて
置
(
お
)
いたら、
066
まさかの
時
(
とき
)
に
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だと
思
(
おも
)
ひ、
067
自分
(
じぶん
)
の
家来
(
けらい
)
にしたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
ですが、
068
其
(
その
)
ヤツコスが
果
(
はた
)
して
兄
(
あに
)
の
岩彦
(
いはひこ
)
ならば
本当
(
ほんたう
)
に
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
います。
069
昨日
(
きのふ
)
も
文珠
(
もんじゆ
)
師利
(
しり
)
菩薩
(
ぼさつ
)
が
獅子
(
しし
)
に
乗
(
の
)
つてテームス
峠
(
たうげ
)
の
関所
(
せきしよ
)
を
越
(
こ
)
えたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
きましたが、
070
丁度
(
ちやうど
)
私
(
わたし
)
の
兄
(
あに
)
は
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
の
様
(
やう
)
な
男
(
をとこ
)
で
厶
(
ござ
)
いますなア』
071
照国別
『
何
(
なん
)
と
珍
(
めづ
)
らしい
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いた。
072
ライオン
川
(
がは
)
でライオンの
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くとは
之
(
これ
)
も
何
(
なに
)
かの
神界
(
しんかい
)
の
摂理
(
せつり
)
だらう』
073
斯
(
か
)
く
話
(
はな
)
しつつ
漸
(
やうや
)
くにして
難
(
なん
)
なく
広
(
ひろ
)
き
川
(
かは
)
を
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
に
渡
(
わた
)
り、
074
再
(
ふたた
)
び
道
(
みち
)
を
十四五
(
じふしご
)
丁
(
ちやう
)
ばかり
北
(
きた
)
にとり、
075
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
にさしかかり、
076
ハイハイハイと
秋風
(
あきかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれながら
頂上
(
ちやうじやう
)
さして
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
077
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は、
078
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
から
馬
(
うま
)
を
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
り、
079
各自
(
めいめい
)
馬
(
うま
)
の
口
(
くち
)
をとりながらハアハア ハイハイと
注意
(
ちうい
)
を
駒
(
こま
)
に
促
(
うなが
)
しつつ
七八分
(
しちはちぶ
)
ばかり
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
た。
080
俄
(
にはか
)
に
一匹
(
いつぴき
)
のかなり
大
(
おほ
)
きな
狼
(
おほかみ
)
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
081
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
てる
春公
(
はるこう
)
の
裾
(
すそ
)
を
銜
(
くは
)
へて
無理
(
むり
)
やりに
引
(
ひ
)
つぱらうとする
其
(
その
)
挙動
(
きよどう
)
の
怪
(
あや
)
しさ。
082
春公
(
はるこう
)
『こん
畜生
(
ちくしやう
)
、
083
人間
(
にんげん
)
様
(
さま
)
の
裾
(
すそ
)
を
喰
(
く
)
ひやがつて
貴様
(
きさま
)
は
狼
(
おほかみ
)
ぢやないか。
084
こりや
畜生
(
ちくしやう
)
、
085
俺
(
おれ
)
を
喰
(
く
)
はうと
思
(
おも
)
つても
貴様
(
きさま
)
の
手
(
て
)
には
合
(
あ
)
はないぞ。
086
此
(
この
)
方
(
はう
)
さまは
勿体
(
もつたい
)
なくも
此
(
この
)
世
(
よ
)
をお
造
(
つく
)
り
遊
(
あそ
)
ばした
大自在天
(
だいじざいてん
)
……オツトドツコイ
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
く
三五教
(
あななひけう
)
の
金線
(
きんすぢ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
照国別
(
てるくにわけ
)
様
(
さま
)
のお
供
(
とも
)
に
仕
(
つか
)
ふる
春公別
(
はるこうわけ
)
さまだぞ。
087
人間違
(
ひとまちが
)
ひを
致
(
いた
)
すな。
088
人間
(
にんげん
)
が
喰
(
く
)
ひたければテームス
峠
(
たうげ
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
に
酒
(
さけ
)
に
喰
(
くら
)
ひ
酔
(
よ
)
うて
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
る
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
関守
(
せきもり
)
がある。
089
彼奴
(
あいつ
)
をガブリとやつて
鱈腹
(
たらふく
)
、
090
腹
(
はら
)
を
膨
(
ふく
)
らすが
宜
(
よ
)
からう。
091
シーツどけどけ』
092
と
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
を
打
(
う
)
ちふつて
追
(
お
)
ひ
除
(
の
)
けようとすれども、
093
狼
(
おほかみ
)
は
別
(
べつ
)
に
怒
(
おこ
)
つた
気色
(
けしき
)
もなく、
094
尾
(
を
)
を
犬
(
いぬ
)
の
様
(
やう
)
に
左右
(
さいう
)
に
打
(
う
)
ちふりながら
裾
(
すそ
)
を
喞
(
くは
)
へ
引張
(
ひつぱ
)
つて
放
(
はな
)
さぬ。
095
春公
(
はるこう
)
『こりやこりや、
096
俺
(
おれ
)
は
急
(
いそ
)
ぐ
旅
(
たび
)
だ。
097
往来
(
わうらい
)
の
妨
(
さまた
)
げを
致
(
いた
)
すと、
098
交番
(
かうばん
)
へ
往来
(
わうらい
)
妨害罪
(
ばうがいざい
)
で
訴
(
うつた
)
へてやるぞ。
099
何
(
なん
)
だ
飼犬
(
かひいぬ
)
の
様
(
やう
)
に
尾
(
を
)
をふりやがつて、
100
ハハア
此奴
(
こいつ
)
ア
山犬
(
やまいぬ
)
だなア。
101
もとは
人間
(
にんげん
)
の
家
(
うち
)
に
飼
(
か
)
はれて
居
(
ゐ
)
やがつたのが、
102
主人
(
しゆじん
)
の
没落
(
ぼつらく
)
の
為
(
た
)
め
貴様
(
きさま
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
流浪
(
るらう
)
して
到頭
(
たうとう
)
山
(
やま
)
に
逃
(
に
)
げ
込
(
こ
)
み、
103
山犬
(
やまいぬ
)
となり、
104
デモ
狼
(
おほかみ
)
に
進化
(
しんくわ
)
したのだなア。
105
人
(
ひと
)
は
境遇
(
きやうぐう
)
によつて
人相
(
にんさう
)
迄
(
まで
)
変
(
かは
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だが
矢張
(
やつぱり
)
畜生
(
ちくしやう
)
でも
其
(
その
)
道理
(
だうり
)
に
洩
(
も
)
れぬと
見
(
み
)
えるわい。
106
こりや
狼犬
(
おほかみいぬ
)
畜生
(
ちくしやう
)
、
107
放
(
はな
)
さぬかい、
108
十七八
(
じふしちはち
)
のナイスに
引張
(
ひつぱ
)
られるのならチツとは
気分
(
きぶん
)
が
宜
(
よ
)
いが、
109
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
に
裾
(
すそ
)
を
引張
(
ひつぱ
)
られると、
110
あまり
宜
(
よ
)
い
心持
(
こころもち
)
がせぬわい。
111
エー
畜生
(
ちくしやう
)
、
112
合点
(
がてん
)
の
悪
(
わる
)
い
奴
(
やつ
)
だな。
113
貴様
(
きさま
)
狼犬
(
おほかみいぬ
)
ならチツとは
獣
(
けもの
)
の
中
(
うち
)
でも
王
(
わう
)
の
部分
(
ぶぶん
)
だから
人間
(
にんげん
)
さまの
言霊
(
ことたま
)
位
(
くらゐ
)
は
分
(
わか
)
る
筈
(
はず
)
だ。
114
グヅグヅ
致
(
いた
)
すと
馬
(
うま
)
に
踏
(
ふ
)
み
殺
(
ころ
)
さしてやるぞ』
115
狼
(
おほかみ
)
は
尾
(
を
)
を
頻
(
しき
)
りにふり
裾
(
すそ
)
を
喞
(
くは
)
へ
道
(
みち
)
の
傍
(
かたはら
)
の
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みへ
無理
(
むり
)
に
引
(
ひ
)
き
込
(
こ
)
まうとする。
116
春公
(
はるこう
)
『もし
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
117
此
(
この
)
畜生
(
ちくしやう
)
、
118
洒落
(
しやれ
)
た
奴
(
やつ
)
で、
119
柄
(
がら
)
にも
似合
(
にあ
)
はぬ
四足
(
よつあし
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
吾々
(
われわれ
)
に
揶揄
(
からか
)
ひやがるのです。
120
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
蹶
(
け
)
り
殺
(
ころ
)
してやつたら
如何
(
どう
)
でせうか』
121
照国
(
てるくに
)
『
狼
(
おほかみ
)
と
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
義獣
(
ぎじう
)
だから、
122
そんな
乱暴
(
らんばう
)
な
事
(
こと
)
をしてはならない。
123
何
(
なに
)
か
吾々
(
われわれ
)
に
変事
(
へんじ
)
を
知
(
し
)
らして
呉
(
く
)
れるのだらう。
124
先
(
ま
)
づ
狼
(
おほかみ
)
の
引張
(
ひつぱ
)
つて
行
(
ゆ
)
く
方
(
はう
)
へついて
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
たら
如何
(
どう
)
だ。
125
千匹
(
せんびき
)
狼
(
おほかみ
)
が
通
(
とほ
)
るので
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
を
助
(
たす
)
けてやらうと
思
(
おも
)
つて
隠家
(
かくれが
)
へ
引
(
ひ
)
き
行
(
ゆ
)
かうとするのかも
知
(
し
)
れぬぞ』
126
春公
『さうだと
云
(
い
)
つて
狼
(
おほかみ
)
に
引張
(
ひつぱ
)
られて
行
(
ゆ
)
くのはあまり
気分
(
きぶん
)
の
宜
(
よ
)
いものぢやありませぬわ』
127
照国別
『おい
狼
(
おほかみ
)
、
128
お
前
(
まへ
)
の
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
へついて
行
(
ゆ
)
くから
春公
(
はるこう
)
の
裾
(
すそ
)
を
放
(
はな
)
してやつて
呉
(
く
)
れ』
129
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
狼
(
おほかみ
)
は
喞
(
くは
)
へた
裾
(
すそ
)
をパツと
放
(
はな
)
し、
130
照国別
(
てるくにわけ
)
の
前
(
まへ
)
にスタスタとやつて
来
(
き
)
て、
131
一寸
(
ちよつと
)
頭
(
かうべ
)
を
下
(
さ
)
げ
挨拶
(
あいさつ
)
をしながらガサリガサリと
谷川
(
たにがは
)
目
(
め
)
がけて
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
132
照国別
(
てるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
は
狼
(
おほかみ
)
の
後
(
あと
)
について、
133
水
(
みづ
)
のチヨロチヨロ
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
る
谷川
(
たにがは
)
へ
下
(
くだ
)
つた。
134
見
(
み
)
れば
其処
(
そこ
)
に
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
ばかりの
人間
(
にんげん
)
が、
135
顔
(
かほ
)
を
擦
(
す
)
り
剥
(
む
)
き
肩
(
かた
)
を
外
(
はづ
)
して
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
になつて
横
(
よこた
)
はつてゐる。
136
照国別
『ヤア、
137
沢山
(
たくさん
)
の
怪我人
(
けがにん
)
だ。
138
大方
(
おほかた
)
バラモン
教
(
けう
)
の
連中
(
れんちう
)
と
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
との
一隊
(
いつたい
)
とが
衝突
(
しようとつ
)
の
結果
(
けつくわ
)
であらう。
139
さア
照
(
てる
)
、
140
梅
(
うめ
)
、
141
春
(
はる
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
142
一人
(
ひとり
)
々々
(
ひとり
)
谷水
(
たにみづ
)
を
手
(
て
)
に
掬
(
すく
)
つて
口
(
くち
)
に
含
(
ふく
)
ませ、
143
面部
(
めんぶ
)
に
吹
(
ふ
)
きかけてやつてくれ。
144
私
(
わたし
)
はここで
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
魂呼
(
たまよ
)
びをするから』
145
『ハイ』
146
と
答
(
こた
)
へて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
各自
(
てんで
)
に
種々
(
いろいろ
)
と
介抱
(
かいほう
)
に
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
した。
147
漸
(
やうや
)
くにして
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
蘇生
(
そせい
)
した。
148
肩
(
かた
)
の
外
(
はづ
)
れた
男
(
をとこ
)
がある、
149
此奴
(
こいつ
)
は
気
(
き
)
のつかぬ
間
(
うち
)
に
元
(
もと
)
へ
骨
(
ほね
)
を
直
(
なほ
)
しやり、
150
さうして
鎮魂
(
ちんこん
)
を
施
(
ほどこ
)
した。
151
漸
(
やうや
)
くにして
息
(
いき
)
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
したのは
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
152
清照姫
(
きよてるひめ
)
をここ
迄
(
まで
)
送
(
おく
)
つて
来
(
き
)
たレーブであつた。
153
も
一人
(
ひとり
)
の
顔
(
かほ
)
に
大変
(
たいへん
)
な
擦傷
(
すりきず
)
を
負
(
お
)
うてゐた
男
(
をとこ
)
は、
154
バラモン
教
(
けう
)
の
軍隊
(
ぐんたい
)
の
先頭
(
せんとう
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
たカルであつた。
155
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
を
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
は
救命
(
きうめい
)
の
恩
(
おん
)
を
謝
(
しや
)
し、
156
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
慈徳
(
じとく
)
を
感謝
(
かんしや
)
しながら
宣伝使
(
せんでんし
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
を
下
(
くだ
)
り、
157
魔神
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
び
狂
(
くる
)
ふ
大原野
(
だいげんや
)
を
前後
(
ぜんご
)
を
警戒
(
けいかい
)
しながら
守
(
まも
)
り
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
となつた。
158
照国別
(
てるくにわけ
)
外
(
ほか
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
りレーブ、
159
カルを
始
(
はじ
)
め
八
(
はち
)
人
(
にん
)
は
前後
(
ぜんご
)
を
守
(
まも
)
りつつ
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
を
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
160
前方
(
ぜんぱう
)
にピタリと
行
(
ゆ
)
き
当
(
あた
)
つた
浅
(
あさ
)
き
広
(
ひろ
)
き
沼
(
ぬま
)
がある。
161
漸
(
やうや
)
くにして
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れかかつた。
162
照国別
(
てるくにわけ
)
は
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
つて
此処
(
ここ
)
に
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あ
)
かすことを
命令
(
めいれい
)
した。
163
照国別
(
てるくにわけ
)
の
先導
(
せんだう
)
にて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
神言
(
かみごと
)
を
唱
(
とな
)
へ
各自
(
かくじ
)
疲
(
つか
)
れはてて
熟睡
(
じゆくすい
)
して
了
(
しま
)
つた。
164
望
(
もち
)
の
夜
(
よ
)
の
月
(
つき
)
は
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
頂
(
いただ
)
きから
皎々
(
かうかう
)
と
輝
(
かがや
)
きつつ
昇
(
のぼ
)
り
始
(
はじ
)
めた。
165
一同
(
いちどう
)
の
姿
(
すがた
)
は
手
(
て
)
に
取
(
と
)
る
如
(
ごと
)
くハツキリして
来
(
き
)
た。
166
スガル、
167
チルと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は
熟睡
(
じゆくすい
)
を
装
(
よそほ
)
ひつつ
一同
(
いちどう
)
の
寝息
(
ねいき
)
を
考
(
かんが
)
へてゐた。
168
夜
(
よ
)
の
正子
(
しやうね
)
の
刻
(
こく
)
、
169
月
(
つき
)
は
頭上
(
づじやう
)
を
照
(
て
)
らす
刻限
(
こくげん
)
、
170
スガル、
171
チルの
両人
(
りやうにん
)
はソツと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
172
懐中
(
ふところ
)
から
捕縄
(
とりなは
)
を
出
(
だ
)
し、
173
一々
(
いちいち
)
数珠
(
じゆず
)
つなぎに
照国別
(
てるくにわけ
)
、
174
照公
(
てるこう
)
、
175
梅公
(
うめこう
)
、
176
春公
(
はるこう
)
、
177
レーブ、
178
カルの
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
を
縛
(
しば
)
つて
了
(
しま
)
つた。
179
さうして
外
(
ほか
)
の
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
をソツと
揺
(
ゆ
)
り
起
(
おこ
)
してる。
180
熟睡
(
じゆくすい
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
破
(
やぶ
)
られたキルと
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
『ウンウンウン』と
云
(
い
)
ひながら
刎
(
は
)
ね
起
(
お
)
き、
181
キル
『ダヽヽヽ
誰
(
だれ
)
だい、
182
人
(
ひと
)
が
小気味
(
こぎみ
)
良
(
よ
)
う
寝
(
ね
)
て
居
(
を
)
るのに
鼻
(
はな
)
をつまんだり、
183
こそばし
やがつて
宜
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
に
寝
(
ね
)
ぬかい。
184
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
だなア』
185
チルは
小
(
ちひ
)
さい
声
(
こゑ
)
で
耳
(
みみ
)
の
端
(
はた
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ、
186
チル
『おい、
187
キル
公
(
こう
)
、
188
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
云
(
い
)
ふな。
189
今
(
いま
)
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
や
裏返
(
うらがへ
)
り
者
(
もの
)
をフン
縛
(
じば
)
つた
処
(
ところ
)
だから、
190
貴様
(
きさま
)
等
(
たち
)
之
(
これ
)
から
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まして
彼奴
(
あいつ
)
等
(
ら
)
の
頭
(
あたま
)
を
かち
割
(
わ
)
つてしまふか、
191
但
(
ただし
)
は
鬼春別
(
おにはるわけ
)
様
(
さま
)
のお
馬
(
うま
)
の
側
(
そば
)
へ
引連
(
ひきつ
)
れて
行
(
い
)
つて
手柄
(
てがら
)
をするのだから』
192
キルはド
拍子
(
びやうし
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
銅羅声
(
どらごゑ
)
で、
193
キル
『お
前
(
まへ
)
はチルぢやないか。
194
折角
(
せつかく
)
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてくれた
宣伝使
(
せんでんし
)
を
縛
(
しば
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
何処
(
どこ
)
にあるかい。
195
こんな
事
(
こと
)
をすると
罰
(
ばち
)
があたるぞ』
196
チル『エー
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
ぢやな。
197
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬにも
程
(
ほど
)
がある。
198
あんな
奴
(
やつ
)
を
助
(
たす
)
けて
堪
(
たま
)
るものかい』
199
キル『
俺
(
おれ
)
ア、
200
貴様
(
きさま
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもあの
宣伝使
(
せんでんし
)
に
恩
(
おん
)
があるのだ。
201
恩
(
おん
)
を
仇
(
あだ
)
で
返
(
かへ
)
さうとは
人間
(
にんげん
)
のなすべき
事
(
こと
)
でないぞ。
202
チツと
誠
(
まこと
)
の
心
(
こころ
)
となつて
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
い』
203
スガルは
又
(
また
)
次
(
つぎ
)
の
男
(
をとこ
)
を
小声
(
こごゑ
)
で、
204
スガル
『オイオイ』
205
と
云
(
い
)
ひながら、
206
鼻
(
はな
)
をつまんだり
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
を
こそばかし
て
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まさうとしてゐる。
207
セル『だゝゝゝ
誰
(
だれ
)
ぢやい、
208
セルさまの
鼻
(
はな
)
をつまみやがつたり
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
をくすぐる
奴
(
やつ
)
は。
209
こら
寝
(
ね
)
る
時
(
とき
)
はトツトと
寝
(
ね
)
て
働
(
はたら
)
く
時
(
とき
)
には
精
(
せい
)
出
(
だ
)
して
働
(
はたら
)
くのだぞ。
210
安眠
(
あんみん
)
の
妨害
(
ばうがい
)
をさらすと
俺
(
おれ
)
や
了簡
(
れうけん
)
せぬから、
211
さう
思
(
おも
)
へ』
212
スガルは
小声
(
こごゑ
)
で
耳
(
みみ
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ、
213
スガル
『おいセル、
214
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
云
(
い
)
ふな。
215
宣伝使
(
せんでんし
)
が
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
ましちや
大変
(
たいへん
)
だ。
216
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
皆
(
みな
)
俺
(
おれ
)
が
引括
(
ひつくく
)
つておいたのだから、
217
之
(
これ
)
から
皆
(
みな
)
寄
(
よ
)
つて
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まして
彼奴
(
あいつ
)
を
叩
(
たた
)
き
伏
(
ふ
)
せるか、
218
但
(
ただし
)
は
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
へ
引張
(
ひつぱ
)
つて
行
(
ゆ
)
くつもりだ。
219
さうすれば
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
の
手柄
(
てがら
)
になるのだから』
220
セルは
寝
(
ね
)
ぶた
目
(
め
)
を
擦
(
こす
)
りながら、
221
セル
『
何
(
なに
)
、
222
俺
(
おれ
)
を
何
(
なに
)
か、
223
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
へ
引張
(
ひつぱ
)
つて
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
ふのか。
224
そりや
怪
(
け
)
しからぬ。
225
俺
(
おれ
)
ヤ
何時
(
いつ
)
そんな
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をしたかい。
226
勝負
(
しようぶ
)
は
時
(
とき
)
の
運
(
うん
)
だ。
227
俺
(
おれ
)
が
負
(
ま
)
けて
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
場合
(
ばあひ
)
に
陥
(
おちい
)
つたと
云
(
い
)
つて、
228
それが
罪
(
つみ
)
になると
云
(
い
)
つては
戦
(
いくさ
)
に
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ぬぢやないか。
229
そりや
一寸
(
ちよつと
)
無理
(
むり
)
だよ。
230
(
大
(
おほ
)
きい
声
(
こゑ
)
で)おい
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
231
起
(
お
)
きてくれ、
232
スガルの
奴
(
やつ
)
、
233
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
引張
(
ひつぱ
)
つて
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
へつれて
行
(
ゆ
)
くと
吐
(
ぬか
)
しよるわいのう』
234
照国
(
てるくに
)
『アツハヽヽヽ』
235
レーブ『ウツフヽヽヽ』
236
照国
(
てるくに
)
『
六蹈
(
りくたう
)
三略
(
さんりやく
)
の
兵法
(
へいはふ
)
も
味方
(
みかた
)
の
中
(
なか
)
から
破
(
やぶ
)
れるか、
237
面白
(
おもしろ
)
いものだなア。
238
グウグウグウ』
239
と
又
(
また
)
鼾
(
いびき
)
をかく。
240
レーブ『こりやスガル、
241
チルの
両人
(
りやうにん
)
、
242
俺
(
おれ
)
が
狸寝
(
たぬきね
)
をして
居
(
を
)
れば
懐
(
ふところ
)
から
捕縄
(
とりなは
)
を
出
(
だ
)
しやがつて、
243
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
を
縛
(
しば
)
りつけやがらうとしやがつたな。
244
ヘン
馬鹿
(
ばか
)
にするない。
245
此
(
この
)
レーブさまは
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
神術
(
かむわざ
)
を
以
(
もつ
)
て、
246
縛
(
しば
)
られた
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
をして
貴様
(
きさま
)
の
捕縄
(
とりなは
)
をグツと
握
(
にぎ
)
り、
247
貴様
(
きさま
)
等
(
たち
)
八
(
はち
)
人
(
にん
)
を
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
に
括
(
くく
)
つておいてやつた。
248
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
此
(
こ
)
の
縄
(
なは
)
を
引張
(
ひつぱ
)
るが
最後
(
さいご
)
、
249
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
首
(
くび
)
は
一遍
(
いつぺん
)
に
締
(
しま
)
つて
息
(
いき
)
がとまるやうにしてあるのだ』
250
と
云
(
い
)
ひながらグイグイとしやくつてみた。
251
不思議
(
ふしぎ
)
や
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
首
(
くび
)
は
徳利結
(
とつくりむす
)
びになり
忽
(
たちま
)
ち
息
(
いき
)
がつまり、
252
ウンウンウンと
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
手足
(
てあし
)
をジタバタさせ
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
え
出
(
だ
)
した。
253
レーブ『アハヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
254
もしもし
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
255
梅
(
うめ
)
さま、
256
照
(
てる
)
さま、
257
カルさま、
258
起
(
お
)
きた
起
(
お
)
きた。
259
これから
一
(
ひと
)
つ
猿廻
(
さるまは
)
しの
芸当
(
げいたう
)
だ』
260
照国
(
てるくに
)
『アハヽヽヽうまくやつたなア』
261
レーブ
『
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
内命
(
ないめい
)
通
(
どほ
)
り、
262
内々
(
ないない
)
で
私
(
わたし
)
の
得意
(
とくい
)
の
捕縄
(
とりなは
)
で
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
縛
(
しば
)
りあげてやりました。
263
一
(
ひと
)
つ
綱
(
つな
)
を
引
(
ひ
)
きませうか』
264
照国別
『
一人
(
ひとり
)
づつ
綱
(
つな
)
を
解
(
ほど
)
いてやつたが
宜
(
よ
)
からう』
265
レーブ
『さう
早
(
はや
)
く
解
(
ほど
)
いてやると
根
(
ね
)
つから
興味
(
きようみ
)
が
薄
(
うす
)
いぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
266
照
(
てる
)
さま、
267
梅
(
うめ
)
さま、
268
春
(
はる
)
さま、
269
カルさまにも
一
(
ひと
)
つ
面白
(
おもしろ
)
い
処
(
ところ
)
をお
目
(
め
)
にかけて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
でも
滅多
(
めつた
)
に
遅
(
おそ
)
くはありますまいぜ』
270
照国別
『グヅグヅして
居
(
ゐ
)
ると
息
(
いき
)
が
絶
(
き
)
れて
了
(
しま
)
ふぢやないか』
271
レーブ
『
何
(
なに
)
構
(
かま
)
ひますものか。
272
此奴
(
こいつ
)
ア
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
等
(
たち
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
冥土
(
めいど
)
の
旅
(
たび
)
をして
来
(
き
)
た
奴
(
やつ
)
です。
273
も
一遍
(
いつぺん
)
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
を
渡
(
わた
)
らしてやるも
宜
(
よろ
)
しからうぜ』
274
八
(
はち
)
人
(
にん
)
はウンウンと
呻
(
うめ
)
き
出
(
だ
)
した。
275
照国
(
てるくに
)
『おい、
276
照
(
てる
)
、
277
梅
(
うめ
)
、
278
春
(
はる
)
、
279
カルの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
、
280
早
(
はや
)
く
綱
(
つな
)
をゆるめてやれ』
281
此
(
この
)
命令
(
めいれい
)
に
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
慌
(
あわただ
)
しく
徳利結
(
とつくりむす
)
びをチクリチクリと
弛
(
ゆる
)
めてやつた。
282
急
(
きふ
)
に
解
(
ほど
)
くと
又
(
また
)
もや
息
(
いき
)
が
絶
(
た
)
えるからである。
283
八
(
はち
)
人
(
にん
)
はムツクと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
284
蛙
(
かへる
)
つく
這
(
ば
)
ひとなつて
震
(
ふる
)
へて
居
(
を
)
る。
285
レーブ
『おい、
286
スガル、
287
チルの
両人
(
りやうにん
)
、
288
貴様
(
きさま
)
は
命
(
いのち
)
の
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
に
対
(
たい
)
し
仇
(
あだ
)
を
以
(
もつ
)
て
酬
(
むく
)
いむとした
犬畜生
(
いぬちくしやう
)
だ。
289
サア
外
(
ほか
)
の
奴
(
やつ
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
290
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
は
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
つ
活
(
くわつ
)
を
入
(
い
)
れてやる。
291
貴様
(
きさま
)
の
魂
(
たましひ
)
は
死
(
し
)
んで
居
(
を
)
る。
292
否
(
いな
)
腐
(
くさ
)
つて
居
(
を
)
る。
293
烙鉄
(
こて
)
でもあててやらねば
到底
(
たうてい
)
元
(
もと
)
の
正念
(
しやうねん
)
にはなるまい』
294
スガル、
295
チルは、
296
『ハイハイ』
297
と
云
(
い
)
ひながらヂリヂリと
一歩
(
ひとあし
)
々々
(
ひとあし
)
後
(
うしろ
)
へ
寄
(
よ
)
り、
298
隙
(
すき
)
を
見
(
み
)
すまし
沼
(
ぬま
)
を
目
(
め
)
がけて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
バサバサバサと
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した。
299
セル、
300
キル
外
(
ほか
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
も
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
について
沼
(
ぬま
)
の
中
(
なか
)
を
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に、
301
バサバサバサバサと
沼
(
ぬま
)
に
映
(
うつ
)
つた
満月
(
まんげつ
)
を
粉砕
(
ふんさい
)
しながら
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
302
レーブ『アハヽヽヽ
到頭
(
たうとう
)
蛙突這
(
かへるつくば
)
ひになつて
往生
(
わうじやう
)
しやがつたな。
303
まるつきり
蛙
(
かへる
)
の
様
(
やう
)
な
奴
(
やつ
)
だ。
304
蛙
(
かはづ
)
の
行列
(
ぎやうれつ
)
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ずとは
此
(
この
)
事
(
こと
)
だ。
305
到頭
(
たうとう
)
水
(
みづ
)
で
助
(
たす
)
かりやがつたなア』
306
無心
(
むしん
)
の
月
(
つき
)
は
皎々
(
かうかう
)
と
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
き、
307
此
(
この
)
活劇
(
くわつげき
)
を
密
(
ひそ
)
かに
見下
(
みおろ
)
してゐる。
308
(
大正一一・一一・四
旧九・一六
北村隆光
録)
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