霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第六章 千代心(ちよごころ)〔一二一六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第1篇 仕組の縺糸 よみ(新仮名遣い):しぐみのれんし
章:第6章 千代心 よみ(新仮名遣い):ちよごころ 通し章番号:1216
口述日:1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
幹部の竹公は壇上に上がり、述懐を含めた歌を歌いだした。竹公夫婦は先祖の残した遺産で遊んで暮らせるだけの身代があったが、お寅がやってきて世界の立替が始まって神政が成就するにあたり、自分たち夫婦の身魂は因縁があって大切な役目があるなどとうまいことを並べたという。
また妻のお福がにわかに神がかりしてお寅の言ったことと口裏合せて脅したため、家財を処分してすべてウラナイ教にささげ、夫婦で移住したという。しかし今タク、テクの話を聞くにつけて目が覚め、これは古狸の仕業であったのかと後悔を表し、こうなった上は三五教の真の神の道に真心を捧げようと歌った。
お千代は壇上に上がると、率直な物言いでウラナイ教の迷信を一刀両断し、また心が曇った人々を集めておいて誠を教えようという神様の仕組かもしれないので、心を改めて真の神を信仰しようと呼び掛けた。
喜久公は壇上に上がり、ウラナイ教の甘言につられて入信して奉仕してきた今日までの述懐を述べ、お千代の善悪不二の道理を聞いたからは皇大神の御心にしたがって御用をしようと改心を表した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-03-10 18:14:30 文字数:3745 OBC :rm4606
愛善世界社版:77頁 八幡書店版:第8輯 387頁 修補版: 校定版:79頁 普及版:32頁 初版: ページ備考:
001 竹公(たけこう)は立上(たちあが)り、002演壇(えんだん)に登(のぼ)つて面(つら)をふくらし、003錫(すず)の瓶(びん)からコツプに水(みづ)を、004ついでは飲(の)みついでは飲(の)み、005オホン徳利(どくり)の様(やう)な面(つら)をさらし、006顎(あご)を斜(ななめ)に前(まへ)の方(はう)へニユツとつき出(だ)し、007両手(りやうて)で卓(たく)をグツと押(おさ)へ、008腰(こし)を弓(ゆみ)に曲(ま)げながら、009述懐(じゆつくわい)を述(の)べ始(はじ)めた。
010竹公『浮木(うきき)の村(むら)に生(うま)れたる
011竹公(たけこう)さまとは私(わし)のこと
012親(おや)の代(だい)から蓄(たくは)へた
013資産(しさん)は余(あま)り多(おほ)くない
014さはさりながら夫婦(ふうふ)等(ら)が
015一生(いつしやう)遊(あそ)んで暮(くら)すだけ
016物質(ぶつしつ)的(てき)の財産(ざいさん)が
017あつた所(ところ)へお寅(とら)さま
018朝(あさ)も早(はや)うから飛(と)んで来(き)て
019ウラナイ教(けう)の祝詞(のりと)をば
020声(こゑ)高々(たかだか)と唱(とな)へ上(あ)げ
021コレコレモウシ竹(たけ)さまよ
022此(この)世(よ)の立替(たてかへ)始(はじ)まつて
023悪(あく)の世界(せかい)は滅亡(めつぼう)し
024世界(せかい)は三分(さんぶ)に減(へ)りますぞ
025さうした後(あと)へ世(よ)を救(すく)ふ
026五六七(みろく)菩薩(ぼさつ)が現(あら)はれて
027結構(けつこう)な神世(かみよ)を立(た)てなさる
028之(これ)を神政(しんせい)成就(じやうじゆ)と
029教祖(けうそ)のきみが申(まを)された
030結構(けつこう)な事(こと)ではないかいな
031こんな時代(じだい)に生(うま)れ来(き)た
032私(わたし)は云(い)ふも更(さら)なれど
033お前(まへ)等(ら)夫婦(ふうふ)のお霊(みたま)は
034昔(むかし)の昔(むかし)のさる昔(むかし)
035此(この)世(よ)の先祖(せんぞ)とあれませる
036国治立(くにはるたち)の神(かみ)様(さま)の
037根本(こつぽん)の根本(こつぽん)の御(ご)系統(ひつぽう)
038五六七(みろく)成就(じやうじゆ)の大神(おほかみ)の
039霊(みたま)がうつつて厶(ござ)るぞや
040物質(ぶつしつ)的(てき)の財産(ざいさん)を
041皆(みな)神(かみ)様(さま)に献(たてまつ)り
042家(いへ)をたたんで小北山(こぎたやま)
043大聖場(だいせいぢやう)に参上(まゐのぼ)り
044朝(あさ)から晩(ばん)まで結構(けつこう)な
045御用(ごよう)を遊(あそ)ばす気(き)はないか
046お前(まへ)の家(うち)のお福(ふく)さま
047こなたも結構(けつこう)なお霊(みたま)だ
048旭(あさひ)の豊栄昇(とよさかのぼ)り姫(ひめ)
049五六七(みろく)神政(しんせい)成就(じやうじゆ)の
050尊(たふと)き神(かみ)の奥様(おくさま)だ
051なぞと甘(うま)い事(こと)並(なら)べたて
052枯木(かれき)に餅(もち)がなるやうに
053よい事(こと)づくめで云(い)ふ故(ゆゑ)に
054首(くび)を傾(かたむ)け思案(しあん)する
055間(ま)もなくお福(ふく)が手(て)をふつて
056突然(とつぜん)起(おこ)つた神憑(かむがかり)
057旭(あさひ)の豊栄昇(とよさかのぼ)り姫(ひめ)
058神(かみ)の憑(うつ)つた因縁(いんねん)の
059霊(みたま)のお福(ふく)ぢや竹公(たけこう)よ
060お前(まへ)は五六七(みろく)成就(じやうじゆ)の
061皇神(すめかみ)様(さま)の生宮(いきみや)ぞ
062旭(あさひ)の申(まを)す神勅(しんちよく)を
063もしも疑(うたが)ひ反(そむ)くなら
064きつい神罰(しんばつ)当(あた)るぞや
065七生(しちしやう)までも祟(たた)るぞと
066現在(げんざい)女房(にようばう)の口(くち)をかり
067なだめつ おどしつ言(い)ふ故(ゆゑ)に
068神(かみ)はウソをば云(い)はないと
069思(おも)ひ込(こ)んだが病(や)みつきで
070近所隣(きんじよとなり)や親族(しんぞく)の
071とめるも聞(き)かず家倉(いへくら)を
072二足(にそく)三文(さんもん)に売飛(うりと)ばし
073残(のこ)らずお金(かね)にとりまとめ
074何(いづ)れ此(この)世(よ)が替(かは)るのだ
075物質(ぶつしつ)的(てき)の財宝(ざいほう)は
076ガラガラガラガラ メチヤメチヤと
077今(いま)になるのは知(し)れてゐる
078結構(けつこう)な神(かみ)の御教(みをしへ)を
079人(ひと)より先(さき)に聞(き)いたのは
080ヤツパリ身魂(みたま)のよい故(ゆゑ)だ
081コリヤ斯(か)うしては居(を)られぬと
082お寅(とら)婆(ば)さまのお言葉(ことば)を
083一(いち)も二(に)もなく承諾(しようだく)し
084夫婦(ふうふ)は茲(ここ)にウラナイの
085信者(しんじや)の中(なか)の世話役(せわやく)と
086選(えら)まれ朝(あさ)から日暮(ひぐれ)まで
087碌(ろく)でないもの食(く)はされて
088蕪(かぶら)大根(だいこん)芋(いも)牛蒡(ごばう)
089これを唯一(ゆゐいつ)の御(ご)馳走(ちそう)と
090今(いま)まで勤(つと)めて来(き)ましたが
091タク、テクさまやお菊(きく)さまの
092今(いま)の話(はなし)を聞(き)くにつけ
093どうやら眼(まなこ)がさめかけた
094五六七(みろく)成就(じやうじゆ)の大神(おほかみ)と
095得意(とくい)になつてゐたけれど
096どうやら此奴(こいつ)ア怪(あや)しいぞ
097小北(こぎた)の山(やま)の古狸(ふるだぬき)
098俺(おれ)の体(からだ)を宿(やど)として
099巣(す)ぐつてゐるに違(ちが)ひない
100女房(にようばう)お福(ふく)の体(からだ)にも
101古(ふる)い狸(たぬき)が巣(す)をくんで
102天眼通(てんがんつう)だといひながら
103女房(にようばう)の眼(まなこ)をくらませつ
104妙(めう)な所(ところ)を見聞(みき)きさせ
105馬鹿(ばか)にしてるに違(ちが)ひない
106思(おも)へば思(おも)へば恥(はづか)しや
107騙(だま)したお寅(とら)さまは憎(にく)けれど
108これもヤツパリ昔(むかし)から
109悪(あく)を働(はたら)いた其(その)酬(むく)い
110今(いま)に現(あら)はれ来(き)たのだろ
111こんな事(こと)にて今迄(いままで)の
112罪(つみ)や汚(けが)れがスツパリと
113払(はら)はれ清(きよ)まる事(こと)ならば
114真(まこと)に安(やす)い代償(だいしやう)だ
115かうなる上(うへ)は三五(あななひ)の
116誠(まこと)の神(かみ)の御教(みをしへ)を
117遵奉(じゆんぽう)なして道(みち)の為(ため)
118世人(よびと)の為(ため)に真心(まごころ)を
119捧(ささ)げまつらむ惟神(かむながら)
120神(かみ)の御前(みまへ)にねぎまつる
121お福(ふく)よお前(まへ)もこれからは
122心(こころ)をスツパリ立直(たてなほ)し
123旭(あさひ)の豊栄昇(とよさかのぼ)り姫(ひめ)
124なぞといふよな慢心(まんしん)を
125致(いた)しちやならない惟神(かむながら)
126神(かみ)に目(め)ざめて竹公(たけこう)が
127一寸(ちよつと)お前(まへ)に気(き)をつける
128あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
129御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
130 お千代(ちよ)は壇上(だんじやう)に登(のぼ)り、131小(ちひ)さき顔(かほ)に笑(ゑみ)を湛(たた)へながら歌(うた)ひ出(だ)した。
132お千代『天地(てんち)を造(つく)り給(たま)ひたる
133尊(たふと)き誠(まこと)の神(かみ)様(さま)の
134智慧(ちゑ)と力(ちから)に比(くら)ぶれば
135神(かみ)の生宮(いきみや)人間(にんげん)の
136知識(ちしき)と力(ちから)は大海(たいかい)の
137水一滴(みづいつてき)に如(し)かざらむ
138そは云(い)ふものの人(ひと)は又(また)
139万(よろづ)の物(もの)の霊長(れいちやう)だ
140尊(たふと)き神(かみ)が守護(しゆごう)して
141守(まも)り給(たま)へる上(うへ)からは
142決(けつ)して曲(まが)の犯(をか)すべき
143道理(だうり)はなかろ、あの様(やう)に
144一心(いつしん)不乱(ふらん)に真心(まごころ)を
145こめて天地(てんち)の神(かみ)様(さま)を
146祈(いの)り遊(あそ)ばす上(うへ)からは
147其(その)信仰(しんかう)の力(ちから)にて
148八岐(やまた)大蛇(をろち)も醜鬼(しこおに)も
149金毛(きんまう)九尾(きうび)も如何(いか)にして
150犯(をか)さむ由(よし)もなかるべし
151これの御山(みやま)に集(あつ)まれる
152人(ひと)は残(のこ)らず世(よ)の中(なか)に
153すぐれて正(ただ)しき人(ひと)ばかり
154ちつとは理解(りかい)のある方(かた)と
155思(おも)うて居(ゐ)たに情(なさけ)なや
156子供(こども)の私(わたし)の目(め)にさへも
157分(わか)り切(き)つたる詐(いつは)りが
158欲(よく)に迷(まよ)うた魂(たましひ)にや
159てつきり誠(まこと)と見(み)えるそな
160尊(たふと)き誠(まこと)の神(かみ)様(さま)を
161朝(あさ)から晩(ばん)まで誹謗(ひばう)して
162名(な)もなき詐(いつは)り神(がみ)どもを
163立派(りつぱ)なお宮(みや)の中(なか)に入(い)れ
164鬚面(ひげづら)男(をとこ)が嬉(うれ)しそに
165十能(じふのう)のやうな手(て)を合(あは)せ
166一生(いつしやう)懸命(けんめい)に祈(いの)るさま
167横(よこ)から眺(なが)めた其(その)時(とき)は
168フツと吹出(ふきだ)し笑(わら)ひこけ
169尻餅(しりもち)ついてべべよごし
170松姫(まつひめ)さまにお叱言(こごと)を
171頂戴(ちやうだい)致(いた)した事(こと)もある
172ホンに人間(にんげん)といふものは
173身欲(みよく)に迷(まよ)うた其(その)時(とき)は
174二(ふた)つの眼(まなこ)もくらみはて
175耳(みみ)は塞(ふさ)がり曲事(まがこと)が
176神(かみ)の慈言(じげん)に響(ひび)くのか
177五官(ごくわん)の作用(さよう)は忽(たちま)ちに
178大変調(だいへんてう)を来(きた)しつつ
179肝腎要(かんじんかなめ)の心霊(しんれい)まで
180ねぢけ曇(くも)りてあとさきの
181見(み)えぬ心(こころ)の盲目(まうもく)と
182なつて憐(あは)れな生涯(しやうがい)を
183送(おく)るに至(いた)るあはれさよ
184松姫(まつひめ)さまは朝夕(あさゆふ)に
185皆(みな)さま方(がた)の迷信(めいしん)を
186払(はら)ひて誠(まこと)の大道(おほみち)に
187救(すく)はむものと心(こころ)をば
188配(くば)らせ給(たま)ひ皇神(すめかみ)の
189真(まこと)の御名(みな)を讃(たた)へむと
190心(こころ)を焦(いら)ち給(たま)へども
191神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)や
192豊国姫(とよくにひめの)大御神(おほみかみ)
193かかる尊(たふと)き神名(しんめい)を
194公然(こうぜん)唱(とな)ふるものならば
195蠑螈別(いもりわけ)が目(め)をむいて
196御(ご)機嫌(きげん)殊(こと)に斜(ななめ)なり
197婆(ば)アさままでが尾(を)について
198いかい小言(こごと)を云(い)ふ故(ゆゑ)に
199こらへ忍(しの)んで今日(けふ)迄(まで)も
200館(やかた)を別(べつ)になされつつ
201人(ひと)に聞(き)かさぬやうにして
202誠(まこと)の神(かみ)を一心(いつしん)に
203祈(いの)つて厶(ござ)つた甲斐(かひ)あつて
204今日(けふ)はいよいよ天地(あめつち)を
205包(つつ)んだ雲(くも)は晴(は)れ渡(わた)り
206誠(まこと)の日(ひ)の出神(でのかみ)様(さま)が
207輝(かがや)き給(たま)ふ如(ごと)くなる
208目出度(めでた)き道(みち)の開(ひら)け口(ぐち)
209謹(つつし)みここに祝(しゆく)します
210只(ただ)何事(なにごと)も神(かみ)様(さま)の
211深(ふか)き仕組(しぐみ)にあやつられ
212曲津(まがつ)の神(かみ)の手(て)をかつて
213よせられ来(き)たのに違(ちが)ひない
214心(こころ)の曇(くも)つた人間(にんげん)を
215初(はじ)めの中(うち)から正直(しやうぢき)な
216誠(まこと)ばかりを教(をし)へたら
217中々(なかなか)容易(ようい)によりつかぬ
218それ故(ゆゑ)天地(てんち)の神(かみ)様(さま)は
219曲津(まがつ)のなすが儘(まま)にして
220御(おん)目(め)をとぢて黎明(れいめい)の
221来(きた)る時(とき)をば待(ま)たせつつ
222迷(まよ)へる魂(みたま)を天国(てんごく)に
223お救(すく)ひ下(くだ)さる有難(ありがた)さ
224これを思(おも)へば皆(みな)さまが
225今(いま)まで神(かみ)に尽(つく)したる
226事(こと)に一(ひと)つも仇(あだ)はない
227皆(みな)神(かみ)様(さま)の御(ご)神業(しんげふ)
228立派(りつぱ)に仕(つか)へまつりたる
229殊勲者(しゆくんじや)なれば力(ちから)をば
230落(おと)さずとみに弱(よわ)らさず
231益々(ますます)勇気(ゆうき)をほり出(だ)して
232今日(けふ)から身魂(みたま)を立直(たてなほ)し
233小北(こぎた)の山(やま)の神殿(しんでん)に
234誠(まこと)の神(かみ)の御光(みひかり)が
235輝(かがや)き渡(わた)るを待(ま)ちませう
236あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
237御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
238 喜久公(きくこう)は壇上(だんじやう)に登(のぼ)り述懐(じゆつくわい)を歌(うた)ふ。
239喜久公『蠑螈別(いもりわけ)や魔我彦(まがひこ)の
240神(かみ)の司(つかさ)に従(したが)ひて
241北山村(きたやまむら)を出立(しゆつたつ)し
242やうやう此処(ここ)に来(き)てみれば
243坂照山(さかてるやま)の急坂(きふはん)を
244コチコチコチと穿(うが)ちゐる
245二人(ふたり)の親子(おやこ)がありました
246不思議(ふしぎ)と側(そば)に立(た)ちよつて
247あなたは何(いづ)れの神(かみ)様(さま)か
248お名告(なの)りなされて下(くだ)されと
249いと慇懃(いんぎん)に尋(たづ)ぬれば
250坊主(ばうず)になつた鶴嘴(つるばし)を
251巌(いはほ)の上(うへ)に投(な)げ出(だ)して
252滴(したた)る汗(あせ)をふきながら
253わしは丑寅(うしとら)金(かね)の神(かみ)
254世(よ)におちぶれて今(いま)は早(はや)
255いやしき賤(しづ)の野良(のら)仕事(しごと)
256そのひまひまに此(この)山(やま)へ
257登(のぼ)つて岩(いは)を打砕(うちくだ)き
258尊(たふと)き神(かみ)の鎮座(ちんざ)ます
259下津(したつ)岩根(いはね)を親(おや)と子(こ)が
260朝夕(あさゆふ)穿(うが)つて居(を)りまする
261わたしも卑(いや)しき首陀(しゆだ)なれど
262大将軍(だいしやうぐん)の生宮(いきみや)だ
263此(この)子(こ)の霊(みたま)は地上丸(ちじやうまる)
264何(なん)だか知(し)らぬが自(おのづか)ら
265一人(ひとり)腕(かひな)がうごき出(だ)し
266これ程(ほど)堅(かた)い岩山(いはやま)が
267いつとはなしに平坦(へいたん)な
268場所(ばしよ)が沢山(たくさん)出来(でき)ました
269ここに神(かみ)さまを祀(まつ)つたら
270さぞや結構(けつこう)になりませう
271此(この)御(お)言葉(ことば)に蠑螈別(いもりわけ)
272魔我彦(まがひこ)さまは手(て)を拍(う)つて
273実(じつ)に感心(かんしん)々々(かんしん)だ
274これが人間(にんげん)だつたなら
275どうしてここまで開(ひら)けよぞ
276てつきりここは聖地(せいち)だろ
277一先(ひとま)づ神(かみ)に伺(うかが)うて
278実否(じつぴ)を尋(たづ)ね探(さぐ)らむと
279私(わたし)の女房(にようばう)のお覚(かく)をば
280神(かみ)のうつらす生宮(いきみや)と
281定(さだ)めて祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し
282うやうやしくも伺(うかが)へば
283女房(にようばう)のお覚(かく)は手(て)をふつて
284声(こゑ)の色(いろ)まで変(か)へながら
285喜久公(きくこう)しつかり聞(き)くがよい
286お覚(かく)はお前(まへ)の女房(にようばう)だが
287木曽(きそ)義姫(よしひめ)の生宮(いきみや)ぞ
288これから神(かみ)がかる程(ほど)に
289此(この)聖場(せいぢやう)に立派(りつぱ)なる
290神(かみ)の御舎(みあらか)建(た)つまでは
291決(けつ)して女房(にようばう)と思(おも)ふなよ
292夜(よる)のしとねも別(べつ)にして
293河鹿(かじか)の川(かは)で水垢離(みづごうり)
294夫婦(ふうふ)が取(と)つて御(ご)神業(しんげふ)に
295仕(つか)へてくれる事(こと)ならば
296喜久公(きくこう)さまの守護神(しゆごじん)を
297天晴(あつぱれ)現(あら)はしやりませうと
298いと厳(おごそ)かに宣(の)り給(たま)ふ
299八岐(やまた)大蛇(をろち)の守護神(しゆごじん)か
300金毛(きんまう)九尾(きうび)の身魂(みたま)かと
301案(あん)じ煩(わづら)ふ折(をり)もあれ
302リントウビテン大臣(だいじん)の
303因縁(いんねん)深(ふか)き生宮(いきみや)と
304聞(き)いたる時(とき)の嬉(うれ)しさよ
305それより夫婦(ふうふ)は朝夕(あさゆふ)に
306普請(ふしん)万端(ばんたん)気(き)を付(つ)けて
307夜(よ)の目(め)もロクに寝(ね)もやらず
308御用(ごよう)をつとめて参(まゐ)りました
309タク、テク、お寅(とら)さまの言(い)ふ事(こと)を
310真(まこと)とすれば吾(わが)夫婦(ふうふ)
311話(はなし)にならぬ呆(はう)け方(かた)
312バカの骨頂(こつちやう)を尽(つく)したと
313そろそろ腹(はら)が立(た)ち出(だ)して
314神(かみ)のお宮(みや)を小口(こぐち)から
315こはしてやらうと思(おも)ふ折(をり)
316年端(としは)もゆかぬお千代(ちよ)さまが
317清明(せいめい)無垢(むく)の魂(たましひ)に
318尊(たふと)き神(かみ)がかかられて
319善悪(ぜんあく)不二(ふじ)の道理(だうり)をば
320教(をし)へ給(たま)ひし嬉(うれ)しさよ
321モウ此(この)上(うへ)は何事(なにごと)も
322皇(すめ)大神(おほかみ)の御心(みこころ)に
323従(したが)ひまつり一言(ひとこと)も
324決(けつ)して不足(ふそく)は云(い)ひませぬ
325其(その)日(ひ)々々(そのひ)を楽(たのし)んで
326しつかり御用(ごよう)を致(いた)しませう
327ここに並(な)みゐる皆(みな)さまよ
328定(さだ)めて私(わたし)のやうな事(こと)
329思(おも)うて厶(ござ)つたでありませう
330私(わたし)にならひ之(これ)からは
331只(ただ)何事(なにごと)も神(かみ)のまま
332謹(つつし)み敬(うやま)ひ御(ご)奉公(ほうこう)
333身(み)もたなしらに励(はげ)みませう
334あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
335神(かみ)の御前(みまへ)に喜久公(きくこう)が
336迷(まよ)ひの雲霧(くもきり)ふき分(わ)けて
337リントウビテンの称号(しやうがう)を
338御(お)返(かへ)し申(まを)し民草(たみぐさ)の
339一(ひと)つの数(かず)に加(くは)へられ
340心(こころ)の限(かぎ)り身(み)のきはみ
341尽(つく)しまつるを平(たひら)けく
342いと安(やす)らけく聞(きこ)しめせ
343偏(ひとへ)にこひのみ奉(たてまつ)る』
344(大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→