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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第46巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 仕組の縺糸
第1章 榛並樹
第2章 慰労会
第3章 噛言
第4章 沸騰
第5章 菊の薫
第6章 千代心
第7章 妻難
第2篇 狐運怪会
第8章 黒狐
第9章 文明
第10章 唖狐外れ
第11章 変化神
第12章 怪段
第13章 通夜話
第3篇 神明照赫
第14章 打合せ
第15章 黎明
第16章 想曖
第17章 惟神の道
第18章 エンゼル
第4篇 謎の黄板
第19章 怪しの森
第20章 金の力
第21章 民の虎声
第22章 五三嵐
第23章 黄金華
余白歌
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第46巻(酉の巻)
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<<< 慰労会
(B)
(N)
沸騰 >>>
第三章
噛言
(
かむごと
)
〔一二一三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
篇:
第1篇 仕組の縺糸
よみ(新仮名遣い):
しぐみのれんし
章:
第3章 噛言
よみ(新仮名遣い):
かむごと
通し章番号:
1213
口述日:
1922(大正11)年12月15日(旧10月27日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
夜が明けて大門神社の広前の合図の太鼓が聞こえてきた。一同は祭壇の前に座を占めた。魔我彦は天津祝詞、お寅は神言を奏上した。
しかしその祝詞には蠑螈別とお民の逐電を読み込み、祝詞が終わった後も、蠑螈別とお民を返せなければ狐などの世話はもうしない、と祀ってある神たちに向かって大声でしゃべりだした。
お寅ははっと気が付いて教祖館へ姿を隠した。五三公と万公は、アク、タク、テクを信者の中へ交えておき、松姫の館をさして上って行った。
信者たちはお寅の祝詞や様子を見聞きして合点がゆかず、首を傾けて思案にくれていた。アクは壇上に登り、演説気取りで話し始めた。
そしてウラナイ教を開いた高姫自身が三五教に改心したこと、蠑螈別がお民と駆け落ちして逃げてしまったことを話し、それでもまだウラナイ教を信じるのかとすっぱ抜いた。
信者たちは道場破りだと騒ぎだし、自分は神の生き宮だとわめきたてる信者が壇上のアクめがけて襲撃した。アクは人ごみの中をすばしこく姿を隠してしまった。代わりにタクが捕えられ、鉄拳の雨を浴びせられている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-09 17:55:07
OBC :
rm4603
愛善世界社版:
42頁
八幡書店版:
第8輯 375頁
修補版:
校定版:
43頁
普及版:
18頁
初版:
ページ備考:
001
夜
(
よ
)
はカラリと
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れ、
002
大門
(
おほもん
)
神社
(
じんしや
)
広前
(
ひろまへ
)
の
合図
(
あひづ
)
の
太鼓
(
たいこ
)
が
七五三
(
しちごさん
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
003
五三公
(
いそこう
)
、
004
万公
(
まんこう
)
、
005
お
寅
(
とら
)
、
006
魔我彦
(
まがひこ
)
其
(
その
)
他
(
た
)
アク、
007
タク、
008
テクは
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
信者
(
しんじや
)
の
中
(
なか
)
を
通
(
とほ
)
つて
一段
(
いちだん
)
高
(
たか
)
き
祭壇
(
さいだん
)
の
前
(
まへ
)
に
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
め、
009
魔我彦
(
まがひこ
)
先
(
ま
)
づ
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
010
つづいてお
寅
(
とら
)
は
又
(
また
)
もや
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
011
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
に
神言
(
かみごと
)
。
012
(お寅)
『
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
に
神
(
かみ
)
つまります、
013
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
014
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
もちて、
015
嘘
(
うそ
)
八百万
(
やほよろづ
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
を
餓鬼集
(
がきつど
)
へに
集
(
つど
)
へ
給
(
たま
)
ひ、
016
餓鬼議
(
がきはか
)
りに
議
(
はか
)
り
給
(
たま
)
ひて、
017
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
、
018
鈴野姫
(
すずのひめの
)
命
(
みこと
)
は、
019
泥足原
(
どろあしはら
)
の
水鼻汁
(
みづばな
)
を
安国
(
やすくに
)
平姫
(
たひらひめの
)
命
(
みこと
)
と
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
依
(
よ
)
さしまつりき。
020
頭
(
あたま
)
と
恥
(
はぢ
)
をかくよさしまつりし
国土
(
くぬち
)
に
汗膏
(
あせあぶら
)
とり
神
(
かみ
)
共
(
ども
)
をば、
021
雁灯
(
がんど
)
まはしにまはし
給
(
たま
)
ひ、
022
神掃
(
かむはき
)
に
掃出
(
はきだ
)
し
給
(
たま
)
ひて、
023
今年
(
ことし
)
は
岩根
(
いはね
)
木根立
(
きねたち
)
穴草
(
あなくさ
)
の
片屏風
(
かたびやうぶ
)
をも
断
(
ことわ
)
りて、
024
頭
(
あたま
)
の
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
ぬき
放
(
はな
)
ち、
025
頭
(
あたま
)
の
焼
(
やけ
)
を
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
墨
(
すみ
)
塗
(
ぬ
)
つて、
026
頭
(
あたま
)
かくし
依
(
よ
)
さしまつりき。
027
斯
(
か
)
く
冠
(
かぶ
)
せまつりし
夜
(
よる
)
の
鬘
(
かつら
)
と
大山子
(
おほやまこ
)
欲高姫
(
よくたかひめの
)
命
(
みこと
)
、
028
ヤンチヤ
女
(
をんな
)
と
定
(
さだ
)
めまつりて、
029
白髪頭
(
しらがあたま
)
に
墨
(
すみ
)
塗立
(
ぬりた
)
て、
030
高姫
(
たかひめ
)
の
腹
(
はら
)
に
枉津
(
まがつ
)
高知
(
たかし
)
りて、
031
雀親方
(
すずめおやかた
)
の
命
(
みこと
)
の
耳
(
みみ
)
の
御穴
(
みあな
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎまつりて、
032
頭
(
あたま
)
の
御鬘
(
みかつら
)
、
033
日
(
ひ
)
の
焼
(
やけ
)
を
隠
(
かく
)
しまして、
034
やさし
女
(
をんな
)
と
誑
(
たばか
)
り、
035
喋
(
しやべ
)
る
口中
(
くちなか
)
に
泣
(
な
)
き
出
(
い
)
でむ、
036
赤
(
あか
)
の
他人
(
たにん
)
等
(
ら
)
が
過
(
あやま
)
ち
犯
(
をか
)
しけむ、
037
クサグサの
罪事
(
つみこと
)
は、
038
枉津罪
(
まがつつみ
)
とは、
039
頭
(
あたま
)
はられ、
040
耳引
(
みみひ
)
かれ、
041
目玉
(
めだま
)
は
火放
(
ひはな
)
ち、
042
尻頻蒔
(
しりしきま
)
き、
043
禿頭
(
はげあたま
)
に
櫛
(
くし
)
さし、
044
鶏屋
(
とや
)
の
頭
(
あたま
)
の、
045
生剥
(
いきは
)
ぎ、
046
逆毛剥
(
さかげは
)
ぎ、
047
糞
(
くそ
)
小便
(
せうべん
)
屁
(
へ
)
許々多久
(
ここたく
)
の
罪
(
つみ
)
を、
048
枉津罪
(
まがつつみ
)
と
詔
(
の
)
り
別
(
わ
)
けて、
049
臭
(
くさ
)
き
罪
(
つみ
)
とは、
050
生膚断
(
いきはだだち
)
、
051
即
(
すなは
)
ち
腋臭
(
わきが
)
、
052
死膚断
(
しにはだだち
)
、
053
即
(
すなは
)
ちトベラ、
054
白日床組
(
しらひとこくみ
)
、
055
黒日
(
くろひ
)
床組
(
とこくみ
)
、
056
夜
(
よ
)
も
昼
(
ひる
)
も、
057
己
(
おの
)
が
母
(
はは
)
のやうな、
058
年
(
とし
)
の
違
(
ちが
)
つた
女
(
をんな
)
と、
059
をかしことせる
罪
(
つみ
)
、
060
ハアハアと
息
(
いき
)
喘
(
はづ
)
ませ、
061
叱言
(
こごと
)
云
(
い
)
ふ
罪
(
つみ
)
、
062
獣
(
けもの
)
犯
(
をか
)
せる
罪
(
つみ
)
、
063
襟
(
えり
)
に
這
(
は
)
ふ
虫
(
むし
)
虱
(
しらみ
)
の
災
(
わざはひ
)
、
064
高姫神
(
たかひめがみ
)
の
災
(
わざはひ
)
、
065
黒姫鳥
(
くろひめどり
)
の
災
(
わざはひ
)
、
066
借
(
か
)
り
借
(
か
)
り
倒
(
たふ
)
し、
067
うまい
事
(
こと
)
せる
罪
(
つみ
)
、
068
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
でボツタクリの
罪
(
つみ
)
、
069
沢山
(
たくさん
)
出
(
い
)
でむ、
070
斯
(
か
)
く
出
(
い
)
でば、
071
枉津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
乱
(
みだ
)
れ
言
(
ごと
)
以
(
もち
)
て、
072
余
(
あま
)
りもせない
金
(
かね
)
を、
073
元
(
もと
)
も
子
(
こ
)
も
無
(
な
)
く、
074
打
(
うち
)
きり
取
(
と
)
られ、
075
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
く
思
(
おも
)
ひの、
076
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
果
(
はて
)
、
077
剰
(
あまつさ
)
へ、
078
此
(
この
)
お
寅姫
(
とらひめ
)
を
置去
(
おきざ
)
りにして、
079
剰
(
あまつさ
)
へ
元
(
もと
)
のお
民
(
たみ
)
を
連立
(
つれた
)
ち、
080
末
(
すゑ
)
の
末
(
すゑ
)
までと、
081
目
(
め
)
を
忍
(
しの
)
び、
082
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
を
取
(
と
)
り
割
(
さ
)
きて、
083
枉津
(
まがつ
)
の
鶏屋
(
とや
)
の
太
(
ふと
)
い
婆
(
ばば
)
だと、
084
旅装束
(
たびしやうぞく
)
にて、
085
川
(
かは
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
え、
086
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せにけり。
087
斯
(
か
)
くならば、
088
最早
(
もはや
)
是非
(
ぜひ
)
なし、
089
枉津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
は
魔我
(
まが
)
の
岩戸
(
いはと
)
を
押開
(
おしひら
)
きて、
090
魔我
(
まが
)
の
八重雲
(
やへくも
)
を、
091
厳
(
いづ
)
の
千別
(
ちわき
)
に
千別
(
ちわ
)
きて、
092
聞召
(
きこしめ
)
さむ、
093
砕
(
くだ
)
けつ
神
(
かみ
)
は、
094
高姫
(
たかひめ
)
の
尻
(
しり
)
に、
095
黒姫
(
くろひめ
)
の
尻
(
しり
)
に、
096
とりつきまして、
097
高姫
(
たかひめ
)
の
便
(
いばり
)
、
098
黒姫
(
くろひめ
)
の
便
(
いばり
)
を、
099
嗅別
(
かぎわ
)
けて
聞召
(
きこしめ
)
さむ、
100
かく
聞召
(
きこしめ
)
しては、
101
罪
(
つみ
)
と
云
(
い
)
ふ
罪
(
つみ
)
は、
102
充
(
み
)
ち
充
(
み
)
ちにけりと、
103
吝
(
し
)
みたれ
神
(
がみ
)
の、
104
阿呆
(
あはう
)
の
痩我慢
(
やせがまん
)
、
105
泡吹
(
あわふ
)
き
放
(
はな
)
つ
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
106
悪縁
(
あくえん
)
生
(
う
)
みきり、
107
夕
(
ゆふべ
)
のお
神酒
(
みき
)
を、
108
悪神
(
あくがみ
)
、
109
貧乏神
(
びんばふがみ
)
の、
110
吹払
(
ふきはら
)
ふ
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
111
尻
(
しり
)
をうつべに
居
(
を
)
る
大船
(
おほふね
)
を、
112
屁
(
へ
)
こき
放
(
はな
)
ち、
113
糞
(
ばば
)
こき
放
(
はな
)
ちて、
114
雪隠
(
せんち
)
の
中
(
なか
)
に
放
(
こ
)
き
落
(
おと
)
す
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
115
落
(
お
)
ちた
沫
(
しぶき
)
が、
116
元
(
もと
)
に
返
(
かへ
)
りて、
117
返
(
かへ
)
り
討
(
うち
)
する
事
(
こと
)
の
如
(
ごと
)
く、
118
飲
(
の
)
んだる
酒
(
さけ
)
は
一
(
ひと
)
つもあらじと、
119
腹
(
はら
)
を
痛
(
いた
)
め
気
(
き
)
を
痛
(
いた
)
め
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
を、
120
高姫
(
たかひめ
)
の
尻
(
しり
)
、
121
お
民
(
たみ
)
の
尻
(
しり
)
より、
122
真逆
(
まつさか
)
様
(
さま
)
に
落
(
お
)
ち
滝津
(
たきつ
)
、
123
河鹿川
(
かじかがは
)
の
瀬
(
せ
)
に
在
(
ま
)
す
性悪姫
(
しやうわるひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
、
124
蠑螈別
(
いもりわけ
)
を
大肌
(
おほはだ
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
に
喰
(
く
)
はへ
行
(
ゆ
)
かむ、
125
かく
喰
(
く
)
はへ
行
(
ゆ
)
けば、
126
阿呆
(
あはう
)
らしの
尻
(
しり
)
の、
127
尻糞
(
しりくそ
)
の、
128
焼糞
(
やけくそ
)
の、
129
沫
(
しぶき
)
の
矢鱈
(
やたら
)
に
飛
(
と
)
びます、
130
穴
(
あな
)
あけつ
姫
(
ひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
、
131
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
、
132
お
民
(
たみ
)
を
抱
(
かか
)
へ
持
(
も
)
ち、
133
嬶
(
かか
)
となして
酒
(
さけ
)
飲
(
の
)
みてむ、
134
かく
嬶
(
かか
)
と
酒
(
さけ
)
飲
(
の
)
みては、
135
屁吹
(
へふ
)
き
戸
(
ど
)
に
在
(
ま
)
す
屁放戸主
(
へこきどぬし
)
と
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
、
136
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
、
137
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
に
屁
(
へ
)
こき
放
(
はな
)
ちてむ、
138
かく
屁
(
へ
)
放
(
こ
)
き
放
(
はな
)
ちては、
139
根
(
ね
)
の
国
(
くに
)
、
140
底
(
そこ
)
の
国
(
くに
)
に
在
(
ま
)
す、
141
腹立
(
はらだ
)
ち
擦
(
さす
)
り
姫
(
ひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
神
(
かみ
)
、
142
揉
(
も
)
みさすらひ
失
(
うしな
)
ひてむ、
143
かく
牛馬
(
うしうま
)
泣
(
な
)
いては、
144
ウツソリした、
145
お
寅
(
とら
)
の
身
(
み
)
にも、
146
心
(
こころ
)
にも、
147
恋
(
こひ
)
と
云
(
い
)
ふ
恋
(
こひ
)
はあらまし、
148
遂
(
と
)
げさし
給
(
たま
)
へと、
149
議
(
はか
)
らひ
給
(
たま
)
へ、
150
気
(
き
)
をつけ
給
(
たま
)
へと
申
(
まを
)
すことを、
151
馬鹿
(
うましか
)
の
耳振
(
みみふ
)
り
立
(
た
)
てて
聞召
(
きこしめ
)
せと、
152
頭
(
かしら
)
つつこみ、
153
つつ
込
(
こ
)
みも
枉申
(
まがまを
)
す、
154
あゝ
叶
(
かな
)
はぬから、
155
目玉飛
(
めだまと
)
び
出
(
だ
)
しましませよ』
156
お
寅
(
とら
)
『さあ、
157
皆
(
みな
)
さま、
158
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
厶
(
ござ
)
りました。
159
これで
大方
(
おほかた
)
、
160
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまも
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るだらう。
161
もしも
帰
(
かへ
)
らなかつたら
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
り、
162
野垂死
(
のたれじに
)
をせにやならぬから、
163
嫌
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
るだらう。
164
松姫
(
まつひめ
)
さまが
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
して
下
(
くだ
)
さつてるのだから、
165
もはや
間
(
ま
)
もあるまい。
166
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
の
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
、
167
貞子姫
(
さだこひめの
)
命
(
みこと
)
、
168
行長春
(
ゆきながはるの
)
命
(
みこと
)
、
169
言足姫
(
ことたるひめの
)
命
(
みこと
)
、
170
鈴野姫
(
すずのひめ
)
さま、
171
桃上彦
(
ももがみひこの
)
命
(
みこと
)
さま、
172
地上姫
(
ちじやうひめの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
、
173
いつもお
前
(
まへ
)
さまは
俺
(
わし
)
の
世話
(
せわ
)
になつてるのだから、
174
正念
(
しやうねん
)
があるのなら、
175
今日
(
けふ
)
一遍
(
いつぺん
)
でよいから、
176
手別
(
てわ
)
けして
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
のお
助
(
たす
)
けによつて、
177
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
さまの
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
を、
178
袖
(
そで
)
か
袂
(
たもと
)
を
皆
(
みな
)
銜
(
くは
)
へて
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
く
)
るのだよ。
179
之
(
これ
)
が
出来
(
でき
)
ぬやうの
事
(
こと
)
だつたら、
180
お
前
(
まへ
)
は
犬
(
いぬ
)
より
劣
(
おと
)
つた
狐
(
きつね
)
だ。
181
如何
(
どう
)
しても
今日中
(
けふぢう
)
に
大広木
(
おほひろき
)
正宗
(
まさむね
)
さまの
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
を
俺
(
わし
)
の
前
(
まへ
)
に
つん
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さらなくちや、
182
もう
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
もお
給仕
(
きふじ
)
致
(
いた
)
しませぬぞや。
183
お
給仕
(
きふじ
)
どころか、
184
皆
(
みな
)
宮
(
みや
)
から
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
焼
(
や
)
いて
了
(
しま
)
ふのだから、
185
お
前
(
まへ
)
さまも
今日
(
けふ
)
は
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
処
(
ところ
)
だ。
186
狐
(
きつね
)
が
出世
(
しゆつせ
)
して
神
(
かみ
)
の
名
(
な
)
を
名告
(
なの
)
り、
187
結構
(
けつこう
)
なお
給仕
(
きふじ
)
をして
頂
(
いただ
)
いた
方
(
はう
)
がよいか、
188
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
されたがよいか、
189
ここは
一
(
ひと
)
つ
思案
(
しあん
)
のし
所
(
どころ
)
ぢやぞや。
190
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
に
対
(
たい
)
しても
素知
(
そし
)
らぬ
顔
(
かほ
)
をして
居
(
を
)
られる
義理
(
ぎり
)
ぢやあるまい』
191
と
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら、
192
人
(
ひと
)
の
前
(
まへ
)
も
忘
(
わす
)
れて
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
し、
193
ハツと
気
(
き
)
がつき
袖
(
そで
)
に
口
(
くち
)
をあて、
194
顔
(
かほ
)
を
隠
(
かく
)
しながら
教祖
(
けうそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
逸早
(
いちはや
)
く
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
195
五三公
(
いそこう
)
、
196
万公
(
まんこう
)
はアク、
197
タク、
198
テクを
信者
(
しんじや
)
の
中
(
なか
)
へ
交
(
まじ
)
へ、
199
一同
(
いちどう
)
の
噂
(
うはさ
)
を
聞
(
き
)
き
取
(
と
)
らしむべく
云
(
い
)
ひ
含
(
ふく
)
めおき、
200
松姫
(
まつひめ
)
の
館
(
やかた
)
をさして
上
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
201
七五三
(
しちごさん
)
の
太鼓
(
たいこ
)
の
音
(
ね
)
202
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
ると
諸共
(
もろとも
)
に
203
彼処
(
かしこ
)
や
此処
(
ここ
)
の
宿舎
(
しゆくしや
)
より
204
寄
(
よ
)
り
集
(
あつ
)
まりし
信徒
(
まめひと
)
は
205
大門
(
おほもん
)
神社
(
じんしや
)
の
広前
(
ひろまへ
)
に
206
有難涙
(
ありがたなみだ
)
を
零
(
こぼ
)
しつつ
207
鼻汁
(
はな
)
をすすつて
太祝詞
(
ふとのりと
)
208
唱
(
とな
)
へ
居
(
ゐ
)
るこそ
殊勝
(
しゆしよう
)
なれ
209
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまは
中啓
(
ちうけい
)
を
210
右手
(
めて
)
にキチンと
握
(
にぎ
)
りしめ
211
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
にて
袖
(
そで
)
たたみ
212
其
(
その
)
足音
(
あしおと
)
も
淑
(
しとや
)
かに
213
水色袴
(
みづいろばかま
)
をサラサラと
214
音
(
おと
)
させながら
五三公
(
いそこう
)
や
215
万公
(
まんこう
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
216
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
へ
神壇
(
しんだん
)
の
217
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ
叩頭
(
こうとう
)
し
218
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
ち
終
(
をは
)
り
例
(
れい
)
の
如
(
ごと
)
219
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
220
生神言
(
いくかみごと
)
を
宣
(
の
)
りつれど
221
心
(
こころ
)
乱
(
みだ
)
れし
其
(
その
)
故
(
ゆゑ
)
か
222
側
(
そば
)
より
耳
(
みみ
)
たて
覗
(
うかが
)
へば
223
以前
(
いぜん
)
の
如
(
ごと
)
く
不可思議
(
ふかしぎ
)
な
224
祝詞
(
のりと
)
の
如
(
ごと
)
くに
聞
(
きこ
)
え
来
(
く
)
る
225
心
(
こころ
)
のせいか
耳
(
みみ
)
のせいか
226
或
(
あるひ
)
は
曲津
(
まがつ
)
の
悪戯
(
いたづら
)
か
227
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
次第
(
しだい
)
ぢやと
228
五三公
(
いそこう
)
、
万公
(
まんこう
)
初
(
はじ
)
めとし
229
並
(
な
)
み
居
(
ゐ
)
る
信者
(
しんじや
)
も
首傾
(
くびかた
)
げ
230
思案
(
しあん
)
にくれて
居
(
ゐ
)
たりけり
231
中上
(
ちうじやう
)
先生
(
せんせい
)
のアクさまは
232
鳥
(
とり
)
なき
郷
(
さと
)
の
蝙蝠
(
かうもり
)
を
233
気取
(
きど
)
つて
壇上
(
だんじやう
)
にはね
上
(
あが
)
り
234
高卓子
(
たかテーブル
)
を
前
(
まへ
)
に
置
(
お
)
き
235
コツプの
水
(
みづ
)
をグツと
飲
(
の
)
み
236
演説
(
えんぜつ
)
気取
(
きど
)
りで
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
てる
237
其
(
その
)
スタイルの
可笑
(
をか
)
しさよ
238
懐
(
ふところ
)
探
(
さぐ
)
りて
塵紙
(
ちりがみ
)
を
239
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
し
鼻
(
はな
)
をツンとかみ
240
又
(
また
)
もや
紙
(
かみ
)
を
折
(
を
)
り
重
(
かさ
)
ね
241
再
(
ふたた
)
び
鼻
(
はな
)
をツンとかみ
242
目
(
め
)
やに
を
拭
(
ぬぐ
)
ひ
歯糞
(
はくそ
)
とり
243
無雑作
(
むざふさ
)
に
懐
(
ふところ
)
へつつ
込
(
こ
)
んで
244
又
(
また
)
もやグツと
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
み
245
オホンと
一声
(
ひとこゑ
)
咳払
(
せきばら
)
ひ
246
(アク)
『これこれ
満場
(
まんぢやう
)
の
諸君
(
しよくん
)
達
(
たち
)
247
貴方
(
あなた
)
は
此処
(
ここ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
248
信仰
(
しんかう
)
なさるは
宜
(
よ
)
けれども
249
随分
(
ずゐぶん
)
用心
(
ようじん
)
なさらぬと
250
商売
(
しやうばい
)
繁昌
(
はんじやう
)
病気
(
びやうき
)
平癒
(
へいゆ
)
251
子孫
(
しそん
)
長久
(
ちやうきう
)
は
中々
(
なかなか
)
に
252
思
(
おも
)
うた
様
(
やう
)
には
出来
(
でき
)
ませぬ
253
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
有様
(
ありさま
)
を
254
皆
(
みな
)
さま
心
(
こころ
)
に
刻
(
きざ
)
み
込
(
こ
)
み
255
中有界
(
ちううかい
)
や
地獄道
(
ぢごくだう
)
256
いろいろ
雑多
(
ざつた
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
257
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
を
体得
(
たいとく
)
し
258
置
(
お
)
かねば
何程
(
なにほど
)
信神
(
しんじん
)
を
259
して
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
で
無益
(
むえき
)
ぞや
260
私
(
わたし
)
はもとはバラモンの
261
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へた
者
(
もの
)
ですが
262
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
で
図
(
はか
)
らずも
263
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
264
治国別
(
はるくにわけ
)
の
弟
(
おとうと
)
なる
265
松彦
(
まつひこ
)
一行
(
いつかう
)
に
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
266
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
をよく
悟
(
さと
)
り
267
此処迄
(
ここまで
)
ついて
参
(
まゐ
)
りました
268
まだ
温々
(
ぬくぬく
)
の
信者
(
しんじや
)
とて
269
教理
(
けうり
)
はしつかり
知
(
し
)
らねども
270
岡目
(
をかめ
)
八目
(
はちもく
)
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
は
271
あんまり
違
(
ちが
)
ふものでない
272
バラモン
教
(
けう
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
273
ウラナイ
教
(
けう
)
はましだらう
274
さはさりながら
皆
(
みな
)
さまよ
275
此処
(
ここ
)
に
祀
(
まつ
)
つた
神
(
かみ
)
さまは
276
天地
(
てんち
)
の
元
(
もと
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
277
月日
(
つきひ
)
の
神
(
かみ
)
や
世
(
よ
)
の
初
(
はじ
)
め
278
御用
(
ごよう
)
なされた
神
(
かみ
)
さまが
279
祀
(
まつ
)
つてあると
思
(
おも
)
ひますか
280
それ
程
(
ほど
)
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
ならば
281
ウラナイ
教
(
けう
)
を
開
(
ひら
)
いたる
282
高姫
(
たかひめ
)
さまは
何
(
なん
)
として
283
三五教
(
あななひけう
)
に
兜
(
かぶと
)
脱
(
ぬ
)
ぎ
284
黒姫
(
くろひめ
)
さまと
諸共
(
もろとも
)
に
285
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
になつただらう
286
ここの
点
(
てん
)
をばよくよくも
287
考
(
かんが
)
へなさればウラナイの
288
教
(
をしへ
)
の
値打
(
ねうち
)
も
分
(
わか
)
るでせう
289
正宗
(
まさむね
)
さまの
肉宮
(
にくみや
)
は
290
信者
(
しんじや
)
となつて
来
(
き
)
て
居
(
を
)
つた
291
衣笠村
(
きぬがさむら
)
のお
民
(
たみ
)
さまと
292
暗
(
やみ
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
此
(
この
)
館
(
やかた
)
293
脱
(
ぬ
)
け
出
(
い
)
で
一本橋
(
いつぽんばし
)
渡
(
わた
)
り
294
野中
(
のなか
)
の
森
(
もり
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
295
もう
今頃
(
いまごろ
)
は
河鹿山
(
かじかやま
)
296
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
近辺
(
きんぺん
)
に
297
逃
(
に
)
げて
行
(
い
)
つたに
違
(
ちが
)
ひない
298
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまが
驚
(
おどろ
)
いて
299
髪
(
かみ
)
ふり
乱
(
みだ
)
し
其
(
その
)
後
(
あと
)
を
300
追
(
お
)
つ
駆
(
か
)
け
行
(
ゆ
)
きし
其
(
その
)
様
(
さま
)
を
301
眺
(
なが
)
めて
愛想
(
あいさう
)
がつきたぞえ
302
之
(
これ
)
でも
皆
(
みな
)
さま
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
は
303
まだ
懲
(
こ
)
りずまにウラナイの
304
道
(
みち
)
を
信仰
(
しんかう
)
なされますか
305
一寸
(
ちよつと
)
意見
(
いけん
)
が
尋
(
たづ
)
ねたい
306
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
なら
三五
(
あななひ
)
の
307
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
信仰
(
しんかう
)
して
308
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
現界
(
げんかい
)
に
309
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
本分
(
ほんぶん
)
を
310
尽
(
つく
)
して
神
(
かみ
)
をよく
信
(
しん
)
じ
311
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
へ
上
(
のぼ
)
るべき
312
準備
(
じゆんび
)
を
早
(
はや
)
くなされませ
313
松姫
(
まつひめ
)
さまは
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
り
314
別
(
わか
)
れて
程経
(
ほどへ
)
し
夫
(
つま
)
に
会
(
あ
)
ひ
315
夫婦
(
めをと
)
親子
(
おやこ
)
の
名告
(
なの
)
りをば
316
首尾
(
しゆび
)
克
(
よ
)
くなされましたぞや
317
頂上
(
ちやうじやう
)
に
建
(
た
)
つた
石
(
いし
)
の
宮
(
みや
)
318
三社
(
みやしろ
)
ともに
祀
(
まつ
)
り
替
(
か
)
へ
319
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
320
斎
(
いつ
)
きまつりて
天地
(
あめつち
)
に
321
怯
(
お
)
ぢも
恐
(
おそ
)
れも
致
(
いた
)
さない
322
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
323
誠
(
まこと
)
の
御霊
(
みたま
)
を
鎮祭
(
ちんさい
)
し
324
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
十分
(
じふぶん
)
に
325
頂
(
いただ
)
く
事
(
こと
)
になりました
326
是非
(
ぜひ
)
に
今夜
(
こんや
)
は
小北山
(
こぎたやま
)
327
小宮
(
こみや
)
の
端
(
はし
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
328
一
(
ひと
)
つも
残
(
のこ
)
らず
祀
(
まつ
)
り
替
(
か
)
へ
329
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
御
(
おん
)
霊
(
みたま
)
330
教
(
をし
)
へ
給
(
たま
)
ひし
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
331
お
祀
(
まつ
)
り
替
(
か
)
へる
段取
(
だんどり
)
と
332
愈
(
いよいよ
)
なつて
来
(
き
)
ましたぞ
333
嘸
(
さぞ
)
や
皆
(
みな
)
さま
驚
(
おどろ
)
いて
334
狼狽
(
うろた
)
へなさることだらう
335
もしや
嫌
(
いや
)
なら
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
336
ここをば
捨
(
す
)
ててスタスタと
337
吾
(
わが
)
家
(
や
)
をさしてお
帰
(
かへ
)
りよ
338
あんまりうまい
口車
(
くちぐるま
)
339
乗
(
の
)
り
切
(
き
)
りなさつた
皆
(
みな
)
さまは
340
容易
(
ようい
)
に
私
(
わたし
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
341
受取
(
うけと
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
筈
(
はず
)
はない
342
もしや
此
(
この
)
中
(
うち
)
一人
(
ひとり
)
でも
343
分
(
わか
)
つた
人
(
ひと
)
があるならば
344
今夜
(
こんや
)
の
此処
(
ここ
)
の
御
(
ご
)
遷宮
(
せんぐう
)
に
345
参加
(
さんか
)
なさるが
宜
(
よろ
)
しからう
346
強
(
た
)
つて
勧
(
すす
)
めはせぬ
程
(
ほど
)
に
347
一寸
(
ちよつと
)
気
(
き
)
をつけ
置
(
お
)
きまする
348
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
349
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
350
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くアク
公
(
こう
)
は
小北山
(
こぎたやま
)
の
祭神
(
さいじん
)
の
素性
(
すじやう
)
をスツパ
抜
(
ぬ
)
いた。
351
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
許
(
ばか
)
り
集
(
あつ
)
まつてゐた
金太郎
(
きんたらう
)
の
信者
(
しんじや
)
は
俄
(
にはか
)
に
騒
(
さわ
)
ぎ
出
(
だ
)
し、
352
形勢
(
けいせい
)
刻々
(
こくこく
)
に
怪
(
あや
)
しくなり、
353
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
の
隅々
(
すみずみ
)
から、
354
(声)
『アク
公
(
こう
)
とやらを
引摺
(
ひきず
)
り
落
(
おと
)
せ、
355
叩
(
たた
)
き
伸
(
の
)
ばせ、
356
道場
(
だうぢやう
)
破
(
やぶ
)
りだ、
357
宮
(
みや
)
つぶしだ。
358
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は、
359
こんなことを
聞
(
き
)
いて
見逃
(
みのが
)
しにやならない。
360
リントウビテン
大臣
(
だいじん
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
さぬ』
361
と
喚
(
わめ
)
き
立
(
た
)
てるものがある。
362
一方
(
いつぱう
)
には
岩照姫
(
いはてるひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
さぬぞやと、
363
金切
(
かなき
)
り
声
(
ごゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
つて
泣声
(
なきごゑ
)
でぞめく。
364
其
(
その
)
外
(
ほか
)
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
365
木曽
(
きそ
)
義姫
(
よしひめ
)
の
大神
(
おほかみ
)
、
366
大照皇
(
たいせうくわう
)
大神宮
(
たいじんぐう
)
の
肉宮
(
にくみや
)
などと
自称
(
じしよう
)
する
信者
(
しんじや
)
が、
367
俄
(
にはか
)
に
狂
(
くる
)
ひ
立
(
た
)
ち、
368
壇上
(
だんじやう
)
のアクを
目
(
め
)
がけて
襲撃
(
しふげき
)
し、
369
鉄拳
(
てつけん
)
の
雨
(
あめ
)
を
降
(
ふ
)
らす、
370
足
(
あし
)
を
取
(
と
)
つて
引摺
(
ひきず
)
りおとす、
371
恰
(
あだか
)
も
日比谷
(
ひびや
)
ケ
原
(
はら
)
の
選良
(
せんりやう
)
其
(
その
)
儘
(
まま
)
の
光景
(
くわうけい
)
を
演出
(
えんしゆつ
)
した。
372
アクは
人込
(
ひとごみ
)
の
中
(
なか
)
を、
373
スバしこく
潜
(
くぐ
)
つて
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
374
其
(
その
)
代
(
かは
)
りにタクが
捉
(
とら
)
へられ、
375
悪言
(
あくげん
)
暴語
(
ばうご
)
の
代償
(
だいしやう
)
として
鉄拳
(
てつけん
)
の
雨
(
あめ
)
を
浴
(
あ
)
びせかけられ
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
となつて、
376
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
377
忽
(
たちま
)
ち
大門
(
おほもん
)
神社
(
じんしや
)
の
広前
(
ひろまへ
)
は
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
、
378
一大
(
いちだい
)
修羅場
(
しゆらぢやう
)
が
勃発
(
ぼつぱつ
)
することとなつた。
379
あゝ
叶
(
かな
)
はぬから
目玉
(
めだま
)
飛出
(
とびだ
)
しましませよ。
380
(
大正一一・一二・一五
旧一〇・二七
北村隆光
録)
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(B)
(N)
沸騰 >>>
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